説明

ヘッド移動機構を備えたインクジェットプリンタ

【課題】ステッピングモータを用いてラインヘッドを微小移動させたときの移動量の誤差をなくし、高品質な画像記録を行う。
【解決手段】複数のノズルが配列されたラインヘッドと、ラインヘッドを保持するヘッドホルダと、を有するヘッドユニットと、ヘッドユニットを前記配列の方向となる主走査方向に移動させるヘッド移動機構と、を具備し、ヘッド移動機構は、少なくとも1つの当接位置を有し、該当接位置でヘッドホルダに当接するカムと、カムを回転させてヘッドユニットを主走査方向に移動させるステッピングモータと、ヘッドホルダをカムに向かって付勢する付勢部材と、付勢部材によりカムにかかる付勢力を低減させて、該カムが当接位置でヘッドホルダに当接するように当接状態を制御する当接制御部と、を有するインクジェットプリンタである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッド移動機構を備えたインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、複数のノズルが配列されたインクヘッドを搭載し、ピエゾ方式等によりこれらノズルからインク滴を吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェットプリンタが知られている。このようなインクジェットプリンタの一例として、画像記録の高速化を図るために、記録媒体の搬送方向と直交する方向(主走査方向)に配列された1つ、又は複数のインクヘッドにより構成されたラインヘッドを有し、記録媒体のみを移動させて画像を記録するフルライン型インクジェットプリンタ(以下、ラインプリンタと称す。)がある。
【0003】
このようなラインプリンタでは、ラインヘッドを構成している各インクヘッドに形成されたノズルの間隔(ノズルピッチ)が、そのまま、主走査方向の記録ドット密度となるが、例えば、特許文献1には、ラインヘッドを主走査方向(ノズル列方向)に微小移動させることでノズルピッチ以上の高密度な画像記録を行うインクジェットプリンタが開示されている。このインクジェットプリンタは、インクジェットヘッド(ラインヘッド)を固定するキャリッジと、キャリッジの長手方向(主走査方向)一端側に設けられた偏向送りカムと、キャリッジの長手方向(主走査方向)他端側に設けられた付勢ばねと、を有する。偏心送りカムは、付勢ばねによって常にキャリッジと接触した状態となっている。この状態で偏心送りカムをパルスモータにより回転させることによって、ラインヘッドが主走査方向に微小移動し、高密度な画像記録を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−71947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、ラインヘッドを主走査方向に微小移動させるためにパルスモータ(ステッピングモータ)を用いている。ステッピングモータは、ステータ側のコイルに電流を流して励磁させて、永久磁石を備えたロータ側を回転させるものである。本来、無負荷の状態であれば、図19に示すように、ロータ側の磁極42bは、新たに励磁されたステータ側のコイル42aとこれに対向するロータ側の磁極42bとが釣り合った中立状態(図19に破線で示す磁極42bの停止位置)で停止する。
【0006】
しかし、例えば、特許文献1のインクジェットプリンタでは、偏心送りカムとキャリッジとの接触面の摩擦抵抗によって、ステッピングモータ42の回転方向とは逆方向に、負荷トルクが発生する。これにより、ステッピングモータ42の内部では、磁気吸引力の回転方向成分と、これと反対方向に働く負荷トルクとが釣り合い、ステータ側のコイル42aとロータ側の磁極42bとが中立状態に達せず、手前にオフセットした状態(図19に実線で示す磁極42bの停止位置)で停止してしまう。つまり、偏心送りカムとキャリッジとの接触面の摩擦抵抗に起因して、ステッピングモータの停止位置に偏差Δが生じる。故に、ラインヘッドの微小移動量に誤差が生じ、記録される画像の品質が低下してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、ステッピングモータを用いてラインヘッドを微小移動させたときの移動量の誤差をなくし、高品質な画像記録を行うことができるインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による一実施形態は、複数のノズルが配列されたラインヘッドと、前記ラインヘッドを保持するヘッドホルダと、を有するヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを前記配列の方向となる主走査方向に移動させるヘッド移動機構と、を具備するインクジェットプリンタであって、前記ヘッド移動機構は、少なくとも1つの当接位置を有し、該当接位置で前記ヘッドホルダに当接するカムと、前記カムを回転させて前記ヘッドユニットを前記主走査方向に移動させ、前記ヘッドホルダが前記当接位置に当接するように、前記カムを停止させるステッピングモータと、前記ヘッドホルダを前記カムに向かって付勢する付勢部材と、前記付勢部材により前記カムにかかる付勢力を低減させて、該カムが前記当接位置で前記ヘッドホルダに当接するように、当接状態を制御する当接制御部と、を有するインクジェットプリンタである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ステッピングモータを用いてラインヘッドを微小移動させたときの移動量の誤差をなくし、高品質な画像記録を行うことができるインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明のインクジェットプリンタを概略的に示す正面図である。
【図2】図2は、第1の実施形態における画像記録部、ヘッド移動機構及び当接制御部を示す斜視図である。
【図3】図3(a)は、解像度を2倍としたときの1回目の画像記録時における画像記録部、ヘッド移動機構及び当接制御部を示す概略的な側面図、図3(b)は、ヘッドホルダとカムとの当接状態を示す概略的な側面図である。
【図4】図4は、複数のノズルが設けられたラインヘッド及びこれらノズルから記録媒体に吐出された1回目の記録ドットを示す図である。
【図5】図5(a)は、カムを回転させたときの画像記録部、ヘッド移動機構及び当接制御部を示す概略的な側面図、図5(b)は、ヘッドホルダとカムとの当接状態を示す概略的な側面図である。
【図6】図6(a)は、当接制御部を駆動させたときの画像記録部、ヘッド移動機構及び当接制御部を示す概略的な側面図、図6(b)は、ヘッドホルダとカムとの状態を示す概略的な側面図である。
【図7】図7(a)は、解像度を2倍としたときの2回目の画像記録時における画像記録部、ヘッド移動機構及び当接制御部を示す概略的な側面図、図7(b)は、ヘッドホルダとカムとの当接状態を示す概略的な側面図である。
【図8】図8は、主走査方向にd/2だけ移動したラインヘッド及びこのラインヘッドの複数のノズルから記録媒体に吐出された1回目及び2回目の記録ドットを示す図である。
【図9】図9(a)並びに図9(b)は、変形例1の一態様における画像記録部、ヘッド移動機構及び当接制御部を示す概略的な側面図である。
【図10】図10は、変形例1の他の態様における画像記録部、ヘッド移動機構及び当接制御部を示す概略的な側面図である。
【図11】図11(a)並びに図11(b)は、変形例2の一態様における画像記録部、ヘッド移動機構及び当接制御部を示す概略的な側面図である。
【図12】図12は、変形例2の他の態様における画像記録部、ヘッド移動機構及び当接制御部を示す概略的な側面図である。
【図13】図13は、変形例3の一態様における画像記録部、ヘッド移動機構及び当接制御部を示す概略的な側面図である。
【図14】図14は、変形例3の他の態様における画像記録部、ヘッド移動機構及び当接制御部を示す概略的な側面図である。
【図15】図15(a)は、第2の実施形態において、解像度を2倍としたときの1回目の画像記録時における画像記録部、ヘッド移動機構及び当接制御部を示す概略的な側面図、図15(b)は、ヘッドホルダとカムとの当接状態を示す概略的な側面図である。
【図16】図16(a)は、当接制御部を駆動させて、カムを回転させたときの画像記録部、ヘッド移動機構及び当接制御部を示す概略的な側面図、図16(b)は、ヘッドホルダとカムとの状態を示す概略的な側面図である。
【図17】図17(a)は、解像度を2倍としたときの2回目の画像記録時における画像記録部、ヘッド移動機構及び当接制御部を示す概略的な側面図、図17(b)は、ヘッドホルダとカムとの当接状態を示す概略的な側面図である。
【図18】図18(a)並びに図18(b)は、第3の実施形態における画像記録部、ヘッド移動機構及び当接制御部を示す概略的な側面図である。
【図19】図19は、ステッピングモータの停止位置の微小なずれを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図1乃至図8を参照して説明する。
図1は、インクジェットプリンタ1の構成を概略的に示す正面図である。インクジェットプリンタ1は、媒体供給部10と、搬送部20と、画像記録部30と、第1のヘッド移動部としてのヘッド移動機構40(図1には示されない、図2並びに図3参照)と、第2のヘッド移動部としての当接制御部50(図1には示されない、図2並びに図3参照)と、昇降機構60と、クリーニング部70と、媒体排出部80と、を有している。これら構成部は、媒体排出部80の後述する排出トレイ82を除いて、プリンタ本体フレーム2内に収容されている。また、これら構成部は、パーソナルコンピュータやCPU等の演算処理部を備えた不図示の制御部により制御される。
【0013】
まず、媒体供給部10について説明する。
媒体供給部10は、本実施形態ではインクジェットプリンタ1の最下部に配置されている。この媒体供給部10は、所定の大きさにカットされた記録紙やフィルム等の記録媒体(カット媒体)3を収納する供給トレイ11と、供給トレイ11内に収納された記録媒体3を1枚ずつ取り出すピックアップローラ12と、ピックアップローラ12によって取り出された記録媒体3を搬送部(搬送経路)20へ案内するための供給ガイド13と、を有している。
【0014】
供給トレイ11には、一定の圧力でピックアップローラ12に記録媒体3を当接させるための不図示のばねが設けられている。また、ピックアップローラ12には、記録媒体3が搬送部20の後述するドラム22に電気的に吸着された後において従動ローラとして機能するように、不図示のワンウェイクラッチが内蔵されている。
【0015】
次に、搬送部20について説明する。
搬送部20は、帯電ローラ21と、ドラム22と、媒体端検知部23と、除電器24と、剥離爪25と、を有している。
【0016】
帯電ローラ21は、搬送部(搬送経路)20における最上流側に、ドラム22に対向して設けられている。この帯電ローラ21は、供給ガイド13により案内された記録媒体3をドラム22の外周面に案内するとともに、正放電することで記録媒体3をドラム22の外周面に電気的に吸着させる働きをする。本実施形態では、オゾンが発生しにくいように、+帯電としている。
【0017】
ドラム22は、該ドラム22の回転軸22aによって、プリンタ本体フレーム2に回転可能に軸支されている。このドラム22は、記録時に記録媒体3を巻き付けて搬送するのに用いられ、回転軸22aに連結された不図示のモータを駆動させることによって、図1に矢印で示した方向(時計回り)に一定速度で回転する。また、ドラム22の回転軸22aには、相対的回転角を検出する図示しないエンコーダが連結されている。なお、ドラム22は、中空アルミ円筒と両側面のフランジとからなり、円筒表面は絶縁プラスチックコートされている。また、ドラム22自体はスラスト方向のガタが発生しないように構成されている。
【0018】
媒体端検知部23は、帯電ローラ21の下流側の搬送経路に、ドラム22に対向して設けられている。この媒体端検知部23は、発光素子と受光素子とを有している。媒体端検知部23は、発光素子からの光がドラム22の外周面又は記録媒体3の表面で反射されて受光素子に受信されたとき、ドラム22の外周面と記録媒体3の表面との反射率の違いによって、ドラム22上に吸着された記録媒体3の境界(記録媒体端)を検知し、記録媒体3の絶対的回転位置を検出する。
【0019】
除電器24は、詳細は後述する画像記録部30の下流側の搬送経路に、ドラム22に対向して設けられている。この除電器24は、交流放電をすることでドラム22に電気的に吸着された状態にある記録媒体3の吸着力をなくす(除電する)働きをする。
剥離爪25は、その先端部がドラム22の外周面に接するように配置され、吸着力がなくなった記録媒体3をドラム22から剥離するとともに、媒体排出部80へ案内する。なお、剥離動作を行うときを除いて、剥離爪25の先端部は、除電器24による除電タイミングと同期して駆動される不図示のアクチュエータにより、ドラム22の外周面から離間した位置に退避される。
【0020】
次に、画像記録部30について、図1乃至図3を参照して説明する。
図2は、画像記録部30、ヘッド移動機構40及び当接制御部50を示す斜視図である。また、図3(a)は、画像記録部30、ヘッド移動機構40及び当接制御部50を示す概略的な側面図、図3(b)は、ヘッドホルダ32とカム41との当接状態を示す概略的な側面図である。
【0021】
画像記録部30は、媒体端検知部23と除電器24との間の搬送経路中に、ドラム22の外周面に沿うように対向して設けられている。この画像記録部30は、ラインヘッド31及びラインヘッド31を保持するヘッドホルダ32により構成されているヘッドユニットと、一端側がヘッドホルダ32に、他端側が不図示の記録部固定フレームにそれぞれ接続され、ヘッドホルダ32を記録部固定フレームに対して鉛直方向に吊り下げ式に保持するヘッド支持機構となる2枚1組の平行板ばね33と、を有している。本実施形態では、搬送経路の上流側から順番に、シアン(C)、ブラック(K)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のラインヘッド31がヘッドホルダ32に一体的に組み合わされて、ヘッドユニットを構成している。
【0022】
なお、本実施形態のラインヘッド31は、記録媒体3の搬送方向に直交する方向に記録媒体3の記録領域を超えるように配列された1つのインクヘッド、あるいは互い違いに(千鳥状に)配列された複数のインクヘッドによって構成されている。
【0023】
ラインヘッド31のノズル面31a、すなわちドラム22に対向している側には、複数のノズル31bがノズルピッチdで列をなして形成(配列)されている。ドラム22に電気的に吸着された記録媒体3がラインヘッド31の下方を通過したとき、ラインヘッド31は、不図示の制御部から受信した画像記録データに応じてこれらノズル31bからインクを吐出して、記録媒体3に画像を記録する。
平行板ばね33は、弾性材料でできており、材料の弾性域内で外力に応じて撓むことで、ヘッドホルダ32を主走査方向に略直進移動可能なように保持している。
【0024】
次に、第1のヘッド移動部としてのヘッド移動機構40及び第2のヘッド移動部としての当接制御部50について、図2並びに図3を参照して説明する。
ヘッド移動機構40は、ラインヘッド31の長手方向(主走査方向)一端側に設けられ、ヘッドホルダ32に当接するカム41と、カム41に接続され、カム41を駆動(回転)させるためのステッピングモータ42とからなる駆動部と、ラインヘッド31の長手方向他端側に設けられ、ヘッドホルダ32をカム41に向かって付勢する付勢ばね43と、を有している。
また、本実施形態では、当接制御部50として、カム41と同じ側、つまりラインヘッド31の長手方向一端側に設けられたプランジャ型ソレノイド51が設けられている。ソレノイド51は、付勢ばね43による付勢力とは逆方向に、ヘッドホルダ32に外力を与える。なお、プランジャ型ソレノイド51は、記録部固定フレームによって支持されている。
【0025】
カム41は、図3(b)に示すように、ヘッドホルダ32と当接する第1の当接位置A1を含む第1の径部及び第2の当接位置A2を含む第2の径部を有している。本実施形態では、両位置のカム41の径差は、ノズルピッチdの半分のd/2相当の距離に設定している。
カム41は、カムの外周端面(カム曲面)の1点でヘッドホルダ32に接しており、ステッピングモータ42を駆動させることによりカム41の径差に応じて、ヘッドユニット(ラインヘッド31、ヘッドホルダ32)を図3(a)に矢印で示した方向に微小移動させる。なお、駆動部(カム41、ステッピングモータ42)は、記録部固定フレームによって支持されている。
【0026】
圧縮コイルばねである付勢ばね43は、一端側が不図示の記録部固定フレームに、他端側がヘッドホルダ32にそれぞれ接続されている。そして付勢ばね43は、十分な付勢力によってヘッドホルダ32をカム41(カム曲面)に向けて付勢することで、ヘッドホルダ32とカム41との当接した状態を保つ。なお、本実施形態における付勢ばね43の付勢力Fbは、後述する微小移動時の最大加速度αmaxによってヘッドユニットに発生する最大荷重Fmax=M×αmax(Mはヘッドユニットの質量)よりも大きくなるようなばねが選定されている(F>Fmax)。
【0027】
次に、昇降機構60について説明する。
昇降機構60は、不図示の記録部固定フレームに螺合され、鉛直方向に延びたリードスクリュ61と、リードスクリュ61の上端部に取り付けられた第1のギヤ62と、昇降モータ63の軸63Aに取り付けられ、第1のギヤ62と嵌合している第2のギヤ64と、を有している。この昇降機構60は、昇降モータ63の駆動によってリードスクリュ61が回転すると、リードスクリュ61と螺合された記録部固定フレームが昇降する。かくして、昇降機構60は、画像記録部30を、ヘッドクリーニング時や画像記録待機時においてドラム22から退避した退避位置と、画像記録時においてドラム22に近接している画像記録位置とに移動させる。
【0028】
次に、クリーニング部70について説明する。
クリーニング部70は、ドラム22の外周面に沿うように対向して設けられている。このクリーニング部70は、画像記録部30のラインヘッド31をクリーニングするために設けられている。そのため、特に図示しないが、ラインヘッド31をクリーニングするためのワイプブレードや吸引機構等の既知のクリーニング機構を有している。
【0029】
このクリーニング部70は、待機時や画像記録時には、図1に示すように、ラインヘッド31の近傍に配置されている(退避位置)。クリーニングを行う際は、まず、昇降機構60によって画像記録部30を上昇、すなわちドラム22から上方に離間させる。これにより、画像記録部30とドラム22との間に空間が形成される。次に、クリーニング部70を不図示のクリーニング部移動機構によって前記空間に向かって移動させ、画像記録部30と対向させる(クリーニング位置)。そして、クリーニング部70が、画像記録部30(ラインヘッド31)のクリーニングを行う。クリーニングが終わると、画像記録部30及びクリーニング部70は、図1に示す退避位置に移動する。
【0030】
次に、媒体排出部80について説明する。
媒体排出部80は、ベルトユニット81と、排出トレイ82と、を有している。ベルトユニット81は、不図示の吸引ユニットと、複数のローラと、これらローラに架け渡された複数の孔が形成された無端ベルトと、により構成されている。このベルトユニット81は、画像記録後に剥離爪25によってドラム22から剥離された記録媒体3の記録面の裏面を無端ベルト上に吸引吸着して、排出トレイ82へと搬送する。排出トレイ82は、画像記録された記録媒体3を整列収納する。
【0031】
以上のように構成されたインクジェットプリンタ1による、1枚の記録媒体3への一連の画像記録動作について、図3乃至図8を参照して説明する。以下では、解像度を2倍にするために、つまりノズルピッチdの2倍の密度で画像を記録するために、1回目の画像記録の後、ヘッドユニット(ラインヘッド31、ヘッドホルダ32)をノズルピッチdの半分d/2だけ移動させて、2回目の画像記録を行う場合について説明する。
【0032】
画像記録動作が開始されると、ドラム22が図1の矢印方向(時計回り)に回転し始める。そして、予め設定されたタイミングを見計らって、記録媒体3が供給トレイ11からピックアップローラ12により1枚送り込まれる。送り込まれた記録媒体3は、供給ガイド13により案内されて、帯電ローラ21、ドラム22の外周面へと搬送される。同時に、帯電ローラ21は、正(+)放電を開始し、記録媒体3をドラム22の外周面に電気的に吸着させる。
【0033】
ドラム22の外周面に吸着された記録媒体3は、ドラム22の回転に従って搬送され、媒体端検知部23の下方を通過する。このとき、媒体端検知部23が、ドラム22の外周面上での記録媒体3の搬送方向の先端を検出する。先端が検出されると、この検出した情報、及びエンコーダ情報が不図示の制御部に送信され、これら情報に基づいて続く画像記録部30(ラインヘッド31)による記録媒体3への画像記録開始及び終了のタイミングが決定される。そして、図4に示すように、C、K、M、Yの各ラインヘッド31のノズル31bから、記録すべき所望のデータに基づいて各色のタイミングでインクが吐出されて、記録媒体3に1回目の画像記録がなされる。このとき、ヘッド移動機構40のカム41は、図3(b)に示すように、第1の当接位置A1でヘッドホルダ32と当接している。
【0034】
そして、1回目の画像記録の後、除電器24を作動させず、故に記録媒体3がドラム22から剥離されることなくもう1回転させて、記録媒体3が再びラインヘッド位置に達する。その間に、ヘッドユニットをノズルピッチdの半分となるd/2に相当する距離だけノズル列方向に移動させるために、ヘッド移動機構40のステッピングモータ42を駆動させる。つまり、カム41を180°回転させて、図7(b)に示すように、カム41の第2の当接位置A2をヘッドホルダ32に当接させた後、図8に示すように、記録媒体3に2回目の画像記録がなされる。これにより、ラインヘッド31をノズルピッチdの半分となるd/2の距離だけノズル列方向に移動させて補間記録を行い、ノズルピッチ以上の高密度な画像記録を行うことが可能となっている。
【0035】
少なくとも画像記録動作中は、ラインヘッド31のノズル面31a又はその近傍に、記録媒体3に印加した静電電位と同じ電位(この例では+電位)で数百ボルト〜数キロボルトのバイアス電位を印加している。このため、ドラム22に静電気で密着した記録媒体3やゴミ等は、同じ電位のノズル面31aとは反発し合い、ノズル面31aやノズル31bに付着しにくくなっている。
【0036】
画像記録の終了した記録媒体3が除電器24の下方を通過するのとほぼ同時に、除電器24はAC放電を開始し、ドラム22に電気的に密着された記録媒体3のドラム22の外周面への吸着力をなくす(除電する)。
その直後、剥離爪25が、不図示のアクチュエータにより、除電器24による除電のタイミングと同期して駆動され、記録媒体3をドラム22の外周面から剥離して、記録媒体3の搬送方向の先端をベルトユニット81に受け渡す。ベルトユニット81は、少なくとも画像記録時は矢印方向に、ドラム22の周速よりも速い速度で移動している。よって、ベルトユニット81上に移動した記録媒体3は、不図示の吸引ユニットの負圧で無端ベルトの穴を介して、無端ベルト上に密着搬送される。そして、記録媒体3は、排出トレイ82上に排出される。かくして、1枚の記録媒体3への一連の画像記録動作が終了する。
【0037】
なお、本実施形態では、ドラム22への記録媒体3の吸着手段として帯電ローラ21で発生される静電気を利用しているが、例えば、絶縁されたドラム22の外周面に網目上の電位のかかる配線を施し、この網目に電位をかけて電荷により記録媒体3を電気的に吸着するようにしてもよい。あるいは、ドラム22の外周面に複数の貫通穴を設け、ドラム22内を負圧にして、記録媒体3をドラム22の外周面に吸着させてもよい。
【0038】
次に、ヘッド移動機構40によりヘッドユニットを移動させるときの当接制御部50の動作について説明する。
上述のように、1回目の画像記録時には、ヘッドホルダ32とカム41の第1の当接位置A1とを当接(接触)させる(図3(b))。2回目の画像記録時には、ヘッドホルダ32とカム41の第2の当接位置A2とを当接(接触)させる(図7(b))。ここで、付勢ばね43によってヘッドホルダ32とカム41とが互いに当接した状態で、ヘッドホルダ32とカム41との当接位置を第1の当接位置A1から第2の当接位置A2に切り替えるためにステッピングモータ42を駆動させると、例えば、図5(b)に示すように、ヘッドホルダ32の側面とカム41の曲面との間の摩擦抵抗により、モータの回転方向(図5(b)では反時計回りで示されている)とは逆の方向(時計回り)に負荷トルクが発生する。なお、ヘッドホルダ32とカム41との当接位置を第2の当接位置A2から第1の当接位置A1に切り替える時も同様な現象が起こる。
【0039】
これにより、図19を参照して上述したように、ステッピングモータ42の内部では、磁気吸引力の回転方向成分と、これとは反対方向に働く負荷トルクとが釣り合い、コイル42aと磁極42bとの位置が中立状態に達せず、手前にオフセットした状態で停止してしまうという現象が発生する。これは、図5(b)に示すように、カム41が第2の当接位置A2のわずか手前で停止してしまうことに等しい。故に、ラインヘッド31の移動距離が、所望のd/2を下回るという誤差が発生し、画質の劣化を招き得る。
【0040】
そこで、本実施形態では、1回目の画像記録の後、ヘッドホルダ32とカム41との当接位置をカム41の第1の当接位置A1から第2の当接位置A2へと変更するとき、カム41の近傍に設けられた当接制御部50としてのソレノイド51を伸長させることで、付勢ばね43による付勢力とは反対方向の外力をヘッドホルダ32に与え、ヘッドホルダ32とカム41との接触状態を解除する。
【0041】
つまり、ステッピングモータ42の励磁状態を保持したまま図5(b)に示す位置でカム41が停止したとき、図6(a)に示すように、ソレノイド51をヘッドホルダ32に向かって伸長させて、ヘッドホルダ32とカム41との接触状態を解除する。これにより、摩擦抵抗によるモータ軸への負荷トルクがゼロとなり、ステッピングモータ42の停止位置の誤差が解消されて、図6(b)に示すように、カム41を第2の当接位置A2まで完全に回りきらせる。
【0042】
その後、図7(a)に示すように、ソレノイド51を縮ませて、元の位置に戻す。すると、ヘッドホルダ32とカム41とは、図7(b)に示すように、カム41が図3(b)に示す状態から180°回りきった状態で、付勢ばね43の付勢力によって第2の当接位置A2で再び接触する。そして、ヘッドホルダ32とカム41とが第2の当接位置A2で当接した状態で、2回目の画像記録がなされる。つまり、図8に示すように、ラインヘッド31を正確にd/2だけ移動させた状態で、1回目の画像記録がなされた記録媒体3に再び画像記録がなされる。
【0043】
このようにして、当接制御部50は、付勢ばね43によりカム41にかかる付勢力を低減させて、カム41が所望の当接位置でヘッドホルダ32に当接するように、ヘッドホルダ32とカム41との当接部に生じる摩擦抵抗に起因するヘッドユニットの移動量の誤差をなくし、記録される画像品質の低下を防ぐ。
【0044】
また、当接制御部50を有さない従来の構成において画質の劣化を回避するためには、カム面の摩擦抵抗によるモータ軸への負荷トルクよりも十分に大容量なステッピングモータ42が必要となるが、本実施形態では、小容量のモータでも十分な位置精度が得られる。このため、プリンタの小型化、低コスト化に寄与することが可能となる。
【0045】
なお、本実施形態では、ラインヘッド31の微小移動量をd/2、第1の当接位置A1と第2の当接位置A2との径差を前記微小移動量に等しいd/2、1回の補間記録におけるカム41の回転量を180°としているが、微小移動量、カム41の径差の割り付け、及びカム41の回転量はこれに限定されない。
【0046】
また、本実施形態では、解像度を2倍にするためにラインヘッド31をノズルピッチdの半分d/2だけ移動させているが、ラインヘッド31の移動量はこれに限定されない。つまり、ノズルピッチをd、1枚当たりの記録回数をn回とし、ラインヘッド31の1回当たりの移動量Mがd/n(nは2以上の任意の整数)となるようにカム41の形状を変更することによって、ノズルピッチdのn倍の解像度の補間記録を行うことも可能である(この場合、M<d)。また、1回当たりの移動量Mを(n+1)d /nとすることで、ノズルピッチdのn倍の解像度の補間記録を行うことも可能である(この場合、M>d)。
【0047】
以上の説明では、ソレノイド51を伸長させることによってヘッドホルダ32とカム41との接触を完全に解除、つまりヘッドホルダ32とカム41とを離間させている。しかし、これに限定されず、ヘッドホルダ32とカム41とが多少接触していたとしても、その接触圧がカム41(ステッピングモータ42)が所望の当接位置まで完全に回りきる程度の圧となるように、当接制御部50が接触圧低減部として働けばよい。つまり、ソレノイド51は、カム41(ステッピングモータ42)が完全に回りきるように、付勢ばね43の付勢力に抗して力を与える。
【0048】
本実施形態によれば、ステッピングモータに起因する微小移動精度の誤差が解消され、高密度で高画質な画像記録を行うことができる。また、より小容量の駆動モータで済むため、インクジェットプリンタの小型化、低コスト化が可能となる。
【0049】
(変形例1)
変形例1について、図9並びに図10を参照して説明する。変形例1では、当接制御部50として、ソレノイド51に代わって電磁石52を用いる。
【0050】
図9(a)並びに図9(b)に示す変形例1の一態様では、カム41が設けられているのと同じ側に電磁石52を配置し、さらに、この電磁石52が発生するものと同一の磁極53をヘッドホルダ32に配置している。そして、図9(a)に示す状態で電磁石52に通電すると、電磁石52と磁極53との磁気反発力によって図9(b)に示すようにヘッドホルダ32とカム41との当接を解除、又はヘッドホルダ32とカム41との接触圧を低減することが可能となる。
【0051】
また、図10に示す変形例1の他の態様では、付勢ばね43が設けられているのと同じ側に、つまりカム41が設けられているのとは反対側に電磁石52を配置している。なお、ヘッドホルダ32自体が磁性体であれば、磁極を配置しなくてもよい。そして、電磁石52に通電すると、電磁石52とヘッドホルダ32との磁気吸引力によって図10に示すようにヘッドホルダ32とカム41との当接を解除、又はヘッドホルダ32とカム41との接触圧を低減することが可能となる。このように本変形例においても前述した第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0052】
(変形例2)
変形例2について、図11並びに図12を参照して説明する。変形例2では、当接制御部50として、ソレノイド51に代わって圧電素子54を用いる。
【0053】
図11(a)並びに図11(b)に示す変形例2の一態様では、ヘッドホルダ32の、カム41が設けられているのと同じ側に、圧電素子54が設けられている。そして、図11(a)に示す状態で圧電素子54を駆動すると、圧電素子54が微振動、または伸長もしくは収縮することよって図11(b)に示すようにヘッドホルダ32とカム41との当接を解除、又はヘッドホルダ32とカム41との接触圧を低減することが可能となる。
【0054】
また、図12に示す変形例2の他の態様では、ヘッドホルダ32の、付勢ばね43が設けられているのと同じ側に、つまりカム41が設けられているのとは反対側に、圧電素子54が設けられている。そして、圧電素子54を駆動すると、圧電素子54が微振動、または伸長もしくは収縮することよって図12に示すようにヘッドホルダ32とカム41との当接を解除、又はヘッドホルダ32とカム41との接触圧を低減することが可能となる。このように本変形例においても前述した第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0055】
(変形例3)
変形例3について、図13並びに図14を参照して説明する。変形例3では、当接制御部50としてのソレノイド55、57が、ヘッドホルダ32に対して付勢ばね43が設けられているのと同じ側に設けられている。
【0056】
図13に示す変形例3の一態様では、付勢ばね43の一端側がヘッドホルダ32に、他端側が当接制御部50としてのソレノイド55に、それぞれ接続されている。そして、ソレノイド55が付勢ばね43の一端を引き込むことによって、ヘッドホルダ32とカム41との当接を解除、又はヘッドホルダ32とカム41との接触圧を低減することが可能となる。
【0057】
図14に示す変形例3の他の態様では、付勢ばね43の一端側が取り付けられたプレート56に、当接制御部50としてのソレノイド57が接続されている。そして、ソレノイド57が付勢力に抗してプレート56を押し込むことによってヘッドホルダ32とカム41との当接を解除、又はヘッドホルダ32とカム41との接触圧を低減することが可能となる。このように本変形例においても前述した第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0058】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について、図15乃至図17を参照して説明する。以下では、第1の実施形態と同等の構成部材には同じ参照符号を付して、その説明は省略する。
【0059】
前述した第1の実施形態では、カム41の回転が第2の当接位置A2の手前で停止した後に当接制御部50(ソレノイド51)によってヘッドホルダ32とカム41との当接を解除、又はヘッドホルダ32とカム41との接触圧を低減したが、本実施形態では、カム41が回転する前に当接制御部50(ソレノイド51)によってヘッドホルダ32とカム41との当接を解除、又はヘッドホルダ32とカム41との接触圧を低減させる。
【0060】
詳細には、解像度を2倍とした場合、1回目の画像記録時には、カム41は、第1の当接位置A1でヘッドホルダ32に当接している(図15)。1回目の画像記録が終わると、カム41を回転させる前に、ソレノイド51を伸長させて、ヘッドホルダ32とカム41との当接状態を解除して、ヘッドホルダ32とカム41とを離間させる(図16)。その後、ステッピングモータ42によりカム41を180°回転させる。そして、ソレノイド51を縮ませて、ヘッドホルダ32とカム41とは、第2の当接位置A2で当接する(図17)。かくして、ラインヘッド31は、主走査方向にd/2だけ移動した状態となり、この状態で2回目の画像記録がなされる。
【0061】
このように、例えば、カム41が回転する間はずっと当接させない、すなわちカム41が回転を開始する前に当接を解除、つまりヘッドホルダ32とカム41とを離間させて、回転終了後に当接状態に戻す、というように、当接制御のタイミングを自由に設定することができる。
【0062】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について、図18を参照して説明する。以下、第1の実施形態と同等の構成部材には同じ参照符号を付して、その説明は省略する。
【0063】
本実施形態では、第1の実施形態のヘッド移動機構40に代わって、ヘッド移動機構90が設けられている。このヘッド移動機構90は、スクリューシャフト91と、ステッピングモータ92と、ヘッドホルダ32から水平方向に延びたホルダ延長部93と、このホルダ延長部93の下面に設けられた凸部93aと、ホルダ延長部93をスクリューシャフト91に向けて付勢し、凸部93aとスクリューシャフト91との係合させる付勢ばね94と、を有している。
【0064】
スクリューシャフト91は、スラスト方向のがたが発生しないように、回転自在に設けられている。スクリューシャフト91の一端側は、ステッピングモータ92に接続されており、また、スクリューシャフト91は、複数の谷部を有しており、ホルダ延長部93の下面の凸部93aが、スクリューシャフト91の1つの谷部に係合している。このような構成により、ステッピングモータ92の回転角度に応じてスクリューシャフト91の谷部と凸部93aとの係合箇所が変更されて、ヘッドユニット(ラインヘッド31、ヘッドホルダ32)が主走査方向に微小移動可能となっている。
【0065】
また、係合制御部50として、ホルダ延長部93の近傍に、鉛直方向に駆動するプランジャ型ソレノイド58が設けられている。
【0066】
解像度を2倍とした場合、1回目の画像記録時には、凸部93aは、第1の係合位置でスクリューシャフト91の谷部と係合している(図18(a))。1回目の画像記録が終わると、スクリューシャフト91を回転させる前に、ソレノイド58を伸長させて、ホルダ延長部93を上昇させて、凸部93aとスクリューシャフト91の谷部との係合状態を開放して、凸部93aとスクリューシャフト91とを離間させる(図18(b))。
【0067】
その後、ステッピングモータ92により、スクリューシャフト91を回転させて、スクリューシャフト91の谷部をノズルピッチdの半分であるd/2だけ主走査方向に移動させる。そして、ソレノイド58を縮ませる。このとき、凸部93aは、第2の係合位置でスクリューシャフト91の谷部と係合している。かくして、ヘッドユニット(ラインヘッド31、ヘッドホルダ32)は、主走査方向にd/2だけ移動した状態となり、この状態で2回目の画像記録がなされる。
【0068】
このように、ヘッド移動機構は、カムに限らず、スクリューシャフトを用いた機構であってもよい。
【0069】
本実施形態においても、係合制御部50としてのソレノイド58が伸長することにより、付勢ばね94によりホルダ延長部93の凸部93aにかかる付勢力を低減させて、凸部93aが所望の当接位置でスクリューシャフト91の谷部に係合するように、ステッピングモータ92を用いてヘッドユニットを微小移動させたときの移動量の誤差をなくすことによって、高品質な画像記録を行うことができる。
【0070】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内でさまざまな改良並びに変更が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1…インクジェットプリンタ、2…プリンタ本体フレーム、3…記録媒体、10…媒体供給部、11…供給トレイ、12…ピックアップローラ、13…供給ガイド、20…搬送部、21…帯電ローラ、22…ドラム、23…媒体端検知部、24…除電器、25…剥離爪、30…記録部、31…ラインヘッド、31a…ノズル面、31b…ノズル、32…ヘッドホルダ、33…平行板ばね、40…ヘッド移動機構、41…カム、42…ステッピングモータ、43…付勢ばね、50…当接制御部、51…ソレノイド、52…電磁石、53…磁極、54…圧電素子、55…ソレノイド、56…プレート、57、58…ソレノイド、60…昇降機構、61…リードスクリュ、62…第1のギヤ、63…昇降モータ、64…第2のギヤ、70…クリーニング部、80…媒体排出部、81…ベルトユニット、82…媒体排出トレイ、90…ヘッド移動機構、91…スクリューシャフト、92…ステッピングモータ、93…ホルダ延長部、93a…凸部、94…付勢ばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルが配列されたラインヘッドと、前記ラインヘッドを保持するヘッドホルダと、を有するヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットを前記配列の方向となる主走査方向に移動させるヘッド移動機構と、を具備するインクジェットプリンタであって、
前記ヘッド移動機構は、
少なくとも1つの当接位置を有し、該当接位置で前記ヘッドホルダに当接するカムと、
前記カムを回転させて前記ヘッドユニットを前記主走査方向に移動させ、前記ヘッドホルダが前記当接位置に当接するように、前記カムを停止させるステッピングモータと、
前記ヘッドホルダを前記カムに向かって付勢する付勢部材と、
前記付勢部材により前記カムにかかる付勢力を低減させて、該カムが前記当接位置で前記ヘッドホルダに当接するように、当接状態を制御する当接制御部と、を有することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記当接制御部が前記付勢力を低減させるタイミングは、前記カムを回転させた後であることを特徴とする請求項1のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記当接制御部が前記付勢力を低減させるタイミングは、前記カムを回転させる前であることを特徴とする請求項1のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記当接制御部は、前記カムが回転しているとき、前記ヘッドホルダと前記カムとが離間した状態であるように、前記ヘッドホルダと前記カムとの当接状態を制御することを特徴とする請求項1のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記当接制御部は、前記カムが回転しているとき、前記ヘッドホルダと前記カムとが接触した状態で、かつ前記ヘッドホルダと前記カムとの接触圧を低減させるように、前記ヘッドホルダと前記カムとの当接状態を制御することを特徴とする請求項1のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記当接制御部は、前記ヘッドホルダを介して前記付勢部材を変形させることにより、前記付勢部材による付勢力を低減させることを特徴とする請求項1のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記当接制御部は、前記付勢ばねを直接変形させることにより、前記付勢部材による付勢力を低減させることを特徴とする請求項1のインクジェットプリンタ。
【請求項8】
複数のノズルが配列されたラインヘッドと、凸部を備え、前記ラインヘッドを保持するヘッドホルダと、を有するヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットを前記配列の方向となる主走査方向に移動させるヘッド移動機構と、を具備するインクジェットプリンタであって、
前記ヘッド移動機構は、
少なくとも1つの当接位置を有し、該当接位置で前記凸部と係合可能な複数の谷部を備えたスクリューシャフトと、
前記スクリューシャフトを前記主走査方向に移動させて前記ヘッドユニットを前記主走査方向に移動させ、前記凸部が前記当接位置に当接するように、前記スクリューシャフトを停止させるステッピングモータと、
前記凸部を前記スクリューシャフトに向かって付勢する付勢部材と、
前記付勢部材により前記凸部にかかる付勢力を低減させて、該凸部が前記当接位置で前記スクリューシャフトの谷部と係合するように、係合状態を制御する係合制御部と、を有することを特徴とするインクジェットプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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