説明

ヘッドIC、リード回路及び媒体記憶装置

【課題】ヘッドの読み取り信号の振幅レベルを調整するヘッドICにおいて、ヘッドの出力特性のばらつきを調整して、リードチャネルのAGCの入力ダイナミックレンジに収める。
【解決手段】リードチャネル(102)に接続されたヘッドIC(103)に、AGCアンプ(10)を設け、ヘッドIC(103)のAGC回路(14)のフィードバック応答速度を、リードチャネル(102)のAGC回路(107)のフィードバック応答速度より、充分遅く設定する。ヘッドIC内で、ヘッドからの振幅が自動調整され、リードチャネルのAGCアンプの入力ダイナミックレンジに入る信号レベル調整ができる。又、ヘッドICのAGC回路は、リードチャネルのAGC回路の早いAGC動作に影響を与えない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドの読み取り信号の出力レベルを調整するヘッドIC、リード回路及び媒体記憶装置に関し、特に、出力レベルが異なるヘッドの読み取り信号を所定のレベルに調整するヘッドIC、リード回路及び媒体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体記憶装置、例えば、磁気ディスク装置においては、ヘッドが媒体からデータを読み出す。近年のトラック密度の増加に伴い、媒体の磁束の検出感度が高いヘッドが提供されており、MR(Magnetic Resistance)素子をリードヘッドに使用されている。一方、更なる検出感度の高い素子として、トンネル効果を利用したTuMR(又はTMR)素子の適用が検討されている。
【0003】
このようなリード素子の出力レベルは一定でなく、且つ温度変動による素子の特性変化や浮上量の変動により、出力レベルは変化する。このため、データを復調する前に、リード素子の出力レベルを調整する回路が必要となる。
【0004】
図14は、従来の媒体記憶装置の構成図、図15は、従来のリード回路のブロック図である。図14に示すように、媒体(磁気ディスク)210のデータを読み取る磁気ヘッド202a,202bは、アクチュエータ200の先端に設けられる。
【0005】
アクチュエータ200は、回転軸204を中心に回転し、磁気ヘッド202a,202bを磁気ディスク210の所望のトラックに位置つける。磁気ヘッド202a,202bは、アクチュエータ200に設けられたヘッドIC220に接続され、ヘッドIC220は、アクチュエータ200の外の制御回路230に接続される。
【0006】
磁気ヘッド202a,202bから制御回路230までの距離が長いため、磁気ヘッド202a,202bから又はへの信号レベルが変化したり、ノイズが混入する。これを防止するため、磁気ヘッド202a,202bと制御回路230との間に、ヘッドIC220を設け、信号レベルの調整を行うものである。このヘッドIC220は、磁気ヘッドと制御回路との間の多数の信号線を纏め、配線を容易にする目的もある。例えば、制御回路230とヘッドIC220間は、シリアルインターフェースで接続し、ヘッドIC220と各磁気ヘッド202a,202b間は、個別の信号線で接続する。
【0007】
図15は、図14のリード系回路の詳細図であり、磁気ヘッド202a(又は202b)のリード素子202−1に接続するヘッドIC220には、可変ゲインアンプ(プリアンプ)220−1が設けられており、設定されたゲインで、リード素子202の出力を増幅する。尚、可変ゲインアンプ220−1は、ヘッド毎のゲインを設定される。
【0008】
一方、ヘッドIC220に接続される制御回路230には、リードチャネル230−1が設けられ、リードチャネル230−1に設けられたAGC(Automatic Gain Control)アンプ230−2が、ヘッドIC220の可変ゲインアンプ220−1の出力を受ける。
【0009】
AGCアンプ230−2は、差動増幅器230−3と、AGC回路230−4で構成される。AGC回路230−4は、差動増幅器230−3の出力値と基準の出力値とを比較して、比較結果をフィードバックして、差動増幅器230−3のゲインを調整し、差動増幅器230−3の出力レベルを基準レベルに調整する(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
このAGC回路230−4は、磁気ディスク210のトラックの1セクター内の変化を追従するような高速のフィードバック係数(周波数、ゲイン変更量)を設定し、1セクター内の信号レベルを均一化する。
【特許文献1】特開平10−021647号公報(図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術では、このような素子自体の特性や浮上量変動等の環境条件の変動による出力レベルの変動は、リードチャネルのAGCアンプにより、調整していた。
【0012】
しかしながら、近年の記録密度の向上により、リード素子も、より検出感度の高いTuMR素子の利用が望まれている。この検出感度の高いリード素子は、検出感度が、MR素子の10倍程度とされているが、信号出力レベルのばらつきは、これに応じて大きい。又、検出感度が高いため、温度変動や浮上量の変動による信号レベルの変動も大きい。
【0013】
このような大きな信号レベルの変動があると、リードチャネルのAGCアンプで調整するのが困難となるおそれがある。
【0014】
又、記録密度の向上により、回路周波数が高くなり、リードチャネルのAGCアンプも高速化が要求され、AGCの入力ダイナミックレンジが狭くなっている。このため、レベル変動をリードチャネルのAGCアンプの変更で、調整することが、困難となる。
【0015】
このように、記録密度の向上のため、感度の高いリード素子を利用する場合や、回路の動作周波数を高速にする場合には、リードチャネルのAGCによるレベル調整では、レベル変動の調整に制限がある。
【0016】
従って、本発明の目的は、ヘッドの出力変動を自動的に調整するヘッドIC、リード回路及び媒体記憶装置を提供することにある。
【0017】
又、本発明の他の目的は、ヘッド出力レベルのばらつきが大きくても、ヘッドの出力変動を自動的に調整するヘッドIC、リード回路及び媒体記憶装置を提供することにある。
【0018】
更に、本発明の他の目的は、リードチャネルのAGC回路の入力ダイナミックレンジが狭くなっても、ヘッドの出力変動を自動的に調整するヘッドIC、リード回路及び媒体記憶装置を提供することにある。
【0019】
更に、本発明の他の目的は、ヘッドの出力変動を自動的に調整し、高記録密度を実現するヘッドIC、リード回路及び媒体記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的を達成するため、本発明のヘッドICは、ヘッドの読み取り信号の振幅レベルを調整して、AGCアンプを有するリードチャネルに出力するヘッドICにおいて、前記読み取り信号を設定されたゲインで増幅する差動増幅器と、前記差動増幅器の入力又は出力振幅レベルと基準レベルとの差を取り、所定の引き込み特性に応じて、前記差動増幅器のゲインを自動制御するAGC回路とを有し、前記AGC回路の前記AGC回路の出力を前記リードチャネルのAGCアンプの入力とした。
【0021】
又、本発明のリード回路は、前記ヘッドからの読み取り信号の振幅レベルを調整するヘッドICと、前記ヘッドICに接続され、AGCアンプを有するリードチャネルとを有し、前記ヘッドICは、前記読み取り信号を設定されたゲインで増幅する差動増幅器と、前記差動増幅器の入力又は出力振幅レベルと基準レベルとの差を取り、所定の引き込み特性に応じて、前記差動増幅器のゲインを自動制御するAGC回路とを有し、前記AGC回路の前記AGC回路の出力を前記リードチャネルのAGCアンプの入力とした。
【0022】
又、本発明の媒体記憶装置は、媒体を読み取るヘッドと、前記ヘッドからの読み取り信号の振幅レベルを調整するヘッドICと、前記ヘッドICに接続され、AGCアンプを有するリードチャネルとを有し、前記ヘッドICは、前記読み取り信号を設定されたゲインで増幅する差動増幅器と、前記差動増幅器の入力又は出力振幅レベルと基準レベルとの差を取り、所定の引き込み特性に応じて、前記差動増幅器のゲインを自動制御するAGC回路とを有し、前記AGC回路の出力を前記リードチャネルのAGCアンプの入力とした。
【0023】
更に、本発明は、好ましくは、前記AGC回路の前記引き込み特性を、前記リードチャネルのAGCアンプの引き込み特性より遅い特性に設定した。
【0024】
更に、本発明では、好ましくは、前記ゲインの初期値を格納するメモリと、前記AGC回路の引き込み開始時に、前記差動増幅器に前記メモリのゲインの初期値を設定するシーケンス回路とを設けた。
【0025】
更に、本発明では、好ましくは、前記シーケンサ回路は、前記ヘッドの読み取り終了に応じて、前記AGC回路の前記差動増幅器に設定しているゲインで、前記メモリのゲインの初期値を更新する。
【0026】
更に、本発明では、好ましくは、前記シーケンサ回路は、前記AGC回路の起動時に、前記AGC回路の引き込み特性を速く設定し、且つ前記リードチャネルのAGCアンプのゲインを固定に指示し、前記AGC回路の引き込み終了に応じて、前記AGC回路の引き込み特性を、前記リードチャネルのAGCアンプの引き込み特性より遅い特性に設定する。
【0027】
更に、本発明では、好ましくは、前記ヘッドの抵抗値に応じて、出力レベルを推定し、前記初期値を計算して、前記メモリに書き込む検出回路を更に設けた。
【0028】
更に、本発明では、好ましくは、前記AGC回路は、前記差動増幅器の出力の振幅レベルと基準レベルと差を演算するゲインエラー演算部と、前記差の出力の高周波成分をカットするローパスフィルタと、前記ローパスフィルタの出力に所定のフィードバックゲインを乗算して、前記差動増幅器のゲインを制御するゲイン乗算器とを有する。
【0029】
更に、本発明では、好ましくは、ヘッド選択信号に応じて、前記差動増幅器に、複数のヘッドのいずれかを接続するヘッド切り替え部を設け、前記メモリに前記複数のヘッドのゲインの初期値を格納し、前記シーケンサ回路は、前記AGC回路の引き込み開始時に、前記差動増幅器に前記メモリの前記接続されたヘッドに対応するゲインの初期値を設定する。
【発明の効果】
【0030】
ヘッドICに、AGCアンプを設けたので、ヘッドIC内で、ヘッドからの振幅が自動調整され、リードチャネルのAGCアンプの入力ダイナミックレンジに入る信号レベル調整ができる。又、2つのAGC回路を同時に動作すると、AGCの競合により発振状態が生じるおそれがあり、AGCの引き込みに多大な時間がかかるが、リードチャネル回路のAGC回路は、比較的早いフィードバック応答速度とし、一方、ヘッドICのAGC回路のフィードバック応答速度は、このリードチャネル回路のAGC回路のフィードバック応答速度より、充分遅く設定しているため、ヘッドICのAGC回路は、リードチャネルのAGC回路の早いAGC動作に影響を与えない。更に、ヘッドIC内で自動レベル調整するため、外部との余分な信号線を必要としない。このため、アクチュエータに搭載するのに、実装上、好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を、媒体記憶装置、リード回路の第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態、第4の実施の形態、第5の実施の形態、第6の実施の形態、第7の実施の形態、第8の実施の形態、他の実施の形態の順で説明するが、本発明は、この実施の形態に限られない。
【0032】
(媒体記憶装置)
図1は、本発明の一実施の形態の媒体記憶装置の構成図である。図1は、媒体記憶装置として、磁気ディスク装置を示す。図1に示すように、磁気記憶媒体である磁気ディスク117が、スピンドルモータの回転軸118に設けられている。スピンドルモータは、磁気ディスク117を回転する。アクチュエータ(VCM)119は、先端に磁気ヘッド126を備え、磁気ヘッド126を磁気ディスク117の半径方向に移動する。
【0033】
アクチュエータ119は、回転軸を中心に回転するボイスコイルモータ(VCM)で構成される。磁気ディスク装置に、2枚の磁気ディスク117が搭載される場合には、各磁気ディスクの面をリード/ライトする4つの磁気ヘッド126が、同一のアクチュエータ119で同時に駆動される。
【0034】
磁気ヘッド126は、リード素子と、ライト素子とからなる。例えば、磁気ヘッド126は、スライダに、トンネル効果磁気抵抗(TuMR)素子を含むリード素子を積層し、その上にライトコイルを含むライト素子を積層して、構成される。
【0035】
ヘッドIC103は、図15で示したように、アクチュエータ119の側面に設けられ、図2以下で後述するように、AGCアンプを含むリード系回路と、ライト系回路からなり、リードモードでは、磁気ヘッド126のリード素子からの読み取り信号を増幅して、出力し、ライトモードでは、磁気ヘッド126のライト素子にライト駆動電流を流す。
【0036】
リードチャネル102は、リード系回路と、ライト系回路とを有し、リード系回路は、AGCアンプ107と、信号復調回路106とを備える。マイクロコントローラ(MCU)104は、ハードディスクコントローラ(HDC)104aと、マイクロプロセッサ(MPU)104bとを備える。
【0037】
ハードディスクコントローラ(HDC)104aは、コマンドの解析を行い、サーボ信号のセクタ番号を基準にして,1周内の位置を判断し,データの記録・再生を制御し、且つリードデータやライトデータを一時格納する。MPU104bは、各部の制御を行う。
【0038】
サーボ・コンボ回路105は、信号復調回路106からのサーボ位置信号から現在位置を検出(復調)し、検出した現在位置と目標位置との誤差に従い、アクチュエータ119のVCM駆動指令値を演算する。又、スピンドルモータを駆動する。インターフェイス回路101は、USB,ATAやSCSI等のインターフェイスで、ホストと通信する。
【0039】
磁気ディスク117には、外周から内周に渡り、各トラックにサーボ信号(位置信号)が、円周方向に等間隔に配置される。又、各トラックは、複数のセクタで構成され、セクタ毎に、サーボ信号が記録される。サーボ信号は,サーボマークと、トラック番号と、インデックスと、オフセット情報(サーボバースト)PosA,PosB,PosC,PosDとからなる。
【0040】
この位置信号をヘッド126で読み取り、トラック番号とオフセット情報PosA,PosB,PosC,PosDを使い,磁気ヘッドの半径方向の位置を検出する。さらに、インデックス信号Indexを元にして,磁気ヘッドの円周方向の位置を把握する。
【0041】
このような,位置信号やデータを読み取るため、磁気ヘッド126のリード素子の読み取り出力を、ヘッドIC103でレベル調整し、且つリードチャネル102のAGC回路107で所定レベルに調整する。
【0042】
(リード回路の第1の実施の形態)
図2は、本発明のリード回路の第1の実施の形態の回路図である。図2において、図1で示したものと同一のものは、同一の記号で示してあり、ヘッドIC103には、AGCアンプ10が搭載される。このAGCアンプ10は、リード素子(TuMR素子)126−1の両端に接続された差動増幅器12と、差動増幅器12のゲインを自動制御するAGC回路14からなる。
【0043】
AGC回路14は、ゲインエラー検出回路16と、フィードバック制御器(ローパスフィルタ)18と、ゲイン乗算器19とを有する。
【0044】
ゲインエラー検出器16は、差動増幅器12のマイナス側電圧をアナログ・デジタル変換する第1のA/Dコンバータ20と、差動増幅器12のプラス側電圧をアナログ・デジタル変換する第2のA/Dコンバータ21と、両A/Dコンバータ20,21の出力の差をとり、振幅を抽出する第1の演算器22と、振幅の目標値(波形)を格納するメモリ24と、メモリ24の振幅の目標値から第1の演算器22の検出した振幅との差を演算する第2の演算器26とを有する。この差が、ゲインエラーである。
【0045】
フィードバック制御器18は、ローパスフィルタで構成され、ゲインエラー信号の高周波成分をカットし、低周波数のゲインエラー信号に追従するようにループ形成する。ゲイン乗算器19は、ローパスフィルタ18の出力をフィードバックゲインであるK倍し、増幅率を決定し、差動増幅器12のゲインを制御する。このフィードバックゲインKの値が小さいと、フィードバック応答速度が遅く、フィードバックゲインKの値が大きいと、フィードバック応答速度が速い。
【0046】
一方、リードチャネル回路102には、差動増幅器107−1と、AGC回路107−2とからなるAGCアンプ107が設けられる。AGC回路107−2の構成は、ヘッドIC103のAGC回路14と同一であり、説明を省略する。
【0047】
このヘッドIC103のAGC回路14のローパスフィルタ18のカットオフ周波数は、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のローパスフィルタのカットオフ周波数より低く設定し、且つヘッドIC103のAGC回路14のゲイン乗算器19のフィードバックゲインKは、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のゲイン乗算器のフィードバックゲインより小さく設定する。
【0048】
これにより、ヘッドIC103のAGC回路14のフィードバック応答速度は、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のフィードバック応答速度より遅くなる。
【0049】
即ち、リードチャネル回路102のAGC回路107−2は、1セクタ内で、出力レベルを調整する必要があるから、比較的早いフィードバック応答速度(高い周波数で、高いフィードバックゲイン)とする必要がある。一方、ヘッドIC103のAGC回路14のフィードバック応答速度は、このリードチャネル回路102のAGC回路107−2のフィードバック応答速度より、充分遅く設定している。例えば、十数セクタ程度の振幅変化のみ追従可能なフィードバック応答速度である。
【0050】
このリード動作を説明すると、先ず、リード素子126−1の両端電圧は、ヘッドIC103の差動増幅器12に入力し、一対の差動増幅信号を出力する。この一対の差動増幅信号は、リードチャネル回路102のAGCアンプ107の差動増幅器107−1に入力される。
【0051】
一方、AGCアンプ10のAGC回路14では、第1、第2のA/Dコンバータ20,21が、それぞれ差動増幅器12のマイナス側電圧、プラス側の電圧をアナログ・デジタル変換し、第1の演算器22は、両A/Dコンバータ20,21の出力の差をとり、振幅を抽出する。
【0052】
次に、第2の演算器26は、振幅の目標値(波形)を格納するメモリ24からの振幅の目標値から第1の演算器22の検出した振幅との差を演算し、ゲイン(増幅率)エラーを出力する。ローパスフィルタ18は、設定されたカットオフ周波数で、ゲインエラー信号の高周波成分をカットし、低周波数のゲインエラー信号を抽出する。ゲイン乗算器19は、ローパスフィルタ18の出力をフィードバックゲインであるK倍し、増幅率を決定し、差動増幅器12のゲインを制御する。
【0053】
又、同様に、リードチャネル102のAGC回路107−2も、差動増幅器107−1の一対の差動増幅信号からゲインエラー信号を検出し、ローパスフィルタ、ゲイン乗算器を介し増幅率を決定し、差動増幅器107−1のゲインを制御する。
【0054】
このように、第1に、ヘッドIC103に、AGCアンプ10を設けたので、ヘッドIC103内で、ヘッド126−1からの振幅が自動調整され、リードチャネル102のAGCアンプ107の入力ダイナミックレンジに入る信号レベル調整ができる。
【0055】
第2に、2つのAGC回路を同時に動作すると、AGCの競合により発振状態が生じるおそれがあり、AGCの引き込みに多大な時間がかかる。しかし、本発明では、リードチャネル回路102のAGC回路107−2は、1セクタ内で、出力レベルを調整する制約上、比較的早いフィードバック応答速度(高い周波数で、高いフィードバックゲイン)とし、一方、ヘッドIC103のAGC回路14のフィードバック応答速度は、このリードチャネル回路102のAGC回路107−2のフィードバック応答速度より、充分遅く設定している(例えば、十数セクタ程度の振幅変化のみ追従可能なフィードバック応答速度)。
【0056】
このため、ヘッドIC103のAGC回路14は、リードチャネル102のAGC回路107−2の早いAGC動作に影響を与えない。即ち、ヘッドIC103のAGC回路14は、リードチャネル102のAGC回路107−2の振幅調整の対象とする早い振幅変化には、ほとんど追従せず、遅い振幅変化に追従する。従って、AGC回路を2つ設けても、AGC回路間の競合が生じない。これにより、発振状態によるAGC引き込み時間の長期化を防止できる。
【0057】
更に、この実施の形態では、ヘッドIC内で自動レベル調整するため、外部との余分な信号線を必要としない。このため、図14で説明したように、アクチュエータに搭載するのに、実装上、好適である。
【0058】
(リード回路の第2の実施の形態)
図3は、本発明のリード回路の第2の実施の形態の回路図である。図3において、図1及び図2で示したものと同一のものは、同一の記号で示してあり、ヘッドIC103のAGCアンプ10のみを図示し、リードチャネル102を省略している。尚、リードチャネル102の構成は、図2と同一である。
【0059】
図3に示すように、AGCアンプ10は、リード素子(TuMR素子)126−1の両端に接続された差動増幅器12と、差動増幅器12のゲインを自動制御するAGC回路14からなる。
【0060】
AGC回路14は、ゲインエラー検出回路16と、フィードバック制御器(ローパスフィルタ)18と、ゲイン乗算器19と、切り替えスイッチ30と、AGCシーケンサ32とを有する。
【0061】
ゲインエラー検出器16は、差動増幅器12のマイナス側電圧をアナログ・デジタル変換する第1のA/Dコンバータ20と、差動増幅器12のプラス側電圧をアナログ・デジタル変換する第2のA/Dコンバータ21と、両A/Dコンバータ20,21の出力の差をとり、振幅を抽出する第1の演算器22と、振幅の目標値(波形)とゲインの初期値とを格納するメモリ28と、メモリ28の振幅の目標値から第1の演算器22の検出した振幅との差を演算する第2の演算器26とを有する。この差が、ゲインエラーである。
【0062】
フィードバック制御器18は、ローパスフィルタで構成され、ゲインエラー信号の高周波成分をカットし、低周波数のゲインエラー信号に追従するようにループ形成する。ゲイン乗算器19は、ローパスフィルタ18の出力をフィードバックゲインであるK倍し、増幅率を決定し、差動増幅器12のゲインを制御する。このフィードバックゲインKの値が小さいと、フィードバック応答速度が遅く、フィードバックゲインKの値が大きいと、フィードバック応答速度が速い。
【0063】
この実施の形態でも、ヘッドIC103のAGC回路14のローパスフィルタ18のカットオフ周波数は、図2のリードチャネル回路102のAGC回路107−2のローパスフィルタのカットオフ周波数より低く設定し、且つヘッドIC103のAGC回路14のゲイン乗算器19のフィードバックゲインKは、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のゲイン乗算器のフィードバックゲインより小さく設定する。
【0064】
これにより、ヘッドIC103のAGC回路14のフィードバック応答速度を、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のフィードバック応答速度より遅く設定している。
【0065】
又、メモリ28にゲイン初期値を格納している。AGCシーケンサ32は、リード/ライトモード指示信号により、リードモード指示を受けると、メモリ28のゲイン初期値を読み出し、スイッチ30を介し差動増幅器12にセットした後、スイッチ30を、AGC回路14(即ち、ゲイン乗算器19)に切り替える。
【0066】
即ち、競合防止のため、ヘッドIC103のAGC回路14のフィードバック応答速度を遅くしているため、起動時やモード切替時に、引き込み時間が遅くなる。これを防止するため、ゲイン初期値を格納し、起動時やモード切替時に、差動増幅器12に初期設定する。このため、AGC回路14のフィードバック応答速度を遅くしても、引き込み時間を短縮できる。又、ヘッドの特性によって、引き込み時間が変化することも防止できる。
【0067】
(リード回路の第3の実施の形態)
図4は、本発明のリード回路の第3の実施の形態の回路図である。図4において、図1、図2及び図3で示したものと同一のものは、同一の記号で示してあり、ヘッドIC103のAGCアンプ10とヘッド切り替え回路40のみを図示し、リードチャネル102を省略している。尚、リードチャネル102の構成は、図2と同一である。
【0068】
図4に示すように、1つのAGCアンプ10は、複数のリード素子(TuMR素子)126−1a〜126−1nの信号を取り扱う。ヘッド切り替えスイッチ40は、複数のリード素子126−1a〜126−1nと差動増幅器12との接続を、チャネル(ヘッド)選択信号に切り替える。
【0069】
AGCアンプ10は、このヘッド切り替えスイッチ40に接続された差動増幅器12と、差動増幅器12のゲインを自動制御するAGC回路14とを有する。AGC回路14は、ゲインエラー検出回路16と、フィードバック制御器(ローパスフィルタ)18と、ゲイン乗算器19と、切り替えスイッチ30と、AGCシーケンサ32とを有する。
【0070】
ゲインエラー検出器16は、差動増幅器12のマイナス側電圧をアナログ・デジタル変換する第1のA/Dコンバータ20と、差動増幅器12のプラス側電圧をアナログ・デジタル変換する第2のA/Dコンバータ21と、両A/Dコンバータ20,21の出力の差をとり、振幅を抽出する第1の演算器22と、振幅の目標値(波形)を格納するメモリ24と、メモリ24の振幅の目標値から第1の演算器22の検出した振幅との差を演算する第2の演算器26とを有する。この差が、ゲインエラーである。
【0071】
フィードバック制御器18は、ローパスフィルタで構成され、ゲインエラー信号の高周波成分をカットし、低周波数のゲインエラー信号に追従するようにループ形成する。ゲイン乗算器19は、ローパスフィルタ18の出力をフィードバックゲインであるK倍し、増幅率を決定し、差動増幅器12のゲインを制御する。このフィードバックゲインKの値が小さいと、フィードバック応答速度が遅く、フィードバックゲインKの値が大きいと、フィードバック応答速度が速い。
【0072】
この実施の形態でも、ヘッドIC103のAGC回路14のローパスフィルタ18のカットオフ周波数は、図2のリードチャネル回路102のAGC回路107−2のローパスフィルタのカットオフ周波数より低く設定し、且つヘッドIC103のAGC回路14のゲイン乗算器19のフィードバックゲインKは、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のゲイン乗算器のフィードバックゲインより小さく設定する。
【0073】
これにより、ヘッドIC103のAGC回路14のフィードバック応答速度を、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のフィードバック応答速度より遅く設定している。
【0074】
又、ヘッド毎のゲイン初期値を格納するメモリ(ROM)28と、スイッチ30と、AGCシーケンサ32を設ける。AGCシーケンサ32は、リード/ライトモード指示信号により、リードモード指示を受けると、メモリ28のゲイン初期値を読み出す。この時、チャネル選択信号により、ヘッド切り替えスイッチ40が操作され、選択されたヘッドのリード素子が、差動増幅器12に接続され、メモリ28に読出す初期値のチャネル番号が指示される。
【0075】
従って、AGCシーケンサ32が、メモリ28の初期値をリードする時に、チャネル選択信号で指示されたチャネル(ヘッド)の初期値が読み出され、スイッチ30を介し差動増幅器12にセットされる。AGCシーケンサ32は、読出し後、スイッチ30を、AGC回路14(即ち、ゲイン乗算器19)に切り替える。
【0076】
即ち、競合防止のため、ヘッドIC103のAGC回路14のフィードバック応答速度を遅くしているため、起動時やモード切替時に、引き込み時間が遅くなる。これを防止するため、ゲイン初期値を格納し、起動時やモード切替時に、差動増幅器12に初期設定する。このため、AGC回路14のフィードバック応答速度を遅くしても、引き込み時間を短縮できる。
【0077】
これとともに、各ヘッド(リード素子)の特性ばらつきに応じたゲイン初期値を格納し、ヘッド選択とともに、起動時やモード切替時に、差動増幅器12に初期設定する。このため、AGC回路14のフィードバック応答速度を遅くしても、ヘッド個々の特性によらず、引き込み時間を短縮できる。更に、ヘッドの特性により、引き込み時間が変化することを防止できる。
【0078】
(リード回路の第4の実施の形態)
図5は、本発明のリード回路の第4の実施の形態の回路図である。図5において、図1、図2、図3及び図4で示したものと同一のものは、同一の記号で示してあり、ヘッドIC103のAGCアンプ10とヘッド切り替え回路40のみを図示し、リードチャネル102を省略している。尚、リードチャネル102の構成は、図2と同一である。
【0079】
図5に示すように、1つのAGCアンプ10は、複数のリード素子(TuMR素子)126−1a〜126−1nの信号を取り扱う。ヘッド切り替えスイッチ40は、複数のリード素子126−1a〜126−1nと差動増幅器12との接続を、チャネル(ヘッド)選択信号に切り替える。
【0080】
AGCアンプ10は、このヘッド切り替えスイッチ40に接続された差動増幅器12と、差動増幅器12のゲインを自動制御するAGC回路14とを有する。AGC回路14は、ゲインエラー検出回路16と、フィードバック制御器(ローパスフィルタ)18と、ゲイン乗算器19と、切り替えスイッチ30と、AGCシーケンサ32とを有する。
【0081】
ゲインエラー検出器16は、差動増幅器12のマイナス側電圧をアナログ・デジタル変換する第1のA/Dコンバータ20と、差動増幅器12のプラス側電圧をアナログ・デジタル変換する第2のA/Dコンバータ21と、両A/Dコンバータ20,21の出力の差をとり、振幅を抽出する第1の演算器22と、振幅の目標値(波形)を格納するメモリ24と、メモリ24の振幅の目標値から第1の演算器22の検出した振幅との差を演算する第2の演算器26とを有する。この差が、ゲインエラーである。
【0082】
フィードバック制御器18は、ローパスフィルタで構成され、ゲインエラー信号の高周波成分をカットし、低周波数のゲインエラー信号に追従するようにループ形成する。ゲイン乗算器19は、ローパスフィルタ18の出力をフィードバックゲインであるK倍し、増幅率を決定し、差動増幅器12のゲインを制御する。このフィードバックゲインKの値が小さいと、フィードバック応答速度が遅く、フィードバックゲインKの値が大きいと、フィードバック応答速度が速い。
【0083】
この実施の形態でも、ヘッドIC103のAGC回路14のローパスフィルタ18のカットオフ周波数は、図2のリードチャネル回路102のAGC回路107−2のローパスフィルタのカットオフ周波数より低く設定し、且つヘッドIC103のAGC回路14のゲイン乗算器19のフィードバックゲインKは、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のゲイン乗算器のフィードバックゲインより小さく設定する。
【0084】
これにより、ヘッドIC103のAGC回路14のフィードバック応答速度を、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のフィードバック応答速度より遅く設定している。
【0085】
又、ヘッド毎のゲイン初期値を格納するメモリ(RAM)28と、スイッチ30と、AGCシーケンサ32を設ける。AGCシーケンサ32は、リード/ライトモード指示信号により、リードモード指示を受けると、メモリ28のゲイン初期値を読み出す。この時、チャネル選択信号により、ヘッド切り替えスイッチ40が操作され、選択されたヘッドのリード素子が、差動増幅器12に接続され、メモリ28に読出す初期値のチャネル番号が指示される。
【0086】
従って、AGCシーケンサ32が、メモリ28の初期値をリードする時に、チャネル選択信号で指示されたチャネル(ヘッド)の初期値が読み出され、スイッチ30を介し差動増幅器12にセットされる。AGCシーケンサ32は、読出し後、スイッチ30を、AGC回路14(即ち、ゲイン乗算器19)に切り替える。
【0087】
更に、AGCシーケンサ32は、モード切替(リードモードからライトモード又はチャネル選択変更)時に、切り替え直前のゲイン乗算器19からの設定ゲインを、メモリ28に書込み、対応チャネルの初期値を更新する。
【0088】
この例でも、競合防止のため、ヘッドIC103のAGC回路14のフィードバック応答速度を遅くしているため、起動時やモード切替時に、引き込み時間が遅くなる。これを防止するため、ゲイン初期値を格納し、起動時やモード切替時に、差動増幅器12に初期設定する。このため、AGC回路14のフィードバック応答速度を遅くしても、引き込み時間を短縮できる。
【0089】
これとともに、各ヘッド(リード素子)の特性ばらつきに応じたゲイン初期値を格納し、ヘッド選択とともに、起動時やモード切替時に、差動増幅器12に初期設定する。又、この初期値を切り替え直前の実際の値に更新し、常に最適初期値を格納する。このため、AGC回路14のフィードバック応答速度を遅くしても、ヘッド個々の特性によらず、引き込み時間を短縮できる。更に、ヘッドの特性や温度変化により、引き込み時間が変化することを防止できる。
【0090】
(リード回路の第5の実施の形態)
図6は、本発明のリード回路の第5の実施の形態の回路図である。図6において、図1、図2、図3、図4及び図5で示したものと同一のものは、同一の記号で示してあり、ヘッドIC103のAGCアンプ10とヘッド切り替え回路40のみを図示し、リードチャネル102を省略している。尚、リードチャネル102の構成は、図2と同一である。
【0091】
図6に示すように、1つのAGCアンプ10は、複数のリード素子(TuMR素子)126−1a〜126−1nの信号を取り扱う。ヘッド切り替えスイッチ40は、複数のリード素子126−1a〜126−1nと差動増幅器12との接続を、チャネル(ヘッド)選択信号に切り替える。
【0092】
AGCアンプ10は、このヘッド切り替えスイッチ40に接続された差動増幅器12と、差動増幅器12のゲインを自動制御するAGC回路14とを有する。AGC回路14は、ゲインエラー検出回路16と、フィードバック制御器(ローパスフィルタ)18と、ゲイン乗算器19と、切り替えスイッチ30と、AGCシーケンサ32とを有する。
【0093】
ゲインエラー検出器16は、差動増幅器12のマイナス側電圧をアナログ・デジタル変換する第1のA/Dコンバータ20と、差動増幅器12のプラス側電圧をアナログ・デジタル変換する第2のA/Dコンバータ21と、両A/Dコンバータ20,21の出力の差をとり、振幅を抽出する第1の演算器22と、振幅の目標値(波形)を格納するメモリ24と、メモリ24の振幅の目標値から第1の演算器22の検出した振幅との差を演算する第2の演算器26とを有する。この差が、ゲインエラーである。
【0094】
フィードバック制御器18は、ローパスフィルタで構成され、ゲインエラー信号の高周波成分をカットし、低周波数のゲインエラー信号に追従するようにループ形成する。ゲイン乗算器19は、ローパスフィルタ18の出力をフィードバックゲインであるK倍し、増幅率を決定し、差動増幅器12のゲインを制御する。このフィードバックゲインKの値が小さいと、フィードバック応答速度が遅く、フィードバックゲインKの値が大きいと、フィードバック応答速度が速い。
【0095】
この実施の形態でも、ヘッドIC103のAGC回路14のローパスフィルタ18のカットオフ周波数は、図2のリードチャネル回路102のAGC回路107−2のローパスフィルタのカットオフ周波数より低く設定し、且つヘッドIC103のAGC回路14のゲイン乗算器19のフィードバックゲインKは、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のゲイン乗算器のフィードバックゲインより小さく設定する。
【0096】
これにより、ヘッドIC103のAGC回路14のフィードバック応答速度を、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のフィードバック応答速度より遅く設定している。
【0097】
又、ヘッドIC103に、ヘッド毎のゲイン初期値を格納するメモリ(RAM)28と、初期値検出回路34、スイッチ30と、AGCシーケンサ32を設ける。
【0098】
更に、図1のMCU104に設けられたヘッド抵抗測定回路42は、工場出荷時に、各リード素子126−1a〜126−1nに電流を流し、両端電圧を測定して、各リード素子の抵抗値を測定する。この測定抵抗値に従い、各リード素子に流すバイアス電流値を決定し、MCU104にセットする。
【0099】
先ず、工場出荷時に、ヘッド抵抗測定回路42が、前述のように、各リード素子の抵抗値を測定する。AGCアンプ10又はMCU104に設けられた初期値検出回路34は、このヘッド抵抗値測定回路42の測定抵抗値から出力レベルを推定し、推定した出力レベルから各ヘッドのゲイン初期値を検出(計算)する。そして、この計算したゲイン初期値を前述のメモリ28に書き込む。
【0100】
AGCシーケンサ32は、リード/ライトモード指示信号により、リードモード指示を受けると、メモリ28のゲイン初期値を読み出す。この時、チャネル選択信号により、ヘッド切り替えスイッチ40が操作され、選択されたヘッドのリード素子が、差動増幅器12に接続され、メモリ28に読出す初期値のチャネル番号が指示される。
【0101】
従って、AGCシーケンサ32が、メモリ28の初期値をリードする時に、チャネル選択信号で指示されたチャネル(ヘッド)の初期値が読み出され、スイッチ30を介し差動増幅器12にセットされる。AGCシーケンサ32は、読出し後、スイッチ30を、AGC回路14(即ち、ゲイン乗算器19)に切り替える。
【0102】
この例でも、競合防止のため、ヘッドIC103のAGC回路14のフィードバック応答速度を遅くしているため、起動時やモード切替時に、引き込み時間が遅くなる。これを防止するため、ゲイン初期値を格納し、起動時やモード切替時に、差動増幅器12に初期設定する。このため、AGC回路14のフィードバック応答速度を遅くしても、引き込み時間を短縮できる。
【0103】
これとともに、各ヘッド(リード素子)の特性ばらつきに応じたゲイン初期値を格納し、ヘッド選択とともに、起動時やモード切替時に、差動増幅器12に初期設定する。又、この初期値を切り替え直前の実際の値に更新し、常に最適初期値を格納する。このため、AGC回路14のフィードバック応答速度を遅くしても、ヘッド個々の特性によらず、引き込み時間を短縮できる。更に、各ヘッドのゲイン初期値の設定も、既存のバイアス電流設定のための抵抗値測定結果を利用できるため、容易である。
【0104】
(リード回路の第6の実施の形態)
図7は、本発明のリード回路の第6の実施の形態の回路図、図8は、図7の構成の動作フロー図である。図7において、図1、図2で示したものと同一のものは、同一の記号で示してあり、ヘッドIC103のAGCアンプ10のみを図示し、リードチャネル102を省略している。尚、リードチャネル102の構成は、図2と同一である。
【0105】
図7に示すように、AGCアンプ10は、リード素子(TuMR素子)126−1の両端に接続された差動増幅器12と、差動増幅器12のゲインを自動制御するAGC回路14と、引き込み制御回路38とからなる。
【0106】
AGC回路14は、ゲインエラー検出回路16と、フィードバック制御器(ローパスフィルタ)18と、ゲイン乗算器19と、引き込み終了検出回路36とを有する。
【0107】
ゲインエラー検出器16は、差動増幅器12のマイナス側電圧をアナログ・デジタル変換する第1のA/Dコンバータ20と、差動増幅器12のプラス側電圧をアナログ・デジタル変換する第2のA/Dコンバータ21と、両A/Dコンバータ20,21の出力の差をとり、振幅を抽出する第1の演算器22と、振幅の目標値(波形)を格納するメモリ24と、メモリ24の振幅の目標値から第1の演算器22の検出した振幅との差を演算する第2の演算器26とを有する。この差が、ゲインエラーである。
【0108】
フィードバック制御器18は、ローパスフィルタで構成され、ゲインエラー信号の高周波成分をカットし、低周波数のゲインエラー信号に追従するようにループ形成する。ゲイン乗算器19は、ローパスフィルタ18の出力をフィードバックゲインであるK倍し、増幅率を決定し、差動増幅器12のゲインを制御する。このフィードバックゲインKの値が小さいと、フィードバック応答速度が遅く、フィードバックゲインKの値が大きいと、フィードバック応答速度が速い。
【0109】
この実施の形態の動作を、図8を参照して、説明する。
【0110】
(S10)リードモードの起動時に、引き込み制御回路38は、ヘッドIC103のAGC回路14のローパスフィルタ18のカットオフ周波数を高いfhに、ゲイン乗算器19のゲインKを大きいKhにセットし、リードチャネル102に起動時引き込みモード(FIX)を通知する。従って、AGC回路14は、フィードバック応答速度が速くなり、AGC引き込み時間が高速となる。この時、リードチャネル102のAGC回路107−2は、引き込みモード指示に応じて、差動増幅器のゲインを固定とするため、AGCの競合を防止できる。
【0111】
(S12)引き込み終了検出回路36は、第2の演算器26からのゲインエラー信号が、収束したかを判定する。検出回路36は、ゲインエラー信号が収束したと判定すると、引き込み終了を、引き込み制御回路38に通知する。
【0112】
(S14)引き込み制御回路38は、ヘッドIC103のAGC回路14のローパスフィルタ18のカットオフ周波数を低いflに、ゲイン乗算器19のゲインKを小さいKlにセットし、リードチャネル102に起動モード終了を通知する。これにより、リードチャネル102のAGC回路107−2は、差動増幅器のゲインの自動制御を開始する。
【0113】
従って、ヘッドIC103のAGC回路14のローパスフィルタ18のカットオフ周波数は、図2のリードチャネル回路102のAGC回路107−2のローパスフィルタのカットオフ周波数より低く設定され、且つヘッドIC103のAGC回路14のゲイン乗算器19のフィードバックゲインKは、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のゲイン乗算器のフィードバックゲインより小さく設定される。
【0114】
これにより、ヘッドIC103のAGC回路14のフィードバック応答速度を、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のフィードバック応答速度より遅く設定している。
【0115】
即ち、競合防止のため、ヘッドIC103のAGC回路14のフィードバック応答速度を遅くしているため、起動時やモード切替時に、引き込み時間が遅くなる。これを防止するため、起動時に、フィードバック応答速度を速く設定し、リードチャネル側のゲインを固定にする。そして、AGC回路14の引き込み終了により、フィードバック応答速度(引き込み速度)を遅くする。このため、AGC回路14のフィードバック応答速度を遅くしても、引き込み時間を短縮できる。又、ヘッドの特性によって、引き込み時間が変化することも防止できる。
【0116】
(リード回路の第7の実施の形態)
図9は、本発明のリード回路の第7の実施の形態の回路図、図10は、図9の構成の初期値の測定、設定フロー図、図11は、図9の構成のAGCゲイン調整処理フロー図である。図9において、図1、図2、図3、図4及び図5で示したものと同一のものは、同一の記号で示してあり、ヘッドIC103のAGCアンプ10とヘッド切り替え回路40とメモリ28のみを図示し、リードチャネル102を省略している。尚、リードチャネル102の構成は、図2と同一である。
【0117】
図9に示すように、1つのAGCアンプ10は、複数のリード素子(TuMR素子)126−1a〜126−1nの信号を取り扱う。ヘッド切り替えスイッチ40は、複数のリード素子126−1a〜126−1nと差動増幅器12との接続を、チャネル(ヘッド)選択信号に従って切り替える。
【0118】
AGCアンプ10は、このヘッド切り替えスイッチ40に接続された差動増幅器12と、差動増幅器12のゲインを自動制御するAGC回路14とを有する。AGC回路14は、ゲインエラー検出回路16と、フィードバック制御器(ローパスフィルタ)18と、ゲイン乗算器19と、切り替えスイッチ30と、AGCシーケンサ32とを有する。
【0119】
ゲインエラー検出器16は、差動増幅器12のマイナス側電圧をアナログ・デジタル変換する第1のA/Dコンバータ20と、差動増幅器12のプラス側電圧をアナログ・デジタル変換する第2のA/Dコンバータ21と、両A/Dコンバータ20,21の出力の差をとり、振幅を抽出する第1の演算器22と、振幅の目標値(波形)を格納するメモリ24と、メモリ24の振幅の目標値から第1の演算器22の検出した振幅との差を演算する第2の演算器26とを有する。この差が、ゲインエラーである。
【0120】
フィードバック制御器18は、ローパスフィルタで構成され、ゲインエラー信号の高周波成分をカットし、低周波数のゲインエラー信号に追従するようにループ形成する。ゲイン乗算器19は、ローパスフィルタ18の出力をフィードバックゲインであるK倍し、増幅率を決定し、差動増幅器12のゲインを制御する。このフィードバックゲインKの値が小さいと、フィードバック応答速度が遅く、フィードバックゲインKの値が大きいと、フィードバック応答速度が速い。
【0121】
この実施の形態でも、ヘッドIC103のAGC回路14のローパスフィルタ18のカットオフ周波数は、図2のリードチャネル回路102のAGC回路107−2のローパスフィルタのカットオフ周波数より低く設定し、且つヘッドIC103のAGC回路14のゲイン乗算器19のフィードバックゲインKは、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のゲイン乗算器のフィードバックゲインより小さく設定する。
【0122】
これにより、ヘッドIC103のAGC回路14のフィードバック応答速度を、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のフィードバック応答速度より遅く設定している。
【0123】
又、図1のMCU104に、ヘッド毎のゲイン初期値を格納するメモリ(RAM)28を設ける。一方、ヘッドIC103には、スイッチ30と、ラッチ回路50と、AGCシーケンサ32を設ける。MCU104のMPU104bは、モード切替(リードモード以外からリードモード、又はチャネル選択変更)時に、モード切替を行う前に、メモリ28から、チャネル選択信号(ヘッド選択信号)で指定したゲイン初期値を読み出す。そして、MPU104bは、読み出したゲイン初期値を、ヘッドIC103のラッチ回路50にセットする。
【0124】
AGCシーケンサ32は、MPU104bからのチャネル選択信号により、ヘッド切り替えスイッチ40を操作し、選択されたヘッドのリード素子を、差動増幅器12に接続する。
【0125】
従って、ラッチ回路50にセットされたゲイン初期値が、スイッチ30を介し差動増幅器12にセットされる。AGCシーケンサ32は、前記ゲイン初期値が、作動増幅器12にセットされた後、スイッチ30を、AGC回路14(即ち、ゲイン乗算器19)に切り替える。
【0126】
更に、スイッチ30を介してゲイン乗算器19から差動増幅器12に与えられるゲインは、ラッチ回路50でラッチされる。MPU104bは、モード切替(リードモードからリードモード以外、又はチャネル選択変更)時に、モード切替を行う前に、ラッチ回路50にラッチされたゲイン乗算器19からの設定ゲインを、読み出して、メモリ28に書込み、対応チャネルのゲイン初期値を更新する。
【0127】
工場から出荷前のゲイン測定、格納処理を、図10で説明する。
【0128】
(S20)MCU104のMPU104bは、ヘッド選択信号とリードモードを発行する。但し、MPU104bは、ゲイン初期値が不明であるため、ヘッドIC103のラッチ回路50にゲイン初期値をセットしない。AGCシーケンサ32は、MPU104bからのチャネル選択信号により、ヘッド切り替えスイッチ40を操作し、選択されたヘッドのリード素子を、差動増幅器12に接続し、且つスイッチ30をゲイン乗算器19側に接続する。
【0129】
(S22)MCU104のMPU104bは、AGCアンプ10のAGCシーケンサ32に、自動引き込みモード(短時間のフィードバック)を指示する。この時、図2のリードチャネル回路102のAGC回路107は、ゲインを固定する。これにより、AGC回路14が、引き込み動作を行う。
【0130】
(S24)AGCシーケンサ32は、所定時間経過すると、ゲイン引き込み完了と判定する。この時、引き込んだゲイン値は、ラッチ回路50にラッチされている。
【0131】
(S26)MPU104bは、ラッチ回路50にラッチされたゲイン値を読出し、メモリ28のヘッド選択信号に対応した領域に格納する。この時、メモリ28が、不揮発性メモリでない場合には、読み出したゲイン値を、ディスク117のシステムエリアのヘッド選択信号に対応した領域に、制御情報として、書き込む。一方、メモリ28が、不揮発性メモリである場合には、ディスクへの書込みは、必要ない。そして、全チャネルのゲイン初期値の調整が、完了したかを判定する。完了していない場合には、ステップS22に戻り、ゲイン初期値の調整が完了していないヘッドを選択する。逆に、完了していれば、調整処理を終了する。
【0132】
次に、工場出荷後のAGC動作を、図11で説明する。
【0133】
(S30)パワーオンに応じて、MCU104のMPU104bは、モード切替(リードモード以外からリードモード、又はチャネル選択変更)時に、モード切替を行う前に、メモリ28から、チャネル選択信号(ヘッド選択信号)で指定したゲイン初期値を読み出す。そして、MPU104bは、読み出したゲイン初期値を、ヘッドIC103のラッチ回路50にセットする。尚、ディスク媒体117のシステムエリアにゲイン初期値を格納した場合には、パワーオン時のみ、ディスク媒体117のシステムエリアから全てのヘッドのゲイン初期値を読み出して、メモリ28に格納する。そして、メモリ28からチャネル選択信号(ヘッド選択信号)で指定したゲイン初期値を読み出し、ラッチ回路50にセットする。
【0134】
(S32)MCU104のMPU104bは、AGCアンプ10のAGCシーケンサ32に、自動引き込みモード(短時間のフィードバック)を指示する。この時、図2のリードチャネル回路102のAGC回路107は、ゲインを固定する。これにより、AGC回路14が、引き込み動作を行う。
【0135】
即ち、AGCシーケンサ32は、MPU104bからのチャネル選択信号により、ヘッド切り替えスイッチ40を操作し、選択されたヘッドのリード素子を、差動増幅器12に接続する。従って、ラッチ回路50にセットされたゲイン初期値が、スイッチ30を介し差動増幅器12にセットされる。AGCシーケンサ32は、ゲイン初期値が差動増幅器にセットされた後、スイッチ30を、AGC回路14(即ち、ゲイン乗算器19)に切り替える。更に、スイッチ30を介してゲイン乗算器19から差動増幅器12に与えられるゲインは、ラッチ回路50でラッチされる。
【0136】
(S34)AGCシーケンサ32は、所定時間経過すると、ゲイン引き込み完了と判定する。この時、引き込んだゲイン値は、ラッチ回路50にラッチされている。MPU104bは、AGCシーケンサ32に、遅いフィードバックモードを指示し、リードチャネル102のAGC107を、ゲイン自動モードに切り替える。これにより、前述したように、ヘッドIC103のAGC回路10は、低追従速度で、フィードバックを行う。一方、リードチャネル102のAGC107は、早い追従速度でフィードバックを行う。このため、ヘッドからのリード信号の振幅が一定となる。
【0137】
(S36)MPU104bは、モード切替(リードモードからリードモード以外、又はチャネル選択変更)時に、モード切替を行う前に、ラッチ回路50にラッチされたゲイン乗算器19からの設定ゲインを、読み出して、メモリ28に書込み、対応チャネルのゲイン初期値を更新する。そして、ステップS30〜S34の動作を繰り返す。
【0138】
(S38)MPU104bは、電源オフの命令を受けると、ディスク媒体117のシステムエリアにゲイン初期値を格納する場合には、メモリ28の全チャネルのゲイン初期値を、ディスク117のシステムエリアに書き込む。又、メモリ28が、不揮発性メモリである時は、この書込み動作は必要ない。そして、電源オフとなる。
【0139】
この例でも、競合防止のため、ヘッドIC103のAGC回路14のフィードバック応答速度を遅くしているため、起動時やモード切替時に、引き込み時間が遅くなる。これを防止するため、ゲイン初期値を格納し、起動時やモード切替時に、差動増幅器12に、ゲイン初期値を設定する。このため、AGC回路14のフィードバック応答速度を遅くしても、引き込み時間を短縮できる。
【0140】
これとともに、各ヘッド(リード素子)の特性ばらつきに応じたゲイン初期値を格納し、ヘッド選択とともに、起動時やモード切替時に、差動増幅器12にゲイン初期値を設定する。又、このゲイン初期値を切り替え直前の実際の値に更新し、常に最適なゲイン初期値を格納する。このため、AGC回路14のフィードバック応答速度を遅くしても、ヘッド個々の特性によらず、引き込み時間を短縮できる。更に、ヘッドの特性や温度変化により、引き込み時間が変化することを防止できる。
【0141】
更に、初期値格納メモリを、ヘッドIC103に設ける必要がないため、ヘッドIC103のチップ面積を小さくできる。
【0142】
(リード回路の第8の実施の形態)
図12は、本発明のヘッドICの第8の実施の形態のブロック図であり、ヘッドIC103のAGC回路10のみを示している。図中、図2乃至図7で示したものと同一のものは、同一の記号で示してある。
【0143】
この実施の形態は、図2の構成において、A/Dコンバータを、1つに削減したものである。即ち、AGCアンプ10は、リード素子(TuMR素子)126−1の両端に接続された差動増幅器12と、差動増幅器12のゲインを自動制御するAGC回路14からなる。AGC回路14は、ゲインエラー検出回路16と、フィードバック制御器(ローパスフィルタ)18と、ゲイン乗算器19とを有する。
【0144】
ゲインエラー検出器16は、差動増幅器12のマイナス側電圧とプラス側電圧との差をとる差動信号変換回路(差動アンプ)25と、差動信号変換回路25の出力をアナログ・デジタル変換する第3のA/Dコンバータ27と、振幅の目標値(波形)を格納するメモリ24と、メモリ24の振幅の目標値からA/Dコンバータ27の検出した振幅との差を演算する第2の演算器26とを有する。この差が、ゲインエラーである。
【0145】
フィードバック制御器18は、ローパスフィルタで構成され、ゲインエラー信号の高周波成分をカットし、低周波数のゲインエラー信号に追従するようにループ形成する。ゲイン乗算器19は、ローパスフィルタ18の出力をフィードバックゲインであるK倍し、増幅率を決定し、差動増幅器12のゲインを制御する。このフィードバックゲインKの値が小さいと、フィードバック応答速度が遅く、フィードバックゲインKの値が大きいと、フィードバック応答速度が速い。
【0146】
この例では、A/Dコンバータを1つに削減でき、ヘッドICの回路規模を小さくでき、チップ面積の減少に有効である。この1つのA/Dコンバータを持つAGC回路は、図2の実施の形態のみならず、図3〜図7、図9の実施の形態にも適用できる。
【0147】
尚、このヘッドIC103のAGC回路14のローパスフィルタ18のカットオフ周波数は、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のローパスフィルタのカットオフ周波数より低く設定し、且つヘッドIC103のAGC回路14のゲイン乗算器19のフィードバックゲインKは、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のゲイン乗算器のフィードバックゲインより小さく設定する。
【0148】
図13は、本発明の第9の実施の形態のリード回路のブロック図である。図13において、図2乃至図7で示したものと同一のものは、同一の記号で示してある。この例は、AGC回路をフィードフォワード形としたものである。
【0149】
即ち、図2と同様に、AGCアンプ10は、リード素子(TuMR素子)126−1の両端に接続された差動増幅器12と、差動増幅器12のゲインを自動制御するAGC回路14からなる。AGC回路14は、ゲインエラー検出回路16と、フィードバック制御器(ローパスフィルタ)18と、ゲイン乗算器19とを有する。
【0150】
ゲインエラー検出器16は、差動増幅器12の入力側のマイナス側電圧をアナログ・デジタル変換する第1のA/Dコンバータ20と、差動増幅器12の入力側のプラス側電圧をアナログ・デジタル変換する第2のA/Dコンバータ21と、両A/Dコンバータ20,21の出力の差をとり、振幅を抽出する第1の演算器22と、振幅の目標値(波形)を格納するメモリ24と、メモリ24の振幅の目標値から第1の演算器22の検出した振幅との差を演算する第2の演算器26とを有する。この差が、ゲインエラーである。
【0151】
フィードバック制御器18は、ローパスフィルタで構成され、ゲインエラー信号の高周波成分をカットし、低周波数のゲインエラー信号に追従するようにループ形成する。ゲイン乗算器19は、ローパスフィルタ18の出力をフィードバックゲインであるK倍し、増幅率を決定し、差動増幅器12のゲインを制御する。このフィードバックゲインKの値が小さいと、フィードバック応答速度が遅く、フィードバックゲインKの値が大きいと、フィードバック応答速度が速い。
【0152】
一方、リードチャネル回路102には、差動増幅器107−1と、AGC回路107−2とからなるAGCアンプ107が設けられる。AGC回路107−2の構成は、ヘッドIC103のAGC回路14と同一であり、説明を省略する。
【0153】
このヘッドIC103のAGC回路14のローパスフィルタ18のカットオフ周波数は、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のローパスフィルタのカットオフ周波数より低く設定し、且つヘッドIC103のAGC回路14のゲイン乗算器19のフィードバックゲインKは、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のゲイン乗算器のフィードバックゲインより小さく設定する。
【0154】
これにより、ヘッドIC103のAGC回路14のフィードバック応答速度は、リードチャネル回路102のAGC回路107−2のフィードバック応答速度より遅くなる。
【0155】
又、差動増幅器12の入力側の電圧をモニターし、差動増幅器12のゲインを自動制御するフィードフォワード形AGCで構成しているため、モニターする信号が、後段の回路(ここでは、リードチャネル102)の信号の影響を受けない。このため、モニター振幅は小さいが、ノイズの影響を受けないで、AGC制御できる。
【0156】
このフィードフォワード形AGC回路は、図2の実施の形態のみならず、図3〜図7、図9、図12の実施の形態にも適用できる。
【0157】
(他の実施の形態)
前述の実施の形態では、AGC回路を、図2等の構成で説明したが、アナログ形式のAGC回路や、ピークホールド回路や積分回路を持つAGC回路等の他のAGC回路を適用できる。又、磁気ディスク装置のヘッドのリード回路の例で説明したが、他の媒体記憶装置のリード回路にも適用できる。
【0158】
以上、本発明を、実施の形態で説明したが、本発明は、その趣旨の範囲内で種々の変形が可能であり、これを本発明の範囲から排除するものではない。
【0159】
(付記1)ヘッドの読み取り信号の振幅レベルを調整して、AGCアンプを有するリードチャネルに出力するヘッドICにおいて、前記読み取り信号を設定されたゲインで増幅する差動増幅器と、前記差動増幅器の入力又は出力振幅レベルと基準レベルとの差を取り、所定の引き込み特性に応じて、前記差動増幅器のゲインを自動制御するAGC回路とを有し、前記AGC回路の出力を前記リードチャネルのAGCアンプに入力することを特徴とするヘッドIC。
【0160】
(付記2)前記AGC回路の前記引き込み特性を、前記リードチャネルのAGCアンプの引き込み特性より遅い特性に設定したことを特徴とする付記1のヘッドIC。
【0161】
(付記3)前記AGC回路の引き込み開始時に、前記差動増幅器に、メモリに格納したゲインの初期値を設定するシーケンス回路を設けたことを特徴とする付記1のヘッドIC。
【0162】
(付記4)前記シーケンサ回路は、前記ヘッドの読み取り終了に応じて、前記AGC回路の前記差動増幅器に設定しているゲインで、前記メモリのゲインの初期値を更新することを特徴とする付記3のヘッドIC。
【0163】
(付記5)前記シーケンサ回路は、前記AGC回路の起動時に、前記AGC回路の引き込み特性を速く設定し、且つ前記リードチャネルのAGCアンプのゲインを固定に指示し、前記AGC回路の引き込み終了に応じて、前記AGC回路の引き込み特性を、前記リードチャネルのAGCアンプの引き込み特性より遅い特性に設定することを特徴とする付記2のヘッドIC。
【0164】
(付記6)前記ヘッドの抵抗値に応じて、出力レベルを推定し、前記初期値を計算して、前記メモリに書き込む検出回路を更に設けたことを特徴とする付記3のヘッドIC。
【0165】
(付記7)前記AGC回路は、前記差動増幅器の入力又は出力の振幅レベルと基準レベルと差を演算するゲインエラー演算部と、前記差の出力の高周波成分をカットするローパスフィルタと、前記ローパスフィルタの出力に所定のフィードバックゲインを乗算して、前記差動増幅器のゲインを制御するゲイン乗算器とを有することを特徴とする付記1のヘッドIC。
【0166】
(付記8)ヘッド選択信号に応じて、前記差動増幅器に、複数のヘッドのいずれかを接続するヘッド切り替え部を設け、前記メモリに前記複数のヘッドのゲインの初期値を格納し、前記AGC回路の引き込み開始時に、前記差動増幅器に前記メモリの前記接続されたヘッドに対応するゲインの初期値を設定することを特徴とする付記3のヘッドIC。
【0167】
(付記9)ヘッドの読み取り信号の振幅レベルを調整するリード回路において、前記ヘッドからの読み取り信号の振幅レベルを調整するヘッドICと、前記ヘッドICに接続され、AGCアンプを有するリードチャネルとを有し、前記ヘッドICは、前記読み取り信号を設定されたゲインで増幅する差動増幅器と、前記差動増幅器の入力又は出力振幅レベルと基準レベルとの差を取り、所定の引き込み特性に応じて、前記差動増幅器のゲインを自動制御するAGC回路とを有し、前記AGC回路の出力を、前記リードチャネルのAGCアンプに入力することを特徴とするリード回路。
【0168】
(付記10)前記AGC回路の前記引き込み特性を、前記リードチャネルのAGCアンプの引き込み特性より遅い特性に設定したことを特徴とする付記9のリード回路。
【0169】
(付記11)前記ゲインの初期値を格納するメモリを設け、前記ヘッドICは、前記AGC回路の引き込み開始時に、前記差動増幅器に前記メモリのゲインの初期値を設定するシーケンス回路を有することを特徴とする付記9のリード回路。
【0170】
(付記12)前記シーケンサ回路は、前記ヘッドの読み取り終了に応じて、前記AGC回路の前記差動増幅器に設定しているゲインで、前記メモリのゲインの初期値を更新することを特徴とする付記11のリード回路。
【0171】
(付記13)前記シーケンサ回路は、前記AGC回路の起動時に、前記AGC回路の引き込み特性を速く設定し、且つ前記リードチャネルのAGCアンプのゲインを固定に指示し、前記AGC回路の引き込み終了に応じて、前記AGC回路の引き込み特性を、前記リードチャネルのAGCアンプの引き込み特性より遅い特性に設定することを特徴とする付記9のリード回路。
【0172】
(付記14)前記ヘッドの抵抗値に応じて、出力レベルを推定し、前記初期値を計算して、前記メモリに書き込む検出回路を更に設けたことを特徴とする付記10のリード回路。
【0173】
(付記15)前記ヘッドICの前記AGC回路は、前記差動増幅器の入力又は出力の振幅レベルと基準レベルと差を演算するゲインエラー演算部と、前記差の出力の高周波成分をカットするローパスフィルタと、前記ローパスフィルタの出力に所定のフィードバックゲインを乗算して、前記差動増幅器のゲインを制御するゲイン乗算器とを有することを特徴とする付記9のリード回路。
【0174】
(付記16)ヘッド選択信号に応じて、前記差動増幅器に、複数のヘッドのいずれかを接続するヘッド切り替え部を設け、前記メモリに前記複数のヘッドのゲインの初期値を格納し、前記AGC回路の引き込み開始時に、前記差動増幅器に前記メモリの前記接続されたヘッドに対応するゲインの初期値を設定することを特徴とする付記9のリード回路。
【0175】
(付記17)媒体を読み取るヘッドと、前記ヘッドからの読み取り信号の振幅レベルを調整するヘッドICと、前記ヘッドICに接続され、AGCアンプを有するリードチャネルとを有し、前記ヘッドICは、前記読み取り信号を設定されたゲインで増幅する差動増幅器と、前記差動増幅器の入力又は出力振幅レベルと基準レベルとの差を取り、所定の引き込み特性に応じて、前記差動増幅器のゲインを自動制御するAGC回路とを有し、前記AGC回路の出力を、前記リードチャネルのAGCアンプの入力としたことを特徴とする媒体記憶装置。
【0176】
(付記18)前記AGC回路の前記引き込み特性を、前記リードチャネルのAGCアンプの引き込み特性より遅い特性に設定したことを特徴とする付記17の媒体記憶装置。
【0177】
(付記19)前記ゲインの初期値を格納するメモリを設け、前記ヘッドICは、前記AGC回路の引き込み開始時に、前記差動増幅器に前記メモリのゲインの初期値を設定するシーケンス回路を有することを特徴とする付記17の媒体記憶装置。
【0178】
(付記20)前記シーケンサ回路は、前記ヘッドの読み取り終了に応じて、前記AGC回路の前記差動増幅器に設定しているゲインで、前記メモリのゲインの初期値を更新することを特徴とする付記19の媒体記憶装置。
【0179】
(付記21)前記シーケンサ回路は、前記AGC回路の起動時に、前記AGC回路の引き込み特性を速く設定し、且つ前記リードチャネルのAGCアンプのゲインを固定に指示し、前記AGC回路の引き込み終了に応じて、前記AGC回路の引き込み特性を、前記リードチャネルのAGCアンプの引き込み特性より遅い特性に設定することを特徴とする付記18の媒体記憶装置。
【0180】
(付記22)前記ヘッドの抵抗値に応じて、出力レベルを推定し、前記初期値を計算して、前記メモリに書き込む検出回路を更に設けたことを特徴とする付記17の媒体記憶装置。
【0181】
(付記23)ヘッド選択信号に応じて、前記差動増幅器に、複数のヘッドのいずれかを接続するヘッド切り替え部を設け、前記メモリに前記複数のヘッドのゲインの初期値を格納し、前記AGC回路の引き込み開始時に、前記差動増幅器に前記メモリの前記接続されたヘッドに対応するゲインの初期値を設定することを特徴とする付記19の媒体記憶装置。
【産業上の利用可能性】
【0182】
ヘッドICに、AGCアンプを設けたので、ヘッドIC内で、ヘッドからの振幅が自動調整され、リードチャネルのAGCアンプの入力ダイナミックレンジに入る信号レベル調整ができる。又、2つのAGC回路を同時に動作すると、AGCの競合により発振状態が生じるおそれがあり、AGCの引き込みに多大な時間がかかるが、リードチャネル回路のAGC回路は、比較的早いフィードバック応答速度とし、一方、ヘッドICのAGC回路のフィードバック応答速度は、このリードチャネル回路のAGC回路のフィードバック応答速度より、充分遅く設定しているため、ヘッドICのAGC回路は、リードチャネルのAGC回路の早いAGC動作に影響を与えない。更に、ヘッドIC内で自動レベル調整するため、外部との余分な信号線を必要としない。このため、アクチュエータに搭載するのに、実装上、好適である。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】本発明の媒体記憶装置の一実施形態の構成図である。
【図2】本発明のリード回路の第1の実施の形態の回路図である。
【図3】本発明のリード回路の第2の実施の形態の回路図である。
【図4】本発明のリード回路の第3の実施の形態の回路図である。
【図5】本発明のリード回路の第4の実施の形態の回路図である。
【図6】本発明のリード回路の第5の実施の形態の回路図である。
【図7】本発明のリード回路の第6の実施の形態の回路図である。
【図8】図7のAGC制御シーケンスの説明図である。
【図9】本発明のリード回路の第7の実施の形態の回路図である。
【図10】図9のAGC制御の初期ゲイン測定処理フロー図である。
【図11】図9のAGC制御処理フロー図である。
【図12】本発明のリード回路の第8の実施の形態の回路図である。
【図13】本発明のリード回路の第9の実施の形態の回路図である。
【図14】従来の媒体記憶装置の説明図である。
【図15】従来のリード回路の説明図である。
【符号の説明】
【0184】
10 AGCアンプ
12 差動増幅器
14 AGC回路
16 ゲインエラー検出回路
18 フィードバック制御器
19 ゲイン乗算器
102 リードチャネル
103 ヘッドIC
107 AGCアンプ
126−1 リード素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドの読み取り信号の振幅レベルを調整して、AGCアンプを有するリードチャネルに出力するヘッドICにおいて、
前記読み取り信号を設定されたゲインで増幅する差動増幅器と、
前記差動増幅器の入力又は出力振幅レベルと基準レベルとの差を取り、所定の引き込み特性に応じて、前記差動増幅器のゲインを自動制御するAGC回路とを有し、
前記AGC回路の出力を、前記リードチャネルのAGCアンプの入力とした
ことを特徴とするヘッドIC。
【請求項2】
前記AGC回路の前記引き込み特性を、前記リードチャネルのAGCアンプの引き込み特性より遅い特性に設定した
ことを特徴とする請求項1のヘッドIC。
【請求項3】
前記ゲインの初期値を格納するメモリと、
前記AGC回路の引き込み開始時に、前記差動増幅器に前記メモリのゲインの初期値を設定する回路とを設けた
ことを特徴とする請求項1のヘッドIC。
【請求項4】
前記シーケンサ回路は、前記AGC回路の起動時に、前記AGC回路の引き込み特性を速く設定し、且つ前記リードチャネルのAGCアンプのゲインを固定に指示し、前記AGC回路の引き込み終了に応じて、前記AGC回路の引き込み特性を、前記リードチャネルのAGCアンプの引き込み特性より遅い特性に設定する
ことを特徴とする請求項1のヘッドIC。
【請求項5】
ヘッドの読み取り信号の振幅レベルを調整するリード回路において、
前記ヘッドからの読み取り信号の振幅レベルを調整するヘッドICと、
前記ヘッドICに接続され、AGCアンプを有するリードチャネルとを有し、
前記ヘッドICは、
前記読み取り信号を設定されたゲインで増幅する差動増幅器と、
前記差動増幅器の入力又は出力振幅レベルと基準レベルとの差を取り、所定の引き込み特性に応じて、前記差動増幅器のゲインを自動制御するAGC回路とを有し、
前記AGC回路の出力を、前記リードチャネルのAGCアンプの入力とした
ことを特徴とするリード回路。
【請求項6】
前記AGC回路の前記引き込み特性を、前記リードチャネルのAGCアンプの引き込み特性より遅い特性に設定した
ことを特徴とする請求項5のリード回路。
【請求項7】
媒体を読み取るヘッドと、
前記ヘッドからの読み取り信号の振幅レベルを調整するヘッドICと、
前記ヘッドICに接続され、AGCアンプを有するリードチャネルとを有し、
前記ヘッドICは、
前記読み取り信号を設定されたゲインで増幅する差動増幅器と、
前記差動増幅器の入力又は出力振幅レベルと基準レベルとの差を取り、所定の引き込み特性に応じて、前記差動増幅器のゲインを自動制御するAGC回路とを有し、
前記AGC回路の出力を、前記リードチャネルのAGCアンプの入力とした
ことを特徴とする媒体記憶装置。
【請求項8】
前記AGC回路の前記引き込み特性を、前記リードチャネルのAGCアンプの引き込み特性より遅い特性に設定した
ことを特徴とする請求項7の媒体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−103060(P2008−103060A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236899(P2007−236899)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】