説明

ベンジルグルコシノレート含有組成物、その呈味改善方法およびベンジルグルコシノレート含有飲料物

【課題】呈味を改善できるマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を提供することを目的とする。
【解決手段】マカ抽出物に含まれているベンジルグルコシノレートは、辛味、苦味および渋味を有している。糖アルコール、可食性酸類、甘味度がショ糖の0.1倍以上0.7倍以下の単糖類、および甘味度がショ糖の0.1倍以上0.7倍以下の二糖類を少なくともいずれか1つ以上を含む呈味改善組成物をマカ抽出物に含有させる。呈味改善組成物にてマカ抽出物が有する不快な呈味を効果的に改善できる。マカ抽出物の呈味を改善できるとともに、マカ抽出物中の有効成分に影響を与えずに、簡便な操作で安価に、後味が良く、総合的な美味しさと、繰り返して飲みたいという優れた特性を有するマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンジルグルコシノレートを含む不味組成物を含有したベンジルグルコシノレート含有組成物、その呈味改善方法およびベンジルグルコシノレート含有飲料物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マカ(Lepidium meyenii-Walp,Cruciferae :Maca)は、南米ペルーなどの中央アンデスの標高4000m〜4500m程度の地域で栽培されている根菜であり、南米アンデスの原住民の間で民間伝承薬として用いられ、滋養強壮、栄養不良、貧血症、不妊症および精力減退症などへの有効性が知られている。
【0003】
そして、近年では、マカを熱水などで煮て抽出した抽出物を乾燥させて錠剤や顆粒剤にしたり、この抽出物を飲料などに配合したりして、滋養強壮、栄養不良、貧血症、不妊症および精力減退症などを改善させる目的で摂取している。
【0004】
さらに、癌に対する化学的防護性のある有効成分としては、グルコシノレート類が知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、これらグルコシノレート類の一種であるベンジルグルコシノレートがマカに含有されている。
【特許文献1】特開2002−193822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したベンジルグルコシノレートは、辛味、苦味および渋味を感じさせる不快な味を有しているため、飲用あるいは飲食に適していない。すなわち、このベンジルグルコシノレートを飲食物や飲料物に配合した場合には、これら飲食物および飲料物本来の風味を著しく損わせてしまうから、味の調和をとることが容易ではなくなる。したがって、このベンジルグルコシノレートを含有した組成物および飲料物の呈味を改善させることが容易ではないという問題を有している。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、呈味を改善できるベンジルグルコシノレート含有組成物、その呈味改善方法およびベンジルグルコシノレート含有飲料物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のベンジルグルコシノレート含有組成物は、ベンジルグルコシノレートを含む不味組成物と、糖アルコール、可食性酸類、単糖類および二糖類の少なくともいずれか一つ以上を含む呈味改善組成物とを含有するものである。
【0008】
そして、ベンジルグルコシノレートを含む不味組成物に、糖アルコール、可食性酸類、単糖類および二糖類の少なくともいずれか一つ以上を含む呈味改善組成物を含有させることにより、この不味組成物に含まれているベンジルグルコシノレートが有する辛味、苦味および渋味を呈味改善組成物にて改善できるので、このベンジルグルコシノレートを含む不味組成物の呈味を改善できる。
【0009】
請求項2記載のベンジルグルコシノレート含有組成物は、請求項1記載のベンジルグルコシノレート含有組成物において、不味組成物は、ベンジルグルコシノレートを1質量%以上30質量%以下含有し、呈味改善組成物は、前記不味組成物1質量部に対して0.001質量部以上5000質量部以下の割合で含有されているものである。
【0010】
そして、ベンジルグルコシノレートを1質量%以上30質量%以下含有した不味組成物に、この不味組成物1質量部に対して0.001質量部以上5000質量部以下の割合で呈味改善組成物を含有させることにより、ベンジルグルコシノレートを比較的高い含有量である1質量%以上30質量%以下含有した不味組成物であっても、この不味組成物の呈味を改善できる。
【0011】
請求項3記載のベンジルグルコシノレート含有組成物は、請求項1または2記載のベンジルグルコシノレート含有組成物において、呈味改善組成物の糖アルコールは、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パラチニット、ラクチトールおよび還元デンプン糖化物の少なくともいずれか1つ以上であるものである。
【0012】
そして、呈味改善組成物の糖アルコールを、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パラチニット、ラクチトールおよび還元デンプン糖化物の少なくともいずれか1つ以上とすることにより、この呈味改善組成物の糖アルコールの製造が容易であるから、ベンジルグルコシノレート含有組成物の製造性を向上できる。
【0013】
請求項4記載のベンジルグルコシノレート含有組成物は、請求項1ないし3いずれか記載のベンジルグルコシノレート含有組成物において、呈味改善組成物の可食性酸類は、クエン酸、リンゴ酸、乳酸およびリン酸の少なくともいずれか1つ以上であるものである。
【0014】
そして、呈味改善組成物の可食性酸類を、クエン酸、リンゴ酸、乳酸およびリン酸の少なくともいずれか1つ以上とすることにより、この呈味改善組成物の可食性酸類の製造が容易であるから、ベンジルグルコシノレート含有組成物の製造性を向上できる。
【0015】
請求項5記載のベンジルグルコシノレート含有組成物は、請求項1ないし4いずれか記載のベンジルグルコシノレート含有組成物において、呈味改善組成物の単糖類および二糖類のいずれかは、甘味度がショ糖の0.1倍以上0.7倍以下であるものである。
【0016】
そして、呈味改善組成物の単糖類および二糖類のいずれかの甘味度をショ糖の0.1倍以上0.7倍以下とすることにより、この呈味改善組成物にてベンジルグルコシノレートを含む不味組成物の不味をより確実に改善できるから、この不味組成物の呈味をより確実に改善できる。
【0017】
請求項6記載のベンジルグルコシノレート含有組成物は、請求項1ないし5いずれか記載のベンジルグルコシノレート含有組成物において、呈味改善組成物の単糖類および二糖類のいずれかは、グルコース、キシロース、ガラクトース、マルトース、乳糖、ラクチュロースおよびパラチノースの少なくともいずれか1つ以上であるものである。
【0018】
そして、呈味改善組成物の単糖類および二糖類のいずれかを、グルコース、キシロース、ガラクトース、マルトース、乳糖、ラクチュロースおよびパラチノースの少なくともいずれか1つ以上とすることにより、この呈味改善組成物の単糖類および二糖類のいずれかの製造が容易であるから、ベンジルグルコシノレート含有組成物の製造性を向上できる。
【0019】
請求項7記載のベンジルグルコシノレート含有組成物は、請求項1ないし6いずれか記載のベンジルグルコシノレート含有組成物において、不味組成物は、マカから水および含水アルコールの少なくともいずれかで抽出された抽出液をハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通して吸着させたマカ抽出物であるものである。
【0020】
そして、マカから水および含水アルコールの少なくともいずれかで抽出された抽出液をハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通して吸着させたマカ抽出物が不味組成物であっても、このマカ抽出物に含まれているベンジルグルコシノレートが有する辛味、苦味および渋味を呈味改善組成物にて改善できるので、このベンジルグルコシノレートを含むマカ抽出物の呈味を改善できる。
【0021】
請求項8記載のベンジルグルコシノレート含有飲料物は、請求項1ないし7いずれか記載のベンジルグルコシノレート含有組成物と、飲料組成物とを含有したものである。
【0022】
そして、請求項1ないし7いずれか記載のベンジルグルコシノレート含有組成物を飲料組成物に含有させることにより、この飲料組成物に含まれているベンジルグルコシノレートが有する辛味、苦味および渋味を改善できるので、このベンジルグルコシノレートを含む飲料組成物の呈味を改善できる。
【0023】
請求項9記載のベンジルグルコシノレート含有飲料物は、請求項8記載のベンジルグルコシノレート含有飲料物において、ベンジルグルコシノレート含有組成物は、飲料組成物1質量部に対して0.1質量%以上50質量%以下の割合で含有されているものである。
【0024】
そして、飲料組成物1質量部に対して0.1質量%以上50質量%以下の割合でベンジルグルコシノレート含有組成物を含有させても、この飲料組成物に含まれているベンジルグルコシノレートが有する辛味、苦味および渋味を確実に改善できるので、このベンジルグルコシノレートを含む飲料組成物の呈味をより確実に改善できる。
【0025】
請求項10記載のベンジルグルコシノレート含有組成物の呈味改善方法は、ベンジルグルコシノレートを含む不味組成物に、糖アルコール、可食性酸類、単糖類および二糖類の少なくともいずれか1つ以上を含む呈味改善組成物を添加して、前記不味組成物の呈味を改善させるものである。
【0026】
そして、ベンジルグルコシノレートを含む不味組成物に、糖アルコール、可食性酸類、単糖類および二糖類の少なくともいずれか1つ以上を含む呈味改善組成物を添加することにより、この不味組成物に含まれているベンジルグルコシノレートが有する辛味、苦味および渋味を呈味改善組成物にて改善できるので、このベンジルグルコシノレートを含む不味組成物の呈味を改善できる。
【発明の効果】
【0027】
請求項1記載のベンジルグルコシノレート含有組成物によれば、ベンジルグルコシノレートを含む不味組成物に、糖アルコール、可食性酸類、単糖類および二糖類の少なくともいずれか一つ以上を含む呈味改善組成物を含有させることにより、この不味組成物に含まれているベンジルグルコシノレートが有する辛味、苦味および渋味を呈味改善組成物にて改善できるので、この不味組成物の呈味を改善できる。
【0028】
請求項2記載のベンジルグルコシノレート含有組成物によれば、請求項1記載のベンジルグルコシノレート含有組成物の効果に加え、ベンジルグルコシノレートを1質量%以上30質量%以下含有した不味組成物に、この不味組成物1質量部に対して0.001質量部以上5000質量部以下の割合で呈味改善組成物を含有させることにより、ベンジルグルコシノレートを1質量%以上30質量%以下と比較的高い含有量で含有した不味組成物であっても、この不味組成物の呈味を改善できる。
【0029】
請求項3記載のベンジルグルコシノレート含有組成物によれば、請求項1または2記載のベンジルグルコシノレート含有組成物の効果に加え、呈味改善組成物の糖アルコールを、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パラチニット、ラクチトールおよび還元デンプン糖化物の少なくともいずれか1つ以上とすることにより、この呈味改善組成物の糖アルコールの製造が容易であるから、ベンジルグルコシノレート含有組成物の製造性を向上できる。
【0030】
請求項4記載のベンジルグルコシノレート含有組成物によれば、請求項1ないし3いずれか記載のベンジルグルコシノレート含有組成物の効果に加え、呈味改善組成物の可食性酸類を、クエン酸、リンゴ酸、乳酸およびリン酸の少なくともいずれか1つ以上とすることにより、この呈味改善組成物の可食性酸類の製造が容易であるから、ベンジルグルコシノレート含有組成物の製造性を向上できる。
【0031】
請求項5記載のベンジルグルコシノレート含有組成物によれば、請求項1ないし4いずれか記載のベンジルグルコシノレート含有組成物の効果に加え、呈味改善組成物の単糖類および二糖類のいずれかの甘味度をショ糖の0.1倍以上0.7倍以下とすることにより、この呈味改善組成物にてベンジルグルコシノレートを含む不味組成物の不味をより確実に改善できるから、この不味組成物の呈味をより確実に改善できる。
【0032】
請求項6記載のベンジルグルコシノレート含有組成物によれば、請求項1ないし5いずれか記載のベンジルグルコシノレート含有組成物の効果に加え、呈味改善組成物の単糖類および二糖類のいずれかを、グルコース、キシロース、ガラクトース、マルトース、乳糖、ラクチュロースおよびパラチノースの少なくともいずれか1つ以上とすることにより、この呈味改善組成物の単糖類および二糖類のいずれかの製造が容易であるから、ベンジルグルコシノレート含有組成物の製造性を向上できる。
【0033】
請求項7記載のベンジルグルコシノレート含有組成物によれば、請求項1ないし6いずれか記載のベンジルグルコシノレート含有組成物の効果に加え、マカから水および含水アルコールの少なくともいずれかで抽出された抽出液をハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通して吸着させたマカ抽出物が不味組成物であっても、このマカ抽出物に含まれているベンジルグルコシノレートが有する辛味、苦味および渋味を呈味改善組成物にて改善できるので、このマカ抽出物の呈味を改善できる。
【0034】
請求項8記載のベンジルグルコシノレート含有飲料物によれば、請求項1ないし7いずれか記載のベンジルグルコシノレート含有組成物を飲料組成物に含有させることにより、この飲料組成物に含まれているベンジルグルコシノレートが有する辛味、苦味および渋味を改善できるので、この飲料組成物の呈味を改善できる。
【0035】
請求項9記載のベンジルグルコシノレート含有飲料物によれば、請求項8記載のベンジルグルコシノレート含有飲料物の効果に加え、飲料組成物1質量部に対して0.1質量%以上50質量%以下の割合でベンジルグルコシノレート含有組成物を含有させても、この飲料組成物に含まれているベンジルグルコシノレートが有する辛味、苦味および渋味を確実に改善できるので、この飲料組成物の呈味をより確実に改善できる。
【0036】
請求項10記載のベンジルグルコシノレート含有組成物の呈味改善方法によれば、ベンジルグルコシノレートを含む不味組成物に、糖アルコール、可食性酸類、単糖類および二糖類の少なくともいずれか1つ以上を含む呈味改善組成物を添加することにより、この不味組成物に含まれているベンジルグルコシノレートが有する辛味、苦味および渋味を呈味改善組成物にて改善できるので、この不味組成物の呈味を改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の一実施の形態のベンジルグルコシノレート含有組成物について説明する。
【0038】
まず、本発明のベンジルグルコシノレート含有組成物は、マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品である。そして、このマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品は、糖アルコール、可食性酸類、甘味度がショ糖(C122211)の0.1倍以上0.7倍以下の単糖類、および甘味度がショ糖の0.1倍以上0.7倍以下の二糖類の中から選ばれる少なくともいずれか1種類以上を含む化合物である呈味改善組成物と、マカから抽出物されベンジルグルコシノレートを含量した不味組成物であるマカ抽出物とのそれぞれを含有している。
【0039】
そして、このマカ抽出物中の有効成分であるベンジルグルコシノレートは、血糖値上昇抑制作用や、過血糖による肥満防止作用、成長ホルモン量上昇作用、血中テストステロン量増加作用、空間学習獲得能力向上作用、肝臓機能亢進作用、コレステロール代謝改善作用、血清中エストラジオール増加作用などのの利用が望まれている。
【0040】
さらに、このマカ抽出物は、マカの果穂から水および含水アルコールの少なくともいずれかで抽出液を抽出した後に、この抽出液をハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通して通液し、このハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に吸着された画分である吸着物から得られたものであって、このマカ抽出物中に活性の強い有効成分であるベンジルグルコシノレートが1質量%以上30質量%以下の割合で含有されているベンジルグルコシノレート高含有量品である。
【0041】
また、このマカ抽出物は、このマカ抽出物に含まれているベンジルグルコシノレート自体が、辛味、苦味および渋味などの不快な呈味、すなわち不味を有しているから、このマカ抽出物自体も、不味を有している。したがって、マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品には、このマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品に含まれているベンジルグルコシノレートによる呈味を改善するために、呈味改善組成物が含有されている。
【0042】
ここで、この呈味改善組成物中の成分である糖アルコールとは、還元基を有する糖の還元基、例えばアルデヒドやケトン基などを還元してアルコール基としたものである。そして、この糖アルコールは、発酵法などにて天然に産するものや、水素(H)やテトラヒドロ硼酸ナトリウム(NaBH)などの化学試薬で、工業的に元の糖の還元基に水素を添加して製造できる。具体的に、この糖アルコールとしては、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パラチニット、ラクチトール、リビトール、還元澱粉糖化物などがあり、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。
【0043】
また、呈味改善組成物中の成分である甘味度がショ糖の0.1倍以上0.7倍以下の単糖類としては、グルコース、キシロース、ガラクトースなどがある。さらに、呈味改善組成物中の成分である甘味度がショ糖0.1倍以上0.7倍以下の二糖類としては、マルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖)、ラクチュロース、パラチノースなどがあり、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合せて用いることができる。このとき、甘味度がショ糖0.1倍以上0.7倍以下より低い単糖類または二糖類を用いたのでは、呈味改善効果が発揮されない。一方、この甘味度がショ糖0.1倍以上0.7倍以下より高い単糖類または二糖類を用いると、強い甘味によって全体に甘すぎてキレのないぼけた呈味となってしまう。
【0044】
さらに、呈味改善組成物中の成分である可食性酸類としては、クエン酸、リンゴ酸、乳酸およびリン酸などがあり、これらの1種または種以上を組み合わせ用いることができる。
【0045】
なお、マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品としては、呈味改善組成物に他の化合物を少なくとも1種類以上組み合わせて、さらに優れた呈味改善効果を発揮させることもできる。具体的に、呈味改善に寄与する化合物を2種以上組み合わせた例としては、例えばマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品とマルチトールと乳糖とを配合したものや、マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品とエリスリトールとクエン酸とラクチュロースとを配合したもの、マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品とパラチノースとソルビトールとを配合したもの、マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品とキシリトールとマルチトールとを配合したもの、マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品とソルビトールとクエン酸とを配合したものなどが好適である。
【0046】
さらに、このマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の配合量は、マカ抽出物1質量部に対して呈味改善組成物を0.001質量部以上5000質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上500質量部以下配合することが好ましい。すなわち、呈味改善に寄与する呈味改善組成物の配合量が多すぎると、マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の呈味の改善効果以外に、この呈味改善組成物自体の甘味や酸味が強く感じられるようになる場合がある。これに対し、呈味改善組成物の配合量が少なすぎると、マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品に対する呈味改善効果が十分期待できなくなる場合がある。なお、呈味改善に寄与する呈味改善組成物を、2種以上組み合わせて用いる場合の配合量としては、これら呈味改善組成物の合計量が上記範囲を満たすようにする。
【0047】
ここで、この呈味改善組成物の具体的な配合量は、配合する呈味改善に寄与する化合物の種類に応じて異なり、下記の示す配合比が好ましい。すなわち、糖アルコールは、マカ抽出物1質量部に対して0.01質量部以上5000質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上100質量部以下配合することが好ましい。また、甘味度がショ糖の0.1倍以上0.7倍以下の単糖類または二糖類は、マカ抽出物1質量部に対して0.01質量部以上5000質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上100質量部以下配合することが好ましい。さらに、クエン酸などの可食性酸類は、マカ抽出物1質量部に対して0.001質量部以上500質量部以下、より好ましくは0.005質量部以上50質量部以下配合することが好ましい。
【0048】
次に、上記ベンジルグルコシノレート含有組成物の呈味改善方法について説明する。
【0049】
まず、マカ抽出物1質量部に対して、糖アルコール、可食性酸類、甘味度がショ糖の0.1倍以上0.7倍以下の単糖類、および甘味度がショ糖の0.1倍以上0.7倍以下の二糖類の少なくともいずれか一つ以上の化合物である呈味改善組成物を、0.001質量部以上5000質量部以下、好ましくは0.01質量部以上500質量部以下添加して、マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品とする。
【0050】
この後、このマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品中のマカ抽出物および呈味改善組成物を同時に飲食することにより、このマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を利用する場合の障害となる辛味、苦味および渋味などの不快な呈味を効果的に抑制できるので、このマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の呈味を改善できる。
【0051】
したがって、このマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品中の呈味改善組成物の配合方法は、この呈味改善組成物とマカ抽出物とを同時に飲食させれば良く、このマカ抽出物を製造する段階で呈味改善に寄与する呈味改善組成物を予め配合しておいても良い。また、このマカ抽出物と呈味改善組成物とを別々に飲食物中に配合してもよい。なお、このマカ抽出物と呈味改善組成物との混合は、粉状ですると好ましいが、液状ですることも可能である。
【0052】
さらに、このマカ抽出物は、このマカ抽出物をそのまま健康、栄養補助食品などとして摂取することも可能であるが、各種飲食物や飲料組成物に添加してマカ抽出物が含有されたベンジルグルコシノレート含有飲食物やベンジルグルコシノレート含有飲料物などともできる。このとき、これらベンジルグルコシノレート含有飲食物やベンジルグルコシノレート含有飲料物へのマカ抽出物の添加量は、飲食物の種類に応じて異なるが、このマカ抽出物を飲食物全体の0.1質量%以上50質量%以下の添加が呈味の改善の観点から特に好ましく、場合によっては50質量%以上の添加も可能である。また、このマカ抽出物は、1日当たり10mg以上1000mg以下の摂取量で有効な結果が得られる。
【0053】
よって、このベンジルグルコシノレート含有飲料物としては、例えば清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料などの飲料や、これらの飲料の濃縮原液や調整用粉末などであってもよい。また、このベンジルグルコシノレート含有飲料物を、アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷などの冷菓や、そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺などの麺類に添加してベンジルグルコシノレート含有飲食物とすることもできる。さらに、このベンジルグルコシノレート含有飲料物を、飴、キャンディ、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子などの菓子類に添加してベンジルグルコシノレート含有飲食物とすることもできる。
【0054】
また、このベンジルグルコシノレート含有飲料物を、かまぼこ、ハム、ソーセージなどの水産・畜産加工食品や、加工乳、発酵乳などの乳製品に添加したり、サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリームおよびドレッシングなどの油脂および油脂加工食品に添加したりしてベンジルグルコシノレート含有飲食物とすることもできる。同様に、このベンジルグルコシノレート含有飲料物を、ソース、たれなどの調味料や、種々の形態の健康・栄養補助食品、その他スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物などに添加してベンジルグルコシノレート含有飲食物とすることもできる。
【0055】
さらに、このマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品は、飲食物以外にも経口摂取可能な、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ、うがい薬などの医薬品に添加して用いることができる。また、このマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品は、医薬部外品などや、口中清涼剤、口臭防止剤などの口腔内で使用する口腔清涼剤、歯磨剤などに添加して用いることができる。
【0056】
上述したように、上記一実施の形態によれば、マカの果穂から水および含水アルコールの少なくともいずれかで抽出液を抽出した後に、この抽出液をハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通して通液し、このハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に吸着された画分である吸着物から得られたマカ抽出物には、ベンジルグルコシノレートが1質量%以上30質量%以下と比較的高含有率で含有されている。
【0057】
そして、このマカ抽出物は、このマカ抽出物に有効成分として含まれているベンジルグルコシノレート自体が辛味、苦味および渋味などの非嗜好性を強く感じさせる不快な味を有している。このため、このマカ抽出物は飲用や飲食に適さず、このマカ抽出物を飲食物に配合した場合には、このマカ抽出物を配合した飲食物本来の風味を著しく損なわせたり、味の調和をとることが容易ではなくなり、このマカ抽出物の広汎な利用が妨げられてしまう。
【0058】
そこで、糖アルコール、可食性酸類、甘味度がショ糖の0.1倍以上0.7倍以下の単糖類、および甘味度がショ糖の0.1倍以上0.7倍以下の二糖類の中から選ばれる少なくともいずれか1種類以上を含む呈味改善組成物をマカ抽出物に含有させた。この結果、この呈味改善組成物中の各成分が相乗的に働いて、このマカ抽出物に含まれているベンジルグルコシノレートが有する辛味、苦味および渋味などの不快な呈味を簡便な操作で効果的に改善でき、このマカ抽出物の呈味を改善できるとともに、マカ抽出物に含まれている有効成分に何ら影響を与えることなく、簡便な操作で安価に、後味が良く、総合的な美味しさと、繰り返して飲みたいという優れた特性を有するマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を得ることができる。
【0059】
すなわち、このマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品は、辛味、苦味および渋味がなく、後味がよく、匂いにも優れ、総合的な美味しさを備えており、繰り返して飲みたいという評価が得られる。さらに、このマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を、粉末、顆粒、キューブ、ペースト、液体などいずれの形態ともでき、製剤化に際しては、必要に応じてさらに分散剤、賦形などの任意の助剤を配合できる。この結果、優れた作用を有するマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を飲料や飲食物の形で安全かつ安価に提供できる。
【0060】
したがって、このマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を飲食物や飲料物に添加しても、これら飲食物および飲料物本来の風味を損うことがなく、また味の調和を容易に取ることができる。よって、辛味、苦味および渋味などの不快な呈味が利用の妨げとなっていたマカ抽出物の呈味を改善できるから、飲料や飲食物の形での摂取を容易にでき、幅広い分野に有効利用できる。
【0061】
このため、飲食物の製造における経済性や安全性に優れ非常に有用なマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を得ることができる。具体的には、マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を必要とする幅広い消費者、特に辛味、苦味および渋味に敏感な女性などにも安心して気軽に摂取できるマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を得ることができる。
【0062】
さらに、呈味改善組成物の糖アルコールを、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パラチニット、ラクチトールおよび還元デンプン糖化物などとしたり、この呈味改善組成物の可食性酸類を、クエン酸、リンゴ酸、乳酸およびリン酸などとしたり、この呈味改善組成物の甘味度がショ糖の0.1倍以上0.7倍以下である単糖類および二糖類を、グルコース、キシロース、ガラクトース、マルトース、乳糖、ラクチュロースおよびパラチノースなどとすることによって、この呈味改善組成物の製造および入手が容易になるから、呈味を改善させたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の製造性を向上できる。
【実施例1】
【0063】
次に、ベンジルグルコシノレート含有組成物の実施例1を説明する。
【0064】
<マカ抽出物の製造>
まず、ベンジルグルコシノレートを0.75質量%で含むマカアルコール抽出物150kgを、ハイポーラス型合成高分子吸着樹脂であるダイヤイオンHP20(三菱化学株式会社製)500Lに通液した。そして、この通水したダイヤイオンHP20を1000Lの水で洗浄した後に、60質量%エタノール2000Lに通液して60質量%エタノール部を得た。
【0065】
この後、この60質量%エタノール部を減圧して濃縮して濃縮液とした。このとき、この濃縮液のベンジルグルコシノレート含量は20質量%で、固形量は5.6kgであった。この後、この濃縮液を凍結乾燥させて、ベンジルグルコシノレート20質量%品のパウダを5.6kg得た。
【0066】
<マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の製造>
上記マカ抽出物1質量部に対して、マルチトールをそれぞれ0.1質量部、0.5質量部、1質量部、5質量部、10質量部、および50質量部加えてから、粉砕機で粉砕して均一な混合物とし、呈味の改善された種々のマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を製造した。
【0067】
この後、これらマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の濃度が0.5質量%となるように、これらマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品のそれぞれを水に溶解させてマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品含有水溶液に調製した。このとき、比較例として、上記マカ抽出物のみを0.5質量%の濃度で含有する溶液を調製した。
【0068】
<呈味評価>
得られたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品含有水溶液のそれぞれを検体として用いて、成人パネラ17名(男性:9名、女性:8名)で呈味の評価の試飲させた後、これら成人パネラのそれぞれにアンケート用紙に回答させて官能試験をした。
【0069】
ここで、このアンケート用紙での評価方法は、各成人パネラに対して、1:総合的な美味しさと、2:辛味・苦味・渋味と、3:後味と、4:匂いと、5:繰り返して飲みたいかとのそれぞれを評価項目とし、これら評価項目について、5:非常によい、4:比較的よい、3:許容範囲、2:比較的悪い、1:非常に悪いの5段階に分けて評価させた。そして、この評価の基準は、イチョウ葉抽出物を0.05質量%の濃度で含む水溶液の呈味の評価を2点とした。なお、各検体の提供はダブルブラインドとし、各パネラ同士は隔離した状態で評価をさせた。得られた評価結果を平均値化して、レーダーチャートで評価した。
【0070】
このとき、マカ抽出物のみを0.5質量%の濃度で含有する溶液の呈味評価は、総合的な美味しさの評価が1.5で、辛味・苦味・渋味の評価が1で、後味の評価が1.2で、匂いの評価が4で、繰り返して飲みたいかの評価が1.2であった。
【0071】
【表1】

【0072】
この結果、表1および図1ないし図6に示すように、呈味改善組成物となる糖アルコールの一つであるマルチトールは、マカ抽出物1質量部に対して0.1質量部以上50質量部以下の割合で添加させた場合に、優れた呈味改善効果を有するとともに総合的な美味しさを備え、繰り返して飲みたいと感じさせることが認められた。
【実施例2】
【0073】
次に、ベンジルグルコシノレート含有組成物の実施例2を説明する。
【0074】
<マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の製造>
上記実施例1で得られたマカ抽出物1質量部に対して、乳糖をそれぞれ0.1質量部、0.5質量部、1質量部、5質量部、および10質量部加えてから、粉砕機で粉砕して均一な混合物とし、呈味の改善されたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を製造した。
【0075】
この後、これらマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の濃度が0.5質量%となるように、これらマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品のそれぞれを水に溶解させてマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品含有水溶液に調製した。このとき、比較例として、上記マカ抽出物のみを0.5質量%の濃度で含有する溶液を調製した。
【0076】
<呈味評価>
得られたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品含有水溶液のそれぞれを検体として用いて、上記実施例1と同様にレーダーチャートで評価した。
【0077】
【表2】

【0078】
この結果、表2および図7ないし図11に示すように、呈味改善組成物となる二糖類の一つである乳糖は、マカ抽出物1質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下の割合で添加させた場合に、優れた呈味改善効果を有するとともに総合的な美味しさを備え、繰り返して飲みたいと感じさせることが認められた。
【実施例3】
【0079】
次に、ベンジルグルコシノレート含有組成物の実施例3を説明する。
【0080】
<マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の製造>
上記実施例1で得られたマカ抽出物1質量部に対して、クエン酸をそれぞれ0.05質量部、0.1質量部、0.5質量部、および1質量部加えてから、粉砕機で粉砕して均一な混合物とし、呈味の改善されたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を製造した。
【0081】
この後、これらマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の濃度が0.5質量%となるように、これらマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品のそれぞれを水に溶解させてマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品含有水溶液に調製した。このとき、比較例として、上記マカ抽出物のみを0.5質量%の濃度で含有する溶液を調製した。
【0082】
<呈味評価>
得られたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品含有水溶液のそれぞれを検体として用いて、上記実施例1と同様にレーダーチャートで評価した。
【0083】
【表3】

【0084】
この結果、表3および図12ないし図15に示すように、呈味改善組成物となる可食性酸類の一つであるクエン酸は、マカ抽出物1質量部に対して0.05質量部以上1質量部以下の割合で添加させた場合に、優れた呈味改善効果を有することが認められた。
【実施例4】
【0085】
次に、ベンジルグルコシノレート含有組成物の実施例4を説明する。
【0086】
<マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の製造>
上記実施例1で得られたマカ抽出物1質量部に対して、エリスリトールをそれぞれ0.5質量部、5質量部、および50質量部加えてから、粉砕機で粉砕して均一な混合物とし、呈味の改善されたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を製造した。
【0087】
この後、これらマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の濃度が0.5質量%となるように、これらマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品のそれぞれを水に溶解させてマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品含有水溶液に調製した。このとき、比較例として、上記マカ抽出物のみを0.5質量%の濃度で含有する溶液を調製した。
【0088】
<呈味評価>
得られたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品含有水溶液のそれぞれを検体として用いて、上記実施例1と同様にレーダーチャートで評価した。
【0089】
【表4】

【0090】
この結果、表4および図16ないし図18に示すように、呈味改善組成物となる糖アルコールの一つであるエリスリトールは、マカ抽出物1質量部に対して0.5質量部以上50質量部以下の割合で添加させた場合に、優れた呈味改善効果を有することが認められた。
【実施例5】
【0091】
次に、ベンジルグルコシノレート含有組成物の実施例5を説明する。
【0092】
<マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の製造>
上記実施例1で得られたマカ抽出物1質量部に対して、マルトースをそれぞれ0.1質量部、1質量部、および10質量部加えてから、粉砕機で粉砕して均一な混合物とし、呈味の改善されたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を製造した。
【0093】
この後、これらマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の濃度が0.5質量%となるように、これらマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品のそれぞれを水に溶解させてマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品含有水溶液に調製した。このとき、比較例として、上記マカ抽出物のみを0.5質量%の濃度で含有する溶液を調製した。
【0094】
<呈味評価>
得られたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品含有水溶液のそれぞれを検体として用いて、上記実施例1と同様にレーダーチャートで評価した。
【0095】
【表5】

【0096】
この結果、表5および図19ないし図21に示すように、呈味改善組成物となる二糖類の一つであるマルトースは、マカ抽出物1質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下の割合で添加させた場合に、優れた呈味改善効果を有することが認められた。
【実施例6】
【0097】
次に、ベンジルグルコシノレート含有組成物の実施例6を説明する。
【0098】
<マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の製造>
上記実施例1で得られたマカ抽出物1質量部に対して、キシリトールをそれぞれ0.1質量部、1質量部、および10質量部加えてから、粉砕機で粉砕して均一な混合物とし、呈味の改善されたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を製造した。
【0099】
この後、これらマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の濃度が0.5質量%となるように、これらマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品のそれぞれを水に溶解させてマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品含有水溶液に調製した。このとき、比較例として、上記マカ抽出物のみを0.5質量%の濃度で含有する溶液を調製した。
【0100】
<呈味評価>
得られたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品含有水溶液のそれぞれを検体として用いて、上記実施例1と同様にレーダーチャートで評価した。
【0101】
【表6】

【0102】
この結果、表6および図22ないし図24に示すように、呈味改善組成物となる糖アルコールの一つであるキシリトールは、マカ抽出物1質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下の割合で添加させた場合に、優れた呈味改善効果を有することが認められた。
【実施例7】
【0103】
次に、ベンジルグルコシノレート含有組成物の実施例7を説明する。
【0104】
<マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の製造>
上記実施例1で得られたマカ抽出物1質量部に対して、パラチノースをそれぞれ0.1質量部、1質量部、および10質量部加えてから、粉砕機で粉砕して均一な混合物とし、呈味の改善されたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を製造した。
【0105】
この後、これらマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の濃度が0.5質量%となるように、これらマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品のそれぞれを水に溶解させてマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品含有水溶液に調製した。このとき、比較例として、上記マカ抽出物のみを0.5質量%の濃度で含有する溶液を調製した。
【0106】
<呈味評価>
得られたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品含有水溶液のそれぞれを検体として用いて、上記実施例1と同様にレーダーチャートで評価した。
【0107】
【表7】

【0108】
この結果、表7および図25ないし図27に示すように、呈味改善組成物となる本発明二糖類の一つであるパラチノースは、マカ抽出物1質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下の割合で添加させた場合に、優れた呈味改善効果を有することが認められた。
【実施例8】
【0109】
次に、ベンジルグルコシノレート含有組成物の実施例8を説明する。
【0110】
<錠剤>
上記実施例2で得られたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の粉末を20質量部と、マルチトールを72質量部と、乳糖を100質量部と、グリセリン脂肪酸エステルを8質量部との割合で含有させて原料とする。この後、この原料を図示しない打錠機にて打って、マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の補給を目的とする錠剤を製造した。この結果、原料の混合と打錠が容易であり、呈味の良好な錠剤が得られた。
【実施例9】
【0111】
次に、ベンジルグルコシノレート含有組成物の実施例9を説明する。
【0112】
<インスタントティー顆粒>
上記実施例2で得られたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の粉末を20質量部と、エリスリトールを40質量部と、クエン酸を50質量部と、ラクチュロースを50質量部と、デキストリンを810質量部との割合で含有させて原料とする。この後、この原料を図示しない流動層造粒機にて粒状にして、マカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を配合したインスタントティー顆粒を製造した。この結果、原料の混合と流動層造粒機による顆粒化が容易であり、呈味の良好な顆粒が得られた。
【実施例10】
【0113】
次に、ベンジルグルコシノレート含有組成物の実施例10を説明する。
【0114】
<ビスケット>
上記実施例1で得られたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の粉末を2gと、コーンスターチを100gと、グルコースを250gと、マーガリンを125gと、食塩を5gと、炭酸ソーダを25gと、炭酸アンモニウムを9gと、レシチンを6gと、全卵を75gと、乳酸カルシウムを50gと、水を350gとを混合させて練り上げてドウを作成する。この後、このドウを延展させてから成形して焙焼することにより、呈味の良好なビスケットを製造できた。
【実施例11】
【0115】
次に、ベンジルグルコシノレート含有組成物の実施例11を説明する。
【0116】
<グミキャンディ>
パラチノースを330gと、ソルビトールを140gと、水を270gとを混合して加熱して混合物を作成する。この後、この混合物にゼラチンを80gと上記実施例3で得られたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の粉末を10gと、水を150gとを混合して溶して溶液を作成する。次いで、この溶液に50質量%リン酸水溶液8gを混合してから、図示しない型に流し込んで冷却することにより、呈味の良好なグミキャンディを製造できた。
【実施例12】
【0117】
次に、ベンジルグルコシノレート含有組成物の実施例12を説明する。
【0118】
<チューインガム>
図示しないチューインガム試作用ミキサに、ガムベースを25質量部と、パラチニットシロップを14質量部とを加えて混合して混合物を作成する。この後、この混合物に、粉末キシリトールを35質量部と、粉末マルチトールを25質量部と、上記実施例2で得られたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品の粉末を14質量部と、ステビア甘味料(丸善製薬株式会社製、商品名:マルミロン50)を0.4質量部とを予め混合したものを数回に分けて加えてよく練り合わせて練合物を作成した。次いで、この練合物にグリセリンを1質量部加えて充分混合した後に、チューインガム試作用ミキサから取り出して図示しないローラで圧延することにより、呈味の良好なチューインガムを製造できた。
【実施例13】
【0119】
次に、ベンジルグルコシノレート含有組成物の実施例13を説明する。
【0120】
<マウスウオッシュ>
エタノールを15質量部と、ソルビトールを10質量部と、クエン酸を0.05質量部と、クエン酸ナトリウムを0.2質量部と、安息香酸ナトリウムを0.2質量部と、ラウリル硫酸ナトリウムを0.2質量部と、サッカリンナトリウムを0.05質量部と、上記実施例1にて得られたマカ抽出物ベンジルグルコシノレート高含量品を0.4質量部と、l−メントールを0.05質量部と、精製水と、残部とを合計で100質量部に調製して常法でマウスウオッシュを製造した。この結果、呈味の良好なマウスウオッシュを製造できた。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の実施例1のベンジルグルコシノレート含有組成物にマルチトースを0.1質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図2】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物にマルチトースを0.5質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図3】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物にマルチトースを1質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図4】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物にマルチトースを5質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図5】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物にマルチトースを10質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図6】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物にマルチトースを50質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図7】本発明の実施例2のベンジルグルコシノレート含有組成物に乳糖を0.1質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図8】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物に乳糖を0.5質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図9】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物に乳糖を1質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図10】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物に乳糖を5質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図11】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物に乳糖を10質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図12】本発明の実施例3のベンジルグルコシノレート含有組成物にクエン酸を0.05質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図13】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物にクエン酸を0.1質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図14】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物にクエン酸を0.5質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図15】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物にクエン酸を1質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図16】本発明の実施例4のベンジルグルコシノレート含有組成物にエリスリトールを0.5質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図17】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物にエリスリトールを5質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図18】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物にエリスリトールを50質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図19】本発明の実施例5のベンジルグルコシノレート含有組成物にマルトースを0.1質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図20】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物にマルトースを1質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図21】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物にマルトースを10質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図22】本発明の実施例6のベンジルグルコシノレート含有組成物にキシリトールを0.1質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図23】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物にキシリトールを1質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図24】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物にキシリトールを10質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図25】本発明の実施例7のベンジルグルコシノレート含有組成物にパラチノースを0.1質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図26】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物にパラチノースを1質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。
【図27】同上ベンジルグルコシノレート含有組成物にパラチノースを10質量部配合した場合を示すレーダーチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンジルグルコシノレートを含む不味組成物と、
糖アルコール、可食性酸類、単糖類および二糖類の少なくともいずれか一つ以上を含む呈味改善組成物と
を含有することを特徴としたベンジルグルコシノレート含有組成物。
【請求項2】
不味組成物は、ベンジルグルコシノレートを1質量%以上30質量%以下含有し、
呈味改善組成物は、前記不味組成物1質量部に対して0.001質量部以上5000質量部以下の割合で含有されている
ことを特徴とした請求項1記載のベンジルグルコシノレート含有組成物。
【請求項3】
呈味改善組成物の糖アルコールは、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パラチニット、ラクチトールおよび還元デンプン糖化物の少なくともいずれか1つ以上である
ことを特徴とした請求項1または2記載のベンジルグルコシノレート含有組成物。
【請求項4】
呈味改善組成物の可食性酸類は、クエン酸、リンゴ酸、乳酸およびリン酸の少なくともいずれか1つ以上である
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか記載のベンジルグルコシノレート含有組成物。
【請求項5】
呈味改善組成物の単糖類および二糖類のいずれかは、甘味度がショ糖の0.1倍以上0.7倍以下である
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか記載のベンジルグルコシノレート含有組成物。
【請求項6】
呈味改善組成物の単糖類および二糖類のいずれかは、グルコース、キシロース、ガラクトース、マルトース、乳糖、ラクチュロースおよびパラチノースの少なくともいずれか1つ以上である
ことを特徴とした請求項1ないし5いずれか記載のベンジルグルコシノレート含有組成物。
【請求項7】
不味組成物は、マカから水および含水アルコールの少なくともいずれかで抽出された抽出液をハイポーラス型合成高分子吸着樹脂に通して吸着させたマカ抽出物である
ことを特徴とした請求項1ないし6いずれか記載のベンジルグルコシノレート含有組成物。
【請求項8】
請求項1ないし7いずれか記載のベンジルグルコシノレート含有組成物と、
飲料組成物と
を含有したことを特徴としたベンジルグルコシノレート含有飲料物。
【請求項9】
ベンジルグルコシノレート含有飲料物は、飲料組成物1質量部に対して0.1質量%以上50質量%以下の割合で含有されている
ことを特徴とした請求項8記載のベンジルグルコシノレート含有飲料物。
【請求項10】
ベンジルグルコシノレートを含む不味組成物に、糖アルコール、可食性酸類、単糖類および二糖類の少なくともいずれか1つ以上を含む呈味改善組成物を添加して、前記不味組成物の呈味を改善させる
ことを特徴とするベンジルグルコシノレート含有組成物の呈味改善方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2006−204210(P2006−204210A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21528(P2005−21528)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(300022526)TOWA CORPORATION 株式会社 (8)
【Fターム(参考)】