説明

ヘッドホン装置

【課題】 再生装置から出力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置において、ハウジングを小型化しつつ高感度で高音質なオーディオ信号を放音することができると共に、高感度で高音質なオーディオ信号を省電力で放音させることができるヘッドホン装置を提供する。
【解決手段】 入力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置において、内部が空洞の形状を成し、前方に前後に貫通する孔を備える凸部を備えるハウジングと、前記ハウジングの内壁にそれぞれ固定され入力したオーディオ信号を放音する振動板をそれぞれ有する第1のドライバーユニット及び第2のドライバーユニットとを備え、前記第1のドライバーユニット及び前記第2のドライバーユニットは、それぞれの前記振動板が互いに対向するよう並行に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生装置と接続し、再生装置から出力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヘッドホン装置として、ケーブルを介して再生装置と電気的に接続し、再生装置から出力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は、従来のヘッドホン装置を示す概略構成図である。
ヘッドホン装置100は、それぞれ2つのハウジング200、前部300及びイヤーパッド4を備え、それぞれのハウジング200は、ケーブル6によって入力端子8に接続される。ケーブル6は、内部にリード線を備える。入力端子8は、再生装置10の出力端子11に接続される。再生装置10は、オーディオ信号を再生し、再生したオーディオ信号を出力端子11から出力する。
【0004】
ヘッドホン装置100は、図5で説明した構成の他、図示しないドライバーユニット及びブッシュを備える。ドライバーユニットは、前部300の裏面に接着剤等により固着される。ドライバーユニットは、ボイスコイル(図示しない)、マグネット(図示しない)等を備える磁気回路(図示しない)、振動板(図示しない)等を備え、ケーブルを介して入力端子8と電気的に接続される。
【0005】
イヤーパッド4は、ゴム部材等の弾性体により円筒型に形成され、前後に貫通する孔(図示しない)を備える。イヤーパッド4は、前部300の前方に保持された状態となる。
【0006】
ヘッドホン装置100は、再生装置10の出力端子11から出力されるオーディオ信号を入力端子8によって入力し、入力端子8から入力したオーディオ信号をケーブル6のリード線を介してドライバーユニットに入力する。ドライバーユニットは、入力したオーディオ信号を磁気回路によって振動に変換し、この振動がボイスコイルを介して振動板に伝達することによってオーディオ信号を放音する。ヘッドホン装置100の使用者は、イヤーパッド4を耳にはめ込み、例えば、洋服のポケット等に再生装置10を入れた状態で、再生装置10からオーディオ信号を再生させる。このことにより、再生装置10が再生したオーディオ信号が入力端子8及びケーブル6を介してドライバーユニット7によって放音され、この放音されたオーディオ信号が前部300の孔を介してイヤーパッド4の内部に伝達する。これにより、イヤーパッド4を装着した使用者の耳にオーディオ信号が伝達し、使用者は、ヘッドホン装置100から出力されるオーディオ信号を聴取することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−098290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のヘッドホン装置は、ドライバーユニットから放音されたオーディオ信号が振動として放音されることから、放音されるオーディオ信号の感度や音質はドライバーユニットの大きさに依存することが多い。例えば、ドライバーユニットのマグネットを大型化することによって生じさせる磁束を増大させることができ、また、ドライバーユニットの振動板の面積を大きくすることにより有効振動面積を大きくすることができるので、放音するオーディオ信号の音圧を増大させることができる。このため、例えば、感度が良く高音質なオーディオ信号を放音したい場合、大きな磁気回路及び振動板を備えたドライバーユニットを用いてボイスコイルの磁束密度を増大させることにより感度が良く高音質なオーディオ信号を放音させることができる。しかしながら、図5に示すようなヘッドホン装置100においては、大きな磁気回路及び振動板を備えたドライバーユニットを用いようとすると、ハウジングが大型化してしまい、イヤーパッド4を耳にはめ込んだ場合に耳から突出したハウジングが露呈してヘッドホン装置100の装着感が悪化してしまう。
【0009】
このようなハウジングの大型化を防止しながら感度が良く高音質なオーディオ信号を放音させる手段として、例えば、複数の小型のドライバーユニットをハウジング内に備え、複数のドライバーユニットからオーディオ信号を放音することで高感度で高音質なオーディオ信号を放音することが考えられる。しかしながら、複数のドライバーユニットをハウジング内に備えた構成にすると、それぞれのドライバーユニットから放音される振動が互いに干渉してしまい、放音するオーディオ信号の周波数特性が乱れてしまいオーディオ信号に歪が生じてしまう虞がある。また、複数のドライバーユニットをハウジング内に備えた構成にすると、それぞれのドライバーユニットにオーディオ信号を入力させなければならないため、再生装置がオーディオ信号として各ドライバーユニットに出力するための消費電力が増大してしまう。更に、通常の再生装置は、出力可能なオーディオ信号の出力レベルが限られているため、例えば、再生装置が最大の出力レベルでオーディオ信号を出力しても、この再生装置から出力されたオーディオ信号が複数のドライバーユニットにそれぞれ分散されてしまうため、それぞれのドライバーユニットから大音量のオーディオ信号を放音することができず、感度が良く高音質なオーディオ信号を放音させることができない。
【0010】
本発明は、再生装置から出力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置において、ハウジングを小型化しつつ高感度で高音質なオーディオ信号を放音することができると共に、高感度で高音質なオーディオ信号を省電力で放音させることができるヘッドホン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の請求項1記載の発明は、入力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置において、内部が空洞の形状を成し、前方に前後に貫通する孔を備える凸部を備えるハウジングと、前記ハウジングの内壁にそれぞれ固定され入力したオーディオ信号を放音する振動板をそれぞれ有する第1のドライバーユニット及び第2のドライバーユニットとを備え、前記第1のドライバーユニット及び前記第2のドライバーユニットは、それぞれの前記振動板が互いに対向するよう並行に配設されていることを特徴とする。
【0012】
本願の請求項2記載の発明は、入力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置において、内部が空洞の形状を成し、前方に前後に貫通する孔を備える凸部を備えるハウジングと、前記ハウジングの内壁にそれぞれ固定され入力したオーディオ信号を放音する振動板をそれぞれ有する第1のドライバーユニット及び第2のドライバーユニットとを備え、前記第1のドライバーユニット及び前記第2のドライバーユニットは、それぞれの前記振動板が互いに対向すると共に当該それぞれの振動板が予め定めた角度だけ傾斜して配設されていることを特徴とする。
【0013】
本願の請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のヘッドホン装置において、前記第1のドライバーユニットの前記振動板から前記第2のドライバーユニットの前記振動板までの距離は、略2mmであることを特徴とする。
【0014】
本願の請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載のヘッドホン装置において、前記貫通する孔は、前記第1のドライバーユニット及び前記第2のドライバーユニットに対して略垂直となる位置に配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、再生装置から出力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置において、ハウジングを小型化しつつ高感度で高音質なオーディオ信号を放音することができると共に、高感度で高音質なオーディオ信号を省電力で放音させることができるヘッドホン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例のヘッドホン装置を示す概略構成図。
【図2】本実施例のヘッドホン装置1を示す断面図。
【図3】本実施例のヘッドホン装置1において、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bがそれぞれオーディオ信号を放音している状態を示す図。
【図4】本実施例のヘッドホン装置1において、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bをそれぞれ駆動させた状態における第1のドライバーユニット7aから放出される磁束密度を位置a、位置b及び位置cでそれぞれ測定した結果と、第1のドライバーユニット7aと同じドライバーユニットを単体で駆動させた状態における当該ドライバーユニットから放出される磁束密度を位置a、位置b及び位置cでそれぞれ測定した結果を示す図。
【図5】従来のヘッドホン装置を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、背景技術又は図5で示した構成要素と同一の部分については同符号を用いる。
【0018】
図1は、本発明の一実施例のヘッドホン装置を示す概略構成図である。
ヘッドホン装置1は、ハウジング2a、ハウジング2b、イヤーパッド4、ブッシュ5、ケーブル6、第1のドライバーユニット7a、第2のドライバーユニット7b及び入力端子8を備える。入力端子8については、背景技術で説明した構成と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0019】
図2は、本実施例のヘッドホン装置1を示す断面図である。
図2に示すヘッドホン装置1においては、図1に示すヘッドホン装置1を上方から見た断面図であるが、各構成の説明の関係上、左方向をヘッドホン装置1の前方とし、上方向をヘッドホン装置1の上方とし、下方をヘッドホン装置1の下方として説明する。
【0020】
図1に示すように、ハウジング2a及びハウジング2bは、それぞれ左右対称の形状を成し、それぞれ内部が空洞な半球型を形成する。ハウジング2a及びハウジング2bは、それぞれの縁を重ね合わせることにより内部が空洞な球体を形成する。第1のドライバーユニット7aは、ハウジング2aの内壁に固定され、また、第2のドライバーユニット7bは、ハウジング2bの内壁に固定される。
以降の説明においては、ハウジング2a及びハウジング2bを1つの内部が空洞な球体を形成するハウジング2として説明する。
【0021】
図1及び図2に示すように、ハウジング2は、前方に円筒型を形成する凸部202を備える。凸部202は、前後に貫通する孔204を備え、外周の中央部分に溝部203を備える。ハウジング2は、後方に前後に貫通する孔205を備える。
【0022】
ブッシュ5は、図1及び図2に示すように、前後方向に円筒型を形成すると共に、後方部分が略直角に曲がったL字型を形成し、ハウジング2の後方部分に接着剤等によって固着される。ブッシュ5は、ハウジング2の孔205と貫通すると共に後方に亘ってL字型に貫通する孔503を備える。
【0023】
イヤーパッド4は、ゴム部材等の弾性体により円筒型に形成され、前後に貫通する孔401を備える。イヤーパッド4は、後方の内側部分に鍔部402を備える。イヤーパッド4は、鍔部402がハウジング2の溝部203にはめ込まれることによってハウジング2の前方に保持された状態となる。
【0024】
ケーブル6は、内部にリード線602を備え、入力端子8を備える一端の他端がブッシュ5の孔503及びハウジング2の孔205を介してハウジング2の内部に挿入される。
【0025】
第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bは、それぞれフレーム701、振動板702及びサスペンション705を備えると共に、ボイスコイル703及びマグネット704等から構成された磁気駆動回路(図示しない)を備える。第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bはそれぞれケーブル6のリード線602に電気的に接続される。マグネット704は、フレーム701に固着される。ボイスコイル703は、マグネット704側となる振動板702の一面に固着される。サスペンション705はゴム部材等の弾性体から成り、一端が振動板702の外周に固着されると共に他端がフレーム701に固着されることにより振動板702を保持する。振動板702は、サスペンション705に保持された状態でサスペンション705の弾性により上下に移動可能となる。
【0026】
第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bは、リード線602を介してオーディオ信号が入力されると、マグネット704、ボイスコイル703等の磁気回路によって磁界を発生し、この磁界の作用によってボイスコイル703が振動し、ボイスコイル703に固着されている振動板702が上下に震動することによってオーディオ信号を放音する。
【0027】
図2に示すように、ハウジング2内には空間9を備える。空間9は、孔204によって外部に開口した状態となる。図2に示すように、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bは、それぞれの振動板702が対向した方向となるよう並行に配設される。また、図2に示すように、空間9から外部に開口した孔204は、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bに対して略垂直となる位置に配設される。
【0028】
図1及び図2に示すように、ヘッドホン装置1は、背景技術で説明した再生装置の出力端子から出力されるオーディオ信号を入力端子8によって入力し、入力端子8から入力したオーディオ信号をケーブル6を介して第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bから放音する。ヘッドホン装置1の使用者は、イヤーパッド4を耳にはめ込み、例えば、洋服のポケット等に再生装置を入れた状態で、再生装置からオーディオ信号を再生させる。このことにより、再生装置が再生したオーディオ信号が入力端子8及びケーブル6を介して第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bによって放音され、この放音されたオーディオ信号がハウジング2の孔204を介してイヤーパッド4の孔401の内部に伝達する。これにより、イヤーパッド4を装着した使用者の耳にオーディオ信号が伝達し、使用者は、ヘッドホン装置1から出力されるオーディオ信号を聴取することができる。
【0029】
図3は、本実施例のヘッドホン装置1において、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bがそれぞれオーディオ信号を放音している状態を示す図である。
図3に示すヘッドホン装置1においては、左方向をヘッドホン装置1の前方とし、上方向をヘッドホン装置1の上方とし、下方をヘッドホン装置1の下方とする。
【0030】
図3に示すように、第1のドライバーユニット7aの振動板702から第2のドライバーユニット7bの振動板702までの距離は予め定めた距離Aとなるように配設されている。本実施例においては、この距離Aを略2mmとする。
【0031】
図3に示すように、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bがそれぞれオーディオ信号を放音している状態では、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bからそれぞれ放出される磁界により磁束が生じる。
【0032】
図4は、本実施例のヘッドホン装置1において、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bをそれぞれ駆動させた状態における第1のドライバーユニット7aから放出される磁束密度を図3に示す位置a、位置b及び位置cでそれぞれ測定した結果と、第1のドライバーユニット7aと同じドライバーユニットを単体で駆動させた状態における当該ドライバーユニットから放出される磁束密度を図3に示す位置a、位置b及び位置cと同一の位置でそれぞれ測定した結果を示す図である。
【0033】
図3示すように、第1のドライバーユニット7aと第2のドライバーユニット7bをそれぞれ振動板702が対向するように配設すると共に、第1のドライバーユニット7aの振動板702から第2のドライバーユニット7bの振動板702までの距離が略2mmとなるように配設した状態でそれぞれのドライバーユニットを駆動させると、それぞれのドライバーユニットから放出される磁界が互いに作用し合い、それぞれのドライバーユニットから放出される磁束が変化する。その結果、図4に示すように、図3に示す位置bにおいては、第1のドライバーユニット7aと同じドライバーユニットを単体で駆動させた状態における当該ドライバーユニットから放出される磁束密度より、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bをそれぞれ駆動させた状態における第1のドライバーユニット7aから放出される磁束密度が増大した結果となる。
【0034】
また、前述した本実施例のヘッドホン装置1のように、ハウジング2内に第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bを配設し、且つ、第1のドライバーユニット7aと第2のドライバーユニット7bをそれぞれ振動板702が対向するように配設すると共に、第1のドライバーユニット7aの振動板702から第2のドライバーユニット7bの振動板702までの距離が略2mmとなるように配設した状態でそれぞれのドライバーユニットを駆動させることにより、放音するオーディオ信号の音圧を約5dB〜8dB増大させることができることが実証実験によりわかっている。
【0035】
以上のように、本実施例のヘッドホン装置1は、第1のドライバーユニット7aと第2のドライバーユニット7bをそれぞれ振動板702が対向するように配設すると共に、第1のドライバーユニット7aの振動板702から第2のドライバーユニット7bの振動板702までの距離が略2mmとなるように配設した状態でそれぞれのドライバーユニットを駆動させることにより、第1のドライバーユニット7aと同じドライバーユニットを単体で駆動させた状態における当該ドライバーユニットから放出される磁束密度より、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bをそれぞれ駆動させた状態における第1のドライバーユニット7aから放出される磁束密度が増大する。このため、ドライバーユニットを単体で駆動させた場合より、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bをそれぞれ振動板702が対向するように配設すると共に、第1のドライバーユニット7aの振動板702から第2のドライバーユニット7bの振動板702までの距離が略2mmとなるように配設した状態のほうが、放音するオーディオ信号を増大させることができる。
【0036】
このように、本実施例のヘッドホン装置1は、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bの2つの小型のドライバーユニットをハウジング2内に配設させることにより、大型のドライバーユニットをハウジング内に配設させた場合よりハウジング2を小型化することができる。また、本実施例のヘッドホン装置1は、第1のドライバーユニット7aと第2のドライバーユニット7bをそれぞれ振動板702が対向するように配設すると共に、第1のドライバーユニット7aの振動板702から第2のドライバーユニット7bの振動板702までの距離が略2mmとなるように配設した状態でそれぞれのドライバーユニットを駆動させることにより、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bのそれぞれのドライバーユニットから放音するオーディオ信号を増大させることができるので、ヘッドホン装置1がオーディオ信号として出力するための消費電力を減少させることができ、その結果、ヘッドホン装置の省電力化に寄与することができる。更に、本実施例のヘッドホン装置1は、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bのそれぞれのドライバーユニットから放音するオーディオ信号を増大させることができるので、例えば、再生装置から所定の出力レベルのオーディオ信号が出力された場合でも、本実施例のような構成を備えていないヘッドホン装置と比較して感度が良く高音質なオーディオ信号を放音させることができる。
【0037】
本実施例のヘッドホン装置1は、図3に示すように、第1のドライバーユニット7aの振動板702から第2のドライバーユニット7bの振動板702までの距離Aを略2mmとした構成としたが、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bの駆動能力に応じて、この距離Aを2mm未満としても良いし、また、距離Aを2mm超の距離としても良い。これにより、それぞれのドライバーユニットから放出される磁界が互いに作用し合ってそれぞれのドライバーユニットから放出される磁束密度の更に増大させることができ、この磁束密度の更なる増大により、更に高感度で高音質なオーディオ信号を省電力で放音させることができる。
【0038】
本実施例のヘッドホン装置1は、図2に示すように、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bによって放音されたオーディオ信号が外部に放出される孔204が第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bに対して略垂直となる位置に配設される構成としたが、この配設に限られず、例えば、孔204の位置を第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bに対して並行となる位置に配設する構成としても良いし、また、孔204の位置がそれぞれのドライバーに対して水平または垂直の角度から1度〜89度だけオフセットした角度となるよう配設しても良い。これにより、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bから放音されたオーディオ信号が外部に放出される角度が変化するため、孔204から放音されるオーディオ信号の周波数特性を変化させることができ、使用者にとって最適な周波数特性のオーディオ信号を放音させることができる。
【0039】
本実施例のヘッドホン装置1は、第1のドライバーユニット7aと第2のドライバーユニット7bをそれぞれ振動板702が対向するように並行に配設する構成としたが、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bのそれぞれの振動板702を並行に配設するのでなく、ある程度の角度だけそれぞれ傾斜させた状態として配設させても良い。例えば、図2に示すハウジング2及び孔204において、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bのそれぞれの振動板702を孔204の方向にそれぞれ30度傾斜させた状態となるよう第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bを配設させても良い。これにより、第1のドライバーユニット7a及び第2のドライバーユニット7bのそれぞれの振動板702から放音されるオーディオ信号が孔204の方向に放出されやすくなるため、ヘッドホン装置1により放音するオーディオ信号を更に高音質にすることができる。
【0040】
本実施例のヘッドホン装置1は、ハウジング2の形状を球体とする構成としたが、これに限られず、内部に空間を備えるのであれば立方体、長方体、多面体等、どのような形状としても良い。また、本実施例のヘッドホン装置1は、ケーブル6を介してオーディオ信号を入力する構成としたが、これに限られず、例えば、赤外線送信、電波送信等の無線送信手段によりオーディオ信号を入力する構成としても良い。また、本実施例のヘッドホン装置1は、第1のドライバーユニット7aと第2のドライバーユニット7bの2つのドライバーユニットを備える構成としたが、これに限られず、3つ以上のドライバーユニットを備える構成としても良い。
【0041】
本実施例のヘッドホン装置1は、第1のドライバーユニット7aと第2のドライバーユニット7bをそれぞれ振動板702が対向するように配設する構成としたが、この配設に限られず、例えば、第1のドライバーユニット7aの振動板702とは反対の背面と第2のドライバーユニット7bの振動板702とは反対の背面が対抗するように配設しても良い。このことにより、第1のドライバーユニット7aの磁気回路の部分と第2のドライバーユニット7bの磁気回路の部分との距離を更に近づけることができるため、それぞれのドライバーユニットから放出される磁界が互いに作用し合ってそれぞれのドライバーユニットから放出される磁束密度の更に増大させることができ、この磁束密度の更なる増大により、更に高感度で高音質なオーディオ信号を省電力で放音させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、再生装置と接続し、再生装置から出力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置に有用に用いることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ヘッドホン装置1、2 ハウジング、202 凸部、203 溝部、
204 孔、205 孔、
4 イヤーパッド、401 孔、402 鍔部、5 ブッシュ、503 孔、
6 ケーブル、602 リード線、
7a 第1のドライバーユニット、7b 第2のドライバーユニット、
701 フレーム、702 振動板、703 ボイスコイル、704 マグネット、
705 サスペンション、
8 入力端子、9 空間、10 再生装置、11 出力端子、
100 ヘッドホン装置、200 ハウジング、300 前部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置において、
内部が空洞の形状を成し、前方に前後に貫通する孔を備える凸部を備えるハウジングと、
前記ハウジングの内壁にそれぞれ固定され入力したオーディオ信号を放音する振動板をそれぞれ有する第1のドライバーユニット及び第2のドライバーユニットとを備え、
前記第1のドライバーユニット及び前記第2のドライバーユニットは、それぞれの前記振動板が互いに対向するよう並行に配設されていることを特徴とするヘッドホン装置。
【請求項2】
入力されたオーディオ信号を出力するヘッドホン装置において、
内部が空洞の形状を成し、前方に前後に貫通する孔を備える凸部を備えるハウジングと、
前記ハウジングの内壁にそれぞれ固定され入力したオーディオ信号を放音する振動板をそれぞれ有する第1のドライバーユニット及び第2のドライバーユニットとを備え、
前記第1のドライバーユニット及び前記第2のドライバーユニットは、それぞれの前記振動板が互いに対向すると共に当該それぞれの振動板が予め定めた角度だけ傾斜して配設されていることを特徴とするヘッドホン装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のヘッドホン装置において、
前記第1のドライバーユニットの前記振動板から前記第2のドライバーユニットの前記振動板までの距離は、略2mmであることを特徴とするヘッドホン装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載のヘッドホン装置において、
前記貫通する孔は、前記第1のドライバーユニット及び前記第2のドライバーユニットに対して略垂直となる位置に配設されることを特徴とするヘッドホン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−70138(P2013−70138A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205756(P2011−205756)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(309039716)株式会社ディーアンドエムホールディングス (37)
【Fターム(参考)】