説明

ベルト用プロファイル及びブラシ付きベルト

【課題】ブラシを容易に交換することができ、しかも、ベルトからのブラシの脱落を防止することのできるベルト用プロファイル及びブラシ付きベルトの提供。
【解決手段】歯付ベルト4の背面側に配置するプロファイル本体5にブラシ2を設ける。連結部7を介して、爪部6をプロファイル本体5と一体に形成する。プロファイル本体5と爪部6とで歯付ベルト4の歯底部分を挟持する。歯付ベルト4にプロファイル3を着脱してブラシ2を交換する。プロファイル3に作用する強い力により、歯付ベルト4に対してプロファイル3が僅かに変位して衝撃力を緩和する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスや自動車の車体などを磨くためのブラシを有し、歯付ベルトに装着して使用するベルト用プロファイル及びブラシ付きベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガラスや自動車の車体などを磨くためのベルトは、ベルトの背面に直接ブラシ材を植毛加工した構造とされ、ベルトを回転駆動しながらベルト背面のブラシを押し当てることにより、物品の汚れを清掃するようになっている。
【0003】
ただ、ブラシ材を直接植毛したベルトは、そのブラシに汚れや摩耗などが生じることにより、ベルト本体に損傷や老朽化が生じていなくとも、ベルト全体を交換する必要があるため、ブラシの交換に要する時間が長くなると共に、そのコストが高くなりやすい。
【0004】
これに対して、例えば特許文献1は、ブラシを取り替え自在に設けた歯付ベルトを開示している。図10に示すように、ベルト本体101の背面には、ブラシ植毛シート102が面ファスナ103を介して取り外し可能に貼り合わされ、ブラシの汚れや摩耗が生じた際、ベルト本体101からブラシ植毛シート102を取り外して交換し、ベルト本体101はそのまま再使用するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−296293(段落番号0005〜0007、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のベルトに用いられている面ファスナは、ベルト本体とブラシ植毛シートとを広い面積で貼り合わせる分、両者をずれることなく強固に貼り合わせるものの、ブラシ植毛シートの一部が剥がれることにより、そこから一気に全体が剥がれて脱落するおそれがある。
【0007】
特に、清掃用のブラシを設けたベルトは、比較的に高速で回転させることが多く、ブラシ植毛シートを強固に貼り合わせている分、万が一、物品にブラシが引っ掛かるなどした場合には、面ファスナが受ける衝撃力も大きく、ブラシ植毛シートの一部から全体に及ぶ剥がれを生じやすい。
【0008】
本発明は、ブラシを容易に交換することができ、しかも、ベルトからのブラシの脱落を防止することのできるベルト用プロファイル及びブラシ付きベルトの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るベルト用プロファイルは、歯付ベルトに装着して使用するものであり、ブラシを有して歯付ベルトの背面側に配置するプロファイル本体と、このプロファイル本体との間に歯付ベルトの側縁部の歯底部分を挟持するよう歯付ベルトの側縁部かつ歯面側に配置する爪部とを備え、その爪部を歯付ベルト側面の外側を通る連結部を介してプロファイル本体と一体に形成したものである。
【0010】
上記構成によれば、プロファイル本体と爪部とを連結部を介して一体に形成するので、歯付ベルトの側縁部をプロファイル本体と爪部との間に挿入することにより、ブラシ付きのプロファイルを歯付ベルトに装着して、ベルト背面側にブラシを設けることができる。しかも、歯付ベルトの側縁部は、例えば歯付ベルトをベルト幅方向に湾曲させるなどして、プロファイル本体と爪部との間に容易に挿抜することができるので、歯付ベルトにプロファイルを容易に着脱して、ブラシを交換することができる。
【0011】
さらに、プロファイル本体と爪部とで歯付ベルトの側縁部の歯底部分を挟持するので、プロファイルに強い力が作用した場合には、歯付ベルトに対するプロファイルの僅かな変位を許容しつつ、その変位を爪部のベルト歯部への係止によって制限することができる。これにより、突然に磨き面にブラシが引っ掛かるなどして衝撃力が作用した場合には、ブラシに作用する衝撃力を緩和しつつ、過度の変位を阻止することができ、歯付ベルトからのブラシ付きプロファイルの脱落を防止することができる。
【0012】
また、ブラシとして、ブラシ材を植毛したブラシユニットを備え、このブラシユニットをプロファイル本体に着脱自在とした構成も採用可能である。この構成によれば、ブラシユニットのみを異なる種類のものに交換することにより、プロファイルのうちのブラシユニットを除く部分の共通化を図りつつ、ブラシの硬さや毛の長さなどを適宜選択することができる。
【0013】
また、歯付ベルトに上記のベルト用プロファイルを備えてブラシ付きベルトを構成することにより、上記のベルト用プロファイルの構成を採用することによる効果と同じ効果を奏する。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、本発明によると、プロファイル本体と爪部とを連結部を介して一体に形成し、プロファイル本体及び爪部で歯付ベルトの歯底部分を挟持して、ブラシ付きのプロファイルを歯付ベルトに装着するようにしている。これにより、ベルト背面側のブラシを容易に交換することができるので、一部のブラシが損傷した場合には、その損傷したブラシのプロファイルのみを交換し、ブラシ全体が老朽化した場合には、歯付ベルトをそのままにして全てのプロファイルのみを交換すればよく、ベルト全体の交換を不要にすることができる。
【0015】
さらに、プロファイル本体と爪部とで歯付ベルトの歯底部分を挟持するので、万が一、プロファイルに衝撃力が作用したとしても、その衝撃力を緩和しつつ過度の変位を阻止して、歯付ベルトからのブラシ付きプロファイルの脱落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るブラシ付きベルトの側面図
【図2】ブラシ付きベルトの平面図
【図3】プロファイルの正面図
【図4】プロファイルの平面図
【図5】プロファイルの側面図
【図6】プロファイルの底面図
【図7】別の形態のプロファイルの平面図
【図8】図7のプロファイルの側面図
【図9】図8のプロファイルのユニット取外状態を示す図で、(a)はブラシユニットの側面図、(b)はプロファイルの側面図
【図10】従来のブラシ付ベルトの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るベルト用プロファイル及びブラシ付きベルトを実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0018】
図1、図2に示すように、ブラシ付きベルト1は、例えば、ガラスや自動車の車体、その他の鉄板などを磨くためのものであり、ブラシ2を有する所望の個数のプロファイル3を歯付ベルト4に装着することにより、ベルト背面側にブラシ2を配した構成とされ、このブラシ付きベルト1を回転駆動しながらブラシ2を押し当てて、物品の汚れを清掃するようになっている。
【0019】
図3〜図6に示すように、プロファイル3は、例えば合成樹脂からなり、歯付ベルト4の背面側に配置されるプロファイル本体5と、プロファイル本体5との間に歯付ベルト4の側縁部4aの歯底部分を挟持するよう歯付ベルト4の側縁部4aかつ歯面側に配置される爪部6と、歯付ベルト4の側面の外側を通ってプロファイル本体5及び爪部6を連結するよう両者5、6と一体に形成された連結部7とを備え、そのプロファイル本体5の背面にブラシ2が設けられている。
【0020】
歯付ベルト4は、歯付プーリのプーリ歯に噛み合うベルト歯8を有すると共に、そのベルト幅が歯付プーリの中心軸方向長さよりも幅広に設定されている。これにより、歯付プーリに掛巻した歯付ベルト4のうち、プロファイル本体5と爪部6とで挟持される側縁部4aが、歯付プーリからベルト幅方向に突出し、歯付ベルト4と歯付プーリとの噛み合いが爪部6によって阻害されるのを防止する。
【0021】
プロファイル本体5は、両端部が歯付ベルト4のベルト幅方向両側に突出する長さの略長方形の板状とされ、その背面に、例えばナイロン製の複数本のブラシ材を植毛してブラシ2が設けられ、底面が歯付ベルト4のベルト背面に接するように配置される。
【0022】
爪部6は、歯付ベルト4のベルト歯8の歯溝に嵌る断面略正方形に形成され、歯付ベルト4の歯面側に配置されることにより、側縁部4aの歯底部分をプロファイル本体5との間に挟持しつつ、歯付ベルト4のベルト歯8に係止されて、ベルト長手方向への位置ずれを阻止する。
【0023】
連結部7は、例えば逆台形の板状とされ、歯付ベルト4のベルト幅とほぼ同じ間隔をあけて、プロファイル本体5の底面からベルト歯面側に突出するよう形成され、その先端部からベルト幅方向内向きに爪部6が突出形成されている。
【0024】
プロファイル3を歯付ベルト4に装着するには、歯付ベルト4をベルト幅方向に湾曲させて、その両側縁部4aをプロファイル本体5と爪部6との間に挿入するようにして、爪部6をベルト歯8の歯溝に嵌め、プロファイル本体5と爪部6とで側縁部4aの歯底部分を挟持する。これにより、プロファイル3が歯付ベルト4に装着され、また、反対の手順でプロファイル3を歯付ベルト4から取り外すことができる。
【0025】
上記構成によれば、ブラシ2を有するプロファイル3を歯付ベルト4に装着してベルト背面にブラシ2を設けるので、ブラシ2が損傷したり老朽化したときには、プロファイル3のみを交換して、歯付ベルト4をそのまま使用することができる。しかも、小形かつ合成樹脂製のプロファイル3へのブラシ材の植毛は、大形かつゴム製の歯付ベルト4への植毛よりも容易であり、歯付ベルト4の製造コストをも低減することができる。
【0026】
また、プロファイル本体5と爪部6とで側縁部4aの歯底部分を挟持して装着するので、万が一、ブラシ2が磨き作業中にブラシ2が引っ掛かったとしても、プロファイル3が僅かに変位して衝撃を吸収すると共に、爪部6がベルト歯8に係止されて過度の変位を規制することができ、プロファイル3の脱落を阻止することができる。
【0027】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、図7〜図9に示すように、ブラシ材を植毛したブラシユニット9を設け、このブラシユニット9を、プロファイル本体10に形成したスライド溝11に、側方からスライドさせながら着脱するようにしてもよい。これにより、用途に応じて、ブラシ材の硬さや長さの異なるブラシユニット9を使い分けつつ、プロファイル本体10の共通化を図ることができる。
【0028】
また、歯付ベルト4をベルト幅方向に湾曲させてプロファイルを装着する代わりに、プロファイルをベルト幅方向に分割して形成しておき、歯付ベルト4をベルト幅方向に挟むようにして、分割したプロファイルを組み立てることにより、歯付ベルト4にプロファイルを装着するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 ブラシ付きベルト
2 ブラシ
3 プロファイル
4 歯付ベルト
4a 側縁部
5 プロファイル本体
6 爪部
7 連結部
8 ベルト歯
9 ブラシユニット
10 プロファイル本体
11 スライド溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯付ベルトに装着して使用するベルト用プロファイルであって、ブラシを有し前記歯付ベルトの背面側に配置されるプロファイル本体と、該プロファイル本体との間に歯付ベルトの側縁部の歯底部分を挟持するよう前記歯付ベルトの側縁部かつ歯面側に配置される爪部とを備え、前記爪部が、歯付ベルト側面の外側を通る連結部を介してプロファイル本体と一体に形成されたことを特徴とするベルト用プロファイル。
【請求項2】
前記ブラシは、ブラシ材が植毛されたブラシユニットとされ、該ブラシユニットがプロファイル本体に着脱自在とされたことを特徴とする請求項1に記載のベルト用プロファイル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のベルト用プロファイルを備えたことを特徴とするブラシ付きベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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