説明

ヘテロ相コポリマーの製造方法及びその使用

第1の溶融流量を有する連続相ポリマーを選び、そして耐衝撃性コポリマーの最終的な溶融流量が第1の溶融流量の2g/10分以内となるようにゴム相ポリマー材料を選ぶことによる耐衝撃性コポリマーの製造方法。そのような方法から製造される耐衝撃性コポリマーならびにそのような耐衝撃性コポリマーから製造されるフィルム及び成形品も含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明の態様は一般的に、フィルム及び成形品を含む最終的使用用途における使用のためのヘテロ相(heterophasic)コポリマー(耐衝撃性コポリマー(impact copolymer)とも呼ばれる)に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
耐衝撃性コポリマーは、優れた衝撃強さ及び向上した靭性のような特別な物理的性質を有する材料を与えることが観察されてきた。
【0003】
しかしながら、耐衝撃性コポリマーの高い曇り度は、これらの材料を用いることができる用途を制限する。耐衝撃性コポリマーは、応力白化する傾向も有する。
【0004】
従って、耐衝撃性コポリマーの物理的性質を保持しながら、低い曇り度及び減少した応力白化のような向上した光学的性質を有する耐衝撃性コポリマーを開発する必要性がある。
【発明の概要】
【0005】
概略
本発明の態様は、向上した透明度を有する耐衝撃性コポリマーの製造方法を含む。方法の1つの態様は一般に、第1の溶融流量を有する連続相ポリマーを選び;そして耐衝撃性コポリマーの最終的な溶融流量が該第1の溶融流量の2g/10分以内となるようにゴム相ポリマー材料を選ぶことにより、耐衝撃性コポリマーを製造することを含む。
【0006】
他の態様は、記載される方法により製造される耐衝撃性コポリマーを含む。さらに別の態様は、記載される方法により製造される耐衝撃性コポリマーから生産されるフィルム及び成形品を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】7C92の原子間力顕微鏡(AFM)像。
【図2】7C93のAFM像。
【図3】7C94のAFM像。
【図4】7C95のAFM像。
【図5】7C97のAFM像。
【図6】7C99のAFM像。
【図7】射出成形されたステップチップの光学的試験の結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な記述
導入及び定義
ここで詳細な記述を示す。添付の請求項のそれぞれは個別の発明を定義し、それは侵害目的で、請求項において定義される種々の要素又は制限への同等事項を含むと認識される。状況により(depending on the context)、下記の「本発明」へのすべての言及は、いくつかの場合にはある特定の態様のみを指すことができる。他の場合、「本発明」への言及は、1つもしくはそれより多くの、しかし必ずしもすべてではない請求項において挙げられる主題を指すことが分かるであろう。ここで本発明のそれぞれを、特定の態様、変形及び実施例を含む下記において、より詳細に記述するが、本発明はこれらの態様、変形又は実施例に制限されず、それらは当該技術分野における通常の熟練者が、本特許中の情報を利用可能な情報及び技術と組み合わせる時に、本発明を製造し且つ使用することを可能にするために含まれるものである。
【0009】
本明細書で用いられる種々の用語を下記に示す。請求項中で用いられる用語が下記に定義されていない場合(to the extent)、それは、印刷公開文献及び発行された特許中に反映される通りに関連技術分野における人間がその用語に与えてきた最も広い定義を与えられるべきである。さらに、他にことわらなければ、本明細書に記載されるすべての化合物は置換されているか又は置換されていないことができ、化合物のリストはその誘導体を含む。
【0010】
本発明の態様は、一般的にヘテロ相ポリマー及びその製造法を含む。本明細書で用いられる場合、「ヘテロ相」という用語は、一般に2つもしくはそれより多い相を有するポリマーを指す。例えば第1相はポリプロピレンのようなホモポリマーあるいはプロピレンとエチレンから生成するランダムコポリマーのようなコポリマーを含むことができる。そのような第1相は本明細書で連続相ポリマーとも呼ばれる。他にことわらなければ、プロピレンホモポリマーという用語は、主にプロピレン及び限られた量の他のコモノマー、例えばエチレンから構成されるポリマーを含み、ここでコモノマーはポリマーの約2重量%より小さい割合(例えばミニランダムコポリマー)又は約0.5重量%より小さい割合又は約0.1重量%より小さい割合を構成する。
【0011】
第2相は一般にゴム相、例えばエチレン−プロピレンゴムを含む。そのような第2相は本明細書でゴム相ポリマー材料とも呼ばれる。ポリマーマトリックス中へのゴム相の導入は、一般に耐衝撃性を向上させる。結局、ヘテロ相ポリマーは耐衝撃性コポリマーとも呼ばれることができる。
【0012】
本明細書で用いられる場合、「二峰(bimodal)」は、明確な低分子量部分と明確な高分子量部分を有する樹脂及び樹脂の製造のための重合法を指す。
【0013】
触媒系
オレフィンモノマーの重合に有用な触媒系には、当該技術分野における熟練者に既知のいずれの触媒系も含まれる。例えば触媒系はメタロセン触媒系、シングルサイト触媒系、Ziegler−Natta触媒系又はそれらの組み合わせを含むことができる。当該技術分野において既知の通り、続く重合のために触媒を活性化することができ、且つ触媒は担持材料を伴うことができるか、又は伴わなくとも良い。下記にそのような触媒系の簡単な議論を含むが、本発明の範囲をそのような触媒に制限することは全く意図されていない。
【0014】
例えばZiegler−Natta触媒系は、一般に金属成分(例えば触媒)と1種もしくはそれより多い追加の成分、例えば触媒担体、助触媒及び/又は1種もしくはそれより多い電子供与体の組み合わせから形成される。
【0015】
メタロセン触媒を一般に、π結合を介して遷移金属と配位した1個もしくはそれより多
いシクロペンタジエニル(Cp)基(それは置換されていることができるか、あるいは置換されていないことができ、各置換は同一又は異なる)が導入された配位化合物として特徴付けることができる。Cp上の置換基は、例えば直鎖状、分枝鎖状又は環状ヒドロカルビル基であることができる。環状ヒドロカルビル基は、さらに例えばインデニル、アズレニル及びフルオレニル基を含む他の連続環構造を形成することができる。これらの連続環構造も、例えばC−C20ヒドロカルビル基のようなヒドロカルビル基により置換されていることができるか、あるいは置換されていなくても良い。
【0016】
重合法
本明細書の他の場所で示す通り、ポリオレフィン組成物の形成に触媒系が用いられる。上記の通り及び/又は当該技術分野における熟練者に既知の通り、触媒系が調製されたら、その組成物を用いて多様な方法を行うことができる。重合法において用いられる装置、プロセス条件、反応物、添加物及び他の材料は、製造されているポリマーの所望の組成及び性質に依存して、与えられる方法の中で変わるであろう。そのような方法には、例えば溶液相、気相、スラリ相、バルク相(bulk phase)、高圧法又はそれらの組み合わせが含まれ得る(引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる米国特許第5,525,678号明細書;米国特許第6,420,580号明細書;米国特許第6,380,328号明細書;米国特許第6,359,072号明細書;米国特許第6,346,586号明細書;米国特許第6,340,730号明細書;米国特許第6,339,134号明細書;米国特許第6,300,436号明細書;米国特許第6,274,684号明細書;米国特許第6,271,323号明細書;米国特許第6,248,845号明細書;米国特許第6,245,868号明細書;米国特許第6,245,705号明細書;米国特許第6,242,545号明細書;米国特許第6,211,105号明細書;米国特許第6,207,606号明細書;米国特許第6,180,735号明細書及び米国特許第6,147,173号明細書を参照されたい。)。
【0017】
ある態様において、上記の方法は一般に1種もしくはそれより多いオレフィンモノマーを重合させてポリマーを形成することを含む。オレフィンモノマーには例えばC−C30オレフィンモノマー又はC−C12オレフィンモノマー(例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテン及びデセン)が含まれ得る。モノマーには例えばエチレン性不飽和モノマー、C−C18ジオレフィン、共役もしくは非共役ジエン、ポリエン、ビニルモノマー及び環状オレフィンが含まれ得る。他のモノマーの制限ではない例には、例えばノルボルネン、ノルボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン及びシクロペンテンが含まれ得る。生成するポリマーには、例えばホモポリマー、コポリマー又はターポリマーが含まれ得る。
【0018】
溶液法の例は米国特許第4,271,060号明細書;米国特許第5,001,205号明細書;米国特許第5,236,998号明細書及び米国特許第5,589,555号明細書に記載されており、それらは引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる。
【0019】
気相重合法の1つの例は、循環ガス流(他に再循環流又は流動化媒体としても既知)を反応器中で重合の熱により加熱する連続循環系を含む。熱は、循環の他の部分で反応器の外部の冷却系により循環ガス流から取り除かれる。1種もしくはそれより多いモノマーを含有する循環ガス流を、反応性条件下で触媒の存在下に、流動床を介して連続的に循環させることができる。循環ガス流は一般に流動床から回収され、反応器中に戻されて再循環される。同時にポリマー生成物を反応器から回収することができ、新しいモノマーを加えて重合したモノマーと置き換えることができる。気相法における反応器圧は、例えば約100psig〜約500psig又は約200psig〜約400psig又は約250psig〜約350psigで変わることができる。気相法における反応器温度は、例えば約30℃〜約120℃又は約60℃〜約115℃又は約70℃〜約110℃又は約70℃〜約95℃で変わることができる(例えば引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる米国特許第4,543,399号明細書;米国特許第4,588,790号明細書;米国特許第5,028,670号明細書;米国特許第5,317,036号明細書;米国特許第5,352,749号明細書;米国特許第5,405,922号明細書;米国特許第5,436,304号明細書;米国特許第5,456,471号明細書;米国特許第5,462,999号明細書;米国特許第5,616,661号明細書;米国特許第5,627,242号明細書;米国特許第5,665,818号明細書;米国特許第5,677,375号明細書及び米国特許第5,668,228号明細書を参照されたい。)。
【0020】
スラリ相法は一般に、液体重合媒体中の固体の粒子状ポリマーの懸濁液を形成し、それにモノマー及び場合により水素を触媒と一緒に加えることを含む。懸濁液(希釈剤を含むことができる)を断続的又は連続的に反応器から取り出すことができ、ここで揮発性成分をポリマーから分離して、場合により蒸留後に反応器に再循環させることができる。重合媒体中で用いられる液化希釈剤は、例えばC−Cアルカン(例えばヘキサン又はイソブタン)を含むことができる。用いられる媒体は一般に重合の条件下で液体であり、比較的不活性である。バルク(bulk)相法は、液体媒体がバルク相法では反応物(例えばモノマー)でもあることを除いて、スラリ法のそれと類似である。しかしながら、方法は例えばバルク法、スラリ法又はバルクスラリ法であることができる。
【0021】
特別な態様において、スラリ法又はバルク法を1つもしくはそれより多いループ反応器において連続的に行うことができる。スラリ又は乾燥流動性粉末としての触媒を反応器ループに規則的に注入することができ、反応器ループ自身は例えば希釈剤中で成長するポリマー粒子の循環スラリで満たされていることができる。場合により、得られるポリマーの分子量制御のためのような水素をプロセスに加えることができる。ループ反応器を、例えば約27バール〜約50バール又は約35バール〜約45バールの圧力ならびに約38℃〜約121℃の温度に保持することができる。当該技術分野における熟練者に既知のいずれかの方法を介して、例えば二重−ジャケット管(double−jacketed pipe)又は熱交換器を介し、ループ壁を通って反応熱を除去することができる。あるいはまた、例えば直列、並列もしくはそれらの組み合わせにおける撹拌反応器のような他の型の重合法を用いることができる。
【0022】
1つもしくはそれより多い態様において、当該技術分野における熟練者に既知の方法により、例えば機械的配合もしくは共重合を介して、ポリマーマトリックス中にゴム画分を導入することにより、耐衝撃性コポリマーが形成される。共重合法は少なくとも2段階を含むことができ、ここでプロピレンホモポリマーが第1の反応区画において製造され、その生成物がコモノマー及び追加のプロピレンモノマーとの接触のために第2の反応区画に移される。
【0023】
本発明の態様は一般に、プロピレンホモポリマーをエチレン及び追加のプロピレンモノマーと接触させ、2重量%より多いか、又は4重量%より多いか、又は8重量%より多いか、又は10重量%より多いか、又は12重量%より多いか、又は14重量%より多いエチレン;あるいは2重量%〜14重量%又は4重量%〜12重量%又は8重量%〜10重量%のエチレンを有する得られるポリマーを形成することを含む。
【0024】
ゴムのエチレン含有率であり、さらに下記に記載されるR比は、エチレン対プロピレンの比である。プロピレン性の向上はR比の低下により達成され、それはヘテロ相ポリマー製造法の第2の反応器におけるエチレン対プロピレンの比を変えることにより、達成され
る。下記でさらに定義されるゴムの極限粘度数を変えることは、水素含有率を向上させることにより達成され、それは第2の反応器における連鎖を停止させる。
【0025】
ポリマー生成物
反応器から取り出したら、例えば添加物の添加及び/又は押出しのようなさらなる処理のために、ポリマーをポリマー回収系に通過させることができる。
【0026】
本明細書に記載される態様において、本明細書でヘテロ相コポリマーとも呼ばれることができるポリマーは、プロピレンに基づく。本明細書で用いられる場合、「プロピレンに基づく」という用語は、少なくとも約80重量%、又は少なくとも約85重量%、又は少なくとも約90重量%のポリプロピレンを有するポリマーを指す。
【0027】
1つの態様において、ポリプロピレンに基づくポリマーは一般に0.5g/10分〜20g/10分又は4g/10分〜15g/10分又は6g/10分〜13g/10分又は8g/10分〜11g/10分の溶融流量を有する。
【0028】
1つの態様において、耐衝撃性コポリマーは一般に0.5g/10分〜10g/10分又は4g/10分〜8g/10分又は5g/10分〜7.5g/10分の溶融流量を有する。
【0029】
上記の耐衝撃性コポリマーは、1つの態様においてポリプロピレンに基づくホモポリマーを含むことができる第1相ならびにエチレン−プロピレンゴムのようなゴム相を含むことができる第2相を有する。1つの態様において、ゴム相の極限粘度数は1.0dl/g〜3.0dl/g又は1.4dl/g〜2.4dl/g又は1.8dl/g〜2.2dl/g又は1.9dl/g〜2.0dl/gであることができる。1つの態様において、連続相ポリマーの粘度は1.0dl/g〜3.0dl/g又は1.4dl/g〜2.4dl/g又は1.8dl/g〜2.2dl/g又は1.9dl/g〜2.0dl/gであることができる。1つの態様において、ゴム相の粘度は1.0dl/g〜3.0dl/g又は1.4dl/g〜2.4dl/g又は1.8dl/g〜2.2dl/g又は1.9dl/g〜2.0dl/gであることができる。
【0030】
1つの態様において、耐衝撃性コポリマーのエチレン含有率は5重量%〜15重量%又は7重量%〜14重量%又は8重量%〜12重量%又は9重量%〜11重量%であることができる。
【0031】
1つの態様において、R比は0.25〜0.50又は0.30〜0.45又は0.32〜0.41であることができる。
【0032】
1つの態様において、耐衝撃性コポリマーは、DSCにより測定される135℃〜170℃又は140℃〜165℃又は145℃〜160℃の融点を有することができる。
【0033】
1つの態様において、耐衝撃性コポリマーは15重量%〜25重量%又は16重量%〜20重量%又は17重量%〜18.5重量%のキシレン可溶性画分を有することができる。
【0034】
1つの態様において、耐衝撃性コポリマーは10重量%〜25重量%又は15重量%〜20重量%又は16重量%〜17重量%のアセトン不溶性画分を有することができる。
【0035】
1つの態様において、耐衝撃性コポリマーは25,000〜80,000又は35,000〜75,000又は40,000〜55,000のMnを有することができる。1つ
の態様において、耐衝撃性コポリマーは150,000〜450,000又は225,000〜350,000又は275,000〜325,000のMwを有することができる。1つの態様において、耐衝撃性コポリマーは450,000〜1,500,000又は600,000〜1,250,000又は700,000〜1,000,000のMzを有することができる。
【0036】
1つの態様において、エチレン−プロピレンゴム相は、NMRによる30重量%〜50重量%又は35重量%〜45重量%又は40重量%〜45重量%のXSAI(キシレン可溶物…アセトン不溶物)中の%Etを有することができる。1つの態様において、エチレン−プロピレンゴム相は、NMRによる7重量%〜15重量%又は8重量%〜12重量%又は9重量%〜11重量%のペレット中の%Etを有することができる。
【0037】
1つの態様において、耐衝撃性コポリマーの第1相はランダムコポリマーであることができる。プロピレンとコモノマーのような2種のモノマーを第1反応器中に導入し、ホモポリマーではなくてランダムコポリマーを形成することができる。典型的には、コモノマーレベルは0.1重量%〜4重量%である。好ましいコモノマーはエチレンである。
【0038】
1つの態様において、最終的な組成物中に添加物も含まれることができる。核剤には当該技術分野における熟練者に既知のいずれの核剤も含まれ得る。例えば、核剤の制限ではない例には、安息香酸ナトリウムを含むカルボン酸塩、タルク、ホスフェート、金属性−ケイ酸塩水和物、ジベンジリデンソルビトールの有機誘導体、ソルビトールアセタール、有機ホスフェート塩及びそれらの組み合わせが含まれ得る。1つの態様において、核剤は、Amfine Chemicalから商業的に入手可能なAmfine Na−11及びNa−21、Milliken Chemicalから商業的に入手可能なMilliken HPN−68及びMillad 3988から選ばれる。
【0039】
1つの態様において、例えば重量によりポリマーの約0〜約3000ppm又は約5ppm〜約1000ppm又は約10ppm〜約500ppmの濃度で核剤を用いることができる。
【0040】
当該技術分野における熟練者に既知のいずれかの方法により、添加物をポリマーに接触させることができる。例えば押出しの前に(重合プロセス内に)、あるいは押出し機内で添加物をポリマーに接触させることができる。1つの態様において、添加物を独立してポリマーに接触させる。他の態様において、ポリマーに接触させる前に添加物を互いと接触させる。1つの態様において、接触は、例えば機械的配合のような配合を含む。
【0041】
生成物用途
ポリマー及びそのブレンドは、成形作業(例えばフィルム、シート、パイプ及び繊維押出し及び共押出し(co−extrusion)ならびに吹込成形、射出成形及び回転式成形)のような当該技術分野における熟練者に既知の用途において有用である。フィルムには、例えば食品と接触する及び食品と接触しない収縮フィルム、クリングフィルム(cling film)、延伸フィルム、封止フィルム(sealing film)、延伸フィルム(oriented film)、スナック包装、重包装袋、食料品袋、焼かれた食品及び冷凍食品の包装、医療用包装、工業用ライナー(industrial liner)及び膜として有用な共押出し又は積層により成形される吹込フィルム又はキャストフィルムが含まれる。繊維には、例えばフィルター、おむつ布帛、医療用被服(medical garments)及びジオテキスタイルの製造のために織られた形態で、又は不織形態で用いるための溶融紡糸、溶液紡糸(solution spinning)及び溶融吹込(melt blown)繊維作業が含まれる。押出し製品には、例えば医療用チューブ、ワイア及びケーブルコーティング、ジオメンブレン及びポンドライ
ナー(pond liner)が含まれる。成形品には、例えばビン、タンク、大中空製品、硬質食品容器及びおもちゃの形態における単層及び多層構造が含まれる。
【0042】
特に、ポリマーはキャストフィルム用途に有用である。キャストフィルム法の1つの例において、ポリマーはフラットダイ面から押出され、急速に冷却され(典型的にはチルロール上で)、0.4ミル〜15ミルの範囲であることができる厚さを有するフィルムを形成する。
【0043】
さらに、ポリマーは射出成形部品及び射出延伸吹込成形(ISBM)に有用である。射出成形法の1つの例において、材料はスクリュー中で機械的及び熱的に加熱され、密閉キャビティー中に押し込まれて(driven)完成部品を形成する。ISBM法の1つの例において、射出成形法で中空部品(予備成形物として既知)が形成される。部品は続いて加熱されて延伸され、空気を吹き込まれ、予備成形物より薄い壁厚を有する中空部品を形成する。
【0044】
1つの態様において、製造されるフィルムは5%〜85%又は6%〜60%又は25%〜55%の曇り度(haze properties)を有することができる。1つの態様において、製造されるフィルムは5%〜65%又は7.5%〜25%又は9%〜12%の45°における光沢度を有することができる。
【0045】
1つの態様において、製造されるフィルムは、AFMを用いて測定される0.50μm〜4.0μm又は0.7μm〜3.5μm又は1.0〜2.7μm又は1.5μm〜2.1μmの平均粒度を有することができる。
【0046】
1つの態様において、製造されるフィルムは55kpsi〜110kpsi又は70kpsi〜95kpsi又は80kpsi〜90kpsiの1%割線モジュラスを有することができる。1つの態様において、製造されるフィルムは2000psi〜4000psi又は2400psi〜3000psi又は2500psi〜2800psiの降伏点引張強さを有することができる。1つの態様において、製造されるフィルムは7.5%〜15%又は8%〜12%又は9%〜11%の降伏点伸びを有することができる。
【0047】
1つの態様において、製造されるフィルムは300g〜1200g超、又は300g〜600g又は400g〜500gの落槍(dart drop)を有することができる。1つの態様において、製造されるフィルムは150g〜250g又は160g〜200g又は175g〜190gの機械方向におけるエルメンドルフ引裂強さを有することができる。1つの態様において、製造されるフィルムは1.5in−lbs〜2.5in−lbs又は1.7in−lbs〜2.2in−lbs又は1.8in−lbs〜2.0in−lbsのフィルム破壊(film puncture)を有することができる。
【0048】
1つの態様において、製造される射出成形品は、0.02インチの試料厚さにおいて20%〜95%又は30%〜80%又は40%〜70%の曇り度を有することができる。様々な厚さにおける射出成形品の曇り度の追加の例を図7に示す。
【0049】
1つの態様において、製造される射出成形品は90kpsi〜250kpsi又は150kpsi〜200kpsi又は175kpsi〜190kpsiの曲げ弾性率を有することができる。1つの態様において、製造される射出成形品は100kpsi〜250kpsi又は150kpsi〜200kpsi又は170kpsi〜190kpsiの引張弾性率を有することができる。1つの態様において、製造される射出成形品は2500psi〜4500psi又は3000psi〜4000psi又は3500psi〜3800psiの降伏点引張強さを有することができる。1つの態様において、製造される射出
成形品は1500psi〜3000psi又は1700psi〜2500psi又は1800psi〜2300psiの破断点引張強さを有することができる。
【0050】
1つの態様において、製造される射出成形品は5%〜15%又は6%〜11%又は7%〜9%の降伏点伸びを有することができる。1つの態様において、製造される射出成形品は150°F〜200°F又は170°F〜190°Fのアニール熱変形(annealed heat distortion)を有することができる。
【0051】
1つの態様において、製造されるISBM製品は10%〜90%又は20%〜80%又は50%〜70%の曇り度を有することができる。1つの態様において、製造されるISBM製品は10%〜65%又は15%〜60%又は20%〜50%の45°における光沢度を有することができる。
【0052】
1つの態様において、製造されるISBM製品は50N〜110N又は75N〜100N又は90N〜100Nの、0.5インチの撓みにおける荷重を用いるバンパ圧縮(a bumper compression with a load at 0.5 in
deflection)を有することができる。1つの態様において、製造されるISBM製品は70N〜140N又は90N〜120N又は100N〜110Nの天井荷重(top load)を有することができる。
【実施例】
【0053】
ポリマー及び得られる末端用途製品の評価において、以下の試験法を用いた。曇り度:ASTM D1003;光沢度:ASTM D−2457−70;落槍:ASTM D1709;エルメンドルフ引裂強さ:ASTM D−1922−89;破壊抵抗:3.17mm直径のチップを用いて20インチ/分の速度で2ミルのフィルムを破壊するための単位面積当たりの力;ゴム粒度:原子間力顕微鏡(AFM);溶融流量:ASTM D1238;示差走査熱量測定(DSC):10℃/分の昇温率(ramp rate)において行われるASTM D3417;極限粘度数:ASTM D5225により測定し、下記の式により計算した;キシレン可溶物:ASTM D5492;アセトン不溶物:アセトン中で沈殿するキシレン可溶物の重量分率として計算した。
【0054】
Basellから入手可能な標準的なZiegler−Natta触媒を用い、下記(表2)の特性を有する6つの試料材料を製造した。7C92は、キャストフィルム用途を目的とする7 MFR ICPである。7C93及び7C94は、漸進的に低くなるゴム極限粘度数(IV)を示す。7C97の場合、IVは標準と類似であるが、R比(エチレン対プロピレンの比)がIVゴムのプロピレン性を増すように調節された。7C95は標準と類似のゴム組成を有するが、ホモポリマー層の複頂組成を有する。最後に、7C99はエチレン−プロピレンゴム(EPR)中のプロピレン含有率がより高く、連続相中のエチレンのレベルが4重量%で、より低い。ランダムコポリマー連続相の存在は、この材料をランダムヘテロ相コポリマー(RaHeCo)としている。
【0055】
上記のパラメーターに従って試料を製造した。ペレットを調べて、実験樹脂の組成を確かめた。結果を下記の表1に示す。試料は、試験目的のために妥当な類似のMFRを有する。R比に関し、試料のキシレン可溶性/アセトン不溶性(XSAI)部分についてのNMRデータは、目標とされるR比への妥当な相関性を示す。XSAIのパーセントに基づくゴム含有率は試料においてわずかに異なり、ほとんどの試料の場合に約15%〜17%の範囲であった。例外は7C99試料であり、それは他の材料よりずっと高いXSAI(20%)を示した。XSAI画分のGPCから計算されるゴムの算出極限粘度数は、目標とされるゴムIVに類似の傾向を示す。算出極限粘度数は、次式、[η]=−0.1436+0.0015(Mw)0.595を用いて計算され、ここで[η]は極限粘度数であ
り、Mwは重量平均分子量である。当該技術分野における通常の熟練者は、線状ポリマーの場合、log[η]とlog[Mw]の間に直接関係(direct relationship)があることを理解するであろう。
【0056】
【表1】

【0057】
1.25インチWelex押出し機及び3ロールスタック(3 roll stack)から成るミニ−シートライン(mini−sheet line)を用い、試料を用いて2ミルのキャストフィルムを製造した。以下の整定値を用いた:区画1 400°F、区画2−420°F、区画3−450°F、ダイ1−470°F、ダイ2−470°F。ダイギャップを20ミルに設定した。押出し機RPM及び巻取りを、20ミルフィルムが得られるように調節した。フィルム試料を、標準的な試験法に従って光学的性質(optics)及び物理的性質に関して調べた。フィルム試料の他に、射出成形部品及びISBMビンを、下記の通りに材料のいくつかから製造した。
【0058】
2ミルフィルムからの結果を表2にまとめる。光学的測定から、曇り度はゴムのIVにより最も影響を受け、より低いIVが有意により低い曇り度を生じた。R比の調整を用いて、類似の効果が見られる。興味深いことに、連続相の目標MFRは、7C94の場合に生成物おける最終的なMFRと一致し(下記の表7)、それが今度は最低の曇り度を生じたことが注目される。これは、選ばれるIVにおいて、ゴムが最終的に粘度に最小の効果を有することを示唆しており、2つの成分の粘度の一致を暗示している。
【0059】
7C95における複頂マトリックスの使用は、フィルムの光学的性質に明らかな影響を持たなかった。試料7C97はわずかにより低い曇り度を示し、EPRのプロピレン含有率の増加は光学的性質を向上させるが、効果はゴムIVの調整ほど有意ではないことを示唆している。7C97と同様に、ランダムヘテロ相コポリマー(RaHeCo)である7C99の場合、曇り度はわずかにより低いが、この場合も効果はゴムIVの調整ほど有意ではない。
【0060】
曇り度の向上の源をもっと理解するために、AFMを用いてそれぞれの試料を評価し、EPRの相対的な粒度を査定した。結果は、平均粒度との比較的高い相関性を示し、より大きい平均粒度はより高い曇り度を生じた。図1−6は、AFM画像法を用いるポリマー試料中のEPRの粒度を示す。
【0061】
【表2】

【0062】
続いてフィルム試料を物理的性質に関して評価し、得られるフィルムへの組成変化の効果を決定した(表3)。フィルムの剛性に関し、7C92、7C93、7C95及び7C97に関する割線モジュラスの結果は、試験の実験誤差の範囲内で同じであると考えられる。7C94フィルムはわずかにより高い剛性を示し、7C99は有意により低い剛性を示す。
【0063】
落槍及び破壊抵抗は、フィルムの重要な性質を表わす。典型的には、耐衝撃性コポリマーの使用は、より高いフィルム靭性を与えるためであり、それはこれらの2つの試験値により示される。結果は、7C92、7C93及び7C94に関する落槍値における類似を示す。7C95に関してはより低い落槍値が見出され、7C97及び7C99に関してはより高い値が見出される。試料において、XSAIにより測定されるゴム含有率が異なり、差の一部を説明し得ることに注目しなければならない。しかしながら、7C94と7C92の間でゴム含有率は非常に小さく異なり、落槍値もそうであり、7C94におけるより小さいEPR粒度はこのフィルムの性質に負に影響しなかったことを示唆している。7C97の場合、より高い落槍値がこの特定の試料のより高いゴム含有率と関連し得ると思われ、従って落槍反応(dart response)へのR比の影響を説明するのは困難である。複頂試料である7C95における結果は、マトリックス組成が落槍性(dart property)において有意な役割を果たすことを示唆している。落槍値は、おそらく連続(又は第1)相のランダムコポリマー性の故に、7C99の場合に例外的に高かった。
【0064】
【表3】

【0065】
材料の比較性能をさらに評価するために、試料を射出成形し、光学的測定のためにステップチップ、インストロン測定のために犬骨(dogbones)及び機器衝撃(instrumented impact)試験のために円板を形成した。試料7C95は、前の試験における目立たない結果の故に、続く試験に含まれなかった。しかしながら、最高の光学的性能を示した7C94中に2000ppmの装填量でMillad 3988を導入することにより、追加の試料を調製した。ASTM D4101に従って試料を成形した;ASTM D638に従って犬骨への引張試験を行い、ASTM D790に従って曲げ弾性率試験(flex modulus)を行った。
【0066】
ステップチップについての曇り度試験の結果を図7に示す。曇り度レベルが90%を超えたら、それより厚いステップについての曇り度は調べなかったことに注意されたい。フィルム試料を用いた場合と同様に、最初の試料の中で7C94の場合に最低の曇り度が見出された。Millad 3988の導入は、曇り度におけるわずかな向上を生じた。キャストフィルムについての結果と類似して、射出成形試料は、ゴムIVがより低くなるとともに(with progressively lower rubber IV)光学的性質における向上を示した。
【0067】
射出成形試料の物理的試験の結果を表4に示す。一般に、材料の物理的性質は、7C99及びMilladを含有する7C94を除いて類似である。ランダムヘテロ相コポリマーである7C99は、他の試料より低い弾性率、引張強さ及び熱変形温度を示す。Milladを含有する試料は、より高い弾性率、引張強さ及び熱変形温度を示す。結果は、室温の性質に関し、R比及びゴムIVの点での材料の改変が物理的性質を有意に変えないことを示唆している。かくして光学的性質の向上は、物理的性質への高い代価に至らない。
【0068】
【表4】

【0069】
機器衝撃を用い、試料を3つの異なる温度で評価した(表5)。72°F及び32°Fに関して、試料に関する結果は類似であった。一般に、標準試料である7C92はわずかにより良い衝撃性を示した。実験試料のすべてに関するより低い合計エネルギー値により示される通り、より低いゴムIVを有する試料において、靭性の損失があったが、最高の光学的性質を有する試料である7C94の場合、性質の損失はわずかに約15%であった。しかしながら、−4°Fにおいて、7C94は極めて劣った耐衝撃性を示す。結果は、ゴムIVの低下は周囲温度において材料の耐衝撃性に最小の効果を有するが、材料のガラス転移温度より低温で、耐衝撃性が損なわれることを示唆している。
【0070】
【表5】

【0071】
これらの材料についての最後の研究として、Netstal射出成形機上で、23gの予備成形金型を用い、それぞれの樹脂を用いて予備成形物を成形した。予備成形物を室温で少なくとも24時間状態調整してから、それらをADS G62線形射出延伸吹込み成形機(ISBM)上で延伸−吹込み成形してビンにした。予備成形物を光学的性質、天井荷重強さ(top load strength)、バンパ圧縮(bumper compression)及び落下試験性能に関して調べた(表6)。天井荷重試験及びバンパ圧縮は、それぞれ垂直及び水平配置におけるビンの圧縮試験に相当する。落下試験は、40°Fにおいて状態調整され、6フィートの高さからビンの底及び側面を下にして(on)落とされる充填されたビンについて行われる。
【0072】
光学的測定に関し(ビンの側壁において行われる)、ISBMを用いた結果はフィルム及び射出成形部品における観察と一致した。ゴムIVの低下は、透明度における最高の向上を生じた。より低いR比を有する試料である7C97及びRaHeCo試料である7C99は、両方とも透明度におけるいくらかの向上を示した。ビンのバンパ圧縮及び天井荷重試験は、より低いゴムIVの試料に関して剛性の小さい低下を示す。落下試験性能試験(drop test performance testing)において、標準である7C92は実質的に比較的劣った性能であり、他の試料はより良い性能であった。結局、ICP組成に成された改変は、ビンの落下試験性能に負に影響したと思われなかった。
【0073】
【表6】

【0074】
同じ材料を用いる試料(2ミルフィルム)を、1.25インチのWelex押出し機及び8インチのコートハンガーダイが備えられた小さいパイロットスケールキャストライン上に流し込んだ。380°Fの2区画ダイ熱(two zone die heat)を用い、区画1、2及び3のためにそれぞれ350、360及び370°Fのバレル熱を用いた。3−ロールスタック上で60°Fのキャストロール温度を用いた。試料の性質を表7に示す。
【0075】
【表7】

【0076】
集められたフィルムを、ASTM D1003の手順「A」と一致する方法を用い、BYK Gardner Hazegard Plus Systemを用いて曇り度に関して評価した。光沢度を、ASTM D−2457−70に基づく方法に従い、BYK Gardner マイクロ−グロス光沢度計(micro−gross glossmeter)を用いて評価した。物理的性質を、機械方向に切断されたフィルムの1インチのストリップについて測定した。試験はInstronモデル1122上で行われた。落槍及びエルメンドルフ引裂試験は、それぞれASTM D1709及びASTM D1922−89に従って調べられた。破壊抵抗は、Instronを用い、3.17mmの直径のチップ及び20インチ/分のラン速度(run speed)を用いて2ミルのキャストフィルムについて測定された。試験からの結果を表8に示す。
【0077】
【表8】

【0078】
結果が他の試料形態に移される(translate)ことを確かめるために、それぞれの材料を用いてステップチップを射出成形し、適宜それぞれのステップについて曇り度を測定した。結果を表9に示す。射出成形は、Axxiconにより設計されたステップチップ金型が備えられたToshiba ISE 170油圧射出成形機上で行われた。
【0079】
【表9】

【0080】
実験は、耐衝撃性コポリマー系におけるゴムIVの低下、R比の低下、複頂連続相の使用及びランダムコポリマー連続相の使用の効果を調べた。フィルム、射出成形部品及びISBMビンは、樹脂性能において類似の傾向を示した。より低いR比(7C95)及びRaHeCo(7C99)試料により示される通り、より化学的に類似の相を作ることにより、光学的性質における小さい向上が起こった。しかしながら、光学的性質における最も顕著な向上は、ゴムIVの低下を用いて見られる。最大の向上は、2つの相が粘度において大体一致する時に見出された。ゴムIVの低下は、−4°Fにおける耐衝撃性を有意に損なう。しかしながら、周囲温度及び周囲温度以下(射出成形部品の場合32°F及びISBMビンの場合40°F)においてさえ、より低いゴムIVを有する材料に関する衝撃強さ(機器衝撃及び落下試験)における有意な損失はなかった。結果は、単にゴムのIVを低下させることにより、耐衝撃性コポリマーの光学的性質を有意に向上させることができることを示唆している。これは樹脂の剛性を向上させ、衝撃強さをわずかに低下させるが、変化は極度に低い温度における場合を除いて小さい。
【0081】
より低いIVを用いてフィルムの透明度を向上させるように、上記と類似の方法を用いて、吹込みフィルムのためのMFRがより低いヘテロ相ポリマーを製造した。結果を2ミルフィルムに関して下記の表10に示す。この場合、ゴムのIVを標準における2.4dl/gから1.9dl/g及び1.5dl/gに低下させた。試料を用いて2ミルの厚さの吹込みフィルムを製造した。曇り度は、ゴムIVがより低くなるとともに試料において漸進的に低下し、この場合も材料の透明度の向上におけるより低いゴムIVの効果を示している。
【0082】
【表10】

【0083】
種々の態様を示し、且つ記載してきたが、開示の精神及び記載内容(teaching)から逸脱することなく、当該技術分野における熟練者はその修正を成し得る。本明細書に記載される態様は単に例であり、制限であることを意図していない。本明細書に開示される態様の多くの変形及び修正が可能であり、開示の範囲内である。数の範囲又は限界が明白に述べられている場合、そのような明白な範囲又は限界は、明白に述べられている範囲又は限界内に含まれる類似の大きさの繰り返される範囲又は限界を含むと理解されるべきである(例えば約1〜約10は2、3、4などを含み;0.10より大きいは0.11、0.12、0.13などを含む)。請求項のいずれかの要素に関する「場合により」という用語の使用は、かかる要素(subject element)が必要であるか、あるいはまた必要でないことを意味することが意図されている。選択されるべき2つの両方が請求項の範囲内であることが意図されている。含んでなる、含む、有するなどのような比較的広範囲の用語の使用は、より成る、本質的により成る、実質的により構成されるなどのような比較的狭い範囲の用語に関する支持(support)を与えると理解されるべきである。
【0084】
従って、保護の範囲は上記に示された記述により制限されず、続く請求項によってのみ制限され、その範囲は請求項の主題のすべての同等事項を含む。それぞれの、及びすべての請求項は、本開示の態様として明細書の内容となる。かくして請求項はさらなる説明であり、本明細書で開示される態様への追加である。本明細書中の引用文献、特に本出願の優先日後の公告日を有し得る引用文献の議論は、それが本開示に対する先行技術であることの承認ではない。本明細書で引用されるすべての特許、特許出願及び公開文献の開示は、それらが本明細書に示される詳細への補足となる例としての、方法的な、又は他の詳細を与える程度まで、引用することによりそれらの記載事項が本明細書の内容となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐衝撃性コポリマーの製造方法であって:
a.第1の溶融流量を有する連続相ポリマーを選び;そして
b.耐衝撃性コポリマーの最終的な溶融流量が該第1の溶融流量の2g/10分以内となるようにゴム相ポリマー材料を選ぶ
ことを含んでなる方法。
【請求項2】
該ゴム相ポリマー材料が該連続相ポリマーの粘度と同じか又はそれより低い粘度を有する請求項1の方法。
【請求項3】
該ゴム相ポリマー材料が1.4dl/g〜2.4dl/gの極限粘度数を有する請求項1の方法。
【請求項4】
該ゴム相ポリマー材料が耐衝撃性コポリマー内に均一に分布する請求項1の方法。
【請求項5】
該耐衝撃性コポリマーが0.7〜2.7μmのゴム相粒度を有する請求項4の方法。
【請求項6】
該耐衝撃性コポリマーが0.25〜5.0のR比を有する請求項1の方法。
【請求項7】
該連続相ポリマーがプロピレンを含む請求項1の方法。
【請求項8】
該連続相ポリマーがランダムエチレン−プロピレンコポリマーを含む請求項7の方法。
【請求項9】
該ゴム相ポリマー材料がエチレン−プロピレンゴムを含む請求項1の方法。
【請求項10】
該第1の溶融流量が0.5〜20g/10分である請求項1の方法。
【請求項11】
該第1の溶融流量が6〜8g/10分である請求項10の方法。
【請求項12】
該最終的な溶融流量が0.5〜20g/10分である請求項1の方法。
【請求項13】
該最終的な溶融流量が4〜10g/10分である請求項12の方法。
【請求項14】
請求項1の方法により製造される耐衝撃性コポリマー。
【請求項15】
該耐衝撃性コポリマーが6重量%〜15重量%のエチレン含有率を有する請求項14の耐衝撃性コポリマー。
【請求項16】
該耐衝撃性コポリマーが4〜10g/10分の最終的な溶融流量及び6〜8g/10分の第1の溶融流量を有する請求項15の耐衝撃性コポリマー。
【請求項17】
該ゴム相ポリマー材料が1dl/g〜2dl/gの極限粘度数を有する請求項15の耐衝撃性コポリマー。
【請求項18】
該耐衝撃性コポリマーが0.30〜0.45のR比を有する請求項15の耐衝撃性コポリマー。
【請求項19】
該請求項14の耐衝撃性コポリマーから製造されるフィルム。
【請求項20】
5〜8%の、2ミル厚さの試料の曇り度の値を有する請求項19のフィルム。
【請求項21】
50〜70%の、2ミル厚さの試料の45°における光沢度の値を有する請求項19のフィルム。
【請求項22】
該請求項14の耐衝撃性コポリマーから製造される成形品。
【請求項23】
連続相及びゴム相を含んでなり、0.5g/10分〜20g/10分の溶融流量;6〜15重量%のエチレン含有率;0.25〜0.50のR比を有し;ゴム相は1.4dl/g〜2.4dl/gの極限粘度を有し;そして耐衝撃性コポリマーは5〜8%の曇り度及び50〜70%の45°における光沢度を有する2ミル厚さのフィルムを形成する耐衝撃性コポリマー。

【図7】
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【図1−6】
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【公表番号】特表2012−522073(P2012−522073A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502223(P2012−502223)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/028579
【国際公開番号】WO2010/111445
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】