説明

ベッド用グリップにおける回動機構

【課題】片手でロック解除でき、そのままグリップ部の回動操作もできるようにするとともに、この回動機構の構成部品数を少なくすることにより安価に提供すること。
【解決手段】固定柵部の一側部に回動機構を介してグリップ部を設けるに、この回動機構は、グリップ部の上下方向に設ける支持パイプの下端に固着した内歯プレートと噛合する外歯プレートを固定柵部に固着するとともに、グリップ部が上下に摺動自在となるよう構成する一方、前記支持パイプ上端にロックプレートが接触する状態とロック解除ボタンを押すことでこのロックプレートが前記支持パイプの摺動域から退避する状態とに操作可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドに装着して使用するベッド用グリップの固定柵部とグリップ部間に介在させる回動機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ベッドのサイドフレーム等に設けられた取付孔等に装着して使用するサイドレールやベッド用グリップがある。前者のサイドレールは、掛け布団や利用者本人が落ちないように防止したり、ベッド上で寝返りや起き上がり等の補助として使用されるものである。後者のベッド用グリップは、座位保持、立ち上がり、乗り移りを容易に行なうためのグリップとして使用されるものである。
【0003】
前記ベッド用グリップの一つとして、ベッドのサイドフレーム等に設けられた付属品取付孔に、固定脚を挿通して保持した固定柵部と、この固定柵部に変位機構及びロック機構を介して水平方向に回動可能に連結した回動柵部とによって構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このベッド用グリップは、回動柵部を引き上げることによって回動自在とすることができるとともに回動柵部を下ろすことによって所定の角度で固定することができ、しかも誤って回動柵部を引き上げる力が作用しても、回動柵部を引き上げられないように作用する回動柵部のロック機構とされています。
詳しくは、固定柵部側に固着された嵌合受け部材と回動柵部側に固着された嵌合部材にそれぞれ設けられた凸部と凹部の嵌合により、所定の角度で段階的に回動柵部を保持できる変位機構を備え、この嵌合部材及び解除ロッドで形成される通孔内を解除ボスの上下移動によりこの通孔内にある球状部材の移動を制限することで回動柵部の上下移動をロックできるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−194175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明に係るベッド用グリップの回動機構は、片手でロック解除でき、そのままグリップ部の回動操作もできるようにするとともに、この回動機構の構成部品数を少なくすることにより安価に提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ベッドに取り付ける固定柵部の一側部に回動機構を介して水平回動自在となるようにグリップ部を連設してなるベッド用グリップにおいて、前記固定柵部の一側部下方には上面に内歯プレートを固着したシテンパイプを固着する一方、上方には取付支持プレートとロック部支持プレートを固着するに該取付支持プレートに穿設した空孔部と該ロック部支持プレートの回動軸部の軸心が前記内歯プレートの外径の軸心と同一線上に位置するよう配置し、上記グリップ部のグリップフレームを構成する支持パイプの下端部には前記内歯プレートに噛合する外歯プレートを固着するとともに、これら内歯プレートと外歯プレートを覆うカバーパイプを該支持パイプに固着し、前記支持パイプの上端を前記空孔部に挿通し、また、前記ロック部支持プレートでロックプレートに設けた回動軸部を回動自在に支持するとともにスプリングを介在させ該ロックプレートが上方回動するよう付勢させ、前記空孔部に挿通するガイドパイプ内にロック解除ボタンを挿通して、該ロック解除ボタンで前記ロックプレートの作動片を前記スプリングに抗して下方回動自在とすることにより、該ロックプレートに設けたストッパー片が前記スプリングの付勢力によってグリップ部の支持パイプの上端に接触する状態から該ストッパー片が前記支持パイプの上方摺動域から退避してグリップ部が上方に摺動自在な状態となり、前記内歯プレートと外歯プレートとの噛合が解除され、水平回動自在な状態となるよう構成してなる回動機構を具備したことを特徴とする。
また、回動機構のロック状態を解除するロック解除ボタンの作動方向を下方向きとし、内歯プレートと外歯プレートとの噛合状態を解除するグリップ部の作動方向を上方向きとしたことを特徴とする。
さらに、上記ロック解除ボタンの近傍に位置するようにグリップ部に把持部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のベッド用グリップにおける回動機構は、通常の状態では内歯プレートと外歯プレートが噛合しており、グリップ部が回動できない状態となっている。このとき、ロックプレートのストッパー片がグリップ部の支持パイプ上端を押さえる状態となっているのでグリップ部を上方摺動することができない。すなわち、グリップ部は固定柵部に対して所定の角度で保持された状態となっている。このロックを解除するには、ロック解除ボタンを押し下げ、前記ストッパー片を前記支持パイプの摺動域から退避させた後、グリップ部を上方摺動させ、内歯プレートと外歯プレートの噛合状態を解除する。この状態でグリップ部が回動自在となるので、所望の角度となるように回動してグリップ部を下方摺動させる。すると、内歯プレートと外歯プレートが噛合すると同時にスプリングの付勢力によってロックプレートが上方回動され支持パイプ上端に前記ストッパー片が位置してロック状態となる。このように構成した回動機構では、構成部品数が少なく安価に提供することができる。
また、ロック解除にはロック解除ボタンを下方に押し下げ、グリップ部を上方摺動しなければならず、誤ってロック解除ボタンを押し下げてもグリップ部は回動できない状態となっているので安全である。
さらに、ロック解除ボタンの近傍に位置するようにグリップ部に把持部を設けているので、片手でロック解除と回動操作をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明の固定機構の安全装置を備えたベッド用グリップを示す全体正面図
【図2】そのグリップ部の回動状態を示す平面図
【図3】その全体斜視図
【図4】グリップ部の構成を示す説明図
【図5】全体の構成を示す説明図
【図6】回動機構の作用を示す要部断面図(ロック時)
【図7】回動機構の作用を示す要部断面図(ロック解除時)
【図8】回動機構の作用を示す要部断面図(回動操作時)
【図9】保持装置を示す説明図
【図10】保持装置の保持状態を示す全体斜視図
【図11】その要部断面図
【図12】保持装置の作動状態を示す全体斜視図
【図13】その要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
ベッドに取り付ける固定柵部の一側部に回動機構を介して水平回動自在となるようにグリップ部を連設してなるベッド用グリップにおいて、前記固定柵部の一側部下方には上面に内歯プレートを固着したシテンパイプを固着する一方、上方には取付支持プレートとロック部支持プレートを固着するに該取付支持プレートに穿設した空孔部と該ロック部支持プレートの回動軸部の軸心が前記内歯プレートの外径の軸心と同一線上に位置するよう配置し、上記グリップ部のグリップフレームを構成する支持パイプの下端部には前記内歯プレートに噛合する外歯プレートを固着するとともに、これら内歯プレートと外歯プレートを覆うカバーパイプを該支持パイプに固着し、前記支持パイプの上端を前記空孔部に挿通し、また、前記ロック部支持プレートでロックプレートに設けた回動軸部を回動自在に支持するとともにスプリングを介在させ該ロックプレートが上方回動するよう付勢させ、前記空孔部に挿通するガイドパイプ内にロック解除ボタンを挿通して、該ロック解除ボタンで前記ロックプレートの作動片を前記スプリングに抗して下方回動自在とすることにより、該ロックプレートに設けたストッパー片が前記スプリングの付勢力によってグリップ部の支持パイプの上端に接触する状態から該ストッパー片が前記支持パイプの上方摺動域から退避してグリップ部が上方に摺動自在な状態となり、前記内歯プレートと外歯プレートとの噛合が解除され、水平回動自在な状態となるように回動機構を構成した。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面に基づいて具体的に説明する。
なお、本発明の一実施形態を説明するために、ベッド用グリップを用いていますが、これはベッド用グリップに限定するものではなく、上述したようにサイドレールであっても何ら問題はない。
【0012】
このベッド用グリップ1は、第1図から第3図に示すように、主として固定柵部2と、この固定柵部2の一側部に回動機構3を介して回動自在に連設するグリップ部4とからなる。なお、前記固定柵部2にはベッドBのサイドフレームBに設けられた取付孔h,h,・・・に取り付けるための固定手段5を具備するが、この固定手段5については後述する。
【0013】
まず、前記固定柵部2はベースパイプ6にコ字状に曲折してなる枠パイプ7を固着するとともに、この内部に補強部材8,9を固着して構成している。
一方、前記グリップ部4はグリップフレーム10にグリップ部材11を装着して構成している。なお、前記グリップフレーム10は第4図に示すように支持パイプ12にL字状に曲折した補強パイプ13を固着するとともに、前記グリップ部材11を固定するための空孔部14a,14a,・・・を穿設した取付プレート14を固着したものである。
【0014】
そして、このように構成した固定柵部2とグリップ部4は、次のように構成した回動機構3により、回動操作自在かつ所定の角度で保持できるように連設している。
【0015】
まず、前記固定柵部2に設ける回動機構3から説明する。
上記ベースパイプ6の一端部にシテンパイプ15を固着している。なお、このシテンパイプ15の軸心Oが前記グリップ部4の回動中心となるように構成している。
そして、該シテンパイプ15の上面には、内側に複数の溝部16a,16a,・・・を設けてなる内歯プレート16を固着している。なお、本実施例においては歯数8として図示している。そして、この内歯プレート16の下方に位置するように前記シテンパイプ15の内側に突出する状態で前記シテンパイプ15の軸心Oと直交する方向でストッパーピン17を固着している。
【0016】
一方、該シテンパイプ15の上方には、上記枠パイプ7に固着した取付支持プレート18とロック部支持プレート19を配している。該取付支持プレート18には前記軸心Oと同一となり前記支持パイプ12を挿通する空孔部18aを穿設している。また、前記ロック部支持プレート19には、後述するロックプレート20を所定の範囲で回動するための回動軸受部19aとロック部カバー21,21の取付部となる空孔部19b,19bが設けられている。さらに、該ロック部支持プレート19の上部には回動軸部19cを設けている。
【0017】
次に、前記グリップ部4に設けられる回動機構3は、上記グリップフレーム10の支持パイプ12の下端部に、上記内歯プレート16の外径程度の大きさのストッパープレート22と前記内歯プレート16に噛合する外歯プレート23と上記ストッパーピン17に接触することで回動範囲を規制する規制ピン24を固着している。
そして、カバーパイプ25を固着して、前記内歯プレート16と外歯プレート23の噛合部を覆っている。なお、第4図は該カバーパイプ25の一部を切り取り、内部構造を示したものとしている。
【0018】
このように構成したグリップ部4は、上記取付支持プレート18の空孔部18aに前記支持パイプ12の上端を挿通した後、該支持パイプ12の下端部の外歯プレート23と前記内歯プレート16を噛合させている。このとき、前記ストッパープレート22の下面が内歯プレート16の上面に接して、それ以上下方移動できない状態となっている。すなわち、グリップ部4を下限まで移動させると、内歯プレート16と外歯プレート23が噛合した状態となるように構成している。
一方、前記ロック部支持プレート19に設けた回動軸部19cには回動ブシュ26を挿通し、該回動ブシュ26を前記グリップ部材11に嵌着している。
【0019】
次に、前記内歯プレート16と外歯プレート23の噛合状態をロックするロック部の構成について説明する。
まず、前記ロックプレート20は、ストッパー片20aと作動片20bと回動軸20cを一体的に構成してなる。詳述すると、ストッパー片20aと作動片20bはL字状となるよう配置し、この角部に回動軸20cを一体的に設けたものである。
そして、該回動軸20cを前記ロック部支持プレート19の回動軸受部19aに挿通するとともに、該ロックプレート20とロック部支持プレート19にそれぞれ設けた掛止片19d,20dにスプリング27を掛止することで前記ロックプレート20が上方回動するように付勢したものである。
なお、前記作動片20bは後述するロック解除ボタン28を支持する。また、ストッパー片20aは、該ロックプレート20が上方回動したときにグリップ部4の支持パイプ12の上端が接することでグリップ部4が上下に摺動することができない状態とするための部位である。そのため、ストッパー片20aには回動軸20cと同心の円弧部あるいはこの円弧に対する接線による斜状部として、該ロックプレート20の回動時においても前記支持パイプ12の上端との間隔の変化量を小さくすることで、該ロックプレート20の回動時の円滑な動作とグリップ部4のガタつきを極力少なくするよう構成することが好ましい。
【0020】
そして、ガイドパイプ29の下方からロック解除ボタン28を挿通した状態で、該ガイドパイプ29に設けたガイド溝29aに前記ロックプレート20の作動片20bを挿通するとともに、上記空孔部18aに該ガイドパイプ29の下端部を挿通する。なお、該ガイドパイプ29の内側上端には鍔部を設け、前記ロック解除ボタン21の上部をこの鍔部程度の大きさとし、下部を前記ガイドパイプ29の内径程度とすることで上方への抜け止めとしている。
さらに、前記ロック部支持プレート19にロック部カバー21,21を止着し、該ロック部カバー21,21によって前記ガイドパイプ29に設けた溝部29bを挟むようにして、該ガイドパイプ29を固定している。
【0021】
このように構成したベッド用グリップ1の回動機構3は、第6図から第8図に示すように作用する。
第6図に示す通常の状態では、前記内歯プレート16と外歯プレート23が噛合しており、グリップ部4の回動はできない状態となっている。詳述すると、ロックプレート20はスプリング27によって上方回動されており、このロックプレート20のストッパー片20aが前記グリップ部4の支持パイプ12の上端に接当した状態となっており、グリップ部4を上方にスライドすることができず、内歯プレート16と外歯プレート23の噛合状態を解除することができないものとなっている。
【0022】
この状態から、グリップ部4を回動するには、第7図に示すように、スプリング27に抗してロック解除ボタン28を押し下げ、ロックプレート20を下方回動する。すると、該ロックプレート20のストッパー片20aが支持パイプ12の上端から離間して作動片20bと支持パイプ12との間に空間Sが形成される。この状態になると、グリップ部4を上方に摺動することが可能となる。
なお、ロック解除ボタン28を押しただけでは、内歯プレート16と外歯プレート23の噛合状態は解除されないので、グリップ部4を回動することはできない。すなわち、誤ってロック解除ボタン28を押してしまっても、意図しない回動動作が起きることが無いので安全なものとなっている。
【0023】
前述の状態からグリップ部4を上方摺動すると、第8図に示すように、前記内歯プレート16と外歯プレート23の噛合状態を解除することができ、グリップ部4が回動操作自在な状態となっている。所望の角度にグリップ部4を回動させた後、下方摺動することで内歯プレート16と外歯プレート23が噛合し、スプリング27の付勢力によって自動的にロックプレート20が上方回動され、ロックが掛かった状態となり、回動することができないロック状態となる。
【0024】
なお、図面においては45度ごとに設定できるように内歯プレート16と外歯プレート23を形成しているが、歯数を多くすることでより細かな角度設定ができるように構成したり、逆に歯数を減らして固定柵部2に対してグリップ部4が直線状となる状態と直角状となる状態のみに限定するなど適宜設定できるものであり、特に限定するものではない。
さらに、内歯プレート16と外歯プレート23の噛合による構成としているが、一方をピンあるいは掛止片等を固着したものとすることで、何れかの歯溝に掛合するように構成しても良い。
また、本実施例では、第2図に示す(a)及び(b)の位置までグリップ部4を回動したときに、ストッパーピン17と規制ピン24が接触してそれ以上回動しないように構成している。これは、固定柵部2とグリップ部4との間で挟み込みを防止するためのものである。
【0025】
このように構成した回動機構3によれば、片手でグリップ部4を把持した状態で、ロック解除ボタン28を押す動作からグリップ部4を持ち上げ回動させる操作を行うこともできる。したがって、操作が簡単であるとともに、両手を使う必要もないので煩わしさがない。さらに、ロックを解除するためにはロック解除ボタン28を押し下げつつ、グリップ部4を上方に摺動させるように構成しているので、誤ってロック解除ボタン28を押し下げただけではグリップ部4を回動することはできず、安全なものとなっている。
さらに、この回動機構3は、構成部品が少なく、安価に提供できるという効果もある。
【0026】
次に、上述のように構成されたベッド用グリップ1に具備する固定機構5について説明する。
この固定機構5は、上記ベースパイプ6の下方に突出するように配した一対の支柱30,31からなるものである。まず、一方の支柱30は、前記ベースパイプ6に設けた嵌通孔6aに挿通して固着している。
そして、他方の支柱31は、第11図に示すように、前記ベースパイプ6に設けた嵌通孔6aにボス32を固着して取付部としている。このボス32には、回動操作時の回動軸となる軸部31aと該軸部31aよりも大径となる鍔部31b、そして前記軸部31aの軸心Oに対して偏心させた偏心軸部31cとを一体的に形成してなる支柱31を挿通するとともに、抜け止めしている。なお、第11図において、Oは偏心軸部31cの軸心を示している。
なお、前記鍔部31bには水平方向に伸びる操作ハンドル33を固着している。
また、それぞれの支柱30,31の上端には保護キャップ34,34を取り付け、布団等が引っ掛からないようにしている。
【0027】
このように構成された固定機構5は、前記操作ハンドル33をグリップ部4に向けた状態で、支柱30と偏心軸部31cの間隔がベッドBのベッドフレームBに設けた取付孔h,h,・・・の間隔と等しくなるように構成している。
そして、この状態で前記取付孔h,hに、これら支柱30,31を挿通した後、前記操作ハンドル33を他方の支柱31側に向くように水平回動する。すると、上述したように軸部31aに対して偏心して偏心軸部31cが設けられているので、前記取付孔h,hの間隔よりもこれら支柱30と偏心軸部31cの間隔が狭くなり、大きな固定力となってベッド用グリップ1を固定するものとなっている。
なお、該操作ハンドル33は360度回転操作自在であるので、ベッドBの左右どちら側にも取り付けできる固定機構5となっていることは言うまでもない。
【0028】
次に、上述のように構成した固定機構5における操作ハンドル33の保持装置35について説明する。
この保持装置35は、第9図に示すように箱状に構成しており、上部は開口して内部には前記ベースパイプ6の下面に取り付けるための逆L字状の取付片35aが設けられ、この取付片35aの下方には取付孔35bを設けている。また、底面には、通孔35cが設けられ、前記ベースパイプ6に該保持装置35を取り付けた状態では前記ボス32と前記支柱31が挿通される。
さらに、該保持装置35の底面には、前記操作ハンドル33の保持溝35dを設けている。なお、該保持溝35d側の底面は前記操作ハンドル33の回動操作時に該操作ハンドル33の基端側とは接触することなく、ロック状態に近づくにつれて基端から徐々に離間する箇所が該保持装置35の底面に接触するように斜め下方に張り出す斜部35eを設けている。
また、本実施例では、ベースパイプ6に角パイプを用いていることから、このベースパイプ6の側面に沿って当該保持装置35が上下に揺動するように両側面を延設してガイド片35fとしている。
このように構成した保持装置35は、第11図に示すように、取付片35aをベースパイプ6にネジ止めして取り付けている。
【0029】
前述のように取り付けた保持装置35は、本願固定機構5の操作ハンドル33の回動位置に応じて次のように作動する。
まず、上述のように構成したベッド用グリップ1の支柱30,31をベッドBのサイドフレームBに挿通する。このとき、前記操作ハンドル33はグリップ部4側に向けておく。
ベッドBに固定するために前記操作ハンドル33を略180度水平回動する。該操作ハンドル33がロック状態に近づくと、第12図に示すように、前記保持装置35の下面に設けた斜部33eに該操作ハンドル33が接触して、前記取付片35aが撓み、前記ガイド片35fに案内されベースパイプ6に沿って当該保持装置35が上方揺動する。
さらに、操作ハンドル33を回動させると、第10図に示すように、前記保持溝35dに該操作ハンドル33が位置すると同時に保持装置35が下方揺動して該保持溝35dによって操作ハンドル33が保持される。このように保持溝35dに操作ハンドル33が位置することで保持装置35は傾いた状態から正常な状態に戻りロック状態となっていることが容易に確認できる。
なお、この保持装置35の取付片35aが弾性変形しやすい材質、例えば樹脂等で成形することによって、回動操作時の操作力はほとんど変化させることなく、ロック位置での保持ができるものとすることができる。
【0030】
また、この保持装置35は、ベッドBにこのベッド用グリップ1を装着していない状態でも、前記操作ハンドル33を前記保持溝33dに位置させることで操作ハンドル33を保持することができ、不必要な回動が防止できる。
【0031】
これまで説明したようにこの保持装置35は、前記操作ハンドル33の回動操作にあわせ、取付片35aが撓むことによって上方に揺動され、保持溝35dに操作ハンドル33が位置すると下方揺動し、この状態で操作ハンドル33を保持できる構成となっている。
そのため、操作に不慣れな方であっても、ロック位置を直感的に認識することができるので、正確なロック操作ができるものとなっている。
【符号の説明】
【0032】
1 ベッド用グリップ
2 固定柵部
3 回動機構
4 グリップ部
5 固定機構
6 ベースパイプ
30 支柱
31 支柱
31c 偏心軸部
33 操作ハンドル
35 保持装置
35a 取付片
35c 通孔
35d 保持溝
35e 斜部
35f ガイド片
B ベッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドに取り付ける固定柵部の一側部に回動機構を介して水平回動自在となるようにグリップ部を連設してなるベッド用グリップにおいて、前記固定柵部の一側部下方には上面に内歯プレートを固着したシテンパイプを固着する一方、上方には取付支持プレートとロック部支持プレートを固着するに該取付支持プレートに穿設した空孔部と該ロック部支持プレートの回動軸部の軸心が前記内歯プレートの外径の軸心と同一線上に位置するよう配置し、上記グリップ部のグリップフレームを構成する支持パイプの下端部には前記内歯プレートに噛合する外歯プレートを固着するとともに、これら内歯プレートと外歯プレートを覆うカバーパイプを該支持パイプに固着し、前記支持パイプの上端を前記空孔部に挿通し、また、前記ロック部支持プレートでロックプレートに設けた回動軸部を回動自在に支持するとともにスプリングを介在させ該ロックプレートが上方回動するよう付勢させ、前記空孔部に挿通するガイドパイプ内にロック解除ボタンを挿通して、該ロック解除ボタンで前記ロックプレートの作動片を前記スプリングに抗して下方回動自在とすることにより、該ロックプレートに設けたストッパー片が前記スプリングの付勢力によってグリップ部の支持パイプの上端に接触する状態から該ストッパー片が前記支持パイプの上方摺動域から退避してグリップ部が上方に摺動自在な状態となり、前記内歯プレートと外歯プレートとの噛合が解除され、水平回動自在な状態となるよう構成してなる回動機構を具備したことを特徴とするベッド用グリップ。
【請求項2】
回動機構のロック状態を解除するロック解除ボタンの作動方向を下方向きとし、内歯プレートと外歯プレートとの噛合状態を解除するグリップ部の作動方向を上方向きとした請求項1に記載の回動機構を具備したことを特徴とするベッド用グリップ。
【請求項3】
上記ロック解除ボタンの近傍に位置するようにグリップ部に把持部を設けたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のベッド用グリップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−71101(P2012−71101A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115733(P2011−115733)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【分割の表示】特願2010−215791(P2010−215791)の分割
【原出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(394006129)株式会社いうら (63)
【Fターム(参考)】