ベルトの制御方法及び装置
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、長手方向に移動するベルトの位置を制御する方法及び装置に関し、更に詳細には、ベルトを高精度で制御するための方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の改良されたデジタル入力カラー複写機やデジタル入力カラープリンタは、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックの個々の画像を必要とし、排(出力)シート上に直径0.1mmの円内に位置合わせ(見当合わせ)される。この位置合わせ精度を達成するために、受光体(例えば、感光体)ベルトの横(幅)方向位置の変化率は、3色の連続画像で±0.25mmを超えてはならない。全体として、横方向のベルト位置は、約±0.1mmの範囲内に保たれることが必須である。
【0003】多種類のステアリング(操舵)システムは一般的にエンドレスベルトの位置合わせを維持するために考案されているが、複写機及びプリンタのベルトトラッキング(軌道追跡)制御の最近の改良は、電気モータドライブが電源のオン/オフのコマンドに応じてステアリングロールを傾斜する”能動(アクティブ)”ステアリングシステムに向けられている。光(オプト)センサからの信号は、ベルトのエッジ位置を確定する。マイクロプロセッサ制御装置は、ベルトの回転毎に1回、ベルトが設定点(セットポイント)位置の一側にあるか、他側にあるかを判定する。次に、補正ステアリングコマンドは、相対的なベルト位置と限定された一連の制御ルールに従った繰り返し数の組み合わせから演繹される。このシステムにより±0.3mm以内の横方向の制御が達成される。
【0004】最近では、対角線センサは、同様の機構を使用して、”位相平面制御”と称されたベルトトラッキング制御に適用される。また、ベルト位置は各回転毎に測定されるが、対角線センサから入手可能な追加情報により、補正処理の改良ができる。ステアリングコマンドは、位置と変化率と制御ルールの限定されたセットによる反復数の組み合わせから演繹される。このシステムは、14mmのピーク間の位置限定サイクルを有するが、変位率は十分に低く、0.3mmの範囲の連続した色分離を達成する。
【0005】米国特許第4、557、372号では、ベルト上の2つ以上の目標(ターゲット)パターンの独立測定によるベルト制御方式を示す、ベルトシステムの位置合わせ装置を開示する。これらの種類のシステムにおいて、個々の目標の横方向の変位は感知され、横方向の変位信号がベルトステアリングデバイスへ入力される。このタイプのベルト位置合わせ制御の主な難点は、位置合わせの正確さがベルト上の個々の目標の正確さにより指令されることである。目標の精度を±0.1mm以内にするために、ベルトの製造費及び目標設定費が法外になってしまう。
【0006】最近のカラープリンタでは、比較的薄くてもろいプラスチックフィルムベースの光導電性樹脂(フォトレジストプラスチック)ベルトが使用される。これらのベルトは、長い連続的にコーティングされたストリップ(細片)として製造される。仕上がった光導電性樹脂ベルトは、所定の幅にストリップを切り、所定の長さに切断し、所望のスリット及び穴のサイズにダイ抜き板加工をし、ループを形成するようにシーム(継ぎ目)を接合することにより製造される。この様な製造過程は、印を有するベルトに要求される種類の精度に貢献しないで、既存のベルトステアリング技術を用いて0.1mm範囲内にベルトの位置合わせを行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述に基づく本発明の目的は、ベルトとベルト上の位置合わせ印の形成に許容される製造公差よりも小さい横方向位置変動内にエンドレス受光体ベルトを維持する方法と装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段と作用】以下に具体的かつ広く記述されているように、本発明の趣旨に従って目的を達成するために、本発明は、長手方向へ移動するエンドレスベルトの移動の各回転中に少なくとも2回、固定された基準線からのベルトの変位を測定して、測定された変位の現在値と測定された変位の少なくとも1回前の値を得て、その測定された変位の現在値とその測定された変位の少なくとも1回前の値の平均を取り、測定された変位の現在平均値を得ることにより、エンドレスベルトの横方向の位置を制御する方法からなる。測定された変位の現在平均値は、測定された変位の継続的な現在値の各々に対して計算され、ベルトステアリングの補正要素(ファクタ)を提供する。測定された変位の現在平均値をゼロまで減少させる必要があるので、ベルトは、ベルトステアリングの補正要素に従って操舵される。
【0009】更に、本発明の目的及び趣旨は、少なくとも2つの目標が、センサライン(感知線)上の許容誤差に位置合わせがされるようにベルト上に設定され、一般的な固定されたセンサでその目標の各々を走査し、センサラインから走査された目標の位置変化を示す横位置誤差信号を各目標に対して生成し、前記少なくとも2つの目標に対する横位置誤差信号の平均を出す、方法によって達成される。目標の各々は、ベルトに形成されたN型形状の開口パターンであり、各目標に対する横位置誤差信号は、直立したVを形成するN型パターンの第1と第2の辺(leg)の間の感知線に沿った距離n1と、反転したVを形成するN型パターンの第2の辺と第3の辺間の感知線にそった距離n2によって判断される。
【0010】本発明の態様は、長手方向に移動するエンドレスベルトの横方向の位置を制御する方法であって、センサライン上の許容誤差に位置合わせされる少なくとも2つの目標をベルト上に提供するステップと、共通の固定されたセンサで目標の各々を走査して、各目標に対してセンサラインから走査された目標の位置変動を示す横方向の位置誤差信号を生成するステップと、前記少なくとも2つの目標に対する横方向位置誤差信号の平均をとるステップと、一方向においてベルトを横方向に変位して、横方向位置誤差信号の平均を0に減らすステップとである。
【0011】
【実施例】図1には受光体ベルト12の一般的な構成及び移動経路構造が示されている。ベルト12は固定されたガイドローラ14の周りを案内されており、1つ以上のガイドローラが駆動されて、矢印16の方向にベルト12を進める。エンドレスベルトループの一端、即ち、図1に示されている左端部にベルトステアリングローラ18は配置されている。ステアリングローラ18は、ローラ18に巻回されたベルト部分が、ベルト12の対向した主な移動又は稼働を分離するように配置されている。また、ローラ18はベルトの移動方向に関して、センサ20から上流に配置されることが留意されるであろう。
【0012】図2及び図3に示されているように、ステアリングローラ18は、ヨーク(二又枠)22によって軸21を中心として回転するように支持されており、このヨーク22は、ベルトの移動方向に実質的に平行して延出している中心の長手軸26を中心として回転するように支持されるシャフト24の端部で支えられている。シャフト24は、対向する側壁31と32の間に延出している横方向の梁30によって支持されるベアリングアセンブリ28に回転運動と長手方向移動するように支持する。側壁31、32及び梁30は、ベルト12の支持構造体の部分を形成する。この様な支持構造体は、部分的にしか図示されていないが、梁30から離間された横方向の梁34を含む。梁34は、軸26のガイドローラ18の長手方向の位置を制御する圧縮スンプリング38と協働するクランク機構36を支持する。
【0013】図3及び図4に示されているように、軸26の周りのステアリングローラの角度位置の制御は、側壁31に固定され、カム42に接続された最終出力シャフト41を有するステッピングモーター40によって行われる。図示されていないが、ステッピングモーターは、出力シャフト41の先端に減速装置を備えてもよい。実施例に示されているカム42は、ヨーク22の端部に固定されている従動プレート44の下にある。圧縮スプリング52は、常にカム42と係合するように従動プレート44をバイアス(付勢)する。従って、ステッピングモーター40のシャフト41上のカム42の回転運動は、中心長手軸26の周りにステアリングローラ18を一方向に傾けるように作動するが、スプリング52は、反対方向にローラ18を傾けるようにヨーク22をバイアスすることが認識されるであろう。このように、カムの外形及び角度位置により、ステアリングローラの傾斜位置は常に制御される。
【0014】図5には、本発明のオーバーオールベルトステアリングシステムの実施例が機能ブロック図で概略的に示されている。受光体ベルト12は、ループのシームで切断され、平らに延ばしたかのような展開図に示されている。ステアリングローラ18、ガイドローラ14、ステピングモータ40及びカム42を含む図1乃至図4を参照にして既に記述された構造が概略的に示される。図5においてベルトは、単一の典型的な目標54を伴って示されており、センサ又はスキャナー20によって走査され、図6及び図7を参照にして更に詳細に記述されるように横方向のベルト位置yと対応する信号を提供する。
【0015】図5に示されているシステムは、信号平均化装置58、補償器60及びモータ制御モジュール62を備えるデジタル制御装置56を含む。ステッパーモータ40は、デジタル制御装置56のモータ制御モジュール62によって制御される動力駆動装置(パワードライバ)64によって動作される。また、制御装置56は、図5のクロック目盛り(スケール)66によって示される時間のデジタル間隔を提供するためのクロックパルスカウンタを含む。図5に示されている制御システム及びベルト12の横方向位置を維持するための動作更に詳しい理解は、図6乃至7を参照にすると共に、ベルト12によって支持される目標54についての下記の記述によってなされる。
【0016】図6に更に明確に示されているように、目標54は、ベルト12の材料を切断して線形のスロットとして形成されることが好ましい3本の辺70、72及び74のパターンとして画定され、ほぼ傾斜したN型の目標構造を提供する。スロットは、目標中心線Ct −Ct に対して、好ましくは共通の角度ζで傾斜し、外側のスロット70と74の角度が、中心辺72と反対の角度(補角)となる。従って、一方の外側辺70は、中心辺72とで第1のV型をなし、他方の外側辺74は中心辺72とで第2のV型78を形成する。第2のV型78は第1のV型76に対して反転されている。
【0017】図6の点線0−0は図1のセンサ20等の固定された光学センサの走査線を示しており、その結果、線形ベルト及び目標は目標中心線Ct −Ct と平行する方向に移動する。図示されているように、走査線0−0は、横方向の距離yだけ、目標の中心線から変位される。走査線がそのように変位される場合、クロック目盛り66上のクロックパルス即ち”CLKS”で測定される距離n1は、目標54が辺70と中心辺72の間の線0−0上を進行するのに必要とされる時間を示す。従って、同様に測定された間隔n2は、中心の辺72ともう一方の外側辺74の間の走査線0−0上の目標進行のためのクロックパルス”CLKS”の時間を示す。一定のベルト速度を仮定すると、ミリメーター単位の変位距離yは図6に示されている式を用いて計算できる。即ち、 y〔mm〕=cscale 〔mm/clk〕×(n1−n2)〔clk〕
×tanζ÷4 ・・・(1)
である。
【0018】目標パターン54の傾斜N型構造は、横方向のベルトの変位を測定するために、三角形や梯形の目標等の他の目標構造をまさる利点を提供する。例えば、図5に示されているように、N型スロットの目標測定精度は、三角形や梯形の目標の2倍の分解能である。つまり同じ変位yに対してクロックカウントの2倍である。従って、図1乃至図4を参照にして上述されたステアリングモーターカム駆動を低価格でより少ないスピード減少比とすることができる。更に、三角形や梯形の目標の場合、ベルトの変位は光学センサ信号のライジング(立ち上がり)エッジとフォーリング(立ち下がり)エッジの間のタイミングによって検出される。光学センサのライジングエッジとフォーリングエッジの特性は、一般的に異なるので、両方の条件に対する次の信号処理回路を最適化する事は不可能である。これは、三角形又は梯形の目標に誤差を誘発する。一方、図5に示されているN型スロットの設計の場合、タイミングは、全てのライジング及び全てのフォーリングのいずれか一方の同一方向の連続する光学センサ信号であり、次に信号処理回路は、誤差位置を最小化するために最適化する。
【0019】図7には、ベルト12の中心線C−C等の任意の基準線及び、センサ20の固定された走査線0−0に関連する複数の目標54a 、54b 、54c ...54m の位置が示されている。この様な相対的な位置決めの目盛りは、本発明の原則を図示し、以下の説明を容易にするために図7でかなり強調されている。
【0020】hがベルトの中心線C−Cから目標の中心線Ct −Ct の距離であり、yがセンサの走査線0−0からの測定距離である単一目標54の場合、所与の測定値に対するベルト12の横方向の位置は、Y=y+E〔σ〕+h ・・・(2)
で表され、E〔σ〕は、測定値yの正規分布誤差であり、σはEの標準偏差になる。ステアリング制御のもとで、yが0へ駆動される場合、ysetpoint=0 ・・・(3)
で、ベルト位置の設定点(セットポイント)は、Ψsetpoint=h+E〔σ〕. ・・・(4)
ベルトの基準線C−Cは任意であるので、C−Cは目標の中心線Ct −Ct を通ってもよく、即ち、h=0でもよい。これは、Ysetpoint=E〔σ〕 ・・・(5)
の関係を示す。
【0021】本発明に従って、少なくとも2つの目標54(好ましくは、2つを越える目標で、より好ましくは、できるだけ多くの目標がベルトに設けられる)は、目標の間の適切な間隔を伴ってベルト12に設けられるので、ベルトの動作速度において、ベルトの操舵計算のために各目標の走査がなされた後に時間の余裕があり、次の目標の前にモータ40によって実行される計算は走査される。又、本発明の方法及びシステムによると、目標位置y1 ・・・ym はセンサ20を通過するベルト12の各回転毎に連続して測定される。
【0022】従って、一回転のベルト12の平均横方向位置Yavg は、
【0023】
【数1】
【0024】となり、mはベルト上の目標の総数、iは個々の目標の添字指示(記号)即ち、i=1、2、3・・・m、hi はベルトの中心線C−Cからの指定の目標中心線の位置、yi は走査線0−0からの指定の目標中心線の測定距離、ei は測定値の誤差+yi 、E〔σi 〕は測定値yi の正規分布誤差、σi は、E〔σi 〕の標準偏差誤差を表す。
【0025】走査線0−0からの目標位置測定値の平均値は、ベルトの各回転につきm回の更新が行われる変数yavg である。即ち、
【0026】
【数2】
【0027】正規分布測定値の平均は、他の正規分布である。m個の測定値分布が(σi =σ)であると仮定すると、
【0028】
【数3】
【0029】となる。
【0030】目標位置の平均値 havg は、下式に基づいた他の定数値である。
【0031】
【数4】
【0032】最後に、結果的にベルト位置の平均値の式は、既に説明された単一の目標の場合と項毎に対応する。
【0033】
Yavg =yavg +E〔σ〕+havg ・・・(10)
【0034】ベルト上の2つの目標の位置測定値を用いる、ベルト12の横方向の位置の制御方法及びシステムは、図8に示されているフローチャートを参照にして理解できる。データエントリーブロック80の説明文によって示されているように、現在測定変位値y0を除く全ての値は、値y0の決定の前にサンプリングされたデータによって得られる。従って、y1、p0、p1、p2、q0、q1、q2の初期値は、ベルトのステアリング動作の前にブロック80へ入力されると仮定される。一方、2つ以上の目標54を有するベルトが使用される場合データエントリーブロックの全ての値は、ベルト12の1回転後に実値になることが理解される。
【0035】初期化がなされた後、目標54がセンサ20を通過する度に、y0の新しい値は入力される。図8のブロック82に示されている次のステップで新しい値y0と、1回前に測定されたベルトの変位値y1が平均化され、現在平均測定変位p0を提供する。
【0036】次のステップにおいて直列(シリーズ)の補償フィルタステップでは、ブロック84の式に示されているように値p0に適用される。補償ステップが使用されるのは、目標54、センサ20、最終的にステアリングローラ18によって示されるベルトステアリング制御システムが、ハンチングの影響を避けるために安定性を必要とする閉ループフィードバックシステムの性質を帯びる。直列の補償フィルタは一般的にこのような制御システムに使用されると共に、下記の典型的なZ変換関数によって数学的に表される。
【0037】
【数5】
【0038】ブロック84の式の値a1、a2、b1、b2は、下記のようにZ変換関数の値に関連する。
【0039】a1=Alag −Aleada2=Alag ×Aleadb1=Blead−Blagb2=Blead×Blag
【0040】実際に、項a1、a2、b1、b2の値は、制御されるデバイスの特性と同様に、制御システムの特性によって決定される。定数Kも同様に選ばれる。この様に所与の機械に対してこれらの値は、実験によって決定され、信号処理の定数値として保持される。
【0041】補償ステップ後、値q0は、ステップにおけるステアリング補正ステップnを計算するために使用される。この計算は、図8のブロック86に示される。
【0042】ステアリング補正値nの計算の次に、値nは処理され、(1)値nが0、正又は負のいづれであるかを決定し、(2)前のステアリング補正nlastと比較され、(3)バックラッシュが補償される。バックラッシュの値もステップモータ40への入力とカム42を介するステップモータ40の出力との間の差を示す定数であり、ステアリングローラ18の角度を変える。このようにバックラッシュは各機械毎に変わるが、所定の機械に対しては比較的一定のままである。
【0043】前述の方法での値nの処理は、図8の質問(問い合わせ)ブロック89、90、91、92及び、計算ブロック93、94によって示される。nの値が0である場合、信号の処理はブロック90乃至94では起こらない。nの値が0よりも少ない即ち、マイナスの場合、先ず最初に、前のステアリング補正nlast(最新)が正であったかどうかが質問ブロック91によって決定される。値nlastが正でなかった場合、ブロック93による補正はされない。一方、値nlastが0よりも大きい場合は、次にブロック93に示されている補正に従って、値nはバックラッシュの補正がなされる。同様に、nの値が0よりも大きい即ち、正の場合、質問ブロック92により処理され、ブロック94でバックラッシュ補正がされる。
【0044】nの完全に補償された値が決定されると、その値は関数nlastとして記憶される。この点で、値y0、p0、q0の各々が”現在の”ベルトステアリング補正値nで使用するために決定されると、ブロック88に示されるメモリにそれらの値が記憶され、センサ20による連続する目標走査毎に更新されることに留意される。この様に、新しい又は現在測定変位値y0の各々が、センサ20を通過するベルト12上の各目標54の通過によって提供されるので、新しいステアリングコマンドが算定され、実行される。更に、この様なステアリングコマンドの各々は、ベルト上の全ての目標54に対して測定された変位の平均であり、目標54はベルト12の各回転中に1回だけセンサ20を通過する。所与のベルト上の全ての目標の変位の数より少ない数の変位が平均される場合、その平均は、目標位置誤差の全てを補償するのではないと共に、平均を示さない。同様に、ベルト上の全ての目標の変位の数よりも多い変位の平均の場合、測定された目標変位の数がベルト上の目標54の整数倍でない限り、最適精度よりも低くなる。
【0045】ステアリング補正nの最終調整ベルトステアリングコマンドの補正ステップの数を正と負の最大値だけに制限することを含む。ステアリング補正をそのように制限するステップが、図8の質問ブロック95、96及び、ブロック97、98に示されている。ステップモータ40によって実行されるステアリングステップの数を限定することは、ステップモータ40の動作が、次のステアリングコマンドの出る前に全ての所与のステアリングコマンドに対して完了するために必要である。言い換えれば、目標54がセンサ20の下を通過する度に、完全なステアリング動作が次の目標がセンサ20を通過する前に完了しなければならない。従って、多数の目標を有するステアリングステップの数は、その上に2、3の目標54しか備えないベルトに対抗するように減少される必要がある。
【0046】本発明のベルトステアリングシステムの信号及び回路は、パーソナルコンピュータ99及び、カウンタ時間設備でデジタル入力及び出力を提供する関連データ変換ボード100に関連したブロック図形式で示されている。ボード100は、パーソナルコンピュータと外部回路の間で信号を変換するために作動し、このボードは、マサチューセッツ州所在のマルボロのデータ変換インコーポレ−テッド(Data Translation, Inc. of Marlboro) から商標表示”DT2819”下で商業的に入手可能である。
【0047】ベルト12上の目標54(図9には示されていない)を走査した時に、センサ20の出力は、ゲート回路102へ送りだされて、図6を参照にして上述された距離n1とn2の測定をトリガーする機能を果たす。各目標54毎にクロックパルスのこれらの距離測定値がコンピュータに入力された後、回路102はリセットされる。
【0048】前述されてはいないが、ベルト12は、ベルト駆動モータ制御回路106の制御の下に、モータ104によって駆動される。制御装置106は、モータ104を動作し、ベルト12をクロックパルス発生装置108と同期して直線状に駆動する。この動作については、ベルト12の速度は光学エンコーダデバイス110によって監視され、線形ベルト速度に対応する周波数で、エンコーダーパルスを発生する。エンコーダパルスは、クロックパルス発生装置108に入力され、フィードバックモードでは、ベルトモータ制御回路106に入力される。このように、ベルト12は、一定速度でモータによって駆動されてもよいが、更に重要なことは、各目標54の所与の変位における距離n1、n2を示すためにベルトの移動中にカウントされるクロックパルスの数は、ベルト速度の僅かな変化に関係なく正確であるということである。
【0049】更に、本発明のシステムは通常のトラッキング監視設備と、軸26を中心とするステアリングローラの角度位置を含む。図9に示されているように、ヨーク22が正規又は中心のトラッキング位置に対応する角度位置にある場合、中心検出器112は信号を発生する。ステアリングローラやヨークのこの様な位置は、最適ベルトトラッキングが最も得られそうな角度姿勢のステアリングローラでベルト駆動サイクルが開始されることを確実にするために使用される。中心トラッキング信号は、検出器112によって生成される信号を、インターフェースボード100によってコンピュータ99へ伝達可能な状態へ変換するインターフェイスとしての役割を果たす調節(コンディショニング)回路114に入力される。”実行可(ok to go)”コマンドは、中心トラッキング信号に応じたコンピュータによって出される。
【0050】安全測定として、最大許容ベルト横方向位置が一対のリミットスイッチS1、S2によって検出される。これらのスイッチのいずれかが閉じられている場合、警報又は停止信号は、信号調節器114及び左側限界と右側限界としてのインターフェイスボード100を通ってコンピュータ99へ送られる。ステアリングモータ制御装置、ステアリングローラ18を含むステアリング機構等の図9に示されている他の構成要素については、前述されており、これ以上の説明は必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が中に使用されている受光体ベルトの移動経路形態を示す概略側面図。
【図2】本発明のベルトステアリング機構を示す拡大部分縦断面図。
【図3】図2に示された機構の部分拡大概略平面図。
【図4】図3の線4−4の拡大部分断面図。
【図5】本発明のベルトステアリングシステムの機能ブロック図。
【図6】本発明に用いられるベルト目標の拡大平面図。
【図7】図6に示されている種類の様々な目標の相対位置を示す概略線図。
【図8】本発明の信号処理論理を示すフローチャート。
【図9】本発明のベルトステアリング回路構成部分を示す回路ブロック図。
【符号の説明】
20 センサ
54 目標
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、長手方向に移動するベルトの位置を制御する方法及び装置に関し、更に詳細には、ベルトを高精度で制御するための方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の改良されたデジタル入力カラー複写機やデジタル入力カラープリンタは、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックの個々の画像を必要とし、排(出力)シート上に直径0.1mmの円内に位置合わせ(見当合わせ)される。この位置合わせ精度を達成するために、受光体(例えば、感光体)ベルトの横(幅)方向位置の変化率は、3色の連続画像で±0.25mmを超えてはならない。全体として、横方向のベルト位置は、約±0.1mmの範囲内に保たれることが必須である。
【0003】多種類のステアリング(操舵)システムは一般的にエンドレスベルトの位置合わせを維持するために考案されているが、複写機及びプリンタのベルトトラッキング(軌道追跡)制御の最近の改良は、電気モータドライブが電源のオン/オフのコマンドに応じてステアリングロールを傾斜する”能動(アクティブ)”ステアリングシステムに向けられている。光(オプト)センサからの信号は、ベルトのエッジ位置を確定する。マイクロプロセッサ制御装置は、ベルトの回転毎に1回、ベルトが設定点(セットポイント)位置の一側にあるか、他側にあるかを判定する。次に、補正ステアリングコマンドは、相対的なベルト位置と限定された一連の制御ルールに従った繰り返し数の組み合わせから演繹される。このシステムにより±0.3mm以内の横方向の制御が達成される。
【0004】最近では、対角線センサは、同様の機構を使用して、”位相平面制御”と称されたベルトトラッキング制御に適用される。また、ベルト位置は各回転毎に測定されるが、対角線センサから入手可能な追加情報により、補正処理の改良ができる。ステアリングコマンドは、位置と変化率と制御ルールの限定されたセットによる反復数の組み合わせから演繹される。このシステムは、14mmのピーク間の位置限定サイクルを有するが、変位率は十分に低く、0.3mmの範囲の連続した色分離を達成する。
【0005】米国特許第4、557、372号では、ベルト上の2つ以上の目標(ターゲット)パターンの独立測定によるベルト制御方式を示す、ベルトシステムの位置合わせ装置を開示する。これらの種類のシステムにおいて、個々の目標の横方向の変位は感知され、横方向の変位信号がベルトステアリングデバイスへ入力される。このタイプのベルト位置合わせ制御の主な難点は、位置合わせの正確さがベルト上の個々の目標の正確さにより指令されることである。目標の精度を±0.1mm以内にするために、ベルトの製造費及び目標設定費が法外になってしまう。
【0006】最近のカラープリンタでは、比較的薄くてもろいプラスチックフィルムベースの光導電性樹脂(フォトレジストプラスチック)ベルトが使用される。これらのベルトは、長い連続的にコーティングされたストリップ(細片)として製造される。仕上がった光導電性樹脂ベルトは、所定の幅にストリップを切り、所定の長さに切断し、所望のスリット及び穴のサイズにダイ抜き板加工をし、ループを形成するようにシーム(継ぎ目)を接合することにより製造される。この様な製造過程は、印を有するベルトに要求される種類の精度に貢献しないで、既存のベルトステアリング技術を用いて0.1mm範囲内にベルトの位置合わせを行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述に基づく本発明の目的は、ベルトとベルト上の位置合わせ印の形成に許容される製造公差よりも小さい横方向位置変動内にエンドレス受光体ベルトを維持する方法と装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段と作用】以下に具体的かつ広く記述されているように、本発明の趣旨に従って目的を達成するために、本発明は、長手方向へ移動するエンドレスベルトの移動の各回転中に少なくとも2回、固定された基準線からのベルトの変位を測定して、測定された変位の現在値と測定された変位の少なくとも1回前の値を得て、その測定された変位の現在値とその測定された変位の少なくとも1回前の値の平均を取り、測定された変位の現在平均値を得ることにより、エンドレスベルトの横方向の位置を制御する方法からなる。測定された変位の現在平均値は、測定された変位の継続的な現在値の各々に対して計算され、ベルトステアリングの補正要素(ファクタ)を提供する。測定された変位の現在平均値をゼロまで減少させる必要があるので、ベルトは、ベルトステアリングの補正要素に従って操舵される。
【0009】更に、本発明の目的及び趣旨は、少なくとも2つの目標が、センサライン(感知線)上の許容誤差に位置合わせがされるようにベルト上に設定され、一般的な固定されたセンサでその目標の各々を走査し、センサラインから走査された目標の位置変化を示す横位置誤差信号を各目標に対して生成し、前記少なくとも2つの目標に対する横位置誤差信号の平均を出す、方法によって達成される。目標の各々は、ベルトに形成されたN型形状の開口パターンであり、各目標に対する横位置誤差信号は、直立したVを形成するN型パターンの第1と第2の辺(leg)の間の感知線に沿った距離n1と、反転したVを形成するN型パターンの第2の辺と第3の辺間の感知線にそった距離n2によって判断される。
【0010】本発明の態様は、長手方向に移動するエンドレスベルトの横方向の位置を制御する方法であって、センサライン上の許容誤差に位置合わせされる少なくとも2つの目標をベルト上に提供するステップと、共通の固定されたセンサで目標の各々を走査して、各目標に対してセンサラインから走査された目標の位置変動を示す横方向の位置誤差信号を生成するステップと、前記少なくとも2つの目標に対する横方向位置誤差信号の平均をとるステップと、一方向においてベルトを横方向に変位して、横方向位置誤差信号の平均を0に減らすステップとである。
【0011】
【実施例】図1には受光体ベルト12の一般的な構成及び移動経路構造が示されている。ベルト12は固定されたガイドローラ14の周りを案内されており、1つ以上のガイドローラが駆動されて、矢印16の方向にベルト12を進める。エンドレスベルトループの一端、即ち、図1に示されている左端部にベルトステアリングローラ18は配置されている。ステアリングローラ18は、ローラ18に巻回されたベルト部分が、ベルト12の対向した主な移動又は稼働を分離するように配置されている。また、ローラ18はベルトの移動方向に関して、センサ20から上流に配置されることが留意されるであろう。
【0012】図2及び図3に示されているように、ステアリングローラ18は、ヨーク(二又枠)22によって軸21を中心として回転するように支持されており、このヨーク22は、ベルトの移動方向に実質的に平行して延出している中心の長手軸26を中心として回転するように支持されるシャフト24の端部で支えられている。シャフト24は、対向する側壁31と32の間に延出している横方向の梁30によって支持されるベアリングアセンブリ28に回転運動と長手方向移動するように支持する。側壁31、32及び梁30は、ベルト12の支持構造体の部分を形成する。この様な支持構造体は、部分的にしか図示されていないが、梁30から離間された横方向の梁34を含む。梁34は、軸26のガイドローラ18の長手方向の位置を制御する圧縮スンプリング38と協働するクランク機構36を支持する。
【0013】図3及び図4に示されているように、軸26の周りのステアリングローラの角度位置の制御は、側壁31に固定され、カム42に接続された最終出力シャフト41を有するステッピングモーター40によって行われる。図示されていないが、ステッピングモーターは、出力シャフト41の先端に減速装置を備えてもよい。実施例に示されているカム42は、ヨーク22の端部に固定されている従動プレート44の下にある。圧縮スプリング52は、常にカム42と係合するように従動プレート44をバイアス(付勢)する。従って、ステッピングモーター40のシャフト41上のカム42の回転運動は、中心長手軸26の周りにステアリングローラ18を一方向に傾けるように作動するが、スプリング52は、反対方向にローラ18を傾けるようにヨーク22をバイアスすることが認識されるであろう。このように、カムの外形及び角度位置により、ステアリングローラの傾斜位置は常に制御される。
【0014】図5には、本発明のオーバーオールベルトステアリングシステムの実施例が機能ブロック図で概略的に示されている。受光体ベルト12は、ループのシームで切断され、平らに延ばしたかのような展開図に示されている。ステアリングローラ18、ガイドローラ14、ステピングモータ40及びカム42を含む図1乃至図4を参照にして既に記述された構造が概略的に示される。図5においてベルトは、単一の典型的な目標54を伴って示されており、センサ又はスキャナー20によって走査され、図6及び図7を参照にして更に詳細に記述されるように横方向のベルト位置yと対応する信号を提供する。
【0015】図5に示されているシステムは、信号平均化装置58、補償器60及びモータ制御モジュール62を備えるデジタル制御装置56を含む。ステッパーモータ40は、デジタル制御装置56のモータ制御モジュール62によって制御される動力駆動装置(パワードライバ)64によって動作される。また、制御装置56は、図5のクロック目盛り(スケール)66によって示される時間のデジタル間隔を提供するためのクロックパルスカウンタを含む。図5に示されている制御システム及びベルト12の横方向位置を維持するための動作更に詳しい理解は、図6乃至7を参照にすると共に、ベルト12によって支持される目標54についての下記の記述によってなされる。
【0016】図6に更に明確に示されているように、目標54は、ベルト12の材料を切断して線形のスロットとして形成されることが好ましい3本の辺70、72及び74のパターンとして画定され、ほぼ傾斜したN型の目標構造を提供する。スロットは、目標中心線Ct −Ct に対して、好ましくは共通の角度ζで傾斜し、外側のスロット70と74の角度が、中心辺72と反対の角度(補角)となる。従って、一方の外側辺70は、中心辺72とで第1のV型をなし、他方の外側辺74は中心辺72とで第2のV型78を形成する。第2のV型78は第1のV型76に対して反転されている。
【0017】図6の点線0−0は図1のセンサ20等の固定された光学センサの走査線を示しており、その結果、線形ベルト及び目標は目標中心線Ct −Ct と平行する方向に移動する。図示されているように、走査線0−0は、横方向の距離yだけ、目標の中心線から変位される。走査線がそのように変位される場合、クロック目盛り66上のクロックパルス即ち”CLKS”で測定される距離n1は、目標54が辺70と中心辺72の間の線0−0上を進行するのに必要とされる時間を示す。従って、同様に測定された間隔n2は、中心の辺72ともう一方の外側辺74の間の走査線0−0上の目標進行のためのクロックパルス”CLKS”の時間を示す。一定のベルト速度を仮定すると、ミリメーター単位の変位距離yは図6に示されている式を用いて計算できる。即ち、 y〔mm〕=cscale 〔mm/clk〕×(n1−n2)〔clk〕
×tanζ÷4 ・・・(1)
である。
【0018】目標パターン54の傾斜N型構造は、横方向のベルトの変位を測定するために、三角形や梯形の目標等の他の目標構造をまさる利点を提供する。例えば、図5に示されているように、N型スロットの目標測定精度は、三角形や梯形の目標の2倍の分解能である。つまり同じ変位yに対してクロックカウントの2倍である。従って、図1乃至図4を参照にして上述されたステアリングモーターカム駆動を低価格でより少ないスピード減少比とすることができる。更に、三角形や梯形の目標の場合、ベルトの変位は光学センサ信号のライジング(立ち上がり)エッジとフォーリング(立ち下がり)エッジの間のタイミングによって検出される。光学センサのライジングエッジとフォーリングエッジの特性は、一般的に異なるので、両方の条件に対する次の信号処理回路を最適化する事は不可能である。これは、三角形又は梯形の目標に誤差を誘発する。一方、図5に示されているN型スロットの設計の場合、タイミングは、全てのライジング及び全てのフォーリングのいずれか一方の同一方向の連続する光学センサ信号であり、次に信号処理回路は、誤差位置を最小化するために最適化する。
【0019】図7には、ベルト12の中心線C−C等の任意の基準線及び、センサ20の固定された走査線0−0に関連する複数の目標54a 、54b 、54c ...54m の位置が示されている。この様な相対的な位置決めの目盛りは、本発明の原則を図示し、以下の説明を容易にするために図7でかなり強調されている。
【0020】hがベルトの中心線C−Cから目標の中心線Ct −Ct の距離であり、yがセンサの走査線0−0からの測定距離である単一目標54の場合、所与の測定値に対するベルト12の横方向の位置は、Y=y+E〔σ〕+h ・・・(2)
で表され、E〔σ〕は、測定値yの正規分布誤差であり、σはEの標準偏差になる。ステアリング制御のもとで、yが0へ駆動される場合、ysetpoint=0 ・・・(3)
で、ベルト位置の設定点(セットポイント)は、Ψsetpoint=h+E〔σ〕. ・・・(4)
ベルトの基準線C−Cは任意であるので、C−Cは目標の中心線Ct −Ct を通ってもよく、即ち、h=0でもよい。これは、Ysetpoint=E〔σ〕 ・・・(5)
の関係を示す。
【0021】本発明に従って、少なくとも2つの目標54(好ましくは、2つを越える目標で、より好ましくは、できるだけ多くの目標がベルトに設けられる)は、目標の間の適切な間隔を伴ってベルト12に設けられるので、ベルトの動作速度において、ベルトの操舵計算のために各目標の走査がなされた後に時間の余裕があり、次の目標の前にモータ40によって実行される計算は走査される。又、本発明の方法及びシステムによると、目標位置y1 ・・・ym はセンサ20を通過するベルト12の各回転毎に連続して測定される。
【0022】従って、一回転のベルト12の平均横方向位置Yavg は、
【0023】
【数1】
【0024】となり、mはベルト上の目標の総数、iは個々の目標の添字指示(記号)即ち、i=1、2、3・・・m、hi はベルトの中心線C−Cからの指定の目標中心線の位置、yi は走査線0−0からの指定の目標中心線の測定距離、ei は測定値の誤差+yi 、E〔σi 〕は測定値yi の正規分布誤差、σi は、E〔σi 〕の標準偏差誤差を表す。
【0025】走査線0−0からの目標位置測定値の平均値は、ベルトの各回転につきm回の更新が行われる変数yavg である。即ち、
【0026】
【数2】
【0027】正規分布測定値の平均は、他の正規分布である。m個の測定値分布が(σi =σ)であると仮定すると、
【0028】
【数3】
【0029】となる。
【0030】目標位置の平均値 havg は、下式に基づいた他の定数値である。
【0031】
【数4】
【0032】最後に、結果的にベルト位置の平均値の式は、既に説明された単一の目標の場合と項毎に対応する。
【0033】
Yavg =yavg +E〔σ〕+havg ・・・(10)
【0034】ベルト上の2つの目標の位置測定値を用いる、ベルト12の横方向の位置の制御方法及びシステムは、図8に示されているフローチャートを参照にして理解できる。データエントリーブロック80の説明文によって示されているように、現在測定変位値y0を除く全ての値は、値y0の決定の前にサンプリングされたデータによって得られる。従って、y1、p0、p1、p2、q0、q1、q2の初期値は、ベルトのステアリング動作の前にブロック80へ入力されると仮定される。一方、2つ以上の目標54を有するベルトが使用される場合データエントリーブロックの全ての値は、ベルト12の1回転後に実値になることが理解される。
【0035】初期化がなされた後、目標54がセンサ20を通過する度に、y0の新しい値は入力される。図8のブロック82に示されている次のステップで新しい値y0と、1回前に測定されたベルトの変位値y1が平均化され、現在平均測定変位p0を提供する。
【0036】次のステップにおいて直列(シリーズ)の補償フィルタステップでは、ブロック84の式に示されているように値p0に適用される。補償ステップが使用されるのは、目標54、センサ20、最終的にステアリングローラ18によって示されるベルトステアリング制御システムが、ハンチングの影響を避けるために安定性を必要とする閉ループフィードバックシステムの性質を帯びる。直列の補償フィルタは一般的にこのような制御システムに使用されると共に、下記の典型的なZ変換関数によって数学的に表される。
【0037】
【数5】
【0038】ブロック84の式の値a1、a2、b1、b2は、下記のようにZ変換関数の値に関連する。
【0039】a1=Alag −Aleada2=Alag ×Aleadb1=Blead−Blagb2=Blead×Blag
【0040】実際に、項a1、a2、b1、b2の値は、制御されるデバイスの特性と同様に、制御システムの特性によって決定される。定数Kも同様に選ばれる。この様に所与の機械に対してこれらの値は、実験によって決定され、信号処理の定数値として保持される。
【0041】補償ステップ後、値q0は、ステップにおけるステアリング補正ステップnを計算するために使用される。この計算は、図8のブロック86に示される。
【0042】ステアリング補正値nの計算の次に、値nは処理され、(1)値nが0、正又は負のいづれであるかを決定し、(2)前のステアリング補正nlastと比較され、(3)バックラッシュが補償される。バックラッシュの値もステップモータ40への入力とカム42を介するステップモータ40の出力との間の差を示す定数であり、ステアリングローラ18の角度を変える。このようにバックラッシュは各機械毎に変わるが、所定の機械に対しては比較的一定のままである。
【0043】前述の方法での値nの処理は、図8の質問(問い合わせ)ブロック89、90、91、92及び、計算ブロック93、94によって示される。nの値が0である場合、信号の処理はブロック90乃至94では起こらない。nの値が0よりも少ない即ち、マイナスの場合、先ず最初に、前のステアリング補正nlast(最新)が正であったかどうかが質問ブロック91によって決定される。値nlastが正でなかった場合、ブロック93による補正はされない。一方、値nlastが0よりも大きい場合は、次にブロック93に示されている補正に従って、値nはバックラッシュの補正がなされる。同様に、nの値が0よりも大きい即ち、正の場合、質問ブロック92により処理され、ブロック94でバックラッシュ補正がされる。
【0044】nの完全に補償された値が決定されると、その値は関数nlastとして記憶される。この点で、値y0、p0、q0の各々が”現在の”ベルトステアリング補正値nで使用するために決定されると、ブロック88に示されるメモリにそれらの値が記憶され、センサ20による連続する目標走査毎に更新されることに留意される。この様に、新しい又は現在測定変位値y0の各々が、センサ20を通過するベルト12上の各目標54の通過によって提供されるので、新しいステアリングコマンドが算定され、実行される。更に、この様なステアリングコマンドの各々は、ベルト上の全ての目標54に対して測定された変位の平均であり、目標54はベルト12の各回転中に1回だけセンサ20を通過する。所与のベルト上の全ての目標の変位の数より少ない数の変位が平均される場合、その平均は、目標位置誤差の全てを補償するのではないと共に、平均を示さない。同様に、ベルト上の全ての目標の変位の数よりも多い変位の平均の場合、測定された目標変位の数がベルト上の目標54の整数倍でない限り、最適精度よりも低くなる。
【0045】ステアリング補正nの最終調整ベルトステアリングコマンドの補正ステップの数を正と負の最大値だけに制限することを含む。ステアリング補正をそのように制限するステップが、図8の質問ブロック95、96及び、ブロック97、98に示されている。ステップモータ40によって実行されるステアリングステップの数を限定することは、ステップモータ40の動作が、次のステアリングコマンドの出る前に全ての所与のステアリングコマンドに対して完了するために必要である。言い換えれば、目標54がセンサ20の下を通過する度に、完全なステアリング動作が次の目標がセンサ20を通過する前に完了しなければならない。従って、多数の目標を有するステアリングステップの数は、その上に2、3の目標54しか備えないベルトに対抗するように減少される必要がある。
【0046】本発明のベルトステアリングシステムの信号及び回路は、パーソナルコンピュータ99及び、カウンタ時間設備でデジタル入力及び出力を提供する関連データ変換ボード100に関連したブロック図形式で示されている。ボード100は、パーソナルコンピュータと外部回路の間で信号を変換するために作動し、このボードは、マサチューセッツ州所在のマルボロのデータ変換インコーポレ−テッド(Data Translation, Inc. of Marlboro) から商標表示”DT2819”下で商業的に入手可能である。
【0047】ベルト12上の目標54(図9には示されていない)を走査した時に、センサ20の出力は、ゲート回路102へ送りだされて、図6を参照にして上述された距離n1とn2の測定をトリガーする機能を果たす。各目標54毎にクロックパルスのこれらの距離測定値がコンピュータに入力された後、回路102はリセットされる。
【0048】前述されてはいないが、ベルト12は、ベルト駆動モータ制御回路106の制御の下に、モータ104によって駆動される。制御装置106は、モータ104を動作し、ベルト12をクロックパルス発生装置108と同期して直線状に駆動する。この動作については、ベルト12の速度は光学エンコーダデバイス110によって監視され、線形ベルト速度に対応する周波数で、エンコーダーパルスを発生する。エンコーダパルスは、クロックパルス発生装置108に入力され、フィードバックモードでは、ベルトモータ制御回路106に入力される。このように、ベルト12は、一定速度でモータによって駆動されてもよいが、更に重要なことは、各目標54の所与の変位における距離n1、n2を示すためにベルトの移動中にカウントされるクロックパルスの数は、ベルト速度の僅かな変化に関係なく正確であるということである。
【0049】更に、本発明のシステムは通常のトラッキング監視設備と、軸26を中心とするステアリングローラの角度位置を含む。図9に示されているように、ヨーク22が正規又は中心のトラッキング位置に対応する角度位置にある場合、中心検出器112は信号を発生する。ステアリングローラやヨークのこの様な位置は、最適ベルトトラッキングが最も得られそうな角度姿勢のステアリングローラでベルト駆動サイクルが開始されることを確実にするために使用される。中心トラッキング信号は、検出器112によって生成される信号を、インターフェースボード100によってコンピュータ99へ伝達可能な状態へ変換するインターフェイスとしての役割を果たす調節(コンディショニング)回路114に入力される。”実行可(ok to go)”コマンドは、中心トラッキング信号に応じたコンピュータによって出される。
【0050】安全測定として、最大許容ベルト横方向位置が一対のリミットスイッチS1、S2によって検出される。これらのスイッチのいずれかが閉じられている場合、警報又は停止信号は、信号調節器114及び左側限界と右側限界としてのインターフェイスボード100を通ってコンピュータ99へ送られる。ステアリングモータ制御装置、ステアリングローラ18を含むステアリング機構等の図9に示されている他の構成要素については、前述されており、これ以上の説明は必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が中に使用されている受光体ベルトの移動経路形態を示す概略側面図。
【図2】本発明のベルトステアリング機構を示す拡大部分縦断面図。
【図3】図2に示された機構の部分拡大概略平面図。
【図4】図3の線4−4の拡大部分断面図。
【図5】本発明のベルトステアリングシステムの機能ブロック図。
【図6】本発明に用いられるベルト目標の拡大平面図。
【図7】図6に示されている種類の様々な目標の相対位置を示す概略線図。
【図8】本発明の信号処理論理を示すフローチャート。
【図9】本発明のベルトステアリング回路構成部分を示す回路ブロック図。
【符号の説明】
20 センサ
54 目標
【特許請求の範囲】
【請求項1】 長手方向に移動する循環ベルトの横方向位置を制御する方法において、センサライン上に所定許容誤差を有して位置合わせされるように、少なくとも2つのターゲットをベルト上に設けるステップと、固定された共通のセンサで各ターゲットを走査して、走査済みターゲットのセンサラインからの位置変動を代表する横方向位置に関する誤差信号をターゲット毎に発生させるステップと、少なくとも2つのターゲットの横方向位置誤差信号の平均をとるステップと、横方向位置誤差信号の平均がゼロになるような方向にベルトを横移動させるステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】 長手方向に移動する循環ベルトの、固定された基準ラインに関する横方向位置を保持制御するための装置において、1循環の間に少なくとも2度前記基準ラインからのベルト変位を測定する手段であって、測定した変位量の現在値と、少なくとも1つの測定済み変位量の過去値とを提供する前記手段と、前記変位量現在値と前記少なくとも1つの変位量過去値との平均値を得る手段と、前記平均値を、変位量現在値の各々のためのステアリング指令に変換する手段と、前記ステアリング指令に応じてベルト横方向位置を調整するステアリング手段と、を含むことを特徴とする装置。
【請求項1】 長手方向に移動する循環ベルトの横方向位置を制御する方法において、センサライン上に所定許容誤差を有して位置合わせされるように、少なくとも2つのターゲットをベルト上に設けるステップと、固定された共通のセンサで各ターゲットを走査して、走査済みターゲットのセンサラインからの位置変動を代表する横方向位置に関する誤差信号をターゲット毎に発生させるステップと、少なくとも2つのターゲットの横方向位置誤差信号の平均をとるステップと、横方向位置誤差信号の平均がゼロになるような方向にベルトを横移動させるステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】 長手方向に移動する循環ベルトの、固定された基準ラインに関する横方向位置を保持制御するための装置において、1循環の間に少なくとも2度前記基準ラインからのベルト変位を測定する手段であって、測定した変位量の現在値と、少なくとも1つの測定済み変位量の過去値とを提供する前記手段と、前記変位量現在値と前記少なくとも1つの変位量過去値との平均値を得る手段と、前記平均値を、変位量現在値の各々のためのステアリング指令に変換する手段と、前記ステアリング指令に応じてベルト横方向位置を調整するステアリング手段と、を含むことを特徴とする装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【特許番号】特許第3378873号(P3378873)
【登録日】平成14年12月6日(2002.12.6)
【発行日】平成15年2月17日(2003.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−306145
【出願日】平成5年12月7日(1993.12.7)
【公開番号】特開平6−255743
【公開日】平成6年9月13日(1994.9.13)
【審査請求日】平成12年12月5日(2000.12.5)
【出願人】(590000798)ゼロックス・コーポレーション (21)
【参考文献】
【文献】特開 平4−63389(JP,A)
【文献】特開 平3−177243(JP,A)
【文献】特開 昭59−190103(JP,A)
【文献】特開 昭62−222911(JP,A)
【登録日】平成14年12月6日(2002.12.6)
【発行日】平成15年2月17日(2003.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成5年12月7日(1993.12.7)
【公開番号】特開平6−255743
【公開日】平成6年9月13日(1994.9.13)
【審査請求日】平成12年12月5日(2000.12.5)
【出願人】(590000798)ゼロックス・コーポレーション (21)
【参考文献】
【文献】特開 平4−63389(JP,A)
【文献】特開 平3−177243(JP,A)
【文献】特開 昭59−190103(JP,A)
【文献】特開 昭62−222911(JP,A)
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