説明

ヘッド機構

【課題】2つのヘッド装置によりヘッド部が構成される装置のヘッド部において、幅方向で小型化されるとともに、互いに近接して配設されたヘッド装置周りにおいて、必要に応じて空間を形成することが可能なヘッド機構を提供しようとする。
【解決手段】ガイドレールに沿って摺動自在に配設されたキャリッジに配設される2つのヘッド装置により構成されるヘッド部におけるヘッド機構において、少なくとも1つのヘッド装置が回動可能にキャリッジに配設され、上記キャリッジに回動可能に配設されたヘッド装置は、着脱機構により上記キャリッジに着脱可能に配設されるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッド機構に関し、さらに詳細には、例えば、画像濃度を表す画像濃度データなどのような画像の作成に関するデータ(以下、画像の濃度を表す画像濃度データなどのような画像の作成に関する種々のデータを総称して単に「画像データ」と称する。)に基づいて、加工工具を被加工物の被加工面に押圧することにより当該被加工面を打刻して凹部を形成し、当該被加工面に打刻により生じた凹部によって形成された画像(以下、「打刻により生じた凹部によって形成された画像」を「打刻画像」と適宜に称する。)を形成するとともに、当該打刻画像の切り抜きを行うことを可能にした打刻および切り抜き装置など、2つのヘッド装置(例えば、上記した打刻および切り抜き装置においては、打刻を行う打刻ヘッドと切り抜きを行うカッティングヘッドとがそれぞれことなる機能を備えた2つのヘッド装置となる。)によりヘッド部が構成される装置におけるヘッド機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像データに基づいて加工工具を被加工物の被加工面に押圧して、当該被加工面に文字、図形あるいは記号などの種々の打刻画像を形成する装置として、例えば、特許文献1に開示されたような打刻機が知られている。
【0003】
こうした打刻機は、例えば、ソレノイドに貫通させて設けてあるプランジャの下部に加工工具が設けられており、ソレノイドに通電するとプランジャが吸引されて加工工具が下降するように構成されている。
【0004】
この加工工具の下降に伴い、加工工具は被加工物の被加工面に当接して被加工面を押圧することにより当該被加工面を打刻して凹部を形成し、当該被加工面に打刻画像が形成されることになる。
【0005】
この際に、画像データに応じてソレノイドへの通電時間を変化させると、加工工具により被加工面へ付与される押圧力の強度に変化が生じ、当該押圧力の強度変化に応じて形状の変化した凹部を被加工物に形成することができるため、これにより所望の打刻画像を被加工物の被加工面に形成することができることになる。
【0006】
こうした打刻機においては、被加工物に形成された打刻画像を所望の領域で切り取ろうとする際には、作業者によるカッターなどを用いた手作業による切り抜き作業や、打刻機とは別途に専用のカッティングマシーンを用意して当該カッティングマシーンを用いた切り抜き作業を行う必要があった。
【0007】
このため、従来においては、打刻機で形成された打刻画像を所望の領域で切り取って商品化する場合には、作業者の人件費やカッティングマシーンの導入費用などのためコスト高を招来するとともに、カッティングマシーンを導入した場合には、当該カッティングマシーンを配置するための場所も必要となって、配置スペースを大きく取らなければならないという問題点があった。
【0008】

こうした問題点を解決するための手法として、特許文献2に開示されたような打刻および切り抜き装置が知られている。
【0009】
この特許文献2に開示された打刻および切り抜き装置は、一本のガイドレールに打刻画像作成用の打刻ヘッドと打刻画像の輪郭などを切り抜くカッティングヘッドとが装着されている。
【0010】
さらに、この打刻ヘッドとカッティングヘッドとは、マグネットなどにより構成される連結部により連結されるとともに、打刻ヘッドに設けられた係合フックが打刻および切り抜き装置の側方部材に設けられたフックと係合して分離され、同一の駆動装置により移動制御されるように構成されている。
【0011】
そして、ホストコンピューターからの画像データに基づいて所望の打刻画像を作成する場合には、カッティングヘッドと打刻ヘッドとを連結し、カッティングヘッドを移動させることにより、カッティングヘッドと一体的に打刻ヘッドを移動して打刻画像を形成するようにしている。
【0012】
また、画像データに基づいて画像の切り抜き動作を行う場合には、打刻ヘッドとカッティングヘッドとを分離して打刻ヘッドを側方部材に固定し、カッティングヘッドのみを駆動して打刻画像の輪郭などを切り抜き加工するようにしている。
【0013】
このため、特許文献2に開示された打刻および切り抜き装置においては、1つの装置により打刻画像の形成および所望の領域の切り抜きを行うことができるようになり、コスト高を抑制することができるとともに、配置スペースを大きく取る必要がなくなるものである。
【0014】

しかしながら、特許文献2に開示された打刻および切り抜き装置において、打刻画像を形成する場合などには、連結部により打刻ヘッドとカッティングヘッドとが一体的に連結されて駆動装置により移動制御される。
【0015】
このため、ガイドレール上に配置される際に、打刻ヘッドとカッティングヘッドとが一体となったヘッド部が幅方向(当該ヘッド部が移動する副走査方向)に大きくなってしまい、当該ヘッド部を副走査方向に移動させる際には、当該ヘッド部において大きな慣性が生じてしまうこととなっていた。
【0016】
このため、ヘッド部において、単に打刻ヘッドおよびカッティングヘッドといったヘッド装置の構成を小型化するということだけでなく、幅方向での大きさを少しでも小さくするようなヘッド部の構成の提案が望まれていた。
【0017】

ここで、打刻ヘッドとカッティングヘッドとにより構成されるヘッド部を、打刻ヘッドとカッティングヘッドとを連結部により連結する構成をとることなく、単に打刻ヘッドとカッティングヘッドとを近接して設けることにより小型化を図る手法が提案されている(特許文献2の変形例に記載されている。)。
【0018】
しかしながら、こうした場合には、打刻ヘッドとカッティングヘッドとの間に、少なくとも作業者が手を入れて打刻ヘッドおよびカッティングヘッドに取り付けられたツールを交換することが可能な程度の空間を設ける必要があり、当該ヘッド部を幅方向で一定サイズ以下に小型化することが困難であった。
【0019】
このため、打刻ヘッドやカッティングヘッドなど、互いに異なる機能を有する2つのヘッド装置が近接して配設されたヘッド部において、当該2つのヘッド装置の周辺において空間を設けることが可能な機構の提案が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2002−46394号公報
【特許文献2】特開2007−136576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、従来の技術の有する上記したような要望に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、2つのヘッド装置によりヘッド部が構成される装置のヘッド部において、幅方向で小型化されるとともに、互いに近接して配設されたヘッド装置周りにおいて、必要に応じて空間を形成することが可能なヘッド機構を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本発明は、2つのヘッド装置を一体的に近接して配置してヘッド部を構成するとともに、少なくとも1つのヘッド装置を当該ヘッド装置周辺において障害物のない方向に回動可能な構成としたものである。
【0023】
従って、本発明によるヘッド機構によれば、隣り合うヘッド装置を近接した状態で配置してヘッド部を構成したので、従来の技術による連結部を介してヘッド部を構成したヘッド機構に比べて、ヘッド部の幅方向の大きさを小さくすることができる。
【0024】
また、本発明によるヘッド機構によれば、ヘッド装置を回動することにより、ヘッド装置周りに必要に応じて空間を形成することができ、当該形成された空間を利用して作業者は各ヘッド装置に対してツール交換などの所定の作業を容易に行うことができる。
【0025】

即ち、本発明は、ガイドレールに沿って摺動自在に配設されたキャリッジに配設される2つのヘッド装置により構成されるヘッド部におけるヘッド機構において、少なくとも1つのヘッド装置が回動可能にキャリッジに配設され、上記キャリッジに回動可能に配設されたヘッド装置は、着脱機構により上記キャリッジに着脱可能に配設されるようにしたものである。
【0026】
また、本発明は、上記した発明において、回動可能に配設された上記ヘッド装置は、上記キャリッジにおいて上記ヘッド装置周辺における障害物のない方向に回動可能に配設されるようにしたものである。
【0027】
また、本発明は、上記した発明において、上記着脱機構は、凹部が形成されるとともに、回動可能に配設された上記ヘッド装置と一体的に回動可能に配設された係止部と、作業者が押圧することにより回転するよう上記係止部に隣接して配設されたレバーと、上記キャリッジに配設され上記凹部に係合可能なフック部を備えた立設部とにより構成され、上記作業者が上記レバーを押圧することにより上記レバーが回転して上記凹部と上記フック部との係合状態を解除し、上記作業者が回動可能に配設された上記ヘッド装置を回動して、上記係止部を上記フック部に押し込むことにより上記凹部と上記フック部とを係合状態とするようにしたものである。
【0028】
また、本発明は、上記した発明において、上記フック部は上記立設部において板バネにより下方側に付勢されるようにしたものである。
【0029】
また、本発明は、上記した発明において、上記着脱機構は、回動可能に配設された上記ヘッド装置と一体的に回動可能に配設されるとともに、作業者が一方の端部を押圧することにより、コイルバネの付勢力に抗してフック部が押し上げられるレバーと、上記キャリッジにおいて上記フック部により上記レバーと係合可能に配設された立設部とにより構成され、上記作業者が上記レバーを押圧して上記フック部を押し上げて、上記レバーと上記立設部との係合状態を解除し、上記作業者が回動可能に配設された上記ヘッド装置を回動して、上記フック部を上記立設部に押し込むことにより、上記レバーと上記立設部とを係合状態とするようにしたものである。
【0030】
また、本発明は、上記した発明において、上記着脱機構は、回動可能に配設された上記ヘッド装置と一体的に回動可能に配設されるとともに、丸シャフトの端部において互いに異なる方向にずれて配設された摘み部およびフック部を備えた回転レバーと、上記キャリッジにおいて上記フック部により上記回転レバーと係合可能に配設された立設部とにより構成され、作業者が上記摘み部を摘んで上記回転レバーを回転することにより上記フック部が回転し、上記回転レバーと上記立設部との係合状態を解除し、上記作業者が回動可能に配設された上記ヘッド装置を回動して、上記回転レバーの上記フック部を上記立設部の後方側に位置させた後、上記摘み部を摘んで上記回転レバーを回転することで上記フック部を回転し、上記回転レバーと前記立設部とを係合状態とするようにしたものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、以上説明したように構成されているので、2つのヘッド装置によりヘッド部が構成される装置のヘッド部において、幅方向で小型化されるとともに、互いに近接して配設されたヘッド装置周りにおいて、必要に応じて空間を形成することが可能であるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明によるヘッド機構を備えたヘッド部を有する打刻および切り抜き装置を示す概略構成斜視説明図である。
【図2】図2(a)は、本発明によるヘッド機構を備えたヘッド部を示す正面図であり、また、図2(b)は、本発明によるヘッド機構を備えたヘッド部を示す斜視図である。
【図3】図3(a)は、打刻ヘッドが回動する前の状態のヘッド部を示す平面図であり、また、図3(b)は、打刻ヘッドが回動した状態のヘッド部を示す平面図である。
【図4】図4(a)は、打刻ヘッドが回動した状態のヘッド部を示す正面図であり、また、図4(b)は、打刻ヘッドが回動した状態のヘッド部の斜視図である。
【図5】図5(a)は、打刻ヘッドにおける係止部およびレバーを示す平面図であり、また、図5(b)は、打刻ヘッドにおける係止部およびレバーを示す右側面図である。
【図6】図6(a)(b)(c)(d)(e)は、打刻ヘッドとキャリッジとの固定状態を解除する手順を説明するための説明図であり、図6(a)は、打刻ヘッドとキャリッジとが固定された状態のときの係止部、レバーおよびフックの状態を示す説明図であり、また、図6(b)は、作業者がレバーを押圧したの状態を示す説明図であり、また、図6(c)は、作業者がレバーを押圧した際のフックの状態を示す説明図であり、また、図6(d)は、作業者がレバーを押圧した際にレバーの後端部により係止部に形成された凹部からフック部が押し上げられた状態を示す拡大説明図であり、また、図6(e)は、打刻ヘッドを回動した状態を示す説明図である。
【図7】図7(a)(b)(c)(d)(e)は、打刻ヘッドをキャリッジに固定する手順を説明するための説明図であり、図7(a)は、打刻ヘッドが回動した状態を示す説明図であり、また、図7(b)は、打刻ヘッドが回動した際のフックを示す説明図であり、また、図7(c)は、係止部がフック部に押し当てられた状態を示す拡大説明図であり、また、図7(d)は、係止部がフック部に押し当てられた状態を示す説明図であり、また、図7(e)は、打刻ヘッドがキャリッジに固定された際の係止部、レバーおよびフックの状態を示す説明図である。
【図8】図8は、従来の技術によるヘッド部と本発明によるヘッド機構を備えたヘッド部とを比較する説明図であり、図8(a)は、従来の技術によるヘッド部を示す正面図であり、また、図8(b)は、本発明によるヘッド機構を備えたヘッド部を示す正面図である。
【図9】図9(a)(b)(c)は、本発明によるヘッド機構を備えたヘッド部と、本発明によるヘッド機構の変形例を備えたヘッド部とを比較する説明図であり、図9(a)は、本発明によるヘッド機構を備えたヘッド部を模式的に示す模式図でありまた、図9(b)(c)は、本発明によるヘッド機構の変形例を備えたヘッド部を模式的に示す模式図である。
【図10】図10(a)(b)(c)(d)(e)(f)は、本発明によるヘッド機構の変形例を備えたヘッド部を模式的に示す模式図である。
【図11】図11(a)(b)(c)(d)(e)(f)は、本発明によるヘッド機構の変形例を備えたヘッド部を模式的に示す模式図である。
【図12】図12(a)(b)(c)は、図11(a)(b)(c)(d)(e)(f)に示す本発明によるヘッド機構の変形例におけるロック機構を模式的に示す模式図である。
【図13】図13(a)(b)(c)(d)(e)(f)は、本発明によるヘッド機構の変形例を備えたヘッド部を模式的に示す模式図である。
【図14】図14(a)(b)(c)(d)(e)(f)は、本発明によるヘッド機構の変形例を備えたヘッド部を模式的に示す模式図である。
【図15】図15(a)(b)(c)(d)は、本発明によるヘッド機構の変形例を備えたヘッド部を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるヘッド機構の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0034】

ここで、図1には、本発明のヘッド機構によるヘッド部を備えた打刻および切り抜き装置の概略構成斜視説明図が示されている。
【0035】
また、図2(a)には、本発明のヘッド機構によるヘッド部の正面図が示されており、図2(b)には、本発明のヘッド機構によるヘッド部の斜視図が示されている。
【0036】
また、図3(a)には、打刻ヘッドが回動する前の状態を示すヘッド部の平面図が示されており、図3(b)には、打刻ヘッドが回動した状態を示すヘッド部の平面図が示されている。
【0037】
また、図4(a)には、打刻ヘッドが回動した状態を示すヘッド部の正面図が示されており、図4(b)には、打刻ヘッドが回動した状態を示すヘッド部の斜視図が示されている。
【0038】
また、図5(a)には、打刻ヘッドにおける係止部およびレバーの平面図が示されており、図5(b)には、打刻ヘッドにおける係止部およびレバーの右側面図が示されている。
【0039】
なお、この図1に示す打刻および切り抜き装置100においては、被加工物として、例えば、単シートまたは長尺の巻シートなどのシート12を用いるものとする。
【0040】
このシート12は、幅方向たる主走査方向において所定の長さを有するとともに、主走査方向と直交する方向、即ち、シート12の長手方向(以下、シート12の長手方向を「副走査方向」と適宜に称する。)に搬送されるようになされている。
【0041】
この打刻および切り抜き装置100は、主走査方向に延長する固定系のベース部材14を備えている。
【0042】
このベース部材14の左方側には、ベース部材14に直交して配設された側方部材16が設けられている。
【0043】
また、ベース部材14の右方側には、主としてホストコンピューター(図示せず。)からの画像データの信号が入力される本体部18が設けられている。
【0044】
なお、画像データには、少なくともラスターデータとベクタデータとが含まれているものとする。
【0045】
そして、この実施の形態においては、打刻ヘッド30(後述する。)によるシート12の打刻処理を制御するためのデータたる打刻データとしてラスターデータを用い、カッティングヘッド32(後述する。)によるシート12の切り抜き処理を制御するためのデータたるカッティングデータとしてベクタデータを用いている。
【0046】
この本体部18には、全体の動作の制御や各種の処理の指示を行うための操作パネル20が設けられている。
【0047】
操作パネル20には、打刻および切り抜き装置100を起動する起動スイッチ20a、操作状態を表示する表示部20b、打刻ヘッド30(後述する。)およびカッティングヘッド32(後述する。)より構成されるヘッド部10(後述する。)の位置を指定するカーソルキー20c、画像データに基づいて打刻または切り抜きを開始すべき所定の領域を指定するための開始領域設定キー20dならびに設定された開始領域からの打刻または切り抜きを開始するための動作開始キー20eなどが設定されている。
【0048】
なお、こうした操作パネル20による作業者の入力に基づく打刻および切り抜き装置100の全体の動作は、図示しないマイクロコンピューターによって制御される。
【0049】
さらに、ベース部材14の上部には、側方部材16および本体部18を連結する中央壁22を備えている。
【0050】
この中央壁22の前方側の壁面22aにおいて主走査方向に延長したガイドレール24が備えられている。
【0051】
また、中央壁22に沿って主走査方向に移動自在に駆動ベルト26が設けられている。
【0052】
そして、駆動ベルト26に固定的に配設されるとともに、ガイドレール24に摺動自在に装着されたキャリッジ28が設けられている。
【0053】
このキャリッジ28には、ベース部材14上のシート12と対向するようにして、シート12に対して画像データに基づいて加工工具34により打刻を行う打刻ヘッド30と、打刻ヘッド30により打刻された打刻画像をカッター36により所定の領域で切り抜き処理を行うカッティングヘッド32とが配設されている。
【0054】
打刻ヘッド30は、右側面の上方側に係止部40が設けられるとともに、係止部40の右側面40aにレバー42が設けられている。
【0055】
係止部40は、後端部40b近傍において、上方側に凹部40cが形成されている。
【0056】
また、レバー42は、前方側の上方側に右方側に突出して設けられた凸部42aが設けられるとともに、後端部42bにおいて後方側に突出して設けられた凸部42cが設けられている(図5(a)(b)を参照する。)。
【0057】
この凸部42cは、その後端面42caが隣接する係止部40の凹部40cより後方側に位置するとともに、その上端部42cbは、凹部40cの下端部40caと高さ方向において同じかわずかに下方側に位置するようにして配設されている。
【0058】
そして、レバー42は、軸46により係止部40の右側面40aに接続されており、作業者により凸部42が下方側に押圧されることにより、軸46を中心軸として所定量だけ回転し、凸部42cの上端部42cbが凹部40cの上端部40cbより上方側に位置するようになる。
【0059】
また、キャリッジ28、打刻ヘッド30およびカッティングヘッド32によりヘッド部10を形成している。
【0060】
このヘッド部10においては、キャリッジ28の上端面28cにおいてフック44が設けられている。
【0061】
フック44は、キャリッジ28の上端面28cから立設した立設部44−1と、立設部44−1の上方側に配設された略く字形状の板バネ44−2と、立設部44−1の下方側に軸48を中心軸として回動可能に配設され、板バネ44−2により下方側に付勢されたフック部44−3とを有している(図4(a)(b)を参照する。)。
【0062】
また、ヘッド部10においては、キャリッジ28の左方側端部28aに回動可能に打刻ヘッド30が設けられており、キャリッジ28の右方側において、カッティングヘッド32が固定的に設けられている。
【0063】
即ち、打刻ヘッド30は、キャリッジ28の左方側端部28aに設けられたヒンジ38によりキャリッジ28の左方側端部28aに接続されており、高さ方向に延設された軸38aを中心軸として回動可能にキャリッジ28に配設されている。
【0064】
そして、打刻ヘッド30は、係止部40の凹部40cにフック44のフック部44−3が係合することによりキャリッジ28に固定されている。
【0065】
つまり、ヘッド部10においては、係止部40、レバー42およびフック44からなるロック機構により打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定したり、打刻ヘッド30をキャリッジ28に対して回動した状態としたりすることが可能となっている。
【0066】
即ち、ヘッド部10は、打刻ヘッド30に取り付けられた加工工具34を取り替える場合などには、打刻ヘッド30がキャリッジ28に固定された状態(図3(a)に示す状態である。)から、作業者によってレバー42により係止部40とフック44との係合状態を解除し、軸38aを中心軸として矢印A方向に回動して、打刻ヘッド30を回動した状態とする(図3(b)、図4(a)(b)に示す状態である。)。
【0067】
また、ヘッド部10は、実際に打刻および切り抜き装置100を利用する場合には、打刻ヘッド30が回動した状態(図3(b)、図4(a)(b)に示す状態である。)から、作業者によって、軸38aを中心軸として矢印B方向に回動し、係止部40とフック44とを係合状態として、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定した状態とする(図3(a)に示す状態である)。
【0068】

以上の構成において、ヘッド部10において、打刻ヘッド30を回動した状態とする場合および打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定する場合について説明する。
【0069】
まず、ヘッド部10において、打刻ヘッド30を回動した状態とする場合には、作業者がレバー42の凸部42aを下方側に押圧することにより(図6(a)を参照する。)、レバー42の凸部42cが上方側に押し上げられる(図6(b)を参照する。)。
【0070】
そして、凸部42cが上方側に押し上げられることで、板バネ44−2の付勢力に抗してフック部44−3が軸48を中心軸として矢印C方向に回転する(図6(c)を参照する。)。
【0071】
このとき、凸部42cにより回転したフック部44−3の先端部44−3aは、凹部40cの上端部40cbより上方側に位置するようになり、凹部40cとフック部44−3との係合状態が解除される(図6(d)を参照する。)。
【0072】
そして、凹部40cとフック部44−3との係合状態が解除された状態で、作業者が打刻ヘッド30を矢印D方向に回転させて、打刻ヘッド30を回動した状態とする(図6(e)を参照する。)。
【0073】
こうして打刻ヘッド30が回動した状態で、作業者が打刻ヘッド30に取り付けられた加工工具34を取り替えるなどの所定の作業を行うものである。
【0074】

次に、ヘッド部10において打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定する場合について説明する。
【0075】
まず、打刻ヘッド30が回動した状態となると、フック44においては、板バネ44−2の付勢力により、フック部44−3は軸48を中心軸として矢印E方向に回転し先端部44−3aが立設部44−1と当接した状態となっている(図7(a)(b)を参照する。)。
【0076】
そして、作業者により、打刻ヘッド30を矢印F方向に移動させて係止部40をフック44に押し当てた後(図7(c)(d)を参照する。)、打刻ヘッド30をさらに矢印F方向に移動させてフック44に係止部40を押し込む。
【0077】
このとき、フック部44−3は、係止部40の後端部40bの上方側の傾斜部40baにより、板バネ44−2の付勢力に抗して上方側に押し上げられる。
【0078】
そして、上方側に押し上げられたフック部44−3の先端部44−3aが係止部40の凹部40cに落ち込んで、板バネ44−2により下方側に付勢されたフック部44−3と凹部40cとが係合することとなる(図7(e)を参照する。)。
【0079】
こうして、打刻ヘッド30がキャリッジ28に固定されると、作業者がホストコンピューターおよび操作パネル20を操作して、打刻および切り抜き装置100においてヘッド部10が主走査方向に移動するとともに、シート12が副走査方向に移動して打刻画像を形成し、形成した打刻画像を所定の領域において切り抜き処理を行う。
【0080】

以上において説明したように、ヘッド部10は、キャリッジ28の左方側端部28aにおいて軸38aを中心軸とするヒンジ38により回動可能に打刻ヘッド30を配設するとともに、当該打刻ヘッド30に近接するようにしてキャリッジ28の右方側にカッティングヘッド32を配設するようにした。
【0081】
このため、特許文献2に開示されているような従来の技術による打刻ヘッドおよびカッティングヘッドからなるヘッド部(図8(a)を参照する。)と比べて、ヘッド部10においては、打刻ヘッドとカッティングヘッドとを連結する連結部および打刻ヘッドとカッティングヘッドとを分離するための係止部とを設ける必要がなくなるため、幅方向において小型化されることとなる(図8を参照する。)。
【0082】
また、ヘッド部10においては、打刻ヘッド30が軸38aを中心軸として回動するため、打刻ヘッド30の周辺およびカッティングヘッド32の周辺に空間を生じさせることができる。
【0083】
このため、ヘッド部10において、打刻ヘッド30に近接するようにしてカッティングヘッド32を配設することが可能となり、ヘッド部10を小型化することが可能となる。
【0084】
さらに、ヘッド部10においては、打刻ヘッド30が左方側に回動するため、打刻ヘッド30の右側面および背面においても空間を生じさせることができ、加工工具34の交換だけでなく、打刻ヘッド30のメンテナンスを行う場合にも所望の面から打刻ヘッド30を点検することができるようになる。
【0085】

なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(6)に示すように変形することができるものである。
【0086】
(1)上記した実施の形態においては、打刻ヘッド30およびカッティングヘッド32が配設されたヘッド部10を備えた打刻および切り抜き装置100について説明したが、本発明によるヘッド機構は、こうした打刻および切り抜き装置100のヘッド部10に対してのみ適用されるものではないことは勿論である。
【0087】
例えば、ヘッド部10の構成のうち、打刻ヘッド30に変えて、インクにより画像を印刷するインクヘッドとしたヘッド部を備えたプリントおよび切り抜き装置に対して適用してもよい。
【0088】
(2)上記した実施の形態においては、キャリッジ28の左方側端部28aにおいて打刻ヘッド30を高さ方向に延設された軸38aを中心軸とするヒンジ38により回動可能に配設し、キャリッジ28の右方側にカッティングヘッド32を固定的に配設するようにしたが(図9(a)を参照する。)、これに限られるものではないことは勿論である。
【0089】
即ち、キャリッジ28の左方側において打刻ヘッド30を固定的に配設し、キャリッジ28の右方側端部28bにおいてカッティングヘッド32を高さ方向に延設された軸50aを中心軸とするヒンジ50により回動可能に配設するようにしてもよい(図9(b)を参照する。)。
【0090】
なお、この場合には、カッティングヘッド32の左側面およびキャリッジ28の上端面28cには、係止部40、レバー42およびフック44からなるロック機構と各構成が左右対称となっているロック機構が配設されることとなる。
【0091】
また、キャリッジ28の左方側端部28aにおいて打刻ヘッド30をヒンジ38により回動可能に配設し、キャリッジ28の右方側端部28bにおいてカッティングヘッド32をヒンジ50により回動可能に配設するようにしてもよい(図9(c)を参照する。)。
【0092】
なお、この場合には、打刻ヘッド30の右側面およびキャリッジ28の上端面28cには上記した実施の形態において説明したロック機構が配設され、カッティングヘッド32の左方側およびキャリッジ28の上端面28cには当該ロック機構と各構成が左右対称となっているロック機構が配設されることとなる。
【0093】
(3)上記した実施の形態においては、キャリッジ28の左方側端部28aにおいて打刻ヘッド30を軸38aが高さ方向に延設されたヒンジ38により回動可能に配設するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0094】
即ち、キャリッジ28の左方側上部において軸52aが幅方向に延設されたヒンジ52により打刻ヘッド30を回動可能に配設するようにし、打刻ヘッド30を前方側に引き上げるような構成としてもよい(図10(a)(b)を参照する。)。
【0095】
この場合、上記変形例(2)と組み合わせると、キャリッジ28の右方側上部において軸54aが幅方向に延設されたヒンジ54により打刻ヘッドを回動可能に配設するようにし、カッティングヘッド32を前方側に引き上げるような構成となる(図10(c)(d)を参照する。)。
【0096】
さらに、キャリッジ28の左方側上部において軸52aが幅方向に延設されたヒンジ52により打刻ヘッド30を回動可能に配設し、キャリッジ28の右方側上部において軸54aが幅方向に延設されたヒンジ54によりカッティングヘッド32を回動可能に配設し、打刻ヘッド30およびカッティングヘッド32をそれぞれ前方側に引き上げるような構成となる(図10(e)(f)を参照する。)。
【0097】

また、キャリッジ28の左方側端部28aの上端部において軸56aが前方側に延設されたヒンジ56により打刻ヘッド30を回動可能に配設するようにし、打刻ヘッド30を左方側に引き上げるようにしてもよい(図11(a)(b)を参照する。)。
【0098】
この場合、上記変形例(2)と組み合わせると、キャリッジ28の右方側端部28bの上端部において軸58aが前方側に延設されたヒンジ58によりカッティングヘッド32を回動可能に配設し、カッティングヘッド32を右方側に引き上げるような構成となる(図11(c)(d)を参照する。)。
【0099】
さらに、キャリッジ28の左方側端部28aの上端部において軸56aが前方側に延設されたヒンジ56により打刻ヘッド30を回動可能に配設するとともに、キャリッジ28の右方側端部28bの上端部において軸58aが前方側に延設されたヒンジ58によりカッティングヘッド32を回動可能に配設し、打刻ヘッド30を左方側に引き上げ、カッティングヘッドを右方側に引き上げるような構成となる(図11(e)(f)を参照する。)。
【0100】

なお、図10や図11に示すようにして打刻ヘッド30やカッティングヘッド32をキャリッジ28に回動可能に配設する場合には、それぞれ回動する打刻ヘッド30およびカッティングヘッド32とキャリッジ28とを固定する手段(ロック機構に相当する。)が設けられるものである。
【0101】
こうした打刻ヘッド30およびカッティングヘッド32とキャリッジ28とを固定する手段としては、上記したロック機構の他に、下記の変形例(4)に示す手段や各種回動可能に設けられた打刻ヘッド30およびカッティングヘッド32をキャリッジ28に固定することが可能な手段を用いるものである。
【0102】
具体的には、上記したロック機構を用いる場合(このロック機構の詳細な構成については、上記した図4などを参照する。)には、キャリッジ28の正面28dにおいてフック部44−3が下方側を向くようにフック44を設け、キャリッジ28に回動可能に配設された打刻ヘッド30にフック部44−3と凹部40cが係合するように係止部40を設け、係止部40の右側面にレバー42を設けるようにする(図12(a)を参照する。)。
【0103】
そして、キャリッジ28に打刻ヘッド30を固定する場合には、係止部40をフック44に押し込み、フック部44−3と凹部40cとを係合し、キャリッジ28と打刻ヘッド30との固定状態を解除する場合には、レバー42の凸部42aを押圧することでフック部44−3と凹部40cとの係合状態を解除するものである。
【0104】
また、打刻ヘッド30およびカッティングヘッド32をキャリッジ28に固定することが可能な手段としては、キャリッジ28に雄ネジ300が挿入された立設部302を設け、キャリッジ28に回動可能に配設されたカッティングヘッド32に雄ネジ300とネジ結合可能な孔304aが設けられた立設部304を設けるようにする(図12(b)を参照する。)。
【0105】
そして、キャリッジ28にカッティングヘッド32を固定する場合には、雄ネジ300を孔304aにネジ結合し、キャリッジ28とカッティングヘッド32との固定状態を解除する場合には、雄ネジ300を孔304aから外すものである。
【0106】
さらに、打刻ヘッド30およびカッティングヘッド32をキャリッジ28に固定することが可能な手段としては、キャリッジ28にマグネット400、402を設け、キャリッジ28に回動可能に配設された打刻ヘッド30にマグネット400が吸着可能な金属板404を設けるとともに、キャリッジ28に回動可能に配設されたカッティングヘッド32にマグネット402が吸着可能な金属板406を設けるようにする(図12(c)を参照する。)。
【0107】
そして、キャリッジ28に打刻ヘッド30を固定する場合には、マグネット400に金属板404を固着するようにし、キャリッジ28と打刻ヘッド30との固定関係を解除する場合には、マグネット400と金属板404との固着関係を解除するものである。
【0108】
また、キャリッジ28にカッティングヘッド32を固定する場合には、マグネット402に金属板404を固着するようにし、キャリッジ28とカッティングヘッド32との固定関係を解除する場合には、マグネット402と金属板406との固着関係を解除するものである。
【0109】
(4)上記した実施の形態においては、フック44のフック部44−3が係止部40の凹部40cに係合して打刻ヘッド30がキャリッジ28に固定され、レバー42の凸部42aを作業者が下方側に押圧することにより、凸部42cが押し上げられフック部44−3よ凹部40cとの係合状態を解除するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0110】
即ち、図13(a)に示すように、打刻ヘッド30の右側面の上方側に配設されたレバー60のフック部60bが、キャリッジ28の上端面28cに設けられた立設部66と係合することにより、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定するようにしてもよい。
【0111】
より詳細には、前方側において上方側に延設された凸部60aと、後方側において下方側に突出したフック部60bとを備えたレバー60を、打刻ヘッド30の右側面の上方側に軸62を中心として回転可能に配設するとともに、キャリッジ28の上端部28cには立設部66を配設する。
【0112】
なお、このレバー60は、コイルバネ64により常にフック部60bが下方側に付勢されるようになされている。
【0113】
また、立設部66は、レバー60のフック部60bと係合可能な位置において、係合可能な高さを有して上端部28cに配設される。
【0114】
こうした構成において、打刻ヘッド30とキャリッジ28との固定状態を解除するには、作業者が凸部60aを下方側に押圧することにより、コイルバネ64の付勢力に抗してフック部60bが押し上げられ、レバー60と立設部66との係合状態を解除することによって、打刻ヘッド30とキャリッジ28との固定状態を解除することができる(図13(b)を参照する。)。
【0115】
また、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定するには、打刻ヘッド30をキャリッジ28側に回動して、レバー60のフック部60bを立設部66に押し当て、さらに打刻ヘッド30を回動させてフック部60bを立設部66の後方側に押し込み、フック部60bと立設部66とを係合することにより、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定することができる。
【0116】

また、図13(c)(d)に示すように、打刻ヘッド30の右側面の上方側に配設された回転レバー68のフック部68bが、キャリッジ28の上端部28cに設けられた立設部70と係合することにより、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定するようにしてもよい。
【0117】
より詳細には、丸シャフト68aの前方側に配設された略楕円形状の摘み部68bと、丸シャフト68aの後方側に配設された略楕円形状のフック部68cとにより構成された回転レバー68を打刻ヘッド30の右側面の上方側に丸シャフト68aが回転可能に配設するとともに、キャリッジ28の上端部28cには立設部70を配設する。
【0118】
なお、丸シャフト68aの先端部は略楕円形状の中心位置より下方側において摘み部68bと接続され、丸シャフト68aの後端部は略楕円形状の中心位置より上方側においてフック68cと接続されている。
【0119】
また、立設部70は、回転レバー68のフック部68cと係合可能な位置において、係合可能な高さを有して上端部28cに配設される。
【0120】
こうした構成において、打刻ヘッド30とキャリッジ28との固定状態を解除するには、作業者が摘み部68bを右方側に回転することにより、丸シャフト70aを介してフック部68cが摘み部68bと同方向に回転して、回転レバー68と立設部70との係合状態を解除することによって、打刻ヘッド30とキャリッジ28との固定状態を解除することができる(図13(e)(f)を参照する。)。
【0121】
また、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定するには、打刻ヘッド30をキャリッジ28側に回動して、回転レバー68のフック部68cが立設部70の後方側に位置するようにし、摘み部68bを回転させてフック部68cと立設部70とを係合させることにより、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定することができる。
【0122】

また、図14(a)(b)に示すように、打刻ヘッド30の右側面の上方側に配設された回転レバー72のマグネット74が、キャリッジ28の上端部28cに設けられた立設部74に固着することにより、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定するようにしてもよい。
【0123】
より詳細には、丸シャフト72aの前方側に配設された略楕円形状の摘み部72bと、丸シャフト72の後方側に配設された略楕円形状の板部72bと、板部72に設けられたマグネット74とにより構成された回転レバー72を打刻ヘッド30の右側面の上方側に丸シャフトaが回転可能に配設する。さらに、キャリッジ28の上端部28cにはマグネット74が吸着する素材より形成された立設部76を配設する。
【0124】
なお、丸シャフト72aの先端部は略楕円形状の中心位置より下方側において摘み部72bと接続され、丸シャフト72aの後端部は略楕円形状の中心位置より上方側において板部72cと接続されている。
【0125】
そして、板部72cの端面72caの下方側においてマグネット74が配設されている。
【0126】
また、立設部76は、回転レバー72におけるマグネット74と固着可能な位置において、固着可能な高さを有して上端部28cに配設される。
【0127】
こうした構成において、打刻ヘッド30とキャリッジ28との固定状態を解除するには、作業者が摘み部72bを右方側に回転することにより、丸シャフト72aを介して板部72cが摘み部72bと同方向に回転して、回転レバー72と立設部76との固着関係を解除することによって、打刻ヘッド30とキャリッジ28との固定状態を解除することができる(図14(c)(d)を参照する。)。
【0128】
また、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定するには、板部72cに設けられたマグネット74が下方側に位置するように摘み部72bを回転し、打刻ヘッド30をキャリッジ28側に回動して、マグネット74を立設部76に固着させることにより、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定することができる。
【0129】

また、打刻ヘッド30の右側面とキャリッジ28の上端部28cとにおいて、マグネットキャッチあるいは機械式キャッチを配設し、配設したキャッチを利用して打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定するようにしてもよい。
【0130】
より詳細には、打刻ヘッド30の右側面に特有の構成が設けられた構成部材78(つまり、マグネットキャッチの場合には、後述する受け部材である金属板に吸着可能なマグネットが設けられた部材であり、機械式キャッチの場合には、後述する受け部材と係合可能な構成を備えた部材のことである。)を配設する。さらに、キャリッジ28の上端部28cにおいて立設された立設部80において構成部材78に対する受け部材82(つまり、マグネットキャッチの場合には金属板であり、機械式キャッチの場合には構成部材78と係合可能な構成を備えた部材のことである。)が配設される(図14(e)(f)を参照する。)。
【0131】
なお、立設部80は、配設された受け部材82と打刻ヘッド30に設けられた構成部材78とが固着あるいは係合可能な位置において、固着あるいは係合可能な高さを有して上端部28cに配設される。
【0132】
こうした構成において、打刻ヘッド30とキャリッジ28との固定状態を解除するには、作業者が構成部材78の受け部材82との吸着力あるいは係合力に抗して打刻ヘッド30を回動させることにより、打刻ヘッド30とキャリッジ28との固定状態を解除することができる。
【0133】
また、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定するには、作業者が打刻ヘッド30をキャリッジ28側に回動して、構成部材78を受け部材82に固着あるいは係合させることにより、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定することができる。
【0134】

また、打刻ヘッド30の右側面の上方側に配設されたネジ84が、キャリッジ28の上端部28cに設けられた立設部86にネジ結合することにより、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定するようにしてもよい。
【0135】
より詳細には、打刻ヘッド30の右側面の上方側において設けられた固定部材88にネジ84が回転可能に固定されるとともに、キャリッジ28の上端部28cにネジ84がネジ結合可能なネジ穴86cが形成された立設部86を配設する(図15(a)(b)を参照する。)。
【0136】
なお、立設部86は、ネジ84とネジ穴86cとがネジ結合可能な位置において、ネジ結合可能な高さを有して上端部28cに配設される。
【0137】
こうした構成において、打刻ヘッド30とキャリッジ28との固定状態を解除するには、作業者がネジ84を所定の方向に回転させ、立設部86からネジ84を外すことにより、打刻ヘッド30とキャリッジ28との固定状態を解除することができる。
【0138】
また、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定するには、ネジ84をネジ穴86cに差し込み、当該所定の方向と反対の方向に回転させてネジ穴86cにネジ84をネジ結合させることによって、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定することができる。
【0139】
また、打刻ヘッド30の右側面の上方側に配設されたプッシュ・プル部材90が、キャリッジ28の上端面28cに設けられた立設部92に係合することにより、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定するようにしてもよい。
【0140】
より詳細には、打刻ヘッド30の右側面の上方側において設けられた固定部材94にプッシュ・プル部材90が前方側および後方側に動作可能に固定されるとともに、キャリッジ28の上端面28cにプッシュ・プル部材90が係合可能な受け部材96が設けられた立設部92を配設する(図15(c)(d)を参照する。)。
【0141】
なお、受け部材96は、作業者によりプッシュ・プル部材90が押されたときに、プッシュ・プル部材90と係合し、作業者によりプッシュ・プル部材90が引かれたときに、プッシュ・プル部材90との係合状態が解除されるように構成されている。
【0142】
また、立設部92は、プッシュ・プル部材90が受け部材96と係合可能な位置において、係合可能な高さを有して上端部28cに配設される。
【0143】
こうした構成において、打刻ヘッド30とキャリッジ28との固定状態を解除するには、作業者がプッシュ・プル部材90を受け部材96との係合力に抗して後方側から前方側に引っぱり、プッシュ・プル部材90と受け部材96との係合状態を解除することにより、打刻ヘッド30とキャリッジ28との固定状態を解除することができる。
【0144】
また、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定するには、プッシュ・プル部材90を受け部材96に当接させ、その状態からプッシュ・プル部材90を前方側から後方側に押して、プッシュ・プル部材90を受け部材96と係合させることにより、打刻ヘッド30をキャリッジ28に固定することができる。
【0145】
(5)上記した実施の形態においては、キャリッジ28に軸38aを中心軸として回動可能に打刻ヘッド30が設けられ、打刻ヘッド30の右側面の上方側において係止部40およびレバー42を設けるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0146】
即ち、キャリッジ28に軸38aを中心軸として回動可能な回動板を設け、当該回動板に打刻ヘッド30を配設するようにしてもよい。
【0147】
なお、このとき回動板の右方側の上方側においては、係止部40およびレバー42を配設するようにし、係止部40によりフック44と係合可能なようにする。
【0148】
(6)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(5)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明は、2つのヘッド装置により構成されるヘッド部を有する各種装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0150】
10 ヘッド部、28 キャリッジ、30 打刻ヘッド、32 カッティングヘッド、38、52、54、56、58、 ヒンジ、40 係止部、42、60 レバー、44 フック、64 コイルバネ、68、72 回転レバー、74 マグネット、78 構成部材、82、96 受け部材、84 ネジ、90 プッシュ・プル部材、打刻および切り抜き装置100

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールに沿って摺動自在に配設されたキャリッジに配設される2つのヘッド装置により構成されるヘッド部におけるヘッド機構において、
少なくとも1つのヘッド装置が回動可能にキャリッジに配設され、
前記キャリッジに回動可能に配設されたヘッド装置は、着脱機構により前記キャリッジに着脱可能に配設される
ことを特徴とするヘッド機構。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッド機構において、
回動可能に配設された前記ヘッド装置は、前記キャリッジにおいて前記ヘッド装置周辺における障害物のない方向に回動可能に配設される
ことを特徴とするヘッド機構。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載のヘッド機構において、
前記着脱機構は、
凹部が形成されるとともに、回動可能に配設された前記ヘッド装置と一体的に回動可能に配設された係止部と、
作業者が押圧することにより回転するよう前記係止部に隣接して配設されたレバーと、
前記キャリッジに配設され前記凹部に係合可能なフック部を備えた立設部と
により構成され、
前記作業者が前記レバーを押圧することにより前記レバーが回転して前記凹部と前記フック部との係合状態を解除し、
前記作業者が回動可能に配設された前記ヘッド装置を回動して、前記係止部を前記フック部に押し込むことにより前記凹部と前記フック部とを係合状態とする
ことを特徴とするヘッド機構。
【請求項4】
請求項3に記載のヘッド機構において、
前記フック部は前記立設部において板バネにより下方側に付勢される
ことを特徴とするヘッド機構。
【請求項5】
請求項1または2のいずれか1項に記載のヘッド機構において、
前記着脱機構は、
回動可能に配設された前記ヘッド装置と一体的に回動可能に配設されるとともに、作業者が一方の端部を押圧することにより、コイルバネの付勢力に抗してフック部が押し上げられるレバーと、
前記キャリッジにおいて前記フック部により前記レバーと係合可能に配設された立設部と
により構成され、
前記作業者が前記レバーを押圧して前記フック部を押し上げて、前記レバーと前記立設部との係合状態を解除し、
前記作業者が回動可能に配設された前記ヘッド装置を回動して、前記フック部を前記立設部に押し込むことにより、前記レバーと前記立設部とを係合状態とする
ことを特徴とするヘッド機構。
【請求項6】
請求項1または2のいずれか1項に記載のヘッド機構において、
前記着脱機構は、
回動可能に配設された前記ヘッド装置と一体的に回動可能に配設されるとともに、丸シャフトの端部において互いに異なる方向にずれて配設された摘み部およびフック部を備えた回転レバーと、
前記キャリッジにおいて前記フック部により前記回転レバーと係合可能に配設された立設部と
により構成され、
作業者が前記摘み部を摘んで前記回転レバーを回転することにより前記フック部が回転し、前記回転レバーと前記立設部との係合状態を解除し、
前記作業者が回動可能に配設された前記ヘッド装置を回動して、前記回転レバーの前記フック部を前記立設部の後方側に位置させた後、前記摘み部を摘んで前記回転レバーを回転することで前記フック部を回転し、前記回転レバーと前記立設部とを係合状態とする
ことを特徴とするヘッド機構。

【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−166525(P2012−166525A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31503(P2011−31503)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000116057)ローランドディー.ジー.株式会社 (163)
【Fターム(参考)】