説明

ヘッドマウントディスプレイ

【課題】使用時の利用者への負荷をより低減することができるヘッドマウントディスプレイを提供することにある。
【解決手段】利用者の眼前に配置され、正面部と、正面部の一方の端部に配置され、利用者の一方の耳で支持される第1側面部と、正面部の他方の端部に配置され、利用者の他方の耳で支持される第2側面部と、を有するヘッドマウントディスプレイであって、正面部に配置され、利用者が視認できる画像を表示する表示部と、第1側面部の耳で支持される部分よりも正面部から離れた位置に配置され、画像信号を生成する信号生成部と、正面部に配置され、信号生成部から供給された信号に基づいて表示部による画像の表示を制御する表示制御部と、を有することで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の頭部に装着可能で、画像を表示するヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像を表示させる装置として、利用者の頭部に装着した状態で画像を表示させるヘッドマウントディスプレイがある。ヘッドマウントディスプレイは、利用者の目の前に配置したスクリーンに画像を表示させる(特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−199789号公報
【特許文献2】特開2010−204397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、ヘッドマウントディスプレイには、利用者の頭にかぶせて使用するヘルメット形状のものもあるが、装置が大型化するため、持ち運びや保管に手間がかかる。ここで、特許文献1や特許文献2に記載のヘッドマウントディスプレイは、眼鏡のように鼻にかけることで利用者の頭部に支持される。このため、ヘッドマウントディスプレイは、長時間使用していると鼻に負担がかかる。
【0005】
本発明は、使用時の利用者への負荷をより低減することができるヘッドマウントディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、利用者の眼前に配置される正面部と、前記正面部の一方の端部に配置され、前記利用者の一方の耳で支持される第1側面部と、前記正面部の他方の端部に配置され、前記利用者の他方の耳で支持される第2側面部と、を有するヘッドマウントディスプレイであって、前記正面部に配置され、利用者が視認できる画像を表示する表示部と、前記第1側面部の前記耳で支持される部分よりも前記正面部から離れた位置に配置され、画像信号を生成する信号生成部と、前記正面部に配置され、前記信号生成部から供給された信号に基づいて前記表示部による画像の表示を制御する表示制御部と、を有することを特徴とする。
【0007】
ここで、前記第1側面部の前記耳で支持される部分よりも前記正面部から離れた位置に配置され、前記表示部、前記信号生成部および前記表示制御部に電力を供給するバッテリをさらに有することが好ましい。
【0008】
また、前記表示部は、前記正面部に配置されたスクリーンに画像を表示させることが好ましい。
【0009】
また、前記正面部は、半透明または透明な部材で形成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記第1側面部は、前記利用者の一方の耳に挿入される第1突出部を有し、前記第2側面部は、前記利用者の他方の耳に挿入される第2突出部を有することが好ましい。
【0011】
また、前記第1突出部および前記第2突出部は、音声を出力するイヤホンであり、前記第1側面部の前記耳で支持される部分よりも前記正面部から離れた位置に配置され、前記イヤホンに供給する音声信号を生成する音声信号生成部をさらに有することが好ましい。
【0012】
また、前記第1側面部の前記耳で支持される部分よりも前記正面部から離れた位置および前記第2側面部の前記耳で支持される部分よりも前記正面部から離れた位置にそれぞれ配置され、骨伝導で前記利用者に音声を伝達する音声出力部と、前記第1側面部の前記耳で支持される部分よりも前記正面部から離れた位置に配置され、前記音声出力部に供給する音声信号を生成する音声信号生成部と、をさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、使用時の利用者への負荷をより低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施形態に係るヘッドマウントディスプレイを備える画像表示システムの一実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すヘッドマウントディスプレイを利用者が装着した状態を示す説明図である。
【図3】図3は、図1に示す画像表示システムの機能の概略構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、ヘッドマウントディスプレイから利用者にかかる荷重を説明するための説明図である。
【図5】図5は、ヘッドマウントディスプレイから利用者にかかる荷重を説明するための説明図である。
【図6】図6は、ヘッドマウントディスプレイから利用者にかかる荷重を説明するための説明図である。
【図7】図7は、他の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイを利用者が装着した状態を示す説明図である。
【図8】図8は、他の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイを利用者が装着した状態を示す説明図である。
【図9】図9は、他の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイを利用者が装着した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0016】
図1は、実施形態に係るヘッドマウントディスプレイを備える画像表示システムの一実施形態の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1に示すヘッドマウントディスプレイを利用者が装着した状態を示す説明図である。図1に示す画像表示システム1は、ヘッドマウントディスプレイ11と制御装置40とを有する。画像表示システム1は、ヘッドマウントディスプレイ11と制御装置40との間で無線通信を行い、制御装置40からヘッドマウントディスプレイ11に表示させる画像の情報を供給する。画像表示システム1は、ヘッドマウントディスプレイ11が制御装置40から供給される画像情報を処理し、画像を表示させることで利用者に向けて画像を表示する。
【0017】
ヘッドマウントディスプレイ11は、図1に示すように、眼鏡形状(ゴーグル形状)であり、正面部12と側面部13と側面部15とを有する。利用者Hに装着されたヘッドマウントディスプレイ11は、図2に示すように正面部12が利用者Hの眼前に配置され、側面部13、15が利用者Hの側頭部に沿って配置される。
【0018】
正面部12は、上述したように利用者Hに装着された場合、利用者Hの眼前に配置される部分である。正面部12は、中央部の一方の端部に装着時に利用者Hの鼻と接する正面支持部30が形成されている。正面支持部30は、利用者Hの鼻に沿って凹んだ形状である。正面部12は、正面支持部30が鼻により支持されることで、図2中下方向(頭部の下方向)に対してヘッドマウントディスプレイ11が落ちないように支持される。正面部12は、略全域に画像を表示する表示部20が配置されている。また、正面部12は、表示部20に画像を表示させる指示となる信号を生成する表示制御部21が配置されている。なお、本実施形態の表示制御部21は、正面部12の中央部の正面支持部30とは反対側の端部に配置されている。
【0019】
側面部13は、上述したように利用者Hに装着された場合、利用者Hの側頭部に沿って配置される部分であり、一方の端部が正面部12の一方の端部と連結している。また、側面部13は、装着時に利用者Hの耳の上側の部分と接する側面支持部32が形成されている。側面支持部32は、利用者Hの耳に沿って凹んだ形状である。側面支持部32は、側面支持部32が耳により支持されることで、図2中下方向(頭部の下方向)に対してヘッドマウントディスプレイ11が落ちないように支持される。また、側面支持部32は、側面支持部32が耳により支持されることで、図2中左右方向(頭部の前後方向)に対してヘッドマウントディスプレイ11が移動しないように支持される。
【0020】
また、側面部13は、側面支持部32(耳で支持される部分)よりも正面部12から離れた位置である他方の端部14に制御部22が配置されている。端部14は、側面部13の他の部分よりも図2中上下方向(側面部13が延在する方向に対して直交する方向)に膨らんだ形状である。また、側面部13は、イヤホン26と配線で連結されている。なお、イヤホン26は、図2に示すように使用時に利用者Hの耳に挿入される。
【0021】
側面部15は、上述したように利用者Hに装着された場合、利用者Hの側頭部に沿って配置される部分であり、一方の端部が正面部12の他方の端部と連結している。つまり側面部15は、正面部12を介して側面部13と対向する位置に配置されている。また、側面部15は、装着時に利用者Hの耳の上側の部分と接する側面支持部34が形成されている。側面支持部34は、利用者Hの耳に沿って凹んだ形状である。側面支持部34は、側面支持部34が耳により支持されることで、頭部の下方向に対してヘッドマウントディスプレイ11が落ちないように支持される。また、側面支持部34は、側面支持部34が耳により支持されることで、頭部の前後方向に対してヘッドマウントディスプレイ11が移動しないように支持される。
【0022】
また、側面部15は、側面支持部34(耳で支持される部分)よりも正面部12から離れた位置である他方の端部16に電源部24が配置されている。端部16は、側面部15の他の部分よりも側面部15が延在する方向に対して直交する方向に膨らんだ形状である。また、側面部15は、イヤホン28と配線で連結されている。イヤホン28は、使用時に利用者Hの耳に挿入される。
【0023】
次に、図3を用いて、画像表示システム1の機能について説明する。図3は、図1に示す画像表示システムの機能の概略構成を示すブロック図である。画像表示システム1は、上述したようにヘッドマウントディスプレイ11と制御装置40とを有する。ヘッドマウントディスプレイ11は、表示部20と、表示制御部21と、制御部22と、電源部24と、イヤホン26、28と、を有する。なお、表示部20と表示制御部21とは、正面部12に配置されており、制御部22は端部14に配置されており、電源部24は端部16に配置されている。
【0024】
表示部20は、表示制御部21による制御に基づいて映像や画像を表示させる表示パネルである。表示部20としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネルなどで構成された表示パネルを用いることができる。ここで、表示部20は、表示パネルを半透明または透明の板状部材で作製することが好ましい。表示部20の表示パネルを半透明または透明の板状部材で作製することで、利用者Hが表示部20で塞いでいる領域の外側の景色を見ることができる。これにより、ヘッドマウントディスプレイ11を装着している場合でも周囲の状況を把握することができる。
【0025】
なお、表示部20は、利用者Hが視認できる画像を表示させることができれば、つまり利用者Hに画像を見せることができればよく、種々の構成を用いることができる。例えば、表示部20としては、プロジェクタのように表示パネル(スクリーン)に画像を投影する構成としてもよい。なお、画像を投影させる場合、レーザ光を走査させて画像を投影する構成としてもよいし、液晶パネルに光を透過させて画像を投影する構成としてもよい。また、表示部20から利用者Hに向けて直接レーザ光を照射することで利用者Hに対して画像を表示させる構成としてもよい。
【0026】
表示制御部21は、制御部22から供給される画像信号に基づいて表示部20の動作を制御する。例えば、表示部20が液晶ディスプレイの場合、印加する電圧を制御し各液晶素子のONとOFFの切り替えを制御する。
【0027】
制御部22は、信号生成部22aと主制御部22bと音声信号生成部22cと通信部22dとを有する。信号生成部22aは、表示制御部21に供給する信号を生成する演算処理部である。信号生成部22aは、表示部20に表示する画像、動画のデータを取得した場合、取得したデータを表示制御部21で処理可能な信号に変換し、変換した信号を表示制御部21に送る。
【0028】
主制御部22bは、例えば、マイクロプロセッサユニット(MPU:Micro Processing Unit)で構成され、ソフトウェアで指示された手順にしたがって上述したヘッドマウントディスプレイ11の各種の処理を実行する。すなわち、主制御部22bは、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションのプログラム等から命令コードを順次読み込んで処理を実行する。このように、主制御部22bは、各部の動作を制御し、各部に必要なデータ、例えば信号生成部22aに画像のデータを送り、音声信号生成部22cに音声信号を送る。
【0029】
ここで、制御部22は、これら各種プログラムを記憶する記憶部を備えている。記憶部は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(ROM:Read Only Memory等の不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置等)や、読み書き可能な記憶デバイス(例えば、SRAM:Static Random Access Memory、DRAM:Dynamic Random Access Memory)等で構成される。
【0030】
音声信号生成部22cは、イヤホン26、28から出力させる音声信号の処理を実行する。すなわち、音声信号生成部22cは、主制御部22bから送られる音声データに対して復号化、DA変換(Digital Analog変換)、増幅等の処理を施してアナログの音声信号に変換してから、イヤホン26、28へ出力する。
【0031】
通信部22dは、制御装置40の後述する通信部44と無線で通信を行う。通信部22dは、制御装置40と通信を行うことで各種情報を送受信する。なお、通信部22dは、制御装置40以外の通信端末とも通信可能としても良い。通信部22dは、例えば基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA(Code Division Multiple Access)方式などによる無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信及び情報通信を行ってもよい。
【0032】
電源部24は、電力を供給する供給源であり、制御部22を含むヘッドマウントディスプレイ11の各機能部へ電力を供給する。なお電源部24は、充電可能な蓄電池(バッテリ)や交換可能で使い捨て可能な乾電池を供給源としても用いる。
【0033】
イヤホン26、28は、音声信号生成部22cから供給されるアナログの音声信号に基づいて音声を出力する音声出力部である。
【0034】
制御装置40は、制御部42と、通信部44と、を有する。制御部42は、例えば、マイクロプロセッサユニット(MPU:Micro Processing Unit)で構成され、ソフトウェアで指示された手順にしたがって各種の処理を実行する。すなわち、制御部42は、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションのプログラム等から命令コードを順次読み込んで処理を実行する。このように、制御部42は、各部の動作を制御し、各部に必要なデータ、例えば通信部44に、ヘッドマウントディスプレイ11に送る映像のデータ、動画のデータ、各種制御支持の情報等を送る。
【0035】
通信部44は、ヘッドマウントディスプレイ11の通信部22dと無線で通信を行う。通信部44は、ヘッドマウントディスプレイ11と通信を行うことで各種情報を送受信する。なお、通信部44は、通信部22dと同様にヘッドマウントディスプレイ11以外の通信端末とも通信可能としても良い。
【0036】
なお、画像表示システム1およびヘッドマウントディスプレイ11は、上記各種構成に加え、画像表示システム1およびヘッドマウントディスプレイ11に通常用いる各種構成を備えていることが好ましい。画像表示システム1およびヘッドマウントディスプレイ11は、例えば利用者Hが操作を入力する操作部を備えていることが好ましい。操作部は、ヘッドマウントディスプレイ11に設けても、別体として設けてもよい。操作部を別体として設ける場合は、通信部22d、通信部44との通信により操作を入力すればよい。
【0037】
画像表示システム1は、制御装置40からヘッドマウントディスプレイ11に表示する映像データ等を送り、ヘッドマウントディスプレイ11で処理することで、ヘッドマウントディスプレイ11を装着する利用者Hに画像と音声を提供することができる。つまり利用者Hに画像を見せ、音声を聞かせることができる。ここで、ヘッドマウントディスプレイ11は、通信部22dと制御装置40の通信部44との通信により映像データ等を取得した場合、主制御部22bにより処理し、画像のデータを信号生成部22aに送り、音声のデータを音声信号生成部22cに送る。信号生成部22aは、主制御部22bから送られた画像データに基づいて表示制御部21で処理可能な信号を生成し、生成した信号を表示制御部21に送る。表示制御部21は、当該信号に基づいて表示部20の動作を制御することで、画像データの画像を表示部20により利用者Hに向けて表示する。また、音声信号生成部22cは、音声のデータに対して処理を行い生成した信号をイヤホン26、28に送る。イヤホン26、28は、供給された信号に基づいて音声を出力する。これにより、音声を利用者Hに向けて出力する。
【0038】
本実施形態の画像表示システム1およびヘッドマウントディスプレイ11は、制御部22を端部14に配置し、電源部24を端部16に配置することで、使用時の利用者Hへの負荷をより低減することができる。
【0039】
以下、図4から図6を用いて説明する。図4から図6は、それぞれヘッドマウントディスプレイから利用者Hにかかる荷重を説明するための説明図である。なお、図4から図6は、ヘッドマウントディスプレイ11の正面部12、側面部13、15を梁に近似した場合に、正面支持部30、側面支持部32、34に係る負荷を示す図である。ヘッドマウントディスプレイ11の正面部12の荷重は、図4および図5に示すように、正面部12と側面部15との連結部Aから正面支持部30までの領域の重心に係る力Fと、正面部12と側面部13との連結部Bから正面支持部30までの領域の重心に係る中点の力Fとすることができる。また、この時、連結点A、連結点Bに係る力はR´となり、正面支持部30に係る力は、Rとなる。
【0040】
また、側面部13の荷重は、図4および図6に示すように、端部14(制御部22)の荷重であるFと、連結点Bから側面支持部32までの領域の重心に係る力Fとすることができる。また、側面部15の荷重は、図4に示すように、端部16の荷重であるFと、側面部15の端部以外の領域の重心に係る力Fとすることができる。また、この時、側面支持部32に係る力は、Rとなる。
【0041】
ここで、例えば、正面部12の荷重(重量)を100g、側面部13、15の端部以外の領域の荷重をそれぞれ10g、端部14、16の荷重をそれぞれ40gとすると、正面支持部30に係る力Rは、62gとなる。これに対して、制御部22等を正面部12に配置した構成、つまり、80gを端部14、16ではなく、正面部12に配置した構成では、正面支持部30に係る力Rは、75gとなる。したがって、本実施形態の構成とすることで、正面支持部30に係る負荷、つまり鼻にかかる負荷を20%程度低減することができる。
【0042】
このように、一定以上の重量である制御部22、電源部24を端部14、16、つまり側面部13、15の前記耳で支持される部分よりも正面部12から離れた位置に配置することで、ヘッドマウントディスプレイ11の重心をより後ろ側、正面部12から離れる位置とすることができ、使用時に利用者Hの鼻に係る負荷を低減することができる。
【0043】
また、ヘッドマウントディスプレイ11は、表示部20を制御する表示制御部21のみを正面部12に配置し、画像データの信号等を生成する制御回路である信号生成部22aは、端部14に配置することで、正面部12に配置する制御回路を少なくすることができ、正面部12の重量をより軽くすることができる。なお、表示制御部21と信号生成部22aとの関係は、例えば折り畳み式携帯電話機の表示部が配置されている側の筐体に配置される機能が表示制御部21となり、表示部が配置されていない側の筐体に配置される機能が信号生成部22aとなる。
【0044】
また、ヘッドマウントディスプレイ11は、電源部24を設けることで、ゴーグル形状に必要な各部を設置することができ、持ち運びが容易となる。また、ヘッドマウントディスプレイ11は、電源部24を内蔵し、通信部22dで無線通信を行うことで、利用者Hの頭部から他の部分に延びる配線を設ける必要がなくなり、使用時に配線が邪魔になることを抑制できる。
【0045】
ヘッドマウントディスプレイ11は、2つの端部14、16のうち、制御部22が配置されていない端部16に電源部24を配置したがこれには限定されない。電源部24は、端部14、16の両方に配置してもよい。また、ヘッドマウントディスプレイ11は、制御部22の一部を端部16に配置してもよい。なお、ヘッドマウントディスプレイ11は、端部14、16の重量が均等になるように制御部22、電源部24を配置することが好ましい。重量を均等にすることで、使用時の利用者Hへの負荷をより低減することができる。
【0046】
また、ヘッドマウントディスプレイ11は、2つの端部14、16に制御部22、電源部24を設けることで、より大きな割合で鼻への負荷を低減することができる。このため、ヘッドマウントディスプレイ11は、2つの端部14、16に制御部22、電源部24を設けることが好ましいがこれに限定されない。ヘッドマウントディスプレイ11は、制御部22、電源部24を側面支持部32、34(耳で支持される部分)よりも正面部12から離れた位置に配置すればよい。なお、ヘッドマウントディスプレイ11は、さらに、少なくとも信号生成部22aを側面支持部32(耳で支持される部分)よりも正面部12から離れた位置に配置すればよい。ヘッドマウントディスプレイ11は、信号生成部22aを側面支持部32よりも正面部12から離れた位置に配置することで、表示部20の駆動に必要な回路の一部を正面部12以外の鼻への負担を減らすことができる位置に配置することができ、使用時の利用者Hへの負担を軽減することができる。
【0047】
また、上記実施形態のヘッドマウントディスプレイ11は、耳で支持する部分として耳の上に載置される側面支持部32、34を設けたが耳で支持する部分の構成はこれに限定されない。図7は、他の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイを利用者Hが装着した状態を示す説明図である。図7に示すヘッドマウントディスプレイ51は、ゴーグル形状であり、正面部52と正面部52の一方の端部と連結した側面部53とを有する。なお、図7では省略したが、ヘッドマウントディスプレイ51は、側面部53に対向する位置、つまり、正面部52の他方の端部と連結する側面部も備える。また、側面部53は、正面部52と連結していない側の端部54が上述した端部14と同様に他の部分よりも大きい形状となっている。端部54は、内部に制御部等が配置されている。
【0048】
また、側面部53は、正面部52と連結していて、利用者Hの側頭部に沿って延在する部分(棒状の部分)にイヤホン60が固定されている。イヤホン60は、利用者Hの耳の穴に挿入される機構である。ヘッドマウントディスプレイ51は、側面部53に固定され利用者Hの耳の穴に挿入されるイヤホン60が耳で支持する部分、つまり側面支持部となる。なお、側面部53に対向する側面部も同様の構造である。ヘッドマウントディスプレイ51は、イヤホン60を側面支持部とすることで、耳の穴に挿入され利用者Hと面で接触している部材を側面支持部とすることができ、使用時に利用者Hにかかる負荷をより低減することができる。また、イヤホン60を側面支持部として用いることで、装置構成をより簡単にすることができる。
【0049】
また、上記実施形態では音声出力部としてイヤホンを用いたがこれに限定されない。図8は、他の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイを利用者Hが装着した状態を示す説明図である。図8に示すヘッドマウントディスプレイ71は、ゴーグル形状であり、正面部72と正面部72の一方の端部と連結した側面部73とを有する。なお、図8では省略したが、ヘッドマウントディスプレイ71は、側面部73に対向する位置、つまり、正面部72の他方の端部と連結する側面部も備える。また、側面部73は、正面部72と連結していない側の端部74が上述した端部14と同様に他の部分よりも大きい形状となっている。端部74は、内部に制御部等が配置されている。
【0050】
また、側面部73は、正面部72と連結していて、利用者Hの側頭部に沿って延在する部分(棒状の部分)に側面支持部82が固定されている。側面支持部82は、利用者Hの耳の穴に挿入される機構である。つまり、側面支持部82は、音声出力機能を備えない突起部となる。ヘッドマウントディスプレイ71は、側面部73に固定され利用者Hの耳の穴に挿入される側面支持部82が耳で支持する部分、つまり側面支持部となる。なお、側面部73に対向する側面部も同様の構造である。ヘッドマウントディスプレイ71は、側面支持部82とすることで、耳の穴に挿入され利用者Hと面で接触している部材を側面支持部とすることができ、使用時に利用者Hにかかる負荷をより低減することができる。
【0051】
ヘッドマウントディスプレイ71は、端部74に音声出力部84が配置されている。音声出力部84は、骨伝導により利用者Hに音声を出力する機構であり、端部74のうち装着時に利用者Hと接する領域に配置されている。このようにヘッドマウントディスプレイ71は、利用者Hに接した状態で使用されるため、骨伝導により利用者Hに音声を出力する機構も用いることができる。また、ヘッドマウントディスプレイ71は、音声出力部84を端部74に設けることで、端部74の重量の割合をより大きくすることができる。これにより、利用者Hの鼻にかかる負荷をより少なくすることができる。
【0052】
また、ヘッドマウントディスプレイは、側面支持部として図7および図8に示すように耳の穴に挿入される機構と、図2に示すように耳の上にかけられる機構と、の両方を設けてもよい。
【0053】
図9は、他の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイを利用者Hが装着した状態を示す説明図である。図9に示すヘッドマウントディスプレイ91は、音声出力部の構成を除いて他の構成は基本的にヘッドマウントディスプレイ11と同様の構成である。ヘッドマウントディスプレイ91は、ゴーグル形状であり、正面部12と正面部12の一方の端部と連結した側面部13とを有する。なお、図9では省略したが、ヘッドマウントディスプレイ91は、側面部13に対向する位置、つまり、正面部12の他方の端部と連結する側面部も備える。また、側面部13は、正面部12と連結していない側の端部14には、制御部等が内蔵されている。
【0054】
ヘッドマウントディスプレイ91は、側面部13に連結された音声出力部92を有する。音声出力部92は、骨伝導により利用者Hに音声を出力する機構であり、側面部13のうち装着時に利用者Hの軟骨(耳の前、目に近い位置で突出している部分)94と接する領域に配置されている。このようにヘッドマウントディスプレイ91は、利用者Hに接した状態で使用されるため、骨伝導により利用者Hに音声を出力する機構も用いることができる。また、ヘッドマウントディスプレイ91は、音声出力部92で利用者Hの軟骨に音声を伝達することで好適に音声を伝達することができる。また、ヘッドマウントディスプレイ91は、側面支持部32で側面部13を支持しかつ音声出力部92で音声を伝達することで、耳の穴を塞ぐことなく、耳で支持された状態としかつ音声を伝達することができる。これにより、利用者Hは、外部の音声が聞こえる状態でヘッドマウントディスプレイ91を使用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 画像表示システム
11 ヘッドマウントディスプレイ
12 正面部
13、15 側面部
14、16 端部
20 表示部
21 表示制御部
22、42 制御部
22a 信号生成部
22b 主制御部
22c 音声信号生成部
22d、44 通信部
24 電源部
26、28 イヤホン
30 正面支持部
32、34 側面支持部
40 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の眼前に配置された正面部と、前記正面部の一方の端部に配置され、前記利用者の一方の耳で支持される第1側面部と、前記正面部の他方の端部に配置され、前記利用者の他方の耳で支持される第2側面部と、を有するヘッドマウントディスプレイであって、
前記正面部に配置され、前記利用者が視認できる画像を表示する表示部と、
前記第1側面部の前記耳で支持される部分よりも前記正面部から離れた位置に配置され、画像信号を生成する信号生成部と、
前記正面部に配置され、前記信号生成部から供給された信号に基づいて前記表示部による画像の表示を制御する表示制御部と、を有することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項2】
前記第1側面部の前記耳で支持される部分よりも前記正面部から離れた位置に配置され、前記表示部、前記信号生成部および前記表示制御部に電力を供給するバッテリをさらに有することを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
前記表示部は、前記正面部に配置されたスクリーンに画像を表示させることを特徴とする請求項1または2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
前記正面部は、半透明または透明な部材で形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
前記第1側面部は、前記利用者の一方の耳に挿入される第1突出部を有し、
前記第2側面部は、前記利用者の他方の耳に挿入される第2突出部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
前記第1突出部および前記第2突出部は、音声を出力するイヤホンであり、
前記第1側面部の前記耳で支持される部分よりも前記正面部から離れた位置に配置され、前記イヤホンに供給する音声信号を生成する音声信号生成部をさらに有することを特徴とする請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項7】
前記第1側面部の前記耳で支持される部分よりも前記正面部から離れた位置および前記第2側面部の前記耳で支持される部分よりも前記正面部から離れた位置にそれぞれ配置され、骨伝導で前記利用者に音声を伝達する音声出力部と、
前記第1側面部の前記耳で支持される部分よりも前記正面部から離れた位置に配置され、前記音声出力部に供給する音声信号を生成する音声信号生成部と、をさらに有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−231259(P2012−231259A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97511(P2011−97511)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】