説明

ベース食品に結合された第1の層を含む湿潤ペットフード製品

本発明の湿潤ペットフード製品は、さらなる消費者へのアピールとペットにとってのアクセスのしやすさとを有する。湿潤ペットフード製品は、ベース食品、第1の層、所望により、前記ベース食品と関連付けられたコーティングを含有し、前記第1の層は、ベース食品と結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿潤ペットフード製品に関する。本発明は、湿潤ペットフード製品を調製するための方法にさらに関し、より詳細には、消費者に望ましい外観、並びにペットによるアクセス(access)および管理(manage)しやすさを呈する、湿潤ペットフード製品を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペットフードは、一般に、乾性の、湿性の、および半湿性の配合物として製造され入手可能である。美味性を改善するために着香料および香気調整剤が使用されるが、湿潤ペットフードはしばしば消費者へのアピールを欠くことが問題となる。湿潤ペットフードの現在の成分の他の欠点としては、望ましくない色、不快な臭気、および時として真の食肉製品であるように思われない硬いコアが挙げられる。
【0003】
ペットおよび消費者にアピールし得る、小さな食肉片をともに結合させることによって作製された、もとの食肉(primal meat)の一片の品質を有する再構成食肉製品を製造するための幾つかの試みが試されてきた。こうした例の1つは、もとの食肉に見出される長手方向に延びている筋肉繊維を模倣することを試みており、これまで、もとの食肉の繊維を模倣するように再構成食肉の繊維を結合し配向することが提案されてきた。別の例は、食肉または同様のものを水平方向の軸を有する回転ドラム内で結合させるためのプロセスおよび装置を試みている。
【0004】
人間工学的に改善されたペットフード製品を製造するための種々の試みがなされてきた。こうした例の1つでは、食肉製品は、食肉繊維を模倣するように、食肉片を細長い形状で結合させ、その食肉片を実質的にらせん形の列に配列させることにより形成される。
【0005】
魅力的であり、ペットによるアクセスおよび管理が容易な、アピールのある食肉製品を製造するために、多くの努力がなされてきたが、消費者へのアピールとペットにとってのアクセスのしやすさを維持しつつ、天然の食肉製品によって示される結合を示すペットフード製品への必要性は、いまだ残っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、消費者にとって望ましい外観であり、ペットによりアクセスおよび管理しやすいペットフード製品を提供することである。このペットフード製品は、外観が魅力的であり、改善された質感を提供し、臭気を隠し、人間工学的に改善されたペットフード製品を形成する製品を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ベース食品、第1の層、所望により、前記ベース食品と関連付けられたコーティングを含み、前記第1の層が前記ベース食品と結合している湿潤ペットフード製品(wet pet food product)に関する。
【0008】
本発明はさらに、スチームトンネル食肉を含むベース食品、加工小麦タンパク質を含む第1の層、前記ベース食品と関連付けられたコーティングを含み、前記第1の層が前記ベース食品と結合している湿潤ペットフード製品にさらに関する。
【0009】
本発明はまた、上述した湿潤ペットフード製品を調製する非限定的な方法を対象とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の湿潤ペットフード製品は、ベース食品、第1の層、所望により、前記ベース食品と関連付けられたコーティングを含み、前記第1の層は前記ベース食品と結合している。
【0011】
本発明の組成物および方法のこれらのおよび他の制限事項、並びに本明細書に使用するのに好適な任意成分の多くについては、以下で詳細に説明する。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「使用に適した」とは、記載されたペットフード製品が、アメリカ飼料検査官協会(the American Association of Feed Control Officials)(AAFCO)の、ペット向けのペットフード製品を提供するための安全要件を、時折修正される場合に応じて満たすことができることを意味する。
【0013】
本明細書で使用するとき、特に規定のない限り、用語「集塊(agglomerate(s))(単数または複数)」とは、複数の粒子を含み、ここで、粒子は物理的および/または化学的に、非可逆的および/または可逆的に互いに付着されて、分離性の物体の本体(discrete body of matter)を形成することができる。本明細書で使用するとき、用語「付着した」とは、特に指定のない限り、粒子が物理的および/または化学的に、結び付けられているまたは互いに結合していることを意味する。
【0014】
本明細書で使用するとき、「ベース食品」または「製品」または「集塊」「と関連付けられた(associated with)」とは、特に指定のない限り、そのベース食品、製品、若しくは集塊に適用されるか、またはその内部に適用されるか、そのベース食品、製品、若しくは集塊内に浸透されるか、そのベース食品、製品、若しくは集塊の上に、またはそれらの内側に、またはそれらに隣接してコーティングされるか、あるいはそのベース食品、製品、若しくは集塊と一体化されるか、あるいはそのベース食品、製品、若しくは集塊に埋め込まれるコーティングを意味する。第1のまたは追加のコーティングはまた、その食用コアおよび/または集塊と、全体的に、または部分的に「関連付けられて」もよい。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「完全であり、栄養バランスがとれている(complete and nutritionally balanced)」とは、特に指定のない限り、すべての既知の必要な栄養素を適切な量でおよびペットの栄養の分野で認められている専門家の推奨に基づく割合で有するペットフード製品のことをいう。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「ベース食品(base food)」とは、規則的または不規則的のいずれにしても、目に見える形状のおよび規定可能な寸法の物体へと加工され、操作され、または形成された、ペットフードでの使用が意図された物質を意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「結合している(bonded)」とは、適用可能な第1の若しくは追加の層および/または第1の若しくは追加の集塊が、ベース食品に若しくはその内側に適用されるか、ベース食品内に浸透されるか、ベース食品の上に、その内側に、若しくはそれに隣接してコーティングされるか、またはベース食品と一体化されるような方法で実質的に付着していることを意味する。また、第1の層または追加の層は、集塊と「結合して」いてよい。また、第1の層または追加の層は、そのベース食品および/または集塊と、全体的に、または部分的に「結合して」いてよい。したがって、第1のまたは追加の層は、湿潤ペットフード製品の大きさ、形状、および全体的な外観を変化させるためにベース食品および/または集塊と「結合して」いてもよい。さらに、第1のおよび追加の集塊が第2のまたは追加の集塊と「結合して」いてもよい。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「湿潤(wet)」ペットフード製品とは、そのペットフード製品が湿性および/または半湿性であることができることを意味する。
【0019】
全ての百分率、部および比率は、本明細書で用いるとき、特に指定がない限り、製品全体の重量による。列記された成分に関するこのような重量は全て、活性濃度に基づくものであり、したがって特に指定しない限り、市販材料に含まれることのある溶媒または副産物を含まない。
【0020】
本発明の湿潤ペットフード製品および方法は、本明細書に記載の本発明の必須要素および制限、並びに本明細書に記載のまたは飼料用に意図された湿潤ペットフード製品に有用なその他のいかなる追加若しくは任意の成分、構成成分、または制限をも含み、これらからなり、またはこれらから本質的になることができる。
【0021】
製品形態
本発明のペットフード製品は、典型的には湿潤ペットフード製品の形態である。本発明の湿潤ペットフード製品は、半湿性のペットフード製品(すなわち、製品の16重量%〜50重量%の全湿分含量を有するもの)、および/または湿性のペットフード製品(すなわち、製品の50重量%よりも高い全湿分含量を有するもの)とすることができる。本明細書で特に記載しない限り、半湿性のペットフード製品、および湿性のペットフード製品は、それらの組成または調製方法によって制限されない。
【0022】
本明細書の湿潤ペットフード製品は完全であり、栄養バランスがとれていることが可能である。完全であり、栄養バランスがとれている湿潤ペット製品は、唯一の食料として与えられるように構成されてよく、水を除いては摂取されるいかなる追加物質をも伴わずに生命を維持することができ、および/または繁殖を促進することができる。
【0023】
本発明の湿潤ペットフード製品および成分は、ペットにより摂取されるように選択され、ヒトによって摂取されることを意図していない。湿潤ペットフード製品の非限定例としては、ドッグフード製品およびキャットフード製品が挙げられる。
【0024】
本発明の一実施形態では、湿潤ペットフード製品は、ベース食品、第1の層、前記ベース食品と関連付けられたコーティングを含み、前記第1の層は前記ベース食品と結合している。本発明の別の実施形態では、湿潤ペットフード製品は、スチームトンネル食肉を含むベース食品、加工小麦タンパク質を含む第1の層、前記ベース食品と関連付けられたコーティングを含み、前記第1の粒子は、前記ベース食品と結合している。本発明は、ペットによるアクセスおよび管理しやすさ並びに消費者にとっての改善された魅力を高める。コーティングは、消費者並びにペットへの魅力を改善する。湿潤ペットフード製品は好ましくは、その湿潤ペットフード製品を見るのに適している実質的に透明な部分を含む収容装置内に収納されている。
【0025】
ベース食品
湿潤ペットフード製品はベース食品を含む。ベース食品は、ベース食品と関連付けられたコーティングを有することができる。ベース食品は、動物性タンパク質、植物性タンパク質、デンプン質物質、野菜、果物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される構造剤(structurant)を含むことができる。
【0026】
加えて、ベース食品は、そのベース食品に結合している第1の層を有することができる。本発明の一実施形態では、ベース食品は、そのベース食品と関連付けられたコーティングおよび加工物質に結合している第1の層を有することができる。ベース食品は、スチームトンネル、押出成形、フリーズテクスチャ化(freeze-texturization)、ベーキング、ゲル化、レトルト、マイクロ波加熱、およびこれらの組み合わせを含む、種々の周知の手段によって加工することができる。構造剤は、押出されたタンパク質であることができる。ベース食品は、立方体、不規則形状、細長い形状、円筒形状、球形、幾何学形状、軸方向に伸張された形状、およびこれらの組み合わせであることができる。
【0027】
動物性タンパク質は、例えば、筋繊維の食肉または食肉副産物を含む種々の動物性供給源のいかなるものに由来してもよい。動物性タンパク質の非限定例としては、例えば筋繊維の食肉、食肉副産物、肉粉、または魚粉を含む、牛肉、豚肉、鶏肉、子羊肉、カンガルー肉、貝、甲殻類、魚、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
植物性タンパク質は、種々の植物供給源のいかなるものに由来してもよい。植物性タンパク質の非限定例としては、ルピナスタンパク質(lupin protein)、小麦タンパク質、大豆タンパク質、およびこれらの組み合わせが挙げられる。存在する場合、植物性タンパク質の一部またはすべてが、人造タンパク質(texturized protein)であることができる。
【0029】
デンプン質物質は、ペットフード業界で一般的に知られている。デンプン質物質の非限定例としては、米、トウモロコシ、ミロ、ソルガム、大麦、および小麦等のような穀物、パスタ(例えば、粉に挽いたパスタ)、パン粉(breading)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
野菜は、ペットフード業界で一般的に知られている。野菜の非限定例としては、エンドウマメ、ニンジン、トウモロコシ、ジャガイモ、豆類、キャベツ、トマト、セロリ、ブロッコリー、カリフラワー、およびリーキ(leeks)が挙げられる。
【0031】
果物は、ペットフード業界で一般的に知られている。非限定例としては、トマト、リンゴ、アボカド、西洋ナシ、モモ、サクランボ、アンズ、プラム、ブドウ、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、クランベリー、ラズベリー、ブルーベリー、スイカ、カンタロープ(cantelope)、マスクメロン(mushmellon)、ハネジューメロン(honeydew melon)、イチゴ、バナナ、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0032】
上述した動物性タンパク質は、有意な濃度の微生物を含有する可能性がある。これらの微生物は商品流通する前に死滅させなければならない。この目的のために、種々の周知の技術が利用可能である。非限定例としては、加熱、加圧、減圧、および剪断が挙げられる。
【0033】
ベース食品は、本明細書で後述する体積法により測定した場合に、約.004cc〜約3600cc、好ましくは約.024cc〜約442cc、より好ましくは約.108cc〜約131cc、さらにより好ましくは約.256cc〜約16.4ccの体積を有することができる。
【0034】
ベース食品は、約16%〜約92%の範囲の湿分含量を有することができる。好ましくは、加工物質は、本明細書で後述する湿分含量法により測定した場合に、少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約25%、さらにより好ましくは少なくとも約30%、さらにより好ましくは少なくとも約35%、なおより好ましくは少なくとも約40%、なおさらにより好ましくは少なくとも約50%、なおさらにより好ましくは少なくとも約60%、なおさらにより好ましくは少なくとも約70%の湿分含量を有する。
【0035】
ベース食品は、本明細書で後述する密度法により測定した場合に、約.1〜約3g/cc、好ましくは少なくとも約.8g/cc、より好ましくは少なくとも約1.01g/cc、さらにより好ましくは少なくとも約1.04g/ccの密度を有することができる。
【0036】
第1の層
湿潤ペットフード製品は第1の層を含むことができる。第1の層は複数の粒子を含むことができる。この複数の粒子は、第1の層を形成するために互いに付着されることができる。複数の粒子を付着させる方法としては、これらに限定されないが、圧縮、鋳型成形(molding)、振盪、押出成形、加熱、およびこれらの組み合わせが挙げられる。ここで、粒子は、物理的および/または化学的に付着されることができる。粒子は、少なくとも1つの軸について測定したとき、大きさが少なくとも約5〜約600ミクロンであることができる。
【0037】
第1の層は、ベース食品と結合していることができる。例えば、第1の層がベース食品と結合している一実施形態では、安定な湿潤フード製品が形成される。第1の層を本発明のベース食品と結合させる方法としては、これらに限定されないが、圧縮、鋳型成形(molding)、振盪、押出成形、加熱、およびこれらの組み合わせが挙げられる。得られる湿潤ペットフード製品は様々な形状、大きさ、および外観を有することができる。第1の層がベース食品と結合しているとき、後述するようなコーティングを使用することができる。
【0038】
第1の層および/または複数の粒子は、動物性タンパク質、植物性タンパク質、デンプン質物質、野菜、果物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。第1の層は、スチームトンネル、押出成形、フリーズテクスチャ化(freeze-texturization)、ベーキング、ゲル化、レトルト、およびこれらの組み合わせを含む種々の周知の手段によって加工することができる。第1の層の例としては、スチームトンネル食肉、押出成形食肉、部分的に調理された食肉、焼いた食肉、ゲル化された食肉、レトルト加工された食肉、およびこれらの組み合わせが挙げられる。第1の層は、少なくとも1つの軸について測定した場合に、大きさ約2mm〜約30mm、好ましくは大きさ約3〜約20mm、より好ましくは少なくとも1つの軸について測定した場合に、大きさ約6mm〜約15mmに細断されることができる。
【0039】
動物性タンパク質は、例えば、筋繊維の食肉または食肉副産物を含む種々の動物性供給源のいかなるものに由来してもよい。動物性タンパク質の非限定例としては、例えば筋繊維の食肉、食肉副産物、肉粉、または魚粉を含む、牛肉、豚肉、鶏肉、子羊肉、カンガルー肉、貝、甲殻類、魚、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0040】
植物性タンパク質は、種々の植物供給源のいかなるものに由来してもよい。植物性タンパク質の非限定例としては、ルピナスタンパク質、小麦タンパク質、大豆タンパク質、およびこれらの組み合わせが挙げられる。植物性タンパク質の一部またはすべては、存在する場合、人造タンパク質(texturized protein)、例えば加工小麦タンパク質であることができる。
【0041】
デンプン質物質は、ペットフード業界で一般的に知られている。デンプン質物質の非限定例としては、米、トウモロコシ、ミロ、ソルガム、大麦、および小麦等のような穀物、パスタ(例えば、粉に挽いたパスタ)、パン粉(breading)、大豆、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
野菜は、ペットフード業界で一般的に知られている。野菜の非限定例としては、エンドウマメ、ニンジン、トウモロコシ、ジャガイモ、豆類、キャベツ、トマト、セロリ、ブロッコリー、カリフラワー、およびリーキ(leeks)が挙げられる。
【0043】
果物は、ペットフード業界で一般的に知られている。非限定例としては、トマト、リンゴ、アボカド、西洋ナシ、モモ、サクランボ、アンズ、プラム、ブドウ、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、クランベリー、ラズベリー、ブルーベリー、スイカ、カンタロープ(cantelope)、マスクメロン(mushmellon)、ハネジューメロン(honeydew melon)、イチゴ、バナナ、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
コーティング
湿潤ペットフード製品は、ベース食品と関連付けられた第1のコーティングを有することができるベース食品を含む。コーティングは、結合剤を含むことができる。
【0045】
存在する場合、コーティングは、そのコーティングの約.01重量%〜約100重量%の前記結合剤を含む。好ましくは、コーティングは、そのコーティングの約1重量%〜約50重量%、より好ましくは約2重量%〜約35重量%、さらにより好ましくは約4重量%〜約20重量%の前記結合剤を含む。
【0046】
結合剤の非限定例としては、卵を原料とする物質(卵白、および好ましくは乾燥卵白を含む)、非変性タンパク質、食品等級の高分子接着剤、ゲル、ポリオール、デンプン(変性デンプンを含む)、ゴム、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0047】
ポリオールの非限定例としては、二糖類および複合糖質のような糖アルコールが挙げられる。特定の複合糖質は、通常デンプンと呼ばれる。二糖類は、一般式C2n−2n−1を有する分子であり、ここで二糖類は、グリコシド結合により結合している2つの単糖ユニットを有する。このような式において、nは3以上の整数である。
【0048】
本明細書で用いてよい二糖類の非限定例には、スクロース、マルトース、ラクチトール、マルチトール、マルツロース、およびラクトースが挙げられる。
【0049】
複合糖質の非限定例としては、オリゴ糖および多糖類が挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「オリゴ糖」は、3〜9個の単糖ユニットを有する分子を意味し、ここでそれらのユニットは、グリコシド結合により共有結合している。本明細書で使用するとき、用語「多糖類」は、9個を超える単糖ユニットを有する巨大分子を意味し、ここでそれらのユニットは、グリコシド結合により共有結合している。多糖類は、直鎖または分枝状であってよい。好ましくは、多糖類は、9〜約20個の単糖ユニットを有する。多糖類は、デンプン類を含んでよく、本明細書ではこれにデンプンと変性デンプンが含まれることが定義される。デンプンは、一般に、特定の植物種、例えば、トウモロコシ、小麦、米、タピオカ、ジャガイモ、エンドウマメなどのような穀物および塊茎に発生する炭水化物ポリマーである。デンプンは、結合しているα−D−グルコースユニットを含有する。デンプンは、主に直鎖構造(例えば、アミロース)または分枝状構造(例えば、アミロペクチン)のいずれかを有してよい。デンプンは、当業者に周知の方法を使用して、デンプン顆粒の過剰な膨潤を防止するために架橋により変性されてよい。デンプンのさらなる例には、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプンなどが挙げられる。市販デンプンの他の例には、ウルトラスパース(ULTRA SPERSE)M(商標)、N−ライト(N-LITE)LP(商標)、およびテクストラプラス(TEXTRA PLUS)(商標)が挙げられ、これらは全てナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社(National Starch and Chemical Company)(ニュージャージー州、ブリッジウォーター(Bridgewater))から入手可能である。
【0050】
好ましい複合糖質の非限定例には、ラフィノース、スタキオース、マルトトリオース、マルトテトラオース、グリコーゲン、アミロース、アミロペクチン、ポリデキストロース、およびマルトデキストリンが挙げられる。
【0051】
コーティングは所望により、追加の成分をさらに含むことができる。追加の成分の非限定例としては、小麦タンパク質、大豆タンパク質、ルピナスタンパク質、タンパク質粉末(protein flour)、加工小麦タンパク質、加工大豆タンパク質、加工ルピナスタンパク質、加工野菜タンパク質、パン粉(breading)、挽肉、小麦粉、粉砕されたパスタ、パスタ、水、風味剤、デンプン、調味塩、着色剤、徐放性化合物、ミネラル、ビタミン、酸化防止剤、プレバイオティクス(prebiotics)、プロバイオティクス(probiotics)、香気調整剤(aroma modifier)、風味調整剤(flavor modifier)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
集塊
本発明の湿潤ペットフード製品は、第1の集塊および/または1以上の追加の集塊を含むことができる。集塊は、複数の粒子を含むことができ、粒子は互いに付着されて、集塊を形成する。集塊は、ベース食品と結合していることができ、それによりそのベース食品の形状、大きさ、質感、外観、密度、および体積を変えることができる。
【0053】
本発明の湿潤ペットフード製品は、その製品、ベース食品、第1の層、および/または他の集塊と結合していることができる1以上の追加の集塊を含んでもよく、当業者はそれを第1の集塊とは別個の区別されるものとして認識する。これらの追加の集塊はまた、本発明の第1の集塊に加えて連続番号が付けられた集塊、例えば、第2の集塊、第3の集塊と呼ばれてよい。
【0054】
集塊は様々な大きさおよび形状であることができる。集塊は、本明細書で後述する体積法により測定した場合に、約.004cc〜約3600cc、好ましくは約.024cc〜約442cc、より好ましくは約.108cc〜約131cc、さらにより好ましくは約.256cc〜約16.4ccの体積を有するものであることができる。
【0055】
複数の粒子を含む集塊は、動物性タンパク質、植物性タンパク質、デンプン質物質、野菜、果物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0056】
粒子は、スチームトンネル、押出成形、フリーズテクスチャ化(freeze-texturization)、ベーキング、ゲル化、レトルト、およびこれらの組み合わせを含む、種々の周知の手段によって加工することができる。粒子の例としては、スチームトンネル食肉、押出成形食肉、部分的に調理された食肉、焼いた食肉、ゲル化された食肉、レトルト加工された食肉、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0057】
動物性タンパク質は、例えば、筋繊維の食肉または食肉副産物を含む種々の動物性供給源のいかなるものに由来してもよい。動物性タンパク質の非限定例としては、例えば筋繊維の食肉、食肉副産物、肉粉、または魚粉を含む、牛肉、豚肉、鶏肉、子羊肉、カンガルー肉、貝、甲殻類、魚、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0058】
植物性タンパク質は、種々の植物供給源のいかなるものに由来してもよい。植物性タンパク質の非限定例としては、ルピナスタンパク質、小麦タンパク質、大豆タンパク質、およびこれらの組み合わせが挙げられる。植物性タンパク質の一部またはすべては、存在する場合、人造タンパク質(texturized protein)、例えば加工小麦タンパク質であることができる。
【0059】
デンプン質物質は、ペットフード業界で一般的に知られている。デンプン質物質の非限定例としては、米、トウモロコシ、ミロ、ソルガム、大麦、および小麦等のような穀物、パスタ(例えば、粉に挽いたパスタ)、パン粉(breading)、大豆、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0060】
野菜は、ペットフード業界で一般的に知られている。野菜の非限定例としては、エンドウマメ、ニンジン、トウモロコシ、ジャガイモ、豆類、キャベツ、トマト、セロリ、ブロッコリー、カリフラワー、およびリーキ(leeks)が挙げられる。
【0061】
果物は、ペットフード業界で一般的に知られている。非限定例としては、トマト、リンゴ、アボカド、西洋ナシ、モモ、サクランボ、アンズ、プラム、ブドウ、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、クランベリー、ラズベリー、ブルーベリー、スイカ、カンタロープ(cantelope)、マスクメロン(mushmellon)、ハネジューメロン(honeydew melon)、イチゴ、バナナ、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0062】
集塊は所望により、追加の成分をさらに含むことができる。追加の成分の非限定例としては、加工小麦タンパク質、加工大豆タンパク質、加工ルピナスタンパク質、加工野菜タンパク質、パン粉(breading)、挽肉、小麦粉、粉砕されたパスタ、水、風味剤、調味塩、着色剤、徐放性化合物、ミネラル、ビタミン、酸化防止剤、プレバイオティクス、プロバイオティクス、香気調整剤、風味調整剤、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0063】
追加の層
別の実施形態では、本発明の湿潤ペットフード製品および/または本発明の集塊は、その製品、ベース食品、および/または集塊と結合していることのできる1以上の追加の層を含んでもよく、当業者はそれを第1の層とは別個の区別されるものとして認識する。これらの追加の層はまた、本発明の第1の層に加えて連続番号の付けられた層、例えば、第2の層、第3の層等と呼ばれてよい。好適な追加の層は、第1の層に好適であるとして上記で開示されている物質を含んでよい。
【0064】
追加のコーティング
別の実施形態では、本発明の湿潤ペットフード製品および/または本発明の集塊は、その製品、ベース食品、および/または集塊と関連付けられることのできる1以上の追加のコーティングを含んでもよく、当業者はそれを第1のコーティングとは別個の区別されるものとして認識する。追加のコーティングは、湿潤ペットフード製品および/または集塊の表面に非光沢的外観を提供でき、それにより、消費者またはペットの一方または両方にとって改善された新鮮さの外観および改善された魅力を有する湿潤ペットフード製品を提供する。いずれの場合にも、これらの追加のコーティングはまた、本発明の第1のコーティングに加えて連続の番号が付けられたコーティング、例えば第2のコーティング、第3のコーティング等と呼ばれてよい。好適な追加のコーティングは、上記に第1のコーティングに好適であるとして開示されている物質を含んでよい。
【0065】
任意成分
本発明の湿潤ペットフード製品は、多種多様な他の任意成分をさらに含むことができる。これらの任意成分は、集塊の一部として存在することができる。
【0066】
任意成分の非限定例としては、少なくとも1つの野菜を挙げることができる。野菜の非限定例としては、ニンジン、エンドウマメ、ジャガイモ、キャベツ、セロリ、豆類、トウモロコシ、トマト、ブロッコリー、カリフラワー、タマネギ、ニンニク、リーキ、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0067】
充填剤もまた、任意成分として、本明細書で有用である。充填剤は、固体、液体、または圧縮空気(packed air)であることができる。充填剤は、可逆的(例えば、ゼラチンが挙げられる熱可逆的なもの)および/または非可逆的(例えば、卵白が挙げられる熱非可逆的なもの)であることができる。充填剤の非限定例としては、グレービー(gravy)、ゲル、ゼリー、アスピック(aspic)、ソース、水、空気(例えば、窒素、二酸化炭素、および大気が挙げられる)、ブロス((broth)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0068】
1以上の着色剤もまた、任意成分として、本明細書で有用である。非限定例の着色剤としては、これらに限定されないが、合成または天然の着色剤、およびこれらの組み合わせが挙げられる。着色剤は、茶色用の麦芽、白色用の二酸化チタン、または赤色用のトマト抽出物(例えば、リコピン)、緑色用のアルアルファ(例えば、クロロフィル)、緑色用の藻類粉、茶色用のカラメル、黄−橙色周辺用のアンナット抽出物(例えば、ビクシン、トランスビクシン、およびノルビクシン、並びにこれらの組み合わせ)、赤−紫色周辺用の脱水されたビート、青−緑色周辺用のウルトラマリンブルー、橙色周辺用のβ−カロチン、橙色周辺用のマンジュギク(例えば、ルテイン)、黄色周辺用のターメリック、黄色周辺用のターメリックオレオレジン、黄色周辺用のサフラン、黄色周辺用のトウモロコシグルテン粉、赤色周辺用のパプリカ、橙−赤色周辺用のパプリカオレオレジン、黒色周辺用の黒酸化鉄、茶色周辺用の茶酸化鉄、赤色周辺用のベンガラ、黄色周辺用の黄酸化鉄、赤−紫色周辺用の赤キャベツ、黒色周辺用のカーボンブラック、赤色周辺用のコチニール抽出物、黄色周辺用のニンジン油、緑−青色周辺用の食品、医薬品および化粧品用青色1号(ブリリアントブルー)、藍色周辺用の食品、医薬品および化粧品用青色2号(インジゴチン)、青−緑色周辺用の食品、医薬品および化粧品用緑色3号(ファストグリーン)、青−赤色周辺用の食品、医薬品および化粧品用赤色3号(エリトロシン)、黄−赤色周辺用の食品、医薬品および化粧品用赤色40号(アルラレッド)、レモン色−黄色周辺用の食品、医薬品および化粧品用黄色5号(タルトラジン)、赤−黄色周辺用の食品、医薬品および化粧品用黄色6号(サンセットイエロー)、固有の色用の果汁濃縮物(例えば、橙色周辺用のオレンジジュース濃縮物)、赤−青色用のブドウ色抽出物、緑色周辺用のキサントフィル(例えば、ブロッコリーから抽出される)、固有の色用の野菜ジュース(例えば、赤−紫色用のビートジュース)、緑−黄色周辺用のリボフラビン、橙色周辺用のオレンジB、並びに黒色周辺用のタコおよびイカの墨であることができる。コーティングされたペットフード製品は、その製品の約0.00001重量%〜約10重量%の前記着色剤を含む。好ましくは、コーティングされたペットフード製品は、その製品の約0.0001重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.001重量%〜約1重量%、さらにより好ましくは約0.005重量%〜約0.1重量%の前記着色剤を含む。
【0069】
1以上の追加の成分もまた、任意成分として、本明細書で有用である。非限定例としては、加工小麦タンパク質、加工大豆タンパク質、加工ルピナスタンパク質、加工野菜タンパク質、パン粉(breading)、挽肉、小麦粉、粉砕されたパスタ、水、風味剤、調味料、塩、徐放性化合物、ミネラル、ビタミン、酸化防止剤、プレバイオティクス、プロバイオティクス、香気調整剤、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0070】
少なくとも1つの果物もまた、任意成分として、本明細書で有用である。非限定例としては、トマト、リンゴ、アボカド、西洋ナシ、モモ、サクランボ、アンズ、プラム、ブドウ、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、クランベリー、ラズベリー、ブルーベリー、スイカ、カンタロープ(cantelope)、マスクメロン(mushmellon)、ハネジューメロン(honeydew melon)、イチゴ、バナナ、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0071】
製造方法
本発明の湿潤ペットフード製品は、所望の湿潤ペットフード製品を作製および配合するのに好適ないかなる既知の、またはその他の有効な技術によって調製されてもよい。(a)ベース食品を用意し、(b)第1の層を用意し、(c)前記ベース食品と前記第1の層とを結合し、(d)前記層がヒートセットされるまで、前記ペットフード製品を加熱し、および(e)前記ペットフード製品をすべての微生物が死滅するまで加熱する方法を含んで、湿潤ペットフード製品を製造するのが有効である。湿潤ペットフード製品は、所望により、前記ベース食品と関連付けられたコーティングを有することができる。湿潤ペットフード製品は、所望により、前記コーティングがヒートセットされるまで、前記ペットフード製品を加熱することができる。湿潤ペットフード製品は、所望により、ベース食品と結合している第2の層またはベース食品と関連付けられた第2のコーティングを有することができる。
【0072】
密度法
この方法は、ベース食品および/または集塊の密度を測定する。密度は、21.5℃の蒸留水に浸漬することにより評価される。
【0073】
流体への浸漬によって、ベース食品および/または集塊の密度を測定するための装置が、本明細書に記載されている。少なくとも0.001gまでの精度の化学てんびんは、上皿てんびん皿(top loading balance pan)を取り外してある。そのてんびん皿上にフレームを取り付けてある。その化学てんびんに皿の周囲に沿ったガードが備えられている場合、てんびんロードセル上での皿およびフレームの設置を妨害しないようにそのガードを取り外す。皿およびフレームアセンブリーをてんびんロードセル上に置く。皿をまたいで、フレームまたは皿に触れないように基盤(platform)を設置する。ビーカー(例えば、500mL)を21.5℃の蒸留水(例えば、500mL)で満たす。フレームに触れないような方法で、ビーカーおよび水を基盤上に好ましくは中央に置く。この工程では2つの試料ステージが用いられる。上方試料ステージ(上方ステージ)は、フレームの上部の中央で水平の部分に取り付けられる。下方試料ステージ(下方ステージ)は、試料がその下方ステージ上に置かれた場合にその試料が完全に沈むのに十分な深さまで沈められるべきである。ビーカーの内壁に沿って温度計を取り付ける。較正後、温度計による蒸留水の温度を記録する。化学てんびんの風袋を計る。必要なら、ビーカーの大きさ、はかりの大きさ、および水の深さを、ベース食品および/または集塊の重量、並びに異なるサイズに対して調節することができる。
【0074】
i.浮揚しないベース食品および/または集塊
ベース食品および/または集塊の重量は、各ステージの位置に置かれたときに測定される。最小限の把持力でピンセットを用いて、ベース食品および/または集塊を上方試料ステージ上に置く。重量は、空気中でのベース食品および/または集塊の重量(A)として記録される。最小限の把持力でピンセットを用いて、ベース食品および/または集塊を上方試料ステージから取り除き、化学てんびんの風袋を計り、そのベース食品および/または集塊が完全に沈み下方試料ステージ上で束縛を受けずに静止するように、そのベース食品および/または集塊を下方試料ステージ上に置く。ベース食品および/または集塊が下方試料ステージ上で束縛を受けずに静止するように位置決めし、すべての重量が下方試料ステージによって保持されるようにする。ベース食品および/または集塊が下方試料ステージ上に留まるならば、蒸留水中でのベース食品および/または集塊の重量(W)を記録する。
【0075】
ii.浮揚するベース食品および/または集塊
ベース食品および/または集塊が表面に浮く場合には、そのベース食品および/または集塊を蒸留水から取り除く。下方試料ステージを浮揚体試料ステージ(buoyant body sample stage)と交換する。浮揚体試料ステージは、捕捉された空気を水面に浮かせるために穿孔されているが、その穿孔はベース食品および/または集塊よりも小さい。ベース食品および/または集塊の浮力が、浮揚体試料ステージの重量よりも大きい場合、浮揚体試料ステージは、上方ステージの上に追加の重りを置くことによって加重されて、その浮揚体試料ステージ、重りを有する上方ステージ、およびフレームが、可動部のない1つのユニットとして作用しなければならない。てんびんの風袋を計り、浮揚しないベース食品および/または集塊に対して上記(i)のように密度測定を行う。新しいベース食品および/または集塊を選択し、工程を繰り返して空気中でのそのベース食品および/または集塊の重量(A)を上方試料ステージ上で測定および記録し、てんびんの風袋を計り、次いでそれに続く浸漬重量(W)(ここではWは負の数字である)を同様に記録する。
【0076】
NIST化学ウェブブック(NIST Chemistry WebBook)、NIST標準レファレンスデータベースナンバー69(NIST Standard Reference Database Number 69)、P.J.リンストローム(P.J. Linstrom)、およびW.G.マラード(W.G. Mallard)編、2003年3月、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology)、メリーランド州、ゲイサーズバーグ(Gaithersburg MD)20899(http://webbook.nist.gov)における、E.W.レモン(E.W. Lemmon)、M.O.マクリンデン(M.O. McLinden)、およびD.G.フレンド(D.G. Friend)の「流体系の熱物理学特性(Thermophysical Properties of Fluid Systems)」から、21.5℃の蒸留水の密度は、0.1MPa(1気圧)の標準圧力条件で0.99788である。
【0077】
ベース食品および/または集塊の密度は、以下のように計算される。
ベース食品および/または集塊の密度(g/cc)=蒸留水の密度(g/cc)×[(A)/(A−W)]
【0078】
体積法
体積は、密度および質量に対する第一原理関係に基づいて計算される。前述した密度法から得られる値を用いて、ベース食品および/または集塊の体積を計算できる。
【0079】
ベース食品および/または集塊の体積は、以下のように計算される。
ベース食品および/または集塊の体積(cc)=(A)(g)/ベース食品および/または集塊の密度(g/cc)
【0080】
湿分含量法
本方法は、ベース食品および/または湿潤ペットフード製品中の湿分含量の分析を伴う。分析は、AOAC法930.15およびAACC法44−19に概説されている手順に基づく。
【0081】
1単位体積、例えば375g缶の製品を取りペーストのような均質な稠度となるまでフードプロセッサー内で均質化することによって、湿潤ペットフード製品試料を調製する。375gよりも多い湿潤ペットフード製品試料は、その全体を等しく典型的な画分が作られるように再分割して、375gの試料が得られるようにする。
【0082】
さらに、ベース食品の湿分含量は、例えば加工ラインからベース食品の試料を得ることによって測定することができる。ベース食品の試料は、湿分の損傷または損失または獲得を防ぐような方法で扱われる。ベース食品の試料は、375gの試料が得られるように処理される。ベース食品の試料は、ペーストのような均一な稠度となるまでフードプロセッサー内で均質化している。
【0083】
湿潤ペットフード製品およびベース食品の試料のペーストは個々に100mL以下の体積で3つにサンプリングされ、100mLナスコ(Nasco)ワールパック(Whirl-Pak)(登録商標)(ウィスコンシン州、フォートアトキンソン(Fort Atkinson, WI)53538−0901)内に個々に入れられ密閉される。ワールパック(Whirl-Pak)(登録商標)の密閉処理中、最終の密閉の直前に容器から手で過剰の空気を抜くことによって容器のヘッドスペースを最小限にする。ワールパック(Whirl-Pak)(登録商標)をメーカーの指示に従い密閉する − バッグを3度きつく折り畳み、タブを180度曲げる。
【0084】
すべての試料は、湿分分析の前に48時間未満の間6℃で冷蔵される。
【0085】
湿分分析のために、各湿分用スズ缶(moisture tin)および蓋の自重を0.0001gまで記録する。湿分用スズ缶および蓋は、乾燥した清潔なピンセットを用いて扱われる。湿分用スズ缶および蓋は、密閉されたデシケータ内の乾燥剤上で、乾燥した状態で保たれる。試料が入ったワールパック(Whirl-Pak)(登録商標)を開き、2.0000+/−0.2000gの試料を覆われていない湿分用スズ缶中へと秤量する。湿分用スズ缶中の試料の重量を記録する。エアオーブンでの乾燥中、湿分を失わせるがすべての他の物質は収容されるように、湿分用スズ缶の上部に開いた状態で蓋を置く。蓋、および試料の充填された湿分用スズ缶を、135℃で運転されるエアオーブン内に6時間置く。カウントダウンタイマーを用いて時間を監視する。
【0086】
乾燥後、オーブンからスズ缶を取り出し、乾燥された蓋をピンセットを用いてスズ缶の上部に置く。乾燥された試料を有する覆われた湿分用スズ缶を直ぐにデシケータに入れて冷却する。密閉されたデシケータは、ステージの下を活性乾燥剤で満たされる。室温まで冷却したなら、乾燥された試料を有する覆われた湿分用スズ缶を0.0001gまで秤量し、重量を記録する。各試料の湿分含量は、以下の式を用いて計算される。
湿分含量(%)=100−(乾燥後のスズ缶、蓋、および試料の重量−空のスズ缶および蓋の重量)×100/最初の試料重量
【0087】
本明細書を通じて記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのようなより小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含むことを理解すべきである。本明細書を通じて記載されるあらゆる最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのようなより大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書を通じて記載されるあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内にあるあらゆるより狭い数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0088】
特に指定がない限り、本明細書の明細、実施例、および請求の範囲におけるすべての部、比、および百分率は重量基準であり、すべての数値限定は、当該技術分野により提供される通常の程度の精度で使用される。
【実施例】
【0089】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態をさらに記載し実証する。これら実施例は、説明の目的のためのみに提示するものであって、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの変更が可能であるので、本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【表1−1】

【表1−2】

実施例1〜7は、ベース食品を集塊、充填剤、および任意成分と混合することによって調製することができる。ベース食品は、最初に、成分を混合し乳化させることによって食肉スラリーを調製し、そのスラリーを成形し、ベース食品の構造を定めるように100℃のスチームを用いて調理し、その後その構造体を1.6cm立方体へと切断することによって、作製できる。実施例4では、ベース食品をバッチタンブリング(batch tumbling)により第1のコーティングで部分的にコーティングすることができ、実施例6〜7では、ベース食品をバッチタンブリングにより第1のコーティングで全体的にコーティングすることができる。実施例5では、ベース食品をブラッシングにより全体的にコーティングして、ベース食品上に第1の層を作製することができる。実施例6では、ベース食品を逐次加工してコーティングすることができる(タンブラーを用いて第1のコーティングを、そして次に第1の層をバッチ適用することにより)。実施例7では、ベース食品、第1のコーティングおよび第1の層を実施例6と同様の方法で調製し、第1のコーティングの後に、逐次的に第2のコーティングを添加することによって、ベース食品に対し強化がなされる。実施例1〜7では、最後のコーティングまたは層を添加できた後に、スチームトンネル内で0.1MPa(1気圧)の蒸気を用いて中心温度が67℃に達するまで加熱することによって、そのコーティングおよび層の構造が定められる。実施例1〜7のベース食品が定められた後、そのベース食品を充填剤および任意成分とともに攪拌して、混合物が均質になるまで低剪断を用いて混合し、パッケージ内に充填してレトルト内で加熱殺菌する。
【0090】
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

実施例8〜14は、ベース食品をコーティングし層状にするために逐次バッチタンブリングを用いて調製できる。ベース食品は、コーティングされおよび/または層状にされたベース食品を互いに接触させたまま、そのコーティングされ層状にされたベース食品をスチームトンネル内で67℃の中心温度となるまでヒートセットすることによって集塊化される。集塊を充填剤および任意成分と混合してコーティングされたペットフード製品を調製し、充填し、レトルトによって貯蔵安定化させる。
【0091】
【表3−1】

【表3−2】

実施例15〜20は、ベース食品をコーティングし層状にするために、逐次連続エンロービング(enrobing)を用いて調製される。コーティングされたベース食品は、コーティングされおよび/または層状にされたベース食品を互いに接触させたまま、そのコーティングされ層状にされたベース食品をスチームトンネル内で67℃の中心温度となるまでヒートセットすることにより集塊化される。集塊を充填剤および任意成分と混合して湿潤ペットフード製品を調製し、充填し、レトルトによって貯蔵安定化させる。実施例15〜20では、それ自身がベース食品に付着しなかった、過剰のコーティングおよび層物質が、コーティングされ層状にされたベース食品とともに加工され、湿潤ペットフードへ混合される。
【表4−1】

【表4−2】

【0092】
実施例22〜26、および30〜33
実施例22〜26、および30〜33は、以下の方法で作製することができる。タイプ(X)のすべての成分は、従来の乾式混合により、乾燥バッチとして調製できる。タイプ(Y)の動物性タンパク質(サーモン、カンガルー肉、牛肉、鶏肉)成分は、使用まで冷凍しておくことができ、また従来のミートグラインダを使用して直径9.5mm穴のグラインディングプレートを通して挽くことができる。タイプ(Y)のすべての成分は、従来の混合によって、混合中の温度が0℃を超えないようにして、湿潤バッチとして調製することができる。従来の混合技術を使用してタイプ(X)の乾燥バッチとすべてのタイプ(Z)成分をタイプ(Y)の湿潤バッチへ混合するが、温度は混合中、0℃を超えない。以下、食肉スラリーとは、このX+Y+Z混合物のことである。
【0093】
食肉スラリーは、押出ダイプレートおよび15.8mm×15.8mmの寸法のオリフィスを有する押出成形機を用いて、15.8mm×15.8mm×1000mmの寸法のロープを形成するように成形されることができる。押出成形装置(セロ・フード・テクノロジーB.V.(Selo Food Technology B.V.)(オランダ)、または同等品)は、逐次連続的な使用のために、ベルト装備スチームトンネル(セロ・フード・テクノロジーB.V.(オランダ)、または同等品)と一体化されることができる。ベース食品は、手持ち式の温度プローブ(例えば、VWRコーニング(VWR Corning)(登録商標)モデル310)を用いて測定した場合に中心温度が67℃に達するまで加熱することによって調製されることができる。加熱は、大気圧における飽和スチーム(100℃)下でなされ、連続さいの目カッター (カラザーズ・イクイップメント社(Carruthers Equipment Co)(オレゴン州、ウォレントン(Warrenton))、または同等品)を使用して最大寸法を最終の大きさまで減少させる。ベース食品は、覆われたステンレス鋼冷却トレイ上で4℃まで冷却される。
【0094】
実施例22、23、24、25、および26は、ベース食品を構成するために、種々の動物性および植物性タンパク質源を使用することができる。さらに実施例23は、ベース食品に野菜を使用することができる。
【0095】
実施例27、28、および29は、これに限定されないが、ベース食品を構成することができる、種々の成分を使用することができる。この方法およびこれらの成分の調製は、これらの成分を供給する業界には一般的である。
【0096】
実施例30〜33は、ベース食品中の湿分含量を管理するために、ヒドロコロイドおよび/またはゴム系を使用することができ、これらの系またはそれらの組み合わせは非限定的である。
【表5】

【0097】
(実施例27〜29、34〜36)
実施例27、28、29、34、35、および36は、ベース食品として動物性タンパク質の商品供給源を使用することができる。サバ(Mackeral)、牛肉、または鶏肉を市販のスライス/ダイス装置を使用して1.6cm立方体へとダイスカットする。
【表6】

【表7−1】

【表7−2】

【表8】

【表9】

【表10−1】

【表10−2】

【表11】

【表12】

* 成分:カントリー・スタイル・チキン(Country Style Chicken)(チキンブロス、鶏肉、鶏脂肪(混合トコフェロール、ビタミンE源、およびクエン酸とともに保存されたもの)、重硫酸ナトリウム、キサンタンガム、チキンフレーバー、乾燥ビートパルプ(糖が除去されたもの)、ソルビン酸カリウム(防腐剤)、乾燥ビール酵母(Brewers Dried Yeast)、亜麻粉、ニンジン、エンドウマメ、ビタミン(ビタミンEサプリメント、アスコルビン酸、ビタミンAアセテート、パントテン酸カルシウム、ビオチン、チアミンモノニトレート(ビタミンB1源)、ビタミンB12サプリメント、ナイアシン、リボフラビンサプリメント(ビタミンB2源)、イノシトール、塩酸ピリドキシン(ビタミンB6源)、ビタミンD3サプリメント、葉酸)、塩化カリウム、ミネラル(硫酸第一鉄、酸化亜鉛、硫酸マンガン、硫酸銅、酸化マンガン、ヨウ化カリウム、炭酸コバルト)、ローズマリー抽出物)(プロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble)(オハイオ州、シンシナティ(Cincinnati)))
【0098】
実施例81および82は、ビーフフレーバーのグレービーミックス(A)(ケリー・イングレジエンツ(Kerry Ingredients)(ウィスコンシン州、ベロイト(Beloit)))を含有することができる。
【0099】
「発明の詳細な説明」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。
【0100】
本発明の特定の実施形態を説明および記述してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく他の様々な変更および修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更および修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ベース食品、
(b)第1の層
を含み、
前記第1の層が、前記ベース食品と結合されており、前記ベース食品が、.004cc〜3600ccの体積を有するものである、湿潤ペットフード製品。
【請求項2】
前記ベース食品と関連付けられたコーティングをさらに含み、前記コーティングが、卵を原料とする物質、非変性タンパク質、食品等級の高分子接着剤、ゲル、ポリオール、デンプン、ゴムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される結合剤を含む、請求項1に記載の湿潤ペットフード製品。
【請求項3】
前記ベース食品が、立方体、球状、幾何学形状、軸方向に伸張された形状、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される形状を有するものである、請求項1または2に記載の湿潤ペットフード製品。
【請求項4】
前記ベース食品が構造剤を含み、該構造剤が、動物性タンパク質、植物性タンパク質、デンプン質物質、野菜およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるものであり、前記植物性タンパク質が、加工小麦タンパク質、加工大豆タンパク質、加工ルピナスタンパク質、パスタおよびこれらの組み合わせの群から選択されるものであり、前記動物性タンパク質が、牛肉、鶏肉、カンガルー肉、豚肉、子羊肉、貝、甲殻類、魚およびこれらの組み合わせの群から選択されるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿潤ペットフード製品。
【請求項5】
前記第1の層が、動物性タンパク質、植物性タンパク質、デンプン質物質、野菜、果物およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含み、前記植物性タンパク質が、加工小麦タンパク質、加工大豆タンパク質、加工ルピナスタンパク質、パスタおよびこれらの組み合わせの群から選択されるものであり、前記動物性タンパク質が、牛肉、鶏肉、カンガルー肉、豚肉、子羊肉、魚、貝、甲殻類およびこれらの組み合わせの群から選択されるものであり、前記加工小麦タンパク質が、少なくとも1つの軸で測定した場合に約.005mm〜約50mmに細断されたものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の湿潤ペットフード製品。
【請求項6】
複数の粒子を含む集塊をさらに含み、該集塊が、.004cc〜3600ccの体積を有するものであり、前記集塊が、前記ベース食品に結合されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の湿潤ペットフード製品。
【請求項7】
前記湿潤ペットフード製品が、該ペットフード製品を見るのに適している実質的に透明な部分を含む収容装置内に収納されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の湿潤ペットフード製品。
【請求項8】
ニンジン、エンドウマメ、ジャガイモ、キャベツ、タマネギ、ニンニク、セロリ、豆類、トウモロコシ、ブロッコリー、カリフラワー、リーキおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの野菜をさらに含み、トマト、リンゴ、アボカド、西洋ナシ、モモ、サクランボ、アンズ、プラム、ブドウ、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、クランベリー、ラズベリー、ブルーベリー、スイカ、カンタロープ、マスクメロン、ハネジューメロン、イチゴ、バナナおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの果物をさらに含み、風味剤、調味料、塩類、着色剤、徐放性化合物、ミネラル、ビタミン、酸化防止剤、プレバイオティクス、プロバイオティクス、香気調整剤およびこれらの組み合わせからなる群から選択される成分をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の湿潤ペットフード製品。
【請求項9】
グレービー、ゲル、ゼリー、アスピック、水、ソース、ブロス、空気およびこれらの組み合わせからなる群から選択される充填剤をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の湿潤ペットフード製品。
【請求項10】
前記ペットフード製品が完全であり、栄養バランスがとれている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の湿潤ペットフード製品。
【請求項11】
動物性タンパク質、植物性タンパク質、デンプン質物質、野菜、果物およびこれらの組み合わせを含む第2の層をさらに含み、第2の集塊をさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の湿潤ペットフード製品。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の湿潤ペットフード製品を調製する方法であって、
(a)ベース食品を用意し、
(b)第1の層を用意し、
(c)前記ベース食品と前記第1の層とを結合し、
(d)前記ペットフード製品をすべての微生物が死滅するまで加熱し、
(e)所望により、コーティングと、前記ベース食品とを関連付け、および
(f)所望により、前記コーティングがヒートセットされるまで、前記ペットフード製品を加熱すること
を含む、方法。

【公表番号】特表2008−539800(P2008−539800A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512611(P2008−512611)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/019979
【国際公開番号】WO2006/127744
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(595056859)ザ・アイムス・カンパニー (52)
【氏名又は名称原語表記】The Iams Company
【Fターム(参考)】