プローブ構造
【解決手段】 プローブ構造P1の絶縁性基材1の一方表面1aには、導体パターン2が形成され、絶縁性基材1の他方表面1bには、平坦な接触部を持つ電極3が形成され、これらは導通路4を介して接続される。導体パターン2は、半導体素子5のボール6に接触すると、試験機器によって半導体素子5の導通検査が行われるようにパターン形成される。ボール6の少なくとも表面は低融点金属から構成され、電極3の少なくとも表面が、ロジウム、パラジウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の貴金属で構成される。
【効果】 ボール6との接触信頼性が向上し、半導体素子5への押圧力の調整が簡易化され、接触信頼性が向上する。接触における耐久性が向上し、腐食の防止、かつ低融点金属との合金形成を行わないので、プローブとしての信頼性が向上する。従って、高温条件下でのバーンイン試験において好適に使用することができる。
【効果】 ボール6との接触信頼性が向上し、半導体素子5への押圧力の調整が簡易化され、接触信頼性が向上する。接触における耐久性が向上し、腐食の防止、かつ低融点金属との合金形成を行わないので、プローブとしての信頼性が向上する。従って、高温条件下でのバーンイン試験において好適に使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体素子、半導体素子搭載基板等の被検査体を検査する検査用機器、特に被検査体のバーンイン検査用機器の先端部に設けられるプローブの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年における半導体素子の高集積化回路基板への電子部品の高密度実装化等によって、これらの接触対象物上の信号配線、接続用端子、電極等の数は増加し、それらのピッチも細密化している。
【0003】これらの電子部品は、製造工程の各段階において特性や品質が検査されるものであるが、従来、半導体素子および半導体素子搭載基板の検査方法としては、回路が形成されたICチップを樹脂で封止した後に検査を行い、合否の判定をしていた。しかし、この方法では、不良品についても樹脂で封止してしまうから、その分の樹脂および時間的な無駄を生じてしまう。
【0004】この問題を解決するための一つの方法として、封止前のチップレベルでバーン・イン・テストを行って封止前に合否の判定をし、合格したICチップのみを樹脂で封止して良品のICチップを提供する方法が提案されており、例えば本願出願人は、特願平6−62821号、特願平6−265621号等を既に出願している。
【0005】しかしながら、これらの出願にかかる発明は、ICチップの端子がアルミ等の平面状のものを対象としているから、検査装置のプローブ部に半球状の突起電極(以下「バンプ」という。)を形成し、このバンプをICチップの端子に接触させて検査を行うという方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらに対し、最近ではICチップの端子がバンプ等の突起物であるものが増加している。その場合、従来のバンプを形成したプローブ構造では、点と点の接触となるから、接触信頼性に欠けていた。また、仮に接触させることができ、バーン・イン試験が行えたとしても、試験後のバンプ間を切り離した際、ICチップの端子がスズ等の低融点金属からなる場合、ICチップのバンプ頂上部に窪みができる。この状態で加熱して、バンプを成型し直そうとしても、頂上部にエアーを抱き込んだ状態でバンプが成型される場合が多く、実装時に不良を発生させる原因になる。さらに、プローブ側のバンプを構成する金属としては、金、硬質金めっき等が主流であるが、金は低融点金属とマイグレーションを起こすから、接触信頼性に欠けるという問題をも有する。
【0007】本発明の目的は、上記問題を解決し、被検査体のバンプ等の突起電極との接触信頼性が高いプローブ構造を提供することであり、また低融点金属の突起電極を有する被検査体のバーンイン試験が可能な検査装置のプローブ構造を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のプローブ構造は、外部試験機器と接続する回路配線と、該回路配線と導通し、被検査体の突起電極に接触する平坦な接触部とを有することを特徴とし、好ましくは該接触部の少なくとも表面がロジウム、パラジウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の貴金属からなることを特徴とする。
【0009】本発明のプローブ構造における検査対象である被検査体としては、ベアーチップ段階で突起電極を有する半導体素子、該半導体素子を複数個形成したウエハ、プリント配線基板(セラミック、ガラス・エポキシ樹脂等のリジット板またはポリイミド系樹脂等のフレキシブル基板)表面に該半導体素子をワイアボンディング、TAB接続、フリップチップ等で実装したパッケージ構造であって、基板に外部接続用の電極を並べたもの等が例示される。
【0010】被検査体の突起電極としては、メッキ、転写、蒸着または印刷等によって形成された外部接続用のバンプ、球状の突起電極(ボール)等が例示される。被検査体の突起電極の少なくとも表面が低融点金属から構成されている場合には、プローブ構造の接触部の少なくとも表面の金属が、接触に対して、硬度が高いために損傷が少なく、低融点金属と合金形成を行わない貴金属であることが好ましい。かかる貴金属としては、ロジウム、パラジウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の貴金属が例示される。
【0011】低融点金属とは、スズ、鉛、ビスマス、カドミウム、水銀、インジウム等の400℃以下の融点をもつ金属をいい、好ましくは300℃以下の融点をもつ金属をいう。また、スズ、鉛、ビスマス、カドミウム、水銀、インジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の低融点金属を主成分とする合金も含まれる。
【0012】回路配線としては、配線パターンのみならず、電極、リード等が例示される。
【0013】接触部とは、被検査体の突起電極に接触することにより導通する導電体をいい、回路配線の一部であってもよいし、絶縁性基材上に該絶縁性基材の厚み方向に形成され、回路配線と該接触部とを接続する導通路に接続されるものであってもよい。その形状は特に限定されず、三角形、正方形、長方形、台形、平行四辺形、その他の多角形、円形等の平面、または角柱、円柱、球体、錐体(円錐、角錐)等の立体であってもよい。被検査体のレイアウト、回路の形状等によって任意に設定することができる。
【0014】接触部の平坦さは、該接触部が被検査体の突起電極と接触不良を起こさない程度の平坦さであれば良く、被検査体の突起電極に接触し得る曲面上の任意の2点を通過する直線が常に全くその曲面に含まれるといった一般的な平坦に限らない。図3に示すように、凸状であっても電極7の外周面9と曲面状の接触部8とが接合する周縁部10から頂部11までの高さhと電極の直径dとの比(h/d)が、1/2以下、好ましくは1/4以下であれば、被検査体の突起電極と接触部8との接触信頼性が向上するので、かかる凸状も平坦である。ここで電極の直径dとは、接触部の形状が多角形であれば外接する円の直径をいい、楕円であれば長径をいい、又接触部が回路配線の一部であれば該回路配線の幅をいう。また、電極7のうち被検査体の突起電極との接触に実質的に関与し得ない領域である外周面9の高さ(絶縁性基材1の他方表面1bから周縁部10までの高さ)は、接触部8が平坦であるか否かの判断に際して除外することができる。
【0015】さらに、図7〜9に示すように接触部が導通路を形成する貫通孔内に存在する場合、導通路を形成する導電性物質が貫通孔内壁からはなれる位置から該接触部の頂点までの距離(図7に図示するh)、又は接触部の底部から導電性物質が貫通孔内壁からはなれる位置までの距離(図8に図示するh)と貫通孔の孔径(d)の比(h/d)が1/2以下、好ましくは1/4以下の場合も平坦である。
【0016】
【作用】本発明のプローブ構造によれば、被検査体の突起電極(端子)に接触する接触部が平坦であるので、該突起電極と接触部との接触が点と面との接触となり、被検査体の端子との接触が良好となり、被検査体への押圧力の調整が簡易化され、接触信頼性が向上する。
【0017】また、被検査体の突起電極の少なくとも表面が低融点金属から構成され、プローブ構造の接触部の少なくとも表面が、例えばロジウム、パラジウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の貴金属から構成されている場合には、接触における耐久性が向上し、腐食の防止、かつ低融点金属との合金形成を行わないので、プローブとしての信頼性が向上する。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を示し、図を用いて詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0019】図1は、本発明のプローブ構造の第1の実施例を示す断面図である。図1に示されるプローブ構造P1において、絶縁性基材1の一方表面1aには、導電性材料からなる回路配線である導体パターン2が形成され、絶縁性基材1の他方表面1bには、平坦な接触部を持つ電極3が形成されている。電極3は絶縁性基材1の他方表面1bよりも僅かに外方向へ突出した凸状の金属突出物であるが、凸状の頂部から絶縁性基材1の他方表面1bまでの高さは5μm以下であり、かつ絶縁性基材1の他方表面1bにおける電極3の直径は10μm以上、好ましくは20μm以上であり、この場合該高さと該直径の比は1/2以下となり、接触部は実質的に平坦である。
【0020】導体パターン2が絶縁性基材1に当接する領域内、または該領域を含むその近傍領域には、絶縁性基材1を厚み方向に貫通し、導体パターン2と電極3とを接続し、電気的に導通する導通路4が形成されており、導通路4は導体パターン2側から電極3側にかけて径が漸次増大するテーパ状に形成されている。導体パターン2は、図示している被検査体である半導体素子5のボール(端子)6に接触すると、試験機器によって半導体素子5の導通検査が行われるようにパターン形成されている。
【0021】絶縁性基材1の形成材料としては、導体パターン2および電極3を安定して支持し、電気的絶縁特性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)共重合樹脂、ベンゾサイクロブテン(BCB,Dow Chemical社製)、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0022】これらのうち、耐熱性および機械的強度に優れ、半導体素子5の線膨張係数と合致させられるなどの点から、ポリイミド系樹脂が特に好適に使用される。絶縁性基材1の厚みは特に限定されないが、十分な機械的強度、可撓性を付与するために、2μm〜500μm、好ましくは10μm〜150μmに設定する。
【0023】導体パターン2、電極3および導通路4を構成する形成材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されず、公知の金属材料が使用できるが、例えば金、銀、銅、白金、鉛、亜鉛、スズ、ニッケル、アルミニウム、鉄、コバルト、イリジウム、モリブデン、ロジウム、パラジウム、クロム、タングステン、ルテニウムなどの単独金属、またはこれらを成分とする各種金属、例えば半田、ニッケル−錫、金−コバルト等が挙げられる。半導体素子5のボール6の少なくとも表面が低融点金属から構成されている場合には、プローブ構造P1の電極3の少なくとも表面の金属が、ロジウム、パラジウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の貴金属であることが望ましい。
【0024】導体パターン2は、これら金属材料からなる単層構造体に限らず、例えば銅箔からなる回路パターンに対してニッケルめっき、亜鉛めっき等を施すなどした多層構造体であってもよい。
【0025】また、3種類以上の形成材料を用いて電極3と導通路4とを形成してもよい。即ち、電極3と導通路4との間の中間層としてAuなどを用いて、電極3と導通路4との密着性を向上させてもよく、導体パターン2に接触する導通路4には銅等の安価な金属材質を用いる。また、電極3と導通路4との間に介在する中間層には、金属物質の相互反応を防止するためのバリア性金属材料としてニッケル等を用いることができる。
【0026】導体パターン2のパターン形状は、接触すべき半導体素子5の部品等に応じて、回路の本数、1本の回路幅、ピッチ等自由に選択される。導体パターン2の厚さも特に限定されないが、1μm〜200μm、好ましくは5μm〜80μmに設定する。
【0027】また、絶縁性基材1と導体パターン2との層間においては、ポリイミド系、エポキシ系、ポリエステル系、アクリル系等の接着剤を介していてもよい。
【0028】プローブ構造P1は、例えば以下の方法により形成される。まず、絶縁性基材1の一方表面1aに導電体層が積層されて形成された積層基材を用意する。絶縁性基材1の一方表面1aへの導電体層の形成方法としては、スパッタリング、各種蒸着、各種メッキ等の方法が挙げられる。また、導電体層として導電体箔を用い、導電体箔上に絶縁性基材1をラミネートする方法、または導電体箔上に絶縁性樹脂溶液を塗布して固化させ、導電体層の表面に絶縁性基材1を形成する方法が挙げられる。
【0029】次いで、導電体層の表面にレジスト層を形成して絶縁した後、フォト工程を用いて、化学的エッチング処理によって、導体パターン2を形成する領域以外の領域のレジストを除去する。その後、導電体層をエッチングして、所望の線状パターンに形成する。
【0030】その後、感光材料またはウエットエッチング可能な耐めっき性を有する絶縁性被膜層であるところのゴム系のめっきレジストを絶縁性基材1の他方表面1bに形成する。該レジストおよび絶縁性基材1の半導体素子5のボール6に相対する位置に、レジストおよび絶縁性基材1を貫通して導体パターン2に至る貫通孔を穿設する。
【0031】貫通孔の穿設は、パンチングなどの機械的穿孔方法、プラズマ加工、フォトリソグラフィー加工、ファインピッチ化に対応するためには微細加工が可能なドライエッチング等の方法により行うことができる。高エネルギービームを利用したドライエッチング方法として、エキシマレーザー、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、Arレーザー等のレーザー光の他、イオンビームエッチング、スパッタリング、放電加工等が例示される。なかでもパルス数またはエネルギー量を制御したエキシマレーザの照射による穿孔加工が好ましい。例えば発振波長が248nmのKrFエキシマレーザー光をマスクを介して照射して、ドライエッチングを施す。
【0032】また、絶縁性基材1と耐薬品性の異なるレジスト等を用いた化学エッチングにより穿孔することも可能であり、レジストとして感光性のポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等を用いる。
【0033】その後、貫通孔に導電性物質を絶縁性基材1の他方表面1bよりも外方向の位置に到達し、さらにレジストの表面と同一平面、または該表面以下まで充填して、導通路4および電極3を形成する。
【0034】導通路4および電極3の形成は、物理的に導電性物質を貫通孔に埋め込む方法、CVD法、電解めっき、無電解めっき等のめっき法、上記工程により得られた構造物を導電性物質の溶融浴に浸漬し、引き上げて導電性物質を析出させる化学的方法等により行うことができるが、特に導体パターン2を電極とした電解めっきによる方法が好ましい。
【0035】その後、レジストを除去することによって、平坦な電極3が形成される。なお、電極3の高さが低い場合、または後述の図6〜図9のように、電極が絶縁性基材1の他方表面1bと同一平面もしくは他方表面1bよりも内方向(貫通孔内)にある場合には、レジストを用いず、貫通孔に導電性物質を充填させるのみでもよい。
【0036】図2は、本発明のプローブ構造の第2の実施例を示す断面図である。なお、以下の図面において図1R>1に付した符号と同一の符号を付した部分は、図1において符号が付された部分と同一または相当する部分を示す。
【0037】図2に示されるプローブ構造P2において、絶縁性基材1の他方表面1bには、平板状の電極7が形成されている。図3は電極7の拡大断面図であり、電極7の外周面9と曲面状の接触部8とが接合する周縁部10から頂部11までの高さhが5μm以下であり、かつ電極7の直径dが10μm以上、好ましくは20μm以上であれば、高さhと電極の直径dとの比(h/d)が1/2以下となり、かかる凸状も平坦であるといえる。
【0038】また、電極の接触部は凹状であってもよい。図4は本発明のプローブ構造の第3の実施例を示す断面図であり、図4に示されるプローブ構造P3において、絶縁性基材1の他方表面1bには、周縁部から中央部にかけて漸次窪んだ凹状の電極12が形成されている。電極12の頂部(周縁部)から底部(中央部)までの高さは5μm以下であり、かつ電極12の直径が10μm以上、好ましくは20μm以上であれば、高さと電極の直径との比が1/2以下となり、半導体素子5のボール6と接触部との接触信頼性が向上するので、かかる凹状も平坦であるといえる。
【0039】図5は本発明のプローブ構造の第4の実施例を示す断面図である。図5に示されるプローブ構造P4において、絶縁性基材1の他方表面1bには、周縁部と中央部とで段差を有する凹状の電極13が形成されている。電極13の中央部は平面状であり、平坦な接触部が形成されている。
【0040】図6は本発明のプローブ構造の第5の実施例を示す断面図である。図6に示されるプローブ構造P5において、電極14は絶縁性基材1の他方表面1bから突出せず、絶縁性基材1の他方表面1bと同一平面上に形成されている。従って、電極14の接触部は絶縁性基材1の他方表面1bと同一平面上に平坦に形成されている。
【0041】図7〜図9は本発明のプローブ構造の第6〜第8の各実施例を示す断面図であり、各プローブ構造P6〜P8において、凸状の電極15(図7)、凹状の電極16(図8)、または平面状の電極17(図9)が各々の貫通孔内に形成されている。即ち、各導通路4の端部が平坦な接触部を形成している。なお、絶縁性基材1の他方表面1bから電極15,16,17の端部(但し、電極15では頂部、電極16では底部)までの距離は、100μm以下に設定するのが好ましい。
【0042】本発明において基材は、絶縁性基材1と導体パターンとの2層構造のみに限定されない。図10は本発明のプローブ構造の第9の実施例を示す断面図であり、図10に示されるプローブ構造P9において、導体パターン2の絶縁性基材1側と反対側の面が他の絶縁層18で被覆されている。絶縁層18は、絶縁性基材1および導体パターン2に対して、あらかじめ形成された絶縁フィルムを、ポリイミド系、エポキシ系、ポリエステル系、アクリル系等の接着剤を介して、または絶縁フィルム自体の溶着によって密着するか、塗布、蒸着法など公知の薄膜形成法を用いて直接形成することができる。また、絶縁性基材1と絶縁層18とで導体パターンを挟んだ積層基材を用いた場合には、導体パターン2からの電極3の取り出しは、絶縁性基材1の所望の位置で、上述の貫通孔を穿設する方法により孔開けを行い、貫通孔内に金属を充填し、電極3を形成するようにしてもよい。
【0043】本発明のプローブ構造は、被検査体である半導体素子または半導体素子搭載基板の突起電極が多数、高密度となる場合、導体パターンの設計が困難となるので、2層以上の多層にすることが望ましい。図11は本発明のプローブ構造の第10の実施例を示す断面図であり、図11に示されるプローブ構造P10は、半導体素子搭載基板19のバーンイン検査用機器の先端部に設けられるプローブ構造である。半導体素子搭載基板19の基板20の中央部には凹部が形成され、この凹部の底面に半導体素子5が載置されている。半導体素子5の端子21と基板20の端子22とがボンディングワイヤ23を介して接続され、これらは絶縁性樹脂24にて封止されている。基板20には、厚み方向に貫通して、基板20の半導体素子5側と反対側の面に至る導通路25が形成され、導通路25を介して端子22とボール6とが接続されている。
【0044】プローブ構造P10は、多層配線構造を有するマルチチップモジュール基板であり、多層(図11においては二層)の導体パターン2a,2bが形成されている。導体パターン2a,2bは、複数の絶縁体層によって絶縁されており、導通路4bによって導体パターン2a,2bの層間が接続されている。導体パターン2a,2bは、被検査体である半導体素子搭載基板19の電気特性検査を行うための図示しない電気特性検査器に接続されている。
【0045】プローブ構造P10は、例えば導体パターンと絶縁体とからなる基板を多層に積層することにより得られる。その際、各基板の層間にポリイミド系、エポキシ系、ポリエステル系、アクリル系等の接着剤を介して接着する。また、所望の位置において、上述の貫通孔を穿設する方法により絶縁体に貫通孔を開け、導電性物質を貫通孔部分に埋め込み、各基板間の導通をとる。
【0046】以上の実施例においては、被検査体の突起電極(ボール6)の直径がプローブ構造の導通路4の直径と同程度である場合について説明したが、図12に示すようにボール6が導通路4に比して直径が極端に大きい場合(例えば100μm程度)には、電極3の接触部は平面状であることが接触信頼性を向上させる観点から特に望ましい。
【0047】また、以上の実施例においては、被検査体の突起電極(ボール6)と接触する接触部が、絶縁性基材1を厚み方向に貫通する導通路4を介して、絶縁性基材1の一方表面1aに形成された導体パターン2と接続する場合について説明したが、本発明のプローブ構造はかかる構造のみに限定されず、例えば図13〜図15に示されるように、接触部が絶縁性基材に対して同じ側にあり、導通路を持たないような構造をも包含する。
【0048】図13は本発明のプローブ構造の第11の実施例を示す断面図、図14はその平面図、図15は図1313のA−A線断面図である。プローブ構造P11はプリント基板であって、基板本体は導体パターン2が絶縁性基材1と絶縁層18との間に挟まれて形成され、半導体素子5が搭載される部分の絶縁層18が除去されている。絶縁層18は半導体素子5の面方向における領域に対応する領域に中空部を有しており、半導体素子5がちょうど入る程度の窓26が形成されている。即ち、半導体素子5の面方向における領域に対応する導体パターン2の領域が露出して、半導体素子5のバンプ27が導体パターン2の一部に接触するようにパターン形成されている。導体パターン2のうち少なくともバンプ27に接触する接触部8が平坦に形成されている。
【0049】絶縁層18に形成される半導体素子5のサイズの窓26は、絶縁フィルムを用いるのであれば、あらかじめカッティング等により穿孔しておいてもよく、あるいは絶縁層18を形成した後に窓26を穿孔するのであれば、上述の貫通孔を穿設する方法に準じて形成される。
【0050】
【発明の効果】以上のように、本発明のプローブ構造によれば、被検査体の端子である突起電極に接触する接触部が平坦であるので、被検査体の端子との接触信頼性が向上し、被検査体への押圧力の調整が簡易化され、接触信頼性が向上する。
【0051】また、被検査体の突起電極の少なくとも表面が低融点金属から構成され、プローブ構造の接触部の少なくとも表面が、例えばロジウム、パラジウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の貴金属から構成されている場合には、接触における耐久性が向上し、腐食の防止、かつ低融点金属との合金形成を行わないので、プローブとしての信頼性が向上する。
【0052】従って、本発明のプローブ構造は、高温条件下でのバーンイン試験において好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプローブ構造の第1の実施例を示す断面図である。
【図2】本発明のプローブ構造の第2の実施例を示す断面図である。
【図3】電極7の拡大断面図である。
【図4】本発明のプローブ構造の第3の実施例を示す断面図である。
【図5】本発明のプローブ構造の第4の実施例を示す断面図である。
【図6】本発明のプローブ構造の第5の実施例を示す断面図である。
【図7】本発明のプローブ構造の第6の実施例を示す断面図である。
【図8】本発明のプローブ構造の第7の実施例を示す断面図である。
【図9】本発明のプローブ構造の第8の実施例を示す断面図である。
【図10】本発明のプローブ構造の第9の実施例を示す断面図である。
【図11】本発明のプローブ構造の第10の実施例を示す断面図である。
【図12】ボール6が導通路4に比して直径が極端に大きい場合のプローブ構造の部分断面図である。
【図13】本発明のプローブ構造の第11の実施例を示す断面図である。
【図14】本発明のプローブ構造の第11の実施例を示す平面図である。
【図15】図13のA−A線断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基材
2 導体パターン(回路配線)
4 導通路
5 半導体素子(被検査体)
6 ボール(突起電極)
8 接触部
27 バンプ(突起電極)
P1〜P11 プローブ構造
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体素子、半導体素子搭載基板等の被検査体を検査する検査用機器、特に被検査体のバーンイン検査用機器の先端部に設けられるプローブの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年における半導体素子の高集積化回路基板への電子部品の高密度実装化等によって、これらの接触対象物上の信号配線、接続用端子、電極等の数は増加し、それらのピッチも細密化している。
【0003】これらの電子部品は、製造工程の各段階において特性や品質が検査されるものであるが、従来、半導体素子および半導体素子搭載基板の検査方法としては、回路が形成されたICチップを樹脂で封止した後に検査を行い、合否の判定をしていた。しかし、この方法では、不良品についても樹脂で封止してしまうから、その分の樹脂および時間的な無駄を生じてしまう。
【0004】この問題を解決するための一つの方法として、封止前のチップレベルでバーン・イン・テストを行って封止前に合否の判定をし、合格したICチップのみを樹脂で封止して良品のICチップを提供する方法が提案されており、例えば本願出願人は、特願平6−62821号、特願平6−265621号等を既に出願している。
【0005】しかしながら、これらの出願にかかる発明は、ICチップの端子がアルミ等の平面状のものを対象としているから、検査装置のプローブ部に半球状の突起電極(以下「バンプ」という。)を形成し、このバンプをICチップの端子に接触させて検査を行うという方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらに対し、最近ではICチップの端子がバンプ等の突起物であるものが増加している。その場合、従来のバンプを形成したプローブ構造では、点と点の接触となるから、接触信頼性に欠けていた。また、仮に接触させることができ、バーン・イン試験が行えたとしても、試験後のバンプ間を切り離した際、ICチップの端子がスズ等の低融点金属からなる場合、ICチップのバンプ頂上部に窪みができる。この状態で加熱して、バンプを成型し直そうとしても、頂上部にエアーを抱き込んだ状態でバンプが成型される場合が多く、実装時に不良を発生させる原因になる。さらに、プローブ側のバンプを構成する金属としては、金、硬質金めっき等が主流であるが、金は低融点金属とマイグレーションを起こすから、接触信頼性に欠けるという問題をも有する。
【0007】本発明の目的は、上記問題を解決し、被検査体のバンプ等の突起電極との接触信頼性が高いプローブ構造を提供することであり、また低融点金属の突起電極を有する被検査体のバーンイン試験が可能な検査装置のプローブ構造を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のプローブ構造は、外部試験機器と接続する回路配線と、該回路配線と導通し、被検査体の突起電極に接触する平坦な接触部とを有することを特徴とし、好ましくは該接触部の少なくとも表面がロジウム、パラジウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の貴金属からなることを特徴とする。
【0009】本発明のプローブ構造における検査対象である被検査体としては、ベアーチップ段階で突起電極を有する半導体素子、該半導体素子を複数個形成したウエハ、プリント配線基板(セラミック、ガラス・エポキシ樹脂等のリジット板またはポリイミド系樹脂等のフレキシブル基板)表面に該半導体素子をワイアボンディング、TAB接続、フリップチップ等で実装したパッケージ構造であって、基板に外部接続用の電極を並べたもの等が例示される。
【0010】被検査体の突起電極としては、メッキ、転写、蒸着または印刷等によって形成された外部接続用のバンプ、球状の突起電極(ボール)等が例示される。被検査体の突起電極の少なくとも表面が低融点金属から構成されている場合には、プローブ構造の接触部の少なくとも表面の金属が、接触に対して、硬度が高いために損傷が少なく、低融点金属と合金形成を行わない貴金属であることが好ましい。かかる貴金属としては、ロジウム、パラジウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の貴金属が例示される。
【0011】低融点金属とは、スズ、鉛、ビスマス、カドミウム、水銀、インジウム等の400℃以下の融点をもつ金属をいい、好ましくは300℃以下の融点をもつ金属をいう。また、スズ、鉛、ビスマス、カドミウム、水銀、インジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の低融点金属を主成分とする合金も含まれる。
【0012】回路配線としては、配線パターンのみならず、電極、リード等が例示される。
【0013】接触部とは、被検査体の突起電極に接触することにより導通する導電体をいい、回路配線の一部であってもよいし、絶縁性基材上に該絶縁性基材の厚み方向に形成され、回路配線と該接触部とを接続する導通路に接続されるものであってもよい。その形状は特に限定されず、三角形、正方形、長方形、台形、平行四辺形、その他の多角形、円形等の平面、または角柱、円柱、球体、錐体(円錐、角錐)等の立体であってもよい。被検査体のレイアウト、回路の形状等によって任意に設定することができる。
【0014】接触部の平坦さは、該接触部が被検査体の突起電極と接触不良を起こさない程度の平坦さであれば良く、被検査体の突起電極に接触し得る曲面上の任意の2点を通過する直線が常に全くその曲面に含まれるといった一般的な平坦に限らない。図3に示すように、凸状であっても電極7の外周面9と曲面状の接触部8とが接合する周縁部10から頂部11までの高さhと電極の直径dとの比(h/d)が、1/2以下、好ましくは1/4以下であれば、被検査体の突起電極と接触部8との接触信頼性が向上するので、かかる凸状も平坦である。ここで電極の直径dとは、接触部の形状が多角形であれば外接する円の直径をいい、楕円であれば長径をいい、又接触部が回路配線の一部であれば該回路配線の幅をいう。また、電極7のうち被検査体の突起電極との接触に実質的に関与し得ない領域である外周面9の高さ(絶縁性基材1の他方表面1bから周縁部10までの高さ)は、接触部8が平坦であるか否かの判断に際して除外することができる。
【0015】さらに、図7〜9に示すように接触部が導通路を形成する貫通孔内に存在する場合、導通路を形成する導電性物質が貫通孔内壁からはなれる位置から該接触部の頂点までの距離(図7に図示するh)、又は接触部の底部から導電性物質が貫通孔内壁からはなれる位置までの距離(図8に図示するh)と貫通孔の孔径(d)の比(h/d)が1/2以下、好ましくは1/4以下の場合も平坦である。
【0016】
【作用】本発明のプローブ構造によれば、被検査体の突起電極(端子)に接触する接触部が平坦であるので、該突起電極と接触部との接触が点と面との接触となり、被検査体の端子との接触が良好となり、被検査体への押圧力の調整が簡易化され、接触信頼性が向上する。
【0017】また、被検査体の突起電極の少なくとも表面が低融点金属から構成され、プローブ構造の接触部の少なくとも表面が、例えばロジウム、パラジウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の貴金属から構成されている場合には、接触における耐久性が向上し、腐食の防止、かつ低融点金属との合金形成を行わないので、プローブとしての信頼性が向上する。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を示し、図を用いて詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0019】図1は、本発明のプローブ構造の第1の実施例を示す断面図である。図1に示されるプローブ構造P1において、絶縁性基材1の一方表面1aには、導電性材料からなる回路配線である導体パターン2が形成され、絶縁性基材1の他方表面1bには、平坦な接触部を持つ電極3が形成されている。電極3は絶縁性基材1の他方表面1bよりも僅かに外方向へ突出した凸状の金属突出物であるが、凸状の頂部から絶縁性基材1の他方表面1bまでの高さは5μm以下であり、かつ絶縁性基材1の他方表面1bにおける電極3の直径は10μm以上、好ましくは20μm以上であり、この場合該高さと該直径の比は1/2以下となり、接触部は実質的に平坦である。
【0020】導体パターン2が絶縁性基材1に当接する領域内、または該領域を含むその近傍領域には、絶縁性基材1を厚み方向に貫通し、導体パターン2と電極3とを接続し、電気的に導通する導通路4が形成されており、導通路4は導体パターン2側から電極3側にかけて径が漸次増大するテーパ状に形成されている。導体パターン2は、図示している被検査体である半導体素子5のボール(端子)6に接触すると、試験機器によって半導体素子5の導通検査が行われるようにパターン形成されている。
【0021】絶縁性基材1の形成材料としては、導体パターン2および電極3を安定して支持し、電気的絶縁特性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)共重合樹脂、ベンゾサイクロブテン(BCB,Dow Chemical社製)、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0022】これらのうち、耐熱性および機械的強度に優れ、半導体素子5の線膨張係数と合致させられるなどの点から、ポリイミド系樹脂が特に好適に使用される。絶縁性基材1の厚みは特に限定されないが、十分な機械的強度、可撓性を付与するために、2μm〜500μm、好ましくは10μm〜150μmに設定する。
【0023】導体パターン2、電極3および導通路4を構成する形成材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されず、公知の金属材料が使用できるが、例えば金、銀、銅、白金、鉛、亜鉛、スズ、ニッケル、アルミニウム、鉄、コバルト、イリジウム、モリブデン、ロジウム、パラジウム、クロム、タングステン、ルテニウムなどの単独金属、またはこれらを成分とする各種金属、例えば半田、ニッケル−錫、金−コバルト等が挙げられる。半導体素子5のボール6の少なくとも表面が低融点金属から構成されている場合には、プローブ構造P1の電極3の少なくとも表面の金属が、ロジウム、パラジウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の貴金属であることが望ましい。
【0024】導体パターン2は、これら金属材料からなる単層構造体に限らず、例えば銅箔からなる回路パターンに対してニッケルめっき、亜鉛めっき等を施すなどした多層構造体であってもよい。
【0025】また、3種類以上の形成材料を用いて電極3と導通路4とを形成してもよい。即ち、電極3と導通路4との間の中間層としてAuなどを用いて、電極3と導通路4との密着性を向上させてもよく、導体パターン2に接触する導通路4には銅等の安価な金属材質を用いる。また、電極3と導通路4との間に介在する中間層には、金属物質の相互反応を防止するためのバリア性金属材料としてニッケル等を用いることができる。
【0026】導体パターン2のパターン形状は、接触すべき半導体素子5の部品等に応じて、回路の本数、1本の回路幅、ピッチ等自由に選択される。導体パターン2の厚さも特に限定されないが、1μm〜200μm、好ましくは5μm〜80μmに設定する。
【0027】また、絶縁性基材1と導体パターン2との層間においては、ポリイミド系、エポキシ系、ポリエステル系、アクリル系等の接着剤を介していてもよい。
【0028】プローブ構造P1は、例えば以下の方法により形成される。まず、絶縁性基材1の一方表面1aに導電体層が積層されて形成された積層基材を用意する。絶縁性基材1の一方表面1aへの導電体層の形成方法としては、スパッタリング、各種蒸着、各種メッキ等の方法が挙げられる。また、導電体層として導電体箔を用い、導電体箔上に絶縁性基材1をラミネートする方法、または導電体箔上に絶縁性樹脂溶液を塗布して固化させ、導電体層の表面に絶縁性基材1を形成する方法が挙げられる。
【0029】次いで、導電体層の表面にレジスト層を形成して絶縁した後、フォト工程を用いて、化学的エッチング処理によって、導体パターン2を形成する領域以外の領域のレジストを除去する。その後、導電体層をエッチングして、所望の線状パターンに形成する。
【0030】その後、感光材料またはウエットエッチング可能な耐めっき性を有する絶縁性被膜層であるところのゴム系のめっきレジストを絶縁性基材1の他方表面1bに形成する。該レジストおよび絶縁性基材1の半導体素子5のボール6に相対する位置に、レジストおよび絶縁性基材1を貫通して導体パターン2に至る貫通孔を穿設する。
【0031】貫通孔の穿設は、パンチングなどの機械的穿孔方法、プラズマ加工、フォトリソグラフィー加工、ファインピッチ化に対応するためには微細加工が可能なドライエッチング等の方法により行うことができる。高エネルギービームを利用したドライエッチング方法として、エキシマレーザー、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、Arレーザー等のレーザー光の他、イオンビームエッチング、スパッタリング、放電加工等が例示される。なかでもパルス数またはエネルギー量を制御したエキシマレーザの照射による穿孔加工が好ましい。例えば発振波長が248nmのKrFエキシマレーザー光をマスクを介して照射して、ドライエッチングを施す。
【0032】また、絶縁性基材1と耐薬品性の異なるレジスト等を用いた化学エッチングにより穿孔することも可能であり、レジストとして感光性のポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等を用いる。
【0033】その後、貫通孔に導電性物質を絶縁性基材1の他方表面1bよりも外方向の位置に到達し、さらにレジストの表面と同一平面、または該表面以下まで充填して、導通路4および電極3を形成する。
【0034】導通路4および電極3の形成は、物理的に導電性物質を貫通孔に埋め込む方法、CVD法、電解めっき、無電解めっき等のめっき法、上記工程により得られた構造物を導電性物質の溶融浴に浸漬し、引き上げて導電性物質を析出させる化学的方法等により行うことができるが、特に導体パターン2を電極とした電解めっきによる方法が好ましい。
【0035】その後、レジストを除去することによって、平坦な電極3が形成される。なお、電極3の高さが低い場合、または後述の図6〜図9のように、電極が絶縁性基材1の他方表面1bと同一平面もしくは他方表面1bよりも内方向(貫通孔内)にある場合には、レジストを用いず、貫通孔に導電性物質を充填させるのみでもよい。
【0036】図2は、本発明のプローブ構造の第2の実施例を示す断面図である。なお、以下の図面において図1R>1に付した符号と同一の符号を付した部分は、図1において符号が付された部分と同一または相当する部分を示す。
【0037】図2に示されるプローブ構造P2において、絶縁性基材1の他方表面1bには、平板状の電極7が形成されている。図3は電極7の拡大断面図であり、電極7の外周面9と曲面状の接触部8とが接合する周縁部10から頂部11までの高さhが5μm以下であり、かつ電極7の直径dが10μm以上、好ましくは20μm以上であれば、高さhと電極の直径dとの比(h/d)が1/2以下となり、かかる凸状も平坦であるといえる。
【0038】また、電極の接触部は凹状であってもよい。図4は本発明のプローブ構造の第3の実施例を示す断面図であり、図4に示されるプローブ構造P3において、絶縁性基材1の他方表面1bには、周縁部から中央部にかけて漸次窪んだ凹状の電極12が形成されている。電極12の頂部(周縁部)から底部(中央部)までの高さは5μm以下であり、かつ電極12の直径が10μm以上、好ましくは20μm以上であれば、高さと電極の直径との比が1/2以下となり、半導体素子5のボール6と接触部との接触信頼性が向上するので、かかる凹状も平坦であるといえる。
【0039】図5は本発明のプローブ構造の第4の実施例を示す断面図である。図5に示されるプローブ構造P4において、絶縁性基材1の他方表面1bには、周縁部と中央部とで段差を有する凹状の電極13が形成されている。電極13の中央部は平面状であり、平坦な接触部が形成されている。
【0040】図6は本発明のプローブ構造の第5の実施例を示す断面図である。図6に示されるプローブ構造P5において、電極14は絶縁性基材1の他方表面1bから突出せず、絶縁性基材1の他方表面1bと同一平面上に形成されている。従って、電極14の接触部は絶縁性基材1の他方表面1bと同一平面上に平坦に形成されている。
【0041】図7〜図9は本発明のプローブ構造の第6〜第8の各実施例を示す断面図であり、各プローブ構造P6〜P8において、凸状の電極15(図7)、凹状の電極16(図8)、または平面状の電極17(図9)が各々の貫通孔内に形成されている。即ち、各導通路4の端部が平坦な接触部を形成している。なお、絶縁性基材1の他方表面1bから電極15,16,17の端部(但し、電極15では頂部、電極16では底部)までの距離は、100μm以下に設定するのが好ましい。
【0042】本発明において基材は、絶縁性基材1と導体パターンとの2層構造のみに限定されない。図10は本発明のプローブ構造の第9の実施例を示す断面図であり、図10に示されるプローブ構造P9において、導体パターン2の絶縁性基材1側と反対側の面が他の絶縁層18で被覆されている。絶縁層18は、絶縁性基材1および導体パターン2に対して、あらかじめ形成された絶縁フィルムを、ポリイミド系、エポキシ系、ポリエステル系、アクリル系等の接着剤を介して、または絶縁フィルム自体の溶着によって密着するか、塗布、蒸着法など公知の薄膜形成法を用いて直接形成することができる。また、絶縁性基材1と絶縁層18とで導体パターンを挟んだ積層基材を用いた場合には、導体パターン2からの電極3の取り出しは、絶縁性基材1の所望の位置で、上述の貫通孔を穿設する方法により孔開けを行い、貫通孔内に金属を充填し、電極3を形成するようにしてもよい。
【0043】本発明のプローブ構造は、被検査体である半導体素子または半導体素子搭載基板の突起電極が多数、高密度となる場合、導体パターンの設計が困難となるので、2層以上の多層にすることが望ましい。図11は本発明のプローブ構造の第10の実施例を示す断面図であり、図11に示されるプローブ構造P10は、半導体素子搭載基板19のバーンイン検査用機器の先端部に設けられるプローブ構造である。半導体素子搭載基板19の基板20の中央部には凹部が形成され、この凹部の底面に半導体素子5が載置されている。半導体素子5の端子21と基板20の端子22とがボンディングワイヤ23を介して接続され、これらは絶縁性樹脂24にて封止されている。基板20には、厚み方向に貫通して、基板20の半導体素子5側と反対側の面に至る導通路25が形成され、導通路25を介して端子22とボール6とが接続されている。
【0044】プローブ構造P10は、多層配線構造を有するマルチチップモジュール基板であり、多層(図11においては二層)の導体パターン2a,2bが形成されている。導体パターン2a,2bは、複数の絶縁体層によって絶縁されており、導通路4bによって導体パターン2a,2bの層間が接続されている。導体パターン2a,2bは、被検査体である半導体素子搭載基板19の電気特性検査を行うための図示しない電気特性検査器に接続されている。
【0045】プローブ構造P10は、例えば導体パターンと絶縁体とからなる基板を多層に積層することにより得られる。その際、各基板の層間にポリイミド系、エポキシ系、ポリエステル系、アクリル系等の接着剤を介して接着する。また、所望の位置において、上述の貫通孔を穿設する方法により絶縁体に貫通孔を開け、導電性物質を貫通孔部分に埋め込み、各基板間の導通をとる。
【0046】以上の実施例においては、被検査体の突起電極(ボール6)の直径がプローブ構造の導通路4の直径と同程度である場合について説明したが、図12に示すようにボール6が導通路4に比して直径が極端に大きい場合(例えば100μm程度)には、電極3の接触部は平面状であることが接触信頼性を向上させる観点から特に望ましい。
【0047】また、以上の実施例においては、被検査体の突起電極(ボール6)と接触する接触部が、絶縁性基材1を厚み方向に貫通する導通路4を介して、絶縁性基材1の一方表面1aに形成された導体パターン2と接続する場合について説明したが、本発明のプローブ構造はかかる構造のみに限定されず、例えば図13〜図15に示されるように、接触部が絶縁性基材に対して同じ側にあり、導通路を持たないような構造をも包含する。
【0048】図13は本発明のプローブ構造の第11の実施例を示す断面図、図14はその平面図、図15は図1313のA−A線断面図である。プローブ構造P11はプリント基板であって、基板本体は導体パターン2が絶縁性基材1と絶縁層18との間に挟まれて形成され、半導体素子5が搭載される部分の絶縁層18が除去されている。絶縁層18は半導体素子5の面方向における領域に対応する領域に中空部を有しており、半導体素子5がちょうど入る程度の窓26が形成されている。即ち、半導体素子5の面方向における領域に対応する導体パターン2の領域が露出して、半導体素子5のバンプ27が導体パターン2の一部に接触するようにパターン形成されている。導体パターン2のうち少なくともバンプ27に接触する接触部8が平坦に形成されている。
【0049】絶縁層18に形成される半導体素子5のサイズの窓26は、絶縁フィルムを用いるのであれば、あらかじめカッティング等により穿孔しておいてもよく、あるいは絶縁層18を形成した後に窓26を穿孔するのであれば、上述の貫通孔を穿設する方法に準じて形成される。
【0050】
【発明の効果】以上のように、本発明のプローブ構造によれば、被検査体の端子である突起電極に接触する接触部が平坦であるので、被検査体の端子との接触信頼性が向上し、被検査体への押圧力の調整が簡易化され、接触信頼性が向上する。
【0051】また、被検査体の突起電極の少なくとも表面が低融点金属から構成され、プローブ構造の接触部の少なくとも表面が、例えばロジウム、パラジウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の貴金属から構成されている場合には、接触における耐久性が向上し、腐食の防止、かつ低融点金属との合金形成を行わないので、プローブとしての信頼性が向上する。
【0052】従って、本発明のプローブ構造は、高温条件下でのバーンイン試験において好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプローブ構造の第1の実施例を示す断面図である。
【図2】本発明のプローブ構造の第2の実施例を示す断面図である。
【図3】電極7の拡大断面図である。
【図4】本発明のプローブ構造の第3の実施例を示す断面図である。
【図5】本発明のプローブ構造の第4の実施例を示す断面図である。
【図6】本発明のプローブ構造の第5の実施例を示す断面図である。
【図7】本発明のプローブ構造の第6の実施例を示す断面図である。
【図8】本発明のプローブ構造の第7の実施例を示す断面図である。
【図9】本発明のプローブ構造の第8の実施例を示す断面図である。
【図10】本発明のプローブ構造の第9の実施例を示す断面図である。
【図11】本発明のプローブ構造の第10の実施例を示す断面図である。
【図12】ボール6が導通路4に比して直径が極端に大きい場合のプローブ構造の部分断面図である。
【図13】本発明のプローブ構造の第11の実施例を示す断面図である。
【図14】本発明のプローブ構造の第11の実施例を示す平面図である。
【図15】図13のA−A線断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基材
2 導体パターン(回路配線)
4 導通路
5 半導体素子(被検査体)
6 ボール(突起電極)
8 接触部
27 バンプ(突起電極)
P1〜P11 プローブ構造
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外部試験機器と接続する回路配線と、該回路配線と導通し、被検査体の突起電極に接触する平坦な接触部とを有することを特徴とするプローブ構造。
【請求項2】 該突起電極の少なくとも表面が低融点金属からなり、該接触部の少なくとも表面がロジウム、パラジウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の貴金属からなることを特徴とする請求項1記載のプローブ構造。
【請求項3】 絶縁性基材の厚み方向に形成され、該回路配線と該接触部とを接続する導通路を有する請求項1記載のプローブ構造。
【請求項1】 外部試験機器と接続する回路配線と、該回路配線と導通し、被検査体の突起電極に接触する平坦な接触部とを有することを特徴とするプローブ構造。
【請求項2】 該突起電極の少なくとも表面が低融点金属からなり、該接触部の少なくとも表面がロジウム、パラジウム、イリジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の貴金属からなることを特徴とする請求項1記載のプローブ構造。
【請求項3】 絶縁性基材の厚み方向に形成され、該回路配線と該接触部とを接続する導通路を有する請求項1記載のプローブ構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図13】
【図15】
【図11】
【図12】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図13】
【図15】
【図11】
【図12】
【図14】
【公開番号】特開平8−297142
【公開日】平成8年(1996)11月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−41745
【出願日】平成8年(1996)2月28日
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【公開日】平成8年(1996)11月12日
【国際特許分類】
【出願日】平成8年(1996)2月28日
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
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