説明

ペット用遺体収納袋

【課題】犬や猫等のペットの遺体を収納するためのペット用遺体収納袋に関し、
遺体として収納するペットの大きさを考慮してガゼットが形成された袋でありながら、従来の収納袋に比べてペットの遺体の収納作業を容易に行うことのできるペット用遺体収納袋を提供することを課題とする。
【解決手段】収納袋本体の側片にガゼットが形成され、該ガゼットの折り込みによって形成される側片の上側シート部及び下側シート部のうちのいずれかに、前記収納袋本体を開閉するための開閉部が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペット用遺体収納袋、さらに詳しくは、犬や猫等のペットの遺体を収納するためのペット用遺体収納袋に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、犬や猫等の動物はペットとして愛玩されており、特に犬はペットとして非常に多くの人々に飼われており、ペット専用の商品も年々増加する傾向にある。飼い主のペットに対する愛着は、ペットを飼わない者には想像し難い程に大きい場合もあり、従って、ペットが死んだときの悲しみも、ペットを飼わない者に想像できない程に大きい場合もある。
【0003】
ペットが死んだときは、火葬や土葬で遺体が処理されるが、それまでは、一般には毛布やダンボール等に収納されている。ところが、このような毛布やダンボール等の代用品でペットの遺体を収納する場合には、搬送性、収納性、利便性に欠けることから、これらの問題を解決するために、たとえば下記特許文献1に記載されたような考案もなされている。
【0004】
また、上記特許文献1に記載された考案では、遺体の死後、焼却や埋葬までの間、遺体を安置し、ある程度の期間、保存できるような密閉構造を有していないことから、このような課題を解決するために、たとえば下記特許文献2や特許文献3のような考案や発明もなされている。そして、上記課題解決のため、特許文献2や特許文献3に開示されたペット用遺体収納袋は、袋の素材に抗菌性や消臭性を具備させている。
【0005】
さらに、上記特許文献2や特許文献3の改良発明として、下記特許文献4のような発明もなされている。この特許文献4では、ペットの大きさを考慮し、その遺体を収納するときの作業性を考慮して、側面にガゼットを形成した収納袋も開示されている。すなわち、上記特許文献1乃至3に開示されたような収納袋では、ペットの遺体を収納するときに、ペットの大きさに応じて袋が膨らまないので、遺体の収納作業が非常に煩雑であり、また収納作業を容易にするためには、袋が必要以上に大きくなるので、上記のようなガゼットを形成して収納作業時の便宜を図ったものである。
【0006】
この特許文献4に開示されたガゼット付きの収納袋は、袋の開閉部分となるチャックが、該特許文献4の図3にも記載されているように、袋の側端縁部に設けられているので、袋の開口部も、その側端縁部の位置に形成されることとなる。しかし、本発明者等が鋭意研究した結果、この側端縁部の位置に形成された開口部からペットの遺体を収納する場合、その収納作業が非常に行いにくいことがわかった。
【0007】
これは、上記特許文献4のガゼットを有する収納袋の場合、上記開口部が形成された側端縁部が、ガゼットの折り込み部分となるガゼット底部とは反対側のガゼットの先端部に位置するため、ガゼットを展開して袋を膨出させる際には、袋の側面側に開口部が存在するのではなく、側面と上面との境界部分である縁部分に開口部が位置することとなるので、大きなペットの遺体を収納する際に、その収納作業が必要以上に煩雑になるとの理由であると認められる。また、このように側面と上面との境界部分である縁部分に開口部が位置していると、ペットの遺体を斜め下向きの方向に収納しなければならず、このことも収納作業が煩雑になる理由であると認められる。すなわち、このようなペットの遺体の収納作業は、そのペットの遺体を持ち上げた上で行わなければならないため、上記のような収納袋の側面と上面との境界部分の開口部からペットの遺体を斜め下向きの方向に収納しようとすると、その収納の作業が煩雑となるのである。
【0008】
ただし、この種のペット用遺体収納袋という物品の特性上、ある程度の大きさのペットの遺体を収納する便宜から、上記ガゼットの形成は非常に有用であり、また遺体を収納する上での衛生的観点からチャックを形成することが必要であり、さらに、ガゼット付きであるとともにチャック付きである収納袋が合成樹脂シートで製袋される上での製袋上の技術的観点と、チャックの構造との双方から、どうしても上記のような袋の側面と上面との境界部分である端縁部分に開口部を形成せざるを得なかったものと思われる。
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3071935号公報
【特許文献2】実用新案登録第3099200号公報
【特許文献3】特開2005−494号公報
【特許文献4】特開2006−116069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたもので、遺体として収納するペットの大きさを考慮してガゼットが形成された袋でありながら、上記従来の収納袋に比べてペットの遺体の収納作業を容易に行うことのできるペット用遺体収納袋を提供することを課題とする。また本発明は、ペットが死んだ後に遺体を安置して火葬を行うまでの間に、ペットに対して愛着を持つ飼い主が、人間の葬儀と同じように丁重に遺体を取り扱うのにふさわしい、専用のペット用遺体収納袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、収納袋本体の側片にガゼットが形成され、該ガゼットの折り込みによって形成される側片の上側シート部及び下側シート部のうちのいずれかに、前記収納袋本体を開閉するための開閉部が形成されていることを特徴とするペット用遺体収納袋を提供するものである。
ガゼットの折り込みによって形成される側片の上側シート部及び下側シート部のうち、下側シート部側に収納袋本体を開閉するための開閉部が形成されることが望ましい。この開閉部としては、たとえばチャックのようなものが用いられる。
【0012】
また、ペットの遺体を収納することができる大きさに形成され、且つ袋本体内に収納することができる大きさに形成された内袋をさらに具備させることも可能である。この場合、上記ガゼットを有する収納袋本体は、内袋を収納する外袋として使用される。このような内袋の開口部を封止するための封止用シールをさらに具備させることも可能である。
【0013】
ペットの遺体を載置するための座布団を、さらに具備させることも可能である。
また収納袋本体を透明な合成樹脂製シートで構成し、収納袋本体の表片側にインクを設けて不透明に形成することも可能である。そのような不透明に形成された部分のうち、収納袋本体内に収納されたペットの顔の部分を現出させるように、透明な窓部を形成することも可能である。また袋本体内に収納されるペットの名前を表示する名前表示欄を表片に設けることも可能である。
【0014】
さらに、収納袋本体内に収納されるペットに対するメッセージを表示するメッセージ表示欄を、収納袋本体の表片に設けることも可能である。収納袋本体の表片側に貼着可能で、収納袋本体内に収納されるペットの写真を収納することができる写真収納袋を、さらに具備させることも可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上述のように、収納袋本体の側片にガゼットが形成され、該ガゼットによって折り込まれる側片を構成する上側シート部及び下側シート部のうちのいずれかに、収納袋本体を開閉するための開閉部が形成されているため、従来のように、
収納袋本体の表片と側片との境界部分である袋の側端縁部に開口部が形成されているようなものに比べると、ペットの遺体の収納作業を容易に行うことができるという効果がある。
【0016】
特に、収納袋本体の側片の下側シート部側に開口部が形成されている場合には、ペットの遺体の収納作業が一層容易となる効果がある。
【0017】
さらに、ペットの遺体を内袋に収納したものと、その遺体を収納した内袋を載置するための敷布団との双方を収納袋本体に収納する場合には、収納袋本体に収納される被収納物が嵩張ることになるので、上記のようにガゼットによって折り込まれる側片に開口部が形成されていることで、従来のように、収納袋本体の側片と表片との境界部分である袋の側端縁部に開口部が形成されていたペット用遺体収納袋に比べると、ペットの遺体を収納する作業が著しく容易となる。
【0018】
そして、このようにペットの遺体を収納した内袋と、その遺体を収納した内袋を載置するための敷布団との双方を収納袋本体に収納する場合の作業性は、収納袋本体の側片の下側シート部側に開口部が形成されている場合に、上記従来のような側片と表片との境界部分に開口部が形成されている場合と比較して一層顕著となる。
【0019】
さらに、外袋である収納袋本体に収納する前に、内袋にペットの遺体を収納し、さらに、その内袋の開口部を封止用シールで封止する場合には、ペットの遺体に対する密封性が良好となる利点がある。
【0020】
さらに、収納袋本体の表片に、ペットの名前を表示する名前表示欄や、メッセージ表示欄を設け、さらに収納袋本体内に収納されるペットの写真を収納することができる写真収納袋を、収納袋本体の表片に貼着する場合には、ペットに愛着を持つ飼い主にとって、人間と同じように丁重に葬儀を行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面に従って説明する。
【0022】
本実施形態のペット用遺体収納袋は、図1に示すように、外袋としての収納袋本体1と、内袋2と、敷布団3と、写真収納袋4と、封止用シール5とを具備して構成されている。
【0023】
外袋としての収納袋本体1は、全体が合成樹脂製シートからなり、図2乃至図4に示すように平面略長方形状に形成されている。この収納袋本体1は、図7及び図8に示すように1枚の合成樹脂製シートによって、表片1a、裏片1b、及び両側片1c、1cが形成され、該両側片1c、1cには、合成樹脂製シートの折り込みによってガゼット6、6が形成されている。合成樹脂製シートの材質としては、たとえばポリエチレンが用いられる。
【0024】
そして、図3に示すように、表片1a及び裏片1bの端部が熱シールされてシール部7a、7bが形成されることによって、全体が袋状に形成されている。
【0025】
収納袋本体1の表片1aには、図3に示すように円形の窓部8の部分のみが透明で、それ以外の部分に白色のインクが設けられて不透明に形成されている。また収納袋本体1の裏片1bは全体が透明に形成されている。
【0026】
表片1aの窓部8の周囲には、図2に示すように花柄の装飾模様9が施されており、前記窓部8の下部近辺に、収納袋本体1内に収納されるペットの名前を表示する名前表示欄10が設けられている。さらに表片1aの下部にも、花柄の装飾模様11が施されており、該装飾模様11の少し上側に、収納袋本体1内に収納されるペットに対するメッセージを表示するメッセージ表示欄12が設けられている。さらに、前記名前表示欄10とメッセージ表示欄12との間には、写真収納袋4を貼着するための貼着欄13が設けられている。
【0027】
収納袋本体1の側片1c、1cには、上述のようにガゼット6、6が形成されているが、収納袋本体1の表片1aと側片1cとの境界部分がガゼット上縁部6aとされ、収納袋本体1の裏片1bと側片1cとの境界部分がガゼット下縁部6bとされ、
さらに収納袋本体1の側片1cの中央折り込み部分がガゼット底縁部6cとされることにより、ガゼット6の全体は略U字状若しくは略V字状に形成されている。
【0028】
両側片1cに形成されたガゼット6、6のうち、一方のガゼット6の部分には、図5及び図6に示すように、スライダーチャック14が取り付けられている。このスライダーチャック14は、図6、7、9に示すように、1対のチャックシート15、15と、1対のチャック嵌合体16、16と、スライダー摘み17aを有する
チャックガイド体17とで構成されている。
【0029】
収納袋本体1は、上述のように1枚の合成樹脂製シートによって形成されるものであるが、図7及び図9に示すように、その1枚の合成樹脂製シートの両端縁18、18の部分に跨がるようにスライダーチャック14が取り付けられている。より具体的には、図7及び図9に示すように、スライダーチャック14を構成する1対のチャックシート15、15が、合成樹脂製シートの両端縁18、18の部分にそれぞれ取り付けられ、さらにそのチャックシート15、15の内面側に1対のチャック嵌合体16、16が取り付けられ、そのチャック嵌合体16、16がチャックガイド体17内に挿通されることによって、そのチャック嵌合体16、16をガイドレールとしてチャックガイド体17がスライドしうるようにスライダーチャック14が構成されている。
また、上述のような合成樹脂製シートの両端縁18、18の部分に跨がるようにスライダーチャック14を取り付ける場合、1枚の合成樹脂製シートを切断し、切断した部分を両端縁18、18として、その両端縁18、18の間に、上記のようなチャックシート15、15やチャック嵌合体16、16が取り付けられることとなる。この場合、上記両端縁18、18の間にある程度の幅を設けた上で、チャックシート15、15を両端縁18、18に取り付けることが望ましい。両端縁18、18の間が接近しすぎると、上記チャックガイド体17内にチャック嵌合体16、16が案内される際に、合成樹脂製シートの両端縁18、18の部分までもがチャックガイド体17内に不用意に噛み込まれるおそれがあるからである。
その一方で、両端縁18、18の間の寸法が大きすぎると、チャックシート15、15を合成樹脂製シートの両端縁18、18にシールして取り付けることが困難となるおそれがある。これは、チャックシート15、15やチャック嵌合体16、16の幅の寸法がある程度定められていて、極端に両端縁18、18の間の寸法を大きくすることができないからである。
従って、両端縁18、18の間の寸法は、このようなチャックシート15の取り付けと、上記のように合成樹脂製シートの両端縁18、18がチャックガイド体17内に不用意に噛み込むのを防止することとの双方を考慮し設定するのが望ましい。
ちなみに、この両端縁18、18の間の幅は、チャックガイド体17の幅に対して0、5〜2.0倍程度の寸法であることが望ましい。
【0030】
そして、このスライダーチャック14による開閉部分が、収納袋本体1の開口部35となる。すなわち、スライダーチャック14が閉じられていて、1対のチャック嵌合体16、16が相互に嵌合しているとき、収納袋本体1の開口部35は閉鎖された状態となっており、スライダーチャック14が開かれて1対のチャック嵌合体16、16の嵌合状態が解除されたときに、収納袋本体1の開口部35は開口された状態となる。この場合、チャック嵌合体16、16がチャックガイド体17内に案内される構造については図26及び図27に基づいて後述する。
【0031】
さらに、上記スライダーチャック14は、上記のようにガゼット6、6の形成によって折り込まれた側片1cの上側シート部19a及び下側シート部19bのうち、
下側シート部19bの側に取り付けられている。尚、1対の両側片1c、1cのうち、スライダーチャック14は、図7に示すように一方の側片1cの側にのみ取り付けられ、他方の側片1cの側には取り付けられていない。
【0032】
内袋2は、ペットの遺体を直接収容する袋であり、図10乃至図12に示すように正面略長方形状に形成され、全体がポリエチレン等の合成樹脂製シートで形成され、上部に開口部21が形成されているとともに、下部は内袋2の表片2aと裏片2bとが熱シールされてシール部22が形成されている。また、内袋2の両側片2c、2cには、図12に示すようにガゼット20、20が形成されている。
【0033】
敷布団3は、ペットの遺体を上記内袋2内に収納した状態で載置するためのもので、図13及び図14に示すように、布団地23内にポリエステル系発泡樹脂等で構成された充填材24を充填することによって構成されている。この敷布団3の四角コーナー部には、玉紐25が取り付けられている。
【0034】
写真収納袋4は、遺体を収容するペットの生前の写真を収納するための合成樹脂製の袋で、図15に示すように、その写真収納袋4の表片4aと裏片4bとの両側縁部26a、26bが熱溶着シールされ、且つ底部26cが折り曲げられることによって、全体が略長方形の袋状に形成されている。このような底部26cを形成する場合、合成樹脂製のシートを半分に折り曲げ、その折り曲げられた部分を底部26cとすることによっても形成できるが、たとえば最初からチューブ状に形成された合成樹脂製のチューブ体を用い、その一側縁を切断し、切断された部分と反対側の部分を底部26cとすることによっても形成することができる。
そして、写真収納袋4の上部には開口部27が形成されている。この写真収納袋4の裏片4b側の上下2箇所に、図16に示すように、接着剤28を介して離型材29が設けられている。
【0035】
封止用シール5は、図17及び図18に示すように、略楕円形に形成されたシール本体30の裏面側に接着剤31を介して離型材32を設けることによって構成されている。
【0036】
次に、上記のような構成からなるペット用遺体収納袋を使用する場合について説明する。
【0037】
先ず、ペットの遺体を内袋2内に収納する。ペットの遺体を内袋2に収納するに際しては、図19に示すように、内袋2のガゼット20、20を展開した状態とし、さらに図20に示すように、内袋2の開口部21からペットの遺体33を収納する。この場合、ペットの遺体33は、図20のように、内袋2に対して横向き、すなわち、開口部21に対して平行な向きに収納し、内袋2の底部側までペットの遺体33を押し込む。この方向にペットの遺体33を収納することによって、その遺体収納後に内袋2を折り畳むのが容易となる。
【0038】
尚、ペットの遺体33を収納する前に、図21の2点鎖線で示すように、内袋2の開口部21の端縁側を数回程度折り曲げておくのが望ましい。これによって、後に開口部21を封止するのが容易となる。そして、ペットの遺体33を収納した後、図21に示すように、開口部21の端縁側を、ペットの遺体33が収納された内袋2の袋本体34側に折り畳む。そして、前記封止用シール5のシール本体30から離型材32を剥離し、そのシール本体30の部分を、図21に示すように、内袋2の開口部21の端縁と袋本体34とに跨がるように貼着する。
【0039】
次に、ペットの遺体33が収納された内袋2と敷布団3とを、外袋としての収納袋本体1内に収納する。それに先立ち、収納袋本体1の表片1aの上記名前表示欄10に、遺体が収納されたペットの名前を記載し、またメッセージ表示欄12にメッセージを表示する。さらに、生前のペットの写真36を図22に示すように写真収納袋4に入れ、離型材29を剥がし、接着剤28を介して収納袋本体1の貼着欄13に、写真36が収納された写真収納袋4を貼着する。
そして、このように収納袋本体1の表片1aに上記所定事項を表示し、写真収納袋4を貼着した後、ペットの遺体33が収納された内袋2と敷布団3とを図23に示すように外袋としての収納袋本体1内に収納する。このようにしてペットの遺体の収納作業を行う場合、スライダーチャック14は図23に示すように開いた状態とする必要があり、収納袋本体1の開口部35を開口した状態とされている。
この場合、内袋2は敷布団3の上に載置されて収納された状態とする必要があるので、後述するように、先に敷布団3を収納袋本体1に収納し、その後にペットの遺体が収納された内袋2を収納袋本体1内に収納することが望ましい。
このように、敷布団3と内袋2とを収納袋本体1内に収納する場合、図24に示すように、開口部35が形成されている側のガゼット6とは反対側に位置するガゼット6の折り込まれたフィルム(上側シート19aと下側シート19b)を延ばして、その反対側に位置するガゼット6を展開状態とし、その状態で同図のように開口部35から敷布団3と内袋2とを容易に収納できることとなる。この場合、作業者が腕を開口部35から挿入し、反対側に位置するガゼット6を押し広げることで、その反対側に位置するガゼット6を容易に展開状態とすることができる。
このように反対側に位置するガゼット6を展開状態とした後、図25に示すように敷布団3を開口部35から収納袋本体1内に収納し、下側シート19b、19bが存在する収納袋本体1の底部に前記敷布団3が沿うように、該敷布団3を収納袋本体1の底部に設置する。
次に、図25及び図26に示すように、内袋2を収納袋本体1内に収納する。このように内袋2を収納する場合、内袋2内にはペットの遺体が収納されて嵩張り且つ重量があるので、図25に示すように開口部35側の上部の上側シート19aを持ち上げながら内袋2を収納する必要がある。
このように、上側シート19aを持ち上げながら内袋2を収納する場合、上述のように先に敷布団3が収納袋本体1の底部に沿うように収納されているので、その敷布団3によって収納袋本体1の極端な位置ずれ等がある程度は防止され、従って上側シート19aを持ち上げる際にも、収納袋本体1が不用意に動くようなこともある程度防止されるので、ペットの遺体が収納された内袋2を収納袋本体1内に収納する作業が非常に容易となる。
上述のように反対側に位置するガゼット6が展開状態とされているので、ペットの遺体が収納された内袋2が重量のあるものであるにもかかわらず、その内袋2を容易に収納袋本体1内に収納することができる。また反対側に位置するガゼット6が展開状態とされることで、敷布団3の収納袋本体1内への収納も容易に行えることとなる。
また、このように反対側に位置するガゼット6を押し広げるために作業者が腕を開口部35から挿入する際にも、その開口部35は、収納袋本体1の側辺1c、特に下側シート部19b側に形成されているので、従来のように袋の側面と上面との境界部分である縁部分に開口部が位置するようなペット用遺体収納袋に比べると、腕を開口部35から挿入して反対側に位置するガゼット6を押し広げる作業を容易に行うことができる。
一方、敷布団3と内袋2とを収納袋本体1内に収納した直後は、開口部35が形成された側のガゼット6を構成する上側シート19aと下側シート19bとは、前記敷布団3と内袋2とによって、押し込まれた状態となっているので、その開口部35が形成された側のガゼット6は展開状態となっておらず、また敷布団3と内袋2との一部は収納袋本体1の外側に裸出した状態となっている。そこで、図26に示すように、一部裸出した敷布団3と内袋2とを開口部35よりも内側に入れ、開口部35が形成された側のガゼット6を構成する上側シート19aと下側シート19bとを伸ばし、そのガゼット6を展開状態とすることによって、敷布団3と内袋2とを好適に収納することができる。
尚、開口部35を開口させる際には、図27に示すように、スライダー摘み17aを一方の手(図27では左手)の指で把持し、それと同時に収納袋本体1のスライダーチャック14の一端側部分14aを、矢印イに示すように他方の手(図27では右手)の指で収納袋本体1の全体を挟み込むように押さえ、その状態でスライダー摘み17aを把持してチャックガイド体17を図27の矢印ロ方向に移動させる。
【0040】
このような収納袋本体1内に、上記ペットの遺体33が収納された内袋2を収納する場合において、上記スライダーチャック14は、ガゼット6の形成によって折り込まれた側片1cに取り付けられているため、収納袋本体1の開口部35も同様にガゼット6の形成によって折り込まれた側片1cに形成されていることになる。
従って、収納袋本体の側片と表片との境界部分に開口部が形成されていた従来のペット用遺体収納袋に比べると、ペットの遺体を収納する作業が著しく容易となる。
【0041】
しかも、本実施形態では、側片1cの上側シート部19a及び下側シート部19bのうち、下側シート部19bの側にスライダーチャック14が取り付けられているため、収納袋本体1の開口部35も同様に側片1cの下側シート部19bの側に形成されていることになり、ペットの遺体を収納する作業を一層容易に行うことができる。
【0042】
特に、本実施形態では、ペットの遺体33を収納した内袋2と、敷布団3との双方を収納袋本体1に収納するので、開口部35が形成されている位置によって、ペットの遺体33を収納した内袋2及び敷布団3の収納作業の容易さに相当な差異が生じることとなる。この点、本実施形態では、上記のように収納袋本体1の開口部35が側片1cの下側シート部19bの側に形成されているので、ペットの遺体33を収納した内袋2及び敷布団3の収納作業を、他の箇所に開口部35が形成されている場合に比べて容易に行うことができるのである。
【0043】
そして、ペットの遺体33を収納した内袋2及び敷布団3を収納袋本体1内に収納した後、図28に示すようにスライダーチャック14を閉じる。このようにスライダーチャック14を閉じる場合には、先ず図28の矢印ハ、ニ方向に示すように、上下のチャックシート15、15の部分が極力平行になるように整える。これは、ペットの遺体33を収納した内袋2及び敷布団3を収納袋本体1内に収納した直後においては、開口部35の上下のチャックシート15、15の部分がいびつに広がった状態となっているからである。次に、収納袋本体1のスライダーチャック14の他端側部分14bを、矢印ホ方向に示すように他方の手(図28では左手)の指で押さえ、スライダー摘み17を一方の手(図28では右手)の指で把持し、その状態でスライダー摘み17aを図28の矢印ヘ方向に移動させる。
【0044】
上記のようなスライダーチャック14による収納袋本体1の開閉を行う場合、チャックガイド体17内にチャック嵌合体16、16が案内される状態は、図29及び図30に示すとおりである。すなわち、上記図27のように収納袋本体1の開口部35を開口させる場合には、チャックガイド体17の後方側において、図29に示すように該チャックガイド体17の上下2室17b、17c内にチャック嵌合体16、16が収納され、チャック嵌合体16、16が離脱した状態となっており、またチャックガイド体17の前方側においては、図30に示すように該チャックガイド体17の1室17d内にチャック嵌合体16、16が収納され、チャック嵌合体16、16が相互に嵌合した状態となっている。
一方、上記図28のように収納袋本体1の開口部35を閉鎖させる場合には、上記開口時とは逆に、チャックガイド体17の前方側において、図29に示すように該チャックガイド体17の上下2室17b、17c内にチャック嵌合体16、16が収納され、チャック嵌合体16、16が離脱した状態となっており、またチャックガイド体17の後方側においては、図30に示すように該チャックガイド体17の1室17d内にチャック嵌合体16、16が収納され、チャック嵌合体16、16が相互に嵌合した状態となっている。
本実施形態では、上述のように1枚の合成樹脂製シートの両端部18、18の位置であって、ガゼット6内の部分にスライダーチャック14が設けられているので、一般的なチャックのみで嵌合する構造を採用することができず、上記のようなチャックガイド体17を上記チャック嵌合体16、16と併用することで、好適な開閉構造を実現することが可能となるのである。
以上のような作業を経て、図31に示すようにペットの遺体の収納作業は終了する。ペットの遺体33が収納された状態において、図32に示すように、収納袋本体1の透明な窓部8から、遺体が収納されたペットの顔が現出された状態となっている。このようにして、ペットの葬儀の準備が完了する。
【0045】
以上のように、本実施形態では、ペットの遺体を内袋2に収納し、敷布団3に載置した状態で、外袋としての収納袋本体1に収納し、さらに、収納袋本体1の名前表示欄10にペットの名前を表示しうるとともに、メッセージ表示欄12にメッセージを表示することができ、さらに生前のペットの写真を収納した写真収納袋4を収納袋本体1の貼着することができるので、ペットに愛着を持つ飼い主にとって、人間と同じように丁重に葬儀を行うことができる。
【0046】
尚、上記実施形態では、内袋2にペットの遺体を収納し、その内袋2の開口部を封止用シールで封止した上で、外袋である収納袋本体1に収納したため、上述のような好ましい効果が得られたが、上記のような内袋2にペットの遺体を収納し、或いは内袋2の開口部を封止用シールで封止することは本考案に必須の条件ではない。
【0047】
また、上記実施形態では花柄の装飾模様9が表片1aの窓部8の周囲と、表片1aの下部との箇所にのみ施されていたが、図33に示すように、表片1aのほぼ全体にわたって、装飾模様9を設けることも可能である。さらに、上記実施形態では、名前表示欄10やメッセージ表示欄12、さらには写真収納袋4を貼着する貼着欄13を収納袋本体1の表片に設けたため、上述のような好ましい効果が得られたが、このような名前表示欄10、メッセージ表示欄12、写真収納袋4を貼着する貼着欄13を設けることも本発明に必須の条件ではない。
【0048】
さらに、上記実施形態では、スライダーチャック14や開口部35を、収納袋本体1の側片1cの下側シート部19b側に設けたため、上述のような好ましい効果が得られたが、下側シート部19b側に設けることは本発明に必須の条件ではなく、
上側シート部19a側に設けることも可能である。
【0049】
さらに、上記実施形態では、チャックとして、1対のチャックシート15、15
と、1対のチャック嵌合体16、16と、スライダー摘み17とを具備したチャックガイド体14が用いられていたが、チャックの種類はこれに限定されるものではない。
【0050】
さらに、収納袋本体1や内袋2の形状や材質も上記実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】一実施形態としてのペット用遺体収納袋の構成部材を示す正面図。
【図2】収納袋本体の正面図。
【図3】収納袋本体の正面図。
【図4】収納袋本体の背面図。
【図5】収納袋本体の側面図。
【図6】収納袋本体の要部拡大側面図。
【図7】図3のA−A線中間省略拡大断面図。
【図8】図3のB−B線中間省略拡大断面図。
【図9】チャック部分の要部拡大断面図。
【図10】内袋の正面図。
【図11】図10のC−C線断面図。
【図12】図12のD−D線断面図。
【図13】敷布団の平面図。
【図14】図13のE−E線断面図。
【図15】写真収納袋の正面図。
【図16】図15のF−F線断面図。
【図17】封止用シールの正面図。
【図18】図17のG−G線断面図。
【図19】内袋のガゼットを展開した状態の斜視図。
【図20】内袋にペットの遺体を収納する状態を示す概略斜視図。
【図21】内袋の開口部を封止する状態を示す概略斜視図。
【図22】写真収納袋を収納袋本体に貼着した状態の要部断面図。
【図23】ペットの遺体を収納した内袋と敷布団とを収納袋本体に収納する状態を示す概略斜視図。
【図24】同概略側面図。
【図25】ペットの遺体を収納した内袋を収納する場合に、上側シートを持ち上げる状態を示す概略側面図。
【図26】同収納後の概略側面図。
【図27】収納袋本体のスライダーチャックを開く状態を示す概略斜視図。
【図28】収納袋本体のスライダーチャックを閉じる状態を示す概略斜視図。
【図29】チャックガイド体内にチャック嵌合体が案内される状態の要部概略断面図。
【図30】チャックガイド体内にチャック嵌合体が案内される状態の要部概略断面図。
【図31】収納袋本体にペットの遺体を収納した状態の概略斜視図。
【図32】収納袋本体にペットの遺体を収納した状態の概略正面図。
【図33】他実施形態の収納袋本体の正面図。
【符号の説明】
【0052】
1…収納袋本体 2…内袋
3…敷布団 4…写真収納袋
5…封止用シール 6…ガゼット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットの遺体を収納するための収納袋であって、収納袋本体(1)の側片(1c)にガゼット(6)が形成され、該ガゼット(6)の折り込みによって形成される
側片(1c)の上側シート部(19a)及び下側シート部(19b)のうちのいずれかに、前記収納袋本体(1)を開閉するための開閉部が形成されていることを特徴とするペット用遺体収納袋。
【請求項2】
ガゼット(6)の折り込みによって形成される側片(1c)の上側シート部(19a)及び下側シート部(19b)のうち、下側シート部(19b)側に収納袋本体(1)を開閉するための開閉部が形成されている請求項1記載のペット用遺体収納袋。
【請求項3】
開閉部がスライダーチャック(14)によって構成されている請求項1又は2記載のペット用遺体収納袋。
【請求項4】
ペットの遺体を収納することができる大きさに形成され、且つ収納袋本体(1)内に収納することができる大きさに形成された内袋(2)がさらに具備されている請求項1乃至3のいずれかに記載のペット用遺体収納袋。
【請求項5】
内袋(2)の開口部を封止するための封止用シール(5)がさらに具備されている請求項1乃至4のいずれかに記載のペット用遺体収納袋。
【請求項6】
ペットの遺体を載置するための敷布団(3)がさらに具備されている請求項1乃至5のいずれかに記載のペット用遺体収納袋。
【請求項7】
収納袋本体(1)が透明な合成樹脂製シートで構成され、且つ該収納袋本体(1)の表片(1a)側にはインクが設けられて、該表片(1a)が不透明に構成されている請求項1乃至6のいずれかに記載のペット用遺体収納袋。
【請求項8】
表片(1a)の不透明に構成された部分において、収納袋本体(1)内に収納されたペットの顔の部分を現出させるように、透明な窓部(8)が形成されている請求項1乃至7のいずれかに記載のペット用遺体収納袋。
【請求項9】
収納袋本体(1)内に収納されるペットの名前を表示する名前表示欄(10)が、収納袋本体(1)の表片(1a)側に設けられている請求項1乃至8のいずれかに記載のペット用遺体収納袋。
【請求項10】
収納袋本体(1)内に収納されるペットに対するメッセージを表示するメッセージ表示欄(12)が、収納袋本体(1)の表片(1a)側に設けられている請求項1乃至9のいずれかに記載のペット用遺体収納袋。
【請求項11】
収納袋本体(1)の表片(1a)側に貼着可能で、収納袋本体(1)内に収納されるペットの写真を収納することができる写真収納袋(4)がさらに具備されている請求項1乃至10のいずれかに記載のペット用遺体収納袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2008−194081(P2008−194081A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29304(P2007−29304)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(391010725)株式会社クルー (2)
【Fターム(参考)】