説明

プロンプタ装置

【課題】筐体とハーフミラーとレンズ取付部とで囲まれた空間内を開閉構造として、塵埃の侵入を防ぐ。
【解決手段】ハーフミラー2の全周には取付枠体7が周設され、筐体1はミラー取付部8が隙間なく取り付けられている。取付枠体7はミラー取付部8に重ねられて固定され、取付枠体7とミラー取付部8の間には、シール部材10が隙間なく挟み込まれている。レンズ5の取付部4の周囲には遮光リング11が取り付けられ、レンズ取付部4はレンズ5と遮光リング11によって遮蔽され、ハーフミラー2とレンズ5との間に外部から光が入射することを防止している。
この構成により、筐体1とハーフミラー2とレンズ5によって囲まれた空間を閉塞された空間とすることができ、プロンプタ装置の内部への塵埃の侵入を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビレンズを有するプロンプタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送のキャスタや講演等の講演者が使用する従来のプロンプタ装置は、防塵機能を持っておらず、レンズを外した状態ではレンズ取付部が開口している。また、特許文献1で示すように遮光対策のカバーが、レンズ取付部を簡易的に閉塞している場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−101931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術によればミラーの内側に侵入した塵埃が付着し易く、異物の画像への映り込み、光量むら、フレアを除去するためには、装置の頻繁な分解掃除を必要とするなどの問題がある。
【0005】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、内部への塵埃等の侵入を防止できるプロンプタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係るプロンプタ装置は、筐体にハーフミラーとモニタとを固定し、前記筐体に前記ハーフミラーに対向してレンズを取り付けるレンズ取付部を有するプロンプタ装置において、前記ハーフミラーは前記筐体に対しシール部材を介して固定し、更に前記レンズ取付部を遮蔽構造とすることにより、前記筐体と前記ハーフミラーと前記レンズ取付部により囲まれた空間を閉塞された空間とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るプロンプタ装置によれば、塵埃等の内部への侵入及びミラー裏面への付着を防止でき、異物の画像への映り込み、光量むら、フレアが解消され、専門技術を要する塵埃除去作業が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の断面図である。
【図2】実施例1の要部断面図である。
【図3】実施例2の断面図である。
【図4】実施例3の断面図である。
【図5】実施例4のレンズ挿入前の状態の断面図である。
【図6】実施例4のレンズ挿入時の状態の断面図である。
【図7】実施例5の断面図である。
【図8】実施例5の正面図である。
【図9】実施例6の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は実施例1の断面図、図2は要部断面図である。筐体1には、斜めに配置されたハーフミラー2と、その下方に水平に置かれたモニタ3とが設けられている。ハーフミラー2の後方の筐体1のレンズ取付部4には、ハーフミラー2に対向してレンズ5が挿入され、レンズ5の更に後方に撮像部6が接続されている。
【0011】
モニタ3は図示しないカメラで撮影された原稿を映し出し、その映像はハーフミラー2に写される。例えば、被写体でもあるキャスタはレンズ5から視線を外すことなく、ハーフミラー2に写された原稿を読むことができる。
【0012】
ハーフミラー2はその外周に設けられた取付枠体7を用いて筐体1に固定されている。筐体1には、取付枠体7に対応するミラー取付部8が溶接等により隙間なく取り付けられている。取付枠体7はミラー取付部8に重ねられてボルトなどの締結部材9によって固定され、取付枠体7とミラー取付部8の間には、弾性体から成るシール部材10が隙間なく挟み込まれている。なお、このシール部材10は丸型・角型・かまぼこ型などの紐形状、或いはシート状とされている。
【0013】
また、レンズ5の周囲には遮光リング11が取り付けられ、レンズ取付部4はレンズ5と遮光リング11によって遮蔽構造とされ、ハーフミラー2とレンズ5との間にレンズ取付部4を介して外部からの塵埃と光が侵入することを防止している。
【0014】
この構成によれば、筐体1とハーフミラー2とレンズ5によって囲まれた空間を閉塞された空間とすることができ、プロンプタ装置の内部への塵埃の侵入を防止することができる。
【0015】
なお、上述のハーフミラー2、レンズ5間の筐体1内の閉塞は、外部空間に対し完全に密閉する状態でなくともよく、撮影に影響のない程度の小さな塵埃は出入りが可能であっても支障はない。
【実施例2】
【0016】
図3は実施例2の断面図である。筐体1のレンズ取付部4には、光を透過するフィルタから成り、防塵部材としても機能する光学部材21が嵌め込まれ、固定部材22により固定され、プロンプタ装置の内部は密閉されている。なお、以下の実施例においても、ハーフミラー2の周辺の防塵構造は実施例1と同様とされている。
【0017】
この実施例2によれば、実施例1と同様の効果が得られると共に、レンズ5を装着していない場合でも、光学部材21によりプロンプタ装置の内部への塵埃の侵入を防ぐことができる。
【実施例3】
【0018】
図4は実施例3の断面図である。筐体1のレンズ取付部4に鏡筒31が取り付けられ、光学部材21は鏡筒31に接着されている。鏡筒31の外周にはねじが刻設されており、鏡筒31は筐体1のレンズ取付部4にねじ込んで固定されている。
【0019】
この実施例3によれば、実施例2と同様の効果が得られる共に、光学部材21を鏡筒31ごと着脱可能であるので、各種のフィルタに容易に交換することができる。
【実施例4】
【0020】
図5、図6は実施例4の断面図である。筐体1のレンズ取付部4には開閉機構41が開閉自在に設けられている。この開閉機構41は固定板42と可動板43等から成り、これらは回転軸44により回動自在に連結されている。固定板42は筐体1に溶接或いはビス等で固定されており、可動板43にはレンズ5側から開閉機構41を開くための押上部材45が設けられている。
【0021】
図5はレンズ5が所定の位置にない状態を示しており、開閉機構41の可動板43は自重により下方に移動可能とされ、レンズ取付部4を遮蔽し塵埃の侵入を防止している。
【0022】
図6はレンズ5が所定の場所に配置された状態を示している。レンズ5がレンズ取付部4に挿入される際に、遮光リング11は押上部材45を筐体1の内部に向けて押圧する。この押圧は回転軸44を中心に可動板43を回転させる力として伝達され、可動板43はレンズ5の有効光線外に退避するよう押し上げられる。同時に、レンズ5及び遮光リング11により、レンズ取付部4の隙間を閉塞することができ、レンズ装着時及びレンズ非装着時の双方において、プロンプタ装置の内部への塵埃の侵入を防ぐことができる。
【実施例5】
【0023】
図7及び図8は実施例5の断面図及び正面図である。筐体1のレンズ取付部4の左右両側には上下方向にレール51が設けられ、レンズ取付部4の上部にスクレーパ52が配置されている。更に、可動板53がレール51に沿って、例えば手動で一点鎖線で示す上方に摺動するようにされている。スポンジやブラシから成るスクレーパ52は、可動板53が摺動する際に、可動板53の内面に接する位置に取り付けられている。
【0024】
レンズ5が所定の個所にない状態では、可動板53は自重によって下方に降下し、レンズ取付部4を遮蔽する。この遮蔽に際して、可動板53はレール51に沿って下方に摺動するので、スクレーパ52が可動板53の面に付着した塵埃を除去する。
【0025】
レンズ5を所定の位置に配した状態では、可動板53はレール51に沿って上方に摺動し、レンズ取付部4を開口するが、レンズ取付部4はレンズ5、遮光リング11により遮蔽される。
【実施例6】
【0026】
図9は実施例6の断面図である。筐体1の外部には、筐体1に設けられた開口部61に、フィルタ62を介してファン63が取り付けられている。ファン63は空気を送風し、フィルタ62は塵埃の侵入を防止している。
【0027】
ファン63は筐体1とハーフミラー2で囲まれた空間内に外部空気を送り込み、空間の内圧を高めて外部からの塵埃の侵入を防止する。ファン63は手動によりスイッチをオン/オフしても、レンズ5が所定の場所に配置されたことを検知して自動的にオン/オフするようにしてもよい。なお、空間内のレンズ取付部4における閉塞については、実施例1〜5の構造が適宜に使用できる。
【0028】
以上、本発明の好ましい実施例1〜6について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことは云うまでもなく、特許請求の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 筐体
2 ハーフミラー
5 レンズ
6 撮像部
10 シール部材
11 遮光リング
21 光学部材
31 鏡筒
41 開閉機構
43、53 可動板
52 スクレーパ
63 ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体にハーフミラーとモニタとを固定し、前記筐体に前記ハーフミラーに対向してレンズを取り付けるレンズ取付部を有するプロンプタ装置において、前記ハーフミラーは前記筐体に対しシール部材を介して固定し、更に前記レンズ取付部を遮蔽構造とすることにより、前記筐体と前記ハーフミラーと前記レンズ取付部により囲まれた空間を閉塞された空間とすることを特徴とするプロンプタ装置。
【請求項2】
前記レンズ取付部に防塵部材として機能する光学部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載のプロンプタ装置。
【請求項3】
前記光学部材は前記筐体に対し着脱可能であることを特徴とする請求項2に記載のプロンプタ装置。
【請求項4】
前記レンズ取付部から前記レンズを取り外した際に、前記レンズ取付部を移動可能の可動板により遮蔽することを特徴とする請求項1に記載のプロンプタ装置。
【請求項5】
前記筐体の内部に向けて空気を送り込む送風手段を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1つの請求項に記載のプロンプタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−44777(P2011−44777A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189949(P2009−189949)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】