説明

ペット用知育具

【課題】長期にわたり興味を持たせることができるペット用知育具を提供する。
【解決手段】ペット用知育具1は、周面11に少なくとも1つの開口部12を備え内部が収納空間13とされた知育具本体10と、一端側にこの知育具本体10の開口部12と嵌合可能な嵌合部22を有し、他端側に開口部12を通じて収納空間13の内外に出入り可能で且つペット嗜好物50を保持する保持部21を有する嗜好物保持体20と、を備え、知育具本体10の開口部12に嗜好物保持体20の嵌合部22が嵌合されたとき、開口部12が嵌合部22で閉塞されるとともに、保持部21に保持されたペット嗜好物50が知育具本体10の内部に隠匿される構造とされたものである。ペット嗜好物50が隠匿されるので、ペット用玩具1に長期にわたり興味を持たせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペット用知育具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ペットが屋内でも飼われるようになって久しいが、屋内であるが故にペットがストレスを溜める傾向が顕著になってきている。そこで、ペットのストレスを発散させることや、ペットの脳を活性化させることを目的としてペット用知育具が用いられている。
【0003】
従来のペット用知育具は、そのペット用知育具自体を転がすことにより、ペット用知育具の内部の収納空間に詰め込まれた粒状の餌が、収納空間の開口部から吐出する構造となっている(例えば、特許文献1)。
【0004】
このようなペット用知育具をペットに与えると、ペットは餌に惹きつけられてペット用知育具に興味を示し、このペット用知育具で遊ぶ。この結果、ペットのストレスを発散させることができる。また、しばらく、そのペット用知育具で遊ぶうちにペット用知育具を転がすことにより餌が出てくることを習得する。また、ペットによっては、その転がし方によって効率のよい餌の出し方を習得するものもいる。このように、ペットにペット用知育具を与えることで、自ら試行錯誤して餌の出し方を習得させることができ、脳を活性化させるという効果が期待できた。
【特許文献1】実用新案登録第3103357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のペット用知育具では、ペット用知育具自体を転がせば確実に餌が出てくる構造となっているため、ペットは餌が出てきたこと自体に満足してしまうことがあった。このようなペットであれば、すぐにペット用知育具に飽きてしまい、持続的にペット用知育具に興味を持たせることができない。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、長期にわたり興味を持たせることができるペット用知育具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るペット用知育具は、周面に少なくとも1つの開口部を備え内部が収納空間とされた知育具本体と、一端側にこの知育具本体の前記開口部と嵌合可能な嵌合部を有し、他端側に前記開口部を通じて前記収納空間の内外に出入り可能で且つペット嗜好物を保持する保持部を有する嗜好物保持体と、を備え、前記知育具本体の開口部に前記嗜好物保持体の嵌合部が嵌合されたとき、該開口部が嵌合部で閉塞されるとともに、前記保持部に保持されたペット嗜好物が知育具本体内に隠匿されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、知育具本体の開口部に嗜好物保持体の嵌合部を嵌合させたとき、開口部が嵌合部で閉塞されるとともに、保持部に保持されたペット嗜好物が知育具本体内に隠匿されるので、ペット用玩具に興味を持たせ、ペット嗜好物を探索させるという遊びにより脳を活性化させることができ、また、ペット用玩具を転がしてもペット嗜好物が漏れ出ないので、長期にわたってペット用玩具に興味を持たせることができる。
【0009】
また、本発明に係るペット用知育具は、前記知育具本体と前記嗜好物保持体とを連繋する連繋手段を備えたことを特徴としてもよい。
【0010】
この構成によれば、知育具本体と嗜好物保持体とが連繋されるので、一方だけが紛失することを防止することができる。
【0011】
また、本発明に係るペット用知育具は、前記知育具本体に、前記嗜好物保持体を模したダミーを設けたことを特徴としてもよい。
【0012】
この構成によれば、ペット嗜好物が保持されている嗜好物保持体に模したダミーが、ペット用知育具に設けられていることから、嗜好物保持体とダミーとを混同させて嗜好物保持体の探知を困難とすることができる。したがって、嗜好物保持体を知育具本体から分離させることによりペット嗜好物を取得することができるということを簡単に習得してしまう知能の高いペットに対しても、嗜好物保持体とダミーを混同させて脳を活性化させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ペット用知育具は、周面に少なくとも1つの開口部を備え内部が収納空間とされた知育具本体と、一端側にこの知育具本体の前記開口部と嵌合可能な嵌合部を有し、他端側に前記開口部を通じて前記収納空間の内外に出入り可能で且つペット嗜好物を保持する保持部を有する嗜好物保持体と、を備えており、前記知育具本体の開口部に前記嗜好物保持体の嵌合部が嵌合されたとき、該開口部が嵌合部で閉塞されるとともに、前記保持部に保持されたペット嗜好物が知育具本体内に隠匿されるという構造を備えていることから、ペット用玩具に興味を持たせ、ペット嗜好物を探索させるという遊びにより脳を活性化させることができ、また、ペット用玩具を転がしてもペット嗜好物が漏れ出ないので、長期にわたってペット用玩具に興味を持たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
<実施の形態>
図1は、本発明の実施の形態に係るペット用知育具を示し、(A)は知育具本体と嗜好物保持体が結合した状態を示した斜視図であり、(B)は知育具本体と嗜好物保持体が分離した状態を示した斜視図であり、(C)は(A)の矢符I−Iに沿った断面図である。
【0016】
本発明の実施の形態に係るペット用知育具1は、周面11に少なくとも1つの開口部12を備え内部が収納空間13とされた知育具本体10と、ペット嗜好物50を保持するものであってペット嗜好物50が収納空間13の内部に隠匿される保持部21を有した嗜好物保持体20と、を備えたものである。ペット嗜好物50とは、ペットに興味を起こさせるものであり、例えば、ペット用餌などである。
【0017】
知育具本体10は、立方体で内部に収納空間13を備えており、この収納空間13から外方に開口する開口部12が設けられている。収納空間13を囲む壁は、ウレタンの両面に綿や発泡体等が積層された芯シートをフェルト布により覆った部材により形成されており、外観上、ぬいぐるみのような様態であり、肌触りがよいものとされている。収納空間13は、保持部21が収納できる程度の大きさの空間とされている。開口部12は、嗜好物保持体20が嵌合する程度の寸法とされている。なお、知育具本体10の形状は立方体に限定されるものではない。知育具本体10を構成する部材もまた、ウレタン、綿、発泡体等に限定されるものではない。
【0018】
嗜好物保持体20は、一端側に知育具本体10の開口部12と嵌合可能な嵌合部22を有し、他端側に開口部12を通じて収納空間13の内外に出入り可能で且つペット嗜好物
50を保持する保持部21を有したものである。そして、知育具本体10の開口部12に嗜好物保持体50の嵌合部22が嵌合されたとき、開口部12が嵌合部22で閉塞されるとともに、保持部21に保持されたペット嗜好物50が知育具本体10の内部に隠匿されるものとされている。
【0019】
保持部21は、綿や発泡体等が内部に詰められて略球状に形成され、その一部分に、ペット嗜好物50を保持する袋状の保持袋23が設けられたものであり、その大きさは、収納空間13に収納されうる寸法とされている。なお、圧縮して開口部12を通過させることができる場合は、保持部21の断面は開口部12より大きくてもよい。また、保持部21の断面の形状は限定されない。
【0020】
保持袋23は、例えば、ペットの好物であるペット嗜好物50やペットが興味を示すものが入れられる程度の大きさの袋として形成されている。この袋は、汚れを簡単にふき取ることができるプラスチックシートや合成繊維により形成されたシートにより形成することが好ましい。
【0021】
嵌合部22は、綿や発泡体等が内部に詰められて略球状に形成され、保持部21に側面に設けられており、その断面形状は開口部12の形状と同様なものとされ、その断面の大きさは開口部12の大きさより僅かに大きい寸法とされている。具体的には、開口部12が直径60mmの円形とされた場合は、嵌合部22と開口部12とが嵌合する部分の嵌合部22の断面は、直径65mmの円形とされる。このように嵌合部22の断面を開口部12の寸法より大きめとすることにより、その嵌合部22を圧縮して開口部12に嵌合させて嵌合部22を知育具本体10に固定させている。
【0022】
なお、図1に示されている嗜好物保持体20は、保持部21と嵌合部22とが結合したものとなっているが、嗜好物保持体20は、嵌合部自体22と保持部21を一体として形成してもよい。具体的には、球状の嵌合部22の裏面(嵌合部22を知育具本体10に嵌合させたときに隠れる部分)を保持部21とし、当該部分に保持袋23を設けてもよい。
【0023】
ペット用知育具1の用い方を次に説明する。
【0024】
まず、保持部21の保持袋23にペット嗜好物50を入れ、その嗜好物保持体20を知育具本体10に装着する。この装着の際、ペットに装着の作業を見せるなどして、ペット嗜好物50の隠し方を示してもよい。そうしてから、ペットにペット用知育具1を与える。ペット嗜好物50が餌の場合は、その臭いに惹きつけられペット用知育具1に興味を示し、また、ペット嗜好物50が物の場合は、ペットは、その物が隠された様子を見てペット用知育具1に興味を示す。そして、ペットはそのペット用知育具1を転がしたり噛んだりする。そのように、ペットがそのペット用知育具1で遊んでいるうちに嗜好物保持体20が外れるので、ペットはペット嗜好物50を取得することとなる。このような作業を何回も繰り返すうちに、ペットは嗜好物保持体20を知育具本体10からから分離することによりペット嗜好物50を取得できることを学習する。
【0025】
以上のペット用知育具1によれば、周面に少なくとも1つの開口部12を備え内部が収納空間13とされた知育具本体10と、一端側にこの知育具本体10の開口部12と嵌合可能な嵌合部22を有し、他端側に開口部12を通じて収納空間13の内外に出入り可能で且つペット嗜好物50を保持する保持部21を有する嗜好物保持体20と、を備えており、知育具本体10の開口部12に嗜好物保持体20の嵌合部22が嵌合されたとき、開口部12が嵌合部22で閉塞されるとともに、保持部21に保持されたペット嗜好物50が知育具本体10の内部に隠匿される構成とされているので、ペット用玩具1に興味を持たせ、ペット嗜好物50を探索させるという遊びにより脳を活性化させることができ、ま
た、ペット用玩具1を転がしてもペット嗜好物50が漏れ出ないので、長期にわたってペット用玩具1に興味を持たせることができる。
【0026】
また、ペット嗜好物50を知育具本体10の収納空間13に完全に隠すことができ、且つ、その開口部12を嵌合部22により完全に塞ぐ構造としたことから、ペット嗜好物50の臭いに惹き付けられたペットがそのペット用知育具1を転がしても、それだけでは、ペット嗜好物50を得ることができないので、ペットの好奇心、探究心を喚起させることができる。
【0027】
また、実際に、ペット嗜好物50を保持した嗜好物保持体20を知育具本体10に装着するところをペットに見せペット嗜好物50の取得方法を予め示してからペット用知育具1をペットに与えることにより、ペットにそのペット嗜好物50の取得方法を一旦記憶させてからその再現をさせることができるので、知的トレーニングを行わせ、脳の活性化させることができる。
【0028】
また、保持部21の保持袋23には、ペット嗜好物50として種々の物を隠すことができるので、当該ペット用知育具1を飽きさせずに使用することができる。
【0029】
また、知育具本体10の収納空間13にペット嗜好物50を隠すのではなく、知育具本体10から分離する嗜好物保持体20にペット嗜好物50を保持させる構造とし、嗜好物保持体20を知育具本体10から分離したときにペットにペット嗜好物50を視認させることができる構造としていることから、操作と結果を関連させて学習させることができる。この結果、学習の効果の向上させることができる。
【0030】
更に、嗜好物保持体20を単に開口部12の蓋として用いて、知育具本体10の収納空間13にペットのペット嗜好物50を隠して、ペット用知育具1をペットに与えることもできるので、上記とは別のペット嗜好物50の隠し方でペット用知育具1をペットに与えることができる。これにより、上記の隠匿方法に飽きたペットに対して、新たな興味を起こさせることができる。
【0031】
<変形例1>
図2は、本発明の実施の形態の変形例1に係るペット用知育具を示し、(A)は知育具本体と嗜好物保持体が結合した状態を示した斜視図であり、(B)は知育具本体から嗜好物保持体が外れた状態を示した斜視図であり、(C)は(B)の矢符II−IIに沿った断面図である。
【0032】
変形例1に係るペット用知育具1は、上記に示した実施の形態の変形例であって、嗜好物保持体20を知育具本体10が完全に分離しないように、嗜好物保持体20と知育具本体10とを連繋手段30により連結したものである。
【0033】
連繋手段30は、開口部12から筒状に延在して設けられたシート(例えば、伸縮性のあるナイロンシート、綿生地等)により形成されたり、或いは、一端が収納空間13の内壁に結合され他端が嗜好物保持体20に付けられた紐状体(例えば、綿製紐、鎖等)により形成されたりする。
【0034】
なお、連繋手段以外の構成は、実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0035】
以上のペット用知育具1によれば、知育具本体10と嗜好物保持体20とが連繋されるので、一方だけが紛失することを防止することができる。
【0036】
<変形例2>
図3は、本発明の実施の形態の変形例2に係るペット用知育具を示し、(A)は知育具本体と嗜好物保持体が結合した状態を示した斜視図であり、(B)は知育具本体から嗜好物保持体が分離した状態を示した斜視図であり、(C)は(A)の矢符III−IIIに沿った断面図であり、(D)は、突出ダミーが知育具本体から外れた状態を示した説明図である。
【0037】
変形例2に係るペット用知育具1は、上記に示した実施の形態の変形例であって、嗜好物保持体20を模したダミー40を2個設けたものである。
【0038】
ダミー40は、ダミー40と嗜好物保持体20とを混同させることにより、ペットを混乱させるための手段である。
【0039】
具体的には、嗜好物保持体20が知育具本体10に装着されたときに外部に突出する部分の形状及び形態を模した凸部を知育具本体10に形成することにより、ダミー40を形成される(図3(A)参照。)。さらに、嗜好物保持体20が知育具本体10から分離することを摸して、ダミー40が知育具本体10から分離するように構成してもよい。また、分離するダミー40が紛失しないように、ダミー40と知育具本体10とを連繋手段41により連繋してもよい(図3(D)参照。)。また、嗜好物保持体20が知育具本体10に装着されたときに外部に現れる部分の模様と同様の模様を知育具本体10に描画することにより、ダミー40を形成してもよい。
【0040】
以上のペット用知育具1によれば、ペット嗜好物50が保持されている嗜好物保持体20に模したダミー40が、ペット用知育具1に設けられていることから、嗜好物保持体20とダミー40とを混同させて嗜好物保持体20の探知を困難とすることができる。したがって、嗜好物保持体20を知育具本体10から分離させることによりペット嗜好物50を取得することができるということを簡単に習得してしまう知能の高いペットに対しても、嗜好物保持体20とダミー40を混同させて脳を活性化させることができる。また、一旦、ペット嗜好物50の取得方法を習得したとしても、嗜好物保持体20とダミー40とを間違わずに嗜好物保持体20を探知させることは困難であるので、ペット用知育具1に飽きさせずに長期にわたって興味を持たせ続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態に係るペット用知育具を示し、(A)は知育具本体と嗜好物保持体が結合した状態を示した斜視図であり、(B)は知育具本体と嗜好物保持体が分離した状態を示した斜視図であり、(C)は(A)の矢符I−Iに沿った断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の変形例1に係るペット用知育具を示し、(A)は知育具本体と嗜好物保持体が結合した状態を示した斜視図であり、(B)は知育具本体から嗜好物保持体が外れた状態を示した斜視図であり、(C)は(B)の矢符II−IIに沿った断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の変形例2に係るペット用知育具を示し、(A)は知育具本体と嗜好物保持体が結合した状態を示した斜視図であり、(B)は知育具本体から嗜好物保持体が分離した状態を示した斜視図であり、(C)は(A)の矢符III−IIIに沿った断面図であり、(D)は、突出ダミーが知育具本体から外れた状態を示した説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 ペット用知育具
10 知育具本体
11 周面
12 開口部
13 収納空間
20 嗜好物保持体
21 保持部
22 嵌合部
23 保持袋
30,41 連繋手段
40 ダミー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面に少なくとも1つの開口部を備え内部が収納空間とされた知育具本体と、
一端側にこの知育具本体の前記開口部と嵌合可能な嵌合部を有し、他端側に前記開口部を通じて前記収納空間の内外に出入り可能で且つペット嗜好物を保持する保持部を有する嗜好物保持体と、を備え、
前記知育具本体の開口部に前記嗜好物保持体の嵌合部が嵌合されたとき、該開口部が嵌合部で閉塞されるとともに、前記保持部に保持されたペット嗜好物が知育具本体内に隠匿されることを特徴とするペット用知育具。
【請求項2】
請求項1に記載のペット用知育具において、
前記知育具本体と前記嗜好物保持体とを連繋する連繋手段を備えたことを特徴とするペット用知育具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のペット用知育具において、
前記知育具本体に、前記嗜好物保持体を模したダミーが設けられたことを特徴とするペット用知育具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−136252(P2009−136252A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318729(P2007−318729)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(591009255)株式会社ヤマヒサ (70)
【Fターム(参考)】