説明

ペットフード組成物及び方法

寸法安定性を有する押出しペットフードの個別の粒子を含み、該ペットフードはゼロ〜約15重量%未満の炭水化物を有する、組成物。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
犬及び猫用のペットフードは主に押出しによって製造されてきた。フードの膨張が起きる通常のスクリュー押出機を使用して押出すのに十分に可塑性の加熱したフード塊は、押出機中で加工され、ダイ形状に依存して通常ストランドまたは平らなタイプの矩形のシートとなって押出機から現れ、次に切断及び/または成形されて個別の粒子になる。このようにして、特定の個別の粒子であるキブルを利用したドライ食を製造する。こうしたキブルは寸法安定性であるべきである。すなわち、これは、直ちに製造され、次に包装された時と同じ形状を保持する。これは、穏和な圧力にさらした場合でさえも、任意の大きな程度に自然に砕けることも微粉を失うこともない。ある時間にわたって、キブルの物理的及び寸法安定性は維持される。粒子マトリックスの全ての化合物は維持される。
【0002】
押出し形状のこの物理的健全性(physical integrity)は、少なくとも部分的に、押出材の化学的性質に依存する。炭水化物含量が低い(一般にフード組成物の約15重量%未満)場合、一般に炭水化物の例えばデンプンまたは穀物の存在から得られるマトリックス形成の低減が理由となって、押し出し法の最中のフード塊の膨張はかなり阻害される。低炭水化物で比較的に高タンパクかつ比較的に高脂肪のフード塊は、標準状態下で押出した場合に大幅に膨張せず、それによって寸法安定性のない個別の粒子を提供する。加えて、個別の粒子は、特に例えば噴霧によって脂肪を粒子の外側に加えた場合、加えた脂肪を保持する際の困難を有し得る。このような押出し粒子は寸法安定性がなく、適切な市販用に包装できない。
【0003】
低炭水化物で比較的に高タンパク及び脂肪含量のペットフードは、成功裏に押出して寸法安定性のある個別の粒子にできることが今や発見された。これは、はるかに高いレベルの炭水化物を有する典型的な市販のペットフードの物理的特性を有する。
【0004】
加えて、脂肪吸収が問題となり得る場合、本物品マトリックスは脂肪を吸収し、保持することができる。
【発明の開示】
【0005】
本発明によれば、寸法安定性を有する押出しペットフードの個別の粒子を含む組成物が存在し、該ペットフードはゼロ〜約15重量%未満の炭水化物を有する。
【0006】
本発明のさらなる態様は、ペットフードを増大した剪断にて押出すことを含む、上記のペットフードの製造方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
包含されるペットフードは、主に犬及び猫用に有用である。こうしたフードは、高タンパク及び脂肪であり、炭水化物はほとんどまたは全く無く、ウエット食の例えばチャンク及びグレービーとは対照的にドライである。タンパク質レベルは、最小は食餌の約25、30、または40重量%であり、最大は食餌の約50、60または70重量%である。脂肪含量は、最小約15、20、25または30重量%であり、約70、60、50または45重量%を超えない。窒素可溶性無窒素物(“NFE”)に基づく炭水化物含量は、最小ゼロ、5または7であり、最大約15、12または10重量%である。全ての数字は乾物ベースである。食餌という用語を使用する場合、これは、ペットのための栄養を全てというわけではないが大部分は提供するフード製品を指すのみならず、スナック、トリートまたは栄養補助剤及びその他同様なもののような品目を指す。
【0008】
タンパク質は任意の源に由来し得るが、低炭水化物レベルという点から、低炭水化物を有するタンパク質源が特に好ましい。このようなタンパク質源の例は、動物源の例えば豚肉タンパク質単離物(isolate)及び子牛肉タンパク質単離物及びその他同様なもの並び
に植物源の例えば大豆タンパク質単離物、コーングルテンミール及びその他同様なものである。
【0009】
脂肪源は、脂肪をペットフードに提供する任意の源とすることができる。このような源の例は、牛脂、家禽脂肪、大豆油、カノーラ油、ヒマワリ油、魚油、ラード及び選択で白色グリース(white grease)である。脂肪をペットフード内部に完全に取り入れるか、フードの外側表面に堆積させるかまたは2つの方法の混合とすることができる。一般に、フードの外面表面の脂肪は、ペットにとってのおいしさの増大をもたらす。
【0010】
存在するとしても非常にわずかの炭水化物がフード中に存在する。炭水化物は別の源の例えばタンパク質の一部分としてフードに入ることができるが、また、特に加えた炭水化物源の例えばデンプン及び穀物によって存在することができる。このような炭水化物源の例としては、デンプンの例えばコーンスターチまたは小麦デンプンまたはこれらの混合物、及び50%を超えるデンプンが存在し得る穀物の例えばコーン、モロコシ、大麦、小麦、米及びその他同様なもの並びにこれらの混合物が挙げられる。しかしながら、デンプンのような特定の炭水化物源は必要ではない。
【0011】
寸法安定性のある個別の粒子を有し、内部に非常に少量の糖を有するドライ押出しペットフードの製造は、容易には成し遂げられない。寸法安定性とは、物理的健全性を有すること、すなわち、特にフードが材料を充填した袋中の個別の粒子の例えばキブル、ビッツ及びその他同様なものである場合、容易にその形状を失わず、かなりの量の微粉が剥がれ落ちることもないことを意味する。加えて、特に脂肪が個別の粒子の外面表面に堆積している場合、このようなフードはしばしば、その脂肪含量を容易には結合して保持しない。非接着は目視観測できる。こうした問題は、多量のタンパク質を使用するとさらに悪化する。高タンパク含量が存在する場合に一般に使用されるタンパク質単離物、特に植物単離物は、寸法安定性のある個別の粒子を有するドライペットフードを成功裏に押出すことをさらに困難にする。
【0012】
好ましい標準的なウェンガー(Wenger)X−135単軸スクリュー押出機、またはX−235を利用し、標準的な稼働条件下でプレコンディショナを用い、高タンパク、高脂肪、低炭水化物の食餌を用いて、ペットフードの寸法安定性のある個別の粒子は製造されなかった。多くの研究の後、押出機中の剪断を増大させることで、内部に低レベルの炭水化物を有する場合でさえも寸法安定性のある個別の粒子へと加工される押出しペットフードが生成されることが見い出された。増大した剪断は、通常の剪断加工条件下で製造した個別の粒子よりも一般に高密度を有するペットフードの個別の粒子を製造する。加工の最中の増大した剪断は、多くの様式で、例えばカットフライトスクリュー、ローブロック、スチームロック、及びストレイトリブ付きライナーで生じることができる。剪断を増大させる好ましい方法は、押出機中のベンチュリ板の使用による。これは、押出機の断面を覆うかまたは本質的に覆う金属板である。これは、押出機バレル中の押出物流れを制限することによって、剪断を増大させる。板はその中に少なくとも1つの穴(これを通って、加工されたペットフード製品が流れ、その後押出機出口ダイから出る)を有する。このベンチュリ板の使用は、増大した機械的剪断をもたらし、押出しペットフード製品を生成する。出口ダイ後にこの加工によって製造された個別の粒子は、一般により大きな密度を有する。これは、これは製造の後に砕けにくく、かなりのレベルの微粉を形成しにくいという点で物理的に寸法安定性である。
【0013】
加工において使用されるベンチュリ板の挿入を有する押出機の例を、ここから提供する
。押出しにおける第1の工程は、粉砕した未加工の乾燥混合成分(存在する場合には穀物、ミール、ビタミン/ミネラル等)を、高温蒸気及び熱水を使用してプレコンディショニングして、約200F及び20%の水分の高温で湿った混合物にする。この湿った材料を
、押出機、例えばウェンガーX−135の入口区画に重力によって供給し、直ちに、回転押出機スクリュー要素によってバレル部分を通して搬送する。ウェンガーX−735における機械設計は、ヘッドと呼ばれる7つの区画を有し、ヘッド当り1つのスクリュー要素及び1つのライナー要素を有する。押出機の最初の5つの区画は、単一フライト付きスクリューである。押出機中のこの部分におけるこの混合作用を一般に、剪断と呼ぶ。当分野はしばしば、これを計量または搬送帯域と呼ぶ。
【0014】
ウェンガーX−135押出機のヘッド6の中へ生成物が移行すると、ストレイトリブライナーを含む対応するヘッドを有する二重フライト付きスクリュー要素が存在する。前方への材料の搬送はかなり減速され、この区画において圧力は指数関数的に増大し、加熱調理の量に大きく寄与する。ストレイトリブライナーは、かなりの量の剪断を押出物に加える。スチームロックは、生成物の剪断及び混合に寄与する。これは加圧帯域と呼ばれると思われる。
【0015】
最終ヘッド#7は円錐形であって、らせん状ライナーを含み、加熱調理帯域と呼ばれる。円錐形スクリュー要素は二重フライト付きである。この要素へのフライト付けは断続的であり、または、一般に呼ばれるようにカットフライトであり、押出物への混合作用(剪断)を大きく増大させ、加熱調理を完了させる。
【0016】
ベンチュリ板は、ヘッド7要素の後のスペーサ区画中に存在する。ベンチュリ板は一般に、比較的にダイ開口部近くに位置する。これは簡易に、中心に穴を有する円板である。穴のサイズは剪断に影響する。より小さな穴はより多くの制限を加え、従ってより多くの剪断を加える。生成物はダイに入る前にこの開口部を通過し、押出機から流れ、所望の形状へと形成され、次に切断されて個別の粒子になる。蒸気及び水の操作は、外観及び最終生成物密度を変更させる。ベンチュリ板によって提供される増大した剪断を用いて、寸法安定性のある個別の粒子は、約15重量%未満の炭水化物を有して製造される。
【実施例】
【0017】
下記のものは、寸法安定性のある個別の粒子を製造する試みの2つの実施例並びに成功した実施例である。実施例の全てにおいて、標準的なウェンガーXl35押出機を用いた。これは、アクリソン(Acrison)ロスインウェイトフィーダー及びDDC−7プレコン
ディショニングシリンダーを備えた。形成された加熱調理済み生成物が押出機のダイから出るにつれて、回転ナイフアセンブリを使用してこれを切断して所望の長さのキブルにする。
【0018】
切断した個々のキブルを次に多段水平バンド乾燥機中に移動させ、湿ったキブルを通常約11重量%未満の所望の水分レベルにまで乾燥させる。乾燥機の後に、乾燥したキブルをふるいにかけて微粉及びキブルを除去し、栄養上の目標に適合し、動物にとっての許容可能性(おいしさ)を改良するように設計された追加の液体(脂肪)及び乾燥成分でコーティングする。
【0019】
下記の配合において、全ての数字は乾物ベースである。
比較例1
62重量%のコーングルテンミール、24重量%の家禽ミール、11重量%の大豆単離物並びに3重量%のミネラル及びビタミンを含むペットフードは、以下の栄養素組成を有した:
タンパク質 59.6%
脂肪 22.0%
繊維 0.85%
NFE 11.5%
この配合を、ベンチュリ板を用いずに製造した。キブルは脆かった。10〜25%の乾燥したキブルが破損し、従って販売用には許容不可能だった。この生成物は、冷却器から包装ラインまでの厳しい取り扱いに耐えるほど十分に強くなかったと思われる。2〜10%の脂肪がキブル内部に留まらないだろうから、脂肪吸収が問題となった。
比較例2
51重量%のコーングルテンミール、29重量%の家禽ミール、12重量%の豚肉タンパク質単離物、2重量%の乾燥卵並びに5重量%のビタミン、ミネラル、及び他の栄養素を含むペットフードは、以下の栄養素組成を有した:
タンパク質 59.0%
脂肪 25.0%
繊維 0.85%
NFE 9.80%
この配合を、ベンチュリ板を用いずに製造した。キブルは脆く、10%を超えるものが破損した。2〜5%の脂肪がマトリックスに結合しなかったので、脂肪吸収が問題となった。
実施例1
比較例2におけるものと同じペットフードを同じ稼働条件下で製造したが、0.35インチの開口部及び総直径5.65インチを有するベンチュリ板(ウェンガー、部品No.28299−3)が存在する状態で加工された。強いキブルが製造され、5%未満の微粉を有した。1%未満の総脂肪が生成物から失われたので、キブルは脂肪吸収の問題を有しなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寸法安定性を有する押出しペットフードの個別の粒子を含み、該ペットフードはゼロ〜約15重量%未満の炭水化物を有する、組成物。
【請求項2】
前記ペットフードは約25〜約70重量%の範囲内のタンパク質を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ペットフードは約15〜約70重量%の範囲内の脂肪を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ペットフードは約12重量%未満の炭水化物を有する、組成物。
【請求項5】
前記個別の粒子は脂肪を保持する、請求項1に記載の請求の範囲。
【請求項6】
前記ペットフードを増大した剪断にて押出すことを含む、請求項1に記載のペットフードの製造方法。

【公表番号】特表2006−521822(P2006−521822A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509552(P2006−509552)
【出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/009958
【国際公開番号】WO2004/089107
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】