説明

ベンジルアミン誘導体、ベンジルアミン誘導体の光学分割方法、及び光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法

【課題】 光学活性ベンジルアミン誘導体の製造に極めて有用なベンジルアミン誘導体を提供する。
【解決手段】 ベンジルアミン誘導体は、下記式(1)に示される構造を有する。


(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示し、式(1)中の*1は不斉炭素原子を示す。)前記ベンジルアミン誘導体と(S)−マンデル酸とを含む溶液中にて、光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を(S)−マンデル酸塩として析出させて光学分割を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬中間体として有用である新規なベンジルアミン誘導体、そのベンジルアミン誘導体の光学分割方法、及びそのベンジルアミン誘導体から光学活性ベンジルアミン誘導体を製造する製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ベンジルアミン誘導体としては、1−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−ジベンジルアミノ−1−プロパノールが知られており、このベンジルアミン誘導体は、光学活性物質である(1R,2S)−2−アミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オールの合成中間体として開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】Journal of Medicinal Chemistry,1977,vol.20,No.7,978−981
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、特定の構造を有する光学活性ベンジルアミン誘導体の製造に極めて有用である新規なベンジルアミン誘導体を見出すことによりなされたものである。さらに、そのベンジルアミン誘導体を光学分割する光学分割方法、及びそのベンジルアミン誘導体から特定の構造を有する光学活性ベンジルアミン誘導体を製造する製造方法を確立したことによりなされたものである。本発明の目的は、そうした光学活性ベンジルアミン誘導体の製造に極めて有用なベンジルアミン誘導体、並びにそのベンジルアミン誘導体から特定の構造を有する光学活性ベンジルアミン誘導体を容易に得ることができるベンジルアミン誘導体の光学分割方法、及び光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のベンジルアミン誘導体は、下記式(1)に示されることを要旨とする。
【0005】
【化1】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示し、*1は不斉炭素原子を示す。)
請求項2に記載の発明のベンジルアミン誘導体は、下記式(2)に示されることを要旨とする。
【0006】
【化2】

(式中、Phはフェニル基を示し、*1は不斉炭素原子を示す。)
請求項3に記載の発明のベンジルアミン誘導体の光学分割方法は、請求項1又は請求項2に記載のベンジルアミン誘導体の光学分割方法であって、光学分割剤として光学活性マンデル酸を用いることを要旨とする。
【0007】
請求項4に記載の発明の光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法は、下記式(1)に示されるベンジルアミン誘導体から下記式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を製造する光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法であって、前記ベンジルアミン誘導体と、光学分割剤としての(S)−マンデル酸とを含む溶液中にて、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の(S)−マンデル酸塩を析出させることにより、前記ベンジルアミン誘導体を光学分割する光学分割工程を含むことを要旨とする。
【0008】
【化3】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示し、*1は不斉炭素原子を示す。)
【0009】
【化4】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示す。)
請求項5に記載の発明の光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法は、下記式(1)に示されるベンジルアミン誘導体から下記式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を製造する光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法であって、前記ベンジルアミン誘導体と、光学分割剤としての(R)−マンデル酸とを含む溶液中にて、下記式(4)に示される光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体の(R)−マンデル酸塩を析出させることにより、前記ベンジルアミン誘導体を光学分割する光学分割工程を含むことを要旨とする。
【0010】
【化5】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示し、*1は不斉炭素原子を示す。)
【0011】
【化6】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示し、*1は不斉炭素原子を示す。)
【0012】
【化7】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示し、*1は不斉炭素原子を示す。)
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法において、前記光学分割工程における副生成物として産出された下記式(4)に示される光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体を、ラセミ化することによりラセミ体を得るラセミ化工程を含み、該ラセミ化工程により得られたラセミ体を前記ベンジルアミン誘導体として供することを要旨とする。
【0013】
【化8】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示し、*1は不斉炭素原子を示す。)
請求項7に記載の発明は、請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法において、前記光学分割工程における前記溶液の溶媒としてケトン類を用いることを要旨とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法において、前記ケトン類がアセトン又はメチルエチルケトンであることを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば次のような効果を奏する。
特定の構造を有する光学活性ベンジルアミン誘導体の製造に極めて有用なベンジルアミン誘導体を提供することができる。
【0016】
特定の構造を有する光学活性ベンジルアミン誘導体を容易に得ることができるベンジルアミン誘導体の光学分割方法、及び光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
実施形態のベンジルアミン誘導体は、下記式(1)に示される構造を有する。
【0018】
【化9】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示し、*1は不斉炭素原子を示す。)
式(1)中のアリール基(以下、本明細書中でアリール基を示すArも同じ。)は、フェニル基、ナフチル基、及びビフェニル基を含む。このアリール基としては、製造が容易であるという観点からフェニル基が好ましい。アリール基が置換基を有する場合、その置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、アジド基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、炭素数1〜12のアシル基、炭素数7〜12のアロイル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜12のアルキルオキシ基、炭素数7〜12のアラルキルオキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜12のアシルオキシ基、炭素数7〜12のアロイルオキシ基、炭素数3〜12のシリルオキシ基、炭素数1〜12のスルホニルオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基等が挙げられる。これらの置換基の中でも、好ましくはヒドロキシル基、炭素数1〜12のアルキルオキシ基、炭素数7〜12のアラルキルオキシ基、炭素数1〜12のアシルオキシ基、炭素数7〜12のアロイルオキシ基、炭素数3〜12のシリルオキシ基、及び炭素数1〜12のスルホニルオキシ基から選ばれる少なくとも一種である。なお、アリール基が置換基を有する場合、その置換基の数は1〜3個である。
【0019】
式(1)に示されるベンジルアミン誘導体の中でも、製造が容易であることから、式(2)に示されるベンジルアミン誘導体が好ましい。式(2)に示されるベンジルアミン誘導体は、(R,S)−2−ベンジルアミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オンである。
【0020】
【化10】

(式中、Phはフェニル基を示し、*1は不斉炭素原子を示す。)
式(1)に示されるベンジルアミン誘導体は、光学不活性なラセミ体であり、例えば4−ヒドロキシプロピオフェノンを出発原料とする合成経路によって得られる。詳述すると、まず、4−ヒドロキシプロピオフェノンに対し、臭素原子を付加反応させることにより、2−ブロモ−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オンを得る。この付加反応は、例えば下記反応式(5)に示される。
【0021】
【化11】

この付加反応は、例えば特開昭56−81560号公報、特開昭60−188344号公報等に記載の方法を利用することが可能である。特開昭56−81560号公報に記載の方法である方法(A)は、4−ヒドロキシプロピオフェノンの溶液に臭素を滴下することにより、芳香環の臭素化を抑制しつつ、4−ヒドロキシプロピオフェノンを構成するプロパン−1−オンの2位を臭素化する方法である。この臭素化では、溶媒としてメタノール、エタノール、エーテル類等が用いられ、エーテル類としてはエチルエーテル、n−ブチルエーテル等の低級脂肪酸エーテルやテトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルが挙げられる。また、特開昭60−188344号公報に記載の方法である方法(B)は、臭化銅(II)を用いることにより、芳香環の臭素化を抑制しつつ、4−ヒドロキシプロピオフェノンを構成するプロパン−1−オンの2位を臭素化する方法である。この臭化銅(II)を用いた臭素化では、溶媒としてクロロホルム、酢酸エチル、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、アルコール類が用いられ、好ましくは酢酸エチル、より好ましくは酢酸エチル/クロロホルムの混合溶媒が用いられる。この方法(B)では、臭素の付加反応後においても、臭化銅(I)が残留するため、その臭化銅(I)を除去する必要がある。従って、2−ブロモ−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オンの製造に伴って、そうした臭化銅(I)が廃棄物として排出されることになる。この点、前記方法(A)は、臭化銅(I)のような廃棄物が排出されないことから、工業的に優れているため、2−ブロモ−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オンは方法(A)によって製造されることが好ましい。
【0022】
続いて、この付加反応によって得られた2−ブロモ−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オンの置換反応によって式(1)に示されるベンジルアミン誘導体が得られる。詳述すると、この置換反応では、塩基の存在下、2−ブロモ−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オンの臭素原子とベンジルアミンとが置換される。この置換反応は、例えば下記反応式(6)に示される。
【0023】
【化12】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示し、*1は不斉炭素原子を示す。)
この置換反応に用いられる塩基としては、特に限定されず、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。また、置換反応に使用される溶媒としては、メタノール、エタノール、エーテル類等が用いられる。エーテル類としてはエチルエーテル、n−ブチルエーテル等の低級脂肪酸エーテルやテトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルが挙げられる。これらの溶媒の中でも、好ましくはエーテル類、より好ましくは環状エーテル類が用いられる。
【0024】
実施形態のベンジルアミン誘導体の光学分割方法は、式(1)に示されるベンジルアミン誘導体(ラセミ体)を光学分割する方法であって、光学分割剤として光学活性マンデル酸を用いる方法である。光学活性マンデル酸は、(S)−マンデル酸又は(R)−マンデル酸である。この方法では、式(1)に示されるベンジルアミン誘導体が、下記式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体と、下記式(4)に示される光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体とに光学分割される。
【0025】
【化13】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示す。)
【0026】
【化14】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示す。)
この光学分割方法では、式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の光学活性マンデル酸塩と、式(4)に示される光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体の光学活性マンデル酸塩とがジアステレオマーの関係になることを利用している。すなわち、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の(S)−マンデル酸塩と、前記光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体の(S)−マンデル酸塩とは、ジアステレオマーの関係になる。同じく、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の(R)−マンデル酸塩と、前記光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体の(R)−マンデル酸塩とは、ジアステレオマーの関係になる。詳述すると、こうしたジアステレオマーの関係にある一対の塩は、溶媒に対してそれぞれ異なる溶解度を有している。すなわち、式(1)に示されるベンジルアミン誘導体を溶解する溶媒に対して、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の(S)−マンデル酸塩は不溶性である一方、前記光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体の(S)−マンデル酸塩は可溶性である。また、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の(R)−マンデル酸塩は可溶性である一方、前記光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体の(R)−マンデル酸塩は不溶性である。こうした一対の塩における溶解度の差を利用することにより、ラセミ体であるベンジルアミン誘導体と、光学分割剤としての光学活性マンデル酸とを含む溶液中にて、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体及び前記光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体を光学分割することができるようになる。
【0027】
実施形態の光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法は、式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を製造する方法である。この製造方法は、式(1)に示されるベンジルアミン誘導体を光学分割する光学分割工程を含む。この光学分割工程では、式(1)に示されるベンジルアミン誘導体と、光学分割剤としての(S)−マンデル酸とを含む溶液中にて、式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を、その(S)−マンデル酸塩として析出させる。この光学分割工程では、上記光学分割方法と同じく、式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体、及び式(4)に示される光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体のそれぞれ(S)−マンデル酸塩がジアステレオマーの関係になることを利用している。
【0028】
光学分割工程において、(S)−マンデル酸の配合量は、式(1)に示されるベンジルアミン誘導体に対して、好ましくは1モル量以上、より好ましくは1〜2モル量、さらに好ましくは1〜1.5モル量である。この(S)−マンデル酸の配合量が1モル量以上であると、式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の収率を最大限に確保することができるようになる。
【0029】
光学分割工程における溶媒、すなわち式(1)に示されるベンジルアミン誘導体を溶解させる溶媒としてはケトン類、エステル類等の有機溶媒が挙げられ、得られる光学活性ベンジルアミン誘導体の光学純度を高めるという観点から、ケトン類を用いることが好ましい。ケトン類は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を含む。このケトン類の中でも、光学純度を一層高めるという観点から、アセトン又はメチルエチルケトンがより好ましい。なお、溶媒は、有機溶媒と水との混合溶媒を使用することもできる。混合溶媒を使用する場合、水の含有量は40vol%以下であることが好適である。
【0030】
式(1)に示されるベンジルアミン誘導体の溶媒に対する配合量は、好ましくは0.5〜0.8mmol/mL、より好ましくは0.5〜0.6mmol/mLである。この配合量が0.5〜0.8mmol/mLであると、前記ベンジルアミン誘導体の溶解性も良好となるうえ、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の収率も十分に確保することができるようになる。
【0031】
また、前記ベンジルアミン誘導体及び(S)−マンデル酸を溶媒に溶解させる際には、溶媒をその沸点まで加熱して還流させた状態で、攪拌することが好ましい。このように溶解することにより、前記ベンジルアミン誘導体及び(S)−マンデル酸の溶解時間を短縮することができるようになる。その溶解時間は、好ましくは5〜120分、より好ましくは10〜60分である。
【0032】
次に、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の塩を析出させる際には、前記ベンジルアミン誘導体及び(S)−マンデル酸が溶解した溶液を冷却処理又は濃縮処理する。前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の光学純度を高めるという観点から、溶液には少なくとも冷却処理を施すことが好ましい。冷却処理おける溶液の温度は、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の収率及び光学純度を高めるという観点から、好ましくは5〜40℃、より好ましくは10〜30℃である。また、冷却処理における時間は、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の収率及び光学純度を高めるという観点から、好ましくは10〜300分、より好ましくは30〜200分である。
【0033】
こうして得られた前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の塩には、必要に応じて洗浄や乾燥等の操作が行われる。そして、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の塩を塩酸等の酸や水酸化ナトリウム水溶液等の塩基によって処理することにより、目的物である前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体が得られる。
【0034】
一方、この光学分割工程において、前記光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体の(S)−マンデル酸塩は、溶液中に残存することになる。この溶液を酸及び塩基で処理することにより、式(3)に示される光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体が得られる。この光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体は、式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を生産するに際して、副生成物として産出される。本実施形態の製造方法は、その光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体をラセミ化することによりラセミ体を得るラセミ化工程を含んでいる。そして、このラセミ化工程により得られたラセミ体は、光学分割工程の原料として使用されるベンジルアミン誘導体として再び供される。
【0035】
ここで、前記ベンジルアミン誘導体を原料として、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を光学分割工程によって製造するに際し、その光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の理論上の収率は、50%以上となり得ない。この点、本実施形態の製造方法はラセミ化工程を含み、前記光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体から得られるラセミ体を原料として再利用しているため、生産される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の収率について50%以上を実現することができるようになる。
【0036】
このラセミ化工程では、前記光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体の(S)−マンデル酸塩を塩基性条件下で加熱攪拌することにより、式(1)に示されるベンジルアミン誘導体、すなわちラセミ体を得る。ラセミ化工程の塩基性条件を示すpHは、完全なラセミ体が得られ易いという観点から、好ましくは13以上である。すなわち、pHが13以上の塩基性条件下にて、ラセミ化を行うことにより、その反応が進み易くなる結果、反応時間を短縮したり、ラセミ体の収率を高めたりすることができるようになる。ラセミ化工程において、塩基性条件にするための塩基としては、特に限定されず、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。また、ラセミ化工程で使用される溶媒としては、水とアルコールの混合溶媒が好適である。このラセミ化させる際には、溶媒をその沸点まで加熱して還流させた状態で、攪拌することが好ましい。こうして得られたラセミ体を含む溶液に対し、塩酸等の酸により中和処理が施されることで、ラセミ体が結晶として得られる。このラセミ体の結晶には、必要に応じて洗浄や乾燥の操作が行われ、前記ベンジルアミン誘導体として光学分割工程に供される。なお、前記光学活性ベンジルアミン誘導体を製造するに際し、このラセミ化工程を省略することも可能である。
【0037】
本実施形態の製造方法によって得られた式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体は、例えば下記式(7)に示される(1R,2S)−2−アミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オールの前駆体として利用される。
【0038】
【化15】

詳述すると、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の接触還元反応により、式(7)に示される(1R,2S)−2−アミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オールが得られる。この接触還元反応は、触媒の存在下、水素によって光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を還元する反応であり、例えば下記反応式(8)に示される。
【0039】
【化16】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示す。)
こうして得られる(1R,2S)−2−アミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オールは、医薬中間体として有用な光学活性物質として広く利用される。
【0040】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 式(1)に示されるベンジルアミン誘導体は、式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の前駆体として極めて有用である。式(1)に示されるベンジルアミン誘導体の中でも、式(2)に示されるベンジルアミン誘導体は、製造が容易であるため、工業的に利用価値が高い。
【0041】
・ ベンジルアミン誘導体の光学分割方法によれば、光学活性マンデル酸を光学分割剤として、ラセミ体である前記ベンジルアミン誘導体を、式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体と、式(4)に示される光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体とに光学分割することができるようになる。従って、式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体のみならず、式(4)に示される光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体も容易に得ることができるため、いずれの光学活性物質も医薬中間体等の用途に利用することができる。
【0042】
・ 光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法によれば、(S)−マンデル酸を光学分割剤として用いた光学分割工程によって、式(1)に示されるベンジルアミン誘導体を前駆体として式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を容易に得ることができる。さらに、得られた光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体は、式(7)に示される(1R,2S)−2−アミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オールの前駆体として利用することができる。この(1R,2S)−2−アミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オールは、医薬中間体として有用な光学活性物質であるため、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の産業上の利用価値は高い。
【0043】
・ 前記製造方法では、光学分割工程に加えてラセミ化工程を含むとともに、このラセミ化工程で得られたラセミ体を、光学分割工程における原料であるベンジルアミン誘導体として供することが好ましい。すなわち、この方法によれば、光学分割工程における副生成物となる前記光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体は、ラセミ化工程を通じて、光学分割工程における原料として再利用される。従って、ラセミ化工程で得られたラセミ体を原料として利用する光学分割工程では、そのラセミ体の不足分となる量の前記ベンジルアミン誘導体を新たな原料として供すればよい。すなわち、ラセミ化工程を含む製造方法によれば、新たな原料としての前記ベンジルアミン誘導体の使用量を、削減することができるようになる。その結果、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の収率を高めることができる。こうした製造方法によって、50%を超える収率で前記ベンジルアミン誘導体から前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を製造することがはじめて可能となる。さらにこうした製造方法を繰り返すことにより、100%に近い収率で前記ベンジルアミン誘導体から前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を製造することができるため、ラセミ化工程を含む製造方法は工業的に極めて有利な方法である。
【0044】
・ 多くの有機溶媒の中でもケトン類は、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の(S)−マンデル酸塩と、前記光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体の(S)−マンデル酸塩との溶解度差を十分に確保することができる溶媒である。このため、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の塩が析出すると同時に前記光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体の塩が析出することが回避されるようになる。その結果、光学分割工程における溶液の溶媒として、ケトン類を用いることにより、得られる光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の光学純度を高めることができる。さらに、そのケトン類として、アセトン又はメチルエチルケトンを用いることにより、得られる光学活性ベンジルアミン誘導体の光学純度を一層高めることができる。
【0045】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記光学分割工程における(S)−マンデル酸を(R)−マンデル酸に変更することもできる。すなわち、ここでの光学分割工程では、式(1)に示されるベンジルアミン誘導体と、光学分割剤としての(R)−マンデル酸とを含む溶液中にて、式(4)に示される光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体の(R)−マンデル酸塩を析出させる。このようにして、式(1)に示されるベンジルアミン誘導体を、式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体と式(4)に示される光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体とに光学分割する。この光学分割工程の場合、式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を、溶媒に溶解した状態で得ることができるようになる。このため、この光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を後工程にて更に反応させるに際し、この光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を溶液の状態で、その後工程に供することができるようになる。従って、そうした後工程において、光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を溶解する操作を省略することができるようになるため、後工程における利便性が高い状態で前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を得ることができる。
【0046】
前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 式(1)に示されるベンジルアミン誘導体を出発原料として、そのベンジルアミン誘導体を光学分割することによって式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を得た後、その光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を接触還元することを特徴とする(1R,2S)−2−アミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オールの製造方法。この方法によれば、新規なベンジルアミン誘導体を出発原料とする新たな合成経路によって(1R,2S)−2−アミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オールを容易に製造することができる。
【実施例】
【0047】
<ベンジルアミン誘導体の製造>
4−ヒドロキシプロピオフェノン43.0g(286.3mmol)のジオキサン溶液(86mL)に、臭素50.2g(1.1当量)を30℃以下で加え、5分間撹拌した。この溶液を90℃まで加温し、溶液中の臭化水素を完全に追い出した後、その溶液を20℃以下に冷却した(反応式(5)に示される付加反応)。得られた溶液に対し、さらにベンジルアミン31.2g(1.0当量)、及び40%水酸化ナトリウム水溶液30mLを滴下し3時間撹拌した(反応式(6)に示す置換反応)。水層を除去した後、イソプロピルアルコール65mLを加え、結晶を濾過した。さらに、この結晶をイソプロピルアルコール65mLで洗浄し、式(2)に示す2−ベンジルアミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オンを白色結晶として得た(40.2g、単離収率55%)。
【0048】
なお、得られた白色結晶はH−NMRによって同定した。その結果を以下に示す。
1H-NMR(DMSO、400MHz/ppm)1.19(d,3H)、3.55(d,1H)、3.67(d,1H)、4.28(q,1H)、6.84(d,2H)、7.23(m,1H)、7.29(d,4H)、7.86(d,2H)、10.4(brs,1H)
<光学活性ベンジルアミン誘導体の製造>
(光学分割工程1)
上記「ベンジルアミン誘導体の製造」で得られた2−ベンジルアミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オン230g(900.9mmol)の90%アセトン/10%水混液(750mL)に(S)−マンデル酸164.1g(1.2当量)を加え、還流させた状態で30分間撹拌した。その溶液を20℃まで冷却後、同温度で2時間撹拌することにより、結晶を析出させた。次いで、結晶が析出した溶液を濾過操作することにより、結晶を分離した。さらに90%アセトン/10%水混液(255mL)で結晶を洗浄し、(S)−2−ベンジルアミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オンの(S)−マンデル酸塩を白色結晶として得た(174.7g、単離収率(ラセミ体基準)47.6%、光学純度99.5%ee)。以上の操作を繰り返すことにより、所定量の(S)−2−ベンジルアミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オンの(S)−マンデル酸塩を得た。なお、濾過操作によって得られた濾液及び結晶を洗浄した洗液は、回収液として回収した。
【0049】
(S)−2−ベンジルアミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オンの(S)−マンデル酸塩である白色結晶195.9g(480.8mmol、光学純度99.9%ee)を、水1050mL、濃塩酸54g、及びメタノール30mLからなる溶解液に溶解させた。得られた溶液を2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより、結晶を析出させた後、その溶液を濾過することにより、結晶を分離した。さらにその結晶を水(150mL)で洗浄し、下記式(9)に示される(S)−2−ベンジルアミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オンを白色結晶として得た(121.5g、単離収率99.0%、光学純度99.5%ee)。
【0050】
【化17】

(式中、Phはフェニル基を示す。)
得られた白色結晶は、光学純度(%ee)、及びH−NMRの結果によって同定される。H−NMRの結果を以下に示す。
【0051】
1H-NMR(DMSO、400MHz/ppm)1.19(d,3H)、3.55(d,1H)、3.67(d,1H)、4.28(q,1H)、6.84(d,2H)、7.23(m,1H)、7.29(d,4H)、7.86(d,2H)、10.4(brs,1H)
なお、(S)−2−ベンジルアミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オンの(S)−マンデル酸塩、及び式(9)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体における光学純度(%ee)は、光学分割HPLCを用いた分析によって算出される値である。この光学分割HPLCによる分析に供する試料溶液は、サンプル10mgをメタノールに溶解するとともにメスフラスコで10mLとした溶液1mLを、さらに移動相を希釈溶媒としてメスフラスコで10mLまで希釈することによって調整した。光学分割HPLCの分析条件を以下に示す。以下、本実施例に記載の「光学純度」は、この光学分割HPLCにて算出された値を示す。
【0052】
カラム:DAICEL CHIRALPAK(登録商標) AD−H 4.6mm×250mm
移動相:ヘキサン:IPA:ジエチルアミン=80:20:0.1
カラム温度:40℃
流量:0.5mL/min
検出波長:254nm
注入量:10μL
(ラセミ化工程)
光学分割工程の濾過操作及び結晶の洗浄において回収した回収液1150mLの溶媒を留去して、その回収液を乾固することにより、(R)−2−ベンジルアミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オンの(S)−マンデル酸塩を白色結晶として得た(195.9g、ラセミ体基準の単離収率53.4%、光学純度69.4%ee)。
【0053】
得られた白色結晶186.1g(456.7mmol、69.4%ee)を2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液1040mL、及びメタノール430mLからなる溶解液に溶解させた。得られた溶液を攪拌しつつ3時間還流させることにより、ラセミ化反応を行った。その溶液を塩酸で中和することにより、結晶を析出させた後、その溶液を濾過することにより、結晶を分離した。さらにその結晶を水(160mL)で洗浄し、ラセミ体の2−ベンジルアミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オンを白色結晶として得た(110.8g、「光学分割工程1」におけるラセミ体基準の単離収率48.2%)。
【0054】
(光学分割工程2)
上記「ラセミ化工程」で得られた白色結晶(ラセミ体)を用いて、上記「光学分割工程1」と同様にして光学分割工程2を行った。その結果、式(9)に示される(S)−2−ベンジルアミノ−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−1−オンが白色結晶として得られた(単離収率99.0%、光学純度99.5%ee)。なお、この白色結晶は、光学純度(%ee)及びH−NMRの結果から同定された。この結果から、前記光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体から得られたラセミ体を光学分割工程の原料として用いても、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体が高収率で得られることが確認された。従って、ラセミ化工程を含む製造方法では、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の収率を高める優れた効果が得られることが立証され、その方法は工業的に極めて有利な方法であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)に示されるベンジルアミン誘導体。
【化1】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示し、*1は不斉炭素原子を示す。)
【請求項2】
下記式(2)に示されるベンジルアミン誘導体。
【化2】

(式中、Phはフェニル基を示し、*1は不斉炭素原子を示す。)
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のベンジルアミン誘導体の光学分割方法であって、光学分割剤として光学活性マンデル酸を用いることを特徴とするベンジルアミン誘導体の光学分割方法。
【請求項4】
下記式(1)に示されるベンジルアミン誘導体から下記式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を製造する光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法であって、
前記ベンジルアミン誘導体と、光学分割剤としての(S)−マンデル酸とを含む溶液中にて、前記光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体の(S)−マンデル酸塩を析出させることにより、前記ベンジルアミン誘導体を光学分割する光学分割工程を含むことを特徴とする光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法。
【化3】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示し、*1は不斉炭素原子を示す。)
【化4】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示す。)
【請求項5】
下記式(1)に示されるベンジルアミン誘導体から下記式(3)に示される光学活性(S)−ベンジルアミン誘導体を製造する光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法であって、
前記ベンジルアミン誘導体と、光学分割剤としての(R)−マンデル酸とを含む溶液中にて、下記式(4)に示される光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体の(R)−マンデル酸塩を析出させることにより、前記ベンジルアミン誘導体を光学分割する光学分割工程を含むことを特徴とする光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法。
【化5】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示し、*1は不斉炭素原子を示す。)
【化6】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示し、*1は不斉炭素原子を示す。)
【化7】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示し、*1は不斉炭素原子を示す。)
【請求項6】
前記光学分割工程における副生成物として産出された下記式(4)に示される光学活性(R)−ベンジルアミン誘導体を、ラセミ化することによりラセミ体を得るラセミ化工程を含み、
該ラセミ化工程により得られたラセミ体を前記ベンジルアミン誘導体として供することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法。
【化8】

(式中、Arは置換基を有しても良い炭素数6〜15のアリール基を示し、*1は不斉炭素原子を示す。)
【請求項7】
前記光学分割工程における前記溶液の溶媒としてケトン類を用いることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法。
【請求項8】
前記ケトン類がアセトン又はメチルエチルケトンであることを特徴とする請求項7に記載の光学活性ベンジルアミン誘導体の製造方法。

【公開番号】特開2007−1957(P2007−1957A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−187347(P2005−187347)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(393031450)アルプス薬品工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】