説明

ペット用飼料組成物

本発明は、アミノ酸を配合物の少なくとも7重量%の量で、およびリンを配合物の約1重量%未満の量で含有する、ペット用飼料組成物(ペットフード組成物)に関する。前記ペット用飼料配合物は、n−3脂肪酸の少なくとも1種およびn−6脂肪酸の少なくとも1種を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年12月21日に出願された米国特許仮出願第61/015,800号の優先権の利益を主張し、あらゆる目的に対して、その全体を参照により本明細書に組み込む。
本発明は、一般的には、ペット用飼料(ペットフード)に、より特定するとネコ用飼料(キャットフード)に関する。
【背景技術】
【0002】
動物の一生における末期では、最適な健康というものが、危険の減少および変性疾患(退行性疾患)の発現の遅延に関与している可能性が高い。慢性的な酸化ストレスは、変性疾患、例えば、心臓病、がん、および糖尿病の発生と関連している。酸化ストレスは、オキシダント(酸化体)、例えば、通常の代謝副産物であるフリーラジカルと、抗酸化物質との不均衡が原因である。動物の抗酸化状態を増進すると、潜在的に、無病寿命を延長し、生活の質を改善することが可能となる。飼料ビタミンEは、イヌの抗酸化状態を維持または改善することが示されている。老齢のイヌにおいて、飼料抗酸化物質が、ネコやイヌにおける認知機能を増進し得ることが示されている。
【0003】
健康な腎臓、心臓血管系、および眼の維持は、生活の質および長寿の確保に重要である。炎症は、急性腎障害を引き起こすことがある。魚油は、抗炎症特性を有する長鎖ポリ不飽和脂肪酸(LCPUFA;long−chain polyunsaturated fatty acid)、例えば、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を含む。さらに、魚油は、その抗不整脈効果により、冠状動脈疾患、致死的心筋梗塞および心臓性突然死を防止することが示されている。最適な体重および身体組成は、関節および靭帯へのストレスの減少に関与し、従って、変形性関節症の発生の危険を減少させる。魚油は、関節炎に伴う問題を軽減すると信じられている。
【0004】
栄養素の十分な供給を伴った最適な栄養摂取は、健康を維持し、若齢での変性疾患の発生の危険を減少させるのに必須である。健康と健康的な加齢(老化)について語る場合、その複雑に入り組んだ臓器系、網状組織および伝達経路を有する動物全体を考慮しなければならない。
【0005】
慢性的な酸化ストレスは、変性疾患、例えば、心臓病、がん、および糖尿病の発生と関連している。細胞における酸化ストレスは、抗酸化物質防御系に対するオキシダント(酸化体)の不均衡が発生した場合に起こる。細胞中でのオキシダントの発生は、ミトコンドリア電子伝達および脂肪酸のペルオキシソーム酸化などの通常の代謝の過程で起こる。食細胞、例えば、マクロファージ(大食細胞)および好中球は、その生体(宿主)防御系の一部としてオキシダント(酸化体)を発生することがある。生体は、内因性の抗酸化物質、例えば、ビタミンEおよびグルタチオンを有しており、酸化的損傷を修復し得る修復系を有している。オキシダント(酸化体)の発生、抗酸化物質による防御、および酸化的損傷の修復の間の全体としての正および負のフィードバックが老齢化の結果を決定している。飼料ビタミンEは、イヌの抗酸化状態を改善することが示されている。抗酸化状態の改善は、潜在的に、ネコの無病寿命の延長、生活の質の改善を可能とする。さらに、魚油は、その抗不整脈効果により、冠状動脈疾患、致死的心筋梗塞および心臓性突然死の防止に関連しており、関節炎に伴う炎症性関節痛を軽減すると考えられている。ネコの軟骨細胞モデルにおいては、DHAが軟骨の劣化を減少させることが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一態様では、ペット用飼料配合物であって、ペット用飼料配合物の少なくとも7重量%であるアミノ酸の水準および同配合物の約1重量%未満に減量したリンの水準を含むペット用飼料配合物が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
他の態様では、ペット用飼料は、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、シスチン、およびこれらの組合せから選択されるアミノ酸群を、ペット用飼料配合物の少なくとも7重量%の量で含んで供給される。
【0008】
他の態様では、配合物の約2重量%から約3.5重量%の範囲のリジンの水準を含むペット用飼料配合物が提供される。
【0009】
他の態様では、ペット用飼料配合物の少なくとも7重量%であるアミノ酸群および同配合物の約1重量%未満に減量したリンの水準を含むペット用飼料配合物を組み込むことを含む方法であって、これにより、動物の酸化ストレスを減少させる方法が提供される。
【0010】
他の態様では、アミノ酸選択群の水準を、配合物中の飼料タンパク質の水準の約22%から約30%の範囲で含む、ペット用飼料配合物が提供される。
【0011】
他の態様では、ペット用飼料配合物のエイコサペンタエン酸(EPA)の水準は、配合物の約0.15重量%から約0.3重量%の範囲である。
【0012】
他の態様では、ドコサヘキサエン酸(DHA)に対するEPAの比が、約1.2から約2.5の範囲で含む、ペット用飼料配合物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書を通じて使用される場合、範囲とは、その範囲内にある各々のおよびすべての値を記載するための簡潔表現として用いられる。範囲内のいかなる値もその範囲の境界値として選択され得る。さらに、本明細書で引用されたすべての文献は、参照によりその全体を本明細書に組み込む。本開示における定義と引用された文献のそれとに矛盾がある場合は、本開示が優先される。
【0014】
ペット用飼料およびペット用飼料の製造方法の例示実施形態が以下に記載される。例示実施形態が本明細書では記載されるが、本発明のペット用飼料組成物およびその製造方法は、これらの特定の実施形態に限定されない。特に、押出し成形したペット用飼料が詳細に記載されるが、以下に記載した発明は、缶詰飼料ならびに焼いた乾燥飼料に共に適用されることが理解されるべきである。
【0015】
タンパク質は、植物性源、動物性源、またはその両方を含んで、当業者に公知の種々の供給源のいかなるものによって供給されてもよい。動物性源としては、例えば、肉、食肉処理された有用物(肉副産物)、海産物、酪農製品、卵などが含まれる。肉としては、例えば、家禽類、魚、および哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)の肉が含まれる。食肉処理された有用物(肉副産物)としては、例えば、肺、腎臓、脳、肝臓、および胃もしくは小腸(その内容物は、すべてまたは実質的にすべて除かれている)が含まれる。タンパク質は、未変性のもの、ほぼ完全な加水分解物、または部分加水分解物であり得る。追加のタンパク質源としては、大豆、とうもろこしグルテンおよびその他などの野菜からおよび乳清およびカゼインなどの酪農製品からのタンパク質が含まれる。ペットは、その飼料において、L−タウリン、メチオニン、およびリジンならびにシスチンなどの重要なアミノ酸が十分に供給されていると理解される。
【0016】
リジンおよびシスチンは、市場で購入し得るしまたはいかなる適切な供給源から調製してもよい。1つの有用なリジンは、Liquid Lysine 60である。純粋な結晶性アミノ酸は、容易に市場で購入できるし、ネコ科の動物の胃腸系により高度に消化可能であり、吸収性が高いので使用することができる。本明細書で使用する場合、リジンおよびシスチンという用語は、アミノ酸リジンおよびシスチンのそれぞれ対応する遊離の酸、類似体および/または水溶性塩の形態が含まれる。
【0017】
有用なリジンとしては、ポリ−D−リジン臭素酸塩、分子量約70,000から約150,000ダルトン;ポリ−L−リジン塩酸塩、分子量約15,000から約30,000ダルトン;ポリ−L−リジン臭素酸塩、分子量約150,000から約300,000ダルトン;およびポリ(Lys,Phe)1:1臭素酸塩、分子量約20,000から約50,000ダルトンを含んで、全体としてまたは部分的にリジンからなるポリアミノ酸からのものが含まれる。ネコ科の動物の胃腸系に対して食事または飼料中に使用されるリジンおよびシスチンの量は、ネコの種類、ネコの年齢、使用されるネコ用飼料、食事中のタンパク質の水準、所望の除脂肪体保護(lean body mass protection)の程度、およびその他の要因を含む、いくつかの要因に依存して変化する。
【0018】
ある実施形態では、ペット用飼料配合物は、シスチンの水準を、配合物の約0.5重量%から約0.75重量%の範囲で含む。さらに特には、ペット用飼料配合物は、シスチンの水準を、配合物の約0.55重量%から約0.66重量%の範囲で含む。さらに、ペット用飼料配合物は、シスチンの水準を、配合物の飼料タンパク質水準の約1.2重量%から約2.6重量%の範囲で含む。さらに、ネコの食事中の飼料タンパク質水準の約1.4%から約2.4%の範囲の水準のシスチンを含むペット用飼料配合物は、ネコに与えられて、有利な除脂肪体保護(lean body mass protection)を提供する。
【0019】
さらに、または代替として、ペット用飼料配合物は、リジンの水準を、配合物の約2重量%から約3.5重量%の範囲で含む。さらに、ペット用飼料配合物は、リジンの水準を、配合物の飼料タンパク質水準の約6重量%から約12.5重量%の範囲で含む。
【0020】
さらに、または代替として、ペット用飼料配合物は、ロイシンの水準を、配合物の約3.5重量%から約5.5重量%の範囲で含む。さらに特には、ペット用飼料配合物は、ロイシンの水準を、配合物の約3.9重量%から約4.8重量%の範囲で含む。さらに、ペット用飼料配合物は、ロイシンの水準を、配合物の飼料タンパク質水準の約9.0重量%から約13.5重量%の範囲で含む。さらに、ペット用飼料配合物は、ロイシンの水準を、配合物の飼料タンパク質水準の約10重量%から約12重量%の範囲で含む。
【0021】
さらに、または代替として、ペット用飼料配合物は、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、シスチン、およびこれらの組合せから選択された、選択アミノ酸の全量を、配合物の約8重量%から約13.5重量%の範囲で含む。さらに特には、ペット用飼料配合物は、配合物の約9重量%から約11重量%の範囲で選択されたアミノ酸の全量を含む。さらに、ペット用飼料配合物は、配合物の飼料タンパク質水準の約22重量%から約30重量%の範囲のアミノ酸選択群の水準を含む。さらに、ペット用飼料配合物は、選択アミノ酸群の水準を、配合物の飼料タンパク質水準の約24重量%から約28重量%の範囲で含む。
【0022】
さらに、または代替として、ペット用飼料配合物のエイコサペンタエン酸(EPA)の水準は、配合物の約0.15重量%から約0.3重量%の範囲である。さらに特には、ペット用飼料配合物は、EPAの水準を、配合物の約0.2重量%から約0.25重量%の範囲で含む。さらに、ペット用飼料配合物は、約1.2から2.5および好ましくは、約1.5から2.0の範囲で、ドコサヘキサエン酸(DHA)に対するEPAの比を含む。
【0023】
さらに、または代替として、ペット用飼料配合物は、リンの水準を1重量%未満で、好ましくは、約0.5重量%と約0.9重量%の間、さらに好ましくは、約0.7重量%と約0.8重量%の間で含む。さらに、または代替として、ペット用飼料配合物は、n−6脂肪酸およびn−3脂肪酸を約7:1未満の比で含む。
【0024】
ある実施形態では、リジンおよび/またはシスチンはネコ用飼料と良く混合してある。ある実施形態では、アミノ酸は、ネコ用飼料にアミノ酸を組み込む前に希釈される。希釈剤は固体および液体のうちの1つであり、アミノ酸およびネコ用飼料と適合し、ネコにとって、口当たりが良く、害を与えず、および胃腸に対して受容性があり、食べて安全なものである。アミノ酸は、ネコ用飼料とアミノ酸を通常に混合することにより、ネコ用飼料と混合し得る。さらに、その中にまたはそれと共に組み込まれている追加的なアミノ酸を有するネコ用飼料に補助的成分が添加されてもよい。この添加は、補助的成分をネコ用飼料製品に対して被覆層として適用することにより達成されてもよい。
【0025】
ネコの抗酸化状態は、白血球中の還元型および酸化型グルタチオン、血清ビタミンE濃度、および血漿アルケナール濃度を測定して評価した。さらに、血清ビタミンE濃度の増加は、免疫系機能の強化を示している。二重エネルギーX線吸収法(DXA)による測定、すなわち、骨ミネラル含量、骨ミネラル密度、および赤身肉組織(lean tissue)の割合は、強い骨、関節、および筋肉の指標として使用した。全体重は理想的な関節の健康を支援するには重要である。関節の健康指標の要素として含まれる最終的測定は、DHAの血清濃度であった。DHAは、インビトロで、軟骨損傷の減少に関連づけられている。臓器の健康は、腎臓、心臓、および眼の健康を調べることにより評価した。血中尿素窒素、クレアチニン、およびリンにおける腎臓の健康の変化の臨床的測定を、健康指標に含めた。食事(飼料)中のおよび血清中のタウリン濃度は、心臓の異常、例えば、拡張型心筋症と関連づけられている。それゆえ、全血タウリン水準を、タウリンの状態を測定するために使用し、心臓の健康指標として使用した。さらに、タウリンは網膜の健康にも関与している。
【実施例】
【0026】
実験開始時に1歳であり、身体検査および血液化学により健康であると認められた62匹のネコを、18ケ月の食餌試験に供した。ネコは、動物保護使用委員会機関の協定(Institutional Animal Care and Use Committee protocols)に従って管理された。さらに、ネコには、教育用おもちゃ(enrichment toys)が与えられ、日常的なグルーミングを受け、他のネコや人との接触の機会は毎日有した。ネコは、以下の4つの処置のうち1つが行われた:1)本発明による配合物1、および2)市販の配合物2、配合物3および配合物4である。配合物はすべて、製造業者の推薦に従って与えられた。それぞれの配合物の栄養素組成は、表1に記載してある。
【0027】
それぞれの群のネコから全血を、0、30、90、180、365、および533日で採取し、直ちに氷上に置き、次いで遠心分離して血清または血漿に分離し、これを分析まで−70℃に保存した。血清ビタミンEを、Hoehlerらの方法を用いて分析した。血清脂肪酸は、Rodriguez−PalmeroらおよびFolchらによって記載されている変形法を用いて分析した。白血球中の還元型および酸化型グルタチオンの濃度の測定の分析方法は、Hagen(未発表)、Farissら、およびJonesらによって記載されている方法から採用した。全血タウリンは、商業的試験所(Eurofins Scientific, Inc.、メンフィス、テネシー州)において、そこ独自の方法により分析された。全アルケナール濃度は、商業的試験所(Genox Corporation、ボルチモア、メリーランド州)によるロボット化学分析計による分光学的アッセイを用いて分析された。血液化学評価は、自動血液化学分析計(Hitachi 912)を用いて、製造業者のプロトコルに従い分析した。身体組成は、二重エネルギーX線吸収法(DXA)により、0、180、365、および533日に測定した。
【0028】
ネコが健康に老化(加齢)していることを、臓器の健康、抗酸化/免疫状態、関節の健康、および体重の維持に伴う、それぞれの生物学的変化の指標を測定して調べた。健康指標を求めるのに使用した変数としては、血清ビタミンE、血清アルカリホスファターゼ、血清アラニンアミノトランスフェラーゼ、血中尿素窒素、コレステロール、クレアチニン、リン、全血タウリン、トリアシルグリセロール、DHA、EPA、およびα−リノレン酸の濃度が含まれている。さらに、酸化型グルタチオンに対する還元型グルタチオンの比、およびアルケナールに対するn3脂肪酸の比を、健康指標に含めた。強い骨および健康な関節に対する指標は、DXA分析から得られ、骨ミネラル含量、骨ミネラル密度、赤身肉組織(lean tissue)の割合、脂肪組織の量、赤身:脂肪比(lean:fat ratio)、および体重を含めた。
【0029】
62匹のネコが試験を完了した。30、180、365、および533日において、配合物1を与えたネコの血清ビタミンE濃度は、配合物2の食餌または配合物3の食餌を与えたネコの場合よりも顕著に高かった。配合物1を与えたネコの血清ビタミンE濃度は、配合物4を与えたネコにおけるそれよりも低かった。差は、30および180日において顕著ではあるが、365および533日においてはそうではなかった(表2)。全アルケナールの血漿中濃度は、配合物1を与えたネコにおいて最も高く、配合物2の食餌または配合物3の食餌を与えたネコに対して、180日において、それが顕著であった。配合物1を与えたネコは、LCPUFA(長鎖ポリ不飽和脂肪酸)の濃度に関して最も低い濃度のアルケナールを有した(表2)。酸化型グルタチオン(GSSG)に対する還元型グルタチオン(GSH)の比(GSH:GSSG)は、配合物1を与えたネコにおいて最も高かった(表2)。
【0030】
ネコの抗酸化状態を、白血球中の還元型および酸化型グルタチオン、血清ビタミンE濃度、および血漿アルケナール濃度を測定することにより評価した。グルタチオンは、フリーラジカルを隔離する身体の能力の尺度である。還元型グルタチオンの濃度の増加は、身体が酸化ストレスをより良く回避することができることを示している。グルタチオンは、4−ヒドロキシ−2(E)−ノネナールなどの脂質過酸化生成物の有害な効果からミトコンドリアを防御するという役割を果たしている。ビタミンEは、最も効果的な鎖破壊性の脂溶性抗酸化物質であり、脂質過酸化反応の開始と伝搬の過程で脂質ラジカルを捕捉する。さらに、血清ビタミンE濃度の増加は、認知機能の改善および免疫系機能の増進を示している。血漿全アルカノールは、細胞に対する酸化的損傷による生成物および脂肪酸ヒドロペルオキシドの分解生成物である、マロンジアルデヒドおよび4−ヒドロキシ−2(E)−ノネナールとして測定される。
【0031】
酸化型グルタチオンに対する還元型グルタチオンの比(GSH:GSSG)は、配合物1の群において最も高かった。血清ビタミンE濃度は、配合物1のネコにおいて、経時的に増加したが、一方、その他の群においては、変化も減少もしなかった。アルケナールは脂質過酸化生成物であり、LCPUFAは酸化を強く受けやすいので、ネコの血液中に存在するアルケナールに対するn3脂肪酸の比を計算した。配合物1を与えたネコは、n3脂肪酸の濃度に対するアルケナールの濃度が最低であり、ビタミンEが脂肪酸に対してなんらかの防護を与えたことを示唆している。
【0032】
配合物1は、インビボで抗炎症特性を示す、EPAおよびDHAなどのLCPUFAをもたらす魚油を含んでいた。
【0033】
すべての時点において、血清EPA濃度は、他の群と対比して配合物1の群において顕著に高かった(表3)。血清DHA濃度は、すべての時点において、配合物2および配合物3の群におけるよりも試験飼料群である配合物1の群において顕著に高かった。血清DHA濃度は、配合物4の群と対比して配合物1の群においてより高かったが、この差は180日においてのみ顕著であった。
【0034】
体重および身体組成は、関節の健康の確保のための重要な要因である。筋肉(赤身肉)組織は、関節を支持するために重要であり、一方、動物における過剰体重は、関節に不必要なストレスを与え、ひいては、変形性関節症の発生の危険性を増加させる。配合物1を与えたネコは、赤身肉組織の割合が最も高く、脂肪組織に対する赤身肉組織の比が最も高かった。配合物1を与えたネコ群は、その他の群のネコよりも体重が少なかった。
【0035】
この試験では、抗酸化/免疫状態、関節の健康、臓器の健康、および体重維持に関連する生物学的変化について個別の指標を測定した。血清EPA濃度は、すべての時点において、競合製品を与えたネコと対比して、配合物1を与えたネコにおいて、顕著に高かった(表3)。血清DHA濃度は、すべての時点において、配合物2または配合物3を与えたネコにおけるそれよりも、配合物1を与えたネコにおいて、顕著に高かった。血清DHA濃度は、配合物4を与えたネコと対比して、配合物1を与えたネコにおいて、180日において顕著に高かった。
【0036】
表4は、90、180、365、および533日におけるDXA測定の結果を示す。配合物1を与えたネコは、赤身肉組織の割合が最も高く、脂肪組織に対する赤身肉組織の比は最も高かった。配合物1を与えたネコは、533日において、配合物2を与えたネコに比べて、顕著に少ない脂肪組織およびより少ない体重を有していた。
【0037】
血液化学分析の結果が表5に示されている。配合物1を与えたネコは、他の群のそれぞれに比べて血清クレアチニン濃度が低かった。この差は、すべての時点においておよび533日においてそれぞれ、配合物2を与えたネコおよび配合物4を与えたネコに対比して顕著であった。血清リン濃度は、他の群に比べて配合物1を与えたネコにおいて低かった。この差は、配合物2を与えたネコに対比して365日においてのみ顕著であった。血中尿素窒素は、配合物1を与えたネコにおいて最も低かった。この差は30、90、180、および533日において配合物3を与えたネコに対比して顕著であった。ネコの健康な老化(加齢)指標に至る計算における上述の測定のすべてを含んで、本試験は、他の群に比べて、配合物1を食べた成長したネコの全体的な健康が改善されていることを示した。
【0038】
本発明を種々の特定の実施形態で記載したが、当業者ならば、本発明が、特許請求の範囲の精神と範囲の中で変更を伴って実施し得ることを認識されよう。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
【表3】

【0042】
【表4】

【0043】
【表5】

【0044】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配合物の少なくとも7重量%のアミノ酸および配合物の約1重量%未満のリンの水準を含むペット用飼料配合物。
【請求項2】
アミノ酸が、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、シスチン、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のペット用飼料配合物。
【請求項3】
配合物の約6重量%未満の灰分を含む、請求項1に記載のペット用飼料配合物。
【請求項4】
n−3脂肪酸の少なくとも1種およびn−6脂肪酸の少なくとも1種を含む、請求項1に記載のペット用飼料配合物。
【請求項5】
n−3脂肪酸が、α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸の少なくとも1種を含む、請求項4に記載のペット用飼料配合物。
【請求項6】
n−6脂肪酸およびn−3脂肪酸を、約7:1未満の比で含む、請求項4に記載のペット用飼料配合物。
【請求項7】
n−3脂肪酸が、長鎖n−3脂肪酸の少なくとも1種を含む、請求項4に記載の配合物。
【請求項8】
長鎖脂肪酸が、飼料配合物の約0.2%から0.6%の量で存在する、請求項7に記載のペット用飼料配合物。
【請求項9】
長鎖n−3脂肪酸が、飼料配合物の少なくとも約0.3%から0.4%の量で存在する、請求項8に記載のペット用飼料配合物。
【請求項10】
配合物の少なくとも約3.5重量%のロイシンおよび少なくとも約0.5重量%のクリスチンを含むペット用飼料配合物。

【公表番号】特表2011−505876(P2011−505876A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539932(P2010−539932)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/087966
【国際公開番号】WO2009/086275
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】