説明

ヘッダ部品及びその接続構造

【課題】 本発明は、濾過膜モジュールの増設をする際に作業性が良く、樹脂等の安価な材料でヘッダを構成することが出来るヘッダ部品及びその接続構造を提供することを目的としている。
【解決手段】 並設される複数の濾過膜モジュール2に夫々接続される枝管7に連通する主管8が複数に分割された濾過膜モジュール2のヘッダ部品6で、主管8の一端部に大径部8aが形成され、且つ該主管8の他端部に小径部8bが形成され、ヘッダ部品6の主管8に形成された大径部8aに、他のヘッダ部品6の主管8に形成された小径部8bを嵌入して互いの主管8が接続可能とされ、主管8の外周の少なくとも一部は方形状で構成されており、枝管7の一部にエアバブリング用のオリフィス孔7a1を有するエア導入口7aを一体成形して構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並設される複数の濾過膜モジュールに夫々接続される枝管に連通する主管が複数に分割された濾過膜モジュールのヘッダ部品及びその接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
河川水、湖沼水、地下水或いは海水等を原液として精密濾過、限外濾過装置により大量に浄化する水処理を行なう濾過装置では、複数の濾過膜モジュールをヘッダと称する主配管に夫々並列に接続して配置されるようになっている。
【0003】
ヘッダは長尺状のステンレス管の所定位置に枝管が分岐して設けられ、その枝管に濾過膜モジュールが起立して接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/55447号
【特許文献2】特開平10−180050号公報
【特許文献3】特開平10−225625号公報
【特許文献4】国際公開第00/18498号
【特許文献5】特開平11−239719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の従来例では、濾過膜モジュールの増設をする場合にはヘッダを取り換える必要があるため、その都度、撤去するヘッダから濾過膜モジュールを取り外した後、増設する濾過膜モジュールの分だけ延長された新たなヘッダに先に取り外した濾過膜モジュールを取り付ける必要があるため作業性が悪いという問題があった。
【0006】
また、原水として海水を取り扱う場合には耐久性を確保するためにSUS329J4等の2相構造のステンレス管やSUS354N等のステンレス管等の高価な材料でヘッダを製造する必要があった。
【0007】
一方、PVC(ポリ塩化ビニル)やABS(アクリル、ブタジエン、スチレンのコポリマーまたはこれ等のブレンド)等の樹脂等も海水に対する耐久性はあるものの長尺状の主管に複数の枝管を設ける場合の接続が困難であり、海水に対する耐久性があり、安価であるにも関わらず、樹脂をヘッダとして使用することが出来ないのが現状であった。
【0008】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、濾過膜モジュールの増設をする際に作業性が良く、樹脂等の安価な材料でヘッダを構成することが出来るヘッダ部品及びその接続構造を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための本発明に係るヘッダ部品は、並設される複数の濾過膜モジュールに夫々接続される枝管に連通する主管が複数に分割された濾過膜モジュールのヘッダ部品であって、前記ヘッダ部品の主管の一端部に大径部が形成され、且つ該主管の他端部に小径部が形成され、前記ヘッダ部品の主管に形成された大径部に、他のヘッダ部品の主管に形成された小径部を嵌入して互いの主管が接続可能とされ、前記主管の外周の少なくとも一部は方形状で構成されており、前記枝管の一部にエアバブリング用のオリフィス孔を有するエア導入口を一体成形したことを特徴とする。
【0010】
また、前記主管に形成された大径部の端部外周部及び該主管に形成された小径部の付け根に設けられるフランジ部の端部外周部に位置合わせ用の指標を設けたことを特徴とする
【0011】
また、本発明に係るヘッダ部品の接続構造は、前述のヘッダ部品と濾過膜モジュールとを接続するヘッダ部品の接続構造であって、前記ヘッダ部品の枝管と前記濾過膜モジュールとを所定の自由度を有して柔軟に接続し得るフレキシブル継手手段により接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上述の如き構成と作用とを有するので、ヘッダ部品の主管に形成された大径部に、他のヘッダ部品の主管に形成された小径部を嵌入して互いの主管を接続して複数のヘッダ部品を連結することが出来るため増設する濾過膜モジュールの数に応じてヘッダ部品を連結して増設することが出来、増設したヘッダ部品の分だけ濾過膜モジュールを取り付ければ良いので作業性が良い。
【0013】
これにより、増設する濾過膜モジュールの数に応じてヘッダ部品を連結して増設することが出来、増設したヘッダ部品の分だけ濾過膜モジュールを取り付ければ良いので作業性が良い。
【0014】
また、複数に分割されたヘッダ部品毎に枝管を設けることが出来るので樹脂等を一体成形することにより安価な材料でヘッダを構成することが出来る。
【0015】
また、枝管の一部にエアバブリング用のオリフィス孔を有するエア導入口が一体成形されたことで、エアバブリング用のオリフィス等の部品を別途用意する必要がなく、部品点数を削減すると共に組み付け工数を削減してコストダウンを図ることが出来る。
【0016】
また、主管に形成された大径部の端部外周部及び該主管に形成された小径部の付け根に設けられるフランジ部の端部外周部に位置合わせ用の指標を設けた場合には隣設されるヘッダ部品の相互の周方向の位置合せが容易であり、枝管に起立して接続される濾過膜モジュールの位置合せが容易に且つ確実に出来る。
【0017】
また、本発明に係るヘッダ部品の接続構造によれば、フレキシブル継手手段によりヘッダ部品の枝管と濾過膜モジュールとを所定の自由度を有して柔軟に接続することが出来るので、枝管に起立して接続される濾過膜モジュールの位置を容易に調整することが出来、樹脂製のヘッダ部品であっても破損する虞がない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るヘッダ部品を連結して接続された濾過膜モジュールの構成を示す正面図及び側面図である。
【図2】本発明に係るヘッダ部品を連結して接続された濾過膜モジュールの構成を示す正面図及び側面図である。
【図3】(a),(b)はヘッダ部品の第1実施形態の構成を示す断面説明図及び側面説明図である。
【図4】第1実施形態のヘッダ部品を連結した様子を示す断面説明図である。
【図5】フレキシブル継手手段の構成を示す分解説明図である。
【図6】フレキシブル継手手段の他の構成を示す分解説明図である。
【図7】(a),(b)は本発明に係るヘッダ部品の第実施形態の構成を示す断面説明図及び側面説明図である。
【図8】第実施形態のヘッダ部品を連結した様子を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図により本発明に係るヘッダ部品及びその接続構造の一実施形態を具体的に説明する。図1及び図2は本発明に係るヘッダ部品を連結して接続された濾過膜モジュールの構成を示す正面図及び側面図、図3(a),(b)はヘッダ部品の第1実施形態の構成を示す断面説明図及び側面説明図、図4は第1実施形態のヘッダ部品を連結した様子を示す断面説明図、図5及び図6は各種フレキシブル継手手段の構成を示す分解説明図である。
【0020】
図1〜図8を用いて、本発明に係るヘッダ部品及びその接続構造の第1実施形態について説明する。図1及び図2において、1は原液を循環しながら濾過を行なうクロスフロー型の濾過装置であり、濾過精度に応じて精密濾過用または限外濾過用に適宜対応した濾過膜モジュール2が装備される。
【0021】
尚、本実施形態では、原液を循環しながら濾過を行なうクロスフロー型の濾過装置に本発明に係るヘッダ部品を適用した場合の一例について説明するが、他の構成として、原液を循環せずに供給した原液を全て濾過膜を透過させて濾過を行なう全濾過型の濾過装置に本発明に係るヘッダ部品を適用することも出来る。
【0022】
3は濾過膜モジュール2に原液を供給する原液供給ヘッダであり、4は濾過膜モジュール2により濾過された濾過液を排出する濾過液排出ヘッダであり、5は戻り原液を排出する原液戻りヘッダである。
【0023】
各原液供給ヘッダ3、濾過液排出ヘッダ4及び原液戻りヘッダ5は並設される複数の濾過膜モジュール2の数に応じた数だけ図3に示すヘッダ部品6が用意され、順次連結されて構成されたものである。
【0024】
ヘッダ部品6は、図3及び図4に示すように、濾過膜モジュール2の各原液供給流路、濾過液排出流路及び原液戻り流路に夫々接続される枝管7に連通する主管8が複数に分割された構成であり、主管8の一端部には大径部8aが形成され、該主管8の他端部には小径部8bが形成されている。
【0025】
大径部8aの内周面8a1の径は、小径部8bの外周面8b1の径よりも若干大きくなるように設定されており、一方のヘッダ部品6の主管8の大径部8aに、他方のヘッダ部品6の主管8の小径部8bを嵌入することで互いの主管8が接続される。
【0026】
実施形態では、一方のヘッダ部品6の主管8の大径部8aの内周面8a1と、他方のヘッダ部品6の主管8の小径部8bの外周面8b1との間に接着剤10を介在させて接着することにより水密性及び気密性を保持した状態で接続される。
【0027】
実施形態のヘッダ部品6の主管8の外周形状は方形状で構成されており、支持躯体32の脚台座32a及び腕台座32b上にヘッダ部品6を連結した各原液供給ヘッダ3、濾過液排出ヘッダ4及び原液戻りヘッダ5を安定して載置し、固定出来るようになっている。
【0028】
尚、本実施形態ではヘッダ部品6の主管8の大径部8aの内周面8a1及び小径部8bの外周面8b1を平坦な円周面で構成した場合であるが、これ等、主管8の大径部8aの内周面8a1及び小径部8bの外周面8b1にネジ部を形成し、シールテープ等を介在させてネジ止めにより接続することも出来る。
【0029】
ヘッダ部品6の枝管7の一部にはエアバブリング用のオリフィス孔7a1を有するエア導入口7aが一体成形して形成されている。枝管7の外周面と主管8の外周面との間にはリブ9,9aが一体的に形成されており、主管8に形成された大径部8aの端部外周部及び該主管8に形成された小径部8bの付け根に設けられるフランジ部8cの端部外周部に位置合わせ用の指標が設けられている。
【0030】
実施形態では、主管8に形成された小径部8bの付け根に設けられるフランジ部8cの端部外周部に設けられた指標をリブ9aが兼ねており、主管8に形成された大径部8aの端部外周部には指標となる突起8dが一体的に形成されている。
【0031】
そして、図4に示すように、ヘッダ部品6の主管8に形成された大径部8aに、他のヘッダ部品6の主管8に形成された小径部8bを嵌入して互いの主管8を接続する際にリブ9aと突起8dとを位置合せすることで隣設されるヘッダ部品6の相互の周方向の位置合せが容易であり、枝管7に起立して接続される濾過膜モジュール2の位置合せが容易に且つ確実に出来る。
【0032】
ヘッダ部品6は、PE(Poly Ethylene;ポリエチレン)、PP(Poly Propylene;ポリプロピレン)、PVC(Poly Vinyl Chloride;ポリ塩化ビニル)、PA(Polyamide;ポリアミド系樹脂)、POM(Poly Oxymethylene;ポリアセタール)、ポリサルホン、PES(Poly Ether Sulfones;ポリエーテルサルホン)、フッ素樹脂であるPTFE(Poly-tetrafluoroethylene;ポリテトラフルオロエチレン)、FRP(Fiber Reinforced Plastics;繊維強化プラスチック)、PEEK(Poly Ether Ether Ketone;ポリ・エーテル・エーテル・ケトン)、或いはPVC(ポリ塩化ビニル)とFRP(繊維強化プラスチック)との複合材料、PE(ポリエチレン)とFRP(繊維強化プラスチック)との複合材料、PP(ポリプロピレン)とFRP(繊維強化プラスチック)との複合材料等の樹脂を射出成型や真空成型することにより一体的に作成することが出来る。
【0033】
例えば、ヘッダ部品6をPA(ポリアミド系樹脂)により製造した場合には、耐摩耗性に優れる。二硫化モリブデン、グラファイト、ポリエチレン粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末を添加して耐摩耗性を増大することも出来る。また、各種耐油性樹脂に含油させることによって耐摩耗性は無含油プラスチックの数倍〜10倍以上となる。また、炭化水素系溶媒に侵されにくく、特にガソリン、潤滑油に対する強い抵抗性を持つ。アロイ特ナイロン/PO(ポリオレフィン)アロイでは、耐油性に加えてPO(ポリオレフィン)の耐熱性も向上する。
【0034】
また、ヘッダ部品6をPOM(ポリアセタール)により製造した場合には、耐疲労性、特に繰り返しの衝撃に対して優れる。クリープ特性も実用上十分高いレベルにあり、信頼性の高い部品材料であり、成形性に優れる。クリープ特性とは強さ、剛(こわ)さの2特性に時間的要素が加わった性質で、長時間にわたる各種の温度、荷重条件下で、優れた形状安定性を示す。また、くり返し応力に対する抵抗力が高く、材料の疲労による破壊が生じ難い。また、有機薬品類や油脂類及び合成洗剤類に対して耐性が大きく、殆ど侵されない。強酸、強アルカリには問題があるもののコポリマーは耐アルカリ性は比較的良い。尚、ポリアセタールは加水分解を起こすため耐熱水性は良くない。
【0035】
また、ヘッダ部品6をポリサルホンにより製造した場合には、自然色は薄い琥珀色の透明であり、美観を呈する。加工性が良く、着色や充填が容易で金属メッキも可能である。非結晶性で成形収縮が極めて少なく、低反り性で、寸法精度が高く、精密成形用に適している。強靱で優れた機械的性質を持つ。広い範囲で優れた電気的性質を持つ。寸法安定性が良く、耐クリープ特性を持つ。極めて高い耐熱性(燃焼試験;UL連続使用温度15)材料である。加熱スチームや沸騰水にも耐える優れた耐熱水性を持つ。優れた難燃性(UL94V−0〜V−2)材料である。
【0036】
また、ポリサルホンは水による物性変化が極めて少なく、熱水や加熱スチームによって白化したり、加水分解したりしない。安全性も高く、厚生省434号、178号認可、他米国のFDA、NSF、3−ASSC、及び米国薬局法の規格にも合格して認可を得ており、食品関係や医療機器関係にも数多く利用される。酸やアルカリに侵されず多くの薬品にも耐える。オートクレーブ条件である132℃の加圧スチームでの繰り返し使用にも耐える。
【0037】
また、ヘッダ部品6をPES(ポリエーテルサルホン)により製造した場合には、急激な温度変化に対する信頼性、高温で長期間使用に対する信頼性に優れる。耐熱性では、短期耐熱性として、H.D.T.(熱変形温度)が200℃〜210℃であり、剛性が200℃近くまで殆ど低下しない。また、耐ハンダ性を有している。長期耐熱性として、UL温度インデックス(熱老化性)が180℃であり、180℃における引張強度の半減期が20年である。200℃においても殆ど寸法変化が無く寸法安定性に優れる。180℃においても十分な耐クリープ性を有する。優れた電気特性を有し、その特性が高温領域まで維持される。耐炎性としては、0.5mmの厚みでもUL−94V−0である。また、燃焼時にも煙の発生が僅かである。優れた耐熱性にもかかわらず通常の成形機で十分成形出来る。
【0038】
尚、ナチュラルのPES(ポリエーテルサルホン)の耐候性はあまり良くないので屋外で使用する用途にはカーボンブラックを添加する必要がある。耐水性は良好であるが若干、吸水性があるので成形前に乾が必要である。衝撃強度のノッチ依存性が大きいので鋭いノッチを避ける設計が必要である。
【0039】
また、PES(ポリエーテルサルホン)は熱水、スチーム、酸、アルカリ等の水性薬品、更にオイル類、グリース、ガソリン、アルコール類、脂肪族炭化水素等に優れた耐性を有している。また、酸化剤にも耐性があり、100%酸素雰囲気中150℃で1箇月放置しても何ら変化が認められない。しかしながら、殆どの有機化合物がそうであるように濃硫酸、濃硝酸には侵される。一方、PES(ポリエーテルサルホン)は非晶性であることからエステル、ケトン、トリクロロエチレン等の強い極性溶剤に侵される場合がある。耐薬品性はPES(ポリエーテルサルホン)の銘柄によっても若干変わり、GF(ガラスファイバー)強化銘柄はナチュラル銘柄よりもかなり優れている。また、200℃でアニーリングすることにより耐薬品性を改良することが出来る。
【0040】
また、ヘッダ部品6をフッ素樹脂であるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)により製造した場合には、連続最高使用温度が極めて高く、不燃焼である。低温特性、耐化学薬品性、電気的特性に優れる。非粘着性であり、柔軟性のある樹脂で機械的特性に優れる。固体中最小の摩擦係数で低摩擦特性を有する。耐侯性に優れる。有機、無機薬品類に対して極めて不活性である。特に、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(Per Fluor Alkoxy;パーフルオロアルコキシエチレン)、FEP(Fluoro Ethylene Propylene;フッ化エチレンプロピレン)はC−C結合の周囲を隙間無くFが覆う構造になっており、しかも、C−F結合エネルギーは107kcal/モルと高いため薬品類に対する耐性は極めて優れる。これ等の樹脂に比べれば、PCTFE(Poly Chloro Tri Fluoro Ethylene;ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化))、ETFE(Ethylene tetrafluoroethylene;テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、ECTFE(Ethylene and Chlorotrifluoroethylene;エチレンクロロトリフルオロエチレン共重合体)、PVDF(Poly Vinylidene Fluoride;ポリビニリデンフルオライド(2フッ化))等はやや劣る。
【0041】
また、ヘッダ部品6はステンレス材等を金型成形等により一体的に作成することでも良い。
【0042】
ヘッダ部品6の枝管7と濾過膜モジュール2とを接続する場合、図5或いは図6に示すように所定の自由度を有して柔軟に接続し得るフレキシブル継手手段11,21により接続される。
【0043】
図5は原液供給ヘッダ3を構成するヘッダ部品6の枝管7に濾過膜モジュール2を接続するフレキシブル継手手段11であり、図6は濾過液排出ヘッダ4及び原液戻りヘッダ5を構成するヘッダ部品6の枝管7に濾過膜モジュール2を接続するフレキシブル継手手段21である。
【0044】
図5に示すフレキシブル継手手段11は、一対のハウジング12,13と、接続される枝管7と濾過膜モジュール2の原液供給管14との間に介在される断面コ字型のゴムリング16等を有して構成される。
【0045】
ヘッダ部品6の枝管7及び原液供給管14の端部外周面にはハウジング12,13の両側内周部に設けられたテーパ面17に係合し得る凹部7b,14aが形成されており、枝管7及び原液供給管14をゴムリング16に嵌入し、ハウジング12,13のテーパ面17を枝管7及び原液供給管14の凹部7b,14aに係合した状態でハウジング12,13のフランジ部12a,13aに設けられたボルト穴12b,13bにボルト18を差し込んで該ボルト18にナット19を螺合して締着することでハウジング12,13のテーパ面17に沿って枝管7及び原液供給管14の凹部7b,14aが近接する方向に移動し、ゴムリング16の両端部内壁面に突出したリブ16aが管7,14の端部周面に圧接された状態で枝管7及び原液供給管14がゴムリング16を介して水密的及び気密的に接続される。
【0046】
ボルト18は締め付け用の六角頭部18aの内側に回り止め用の六角係止部18bが二段で形成されており、ハウジング13のフランジ部13aに形成された長穴からなるボルト穴13bの短径辺に六角係止部18bが嵌入係止されてボルト18の回転が阻止され、ナット19をボルト18に締着する際のボルト18の共回りを防止する。
【0047】
尚、枝管7及び原液供給管14の外周面に形成した凹部7b,14aの代わりにハウジング12,13のテーパ面17に係合し得る凸部を枝管7及び原液供給管14の外周面に設け、ゴムリング16を介在させて該凸部にハウジング12,13のテーパ面17を係合した状態でハウジング12,13のフランジ部12a,13aに設けられたボルト穴12b,13bにボルト18を差し込んで該ボルト18にナット19を螺合して締着して接続する構成でも良い。
【0048】
原液供給ヘッダ3を構成するヘッダ部品6の枝管7と濾過膜モジュール2の原液供給管14との接続は上述したフレキシブル継手手段11を利用して接続すれば枝管7と原液供給管14相互の撓みがゴムリング16によりある程度許容されるため濾過膜モジュール2の位置調整が容易に出来る。また、図1及び図2に示すように、起立した濾過膜モジュール2の原液供給管14を枝管7に接続すると共に該濾過膜モジュール2の重量を支持することが出来る。
【0049】
図6に示すフレキシブル継手手段21は、濾過液排出ヘッダ4及び原液戻りヘッダ5を構成するヘッダ部品6の枝管7と、濾過膜モジュール2の濾過液排出管15及び原液戻り管20との夫々の外周に嵌挿圧接して接続することにより濾過膜モジュール2の上部を濾過液排出ヘッダ4及び原液戻りヘッダ5を構成するヘッダ部品6に取り付ける。
【0050】
フレキシブル継手手段21は図6に示すように、両端部にネジ溝22a,22bが形成された筒状本体22とパッキン23及びパッキンカバー24を介して前記ネジ溝22a,22bに螺合締着し得る袋ナット25a,25bを有して構成されている。
【0051】
筒状本体22、パッキン23、パッキンカバー24及び袋ナット25a,25bからなるフレキシブル継手手段21はヘッダ部品6の枝管7及び濾過膜モジュール2の濾過液排出管15及び原液戻り管20に嵌挿して該枝管7及び濾過液排出管15及び原液戻り管20の外周上を軸方向に移動自在に構成されている。尚、濾過液排出ヘッダ4及び原液戻りヘッダ5を構成するヘッダ部品6の枝管7の外周面には凹部7bが形成されておらず平坦な円周面により構成されている。
【0052】
そして、図6に示す組み付け配置順序でパッキン23及びパッキンカバー24を介在させて袋ナット25a,25bを筒状本体22のネジ溝22a,22bに軽く螺合して一体化したフレキシブル継手手段21をヘッダ部品6の枝管7または濾過液排出管15、原液戻り管20の一方に嵌装した状態で濾過膜モジュール2の濾過液排出管15及び原液戻り管20とヘッダ部品6の枝管7との位置合わせを行った後、フレキシブル継手手段21をヘッダ部品6の枝管7と濾過液排出管15及び原液戻り管20との外周上を軸方向に移動して該ヘッダ部品6の枝管7と濾過液排出管15及び原液戻り管20との略中間部に合わせ、袋ナット25a,25bをネジ溝22a,22bに螺合締着することでパッキンカバー24がパッキン23を内径方向に押圧して該パッキン23がヘッダ部品6の枝管7と濾過液排出管15及び原液戻り管20の外周面に圧接し、気密性及び液密性を保持して接続固定される。
【0053】
濾過液排出ヘッダ4及び原液戻りヘッダ5を構成するヘッダ部品6の枝管7と濾過膜モジュール2の濾過液排出管15及び原液戻り管20との接続は上述したフレキシブル継手手段21を利用して接続すれば枝管7と濾過液排出管15及び原液戻り管20相互の撓みがパッキン23によりある程度許容されるため濾過膜モジュール2の位置調整が容易に出来る。
【0054】
上記構成によれば、ヘッダ部品6の主管8に形成された大径部8aに、他のヘッダ部品6の主管8に形成された小径部8bを嵌入して互いの主管8を接続して複数のヘッダ部品6を連結することが出来る。
【0055】
これにより、増設する濾過膜モジュール2の数に応じてヘッダ部品6を連結して増設することが出来、増設したヘッダ部品6の分だけ濾過膜モジュール2を取り付ければ良いので作業性が良い。
【0056】
また、複数に分割されたヘッダ部品6毎に枝管7を設けることが出来るので樹脂等を一体成形することにより安価な材料でヘッダを構成することが出来る。
【0057】
また、枝管7の一部にエアバブリング用のオリフィス孔7a1を有するエア導入口7aが一体成形されたことで、エアバブリング用のオリフィス等の部品を別途用意する必要がなく、部品点数を削減すると共に組み付け工数を削減してコストダウンを図ることが出来る。
【0058】
また、主管8に形成された大径部8aの端部外周部及び該主管8に形成された小径部8bの付け根に設けられるフランジ部8cの端部外周部に位置合わせ用の指標を設けた場合には隣設されるヘッダ部品6の相互の周方向の位置合せが容易であり、枝管7に起立して接続される濾過膜モジュール2の位置合せが容易に且つ確実に出来る。
【0059】
また、フレキシブル継手手段11,21によりヘッダ部品6の枝管7と濾過膜モジュール2とを所定の自由度を有して柔軟に接続することが出来るので、枝管7に起立して接続される濾過膜モジュール2の位置を容易に調整することが出来、樹脂製のヘッダ部品6であっても破損する虞がない。
【0060】
次に図7及び図8を用いて本発明に係るヘッダ部品の第実施形態の構成について説明する。図7(a),(b)は本発明に係るヘッダ部品の第実施形態の構成を示す断面説明図及び側面説明図、図8は第実施形態のヘッダ部品を連結した様子を示す断面説明図である。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
本実施形態では、図7及び図8に示すように、ヘッダ部品6の枝管7の一部に設けられたエアバブリング用のオリフィス孔7a1を有するエア導入口7aに連通するエア管31がヘッダ部品6に一体成形されており、該エア管31の一端部に大径部31aが形成され、他端部に小径部31bが形成され、ヘッダ部品6のエア管31の大径部31aに他のヘッダ部品6のエア管31の小径部31bを嵌入して互いのエア管31が接続される。
【0062】
そして、一方のヘッダ部品6のエア管31の大径部31aの内周面31a1と、他方のヘッダ部品6のエア管31の小径部31bの外周面31b1との間に接着剤10を介在させて接着することにより気密性を保持した状態で接続される。
【0063】
本実施形態ではヘッダ部品6の主管8の大径部8aに他のヘッダ部品6の主管8の小径部8bを嵌入する際に同時にエア管31の大径部31aに他のヘッダ部品6のエア管31の小径部31bが嵌入されるようになっており、主管8とエア管31とを接続した状態で隣設されるヘッダ部品6の相互の周方向の位置合せがなされ、枝管7に起立して接続される濾過膜モジュール2の位置合せが容易に且つ確実に出来る。
【0064】
また、エア導入口7aに連通するエア管31がヘッダ部品6に一体成形されたことで、エアバブリング用のエア管を別途用意する必要がなく、部品点数を削減すると共に組み付け工数を削減してコストダウンを図ることが出来る。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の活用例として、並設される複数の濾過膜モジュールに夫々接続される枝管に連通する主管が複数に分割された濾過膜モジュールのヘッダ部品及びその接続構造に適用出来る
【符号の説明】
【0066】
1…濾過装置
2…濾過膜モジュール
3…原液供給ヘッダ
4…濾過液排出ヘッダ
5…原液戻りヘッダ
6…ヘッダ部品
7…枝管
7a…エア導入口
7a1…オリフィス孔
7b…凹部
8…主管
8a…大径部
8a1…内周面
8b…小径部
8b1…外周面
8c…フランジ部
8d…突起
9,9a…リブ
10…接着剤
11…フレキシブル継手手段
12,13…ハウジング
12a,13a…フランジ部
12b,13b…ボルト穴
14…原液供給管
14a…凹部
15…濾過液排出管
16…ゴムリング
16a…リブ
17…テーパ面
18…ボルト
18a…六角頭部
18b…六角係止部
19…ナット
20…原液戻り管
21…フレキシブル継手手段
22…筒状本体
22a,22b…ネジ溝
23…パッキン
24…パッキンカバー
25a,25b…袋ナット
31…エア管
31a…大径部
31a1…内周面
31b…小径部
31b1…外周面
32…支持躯体
32a…脚台座
32b…腕台座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並設される複数の濾過膜モジュールに夫々接続される枝管に連通する主管が複数に分割された濾過膜モジュールのヘッダ部品であって、
前記ヘッダ部品の主管の一端部に大径部が形成され、且つ該主管の他端部に小径部が形成され、前記ヘッダ部品の主管に形成された大径部に、他のヘッダ部品の主管に形成された小径部を嵌入して互いの主管が接続可能とされ、
前記主管の外周の少なくとも一部は方形状で構成されており
前記枝管の一部にエアバブリング用のオリフィス孔を有するエア導入口を一体成形したことを特徴とするヘッダ部品。
【請求項2】
前記主管に形成された大径部の端部外周部及び該主管に形成された小径部の付け根に設けられるフランジ部の端部外周部に位置合わせ用の指標を設けたことを特徴とする請求項1に記載のヘッダ部品。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のヘッダ部品と濾過膜モジュールとを接続するヘッダ部品の接続構造であって、
前記ヘッダ部品の枝管と前記濾過膜モジュールとを所定の自由度を有して柔軟に接続し得るフレキシブル継手手段により接続したことを特徴とするヘッダ部品の接続構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−113042(P2009−113042A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25190(P2009−25190)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【分割の表示】特願2002−143175(P2002−143175)の分割
【原出願日】平成14年5月17日(2002.5.17)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】