説明

プローブ情報システム及びプローブ情報処理方法

【課題】プローブ情報の送信源となる車両の増加に伴う通信量の増大を好適に抑制しつつ、交通情報の生成に必要なプローブ情報を収集することのできるプローブ情報システム及びプローブ情報処理方法を提供する。
【解決手段】プローブ情報センター200は、車両PCに搭載された車載通信機100から送信されるプローブ情報に基づいて走行環境が類似する車両群をグループ化するとともに、このグループ化した車両群毎に代表とする車両を選定するグルーピング部220を備える。そして、プローブ情報センター200は、このグルーピング部220によって選定された車両から送信されるプローブ情報を収集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車(プローブカー)からのプローブ情報を収集して交通情報を生成し、該生成した交通情報を車両運行管理や公共サービス等に供するプローブ情報システム及びプローブ情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、渋滞情報をはじめとする交通情報を収集、生成するシステムとして、道路上もしくは路側等に設置されたセンサーから収集される情報をもとに交通情報を生成する道路交通情報通信システム(VICS(登録商標):Vehicle Information
and Communication system)が知られている。
【0003】
また、近年では、こうした道路交通情報通信システムに代えて、道路上を走行する自動車(自動二輪車等も含む)等の車両から位置や走行速度、燃費等に関する各種情報をいわゆるプローブ情報として収集し、このプローブ情報をもとに交通情報を生成するプローブ情報システムの導入も検討されている。こうしたプローブ情報システムによるプローブ情報の収集は、例えば図14に示すように、プローブ情報システムのプローブ情報センターとの無線通信機能を有する車載器が搭載された車両PCからプローブ情報センター10に対して上記プローブ情報が適宜転送されることにより行われる。ただし、このようなプローブ情報システムにあっては、プローブ情報の情報源の増加、換言すれば、上記車載器が搭載された車両PCの増加に伴い、各車両PC(プローブカー)と上記プローブ情報センター10との間での通信量は、図15に推移例L1として例示するように、線形的に増大することとなってしまう。これに対し、プローブ情報センター10で処理できる通信量は有限であり、その限度を超えるプローブ情報が上記プローブ情報センター10に送信された場合には、プローブ情報センター10の処理負荷が増大し、通信不良などの各種障害が発生することも懸念されている。
【0004】
そこで、例えば特許文献1に見られるように、車両からプローブ情報センターへのプローブ情報の送信に際し、送信されるプローブ情報のデータ系列に離散フーリエ変換や離散コサイン変換等の直交変換を施すシステムも提案されている。このシステムでは、車両側でプローブ情報に直交変換が施されることによって、同プローブ情報が変換係数の符号化データに変換される。そして、プローブ情報センターでは、変換係数の符号化データを直交逆変換することによって同データをプローブ情報に復元する。このように、このシステムでは、プローブ情報に含まれる変換係数の増減を通じて、同プローブ情報の分解能、換言すれば、各プローブ情報の情報量が可変とされる。すなわち、同システムによれば、各車両から送信されるプローブ情報の分解能を予め小さくすることにより、例えば図15に推移例L2として示すように、上記プローブ情報センターと各車両との間での通信量を低減することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−227317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載のシステムでは、上記プローブ情報センターに送信される各々のプローブ情報の情報量を低減できたとしても、上記プローブ情報センターに送信される通信量が緩和されるのみで、結局のところ、プローブ情報を送信可能な車両の増
加に伴う上記プローブ情報センターと各車両との間での通信量の増大は避けられない。すなわち、先の図15からも明かなように、プローブ情報を送信可能な車両が増加すると、上記プローブ情報センターと各車両との間での通信量も線形的に増大することとなる。
【0007】
この他、通信量を低減させる手法としては一般に、車両の走行速度の変化等に起因してプローブ情報が変化したときにのみ車両からプローブ情報センターへのプローブ情報の送信を許可することや、車両の走行速度等が所定の閾値を超えたときにのみ車両からプローブ情報センターへのプローブ情報の送信を許可することも検討されている。同様に、プローブ情報のうちの例えば燃費情報等の一部の情報を間引くことによりプローブ情報の情報量を低減させることも検討されている。しかし、これらの手法によってプローブ情報を低減したところで、結局のところ、プローブ情報センターとの通信機能を有する車両の増加に起因する通信量の増大は避けられない。すなわち、交通情報の生成に必要なプローブ情報をプローブ情報センターの処理能力に応じて収集可能とするシステムを確立するには至っていない。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プローブ情報の送信源となる車両の増加に伴う通信量の増大を好適に抑制しつつ、交通情報の生成に必要なプローブ情報を収集することのできるプローブ情報システム及びプローブ情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、プローブ情報センターとの通信機能を有する車両の車両情報であるプローブ情報をプローブ情報センターに収集して交通情報を生成するプローブ情報システムにおいて、前記プローブ情報に基づいて走行環境が類似する車両群をグループ化するとともに、該グループ化した車両群毎に代表とする車両を選定するグルーピング部を備え、前記プローブ情報センターは、このグルーピング部によって選定された車両から送信されるプローブ情報を収集することを要旨とする。
【0010】
上記構成によれば、走行環境が類似する車両群がグルーピングされるとともに同車両群から代表となる車両が選定される。そして、プローブ情報センターには、代表となる車両にて取得されたプローブ情報が収集される。すなわち、走行環境が類似する車両群から収集されるプローブ情報とは各々類似する走行データを示す傾向にあり、車両群を代表する代表車両から収集されたプローブ情報を同代表車両が属する車両群の各々で取得されるプローブ情報の代表値として取り扱うことができる。このため、プローブ情報センターには、各エリアの代表車両が選定されて以降はグルーピングされた車両群のうちで代表車両のプローブ情報が収集されることとなる。すなわち、プローブ情報センターに対するプローブ情報の送信源を走行環境が類似する車両群のうちで選定された代表車両に限定することが可能となり、プローブ情報の送信機能を備えた車両台数の増加如何に拘らずプローブ情報センターに対する通信量を規制することが可能となる。
【0011】
また、プローブ情報センターでは、代表車両から収集されたプローブ情報に基づき各エリアを走行する車両群の走行データが反映された交通情報を生成することが可能となる。これにより、プローブ情報の送信源となる車両の増加に伴う通信量の増大を抑制しつつ、交通情報の生成に必要なプローブ情報を的確に収集することができるようになる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプローブ情報システムにおいて、前記グルーピング部は、前記代表として選定した車両以外からのプローブ情報の送信を禁止することによって、同代表として選定した車両から送信されるプローブ情報が前記プローブ情報センターに収集されるようにしたことを要旨とする。
【0013】
上記構成によれば、代表車両が特定されて以降は、代表車両によるプローブ情報の送信のみが許可されるとともに、同代表車両以外の車両によるプローブ情報の送信が禁止される。これにより、走行環境が類似する各車両に対するプローブ情報の送信の許可及び禁止を通じて、プローブ情報センターに対する通信量を規制することができるようになる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のプローブ情報システムにおいて、前記グルーピング部は、前記車両群の走行環境の変化に応じてそれら車両群のグループ化及びグループ化した車両群毎の代表とする車両の選定を動的に行うことを要旨とする。
【0015】
通常、道路上を走行する車両の交通環境とは、走行エリアや時間帯等に応じて変化するものであり、こうした走行環境に基づくグループ化や代表車両に関する設定もその都度変更されることが望ましい。この点、上記構成によれば、プローブ情報に基づくグループ化と同グループ化された車両群における代表車両の選定とが、各車両の走行環境に応じて動的に実行される。これにより、各車両の走行環境が変化した場合であれ、プローブ情報の収集にあたり代表とすべき車両の選定が柔軟に行われるようになり、各々の走行環境が反映されたプローブ情報を的確に収集することができるようになる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプローブ情報システムにおいて、前記グルーピング部は、渋滞状態にある車両群、及び同一の市内を走行する車両群、及び予め定めた特定の圏内を走行中の車両群のいずれかの条件を満たす車両群を前記走行環境が類似する車両群としてグループ化することを要旨とする。
【0017】
一般に、上記プローブ情報に基づき交通情報として生成される情報としては、道路上の渋滞状況を示す情報が多い。そして、あるエリアで渋滞状態にある車両の走行速度や燃費等は類似する傾向にある。また、例えば、同一の市内や、ある特定の圏内では、位置、天候、渋滞の有無等の走行環境が類似する傾向にあり、それら共通する走行エリアを走行する車両から収集されるプローブ情報も類似する傾向にある。そして、上記構成によれば、渋滞状態にある車両群、及び同一の市内を走行する車両群、及び予め定めた特定の圏内を走行中の車両群のいずれかの条件を満たす車両群を、走行環境が類似する車両群としてグループ化する。これにより、走行環境が類似する車両群を容易かつ的確に定めることが可能となる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプローブ情報システムにおいて、前記グルーピング部は、前記グループ化した車両群毎に、各々類似する走行環境に応じたプローブ情報を相対的により長く維持可能と推定される車両を前記代表とする車両として選定することを要旨とする。
【0019】
各エリアのプローブ情報を安定して収集する上では、代表として選定された車両から安定して上記類似するとされた走行環境が反映されたプローブ情報を収集できることが好ましい。そして、一般に、渋滞状態にある車両群のうちの最後尾車両は、同車両群のうちで最も渋滞状態となっている時間が長い、すなわち、上記類似するとされた走行環境に属している時間が相対的に長い。また、所定の走行エリアのうちの中心付近を走行する車両は、その進行方向がいずれであっても、同走行エリアに安定して滞在する蓋然性が高い。このように、車両群のなかでもその走行環境が反映されたプローブ情報を相対的に維持可能な車両が存在する。そこで、上記構成によるように、上記代表車両の選定を、各々類似する走行環境に応じたプローブ情報を相対的により長く維持可能と推定されるか否かを基準として行うこととすれば、プローブ情報の送信源をグループ化された車両群のうちで代表車両に限定する上で、同代表車両が属する車両群の走行環境が反映されたプローブ情報を安定して収集することが可能となる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプローブ情報システムにおいて、前記プローブ情報センターは、前記収集されたプローブ情報に基づき各車両のドライバに提供すべきサービスの有無を判定するサービスマッチング部を備え、該サービスマッチング部により提供すべきサービス有りと判定される車両のドライバに該当するサービスを提供する機能をさらに備えることを要旨とする。
【0021】
上記構成によれば、上記収集されたプローブ情報に基づいてサービスの提供が必要と判定された車両のドライバに該当するサービスが提供される。すなわち、代表とされた車両から収集されたプローブ情報に基づいて上記提供すべきサービスの要否を判定するだけで、同代表車両が属する車両群のドライバに提供すべきサービスを一様に判定することが可能となる。これにより、上記プローブ情報センターでの通信量が低減されたことの相乗効果として、必要最小限のプローブ情報に基づくサービスの配信が可能となり、上記プローブ情報センターに対する処理負荷がより一層軽減されるようになる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のプローブ情報システムにおいて、前記プローブ情報が、自車両のワイパー動作状態もしくは走行速度もしくは走行位置に関する情報を含むものであり、前記サービスマッチング部は、前記サービスとして、前記グループ化された車両群から収集される大雨に起因するワイパーの高速動作状態、もしくは渋滞に起因する低速走行状態、もしくは特定の店舗周辺の走行位置に関する情報が含まれるとき、大雨注意サービスもしくは渋滞情報サービスもしくは前記店舗からの広告配信サービスを少なくとも当該プローブ情報を送信した車両と共にグループ化された車両群のドライバに提供することを要旨とする。
【0023】
通常、車両のワイパーの動作状態は、同車両が走行するエリアの天候と相関しており、ワイパーによるワイピング動作の周期は雨の強弱に応じて変更されることが普通である。このため、上記構成によれば、上記収集されるプローブ情報のうちのワイパー動作状態に関する情報に基づき同プローブ情報の送信源となる自動車の走行エリアの雨の強度を推定することが可能となる。また同様に、車両の走行速度と渋滞の有無とは相関する関係にあり、上記構成によれば、上記収集されるプローブ情報のうちの走行速度に関する情報に基づき同プローブ情報の送信源となる自動車の走行エリアの渋滞の有無を推定することが可能となる。さらに、ある車両が特定の店舗周辺を走行しているときには、この店舗からの広告を同車両のドライバに提供することが有益である。そして、こうした推定結果や車両の走行位置に基づいて各自動車のドライバに大雨の発生を報知する大雨注意サービスや渋滞の発生を報知する渋滞情報サービス、広告配信サービスを提供することとすれば、ドライバがサービスの要求を意識せずともその都度の走行環境に応じた的確なサービスが自動的に提供されるようになる。
【0024】
また、こうした大雨注意サービス及び渋滞情報サービス及び広告配信サービスは、特に上記走行環境が類似する車両群、例えば同一の自動車道で渋滞状態にある車両群や同一の市内を走行している車両群等のように走行環境が類似する車両群に一括して配信することが好ましい。この点においても、上記構成によれば、こうした各種サービスの配信が上記代表として選定された車両から収集されたプローブ情報に基づき行われることから、特定のプローブ情報に基づくサービスの一括配信が可能となる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプローブ情報システムにおいて、前記グルーピング部は、前記プローブ情報センター内に設けられたものであることを要旨とする。
【0026】
上記構成によるように、上記グルーピング部を、前記プローブ情報センター内に設ける
こととすれば、代表となる車両の判定及び走行環境が類似する車両群の選定がプローブ情報センターで実行される。これにより、上記グルーピングや代表車両の選定からプローブ情報の収集までをプローブ情報センターで一括して管理、運用することができるようになる。
【0027】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプローブ情報システムにおいて、前記グルーピング部は、特定の車両に搭載されたものであり、該グルーピング部によるグループ化、及び代表とする車両の選定がそれら車両間での車車間通信として実行されることを要旨とする。
【0028】
上記構成によるように、上記グルーピング部を特定の車両に搭載し、このグルーピング部によるグループ化、及び代表とする車両の選定をそれら車両間での車車間通信として実行することとすれば、上記プローブ情報センターにおける処理負荷がより一層軽減されるようになるとともに、上記グルーピングや代表車両の選定にかかる自由度が高められるようになる。
【0029】
請求項10に記載の発明は、プローブ情報センターとの通信機能を有する車両の車両情報であるプローブ情報をプローブ情報センターに収集して交通情報を生成するプローブ情報システムにあって前記プローブ情報を処理するプローブ情報処理方法であって、前記プローブ情報を収集するにあたり、情報処理装置を通じて、前記プローブ情報に基づいて走行環境が類似する車両群をグループ化するとともに、該グループ化した車両群毎に代表とする車両を選定するグルーピングを行い、該グルーピングによって選定した車両から送信されるプローブ情報を前記プローブ情報センターに収集させるようにしたことを要旨とする。
【0030】
上記方法によれば、走行環境が類似する車両群がグルーピングされるとともに同車両群から代表となる車両が選定される。そして、プローブ情報センターには、代表となる車両にて取得されたプローブ情報が収集される。すなわち、走行環境が類似する車両群から収集されるプローブ情報とは各々類似する走行データを示す傾向にあり、車両群を代表する代表車両から収集されたプローブ情報を同代表車両が属する車両群の各々で取得されるプローブ情報の代表値として取り扱うことができる。このため、プローブ情報センターには、各エリアの代表車両が選定されて以降はグルーピングされた車両群のうちで代表車両のプローブ情報が収集されることとなる。すなわち、プローブ情報センターに対するプローブ情報の送信源を走行環境が類似する車両群のうちで選定された代表車両に限定することが可能となり、プローブ情報の送信機能を備えた車両台数の増加如何に拘らずプローブ情報センターに対する通信量を規制することが可能となる。
【0031】
また、上記方法によれば、プローブ情報センターでは、代表車両から収集されたプローブ情報に基づき各エリアを走行する車両群の走行データが反映された交通情報を生成することが可能となる。これにより、プローブ情報の送信源となる車両の増加に伴う通信量の増大を抑制しつつ、交通情報の生成に必要なプローブ情報を的確に収集することができるようになる。
【0032】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のプローブ情報処理方法において、前記グルーピングを、前記代表として選定した車両以外からのプローブ情報の送信を禁止する処理として行い、同代表として選定した車両から送信されるプローブ情報を前記プローブ情報センターに収集させるようにしたことを要旨とする。
【0033】
上記方法によれば、代表車両が特定されて以降は、代表車両によるプローブ情報の送信のみが許可されるとともに、同代表車両以外の車両によるプローブ情報の送信が禁止され
る。これにより、走行環境が類似する各車両に対するプローブ情報の送信の許可及び禁止を通じて、プローブ情報センターに対する通信量を規制することができるようになる。
【0034】
請求項12に記載の発明は、請求項10または11に記載のプローブ情報処理方法において、前記グルーピングとしての前記車両群の走行環境の変化に応じたそれら車両群のグループ化及びグループ化した車両群毎の代表とする車両の選定を動的に行うことを要旨とする。
【0035】
通常、道路上を走行する車両の交通環境とは、走行エリアや時間帯等に応じて変化するものであり、こうした走行環境に基づくグループ化や代表車両に関する設定もその都度変更されることが望ましい。この点、上記方法によれば、プローブ情報に基づくグループ化と同グループ化された車両群における代表車両の選定とが、各車両の走行環境に応じて動的に実行される。これにより、各車両の走行環境が変化した場合であれ、プローブ情報の収集にあたり代表とすべき車両の選定が柔軟に行われるようになり、各々の走行環境が反映されたプローブ情報を的確に収集することができるようになる。
【0036】
請求項13に記載の発明は、請求項10〜12のいずれか一項に記載のプローブ情報処理方法において、前記グルーピングを、渋滞状態にある車両群、及び同一の市内を走行する車両群、及び予め定めた特定の圏内を走行中の車両群のいずれかの条件を満たす車両群を前記走行環境が類似する車両群としてグループ化する態様で行うことを要旨とする。
【0037】
一般に、上記プローブ情報に基づき交通情報として生成される情報としては、道路上の渋滞状況を示す情報が多い。そして、あるエリアで渋滞状態にある車両の走行速度や燃費等は類似する傾向にある。また、例えば、同一の市内や、ある特定の圏内では、位置、天候、渋滞の有無等の走行環境が類似する傾向にあり、それら共通する走行エリアを走行する車両から収集されるプローブ情報も類似する傾向にある。そして、上記方法によれば、渋滞状態にある車両群、及び同一の市内を走行する車両群、及び予め定めた特定の圏内を走行中の車両群のいずれかの条件を満たす車両群を、走行環境が類似する車両群としてグループ化する。これにより、走行環境が類似する車両群を容易かつ的確に定めることが可能となる。
【0038】
請求項14に記載の発明は、請求項10〜13のいずれか一項に記載のプローブ情報処理方法において、前記グルーピングを、前記グループ化した車両群毎に、各々類似する走行環境に応じたプローブ情報を相対的により長く維持可能と推定される車両を前記代表とする車両として選定する態様で行うことを要旨とする。
【0039】
各エリアのプローブ情報を安定して収集する上では、代表として選定された車両から安定して上記類似するとされた走行環境が反映されたプローブ情報を収集できることが好ましい。そして、一般に、渋滞状態にある車両群のうちの最後尾車両は、同車両群のうちで最も渋滞状態となっている時間が長い、すなわち、上記類似するとされた走行環境に属している時間が相対的に長い。また、所定の走行エリアのうちの中心付近を走行する車両は、その進行方向がいずれであっても、同走行エリアに安定して滞在する蓋然性が高い。このように、車両群のなかでもその走行環境が反映されたプローブ情報を相対的に維持可能な車両が存在する。そこで、上記方法によるように、上記代表車両の選定を、各々類似する走行環境に応じたプローブ情報を相対的により長く維持可能と推定されるか否かを基準として行うこととすれば、プローブ情報の送信源をグループ化された車両群のうちで代表車両に限定する上で、同代表車両が属する車両群の走行環境が反映されたプローブ情報を安定して収集することが可能となる。
【0040】
請求項15に記載の発明は、請求項10〜14のいずれか一項に記載のプローブ情報処
理方法において、前記プローブ情報センターは、前記収集されたプローブ情報に基づき各車両のドライバに提供すべきサービスの有無を判定するサービスマッチングを実行し、該サービスマッチングを通じて提供すべきサービス有りと判定される車両があるとき、当該車両のドライバに該当するサービスを提供する処理をさらに行うことを要旨とする。
【0041】
上記方法によれば、上記収集されたプローブ情報に基づいてサービスの提供が必要と判定された車両のドライバに該当するサービスが提供される。すなわち、代表とされた車両から収集されたプローブ情報に基づいて上記提供すべきサービスの要否を判定するだけで、同代表車両が属する車両群のドライバに提供すべきサービスを一様に判定することが可能となる。これにより、上記プローブ情報センターでの通信量が低減されたことの相乗効果として、必要最小限のプローブ情報に基づくサービスの配信が可能となり、上記プローブ情報センターに対する処理負荷がより一層軽減されるようになる。
【0042】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載のプローブ情報処理方法において、前記プローブ情報が、自車両のワイパー動作状態もしくは走行速度もしくは走行位置に関する情報を含むものであり、前記プローブ情報センターは、前記サービスマッチングの実行に伴い提供する処理として、前記グループ化された車両群から収集される大雨に起因するワイパーの高速動作状態、もしくは渋滞に起因する低速走行状態、もしくは特定の店舗周辺の走行位置に関する情報が含まれるとき、大雨注意サービスもしくは渋滞情報サービスもしくは前記店舗からの広告配信サービスを少なくとも当該プローブ情報を送信した車両と共にグループ化された車両群のドライバに提供する処理を行うことを要旨とする。
【0043】
通常、車両のワイパーの動作状態は、同車両が走行するエリアの天候と相関しており、ワイパーによるワイピング動作の周期は雨の強弱に応じて変更されることが普通である。このため、上記構成によれば、上記収集されるプローブ情報のうちのワイパー動作状態に関する情報に基づき同プローブ情報の送信源となる自動車の走行エリアの雨の強度を推定することが可能となる。また同様に、車両の走行速度と渋滞の有無とは相関する関係にあり、上記構成によれば、上記収集されるプローブ情報のうちの走行速度に関する情報に基づき同プローブ情報の送信源となる自動車の走行エリアの渋滞の有無を推定することが可能となる。さらに、ある車両が特定の店舗周辺を走行しているときには、この店舗からの広告を同車両のドライバに提供することが有益である。そして、こうした推定結果や車両の走行位置に基づいて各自動車のドライバに大雨の発生を報知する大雨注意サービスや渋滞の発生を報知する渋滞情報サービス、広告配信サービスを提供することとすれば、ドライバがサービスの要求を意識せずともその都度の走行環境に応じた的確なサービスが自動的に提供されるようになる。
【0044】
また、こうした大雨注意サービス及び渋滞情報サービス及び広告配信サービスは、特に上記走行環境が類似する車両群、例えば同一の自動車道で渋滞状態にある車両群や同一の市内を走行している車両群等のように走行環境が類似する車両群に一括して配信することが好ましい。この点においても、上記方法によれば、こうした各種サービスの配信が上記代表として選定された車両から収集されたプローブ情報に基づき行われることから、特定のプローブ情報に基づくサービスの一括配信が可能となる。
【0045】
請求項17に記載の発明は、請求項10〜16のいずれか一項に記載のプローブ情報処理方法において、前記グルーピングを、前記プローブ情報センター内の情報処理装置を通じて実行させることを要旨とする。
【0046】
上記方法によるように、上記グルーピングを、プローブ情報センター内の情報処理装置を通じて実行させる代表となる車両の判定及び走行環境が類似する車両群の選定がプローブ情報センター内の情報処理装置で実行することとすれば、上記グルーピングや代表車両
の選定からプローブ情報の収集までをプローブ情報センターで一括して管理、運用することができるようになる。
【0047】
請求項18に記載の発明は、請求項10〜16のいずれか一項に記載のプローブ情報処理方法において、前記グルーピングを、特定の車両に搭載された情報処理装置を通じて実行させ、該グルーピングによるグループ化、及び代表とする車両の選定をそれら車両間での車車間通信を通じて実行することを要旨とする。
【0048】
上記方法によるように、上記グルーピングを、特定の車両に搭載された情報処理装置を通じて実行させ、該グルーピングによるグループ化、及び代表とする車両の選定をそれら車両間での車車間通信を通じて実行することとすれば、上記プローブ情報センターにおける処理負荷がより一層軽減されるようになるとともに、上記グルーピングや代表車両の選定にかかる自由度が高められるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明にかかるプローブ情報システム及びプローブ情報処理方法の第1の実施形態について、そのシステム概念を示す図。
【図2】同プローブ情報システム及びプローブ情報処理方法のシステム概念を示す図。
【図3】同プローブ情報システムの概略構成を示すブロック図。
【図4】サービスマッチングに用いられるサービス適合マップについて、その一例を示す図。
【図5】本実施の形態のグルーピング処理を示すフローチャート。
【図6】本実施の形態のサービスマッチング処理を示すフローチャート。
【図7】本実施の形態の通信制御処理を示すフローチャート。
【図8】本実施の形態のグルーピング解除処理を示すフローチャート。
【図9】本実施の形態のプローブ情報の収集手順を示すシーケンス図。
【図10】同プローブ情報センターと車載通信機との通信量の一例を、従来例との比較のもとに示すグラフ。
【図11】本発明にかかるプローブ情報システム及びプローブ情報処理方法の第2の実施形態について、そのシステム概念を示す図。
【図12】同プローブ情報システム及びプローブ情報処理方法のシステム概念を示す図。
【図13】同プローブ情報システムの概略構成を示すブロック図。
【図14】従来のプローブ情報システムの概略構成を示すブロック図。
【図15】従来のプローブ情報システムについて、同プローブ情報センターと車載通信機との通信量の一例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0050】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかるプローブ情報システム及びプローブ情報処理方法を具体化した第1の実施の形態について図1〜図10を参照して説明する。
【0051】
図1に示すように、例えば道路上を走行する各車両PCa〜PCdには、車両情報、すなわちプローブ情報を計測するとともに、この計測したプローブ情報をプローブ情報センター200に計上する車載通信機100がそれぞれ搭載されている。プローブ情報としては、例えば、各車両PCa〜PCdの位置、走行速度、燃費やワイパーの動作状態等に関する情報が含まれている。また、こうしたプローブ情報は、例えば各車両PCa〜PCdを構成する各種センサ等の出力に基づき計測される。
【0052】
こうして、プローブ情報センター200では、各車両PCa〜PCdから計上されたプローブ情報が解析され、同解析されたプローブ情報に基づいて渋滞情報をはじめとする各種交通情報の生成等が行われる。また、本実施の形態のプローブ情報センター200は、プローブ情報に基づいて走行環境が類似する車両群をグループ化するとともに該グループ化した車両群毎に代表とする車両を選定するグルーピングを実行するグルーピング部220を備えている。
【0053】
ところで、こうした各車両PCa〜PCdとプローブ情報センター200との間での通信量とは、プローブ情報の送信源、換言すればプローブ情報センター200に対してプローブ情報を送信可能な車載通信機100が搭載された車両が増加するにつれて増大する。このため、プローブ情報センター200との通信機能を有する車両が増加した場合には、プローブ情報センター200に対する通信量が過大となり、プローブ情報センター200でのプローブ情報の処理負荷が増大することとなってしまう。
【0054】
そこで本実施の形態では、図2に例示するように、各車両PCa〜PCdのうち例えば車両PCa〜PCcが同一の自動車道で渋滞状態にあるために走行環境が類似している場合には、それら車両PCa〜PCcから収集されるプローブ情報も類似しているものとして扱う。すなわち、プローブ情報の収集に際しては、上記グルーピング部220によって、各車両PCa〜PCdのうちで例えば渋滞状態にあるために走行環境が類似する車両PCa〜PCcがグループ化される。そして、グループ化された車両PCa〜PCcを代表する車両として例えば車両PCcが選定され、この選定された車両PCcからのプローブ情報がグループ化された車両PCa〜PCcのうちで収集すべきプローブ情報とされる。すなわち、グループ化された車両PCa〜PCcでは、代表する車両として選定された車両PCcによるプローブ情報の送信が許可されるとともに、代表する車両として選定されなかった車両PCa及びPCbによるプローブ情報の送信が禁止される。
【0055】
次に、本実施の形態のプローブ情報システムの概略構成を図3を参照して説明する。
図3に示すように、車両PCに搭載される車載通信機100は、車両PCのプローブ情報を生成するプローブ情報生成部110を有している。プローブ情報生成部110は、車両PCのGPSシステムや各種センサによる出力を取り込み、同車両PCのワイパー動作状態、走行速度、走行位置等を含むプローブ情報を生成する。そして、プローブ情報生成部110は、同生成されたプローブ情報を上記プローブ情報センター200に送信するプローブ情報送信部120に出力する。
【0056】
プローブ情報送信部120は、プローブ情報生成部110から入力されたプローブ情報をプローブ情報センター200に計上する。このプローブ情報送信部120によるプローブ情報の計上は、例えば車両PCのエンジンが停止したことや所定時間が経過したことを条件に行われる。
【0057】
また、車載通信機100は、プローブ情報センター200から送信される制御指令を受信する制御指令受信部130を備えている。この制御指令受信部130は、プローブ情報センター200から送信される制御指令を受信して、同受信した制御指令を通信制御部140に出力する。この通信制御部140は、プローブ情報センター200から送信される制御指令に基づき、車載通信機100によるプローブ情報の送信の許可及び禁止を実行する。そして、サービス受信部150は、プローブ情報センター200から配信される大雨注意サービスや渋滞情報サービスサービス、店舗からの広告配信サービス等の各種サービスに関する情報を受信するとともに、同受信した情報をサービス提供部160に出力する。
【0058】
このサービス提供部160は、ドライバに提供すべきサービスとして、例えば、車両P
Cのドライバに走行エリア周辺での大雨の発生を報知する「大雨注意サービス」、走行エリア周辺での渋滞状況を報知する「渋滞情報サービス」、走行エリア周辺に存在する店舗からの広告を報知する「広告配信サービス」等の各種サービスを提供する。このサービス提供部160は、例えばカーナビゲーションシステム等によって構成されており、各種サービスを出力するための出力装置として表示装置161と音声装置162とを有している。このうち表示装置161は、例えば液晶ディスプレイによって構成され、車室内のセンターコンソール付近に設置される。この表示装置161や音声装置162では、サービス提供部160に入力された情報をもとに、例えば、自車両の現在位置とその周辺で発生している大雨や渋滞の発生位置とが画像や音声として出力される。
【0059】
一方、プローブ情報センター200は、上記車載通信機100が搭載された各車両から送信されてくるプローブ情報を受信するプローブ情報受信部210を備えている。このプローブ情報受信部210は、車両PCから送信されたプローブ情報を受信すると、この受信したプローブ情報をグルーピング部220及びサービスマッチング部250に出力する。
【0060】
グルーピング部220は、プローブ情報受信部210から入力される各車両PCのプローブ情報に基づき、走行環境が類似する車両群をグループ化するとともに同グループ化された車両群のなかから代表とする車両の選定するグルーピングを行う。なお、本実施の形態のグルーピング部220では、車両群のグルーピングが車両群の走行環境の変化に応じて動的に行われる。
【0061】
こうしたグルーピング部220によるグルーピングに際しては、例えば、渋滞状態にある車両群、及び同一の市内を走行する車両群、及び予め定めた特定の圏内を走行中の車両群のいずれかの条件を満たす車両群が走行環境の類似する車両群としてグループ化される。すなわち、渋滞状態にある車両群、及び同一の市内を走行する車両群、及び予め定めた特定の圏内を走行中の車両群は、走行環境が類似しているために走行位置、走行速度、燃費、走行エリアの天候等が類似し、こうした要素が反映されるプローブ情報も類似する傾向にある。よって、本実施の形態では、走行環境が類似する車両群から収集されるプローブ情報がそれぞれ類似する傾向にあるとして、上記各条件を満たす車両群をそれぞれ一つのグループとして規定する。なお、上記特定の圏内としては、例えば、交通事故や渋滞が多発するエリアや、大雨や霧等の運転に影響を及ぼす気象現象が発生しやすいエリアの他、例えば直径1kmの円を一単位として地図上で区画されたエリア等が定められている。
【0062】
そして、本実施の形態では、こうした条件のもとに走行環境が類似する車両群が一旦グループ化されたとしても、グループ化された車両群の渋滞状態が解消されたり、代表として選定された車両が異なる市内や圏内を走行することになったときには、車両群に対するグループ化が解除される。また、グループ化が一旦解除された車両が再び異なる車両群と走行環境が類似することになったときには、同走行環境が類似する車両群とのグループ化が新たに実行される。こうして、グルーピング部220では、走行環境が類似する車両群に対するグループ化と、類似するとされた走行環境が変化したときのグループ化の解除とが走行環境に応じて動的に実行される。これにより、走行に伴い走行環境が適宜変化する車両の特性に応じたグループ化が行われることとなる。
【0063】
また、こうしたグルーピング部220は、上記グループ化された車両群の中から代表とする車両を選定する代表車両選定部221を備えている。この代表車両選定部221も、車両群の走行環境の変化に応じて上記グループ化した車両群毎の代表とする車両の選定を動的に行う。
【0064】
なお、本実施の形態では、上記代表とする車両の選定に際しては、各々類似する走行環
境に応じたプローブ情報を相対的により長く維持可能と推定される車両が選定される。具体的には、例えば上記グループ化が渋滞状態にある車両群に対して実行されたときには、同グループ化された車両群のうちの最後尾車両が選定される。すなわち、渋滞状態にある車両群のうちの最後尾車両は通常、同車両群のうちで最も渋滞状態となっている時間が長い、すなわち、上記類似するとされた走行環境に属している時間が相対的に長い傾向にある。そのため、同最後尾車両では、渋滞状態にあることが反映されたプローブ情報が安定して生成されることとなる。また、例えば、上記グループ化が同一の市内や特定の圏内を走行する車両群に対して実行されたときには、同グループ化された車両群のうちの中心付近を走行する車両が代表車両として選定される。すなわち、所定の走行エリアのうちの中心付近を走行する車両は、その進行方向がいずれであっても同走行エリアに安定して滞在する蓋然性が高い。そのため、同一の市内や特定の圏内の中心付近を走行する車両では、その進行方向の如何に拘らず同車両が属する車両群の走行環境が反映されたプローブ情報を安定して収集することが可能となる。
【0065】
そして、グルーピング部220及び代表車両選定部221は、それらグルーピング部220及び代表車両選定部221によりグループ化された車両群に関する情報と上記選定された代表車両に関する情報とを、通信制御部230及びサービスマッチング部250に出力する。また、グルーピング部220及び代表車両選定部221は、上記グループ化された車両群の走行環境が変化したことによりグルーピングが解除されたときにも、グルーピングが解除された車両群及び代表車両に関する情報を通信制御部230及びサービスマッチング部250に出力する。
【0066】
通信制御部230は、グルーピング部220及び代表車両選定部221から入力されたグルーピング結果と上記選定された代表車両に関する情報とに基づいて、代表として選定された車両以外からのプローブ情報の送信を禁止する制御指令を生成する。そして、通信制御部230は、この生成した制御指令を、制御指令送信部240を介して上記グループ化された車両群のうちの代表として選定された車両以外の各車両に送信する。また、通信制御部230は、グルーピング部220及び代表車両選定部221から上記グループ化が解消された車両群に関する情報が入力されると、プローブ情報の送信を禁止する制御指令を送信した車両群に対してプローブ情報の送信を許可する制御指令を生成する。そしてこの場合にも、通信制御部230は、この生成した制御指令を、制御指令送信部240を介して上記グループ化された車両群のうちの代表として選定された車両以外の各車両に送信する。
【0067】
こうして、プローブ情報センター200には、グルーピング部220によるグルーピングが実行されて以降は、走行環境が類似するとされた車両群のうちの代表とされた車両のプローブ情報が同グループ化された車両群における代表値として収集されることとなる。そのため、例えば、ある自動車道において渋滞状態にある車両群の台数が「1000台」であり、この車両群の最後尾車両が代表車両とされたときには、同渋滞状態にある車両群のうちの最後尾車両以外の車両からはプローブ情報センター200に対するプローブ情報の送信が行われないようになる。しかも、例えば上記交通情報として渋滞情報等を生成する上では、代表として選定された車両からのプローブ情報に含まれる走行速度に関する情報さえ収集できれば足りる。すなわち、走行環境が類似するエリアに関する交通情報を生成する上では、同エリアの走行環境が反映された一のプローブ情報さえ収集できればよい。このため、プローブ情報の送信源となる車両を制限しつつも、交通情報の生成に必要十分なプローブ情報を収集することが可能となる。
【0068】
そして、こうしたグルーピングがプローブ情報の送信源となる車両に対して適宜実行されることにより、車載通信機100とプローブ情報センター200との間での通信量がグルーピング数に応じて規制されるようになる。よって、各車両群に搭載された車載通信機
100とプローブ情報センター200との間での通信量を大幅に低減することが可能となり、プローブ情報センター200に対する処理負荷が大幅に軽減されるようになる。
【0069】
一方、サービスマッチング部250は、プローブ情報センター200に収集されたプローブ情報に基づき各車両のドライバに提供すべきサービスの有無を判定する。また、サービスマッチング部250は、各ドライバに提供すべきサービスの有無の判定に用いられるサービス適合マップ251を有している。サービス適合マップ251には、図4に例示するように、「大雨注意サービス」、「渋滞情報サービス」、「広告配信サービス」等の各種サービス毎の提供の要否を判定する適合条件が登録されている。
【0070】
すなわち、通常、車両のワイパー動作状態とは、同車両が走行するエリアの天候と相関しており、ワイパーによるワイピングの動作速度は雨の強弱に応じて変更されることが普通である。このため、プローブ情報の送信源となる車両のワイパーが「高速動作状態」にあるときには、同車両が走行するエリアでの大雨の発生が推定される。よって、この場合には、ワイパーが「高速動作状態」にある車両が属するグループの車両群のドライバや、ワイパーが「高速動作状態」にある車両が走行中のエリアに向かうグループとしてグループ化された車両群のドライバに、「大雨注意サービス」を提供することが有益である。同様に、プローブ情報の送信源となる車両の走行速度が例えば「10km/h」以下の状態が所定時間維持されているときには、同車両が走行するエリアでの渋滞の発生が推定される。よって、この場合には、同車両が属するグループの車両群のドライバや、同車両が走行中のエリアに向かうグループとしてグループ化された車両群のドライバに「渋滞情報サービス」を提供することが有益である。また、ある車両が走行中のエリアに店舗が存在するときには、この店舗に関する広告情報を提供する「広告配信サービス」を、同店舗が存在するエリアを走行中の車両が属するグループの車両群のドライバや、同車両が走行中のエリアに向かうグループとしてグループ化された車両群のドライバに提供することが有益である。なお、こうした「広告配信サービス」の要否の判定は、例えばある車両から送信されてくるプローブ情報に含まれている位置情報に基づき、同車両が広告の配信元となる店舗が存在するエリアを走行しているか否かに基づき行われる。
【0071】
なお、こうしたサービスマッチング部250には、上記グルーピング部220によるグループ化が実行されて以降は、同グループ化された車両群からは上記代表として選定された車両のプローブ情報のみがプローブ情報受信部210から入力される。よって、サービスマッチング部250では、この代表とされた車両のプローブ情報に基づき該当するサービスの有無を判定するだけで、同車両が走行するエリアに向かうグループとしてグループ化された車両群のドライバに提供するサービスを提供することが可能となる。これにより、サービスマッチング部250によるサービスの判定にかかる処理負荷が大幅に軽減されるようになる。そして、サービスマッチング部250は、上記サービス適合マップ251に基づく判定結果をサービス配信部260に出力する。
【0072】
サービス配信部260は、サービスマッチング部250による判定結果に基づき、該当するサービスを、同サービスの提供が必要とされた車両群の各々に配信する。こうして、同サービスの判定に用いられたプローブ情報の送信源となる車両が属する車両群のドライバや同車両群が走行中のエリアに向かう上記グループ化された車両群のドライバに、「大雨注意サービス」や「渋滞情報サービス」、「広告配信サービス」等の各種サービスが配信される。これにより、上記グループ化された車両群のドライバには、それら車両群の進行方向で発生中の大雨や渋滞の発生が報知されることとなる。
【0073】
なお、本実施の形態では、こうしたプローブ情報受信部210、グルーピング部220、通信制御部230、制御指令送信部240、サービスマッチング部250、サービス配信部260によって上記情報処理装置が構成される。
【0074】
以下、本実施の形態のグルーピング部220で実行されるグルーピング処理について図5を参照して説明する。
図5に示すように、ステップS101において、車両から送信されたプローブ情報がグルーピング部220に取り込まれると、この取り込まれたプローブ情報がグルーピング部220により解析され、同解析されたプローブ情報に基づき各車両の位置、走行速度、ワイパー動作状態等が求められる(ステップS102)。そして、この解析されたプローブ情報に基づき、同プローブ情報の送信源となる車両と走行環境が類似する車両が存在するか否かが判定される(ステップS103)。この結果、判断対象とする車両の周辺のエリアで同車両とともに渋滞状態にあるために走行環境が類似する車両や、同一の市内もしくは圏内を走行するために走行環境が類似する車両が存在した場合には、それら走行環境が類似する車両がグループ化される(ステップS103:YES、S104)。そして、続くステップS105において、各々グループ化された車両群を代表する車両が選定される。こうして、本実施の形態では、プローブ情報の送信源となる車両群のグループ化が走行環境に応じて適宜実行されるとともに、各車両群を代表する車両の選定が行われる。なお、判断対象とされた車両と走行環境が類似する車両が存在しなかった場合には、例えば先の図2に車両PCdとして例示したように、その車両に対するグループ化は行われないこととなる(ステップS103:NO)。
【0075】
次に、図6を参照して上記サービスマッチング部250で実行されるサービスの配信手順(サービスマッチング処理)を説明する。
図6に示すように、まずステップS201において、上記解析されたプローブ情報をもとに同プローブ情報の送信源となる車両のドライバに提供すべきサービスが有るか否かが判定される。すなわち、先の図4に示した適合マップを参照して、プローブ情報に含まれているワイパーの動作状態、走行速度、走行位置等の各要素が各種サービスの配信条件に適合しているか否かが判定される。そして、配信すべきサービス有りと判定されると、同サービスの判定の対象とされた車両が上記グループ化された車両群のうちの代表とされた車両であるか否かが判定される(ステップS202)。すなわち、上記グルーピング部220によるグループ化が実行されて以降は、サービスマッチング部250には、グループ化された車両群のうちの代表とされた車両からのプローブ情報、もしくは走行環境が類似する車両が存在しないためにグループ化されていない車両からのプローブ情報しか入力されない。よってステップS202では、サービスの配信にあたりその判断対象とされた車両がグループ化された車両群のうちの代表とされた車両であるか否かが判定される。
【0076】
そして、配信すべきサービス有りと判定された車両が代表車両であったときには(ステップS202:YES)、同車両が属するグループ化された車両群、換言すれば同車両と走行環境が類似する車両が検索され、この検索された車両群のドライバに該当するサービスが配信される(ステップS203、S204)。これにより、代表とされた車両のプローブ情報に基づいて、この代表とされた車両と共にグループ化された車両群に対するサービスの配信の要否を判定することが可能となり、この判定された車両群に対するサービスの一括送信が可能となる。
【0077】
一方、配信すべきサービス有りと判定された車両が代表車両でなかったときには、すなわちグループ化が実行されていない車両であったときには、該当するサービスが当該車両のドライバにのみ配信される(ステップS202:NO、S204)。
【0078】
次に、図7を参照して上記通信制御部230により実行される通信制御処理を説明する。
図7に示すように、上記グループ化が実行され同グループ化された車両群を代表する車両が選定されると、ステップS301において、このグループ化された車両群のうちで代
表とされなかった車両が上記グルーピング部220によるグルーピング結果から検索される。そして、この検索された車両に対しプローブ情報の送信を禁止する制御指令が配信される(ステップS302)。これにより、走行環境が類似する車両群がグループ化されて以降は、同車両群からは代表とされた車両のプローブ情報のみが送信可能とされるようになる。そのため、上記グループ化を通じて、プローブ情報センター200に対するプローブ情報の送信源がグループ化された車両群のグループ数にまで低減されることとなる。
【0079】
次に、図8を参照して上記グルーピング部220及び通信制御部230により実行されるグルーピングの解除処理を説明する。
図8に示すように、本処理ではまず、上記グルーピング部220によりグループ化された車両群の走行環境が変化したか否かが判定される(ステップS401)。ここでは、例えば、渋滞状態であることを条件にグループ化された車両群の渋滞状態が解消されたときや、同一の市内や特定の圏内を走行していることを条件にグループ化された車両群を代表する車両が異なる市内や圏内を走行することになったときに、グループ化された車両群の走行環境が変化したと判定される。
【0080】
そして、このグループ化の条件とされた走行環境が変化したときには、そのグループに属する各車両が上記グルーピング部220により検索され、この検索された結果が上記制御指令送信部240に出力される(ステップS401:YES、S402)。こうして制御指令送信部240では、この検索された車両の各々に対し、プローブ情報センター200に対するプローブ情報の送信を許可する制御指令が配信される(ステップS403)。
【0081】
一方、グループ化の条件とされた走行環境が変化していないときには、グループ化を解除することなく、すなわちグループ化された車両群において代表とされた車両以外のプローブ情報の送信の禁止設定を維持したまま本処理が終了する(ステップS401:NO)。
【0082】
こうして、走行環境が類似していることを条件にグルーピングされたとしても、その条件とされた走行環境が変化したときには同グルーピングが解除される。また、走行環境が変化したことにより車両群のグルーピングが一旦解除されても、グルーピングが解除された各車両が他の車両と走行環境が類似することとなった場合には、この走行環境に基づくグルーピングが新たに実行される。
【0083】
以下、本実施の形態のプローブ情報処理手順を図9を参照して総括する。
図9に示すように、まず、例えばある道路において渋滞状態にある車両PCa〜PCcからそれらのプローブ情報がプローブ情報センター200に計上される(ステップS501〜503)。
【0084】
そして、プローブ情報センター200では、この計上されたプローブ情報に基づきグルーピング処理が実行されることにより、走行環境が類似する車両がグループ化されるとともに同グループ化された車両群を代表する車両が選定される。こうして、渋滞状態にある車両PCa〜PCcがグループ化されるとともに車両PCa〜PCcのうちの最後尾車両PCcが代表車両として選定される。そして、プローブ情報センター200は、このグルーピング結果に基づき、代表車両として選定されなかった車両PCa及びPCbに対してプローブ情報の送信を禁止する制御指令を送信する(ステップS504、S505)。
【0085】
こうして、上記車両PCa〜PCcがグループ化されて以降は、グループ化された車両PCa〜PCcのうちで代表車両PCcのプローブ情報のみがプローブ情報センター200に送信されるようになる(ステップS506)。
【0086】
そして、プローブ情報センター200では、代表車両PCcから送信されたプローブ情報を受信すると、このプローブ情報に基づくサービスマッチング処理が実行され、該当するサービスが上記グループ化された車両PCa〜PCcのドライバに対して配信されるようになる(ステップS507〜S509)。
【0087】
このように、本実施の形態では、グルーピングを通じてプローブ情報の送信源となる車両が制限されることから、例えば先の図15に対応する図として図10に推移例L3として示すように、プローブ情報の送信機能を備えた車両の台数が増加したとしても、プローブ情報センター200に対する通信量が規制されるようになる。
【0088】
以上説明したように、本実施の形態にかかるプローブ情報システム及びプローブ情報処理方法によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)上記プローブ情報センター200に、上記プローブ情報に基づいて走行環境が類似する車両群をグループ化するとともに、該グループ化した車両群毎に代表とする車両を選定するグルーピング部220を備えることとした。そして、このグルーピング部220によって選定された車両から送信されるプローブ情報をプローブ情報センター200により収集することとした。このため、プローブ情報センター200には、走行環境が類似する車両群がグループ化されるとともに同車両群を代表する車両が選定されて以降は、グルーピングされた車両群のうちで代表とされた車両のプローブ情報が収集されることとなる。そのため、プローブ情報センター200に対するプローブ情報の送信源を上記グループ化された車両群のうちで代表として選定された車両に限定することが可能となり、プローブ情報の送信機能を備えた車両台数の増加如何に拘らずプローブ情報センターに対する通信量を規制することが可能となる。また、プローブ情報センター200では、代表とされた車両から収集されたプローブ情報に基づき各エリアを走行する車両群の走行データが反映された交通情報を生成することが可能となる。これにより、プローブ情報の送信源となる車両の増加に伴う通信量の増大を抑制しつつ、交通情報の生成に必要なプローブ情報を的確に収集することができるようになる。
【0089】
(2)上記グルーピングを、代表として選定した車両以外からのプローブ情報の送信を禁止する処理として行い、同代表として選定した車両から送信されるプローブ情報を前記プローブ情報センターに収集させることとした。このため、上記グループ化された車両群を代表する車両が選定されると、この選定された車両によるプローブ情報の送信が許可されるとともに、同代表として選定された車両以外の車両によるプローブ情報の送信が禁止される。これにより、走行環境が類似する各車両に対するプローブ情報の送信の許可及び禁止を通じて、プローブ情報センター200に対する通信量を規制することができるようになる。
【0090】
(3)上記記グルーピングとしての車両群の走行環境の変化に応じたそれら車両群のグループ化及びグループ化した車両群毎の代表とする車両の選定を動的に行うこととした。これにより、プローブ情報の送信源となる車両の走行環境が変化した場合であれ、プローブ情報の収集にあたり代表とすべき車両の選定が柔軟に行われるようになり、各々の走行環境が反映されたプローブ情報を的確に収集することができるようになる。
【0091】
(4)上記グルーピングを、渋滞状態にある車両群、及び同一の市内を走行する車両群、及び予め定めた特定の圏内を走行中の車両群のいずれかの条件を満たす車両群を上記走行環境が類似する車両群としてグループ化する態様で行うこととした。このため、プローブ情報の収集に際してその収集対象となる車両群をグループ化する上で、走行環境が類似する車両群を一意に特定することが可能となる。これにより、走行環境が類似する車両群のグループ化をより容易かつ的確に定めることが可能となる。
【0092】
(5)上記グルーピングを、上記グループ化した車両群毎に、各々類似する走行環境に応じたプローブ情報を相対的により長く維持可能と推定される車両を代表とする車両として選定する態様で行うこととした。これにより、プローブ情報の送信源をグループ化された車両群のうちで代表車両に限定する上で、同代表車両が属する車両群の走行環境が反映されたプローブ情報を安定して収集することが可能となる。
【0093】
(6)上記グループ化された車両群を代表する車両を、上記グループ化が渋滞状態にある車両群に対して実行されたときの同グループ化された車両群のうちの最後尾車両として選定することとした。また、上記グループ化が同一の市内や特定の圏内を走行する車両群に対して実行されたときの同グループ化された車両群のうちの中心付近を走行する車両を、同車両群を代表する車両として選定することとした。これにより、上記グループ化された車両群を代表する車両として、各々類似する走行環境に応じたプローブ情報を相対的により長く維持可能な車両をより容易かつ的確に選定することができるようになる。
【0094】
(7)上記プローブ情報センター200に、各車両から収集されたプローブ情報に基づき各車両のドライバに提供すべきサービスの有無を判定するサービスマッチング部250を備える構成とした。そして、このサービスマッチング部250により提供すべきサービス有りと判定される車両があるとき、当該車両のドライバに該当するサービスを提供することとした。このため、代表とされた車両から収集されたプローブ情報に基づいて上記提供すべきサービスの要否を判定するだけで、代表とされた車両が属する車両群のドライバに提供すべきサービスを一様に判定することが可能となる。これにより、上記プローブ情報センター200での通信量が低減されたことの相乗効果として、必要最小限のプローブ情報に基づくサービスの配信が可能となり、上記プローブ情報センターに対する処理負荷がより一層軽減されるようになる。
【0095】
(8)上記サービスとして、大雨注意サービスもしくは渋滞情報サービスもしくは前記店舗からの広告配信サービスを少なくとも当該プローブ情報を送信した車両と共にグループ化された車両群のドライバに提供することとした。これにより、ドライバがサービスの要求を意識せずともその都度の走行環境に応じた的確なサービスが自動的に提供されるようになる。また、こうした各種サービスの配信は上記代表として選定された車両から収集されたプローブ情報に基づき行われることから、代表として選定された特定の車両のプローブ情報に基づくサービスの一括配信が可能となる。
【0096】
(9)上記グルーピング部220をプローブ情報センター200内に設け、上記グルーピングをプローブ情報センター200内で実行することとした。これにより、上記グルーピングや代表車両の選定からプローブ情報の収集までをプローブ情報センターで一括して管理、運用することができるようになる。
【0097】
(第2の実施の形態)
以下、本発明にかかるプローブ情報システム及びプローブ情報処理方法を具体化した第2の実施の形態について図11〜図13を参照して説明する。なお、この第2の実施の形態は、上記グルーピング部220が特定の車両に搭載されたものであり、その基本的な構成は先の第1の実施の形態と共通になっている。
【0098】
図11及び図12は、先の図1及び図2に対応する図として、この第2の実施の形態にかかるプローブ情報システム及びプローブ情報処理方法のシステム概念を示したものである。また、図13は、先の図3に対応する図として、この第2の実施の形態にかかるプローブ情報システム及びプローブ情報処理方法のシステムの概略構成を示したものである。なお、図11〜図13において、先の図1〜図3に示した各要素と同一の要素についてはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それら要素についての重複する説明は割愛する

【0099】
本実施の形態では、図11に示すように、プローブ情報センター200Aが上記グルーピング部220を備えない構成とされるとともに、このグルーピング部220がセンター機能を有する特定の車両であるセンター車両CPCに搭載される。そして、本実施の形態では、このセンター車両CPCには、その通信エリアに存在して例えば同一の自動車道で渋滞状態にある車両PCa〜PCdとの車車間通信を通じて、車両PCa〜車両PCdのプローブ情報が収集される。
【0100】
こうして、センター車両CPCでは、図12に示すように、同センター車両CPCに収集されたプローブ情報に基づいて、渋滞状態にあるために走行環境が類似している車両PCa〜PCcがグループ化されるとともに、その最後尾車両PCcがグループ化された車両PCa〜PCcを代表する車両として選定される。そして、センター車両CPCと車両PCa〜PCcとの車車間通信を通じて、プローブ情報の送信を禁止する制御指令が代表車両として選定されなかった車両PCa及びPCbに対して送信される。これにより、本実施の形態においても、グルーピングされた車両PCa〜PCcでは、それらを代表する車両として選定された車両PCcによるプローブ情報の送信が許可されるとともに、代表車両として選定されなかった車両PCa及びPCbによるプローブ情報の送信が禁止される。なお、本実施の形態では、センター車両CPCにより代表車両PCcが選定されると、この車両PCcのプローブ情報は、センター車両CPCに中継されてプローブ情報センター200Aに計上されることとなる。
【0101】
次に、本実施の形態のプローブ情報システムの概略構成を図13を参照して説明する。
図13に示すように、上記センター車両CPCには、情報処理装置として、上記プローブ情報受信部210A、グルーピング部220A、通信制御部230A、制御指令送信部240Aを備えた車載センター通信機100Aが搭載されている。そして、センター車両CPCは、その通信エリアに存在する車両群との車車間通信を通じて同車両群のプローブ情報を収集するとともに、この収集したプローブ情報に基づき上記グループ化と同グループ化された車両群を代表する車両の選定とを実行する。こうして、センター車両CPCは、例えばグループ化され代表として選定された車両PCから送信されたプローブ情報を受信すると、この受信したプローブ情報とグルーピング部220Aによるグルーピング結果とをプローブ情報センター200Aに転送する。
【0102】
また、本実施の形態のプローブ情報センター200Aは、上記グルーピングがセンター車両CPCによって実行されることから、サービスマッチング部250及びサービス配信部260のみによって構成されている。すなわち、本実施の形態のプローブ情報センター200Aは、上記グルーピングを実行する機能がセンター車両CPCに移転されたことにより、上記グルーピング部220をはじめとする構成要素が割愛された簡易な構成となっている。
【0103】
そして、プローブ情報センター200Aが、センター車両CPCから上記代表とされた車両PCcのプローブ情報及びグルーピング結果を受信すると、先の第1の実施の形態と同様、このプローブ情報に基づきサービスマッチング処理が実行される。こうして、このサービスマッチング処理の結果に基づき提供すべきサービス有りと判定されると、この判定されたサービスが上記車両PCcと共にグループ化された車両群に配信される。
【0104】
以上説明したように、本実施の形態にかかるプローブ情報システム及びプローブ情報処理方法によれば、前記(1)〜(8)の効果が得られるとともに、前記(9)に代えて以下の効果が得られるようになる。
【0105】
(9A)上記グルーピング部220Aをセンター機能を有した特定の車両CPCに搭載し、該グルーピング部220Aによるグループ化、及び代表とする車両の選定をそれら車両間での車車間通信として実行することとした。これにより、上記プローブ情報センター200Aにおける処理負荷がより一層軽減されるようになるとともに、上記グルーピングや代表車両の選定にかかる自由度が高められるようになる。
【0106】
なお、上記各実施の形態は、以下のような形態をもって実施することもできる。
・上記第2の実施の形態では、代表として選定された車両PCcのプローブ情報を、上記センター車両CPCを中継して上記プローブ情報センター200Aに計上することとした。これに限らず、上記グルーピングが実行されて以降は、代表として選定された車両PCcのプローブ情報を、同代表として選定された車両PCcからプローブ情報センター200Aに直接送信させるようにしてもよい。
【0107】
・上記各実施の形態では、グループ化された車両群を代表とする車両を、同車両が属する車両群のグループ化が解除されるまで固定することとした。これに限らず、例えば、渋滞状態にあることを条件にグループ化された車両群の最後尾車両を代表車両として選定した場合において、この代表車両の進行方向後方にさらに別の車両が後続して渋滞することになったときには、この別の車両を上記グループ化された車両群を代表する車両として動的に選定してもよい。また、同一の市内や圏内のエリアを走行していることを条件に上記グループ化が実行された場合において、上記エリアの中心付近に位置することを条件に代表車両と選定された車両が中心付近から移動し、別の車両が上記エリアの中心付近に位置することになったときには、この別の車両を上記グループ化された車両群を代表する車両として選定してもよい。すなわち、走行環境が類似していることを条件にグループ化され、グループ化された車両を代表する車両が一旦選定されたとしても、この代表とする車両をグループ化された車両群のなかで動的に選定することも可能である。この場合には、各車両の走行に追従した柔軟な代表車両の選定が可能となる。
【0108】
・上記各実施の形態では、上記グループ化された車両群を代表する車両として、各グループ毎に1台の代表車両を選定することとした。これに限らず、各グループ毎に2台以上の代表車両を選定することも可能である。
【0109】
・上記各実施の形態では、渋滞状態にある車両群、及び同一の市内を走行する車両群、及び予め定めた特定の圏内を走行中の車両群のいずれかの条件を満たす車両群を走行環境が類似する車両群としてグループ化することとした。これに限らず、渋滞状態にある車両群、及び同一の市内を走行する車両群、及び予め定めた特定の圏内を走行中の車両群の各条件に優先順位を予め規定し、この条件に2つ以上該当する車両群が存在した場合には、同規定した優先順位に基づき車両群のグループ化を実行するようにしてもよい。この場合には、ある車両もしくは車両群にグループ化が重複して設定されることが抑制されるようになり、より的確なグルーピングが実現される。またこの場合には、上記プローブ情報センター200により例えば交通情報として渋滞状況に関する情報を優先して生成する際には、車両の渋滞状況が類似するか否かに基づき上記グルーピングを行うことにより、車両群が渋滞状況に応じてグルーピングされる。これにより、それらグルーピングされた車両群のうちの代表車両から収集されるプローブ情報を、必要とする交通情報に応じて選択的に収集することができるようになる。
【0110】
・上記各実施の形態では、上記グループ化の条件として、渋滞状態にある車両群、及び同一の市内を走行する車両群、及び予め定めた特定の圏内を走行中の車両群のいずれかの条件を満たす車両群を規定した。これに限らず、上記グループ化の条件としては、走行環境が類似しているために各車両から収集されるプローブ情報が類似するとされる条件であればよく、任意の条件を設定することが可能である。
【0111】
・上記各実施の形態では、サービスマッチング部250により提供すべきサービス有りと判断されたサービスを、同サービスの判断に用いられたプローブ情報を送信した車両と共にグループ化された車両群のドライバと、同プローブ情報を送信した車両が走行中のエリアに向かうグループとしてグループ化された車両群のドライバとに提供することとした。これに限らず、サービスマッチング部250により提供すべきサービス有りと判断されたサービスを、同サービスの判断に用いられたプローブ情報を送信した車両と共にグループ化された車両群のドライバのみに提供するようにしてもよい。また、サービスマッチング部250により提供すべきサービス有りと判断されたサービスを、同プローブ情報を送信した車両が走行中のエリアに向かうグループとしてグループ化された車両群のドライバのみに提供するようにしてもよい。またこの他、上記サービスを、同サービスの判定に用いられた車両が走行中のエリアを走行する車両のドライバに提供してもよく、任意の車両のドライバに上記サービスを提供することができる。
【0112】
・上記各実施の形態では、ドライバに提供すべきサービスとして、大雨注意サービスもしくは渋滞情報サービスもしくは店舗からの広告配信サービスを配信することとした。これに限らず、ドライバに提供すべきサービスとしては、上記プローブ情報センター200に計上されたプローブ情報に基づき提供されるサービスであればよい。
【0113】
・上記第2の実施の形態では、上記グルーピングを上記センター車両CPC上で実行させるとともに、上記サービスの配信を上記プローブ情報センター200A上で実行させることとした。これに限らず、センター車両CPCが上記サービスマッチング部250及びサービス配信部260をさらに備える構成とし、このセンター車両CPCから上記グループ化された車両群のドライバへのサービスの配信を行うようにしてもよい。
【0114】
・上記各実施の形態では、上記プローブ情報センター200及び200Aにサービスマッチング部250を備えることとし、該サービスマッチング部250により提供すべきサービス有りと判定される車両のドライバに該当するサービスを提供することとした。これに限らず、サービスマッチング部250を割愛し、上記グループ化された車両群のドライバに対するサービスの提供を行わないようにしてもよい。
【0115】
・上記各実施の形態では、上記グルーピングとしての車両群の走行環境の変化に応じたそれら車両群のグループ化及びグループ化した車両群毎の代表とする車両の選定を動的に行うこととした。これに限らず、上記代表として選定した車両からのプローブ情報を収集する上では、走行環境が類似していることを条件として設定されたグループ化及び上記選定された代表車両の設定を固定することも可能である。
【0116】
・上記各実施の形態では、例えば図1及び図2に示したように、自車両の走行環境が他車両と類似していない車両PCdについては、同車両PCdからのプローブ情報の送信を許可することとした。これに限らず、上記プローブ情報センター200へのプローブ情報の送信を、上記グループ化されたうちの代表車両に限定して許可するようにしてもよい。そして、自車両の走行環境が他車両と類似していないためにグループ化の対象とされなかった車両については、プローブ情報の送信を禁止するようにしてもよい。これにより、上記プローブ情報センター200に対するプローブ情報の送信源をさらに制限することが可能となり、このプローブ情報センター200と車載通信機100との通信量をさらに低減することができるようになる。
【0117】
・上記各実施の形態では、上記代表として選定した車両以外からのプローブ情報の送信を禁止することによって、同代表として選定した車両から送信されるプローブ情報をプローブ情報センター200及び200Aに収集させるようにした。これに限らず、例えば各
車両からのプローブ情報の受信側となるプローブ情報センター200及び200Aにて上記代表として選定した車両以外からのプローブ情報の受信を拒否することにより、代表車両として選定された車両から送信されるプローブ情報を収集するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0118】
100…車載通信機、100A…車載センター通信機、110…プローブ情報生成部、120…プローブ情報送信部、130…制御指令受信部、140…通信制御部、150…サービス受信部、160…サービス提供部、161…表示装置、162…音声装置、200、200A…プローブ情報センター、210、210A…プローブ情報受信部、220、220A…グルーピング部、221…代表車両選定部、230、230A…通信制御部、240、240A…制御指令送信部、250…サービスマッチング部、251…サービス適合マップ、260…サービス配信部、CPC…センター車両、PC、PCa−PCd…車両(プローブカー)、PCc…代表車両。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブ情報センターとの通信機能を有する車両の車両情報であるプローブ情報をプローブ情報センターに収集して交通情報を生成するプローブ情報システムにおいて、
前記プローブ情報に基づいて走行環境が類似する車両群をグループ化するとともに、該グループ化した車両群毎に代表とする車両を選定するグルーピング部を備え、前記プローブ情報センターは、このグルーピング部によって選定された車両から送信されるプローブ情報を収集する
ことを特徴とするプローブ情報システム。
【請求項2】
前記グルーピング部は、前記代表として選定した車両以外からのプローブ情報の送信を禁止することによって、同代表として選定した車両から送信されるプローブ情報が前記プローブ情報センターに収集されるようにした
請求項1に記載のプローブ情報システム。
【請求項3】
前記グルーピング部は、前記車両群の走行環境の変化に応じてそれら車両群のグループ化及びグループ化した車両群毎の代表とする車両の選定を動的に行う
請求項1または2に記載のプローブ情報システム。
【請求項4】
前記グルーピング部は、渋滞状態にある車両群、及び同一の市内を走行する車両群、及び予め定めた特定の圏内を走行中の車両群のいずれかの条件を満たす車両群を前記走行環境が類似する車両群としてグループ化する
請求項1〜3のいずれか一項に記載のプローブ情報システム。
【請求項5】
前記グルーピング部は、前記グループ化した車両群毎に、各々類似する走行環境に応じたプローブ情報を相対的により長く維持可能と推定される車両を前記代表とする車両として選定する
請求項1〜4のいずれか一項に記載のプローブ情報システム。
【請求項6】
前記プローブ情報センターは、前記収集されたプローブ情報に基づき各車両のドライバに提供すべきサービスの有無を判定するサービスマッチング部を備え、該サービスマッチング部により提供すべきサービス有りと判定される車両のドライバに該当するサービスを提供する機能をさらに備える
請求項1〜5のいずれか一項に記載のプローブ情報システム。
【請求項7】
前記プローブ情報が、自車両のワイパー動作状態もしくは走行速度もしくは走行位置に関する情報を含むものであり、前記サービスマッチング部は、前記サービスとして、前記グループ化された車両群から収集される大雨に起因するワイパーの高速動作状態、もしくは渋滞に起因する低速走行状態、もしくは特定の店舗周辺の走行位置に関する情報が含まれるとき、大雨注意サービスもしくは渋滞情報サービスもしくは前記店舗からの広告配信サービスを少なくとも当該プローブ情報を送信した車両と共にグループ化された車両群のドライバに提供する
請求項6に記載のプローブ情報システム。
【請求項8】
前記グルーピング部は、前記プローブ情報センター内に設けられたものである
請求項1〜7のいずれか一項に記載のプローブ情報システム。
【請求項9】
前記グルーピング部は、特定の車両に搭載されたものであり、該グルーピング部によるグループ化、及び代表とする車両の選定がそれら車両間での車車間通信として実行される
請求項1〜7のいずれか一項に記載のプローブ情報システム。
【請求項10】
プローブ情報センターとの通信機能を有する車両の車両情報であるプローブ情報をプローブ情報センターに収集して交通情報を生成するプローブ情報システムにあって前記プローブ情報を処理するプローブ情報処理方法であって、
前記プローブ情報を収集するにあたり、情報処理装置を通じて、前記プローブ情報に基づいて走行環境が類似する車両群をグループ化するとともに、該グループ化した車両群毎に代表とする車両を選定するグルーピングを行い、該グルーピングによって選定した車両から送信されるプローブ情報を前記プローブ情報センターに収集させるようにした
ことを特徴とするプローブ情報処理方法。
【請求項11】
前記グルーピングを、前記代表として選定した車両以外からのプローブ情報の送信を禁止する処理として行い、同代表として選定した車両から送信されるプローブ情報を前記プローブ情報センターに収集させるようにした
請求項10に記載のプローブ情報処理方法。
【請求項12】
前記グルーピングとしての前記車両群の走行環境の変化に応じたそれら車両群のグループ化及びグループ化した車両群毎の代表とする車両の選定を動的に行う
請求項10または11に記載のプローブ情報処理方法。
【請求項13】
前記グルーピングを、渋滞状態にある車両群、及び同一の市内を走行する車両群、及び予め定めた特定の圏内を走行中の車両群のいずれかの条件を満たす車両群を前記走行環境が類似する車両群としてグループ化する態様で行う
請求項10〜12のいずれか一項に記載のプローブ情報処理方法。
【請求項14】
前記グルーピングを、前記グループ化した車両群毎に、各々類似する走行環境に応じたプローブ情報を相対的により長く維持可能と推定される車両を前記代表とする車両として選定する態様で行う
請求項10〜13のいずれか一項に記載のプローブ情報処理方法。
【請求項15】
前記プローブ情報センターは、前記収集されたプローブ情報に基づき各車両のドライバに提供すべきサービスの有無を判定するサービスマッチングを実行し、該サービスマッチングを通じて提供すべきサービス有りと判定される車両があるとき、当該車両のドライバに該当するサービスを提供する処理をさらに行う
請求項10〜14のいずれか一項に記載のプローブ情報処理方法。
【請求項16】
前記プローブ情報が、自車両のワイパー動作状態もしくは走行速度もしくは走行位置に関する情報を含むものであり、前記プローブ情報センターは、前記サービスマッチングの実行に伴い提供する処理として、前記グループ化された車両群から収集される大雨に起因するワイパーの高速動作状態、もしくは渋滞に起因する低速走行状態、もしくは特定の店舗周辺の走行位置に関する情報が含まれるとき、大雨注意サービスもしくは渋滞情報サービスもしくは前記店舗からの広告配信サービスを少なくとも当該プローブ情報を送信した車両と共にグループ化された車両群のドライバに提供する処理を行う
請求項15に記載のプローブ情報処理方法。
【請求項17】
前記グルーピングを、前記プローブ情報センター内の情報処理装置を通じて実行させる
請求項10〜16のいずれか一項に記載のプローブ情報処理方法。
【請求項18】
前記グルーピングを、特定の車両に搭載された情報処理装置を通じて実行させ、該グルーピングによるグループ化、及び代表とする車両の選定をそれら車両間での車車間通信を通じて実行する
請求項10〜16のいずれか一項に記載のプローブ情報処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−89088(P2012−89088A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237778(P2010−237778)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】