説明

ヘアーブラシ

【課題】内部にシャンプーや育毛剤などの液体を充填でき、使用者の状況に応じて液体の使用量を容易に調節できるヘアーブラシを提供する。
【解決手段】 基台本体部2の開口端面16に流量調節板9を固定する。また、基台本体部2の開口端部の周方向全長に亙って、径方向外側に延設された係合爪15を有する。ブリストル支持部4は、ブリストル5の先端部表面に放出孔6を形成し、周縁部の周方向全長に亙って、断面逆L字状に延びる係合部7を有する。基台本体部2の係合爪15をブリストル支持部4の係合部7に係合させることにより、基台本体部2とブリストル支持部4を相対摺動可能に連結する。これにより、流量調節部材9は、ブリストル支持部4の反ブラッシング面14において、連通路18の横断方向で摺動自在にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮や頭髪を洗浄する際に使用するヘアーブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヘアーブラシは、複数のブリストル(櫛歯)が突設されているブラシヘッドを備えた構造が広く知られており、この例として、特許文献1に記載のヘアーブラシがある。
【0003】
特許文献1に記載のヘアーブラシは、外面に複数のブリストルが突設されたブラシヘッドの内部に液体収納部を有し、ブリストルの先端に、液体収納部に充填されたヘアートニックや育毛剤などの液体を放出させる放出孔が形成されたものである。
【特許文献1】特開2001−245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1のヘアーブラシは、個々のブリストルの表面に形成された放出孔から育毛剤やシャンプーなどの液体が放出されるため、液体が頭髪や頭皮に過剰に付着することがない。
【0005】
しかし、特許文献1のヘアーブラシは、使用者の状況(頭髪の長さなど)に応じて、ブリストルの表面から放出される液体の量を調節するのが困難である。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、内部にシャンプーや育毛剤などの液体を充填でき、使用者の状況に応じて液体の使用量を容易に調節できるヘアーブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明のヘアーブラシは、内部に液体充填部を有すると共に、外面に複数のブリストルが突設された基台と、前記ブリストルの表面に形成された放出孔と、前記液体充填部と前記放出孔とを連通する連通路と、前記連通路の横断方向に摺動自在に配設され、連通路の開度を増減調節可能な流量調節部材とで構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の場合、流量調節部材の摺動により、連通路の開度(開口の大きさ)を増減させることができる。これにより、液体充填部に充填されたシャンプーなどの液体がブリストルの表面から放出される量を増減させることができる。なお、「摺動自在」の方向は、相対回転と相対直動を含む。
【0009】
上記した本発明の基台は、内部に液体充填部を有する基台本体部と、その基台本体部に取り付けられ、外面にブリストルが突設されたブリストル支持部とで構成することができる。
【0010】
上記の発明において、基台本体部とブリストル支持部を相対摺動可能に連結し、流量調節部材を、ブリストル支持部の内側に隣接させて、基台本体部に固定するようにすることができる。この場合、基台本体部或いはブリストル支持部の少なくともいずれかを、基台本体部或いはブリストル支持部に対して相対摺動させることにより、基台本体部に固定した流量調節部材を、ブリストル支持部において、連通路の横断方向に摺動させることができる。これにより、連通路の開度を増減調節して、ブリストルの表面から放出される前記液体の量を調節することができる。つまり、液体充填部に充填される前記液体の使用量を容易に調節することができる。
【0011】
また、基台本体部に軸部材挿入孔を貫通形成し、その軸部材挿入孔から前記基台の内部へ軸部材を挿入し、この軸部材の先端部に前記流量調節部材を取り付けるようにしてもよい。
【0012】
この場合、周方向に回転させるなどして軸部材を操作することにより、この軸部材の先端部に取り付けた流量調節部材を、ブリストル支持部において、連通路の横断方向に摺動させることができる。これにより、連通路の開度を増減調節して、ブリストルの表面から放出される前記液体の量を調節することができる。
【0013】
これまでに述べた本発明の流量調節部材には、一又は複数の貫通孔を形成するのが望ましい。
【0014】
この場合、流量調節部材を前記連通路の横断方向に摺動させた際、連通路の開度を多様に変化させることができる。そのため、ブリストルの表面から放出される前記液体の量を多様に調節することができる。
【0015】
また、これまでに述べた本発明において、ブリストルの放出孔は、ブリストルの先端部表面に形成するのが望ましい。
【0016】
このようにすると、ブリストルの表面から放出されるシャンプーなどの液体が、頭髪の深部である頭皮に行き届き易くなる。そのため、ヘアーブラシの頭皮洗浄能力が向上する。
【0017】
また、既に述べた本発明は、基台に、液体充填部へシャンプーなどの液体を充填するための充填孔を形成するのが望ましい。
【0018】
この場合、必要に応じて液体充填部に充填する液体の種類を変更することができるため、ヘアーブラシは、使い捨てにする必要はなく、複数回に亘って使用することができる。
【0019】
これまでに述べた本発明において、流量調節部材に、この流量調節部材を操作するための操作部を設けるようにするとよい。
【0020】
この場合、流量調節部材を直接操作する必要がないため、ヘアーブラシの使い勝手が良くなる。
【0021】
これまでに述べた本発明において、基台に、前記連通路の開度を表す目印を付すのが望ましい。
【0022】
この本発明について、基台本体部とブリストル支持部を相対摺動可能に連結し、ブリストル支持部の内側に隣接して流量調節部材を基台本体部に固定し、ブリストル支持部に、相対摺動させるための操作部を設けた本発明のヘアーブラシを例に挙げて説明する。
【0023】
このヘアーブラシの基台本体部に、液体の量を特定する「多」(ブリストルの表面から放出される前記液体の量が多い)、「少」(ブリストルの表面から放出される前記液体の量が少ない)、「切」(ブリストルの表面から前記液体が放出されない)の印を付す。この場合、基台本体部を固定した状態で、ブリストル支持部を摺動させることにより、前記操作部の位置を、基台本体部に付した目印のブリストル支持部側延長線上の位置に対応させると良い。この場合、前記連通路の開度を目視できるため、使用者の状況に応じて前記液体の使用量を即座に調節することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のヘアーブラシは、流量調節部材を連通路の横断方向に摺動させることにより、連通路の開度を増減させて、基台の液体充填部に充填された液体がブリストルの表面から放出される量を調節することができる。つまり、使用者の状況(頭髪の長さなど)に応じて前記液体の使用量を容易に調節できる。また、前記液体を効率よく使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明の実施の形態について、添付の図面(図1〜図13)を参照して説明する。
【0026】
図1〜図6に本発明の第1の実施形態を示す。図1は本実施形態のヘアーブラシの断面図を示し、図2に本実施形態のヘアーブラシの斜視図を示した。
【0027】
図1に示すように、ヘアーブラシ1は、基台(基台本体部2、ブリストル支持部4)と、流量調節部材である流量調節板9を主要部とする。ブリストル支持部4は、円筒状で、一端面は複数のブリストル5(櫛歯)が突設されたブラッシング面13をなす。また、周縁部に係合部7を有する。この係合部7は、ブリストル支持部4の周縁部から反ブリストル5側(図面上部側)に断面逆L字状に延びた形状をなす。
【0028】
基台本体部2は、一端に開口部を有するカップ状をなし、開口端部の周方向全長に亙って、その開口端部から径方向外側に延設された係合爪15を有する。また、基台本体部2の内部にはシャンプーなどの液体が充填される液体充填部17を有する。なお、基台本体部2の反ブリストル5側端部は、反ブリストル5側へ延びる断面T字状の突出部3を有し、これをヘアーブラシ1の持ち手とする。
【0029】
基台本体部2の開口端面16には、円盤状の流量調節板9を溶着等により固定する。これにより、基台本体部2の開口部は閉塞される。
【0030】
ブリストル5の先端部表面には、放出孔6を形成する。この放出孔6と基台本体部2の液体充填部17は連通路18で連通させる。連通路18は、ブリストル支持部4の反ブラッシング面14で開口した状態になる。
【0031】
流量調節板9を固定した基台本体部2の係合爪15は、ブリストル支持部4の係合部7に係合する。これにより、基台本体部2とブリストル支持部4が相対摺動可能に連結される。また、流量調節板9は、ブリストル支持部4の反ブラッシング面14(ブリストル支持部4の内側)において、連通路18の横断方向で摺動自在になる。図3に、ブリストル支持部4の反ブラッシング面14を基台本体部2側から見た正面図を示す。
【0032】
ここで、「摺動自在」とは、流量調節板9のブリストル支持部4に対する位置変化を意味し、相対回転と相対直動を含む。本実施形態では、流量調節板9は、基台本体部2に固定するため、この基台本体部2に追従して動く。そのため、基台本体部2とブリストル支持部4のうち少なくとも一方を摺動させることにより、流量調節板9を、ブリストル支持部4の反ブラッシング面14において、連通路18の横断方向に摺動させることができる。
【0033】
ブリストル支持部4の円周面には、ブリストル支持部4のブラッシング面13と平行する方向に延びる延設部8を設け、これは、ブリストル支持部4を摺動させるための操作部とする。この操作部でブリストル支持部4を周方向に摺動させると、流量調節板9は、ブリストル支持部4の反ブラッシング面14で、周方向(つまり、連通路18の横断方向)に摺動させることができる。
【0034】
この流量調節板9には、図4(ブリストル5側から見た正面図)に示すように、大きさと形状が同じである複数の貫通孔10を形成する。この貫通孔10が形成された流量調節板9で、連通路18を開度0とすることにより、流量調節板9の貫通孔10と連通路18が非連通状態になる。
【0035】
流量調節板9の径方向中心部には、基台本体部2の液体充填部17(図1参照)にシャンプーなどの液体を充填するための充填孔11を形成し、この充填孔11は止栓12で密栓する。
【0036】
次に、ヘアーブラシ1の組立て方法を、図5に示すフロー図を参照して説明する。
【0037】
まず、ステップ1において、矢印Aで示すように、基台本体部2の開口端面16に固定した流量調節板9の充填孔11を密栓する止栓12を取り外す。このステップ1において、流量調節板9を反基台本体部2側(図面上部側)から見た正面図を円枠O内に示した。
【0038】
次に、ステップ2において、矢印Bで示すように、充填孔11から基台本体部2の内部の液体充填部17にシャンプー20を充填する。なお、このステップ2において、流量調節板9を反基台本体部2側から見た正面図を円枠P内に示した。
【0039】
液体充填部17にシャンプー20を充填した後、ステップ3において、矢印Cで示すように、流量調節板9の充填孔11を止栓12で密栓する。なお、ステップ3において、流量調節板9を反基台本体部2側から見た正面図を円枠Q内に示した。
【0040】
そして、ステップ4において、白抜矢印Dで示すように、流量調節板9を固定した基台本体部2の係合爪15をブリストル支持部4の係合部7に係合する。これにより、流量調節板9を固定した基台本体部2とブリストル支持部4を相対摺動可能にできる。また、流量調節板9は、ブリストル支持部4の反ブラッシング面14において、連通路18の横断方向で摺動自在になる。
【0041】
最後にステップ4で組み立てたものを180°反転させて、ステップ5に示すように、使用前のヘアーブラシ1とする。
【0042】
次に、図5のステップ5に示した状態のヘアーブラシ1を使用する際の使用方法について、図6に示すフロー図を参照して説明する。
【0043】
まず、ステップ1に示すように、基台本体部2を固定した状態で、ブリストル支持部4の延設部8(操作部)を手で操作して、白抜矢印Aで示すように、ブリストル支持部4を周方向時計周りに摺動させる。このステップ1において、ブリストル支持部4の反ブラッシング面14と流量調節板9を基台本体部2の突出部3(持ち手)側から見た正面図(ブリストル支持部4の回転前)を円枠X内に示した。
【0044】
ここで、円枠X内に示すように、ブリストル支持部4を周方向に摺動させる前は、流量調節板9により、連通路18が開度0になっている。この状態では、流量調節板9の貫通孔10と連通路18が重なっておらず、流量調節板9の貫通孔10と連通路18が非連通状態になっている。
【0045】
ステップ1の操作で、ブリストル支持部4を基台本体部2で周方向に摺動させるため、基台本体部2の開口端面16に固定された流量調節板9は、基台本体部2の動きに追従して、ブリストル支持部4の反ブラッシング面14で、周方向(連通路18の横断方向)に摺動する。
【0046】
上記の操作により、連通路18の開度を増減させることができる。これにより、円枠Y内の正面図(ブリストル支持部4の反ブラッシング面14と流量調節板9を基台本体部2の突出部3側から見た正面図)に示すように、流量調節体9の貫通孔10と連通路18を局部的或いは全体的に重ならせて、基台本体部2の液体充填部17とブリストル5の放出孔6の連通状態を変化させることができる。なお、連通路18の開度が大きいほど(つまり、流量調節板9の貫通孔10と連通路18の重なり部分の面積が大きいほど)、ブリストル5の先端部表面に形成した放出孔6(以下、ブリストル5の先端とする)から放出されるシャンプー20の量が多くなる。
【0047】
このように、本実施形態では、基台本体部2を固定した状態で、ブリストル支持部4を周方向に摺動させることにより、流量調整板9を、ブリストル支持部4の反ブラッシング14で、周方向(連通路18の横断方向)に摺動させることができる。これにより、連通路18の開度を増減させて、基台本体部2の内部の液体充填部17に充填されるシャンプー20がブリストル5の先端から放出される量を調節することができる。つまり、使用者の状況(頭髪の長さなど)に応じてシャンプー20の使用量を容易に調節できる。さらに、シャンプー20を効率よく使用することができる。なお、本実施形態のヘアーブラシ1は、基台本体部2を固定した状態で、ブリストル支持部4を周方向に摺動させたが、ブリストル支持部4を固定した状態で、基台本体部2を周方向に摺動させる場合、或いは、ブリストル支持部4と基台本体部2を互いに摺動させる場合においても、流量調節板9を摺動させることができるため、上述した本発明の作用および効果を得ることができる。
【0048】
また、流量調節板9を摺動させる前は、この流量調節板の貫通孔10と連通路18を非連通状態にして、連通路18を開度0の状態にする。この場合、ブリストル5の先端から液体充填部17に充填されたシャンプー20が放出されない。そのため、この状態をヘアーブラシ1の未使用時とすることができ、この状態(つまり、液体充填部17にシャンプー20が充填された状態)のまま、ヘアーブラシ1を保管することが可能になる。
【0049】
また、流量調節板9は、基台本体部2の開口端面16に固定するため、ヘアーブラシ1の部品点数を減らすことができる。これにより、ヘアーブラシ1の製造に必要なコストを削減できると共に、ヘアーブラシ1の組付け性を向上させることができる。
【0050】
さらに、流量調節板9は、液体充填部17にシャンプー20を充填する充填孔11を形成するため、必要に応じて、液体充填部17に充填する液体を交換することができる。そのため、ヘアーブラシ1は、使い捨てにすることなく、複数回に亘って使用することができる。
【0051】
本実施形態のヘアーブラシ1は、持ち手としての突出部3を基台本体部2に設けるため、ヘアーブラシ1を使用する際、突出部3を支持して使用することができる。そのため、使い勝手が良い。
【0052】
また、ブリストル支持部4は、周方向に摺動させるための操作部8(つまり、流量調節板9を摺動させるための操作部8)を有する。そのため、ブリストル5の先端から放出されるシャンプー20の量を調節する際、ブリストル支持部4を直接摺動させる必要がない。この点においても、ヘアーブラシ1は使い勝手が良い。
【0053】
さらに、ヘアーブラシ1は、ブリストル5の先端部表面に放出孔6を形成するため、頭髪の深部である頭皮までシャンプー20が行き届きやすく、頭皮洗浄能力に優れている。
【0054】
図7および図8に本発明の第2の実施形態を示す。図7は本実施形態のヘアーブラシの断面図を示し、図8に本実施形態のヘアーブラシの斜視図を示した。なお、本実施形態において、図1〜図6に示す第1の実施形態と同じ部位、機能、形態を有する部品については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0055】
本実施形態のヘアーブラシ31は、基台本体部2に設けた突出部3(持ち手)の端部に、基台本体部2の液体充填部17にシャンプーなどの液体を充填するための充填孔34を形成し、この充填孔34を止栓35で密栓したものである。このため、図1に示すヘアーブラシ1において、流量調節板9に形成した充填孔11と止栓12が省略されている。
【0056】
また、ヘアーブラシ31は、図8に斜視図で示すように、基台本体部2の円周面36に、連通路18の開度を表す目印を刻み込む。なお、「切」は、ブリストル5の先端から液体が放出されないことを意味する。「少」は、ブリストル5の先端から放出される液体の量が最少であることを意味する。「多」は、ブリストル5の先端から放出される液体の量が最多であることを意味する。
【0057】
この場合、連通路18の開度を目視できるため、ブリストルの先端から放出される前記液体の量を即座に調節することができる。なお、ブリストルの先端から放出される前記液体の量が調節される機構については、図1〜図6に示す第1の実施形態と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
【0058】
なお、ブリストルの先端から放出される前記液体の量の調節は、延設部8(操作部)の周方向位置を、基台本体部2に刻んだ「切」、「少」、「多」の位置に対応させることで可能である。このように、ブリストル支持部4での操作部8の周方向位置を、基台本体部2の刻印間に対応する位置で変化させることにより、ブリストル5の先端から前記液体が放出される量を多様に変化させることができる。
【0059】
図9に本発明の第3の実施形態を示す。本実施形態のヘアーブラシ71は、基台(基台本体部2、ブリストル支持部4)と、軸部材74と、流量調節部材である流量調節板79で主要部が構成されている。なお、本実施形態において、図1と同じ部位、機能、形態を有する部品については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0060】
基台本体部2は、一端に開口部を有するカップ状をなし、基台本体部2は、反ブリストル5側端部の局所から反ブリストル支持部4側へ延びた断面T字状の突出部3(持ち手)を有する。基台本体部2の内部は、シャンプーなどの液体が充填される液体充填部17を有する。また、基台本体部2の反ブリストル5側端部には、液体充填部17にシャンプーなどの液体を充填するための充填孔72を形成し、この充填孔72は止栓73で密栓する。さらに、基台本体部2の開口端部は、径方向外側に延設され、かつ、その開口端部の周方向全周に亙って延びる係合爪15を有する。この係合爪15の反端部側(図面上部側)外側面84の一箇所に嵌合溝81を形成する。なお、ブリストル支持部4は、図1に示す第1の実施形態と基本的に同じ形状であるが、係合部7の内側面85の一箇所に嵌合突起82を設ける。
【0061】
基台本体部2はブリストル支持部4に連結させて固定する。これは、基台本体部2の係合爪15をブリストル支持部4の係合部7に係合し、さらに、係止爪15の嵌合溝81に係合部7の嵌合突起82を嵌合することにより行う。
【0062】
円盤状の流量調節板79は、基台本体部2の内壁78に摺接させた状態とし、また、ブリストル支持部4の反ブラッシング面14(ブリストル支持部4の内側)において、連通路18の横断方向で摺動自在にする。
【0063】
流量調節板79は、図10(基台本体部2側から見た正面図)に示すように、複数の貫通孔80を形成し、この貫通孔80は大きさと形状を同じにする。また、反ブリストル5側端面83の径方向中心部に、軸部材圧入孔77を形成する。
【0064】
この軸部材圧入孔77には、基台本体部2の突出部3(持ち手)の端部に形成した軸部材挿入孔76から挿入した軸部材74を圧入する。この軸部材74は、一端部に軸部材挿入孔76からの抜けを防止するための抜け止め部75を有した断面T字状をなす。
【0065】
次に、ヘアーブラシ71の組立て方法について、図11に示すフロー図を参照して説明する。
【0066】
まず、ステップ1において、矢印Aで示すように、基台本体部2の突出部3(持ち手)の端部に形成した軸部材挿入孔76に、軸部材74を挿入する。この軸部材74は、流量調節板79をブリストル支持部4の反ブラッシング面14で摺動させるための操作部となる。上述したように、軸部材挿入孔76に軸部材74を挿入する際、軸部材74の抜け止め部75を突出部3(持ち手)の端面に当接させる。これにより、軸部材74が軸部材挿入孔76から抜け出て、軸部材74および流量調節板79が基台本体部2から外れるのを防止できる。
【0067】
次に、ステップ2において、矢印Bで示すように、流量調節板79の軸部材圧入孔77に軸部材74を圧入する。
【0068】
続いて、ステップ3において、矢印Cで示すように、基台本体部2と流量調節板79と軸部材74の組付体Uをブリストル支持部4に連結させて固定する。これにより、流量調節板79は、基台本体部2の内壁78に摺接した状態となり、また、前記ブリストル支持部4の反ブラッシング面14において、連通路18の横断方向で摺動自在になる。これは、基台本体部2の係合爪15をブリストル支持部4の係合部7に係合し、さらに、基台本体部2の係合爪15の反端部側外側面84に形成した嵌合溝81に、ブリストル支持部4の係合部15の内側面85に設けた嵌合突起82を嵌合することにより行う。これにより、ステップ4に示すように、ヘアーブラシ71を完成させる。
【0069】
次に、ヘアーブラシ71の使用方法について、図12に示すフロー図を参照して説明する。
【0070】
まず、ステップ1において、矢印Aで示すように、基台本体部2の止栓73を外す。
【0071】
次に、ステップ2において、矢印Bで示すように、充填孔72から基台本体部2の液体充填部17にシャンプー20を充填する。
【0072】
さらに、ステップ3において、矢印Cで示すように、充填孔72を止栓73で密栓する。
【0073】
最後に、ステップ4に示すように、軸部材74の抜け止め部75を白抜矢印Dで示すように周方向時計回りに回転させることで、軸部材74を白抜矢印Eで示すように周方向時計周りに回転させる。これにより、流量調節板79が、ブリストル支持部4の反ブラッシング面14で、抜け止め部75や軸部材74と同方向(白抜矢印Dや白抜矢印Eで示す方向)、つまり、連通路18の横断方向に摺動する。
【0074】
上記したステップ3の操作により、連通路18の開度を増減させることができる。これにより、基台本体部2の液体充填部17とブリストル5の放出孔6の連通状態を多様に変化させることができる。この結果、ブリストル5の先端から放出されるシャンプー20の量を必要に応じて容易に調節することができる。
【0075】
図13に本発明の第4の実施形態を示す。本実施形態のヘアーブラシ51は、基台本体部2におけるブリストル支持部4への取付端部59に複数の貫通孔60を形成することで、図1に示す第1の実施形態で説明した流量調節部材9(流量調節板)としての機能を具備させたものである。つまり、基台本体部2に流量調節部材59を設けたものである。そのため、本実施形態のヘアーブラシ51の作用および効果は、図1に示す第1の実施形態のヘアーブラシ1と同じであるため、その説明を省略する。また、ブリストル支持部4の構造については、図1に示す第1の実施形態と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
【0076】
ヘアーブラシ51は、基台(基台本体部52、ブリストル支持部4)で主要部が構成されている。ブリストル支持部4は、一端面が、複数のブリストル5が突設されてブラッシング面13をなし、周縁部に係合部7を有する。この係合部7は、ブリストル支持部4の周縁部から反ブリストル5側(図面上部側)に断面逆L字状に延びた形状をなす。
【0077】
基台本体部52は、中空状をなし、内部には、シャンプーなどの液体が充填される液体充填部67を有する。この基台本体部2は、一端部に、径方向外側に延設され、かつ、その取付端部59の周方向全長に亙って延びる係合爪63を有する。この係合爪63をブリストル支持部4の係合部7に係合する。これにより、基台本体部52とブリストル支持部4を相対摺動可能に連結することができる。また、流量調節部材59は、ブリストル支持部4の反ブラッシング面14(ブリストル支持部4の内側)において、連通路18の横断方向で摺動自在になる。
【0078】
また、基台本体部52は、反取付端部、つまり、反ブリストル5側端部の局所を反ブリストル5側に起立させた断面T字状の突出部53を有し、これを持ち手53とする。この持ち手53の端部に、基台本体部52の液体充填孔67にシャンプーなどの液体を充填するための充填孔61を形成する。この充填孔61は止栓62で密栓する。
【0079】
このように、本実施形態では、基台本体部52に流量調節部材59を設けるため、流量調節板9を使用する必要はなく、部品点数を減らすことができる。さらに、ヘアーブラシ51の製造コストを大幅に削減することができると共に、ヘアーブラシ51の組付け性が向上する。
【0080】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、これらに限らず、特許請求の範囲に記載の技術的思想を逸脱しない範囲内で任意に変更が可能である。
【0081】
例えば、図1、図7に示す第1および第2の実施形態では、基台本体部2を固定した状態で、ブリストル支持部4に設けた延設部8(操作部)を操作してブリストル支持部4を周方向に摺動させることにより、流量調節板9を、ブリストル支持部4の反ブラッシング面14において、周方向(つまり、連通路18の横断方向)に摺動させる。しかし、ブリストル支持部4を固定した状態で、基台本体部2に設けた延設部(操作部)を操作して基台本体部2を周方向に摺動させることにより、流量調節板9を、ブリストル支持部4の反ブラッシング面14において、周方向に摺動させるようにしても良い。
【0082】
また、第2の実施形態(図7参照)に示す構造のヘアーブラシにおいて、連通路の開度を表す目印をブリストル支持部の外周面に付し、基台本体部の外周面に、基台本体部をブリストル支持部で周方向に摺動させるための延設部(操作部)を設けるようにしてもよい。この場合、ブリストル支持部を固定した状態で延設部(操作部)を操作して、基台本体部を周方向に摺動させ、延設部(操作部)の周方向位置を、前記ブリストル支持部に付した目印の周方向位置に対応させる。これにより、液体充填部に充填された液体がブリストルの先端から放出される量を即座に調節することができる。なお、流量調節部材が目視できる場合は、この流量調節部材に連通路の開度を表す目印を付すようにしても良い。
【0083】
なお、本発明において、流量調節部材に形成する貫通孔は、一つでも複数でもよく、また、貫通孔を複数とする場合、これらの大きさと形状を異ならせても良い。また、流量調節部材を摺動させる方向は、本実施形態のような周方向に限られることはなく、径方向にするなど、任意に変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示すヘアーブラシの斜視図である。
【図3】図1に示すブリストル支持部の反ブラッシング面を基台本体部側から見た正面図である。
【図4】図1に示す流量調節板をブリストル側から見た正面図である。
【図5】図1に示すヘアーブラシの組立て方法を説明する断面図である。
【図6】図1に示すヘアーブラシの使用方法を説明する断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態を示す断面図である。
【図8】図7に示すヘアーブラシの斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施形態を示す断面図である。
【図10】図9に示す流量調節板を示す断面図である。
【図11】図9に示すヘアーブラシの組立て方法を説明する断面図である。
【図12】図9に示すヘアーブラシの使用方法を説明する断面図である。
【図13】本発明の第4の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0085】
1、31、51、71 ヘアーブラシ
2、52 基台本体部
3、53 突出部(持ち手)
4 ブリストル支持部
5 ブリストル
6 放出孔
7 係合部
8 延設部(操作部)
9、79 流量調節板
10、60、80 貫通孔
11、34、61、72 充填孔
12、35、62、73 止栓
13 ブラッシング面
14 反ブラッシング面
15、63 係合爪
16 開口端面(基台本体部)
17、67 液体充填部
18 連通路
20 シャンプー
36 円周面(基台本体部)
59 取付端部(流量調節部材)
74 軸部材(操作部)
75 抜け止め部
76 軸部材挿入孔(基台本体部)
77 軸部材圧入孔(流量調節板)
78 内壁(基台本体部)
81 嵌合溝(基台本体部)
82 嵌合突起(ブリストル支持部)
83 反ブリストル側端面(流量調節板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体充填部を有すると共に、外面に複数のブリストルが突設された基台と、前記ブリストルの表面に形成された放出孔と、前記液体充填部と前記放出孔とを連通する連通路と、前記連通路の横断方向に摺動自在に配設され、連通路の開度を増減調節可能な流量調節部材とで構成されていることを特徴とするヘアーブラシ。
【請求項2】
前記基台は、内部に液体充填部を有する基台本体部と、その基台本体部に取り付けられ、外面に前記ブリストルが突設されたブリストル支持部とで構成されている請求項1に記載のヘアーブラシ。
【請求項3】
前記基台本体部と前記ブリストル支持部が相対摺動可能に連結されると共に、前記ブリストル支持部の内側に隣接して前記流量調節部材が基台本体部に固定されている請求項2に記載のヘアーブラシ。
【請求項4】
前記基台本体部に軸部材挿入孔が貫通形成され、その軸部材挿入孔から前記基台の内部へ軸部材が挿入され、その軸部材の先端部に前記流量調節部材が取り付けられている請求項2に記載のヘアーブラシ。
【請求項5】
前記流量調節部材は、一又は複数の貫通孔が形成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のヘアーブラシ。
【請求項6】
前記放出孔は、前記ブリストルの先端部表面に形成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の記載のヘアーブラシ。
【請求項7】
前記基台に、液体充填部へシャンプーなどの液体を充填するための充填孔が形成されている請求項1〜6のいずれか一項に記載のヘアーブラシ。
【請求項8】
前記流量調節部材に、前記流量調節部材を操作するための操作部が設けられている請求項1〜7のいずれか一項に記載のヘアーブラシ。
【請求項9】
前記基台に、前記連通路の開度を表す目印が付されている請求項1〜8のいずれか一項に記載のヘアーブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−240591(P2009−240591A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91810(P2008−91810)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(508098604)
【Fターム(参考)】