説明

ヘルメットのヘッドバンドのサイズ調整装置

【課題】ヘルメットを着用した状態でヘッドバンドの内径の調整を容易、且つ迅速に行えるサイズ調整装置を提供する。
【解決手段】ヘッドバンド22L、22Rの対向して重なり合う両端部にあって、この両端部の対向する面に長手方向に沿って並列して形成された凹凸部28L、28Rと、対向する凹凸部の間にあって、凹凸部と噛み合うとともに、回転自在に軸支され、回転することにより、ヘッドバンドの両端部を互いに周方向に沿って反対方向へ移動させて、ヘッドバンドの内径を大小調節する歯車3と、直線方向に可動するように支持され、直線方向の動作に連動して、歯車3を回転させる機構を備える操作部4と、操作部4の操作方向をヘッドバンドの内径を縮小させる方向に規制するとともに、この規制を解除する回転規制部5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保安用及び乗車用のヘルメットにおけるヘッドバンドのサイズ調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
頭部にヘルメットをガタツキなくしっかりと保持するための部材として、ヘルメット内部に配設されたヘッドバンドが知られている。下記特許文献1に記載のヘッドバンドは、頭部周囲を囲むように環状となるように配されており、このヘッドバンドの両端部にわたるように設けられたサイズ調整装置によって、着用者の頭部の周長に合わせて環状のヘッドバンドの内径を調整できるようになっている。
【0003】
このサイズ調整装置は、ヘッドバンドの一端側に突設された係合突起と、他端側にヘッドバンドの周方向に沿って複数開孔され、前述の係合突起が係合する係合孔とから構成され、この複数の係合孔の内、着用者の頭部の周長に合う内径となる位置の係合孔に係合突起を係合させることで、ヘッドバンドの内径を着用者の頭部の周長に合わせて調整するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−27021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の従来技術によると、サイズ調整装置でヘッドバンドの内径を着用者の頭部の周長に合わせて調整して、ヘッドバンドを頭部にフィットさせることによって、ヘルメットを頭部に保持することができる。
【0006】
しなしながら、特許文献1に記載のサイズ調整装置は、係合突起を係合孔に係合させることによって、ヘッドバンドの内径を調整するものであるため、ヘルメットを着用した状態でヘッドバンドの内径を調整することができないという問題があった。すなわち、ヘルメットを脱いだ状態でヘッドバンドの内径を着用者の頭部の周長に目測で合わせて調整し、ここで調整した内径でヘルメットを着用してヘッドバンドのフィッティングを行って、緩かったりきつかったりすれば、ヘルメットを脱いで再び調整するとともに、フィッティングをして、ヘッドバンドが頭部にフィットするまで、ヘッドバンドを調整しなければならないため、ヘッドバンドの内径の調整が極めて面倒である上に、相当の時間を要するものであった。
【0007】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、ヘルメットを着用した状態でヘッドバンドの内径の調整ができること、ヘッドバンドの内径の調整が容易、且つ迅速にできること、ヘッドバンドの内径の調整が正確にできること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明によるヘルメットのヘッドバンドのサイズ調整装置は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0009】
ヘルメット内部に環状にして配設されたヘッドバンドの内径を調節するヘッドバンドのサイズ調整装置において、前記ヘッドバンドの対向して重なり合う両端部にあって、該両端部の対向する面に長手方向に沿って並列して形成された凹凸部と、前記対向する凹凸部の間にあって、該凹凸部と噛み合うとともに、回転自在に軸支され、回転することにより、前記ヘッドバンドの両端部を互いに周方向に沿って反対方向へ移動させて、該ヘッドバンドの内径を大小調節する歯車と、直線方向に可動するように支持され、直線方向の動作に連動して、前記歯車を回転させる機構を備える操作部と、前記操作部の操作方向を前記ヘッドバンドの内径を縮小させる方向に規制するとともに、この規制を解除する回転規制部と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このような特徴を有することで本発明は、以下の効果を奏する。すなわち、操作部のスライド操作によって、ヘッドバンドの内径を縮小するものであるので、ヘルメットを着用した状態でヘッドバンドの内径の調整ができるとともに、ヘッドバンドの内径の調整が容易、且つ迅速にでき、しかもヘッドバンドの内径の調整が正確にできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るサイズ調整装置を取り付けたヘルメットの底面図。
【図2】本発明に係るサイズ調整装置を取り付けたヘルメットの一部切欠正面図。
【図3】本発明に係るサイズ調整装置を取り付けたヘルメットの背面図。
【図4】図3の(4)−(4)線断面図。
【図5】図4の(5)−(5)線断面図。
【図6】図5の(6)−(6)線断面図。
【図7】図5の(7)−(7)線断面図。
【図8】ヘッドバンドの内径を縮小する操作部のスライド操作による歯車とヘッドバンドの動作を示す動作図。
【図9】ヘッドバンドの内径を縮小する操作部のスライド操作による回転規制部を示す動作図。
【図10】ヘッドバンドの内径を縮小する操作部のスライド操作による歯車と操作部の動作を示す動作図。
【図11】回転規制部の規制を解除した動作を示す動作図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の対象とするヘルメットは、ヘッドバンドによって頭部に対するフィッティングを行うヘルメットのすべてであり、使用目的や形状等を限定するものではない。このようなヘルメットとして、消防用ヘルメット、作業用ヘルメット等が例示できる。
【0013】
前述の操作部に対し、ヘッドバンドの内径を縮小させる方向の操作に抗する付勢力を付与する付勢部を設けるとよい。
【0014】
前述のヘッドバンドの内径を縮小させる方向の操作部の操作は、押動操作及び引動操作のいずれでもよいが、好ましくは押動操作である。この押動操作である場合、操作部をヘルメットの外側から内側へ押動する操作であるとよい。
【0015】
前述の操作部及び回転規制部をヘルメットの後頭部側に備えるとよい。
【0016】
以下、本発明に係るヘルメットのサイズ調整装置の実施形態を図面に基づいて説明する。ここで例示するヘルメットは消防用のヘルメットである。
【0017】
図1〜図3は、サイズ調整装置1を取り付けた消防用のヘルメット2の構成図である。ヘルメット2は、消防用のものとして周知の構造のものであり、繊維強化合成樹脂材またはポリカーボネート材を用いて所定形状に成型された帽体20の内側に、発泡スチロールまたはこの発泡スチロールと同等の衝撃吸収性能を有する素材を用いて所定形状に成型された衝撃吸収ライナー21が配されている。また、また、帽体20に固定されるとともに、着用者の頭部を包み込む形状に配置されたハンモック23、ハンモック23に係止されるとともに、帽体20の内周に沿って環状に配置された帯状のヘッドバンド22、ヘッドバンド22を帽体20内に配置するためのハンモック23、ヘルメット2を被った状態を保持するための顎バンド24、帽体20の前頭部側に出し入れ自在に設けられたシールド25が備えられている。帽体20の後頭部側には、しころ26が着脱可能に取付けられている。
【0018】
尚、以下では、シールド25側を前方とし、しころ26側を後方として説明する。また、ヘルメット2の頭頂側を上方とし、ヘルメット2の開口側を下方として説明する。また、ヘルメット2の両側部側を左右方向として説明する。
【0019】
サイズ調整装置1は、ハンモック23に吊り下げるようにして、帽体20の後頭部側に配置されている。サイズ調整装置1の構成部材である操作部4及び回転規制部5の係合解除操作体53は、ケーシング10の外側に露出しており、しころ26の外側からサイズ調整操作ができるようになっている。
【0020】
サイズ調整装置1は、着用者側の壁部10Aをこの着用者の後頭部の曲面に沿う曲面とし、外側の壁部10Bを帽体20の内周の曲面に沿う曲面としたケーシング10に、サイズ調整装置1の構成部材が配設されている。ケーシング10には、ハンモック23に吊り下げるための2枚の吊り下げ板11L、11Rが一体に設けられている。
【0021】
吊り下げ板11L、11Rには、上下方向に連続するように開孔された複数のねじ孔12が設けられており、このねじ孔12からハンモック23にねじ13を貫通させて締め付けることによって、サイズ調整装置1を吊り下げるようになっている。また、ねじ13を貫通させるねじ孔12の位置を変更することによって、サイズ調整装置1の上下位置を変更できるようになっている。
【0022】
ヘッドバンド22は、このヘッドバンド22の端部側を構成し、ケーシング10に対して出し入れ動作するように挿通される端部板22L、22Rと、この端部板22L、22Rを連結するとともに、着用者の前頭部から側頭部にわたる部位にフィットさせる帯状体22Aとから構成されており、端部板22L、22Rのケーシング10に対する出し入れ動作によって、内径を拡大・縮小するようになっている。
【0023】
帯状体22Aは、ハンモック23に連結されて定位置が保持されている。端部板22L、22Rは、帯状体22Aに対して上下方向回転可能に軸支されており、サイズ調整装置1の上下位置に対応して回転することで、サイズ調整装置1と帯状体22Aの高さの差を吸収できるようになっている。
【0024】
ヘッドバンド22には、ケーシング10の壁部10Aに位置するように取り付けられたクッション部26Aと、帯状体22Aの前頭部側に位置するように取り付けられたクッション部26Bとが備えられている。
【0025】
クッション部26Aには、端部板22L、22Rをヘッドバンド22の周方向にスライド可能に挿通支持する端部板挿通部27L、27Rが設けられており、端部板22L、22Rのケーシング10に対する出し入れ動作時に、この端部板22L、22Rが端部板挿通部27L、27Rをスライドすることによって、端部板22L、22Rの出し入れ動作にクッション部26Aを追従させないようにして、クッション部26Aの変形や位置ずれを防止するようになっている。
【0026】
以下、図4〜図11に基づいてサイズ調整装置1を具体的に説明する。尚、ここでは、サイズ調整装置1及び端部板22L、22Rのみを図示して説明する。
【0027】
サイズ調整装置1は、ケーシング10の周方向で対向する両側部に、端部板22L、22Rをケーシング10内に挿通する挿通孔14L、14Rが開孔されている。挿通孔14L、14Rに挿通された端部板22L、22Rは、サイズ調整装置1のサイズ調整操作によって、挿通孔14L、14Rから周方向に沿って出し入れ動作するようになっている。
【0028】
ケーシング10内には、対面する端部板22Lと端部板22Rの間に、回転自在に軸支された歯車3と、この歯車3を回転させる方向にスライド操作可能に支持された操作部4と、歯車3の回転を一方向に規制する回転規制部5とが備えられている。
【0029】
端部板22Lと端部板22Rの対向面には、夫々、端部板22L、22Rの周方向(長手方向)に沿って並列し、歯車3と噛み合う凹凸部28L、28Rが形成されており、この歯車3と凹凸部28L、28Rとが噛み合った状態で歯車3が回転することによって、ケーシング10に対する端部板22L、22Rの出し入れ動作が行われるようになっている(図4、図8参照)。
【0030】
操作部4には、この操作部4のスライド方向に沿って並列し、歯車3と噛み合う凹凸部40が形成されており、この歯車3と凹凸部40とが噛み合った状態で操作部4がスライドすることによって、歯車3が回転するようになっている(図7、図10参照)。
【0031】
歯車3は、軸線を上下方向として配され、下方に凹凸部40と噛み合う第1ギア3Aと、上方に凹凸部28L、28Rと噛み合う第2ギア3Bとを備えており、この第1ギア3Aと第2ギア3Bが同軸となるように一体形成されている(図5参照)。
【0032】
第1ギア3Aは、第2ギア3Bよりも小径、且つ歯数が少ないものであり、操作部4のスライド距離よりも端部板22L、22Rのケーシング10に対する出し入れ動作距離が長くなるようなギア比となっている。
【0033】
すなわち、第1ギア3Aと第2ギア3Bを前述のようなギア比にすることによって、操作部4の短いスライド距離で、端部板22L、22Rのケーシング10に対する出し入れ動作距離を長くすることができるので、操作部4の操作をコンパクトにすることができ、しかも端部板22L、22Rのケーシング10に対する出し入れ動作を迅速に行うことができるようになっている。
【0034】
尚、歯車3は、例示したような第1ギア3Aと第2ギア3Bとを同軸とした形態に限るものではなく、第2ギア3Bが第1ギア3Aの回転と連動して回転する形態であればよい。
【0035】
操作部4は、前後方向に沿って直線的に往復スライド可能に支持されている。操作部4の後端部は、常にケーシング10から露出しており、この後端部を前方に手動で押動操作することによって、歯車3を回転させるようになっている。このときの歯車3の回転方向は、端部板22L、22Rをケーシング10に入れる方向であり、ヘッドバンド22の内径を縮小する方向である(図7、図10参照)。
【0036】
操作部4は、ケーシング10側を開口とする空間部4Aが形成されており、この空間部4Aの内側に形成された凸部41と、ケーシング10内に形成された凹部42の凹凸係合によるスライド案内部4Bによって、前後方向に沿って直線的に往復スライド案内されるようになっている。
【0037】
空間部4Aとケーシング10の内面にわたって、スライド案内部4Bを囲むように付勢手段である圧縮ばね6が配されており、この圧縮ばね6の付勢力によって、前方へのスライド操作に抗する力が操作部4に作用するようになっている。この圧縮ばね6の付勢力で操作部4が後方にスライドすることによって、歯車3が回転するようになっている。このときの歯車3の回転方向は、端部板22L、22Rをケーシング10から出す方向であり、ヘッドバンド22の内径を拡大する方向である。
【0038】
操作部4の後方へのスライドは、回転規制部5によって規制されており、この回転規制部5の規制を解除することによって、圧縮ばね6の付勢力で操作部4を後方へスライドさせて、ヘッドバンド22を拡大するようになっている(図6、図9、図11参照)。
【0039】
ここで、ヘッドバンド22の内径を縮小する操作部4の操作は、ヘルメット2をフィッティングするための操作であり、ヘルメット2を被った状態で、ヘッドバンド22が頭部にフィットするまで操作部4を押動操作することで、フィッティングをすることができる。また、ヘルメット2を脱ぐときには、ヘッドバンド22がフィットした状態で脱いでもよいし、回転規制部5の規制を解除して、圧縮ばね6の付勢力で操作部4を後方へスライドさせてヘッドバンド22を拡大して脱いでもよい。
【0040】
回転規制部5は、ラチェット構造のものであり、第1ギア3Aと第2ギア3Bとの間に、この第1ギア3A及び第2ギア3Bと同軸として一体回転するように設けられたラチェットギア50と、このラチェットギア50に係脱可能に係合する係合爪51と、係合爪51をラチェットギア50に対して係合する方向に付勢する圧縮ばね52と、係合爪51のラチェットギア50に対する係合を手動操作により強制解除する係合解除操作体53とから構成されている(図5、図6、図9、図11参照)。
【0041】
ラチェットギア50は、操作部4の前方へのスライド操作で歯車3を回転させようとしたときの回転方向を、係合爪51がラチェットギア50に対して係脱する方向に設定され、圧縮ばね6による操作部4の後方へのスライドで歯車3を回転させようとしたときの回転方向を、係合爪51がラチェットギア50に対する係合を維持する方向に設定されている。
【0042】
このようなラチェットギア50は、操作部4の前方へのスライド操作時の歯車3の回転を妨げずに回転させて、ヘッドバンド22の内径を縮小可能とし、圧縮ばね6の操作部4を後方へスライドさせようとする力に対しては、歯車3の回転を阻止して、頭部に対するヘッドバンド22のフィット状態を保持することができる。
【0043】
係合解除操作体53は、係合爪51と一体形成され、後方側が操作部4と隣り合うようにケーシング10から突出させている。係合解除操作体53は、ケーシング10内において、歯車3の軸線と平行とする軸線を中心として回転するように軸支されており、ケーシング10から突出した部位が、操作部4に対して近接・離間するように左右方向に傾倒するようになっている。
【0044】
係合解除操作体53は、ケーシング10内の端部に係合爪51を位置させており、この係合爪51をラチェットギア50に係合する方向に付勢する圧縮ばね52の付勢力が、係合解除操作体53を操作部4から離間する方向に傾倒させるとともに、係合解除操作体53の操作部4から離間した状態を保持するようになっている。
【0045】
また、圧縮ばね52の付勢力に抗して係合解除操作体53を操作部4に近接する方向(左方向)に傾倒することによって、ラチェットギア50に対する係合爪51の係合を解除することができるようになっている。
【0046】
すなわち、係合解除操作体53の傾倒操作によってラチェットギア50に対する係合爪51の係合を解除すると、歯車3が回転可能状態となるため、圧縮ばね6の付勢力で、操作体4が後方へスライドし、この操作体4のスライドに伴って歯車3が回転することによって、ヘッドバンド22の内径が拡大するようになっている。
【0047】
このような構成のサイズ調整装置1によると、ヘルメット2を被った状態で操作部4を押動操作できるとともに、この押動操作でヘッドバンド22の内径を縮小することによるヘルメット2のフィッティングを行うことができる。また、ヘルメット2を被った状態で、係合解除操作体53を傾倒操作できるとともに、この傾倒操作でヘッドバンド22の内径を拡大することでヘルメット2のフィット解除をすることができる。すなわち、ヘッドバンド22の内径の縮小操作及び拡大操作をワンタッチで行うことができる。
【0048】
また、ヘルメット2のフィッティングを、操作部4を前方へ押動することによって行い、ヘルメット2のフィッティング解除を、係合解除操作体53を傾倒させることによって行うようにしているので、これらの操作をしころ26の外側から行うことができる。すなわち、ヘルメットのフィッティング操作及びフィッティング解除操作を、しころ26をめくり上げることなく行うことができる。
【0049】
したがって、本実施形態のサイズ調整装置1は、ヘッドバンドの内径を縮小するものであるので、ヘルメットを着用した状態でフィッティングができるとともに、このフィッティングを容易、且つ迅速に、しかも正確に行うことができる。しかも、フィッティング解除についてもヘルメットを着用した状態で容易、且つ迅速に行うことができる。
【0050】
尚、本発明は、例示した実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。
【0051】
例えば、前述の実施形態では、サイズ調整装置1をヘルメット2の後頭部側に配した構成を例示しているが、このサイズ調整装置1の位置は、ヘルメット2の後頭部側に限定するものではなく、着用者の邪魔にならず、ヘルメット2をフィッティングする操作ができる位置であればよい(図示せず)。
【0052】
また、前述の実施形態では、ヘルメット2をフィッティングするための操作部4の操作を、前方に押動する操作として例示したが、本発明は、押動操作に限らず、操作部4を後方へ引動する操作又は左右方向に移動させる操作でヘルメット2のフィッティングができる構成としてもよい(図示せず)。
【0053】
また、前述の実施形態では、ヘルメット2のフィッティングを解除するための係合解除操作体53の操作を傾倒により行う構成として例示したが、本発明は、傾倒操作に限らず、係合解除操作体53を前方に押動する操作又は後方へ引動する操作で、ヘルメット2のフィッティングを解除できる構成としてもよい(図示せず)。
【0054】
また、前述の実施形態では、ヘッドバンド22が端部板22L、22R及び帯状体22Aの3部材からなる構成を例示したが、本発明は、3部材からなる構成に限らず、一枚物のヘッドバンドとしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1:サイズ調整装置
2:ヘルメット
22:ヘッドバンド
22L:端部板
22R:端部板
28L:凹凸部
28R:凹凸部
3:歯車
4:操作部
40:凹凸部
5:回転規制部
6:圧縮ばね(付勢部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルメット内部に環状にして配設されたヘッドバンドの内径を調節するヘッドバンドのサイズ調整装置において、
前記ヘッドバンドの対向して重なり合う両端部にあって、該両端部の対向する面に長手方向に沿って並列して形成された凹凸部と、
前記対向する凹凸部の間にあって、該凹凸部と噛み合うとともに、回転自在に軸支され、回転することにより、前記ヘッドバンドの両端部を互いに周方向に沿って反対方向へ移動させて、該ヘッドバンドの内径を大小調節する歯車と、
直線方向に可動するように支持され、直線方向の動作に連動して、前記歯車を回転させる機構を備える操作部と、
前記操作部の操作方向を前記ヘッドバンドの内径を縮小させる方向に規制するとともに、この規制を解除する回転規制部と、
を備えていることを特徴とするヘルメットのヘッドバンドのサイズ調整装置。
【請求項2】
前記操作部に対し、ヘッドバンドの内径を縮小させる方向の操作に抗する付勢力を付与する付勢部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のヘルメットのヘッドバンドのサイズ調整装置。
【請求項3】
前記ヘッドバンドの内径を縮小させる方向の前記操作部の操作が、前記ヘルメットの外側から内側へ押動する押動操作であることを特徴とする請求項1又は2記載のヘルメットのヘッドバンドのサイズ調整装置。
【請求項4】
前記操作部及び回転規制部が、前記ヘルメットの後頭部側に備えられていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載のヘッドバンドのサイズ調整装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−162809(P2012−162809A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22120(P2011−22120)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000126953)株式会社アライヘルメット (11)
【Fターム(参考)】