説明

ペイントボール空気銃及びペイントボール空気銃用のピストンロッドアセンブリ

【課題】小型であり、射出速度、正確さ、及びガス効率に優れ、部品点数が少なく安価なペイントボール空気銃を提供すること。
【解決手段】ペイントボール空気銃は本体とグリップを含んでいる。本体は、ペイントボール空気銃の主な動作部品を収容している空気ハウジングを保持している。空気ハウジングは、空気ピストンとシリンダーアセンブリを含んでいる。空気ピストンは、シリンダーからの圧縮ガスの供給と排気による遊底の移動を制御するために遊底と結合されている。ノーマルオープン型の3ウェイソレノイドバルブは、開放位置において、遊底を保持するためにピストンの前方表面領域に圧縮ガスを供給する。この開放位置において、ペイントボール空気銃の銃尾領域内へのペイントボールの装填が可能となる。引き金が引かれると、それに応じて3ウェイソレノイドバルブは前方ピストン表面領域から圧縮ガスを排気するように構成されている。後方ピストン表面領域に供給されている圧力によって遊底が閉鎖され、銃身内へペイントボールが移動する。遊底は発射バルブの一部として構成されており、ペイントボール空気銃からペイントボールを発射するために、閉鎖された遊底によって、銃身内に配置されているペイントボールに接触するように圧縮ガスが放出される。ペイントボール検出システムは、空気ハウジングの銃尾領域内に形成されている凹部にぴったりと適合するように構成されている回路基板に有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペイントボール空気銃(マーカー)及びその作動部品に関する。より詳しくは、本発明は、ペイントボールを装填し、そのペイントボールをペイントボール空気銃から発射するために使用されるペイントボール空気銃及びペイントボール空気銃用のピストンロッドアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ペイントボール空気銃を使用する遊戯において、ペイントボール空気銃は可能な限り小さくて軽量であることが一般的に望ましいとされている。より小型軽量なペイントボール空気銃はプレーヤーの動作をより軽快なものとする。この軽快な動作によってプレーヤーは掩蔽壕から掩蔽壕へとより迅速に移動することができ、被弾することを回避できる。さらに、このペイントボール空気銃を用いる遊戯では、ペイントボール空気銃は身体の延長部分とみなされており、ペイントボール空気銃へ命中した場合にはプレーヤーへの命中としてカウントされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、ペイントボール空気銃は可能な限り小型であり、その一方、ペイントボール空気銃の性能である射出速度、正確さ、及びガス効率は実質的に従来の性能を維持し又は改善することが望ましい。このペイントボール空気銃の大きさは、一般的にペイントボール空気銃の本体内に収容しなければならない作動部品の大きさと個数に応じたものとなる。
【0004】
さらに、ペイントボール空気銃は、部品点数が少なく、複雑ではなく、高価ではない作動部品を備え、製造が容易であることが好ましい。このような製造コストの低減は消費者の利益にもつながる。ペイントボール空気銃の製造業者は、小型軽量で安価なペイントボール空気銃であって、確実且つ効率的に作動するものを必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態において、ペイントボール空気銃は、本体とグリップとを含むことができる。本体とグリップは、分離して、または一体的に形成することができ、それらは、成型樹脂、ゴム素材、または他の丈夫且つ比較的安価な材料から形成されることが好ましい。本体は、空気アセンブリを受け入れられるように構成されている空間を含むことが好ましい。空気アセンブリは、遊底、圧縮ガス貯蔵空間、及び発射機構などのペイントボール空気銃のいくつかの動作部品を備えていることが好ましい。空気アセンブリハウジングは、金属、合成樹脂、または合成材料から形成することができ、空気アセンブリの部品を収容することができ、銃身や供給管を受け入れるように構成することができる。空気圧の調整器は、例えば、垂直型、並置型、または底面搭載型調整器であってもよい。
【0006】
遊底は、前方及び後方ピストン表面領域を含んでいることが好ましい。圧縮ガス量は、機械的なバルブ機構、または電気的で空気力学的なバルブ機構を通じて、前方ピストン表面領域に供給され、また、前方ピストン領域から排気されることが好ましい。この圧縮ガスの供給と排気は選択的に行われる。発射機構は、遊底の外側表面に接触したり、また、接触しなかったりするように配設されているシール部材から構成されていることが好ましい。一以上の発射ポートが遊底に配設されていることが好ましく、圧縮ガスは、この遊底を通じて、ペイントボールへと発射される。調整器からの圧縮ガスは、供給ポートを通じて圧縮ガス貯蔵領域へ供給することができる。圧縮ガス貯蔵領域内への圧縮ガスの流入は、ペイントボール空気銃のガス効率を高めるために、発射動作の間、制限または阻止される。
【0007】
ペイントボール空気銃の動作において、圧縮ガスは、圧縮ガス格納部材から、調整器を通じて、ペイントボール空気銃へ供給されることが好ましい。圧縮ガスは、調整器からバルブ機構へと導かれ、圧縮ガス貯蔵空間に供給するために供給ポートへと導かれることが好ましい。バルブ機構へ供給された圧縮ガスは、バルブ機構が通常位置(非作動位置)の時に、バルブ機構を通じて、遊底ピストンの前方表面領域へ送られることが好ましい。この圧縮ガスの圧力は、前方遊底ピストン表面領域に作用し、遊底を後方位置へ付勢する。遊底が後方位置にある間、ペイントボールは供給管からペイントボール空気銃の銃尾内へと装填される。さらに、遊底が後方にある間、ガス供給ポートにより圧縮ガスを圧縮ガス貯蔵空間内に急激に送り込むことが好ましい。
【0008】
引き金機構は、バルブ機構を操作するように構成されていることが好ましい。引き金が押し下げられたとき、バルブ機構は、遊底の前方ピストン表面領域から圧縮ガスを排気するように動作することが好ましい。圧縮ガスの圧力は、遊底ピストンの後方表面領域に作用することが好ましい。遊底ピストンの後方表面領域は、例えば、圧縮ガス貯蔵空間内、または遊底の後端に配設できる。遊底ピストンの後方表面領域に作用する圧縮ガスは、圧縮ガス貯蔵空間、または分離供給ポートから供給することができる。圧縮ガスが、前方遊底ピストン表面領域から排気された時に、後方遊底ピストン表面領域に加えられた圧力により、遊底が前方位置に移動することが好ましい。
【0009】
遊底が前方に変位した時、発射機構のシール部材は、遊底表面領域から脱することが好ましく、圧縮ガスが圧縮ガス貯蔵空間から遊底発射ポートへ入ることができるようにし、マーカーからペイントボールが発射できるようにすることが好ましい。さらに、遊底の発射位置への移行に伴い、圧縮ガス貯蔵空間内の圧縮ガスの流入は制限される。これは、例えば、供給ポートから圧縮ガス貯蔵空間への圧縮ガスが移動する部分を狭めるように遊底後方部分を構成することにより達成することができる。他の例では、発射動作の間、圧縮ガス貯蔵空間への圧縮ガスの供給は停止され、圧縮ガス貯蔵空間へ圧縮ガスが入ることは完全に阻止される。これは、例えば、遊底の後端においてシール部材を用い、ガス供給ポートを閉鎖することにより達成することができ、また、分離独立したピストンにシール部材に用いたり、チューブを挟んだり、または分離したバルブ機構を用いたりすることでも達成することができる。
【0010】
バルブ機構には、ソレノイドバルブ(3ウェイタイプのソレノイドバルブ)、機械的バルブ、あるいは他のバルブ機構を用いることができる。ソレノイドバルブの場合には、引き金機構の動作に基づいてソレノイドバルブの動作を制御する主電子回路が設けられていることが好ましい。マイクロスイッチやその他のスイッチ装置であるスイッチ手段は、引き金に連結して配設されていることが好ましく、引き金が引かれると、それに応じて主電子回路へ動作信号を送信することが好ましい。主電子回路やソレノイドバルブに電力を供給するための電源が設けられえていることが好ましい。バルブ機構は、主回路基板から送信された発射信号に応じて、前方遊底ピストン表面領域から圧縮ガスを排気することが好ましい。機械的バルブの場合には、機械的バルブは引き金と連結され、引き金が引かれるとそれに応じて前方遊底ピストン領域から圧縮ガスを排気することが好ましい。
【0011】
一の実施形態において、遊底は、自由浮動遊底であることが好ましく、この遊底において、遊底案内ロッドの対向する両端に加えられた圧力は均衡している。これは、例えば、遊底ピストンの後端から遊底の前端へ通じる通気路が設けられることにより達成される。他の方法として、遊底ピストンの後端と連通している空間を、銃本体から排気ポートを通じて大気中に排気できるように構成することもできる。
【0012】
本発明の様々な他の技術的側面、実施形態、及び形状を選択することは、ここに開示されている本発明の原理を変更することなく可能であり、従って、本発明は、ここにおいて記述されている特定の技術的側面、実施形態、及び形状によって如何なる制約をも受けるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
添付図面は、本発明の原理を具体化したいくつかの好適な実施形態の構成を示している。図1は、本体110とグリップ120を有するように構成されているペイントボール空気銃100を示している。グリップ120の他、前方グリップ130も設けられている。本体110とグリップ120とは、一体に形成することも別体として形成することも可能であり、また、それぞれを同一の材料から形成することも、別異の材料からも形成することも可能である。本体110とグリップ120とはABSプラスチックのような成型樹脂又はゴム素材から形成されることが好ましく、比較的安価にもかかわらず信頼性と耐衝撃性を確保できる。
【0014】
空気ハウジング115は、本体110内に配設され、一部又は全部の空気部品を収納し、銃身(図示せず)や供給管140を受け入れるようになっていることが好ましい。空気ハウジング115は、アルミニュウムのような金属からブロック状や管状の形状に形成されていることが好ましいが、当該部品に要求されている性能を満たすに十分な信頼性を有する他の材料、例えば、他の金属や合成樹脂等から形成することも可能である。グリップ120と前方グリップ130とは、本体110と空気ハウジング115とに螺子や他の留め具等を用いることによりしっかりと取り付けられていることが好ましい。同様に金属等の堅い材料から形成されているプレート125がグリップ120に設けられていることが好ましい。また、圧縮ガスタンクへ結合するために、プレート125は、タンク容器(図示せず)の固定具を取り付けられるようにグリップ120内に配設されていることが好ましい。
【0015】
グリップ130は、圧縮ガスの供給圧力を望ましい作動圧力へ減圧調整するための調整器132を備えていることが好ましい。本実施形態において、この望ましい作動圧力はおよそ90〜350PSI(ポンド毎平方インチ)である。また、電池122も、回路基板150やソレノイドバルブ250と共にグリップ120の内部に設けられている。本実施形態のソレノイドバルブ250は、ノーマルオープン型の3ウェイソレノイドバルブであることが好ましい。
【0016】
空気アセンブリ200は本体110内に配設され、空気ハウジング115の一部又は全部へ結合されているか、空気ハウジング115の一部又は全部を含んでいるか、または、空気ハウジング115の一部又は全部へ結合されていると共に空気ハウジング115の一部又は全部を含んでいる。空気アセンブリ200は、圧縮ガス貯蔵空間212、シリンダー220、及び案内室214を含んでいることが好ましい。遊底222は、スライド可能に配設されていることが好ましく、ピストン及びシリンダーアセンブリ内のシリンダー220の内側に位置している前方表面領域である前方ピストン表面領域226aを有していることが好ましい。遊底222は、さらに、空気アセンブリ200全体を実質的に貫通し延在している案内ロッド221を含むように構成することも可能である。このように、本実施形態における遊底222は、本発明の空気ピストンである前方ピストン表面領域226aと後述する後方ピストン表面領域226bとを含んでいるため、これら空気ピストンと結合されており、その機能から遊底ピストンと呼ぶことができ、また、後述する通気孔218を含んでおり、この機能からペイントボール空気銃用のピストンロッドアセンブリと呼ぶこともできる。
【0017】
案内ロッド221は、発射バルブ節部221aを含むことが可能である。この発射バルブ節部221aはシール部材232とシール結合することにより、遊底222が後方に位置する際に、圧縮ガス貯蔵空間212から遊底222へ圧縮ガスが入り込むことを阻止する。案内ロッド221は、さらに後方部分221bを含んでいることが好ましい。この後方部分221bは、案内室214の内部において前後にスライドする遊底222の作動安定性を提供し、また、遊底222が前方に位置する際に、供給ポート216から圧縮ガス貯蔵空間212内へ圧縮ガスが流れ込むことを制限し、あるいは阻止する。
【0018】
通気路228は遊底222と案内ロッド221とを貫通して設けることができる。この通気路228により、遊底222の後端222bに背圧が高まることが防止され、遊底222が本質的に自由に動けるようにしている。これは、遊底222のリコック(recock/銃において、再度撃鉄を起こす動作)に必要な圧力量を減少する。また、この通気路228は、遊底222の前端222aによってペイントボールに加えられる圧力量を減少し、ガス効率を改善し、二次的な圧力調整器を必要としないという利点がある。なお、通気路228の代わりに、後方の案内室214を大気へと連通させるように、ペイントボール空気銃100の本体110を貫通する通気路(図示せず)を設けてもよい。
【0019】
遊底222が開放位置にある場合、調整器132からの圧縮ガスは、供給ポート216を通じて圧縮ガス貯蔵空間212へ供給される。シール部材232は、圧縮ガスが遊底222内に入ることを阻止するために、発射バルブ節部221aに沿った遊底222の外側表面と空気アセンブリ200の内壁との間を封鎖していることが好ましい。このシール部材232は、例えば、圧縮ガス貯蔵空間212の前端近傍において空気アセンブリ200の内壁の凹部(又は、当該内壁の突出部)に配設することができる。
【0020】
他の方法として、例えば、遊底222を貫通する遊底孔を配設することができる。この場合、遊底222の後端近傍に入口を配設し、圧縮ガス貯蔵空間212の後端から遊底222を通じて圧縮ガスを導き、遊底222が前方位置へ推移する際に、ペイントボールへと圧縮空気を放出する。本実施形態において、遊底222が開放された際に圧縮ガスが圧縮ガス貯蔵空間212から遊底222へ入ることを阻止し、一方、遊底222が閉鎖された際に、圧縮ガスが圧縮ガス貯蔵空間212から遊底222へ入ることを可能とするために、シール部材232を圧縮ガス貯蔵空間212の後端近傍において遊底222に配設することができる。
【0021】
ソレノイドバルブ250は、遊底222を動かすために、通気孔218を通じてシリンダー220へ圧縮ガスを供給したり、また、通気孔218を通じてシリンダー220から圧縮ガスを排気したりすることが好ましい。ソレノイドバルブ250は、好ましくはノーマルオープン型であり、このソレノイドバルブ250において、圧縮ガスは、入力ポート254を通じてソレノイドバルブ250内へ供給され、出力ポート256を介して遊底222の前方ピストン表面領域226aへ供給され、遊底222を開放位置に保持する。
【0022】
引き金が引かれると、それに応じて、発射信号が主回路基板150からソレノイドバルブ250へ送信されることが好ましく、ペイントボール空気銃100の発射動作を開始する。この発射信号に応じ、ソレノイドバルブ250は、圧縮ガスを遊底222の前方ピストン表面領域226aから排気することが好ましい。図2に示されているように、遊底222の第2ピストン表面領域である後方表面領域226bにおける圧力によって遊底222は閉鎖位置へ変位する。この後方表面領域226bは、図1や図2に示されているように、圧縮ガス貯蔵空間212内に設けることができる。
【0023】
他の実施形態として、後方表面領域226bは、遊底222の後端222bに設けることもでき、図示しない分離供給路を通じて遊底222の後端222bへ圧縮ガスを供給する。この実施形態において、通気路228は案内室214における圧力が空気バネとして働くことを持続しないようにしている。同様に、後方表面領域226bは、前方ピストン表面領域226aから圧縮ガスが排気された際に、遊底222を閉鎖位置内へと付勢する圧縮ガス量を受け止めることができるのであれば、どの位置に配設することもできる。後方表面領域226bは、前方ピストン表面領域226aから圧縮ガスが排気されるまで遊底222が前方へ移動することを防止するため、前方ピストン表面領域226aの表面積よりも小さな表面積を有することが好ましい。また、他の実施形態において、圧縮ガスが遊底222の前方ピストン表面領域226aから排気された時に望ましい強さの付勢力(好ましくは、遊底222の前方ピストン表面領域226aにおける圧縮ガスによって生じる力の強さよりも小さい付勢力)を提供する機械的なスプリングや、この機械的なスプリング以外の付勢部材を、閉鎖位置内へ遊底222を付勢するために使用することができる。
【0024】
図2に示すように、遊底222が閉鎖位置の状態になると、圧縮ガスは、圧縮ガス貯蔵空間212から通路部223と通気孔224とを通って遊底222内へ流入することが可能となる。この通路部223は、遊底222の外側に沿うように配置されている。また、通気孔224は、遊底222の外側の所定位置から遊底前端222aへ圧縮ガスを通過させるように配置されている。遊底222がその前方位置の状態になるのと同時に、供給ポート216から圧縮ガス貯蔵空間212内への圧縮ガスの流入は、滑りリング225aによって制限される。この滑りリング225aは、遊底222の後端222bの近傍にある案内ロッド後端221bに設けられている。シール部材225bは、圧縮ガスが案内室214の後方部分や通気路228に侵入することを阻止している。発射動作の間、圧縮ガスが案内室214に侵入することを制限するよりも阻止したいのであれば、滑りリング225aを図示しないシール部材に置き換えればよい。
【0025】
ペイントボール空気銃100の装填及び発射動作について、図1ないし図3を参照しつつ詳細に説明する。図1ないし図3は、調整器132からペイントボール空気銃100へ供給された圧縮ガスが、ソレノイドバルブ250と連通する多岐管252へ送られる。調整器132からの圧縮ガスは、多岐管252を通じて、ソレノイドバルブ250の入力ポート254へ送られる。ソレノイドバルブ250がノーマルオープンの状態である場合、ソレノイドバルブ250は、圧縮ガスを多岐管252の入力ポート254から多岐管252の出力ポート256へ送り、この圧縮ガスはシリンダー220へ送られ前方ピストン表面領域226aに至る。
【0026】
一方、調整器132からの圧縮ガスは、多岐管252の第2出力ポート258を通じて、供給ポート216にも供給される。この供給ポート216は、遊底案内シリンダー235内における圧縮ガス貯蔵空間212の後端近傍に配置されていることが好ましい。遊底222が開放位置(第1位置)にある場合、供給ポート216からの圧縮ガスが圧縮ガス貯蔵空間212を急激に充満することができるようになることが好ましい。遊底222の後方表面領域226bは、圧縮ガス貯蔵空間212の内部か、または圧縮ガス貯蔵空間212と連通するように配置されていること好ましい。前方ピストン表面領域226aは後方表面領域226bよりも大きい方が好ましい。従って、待機位置(発射信号が送信されていない状態)において、後方表面領域226bへ加わっている圧力に抗して、前方ピストン表面領域226aへ供給された圧縮ガスの圧力によって遊底222は開放位置に保持される。遊底222が開放位置の状態(後方位置)になるに伴い、ペイントボールが供給管140からペイントボール空気銃100の銃尾領域145内へと落下可能となる。
【0027】
ペイントボール空気銃100の発射動作は、引き金102の動作に応じて開始される。引き金102は、引き金102を引いた際にマイクロスイッチ152やその他のスイッチ機構によりペイントボール空気銃100の発射動作が開始されるように構成されていることが好ましい。マイクロスイッチ152の反応により発射動作を開始され、主回路基板150が一または複数の発射信号をソレノイドバルブ250へ送信すること好ましい。図1ないし図3に図示されている実施形態において、この発射信号が、所定の時間間隔の間、ソレノイドバルブ250のソレノイドを励磁する動作信号であることが好ましい。なお、引き金102が引かれている間、連続発射させる場合には、引き金102は、機械的な作動システムではなく電子的な作動システムを用いる方が好ましい。
【0028】
発射信号に応じ、ソレノイドバルブ250は、前方ピストン表面領域226aから圧縮ガスを排気することが好ましい。圧縮ガス貯蔵空間212から後方表面領域226bへ加えられた圧力によって、遊底222が前方位置(第2位置)へ移動する。遊底222が前方位置へ移動すると、遊底222は銃尾領域145に装填されているペイントボールを前方に押し出し、図示しない銃身の後端内部へとペイントボールを押し込む。
【0029】
さらに、遊底222が前方位置に近づくと、遊底222の外側表面に沿って配置されている通路部223がシール部材232を滑りながら通過し、圧縮ガスが圧縮ガス貯蔵空間212からシリンダー220の後端部分に侵入することが可能となる。シリンダー220の後部における圧縮ガスは、通気孔224を通過して銃身内のペイントボールへ接触し、ペイントボールはペイントボール空気銃100から射出される。また、遊底222が前方位置に近づくと、滑りリング225a(あるいはシール部材)は供給ポート216を滑りながら通過し、調整器132から圧縮ガス貯蔵空間212内へ圧縮ガスが流れ込むことを制限しあるいは阻止する。これによってペイントボール空気銃100のガス効率を改善することができる。
【0030】
図1ないし図3は、ペイントボール空気銃100の装填及び発射動作を制御するソレノイドバルブ250を使用する実施形態を図示しているが、ソレノイドバルブ250の代わりに機械的バルブを使用することも可能である。ソレノイドバルブ250のように、機械的バルブは、待機位置において、通気孔218を通じて圧縮ガスを前方ピストン表面領域226aに供給するように構成することができる。引き金102を引くと、その動作に応じ、前方ピストン表面領域226aから圧縮ガスを排気し、遊底222が前方へ移動し発射動作を実行できるように当該機械的バルブを構成することができる。引き金102は、例えば、直接バルブと機械的に連結され、あるいは、一または複数の中間部材を介して機械バルブに連結されるように構成することができる。
【0031】
さらに本発明に係る他の実施形態を図4に示し、さらにその他の実施形態を図5に示す。図4に示すペイントボール空気銃100Aは、図1ないし図3に示すものと類似しているが、前方グリップ130を有しておらず、圧縮ガスは、グリップ120を貫通して設けられているチューブを通じてペイントボール空気銃100Aへ供給されている。また、ソレノイドバルブ250は、異なる形態の本体110に適合するように配設されている。本実施形態の主な作用的特徴については、先に説明した実施形態と本質的に同様であるため、本実施形態については、これ以上説明しない。
【0032】
図5に示すペイントボール空気銃100Bも図1ないし図3に図示されている実施形態と同様であるが、先の実施形態の滑りリング225aが配設されていた場所に、案内ロッド221の後方部分221bが滑りリング(あるいはシール部材)を有していない点で異なる。滑りリングを伴う場合のように、遊底222が前方位置の状態にある場合でも、圧縮ガスが圧縮ガス貯蔵空間212に入ることが可能となっている。遊底222が前方位置にある場合の圧縮ガス貯蔵空間212内への圧縮ガスの流入率を制限するように、案内ロッド221と案内室214との間の隙間寸法の許容誤差(交差)を決定する。この結果、ガス効率が改善され、遊底222の引き込み位置への移動をより容易にすることができる。
【0033】
さらに、他の様々な実施形態が考えられる。特に、圧縮ガスが圧縮ガス貯蔵空間212に入ることを制限または阻止するために、遊底222の一部分を用いるのではなく、他の機械的機構を用いることができる。例えば、後方表面領域に分離したピストン(第2空気ピストン)を前後方向にスライド可能に配置し、供給ポート216から圧縮ガス貯蔵空間212内への圧縮ガスの供給を阻止または制限することができる。さらに他の実施形態として、機械的な、空気力学的な、または電気的であると共に空気力学的な締め付け手段を備えることも可能である。この締め付け手段は、例えば、チューブ217のようなガス供給チューブを挟み、遊底222が前方位置にある間、圧縮ガス貯蔵空間212内への圧縮ガスの流入を阻止または制限する。
【0034】
さらに本発明の他の特徴が図6ないし図9に図示されている。図6ないし図9において、図1に示すペイントボール空気銃100の銃尾領域145に連通するようにペイントボール検出システム600を設けることができる。好ましくは、このペイントボール検出システム600は、センサー回路基板610に設けられているブレークビームセンサーを含んでいる。ペイントボール空気銃100の空気ハウジング115の銃尾部分142は、センサー回路基板610を受け入れるための凹部または切除領域144が設けられていることが好ましく、対向している切除領域144a、144bは、銃尾領域145の対向する側部に位置している。そして、切除領域144a、144bは、ブレークビームセンサー612を受け入れるように構成されている。
【0035】
図6ないし図8のペイントボール検出システム600用のセンサー回路基板610とブレークビームセンサー612の好ましい配置関係は、図9に示されている。図9を参照すると、センサー回路基板610は、ブレークビームセンサー612などのセンサーを制御するためのセンサー電子回路と、図1に示すペイントボール空気銃100の主回路基板150と有線または無線によって接続するための電気通信ポート614から構成されている。ブレークビームセンサー612などのセンサーは、図示するようにセンサー回路基板610上に直接搭載されるか、またはセンサー回路基板610から離れた位置で有線または無線によって当該センサー回路基板610と接続することができる。好ましい実施形態において、センサー回路基板610はC字型の形状を有し、対向して設けられているセンサー回路基板610の腕部にブレークビームセンサー612などの一対のセンサーが配設されている。センサー回路基板610は、空気ハウジング115の凹部または切除領域144内にぴったりと適合するように構成されているのが好ましく、ブレークビームセンサー612は、銃尾領域145の対向する側部において、空気ハウジング115の切除領域144a、144b内に位置することが好ましい。ブレークビームセンサーの実施形態では、ブレークビームセンサー612は、一つの受信用センサーとこの一つの受信用センサーにビーム(他の光線やラジオ信号等でもよい)を伝達する他の送信用センサーから構成されていることが好ましく、銃尾領域145にペイントボールが存在することにより当該ビームが遮られるまで当該ビームが受信用センサーへ伝達され続ける。
【0036】
前述した実施形態に関するペイントボール検出システム600の動作を、図1及び図6ないし図9を参照しつつ詳細に説明する。図6ないし図9に示すように、遊底222が後方位置の状態に移行してゆくと、ペイントボール101は、供給管140から、供給管開口116を通じて、ペイントボール空気銃100の銃尾領域145内へと落下することが可能となる。ペイントボール101が銃尾領域145に入ると、ペイントボール101は、一つの送信用センサー612から対向している他の受信用センサー612へ伝達されているビームを遮断する。そして、ペイントボール100内にペイントボール101が装填されていることを示すために、センサー回路基板610によって信号が生成される。その他の実施形態として、センサー回路基板610は銃尾領域145にペイントボール101が存在しないことを示す信号を送信するように構成することも可能である。
【0037】
ペイントボール検出システムのセンサー回路基板610は、信号をペイントボール空気銃の主回路基板150へ送信することが好ましく、この信号はペイントボール空気銃100の銃尾領域145にペイントボール101が存在または不存在のいずれかを示す信号である。当該信号に応じて、主回路基板150は、引き金が引かれたことによる発射動作の実行または停止のいずれかを行うように構成することが好ましい。さらに正確には、センサー回路基板610は、ペイントボール空気銃100の銃尾領域145にペイントボール101が存在しない場合には、主回路基板150は引き金を引くことによる発射動作の実行を停止するように構成することが好ましい。ペイントボール101がペイントボール空気銃100の銃尾領域145において検出された場合には、主回路基板150は引き金が引かれたことに応じて発射動作を実行するように構成することが好ましい。
【0038】
本明細書において記述され、図示されている本発明の様々な原理は、それらの典型的な好ましい実施形態の記述を通じ、本発明の技術分野に属する者に容易に理解できるように明白になっており、それら実施形態は、ここにおいて明らかにされている発明の原理を変更することなく、部材の配列や細部において、変更することが可能である。特許請求の範囲に記載されているこれら請求項は、従って、全てのそのようなバリエーションや変更等が含まれるものとして解釈されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る実施形態のペイントボール空気銃の縦断面概略図であり、本発明の原理に関し、遊底が後方(開放)状態にあることを示している。
【図2】図1に示されているペイントボール空気銃の縦断面概略図であり、前記遊底が前方(閉鎖)状態に位置していることを示している。
【図3】図2に示されているペイントボール空気銃の断面概略斜視図である。
【図4】本発明に係る他の実施形態のペイントボール空気銃の縦断面概略図である。
【図5】本発明に係るさらに他の実施形態のペイントボール空気銃の縦断面概略図である。
【図6】銃尾の概略斜視図であり、本発明に係るさらに他の実施形態のペイントボール空気銃の銃尾に設けられているペイントボール検知システムの配置状態を示している。
【図7】銃尾の縦断面概略図であり、本発明に係るさらに他の実施形態のペイントボール空気銃の銃尾に設けられているペイントボール検知システムの配置状態を示している。
【図8】銃尾の底面外略図であり、本発明に係るさらに他の実施形態のペイントボール空気銃の銃尾に設けられているペイントボール検知システムの配置状態を示している。
【図9】図6、図7、及び図8に図示されているペイントボール空気銃の銃尾に設けられているペイントボール検知システムを構成する電子基板とセンサーシステムとの概略斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペイントボール空気銃であって、前記ペイントボール空気銃は、
シリンダー内にスライド可能に設けられている空気ピストンを有し、前記シリンダーは、前記空気ピストンの移動を制御するために、圧縮ガスを受け入れ、圧縮ガスを前記空気ピストンへ供給するように構成されており、
さらに、前記空気ピストンと結合されている遊底を有し、前記遊底は、ペイントボールを発射するために空気室から前記遊底の前端へ圧縮ガスを導くように構成されているポートを含んでおり、
さらに、前記遊底とシール結合が可能なように配設されているシール部材を有し、前記シール部材は、前記遊底が第1位置にある時に圧縮ガス貯蔵空間からの圧縮ガスが前記遊底の前記ポートに入ることを阻止し、前記遊底が第2位置にある時に圧縮ガスが前記遊底の前記ポートから放出できるように構成されており、
圧縮ガスを前記圧縮ガス貯蔵空間へ供給するための供給ポートを有し、
さらに、前記遊底を開放位置に保持するために、前記空気ピストンと前記遊底が結合している遊底ピストンの前方表面領域へ圧縮ガスを供給するように構成されているソレノイドバルブを有し、
前記ペイントボール空気銃において、前記ソレノイドバルブは、前記遊底ピストンの前記前方表面領域から圧縮ガスを排気し、前記遊底が閉鎖位置へ移動できるように構成されると共に、ペイントボール空気銃からペイントボールを発射するために、前記遊底の前記ポートを通じて前記圧縮ガス貯蔵空間から圧縮ガスを放出することができるように構成されていることを特徴とするペイントボール空気銃。
【請求項2】
前記ソレノイドバルブは、3ウェイソレノイドバルブである請求項1記載のペイントボール空気銃。
【請求項3】
前記ソレノイドバルブは、ノーマルオープン型であり、前記ソレノイドバルブが非作動時において、圧縮ガス源から前記遊底ピストンの前記前方表面領域へ圧縮ガスを導く請求項2記載のペイントボール空気銃。
【請求項4】
前記ソレノイドバルブは、前記ソレノイドバルブが発射信号に応じて作動した時に、前記遊底ピストンの前記前方表面領域から圧縮ガスを排気するように構成されている請求項3記載のペイントボール空気銃。
【請求項5】
前記供給ポートと近接して配設されていると共に、前記遊底が第1位置にある時に、前記圧縮ガス貯蔵空間に圧縮ガスが入れるように構成され、前記遊底が第2位置にある時に、前記供給ポートから前記圧縮ガス貯蔵空間へ圧縮ガスが入ることを阻止するように構成されている第2シール部材をさらに含んでいる請求項1記載のペイントボール空気銃。
【請求項6】
前記遊底を貫通して設けられていると共に、前記遊底の後端から前記遊底の前端を通じて圧縮ガスを排気して前記遊底に対する背圧の発生を防止するための通気路をさらに含んでいる請求項1記載のペイントボール空気銃。
【請求項7】
前記遊底が閉鎖位置にある時、前記圧縮ガス貯蔵空間に圧縮ガスが入ることを防止するシール部材を有する請求項1記載のペイントボール空気銃。
【請求項8】
前記空気ピストンは、前記圧力ガス貯蔵空間と連通している第2表面領域を含む請求項1記載のペイントボール空気銃。
【請求項9】
圧縮ガスが前記遊底ピストンの前記前方表面領域から排気される時、前記圧縮ガス貯蔵空間の圧縮ガスの圧力が前記第2ピストン表面領域に働くことによって、前記遊底が閉鎖位置に移動する請求項8記載のペイントボール空気銃。
【請求項10】
ペイントボール検出システムをさらに含み、前記ペイントボール検出システムは、前記空気ハウジングの銃尾領域に形成されている溝に配設されているセンサー回路基板を含んでいる請求項1記載のペイントボール空気銃。
【請求項11】
発射動作の間、前記圧縮ガス貯蔵空間への圧縮ガスの供給を遮断し、または制限するように構成されている第2空気ピストンをさらに含む請求項1記載のペイントボール空気銃。
【請求項12】
発射動作の間、前記圧縮ガス貯蔵空間への圧縮ガスの供給を遮断し、または制限するために、供給チューブを挟むためのクランプをさらに含む請求項1記載のペイントボール空気銃。
【請求項13】
ペイントボール空気銃の発射動作の間、圧縮ガス貯蔵空間から圧縮ガス開放空間へ圧縮ガスを送るために、ピストンロッドに沿って長手方向に配置されている複数の通気孔を含んでいるペイントボール空気銃用のピストンロッドアセンブリ。
【請求項14】
前記複数の通気孔は、前記ピストンロッドの外側表面に沿って配設されている請求項13記載のピストンロッドアセンブリ。
【請求項15】
ペイントボール空気銃内へペイントボールを受け入れるように配設されている銃尾領域を有する空気ハウジングと、
センサー回路基板を受け入れるために前記銃尾領域に形成されている溝と、
前記センサー回路基板と通信可能となっているセンサーを受け入れるために前記銃尾領域を貫通して形成されている切除領域とを含み、
前記センサーは、前記銃尾領域にペイントボールが存在又は不存在の何れかの状態であることを検出するように構成されているペイントボール空気銃。
【請求項16】
前記センサーは、前記銃尾領域の一側に配設されている送信側センサーと、前記銃尾領域の対向側に配設されている受信側センサーとを有しているブレークビームセンサーである請求項15記載のペイントボール空気銃。
【請求項17】
前記センサーは、前記センサー回路基板に搭載されている請求項15記載のペイントボール空気銃。
【請求項18】
ペイントボール空気銃の動作を制御する主回路基板と通信するために、前記センサー回路基板は、前記銃尾領域の下面近傍に配設されているコネクタポートを含む請求項15記載のペイントボール空気銃。
【請求項19】
ペイントボール空気銃の動作を制御する主回路基板は、前記センサーが前記銃尾領域にペイントボールの存在を検出した時には発射動作を可能とするように構成されており、前記センサーが前記銃尾領域にペイントボールの不存在を検出した時には発射動作を不可能とするように構成されている請求項18記載のペイントボール空気銃。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−502875(P2008−502875A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516595(P2007−516595)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/020694
【国際公開番号】WO2006/002017
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(506166712)スマート パーツ インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】Smart Parts,Inc.
【住所又は居所原語表記】100 Station Street Loyalhanna,PA 15661 U.S.A.
【Fターム(参考)】