説明

ペプチドアミド化方法

【課題】ポリペプチドをパラジウム・プロモーターと有機酸を含む反応媒質により可溶化することにより切断およびアミド化することを含む、新規な一段階のポリペプチド切断およびアミド化方法を提供する。
【解決手段】X1-システイン配列にて基質ポリペプチドを切断することを含む所望のペプチドをアミド化する方法。ここで、X1がペプチド・カルボキシル末端のアミノ酸であり、システインがシステイン-X2-X3配列(ここに、X2は任意のアミノ酸であり、X3はシステイン、ヒスチジンまたはメチオニンからなる群から選択されるアミノ酸である)を含むパラジウム切断部位の第一のアミノ酸であって、ペプチドのカルボキシル末端がX1-システイン配列にて切断後アミド化される方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリペプチドをパラジウム・プロモーターと有機酸を含む反応媒質により可溶化することにより切断およびアミド化することを含む、新規な一段階のポリペプチド切断およびアミド化方法を提供する。商業的に用いられる場合、本発明は、生物活性ペプチドを生産するための経済的および効果的な手段を提供する。
【背景技術】
【0002】
2つの大きな問題が組換えペプチド発現にて生じている。第一に、多くの生物活性ペプチドがそのC末端にアミドを有する。そのようなアミド化ペプチドは一般に、組換え発現によって生産されない。第二に、生体内(in vivo)で日常的に行われるC末端アミド基置換は、生体外(in vitro)で行うことが困難であることが分かっている。
【0003】
組換え宿主細胞、例えば大腸菌中でペプチドをコードするDNAを発現させることにより約100アミノ酸以下の長さの短鎖および中鎖ペプチドを生産することは、一般に部分的にまたは完全にペプチドを損失する結果となる宿主細胞内における発現ペプチドの酵素分解の問題に苦しめられることがよく知られている。この問題を克服するために最も一般的に用いられる手段が、宿主細胞内でペプチドを不溶化することである。これは、融合パートナーと結合したキメラタンパク質として前記ペプチドを発現することにより実行できる。通常、融合パートナーはペプチドのN末端と融合され得る。キメラタンパク質は、前記ペプチドがタンパク質分解酵素による分解から保護される封入体を細胞内で形成している。
【0004】
封入体が一旦宿主細胞から回収されると、ペプチドはリーダー配列から分離され、精製され活性型に戻されなければならない。リーダー配列からの分離は、適した条件下、例えば酸切断または酵素切断で特異的に認識され切断されるアミノ酸配列を、リーダー配列とペプチドの連結部に置くことにより行われ得る。
【0005】
例えば、キメラタンパク質の2つの断片間に酸に不安定なアスパルチル−プロリン結合を挿入することが、低pHにおけるそれらの分離を容易にしている。この系の重要な条件は、目的の所望の断片が酸に不安定でないことである。ホルモン、例えばインスリンおよびソマトスタチンを含むキメラタンパク質は、特にメチオニン残基のカルボキシル側を臭化シアンで切断され、所望のホルモンを放出する。この方法は、所望のタンパク質がメチオニン残基を含む場合には適さない。
【0006】
部位特異的タンパク質分解によるキメラタンパク質の切断についても、検討を行った。チキン・プロα2・コラーゲン・リンカーを挿入されたキメラタンパク質は、精製された微生物コラゲナーゼにより特異的に分解され得、キメラタンパク質の成分を放出する。キメラタンパク質を切断するためのタンパク質分解酵素の使用には欠点がある。なぜならば酵素が高価であり、産物の収率が低いことが多く、また、後に所望の切断産物からの酵素(タンパク質)の分離が困難であることが分かるからである。所望の組換えタンパク質の精製および回収のための他の方法は、タンパク質のカルボキシ末端にポリアルギニン・テイル(poly-arginine tail)を構築することを含む。アルギニン残基は、イオン交換クロマトグラフィーによる所望のタンパク質の精製を容易にするタンパク質の全体的な塩基性度の増加をもたらす。その後のカルボキシペプチダーゼBによるポリアルギニン・テイルの除去により所望のタンパク質が再生し、所望のタンパク質のpIが低下することによって塩基性混入物質からの精製が可能になる。
【0007】
酸切断は、リーダー配列とペプチドの連結部に特定のジペプチドを配置することにより行われ得る。第二のアミノ酸の選択は、ジペプチド結合が酸性条件下で分解される割合(率)を決定するだろう。もちろん、所望のペプチドが酸切断可能な内生のジペプチド配列を含む場合、リーダー配列とペプチドの連結部の切断部位では、許容できない産物の損失を避けるために内部切断よりも実質的に高い率で酸切断が起こらなければならない。
【0008】
キメラタンパク質切断における困難性に加えて、天然アミノ酸修飾、例えば生体内で日常的に行われるC末端アミド基置換は、生体外で行うことが難しい。これらの翻訳後修飾は、しばしば最も強力なあるいは最長の活性型ペプチドを生じ、そして医薬品としての用途に最も適したペプチドを提供する。多くのペプチドに関して、C末端アミド化は生物活性に重要である。しかしながら、活性ペプチドを大規模に製造するための組換え発現システムでは、必要なC末端修飾を容易に行うことができない。
【0009】
カルボキシペプチダーゼ酵素は、ペプチド転移反応を触媒し、C末端アミド化ペプチドを産することが知られている。しかしながら、野生型のカルボキシペプチダーゼ酵素は、多くのペプチドのC末端アミド化に有用でない。例えば、野生型カルボキシペプチダーゼに固有の基質特異性が、この酵素を用いて修飾され得るペプチドの種類を制限する。アミノ酸またはアミノ酸誘導体が脱離基として作用し、求核剤(nucleophile)がアミノ酸またはアミノ酸誘導体、例えばアミノ酸エステルあるいはアミノ酸アミドである場合にペプチド転移が起こる。「アミド基転移」は、求核剤とペプチド基質の間にアミド結合が形成されるといったペプチド転移を含む。しかし、アミド基転移反応にて、求核剤は必ずしもアミノ酸とは限らない。
【0010】
特に、カルボキシペプチダーゼYは、最後から2番目に無極性残基を有するペプチドに強い選択性を示す。正の電荷を帯びた側鎖を有するアミノ酸を最後から2番目に有する基質は、カルボキシペプチダーゼYによって加水分解もアシル基転移も効率よくなされない。例えば、基質FA-Arg-Ala-OH (配列番号:1)は、基質FA-Leu-Ala-OH (配列番号:2)より約500倍ゆっくりと加水分解される。残念ながら、成長ホルモン放出因子(GRF)またはグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)を含む多くの製薬的に重要なペプチドのアミノ酸配列は、正の電荷を帯びた側鎖を有するアミノ酸を最後から2番目または一番最後に有しており、カルボキシペプチダーゼYによるアミノ基転移は商業上実用的でない。
【0011】
米国特許番号6,251,635は、前駆体ペプチドにおける標的配列の多重コピーを含むキメラタンパク質の処置について記載しており、キメラタンパク質はhCA-(MetValAspAspAspAspAsn-ECF2)n-Xxx (配列番号:3)(ここで、hCAはト・ルボニックンヒドラーゼであり、ECF2は式:Gly-Lys-Leu-Ser-Gln-Glu-Leu-His-Lys-Leu-Gln-Thr-Tyr-Pro-Arg-Thr-Asp-Val-Gly -Ala-Gly-Thr-Pro(配列番号:4)のポリペプチド断片であり;Xxxは一般にC末端カルボン酸(「−OH」)、C末端カルボキサミド(「−NH2」)またはC末端カルボキサミドに変換されうる基、例えばアミノ酸残基あるいはポリペプチド基(一般に、約2〜10のアミノ酸残基を有する)であり、そしてnは整数である(一般に2〜20))を含む。例えば前駆体ペプチドをCNBrで処理しValAspAspAspAspAsn-ECF2-Hse(配列番号:5)ペプチド断片を形成することができる(ここで、Hseはメチオニン残基とCNBrの反応によって生成されるホモセリン残基である)。次に前記ペプチド断片をペプチダーゼ、例えばカルボキシペプチダーゼYの存在下にて求核剤、例えばo−ニトロフェニルグリシン・アミド(「ONPGA」)と反応させ、ONPGAによるHse残基の置換を起こすことができる。光分解の後に、前記ペプチド転移産物はC末端カルボキサミドに変換される。N末端配列、ValAspAspAspAspAsn(配列番号:6)は、ヒドロキシルアミン処理によって断片に切断されうる。
【0012】
組換え的に生産したポリペプチドにC末端アミドを形成する他の方法では、真核細胞システムに存在するペプチジルα−アミド化酵素を用いる。その酵素は、組換え的に生産したペプチド、例えば生体外でのヒト成長ホルモン放出ホルモン、のC末端アミノ酸にアミドを形成するために用いられ、EngelsによるProtein Engineering, 1:195-199 (1987)に記載されている。酵素を用いた方法は効果的であるが、時間がかかり、高価で、収率の予測が不可能であり、そして反応後にかなりの精製が必要である。
【0013】
PatchornikおよびSokolovskyのJACS、86: 1206-1212 (1964)には、アミド化ペプチドを産するための酸性溶液中におけるペプチジルデヒドロアラニン(peptidyldehydroalanine)の反応が記載されている。しかし、比較的厳密な条件(すなわち、弱酸性水溶液中における沸騰)を必要とするためペプチドをアミド化するためにこの技術を用いることは好ましくない。ルイス酸触媒、例えばHg2+の存在下でさえ、前記反応はほとんど成功しない(EdgeおよびWeber, Int. J. Peptide Protein Res., 18: 1-5 (1981))。反応基質が有機酸および/または無機酸で処理され、酸に感受性のアミノ酸残基を含む場合、厳しい反応条件が副産物を産してしまうだろう。
【0014】
従って、既知のポリペプチド・アミド化方法には多数の欠点がある。そのような反応は配列特異的であり、厳しい条件を必要とし、切断およびアミド化に多数の工程を必要としうる。
それ故、ペプチドの効率の良い切断およびアミド化を供する改善された方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、ポリペプチド、特にキメラタンパク質として組換え的に発現されたペプチドの切断およびアミド化のための一段階の方法を提供することである。
本発明の他の目的は、穏やかな反応条件を用いたペプチドの切断およびアミド化のための一段階の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の目的に従い、本発明は、多様なペプチドに適用しうる新規な一段階のパラジウムにより促進されるポリペプチド切断およびアミド化反応を提供する。前記反応は特に、キメラタンパク質の形態で組換え的に発現されたペプチドの切断およびアミド化に用いるのに適している。重要なことに、本方法はポリペプチドのC末端をアミド化する方法を提供し、その方法はポリペプチドC末端の特定のアミノ酸配列とは無関係に進行する。従って、本方法は、多種多様な生物活性ペプチドを生産するために用いられ得る。
【0017】
一般に、本発明は、アミノ酸とシステインとの結合によって形成されるパラジウム認識部位における、パラジウムにより促進される切断により基質ポリペプチドが切断される方法を提供する。この切断反応は、アミド化C末端を有する産物ポリペプチドおよびアミノ末端システインを有する末端配列を生産する。前記反応は、末端配列のシステインのカルボキシル側に、特定のアミノ酸を配置することによる、パラジウム認識部位の変化を介して調節しうることが分かった。このパラジウム認識部位は、Cys-X2-X3で表すことができる(ここに、X2は任意のアミノ酸であり、X3はCys、HisまたはMetから選択される)。よって、パラジウムにより切断されアミド化C末端を有する所望の産物ポリペプチドを生産することのできる基質ポリペプチドを設計することが可能である。例えば、基質ポリペプチドは以下のように表され得る:(所望のポリペプチド-X1)-(Cys-X2-X3-末端配列)(ここに、X1およびX2は任意のアミノ酸であり、X3はCys、HisまたはMetから選択される)。本発明によるこの基質ポリペプチドの切断により、(所望のポリペプチド-X1-NH2)と(Cys-X2-X3-末端配列)が生産される。
【0018】
他の態様にて、本発明の方法は2つ以上のパラジウム認識部位で基質ポリペプチドを切断するために用いられ得る。例えば、基質ポリペプチドは以下のように表され得る:(リーダー・ポリペプチド-Cys-His)-(所望のポリペプチド-X1)-(Cys-X2-X3-末端配列)(ここに、X1およびX2は任意のアミノ酸であり、X3はCys、HisまたはMetから選択される)。本発明によるこの基質ポリペプチドの切断は、(リーダー・ポリペプチド-Cys-His)、(所望のポリペプチド-X1-NH2)および(Cys-X2-X3-末端配列)を生じ得る。よって、本発明の方法は、アミド化C末端を有する所望のポリペプチドを生産するために、基質ポリペプチドの切断に用い得る。本発明の方法はまた、多量体基質ポリペプチドを切断するために用いることができ、単一の基質ポリペプチド由来のアミド化C末端を有する多数の所望のポリペプチドを産する。多くのパラジウム切断の認識部位を、基質ポリペプチドの調製に用い得る。そのような認識部位の例は、本明細書に記載されている。基質ポリペプチドは、酸性有機溶媒およびパラジウム・プロモーターの反応混合液中でポリペプチドを反応させる本発明の方法で切断およびアミド化される(ここで、有機酸溶媒の濃度は約1〜6モルの間である)。
【0019】
ポリペプチドを、ペプチドを規定する第一のアミノ酸配列のN末端とリーダー配列を規定する第二のアミノ酸配列を結合する切断部位で切断する、本発明の1つの態様において、そのような切断部位はCys-His-、Asn-Gly-、-Met-、-Asp-Pro、-Arg-、DDDDK(配列番号:7)または−GGGGPR(配列番号:8)を含み得る。前記ポリペプチド末端配列-Cys-X2-X3は、ポリペプチドのリーダー配列切断反応と同時にまたは独立にアミド化され得る。
【0020】
本発明の方法は、適当なアミノ酸配列を有する天然に生じるポリペプチドを切断するために用いられ得る。本発明の方法はまた、合成的にあるいは組換え的に生産したポリペプチドを切断するために用いられ得る。
(発明の詳細な説明)
【0021】
本発明は、天然に生じる、合成的に誘導される、あるいは組換え的に発現されるポリペプチドをアミド化するために用いられ得る。以下に詳細に例示する態様において、本発明は、封入体の形態で宿主細胞から回収される組換え的に発現されるキメラタンパク質をアミド化するために用いられる。
【0022】
本発明に用いたキメラタンパク質は、既知の組換えDNA調製技術を用いて微生物宿主細胞内に発現させることができる。組換えDNA法によるタンパク質の発現に有用であると知られている任意の適当な宿主細胞が用いられ得、それらは真核および原核の宿主細胞ならびに細胞株を含む。大腸菌は好ましい宿主細胞である。宿主細胞は、その宿主にてキメラタンパク質の発現を促すことのできる調節配列の制御下にそれをコードする発現ベクターと、宿主細胞にて作動する複製開始点を包含する。ベクターは、組換えDNA技術に通常用いられる他のDNA配列、例えば選択マーカーをコードする配列を含んでいて良い。宿主体にて外来遺伝子を発現する方法もまた、当業者に周知である(例えば、Maniatis et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed., 1989を参照のこと)。
【0023】
特定のポリペプチドをコードする遺伝子は、増幅、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により全ヌクレオチド配列を化学的に合成するか、目的の遺伝子をクローニングすることにより構築することができる。次に、遺伝子を適当な発現ベクターにサブクローニングする。クローニングベクター、発現ベクター、プラスミドおよびウイルスベクターは、当業者に周知である(例えば、Maniatis et al., supra, and Goedell, Methods in Enzymology, Vol. 185 (Academic Press 1990)を参照のこと)。実施例1は、大腸菌におけるほ乳類タンパク質の高レベルな発現に有用なT7を用いた発現系(T7-based expression system)の調製の詳細な説明を提供する。
【0024】
適当な条件下で発現ベクターを含む宿主細胞を増殖させ、キメラタンパク質を発現させる。宿主細胞が増殖しキメラタンパク質が発現する条件は、様々な因子、例えば用いた宿主細胞、プロモーターおよび発現させる特定のキメラタンパク質に依存して変化するだろう。当業者は、用いた特定の宿主/ベクター系に適した条件を決定することができる。宿主体にて外来遺伝子を発現する方法もまた、当業者に周知である(例えば、Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed., 1989を参照のこと)。特定のポリペプチドをコードする遺伝子は、増幅、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により全ヌクレオチド配列を化学的に合成するか、目的の遺伝子をクローニングすることにより構築することができる。次に、遺伝子を適当な発現ベクターにサブクローニングする。クローニングベクター、発現ベクター、プラスミドおよびウイルスベクターは、当業者に周知である(例えば、Maniatis et al., supra, and Goedell, Methods in Enzymology, Vol. 185 (Academic Press 1990)を参照のこと)。実施例1は、大腸菌におけるほ乳類タンパク質の高レベルな発現に有用なT7を用いた発現系(T7-based expression system)の調製の詳細な説明を提供する。
【0025】
ポリペプチドを組換え技術により調製する場合、N末端の前に切断部位、およびペプチド産物を規定するアミノ酸配列のC末端にCys-X2-X3末端配列を付加することができ、それは例えば部位特異的変異導入を含む様々な方法によってコードする核酸に適したヌクレオチドを挿入するまたは変異させることにより付加することができる。そのような切断部位およびCys-X2-X3配列は、本明細書に記載のパラジウム複合体によって同時に切断およびアミド化される部位を提供することができる。組換え法は、反復ポリペプチド配列(それぞれの配列が所定の切断部位および基Cys-X2-X3と結合しているそれぞれの配列のC末端に分離される)を有するタンパク質をコードする核酸の生成にも用いられ得る。この場合、パラジウム複合体により促進される同時の切断およびアミド化が、ポリペプチド中の上述のような多数の切断部位で起こり得、所望のペプチドの多重コピーを放出する。
【0026】
本明細書に用いた「タンパク質」「ポリペプチド」および「ペプチド」は、同義的に用いられ、長さに関係なく2つまたはそれ以上のアミノ酸の配列を示すものであり、約400〜100,000ダルトンまたはそれ以上(1,000〜50,000ダルトンの間が好ましい)の分子量を持つものを含む。切断に適したポリペプチドは、天然アミノ酸、例えばAla (A)、Arg (R)、Asp (D)、Asn (N)、Glu (E)、Gln (Q)、Gly (G)、His (H)、Leu (L)、Ile (I)、Lys (K)、Met (M)、Cys (C)、Phe (F)、Pro (P)、Ser (S)、Thr (T)、Trp (W)、Tyr (Y)、Val (V) (かっこ内は1文字表記のアミノ酸コードを表す)のいずれか、またはペプチド化学で通常用いられる側鎖を修飾されたアミノ酸誘導体を含むことができる。後者のアミノ酸誘導体は、例えば1−または2−ナフチルアラニン、およびp−ベンゾイルアミノ−L−フェニルアラニンなどを含む。
【0027】
本発明の方法は、天然ポリペプチド、合成ポリペプチドまたは組換え技術を用いて生産されたポリペプチドに適している。合成ポリペプチドを調製する方法は、Merrifieldの固相ペプチド合成を含めて当業者に周知である。宿主体中で外来遺伝子を発現する方法もまた、当業者に周知である(例えば、Maniatis et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed., 1989を参照のこと)。特定のポリペプチドをコードする遺伝子は、増幅、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により全ヌクレオチド配列を化学的に合成するか、目的の遺伝子をクローニングすることにより構築することができる。次に、遺伝子を適当な発現ベクターにサブクローニングする。クローニングベクター、発現ベクター、プラスミドおよびウイルスベクターは、当業者に周知である(例えば、Maniatis et al., supra, and Goedell, Methods in Enzymology, Vol. 185 (Academic Press 1990)を参照のこと)。実施例1は、大腸菌におけるほ乳類タンパク質の高レベルな発現に有用なT7を用いた発現系(T7-based expression system)の調製の詳細な説明を提供する。
【0028】
従って、本発明の方法は、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、成長ホルモン放出因子(GRF)、副甲状腺ホルモン(PTH)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、エンケファリン、エンドルフィン、エキセンディン、アミリン、様々なオピオイドペプチド、カエル皮抗生物質ペプチド、例えばゲーグリン(gaegurin)5および6、ブレビニン(brevinin)1、ラナテリン(ranatuerin)1〜9、およびエスクレチン、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)、グルカゴン、モチリン、サイモポエチン、サイモシン、ユビキチン、血清胸腺因子、胸腺液性因子、ニューロテンシン、タフトシンおよびこれらのペプチドの断片ならびに誘導体を含むが、これに限定されない所望のペプチドの生産を提供する。
【0029】
以下のペプチドおよび類似の性質を有するペプチドの前駆体の非アミド型または還元型も、所定の切断部位を有する融合構築物として発現させることができ、本発明の方法に従って切断および、同時または連続してアミド化される:ペプチドは、ガストリン、カルシトニン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、膵臓ポリペプチド、エンドセリン、副腎皮質刺激ホルモン放出因子、神経ペプチドY、心房性ナトリウム利尿ペプチド、アミリン、ガラニン、ソマトスタチン、血管作動性小腸ペプチド、インスリンおよびこれらのペプチドの断片ならびに誘導体である。
【0030】
キメラタンパク質と一緒に用いることができるリーダー配列の例としては、細胞からの直接的な蛋白分泌に用いられるようなシグナル配列、構造遺伝子由来のような成熟タンパク質配列のN末端部分、リンカー配列、またはそれらの組合せを含む。有用なリーダー配列を、実施例1にも示す。リーダー配列は、グルタチオンS-トランスフェラーゼまたはカルボニックアンヒドラーゼをコードする遺伝子から得ることができる。リンカーは、所定の切断配列の末端に指定されるのがよい。本発明の方法に従って用い得るC末端配列は、Cys-X2-X3で規定される配列を含み、ここでX2はどんなアミノ酸でもよく、X3はCys、HisまたはMetである。そのような配列は、CACLE (配列番号:12)、CACDD (配列番号:13)、CACKK (配列番号:14)、CKCLE (配列番号:15)、CAMLE (配列番号:16)およびCAHLE (配列番号:17)を含むが、これに限定されない。
【0031】
ペプチドがキメラタンパク質の形態で発現されている本発明の好ましい態様にて、前記キメラタンパク質は、約400〜100,000ダルトンまたはそれ以上(約1,000〜50,000ダルトンの間が好ましい)の分子量を有し、かつ天然アミノ酸、例えばAla (A)、Arg (R)、Asp (D)、Asn (N)、Glu (E)、Gln (Q)、Gly (G)、His (H)、Leu (L)、Ile (I)、Lys (K)、Met (M)、Cys (C)、Phe (F)、Pro (P)、Ser (S)、Thr (T)、Trp (W)、Tyr (Y)、Val (V) (かっこ内は1文字表記のアミノ酸コードを表す)のいずれか、またはペプチド化学に通常用いられる側鎖を修飾されたアミノ酸誘導体を含むことができる。後者のアミノ酸誘導体は、例えば1−または2−ナフチルアラニン、およびp−ベンゾイルアミノ−L−フェニルアラニンなどを含む。
【0032】
キメラタンパク質は発現された後、既知の方法、例えば細胞を化学的または機械的に溶解し遠心によって封入体(キメラタンパク質)を分離する方法により宿主細胞から(封入体の形態で)回収され得る。
その後、回収された封入体は、パラジウム(II)または(IV)複合体(例えば、テトラクロロパラダート)を含む1〜22モルの有機酸を包含する反応混合液中にそれらを溶解することによりパラジウムによって促進される加水分解切断を受ける。前記パラジウム複合体は、本発明の方法にてキメラタンパク質にかなり過剰モル、理想的には約2〜20倍(Cysより約5:1モル過剰が好ましい)過剰に付加される。有機酸は、モノカルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸, ブタン酸, ピルビン酸;ヒドロキシ置換した酸、例えば、乳酸、酒石酸、クエン酸;ジカルボン酸、例えばシュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、コハク酸、ピメリン酸;トリカルボン酸、例えばトリカルバリル酸;糖酸類(sugar acid)、例えばグルコロン酸および他のウロン酸、アルドン酸、例えばグルコン酸;および、アルダル酸、例えば糖酸(saccharic acid)を含み得る。
【0033】
酢酸、クエン酸,ギ酸、マレイン酸、マロン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、酒石酸、乳酸およびトリフルオロ酢酸は、好ましい有機酸溶媒である。切断は通常、約50℃〜70℃の温度で行われる。
【0034】
本発明の方法の切断工程の反応は、用いたパラジウム複合体および切断されるポリペプチドの特性に依存して調整される。パラジウム複合体は、反応条件に影響しうるように、可溶化されなければならない。さらに、好ましい態様では、用いた反応条件は切断されるポリペプチドを少なくとも一部変性させる。
【0035】
本発明により、ポリペプチドの切断を促進しうるパラジウム酸(Pd) (II)複合体は、[Pd(OH2)3(OH)]+、[PdCl4]2-、シス−[Pd(en)(OH2)2]2+、シス−[Pd(pn)(OH2)2]2+、シス−[Pd(pic)(OH2)2]2+、シス−[Pd(bpy)(OH2)2]2+、シス−[Pd(phen)(OH2)2]2+およびシス−[Pd(dtco-OH)( OH2)2]2+を含む。加えて、ヘキサクロロパラジウム酸(hexachloropalladate)として塩化物イオンを有するPd (IV)複合体も、効果的に切断物質を供することができる。パラジウム複合体は、当業者に周知の方法(例えば、(Hohmann et al., Inorg. Chim. Acta, 174: 87 (1990); Rau et al., Inorg. Chem., 36: 1454 (1997);Drexler et al., Inorg. Chem., 30: 1297 (1991)、または米国特許番号US5,352,771を参照のこと)によって調製され得、あるいは商業的に購入され得る。好ましいパラジウム複合体は、以下の塩類を含む:[PdCl4]2-、[Pd(NCCH3)2(OH2)2]2+および[PdCl6]2-。最も好ましいパラジウム複合体は、[PdCl4]2-、[Pd(NCCH3)(OH2)2]2+および[PdCl6]2を含む。前記複合体は、無機塩基、例えばナトリウムまたはカリウムの塩として用いられる。[PdCl4]2-のナトリウム塩が好ましい。
【0036】
本発明の1つの態様にて、キメラタンパク質(前駆体ペプチドの形態)T7tag-Vg-D4KCH-GRF(l-44)CACLE (配列番号:11)が、大腸菌中で発現され、その後本発明の方法に従って同時に切断およびアミド化された。このキメラタンパク質は、成長ホルモン放出因子ペプチド GRF(1-44)とCys-His配列で連結されたリーダー配列を有する。GRFはCys-Ala-Cys-Leu-Glu(配列番号:12)C末端配列に結合している。前駆体ペプチドは、14残基のシグナル配列に続き、27残基の痕跡(vestigial:Vg)配列(封入体の形成および高発現を誘導する)およびCys-His切断部位で終了する13残基のリンカーを共に含む。前駆体ペプチドは、(1)マロン酸1mLに対して前駆体ペプチド3mgの割合において、4M マロン酸、および(2)4 mM Na2PdCl4の混合液中にて反応させた。前記反応を、約60℃でおおよそ2時間行い、HPLC分析による測定で、約17〜21%のアミド化ペプチド産物を得た。
【0037】
本発明の方法に従って切断およびアミド化された他の前駆体ペプチドは、以下:
T7-Vg-D4KCH-GRF (1-44)-CACLE (配列番号:11);
T7-Vg-D4KCH-GRF (1-44)-CACDD (配列番号:18);
T7-Vg-D4KCH-GRF (1-44)-CACKK (配列番号:19);
T7-Vg-D4KCH-GRF (1-44)-CAMLE (配列番号:20);
T7-Vg-D4KCH-GRF (1-44)-CAHLE (配列番号:21);
T7-Vg-D4KCH-GRF (1-44)-CGHLE (配列番号:22);および、
T7-Vg-D4KCH-GRF (1-44)-CLHLE (配列番号:23)を含む。
【0038】
これらの前駆体ペプチドは、有機溶媒として5Mマロン酸を用いて切断およびアミド化され、この時、有機溶媒1mLに対して前駆体ペプチド約2mgの前駆体ペプチド濃度であり、Cysに対して5.6モル過剰なPd(II)プロモーター濃度であり、反応温度が約60℃であり、反応時間が約2時間である。これらの様々な前駆体ペプチドについて、切断およびアミド化産物の収率は、これらの条件下で2〜50%であった。
【0039】
アミド化GRF産物にCys−X2-X3末端配列を組込む機械的な経路は知られていない。本発明の範囲を限定する意図はないが、1つの可能性として、第一のCys(すなわち、Cys)部分がデヒドロアラニンに変換されJACLE (配列番号:24)種を生じる(ここに、Jはデヒドロアラニル残基をコードする一文字表記として用いられる)。その後、デヒドロアラニン基が、アミノ末端側にて酸化的または加水分解的に切断され(多分Pdの助けにより)、アミド化型GRFを与えると説明される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、GRFキメラタンパク質のDNA (配列番号:9)およびペプチド(配列番号:10)配列を示す。
【図2】図2は、多様なパラジウム・プロモーターとマロン酸濃度にてT7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)CACLE(配列番号:11)を用いて得られたアミド化rGRFの収率を示す。
【図3A】図3は、マロン酸中におけるテトラクロロパラジウム酸とT7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)CACLE(配列番号:11)の反応産物のHPLC-MS分析を示す。図3Aは、全体のイオンクロマトグラムであり、図3Bは、rGRF(1-44)アミドのピークaの質量分析であり、図3Cは、紫外線(UV)クロマトグラムであり、図3Dは、rGRF(1-44)JACLEのピークbの質量分析である。
【図3B】図3は、マロン酸中におけるテトラクロロパラジウム酸とT7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)CACLE(配列番号:11)の反応産物のHPLC-MS分析を示す。図3Aは、全体のイオンクロマトグラムであり、図3Bは、rGRF(1-44)アミドのピークaの質量分析であり、図3Cは、紫外線(UV)クロマトグラムであり、図3Dは、rGRF(1-44)JACLEのピークbの質量分析である。
【図3C】図3は、マロン酸中におけるテトラクロロパラジウム酸とT7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)CACLE(配列番号:11)の反応産物のHPLC-MS分析を示す。図3Aは、全体のイオンクロマトグラムであり、図3Bは、rGRF(1-44)アミドのピークaの質量分析であり、図3Cは、紫外線(UV)クロマトグラムであり、図3Dは、rGRF(1-44)JACLEのピークbの質量分析である。
【図3D】図3は、マロン酸中におけるテトラクロロパラジウム酸とT7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)CACLE(配列番号:11)の反応産物のHPLC-MS分析を示す。図3Aは、全体のイオンクロマトグラムであり、図3Bは、rGRF(1-44)アミドのピークaの質量分析であり、図3Cは、紫外線(UV)クロマトグラムであり、図3Dは、rGRF(1-44)JACLEのピークbの質量分析である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の他の態様は、以下の実施例にて開示されるが、具体例であって限定するものでない。
【実施例1】
【0042】
T7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-Cys−X2−X3(配列番号:25)前駆体ペプチド類:
以下の前駆体ペプチド:
T7tag -Vg-D4KCH-GRF (1-44)-CACLE (配列番号:11);
T7tag -Vg-D4KCH-GRF (1-44)-CACDD (配列番号:18);
T7tag -Vg-D4KCH-GRF (1-44)-CACKK (配列番号:19);
T7tag -Vg-D4KCH-GRF (1-44)-CAMLE (配列番号:20);
T7tag -Vg-D4KCH-GRF (1-44)-CAHLE (配列番号:21);
T7tag -Vg-D4KCH-GRF (1-44)-CGHLE (配列番号:22);および、
T7tag-Vg-D4KCH-GRF (1-44)-CLHLE (配列番号:23)を、以下のように大腸菌中で組換え的に発現させた。
【0043】
T7tag-Vg-D4K-CH-GRF(1-44)Cys-X2-X3(配列番号:25)ポリペプチド類(例えば、図2のT7tag-Vg-D4K-CH-GRF(1-44)CACLE (配列番号:11))をコードする発現プラスミドを含む大腸菌を、トリプトン、酵母、グルコース、バッチ塩類(ナトリウムおよびカリウム、モノリン酸塩およびジリン酸塩、ならびに硫酸アンモニウム)および抗生物質を含む500mLの振とうフラスコで増殖させた。植菌した振とうフラスコを回転振とうした(200rpm、37℃)。培養液が540nmで0.8〜1.8の吸光度(OD)に達した時インキュベーションを終了した。
【0044】
5L〜100L容量の発酵槽に、振とうフラスコ培養を用いて植菌した。媒質は、バッチ塩類、グルコースおよびキレート金属溶液(クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸・塩化第二鉄、塩化亜鉛、塩化コバルト、モリブデン酸ナトリウム、塩化マンガン、塩化カルシウムおよび硫酸銅)を含む。媒質のpHを、植菌する前に6.9に合わせ、培養の間pHを6.9に維持した。溶解した酸素を撹拌および酸素補給により約40%に維持した。シリコンベースまたはポリプロピレン・グリコールベースの「消泡剤」を、発酵培養液の泡形成を減ずるために「必要に応じて」無菌的に付加した。
【0045】
発酵培養液のODが540nmで25に達した時、フィルター滅菌したイソプロピルチオガラクトシド(IPTG、 600 mM)を終濃度0.5mMで付加し、次にフィルター滅菌したマグネシウム誘導サプリメント(クエン酸カリウムおよび硫酸マグネシウム)を付加して組換えタンパク質の発現を誘導した。培養液をさらに6時間インキュベートし、その後10℃〜15℃に冷却した。
【実施例2】
【0046】
T7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-Cys−X2-X3(配列番号:25)前駆体ペプチドの封入体の回収
実施例1のように調製した封入体を以下のように回収した。500mLの振とうフラスコから大腸菌を分離した。Tris-EDTA緩衝液(それぞれpH 8.0、10 mMおよび1 mM)に懸濁した全細胞にリゾチームを付加した。凍結融解工程後の超音波処理によって細胞を破壊した。粗前駆体ペプチドを、さらに1.5Mクエン酸に可溶化して精製し、酸をNaOHで滴定して沈殿させた。pH4.0で得られた沈殿物を溶液の伝導性が0.1ms以下になるまで脱イオン水で洗浄した。残った白い固形を凍結乾燥した。5Lの発酵液からの前駆体ペプチドを含む全細胞を、Tris-EDTA緩衝液(それぞれpH 8.0、10 mMおよび1 mM)に懸濁し、その後加圧して破壊した。前記分離した前駆体ペプチドをさらに、洗浄液の伝導性が0.1ms以下になるまで脱イオン水で洗浄した。
【0047】
粗前駆体ペプチドGRF-CACLE (配列番号:26)、GRF-CACDD (配列番号:27)、GRF-CACKK (配列番号:28)、GRF-CAMLE (配列番号:29)、GRF-CAHLE (配列番号:30)、GRF-CGHLE (配列番号:31)およびGRF-CLHLE (配列番号:32)をさらに、6.5Mマロン酸または3.5Mクエン酸による可溶化の後、超音波処理することにより精製した(probe sonicatorで、2 mm tip ODを用いて)。前駆体ペプチドをMicrosorb MV-100 CNC8カラム(4.6 x 100 mm)を用いてHPLCにより精製した。IBを線形勾配で抽出した(20分間で10〜100%B;緩衝液A:100%水と5mM HCl、B:95%アセトニトリルと5mM HCl;流速0.8 mL/分;280nmでモニター)。
【実施例3】
【0048】
分析方法
HPLC 方法1:System Gold v 8.1 softwareとWaters Symmetryカラム(保護カラム(4.6 X15mm)を有する4.6 x 150 mm)を用いる、Beckman HPLC。一般的なHPLCパフォーマンスは、以下の線形勾配で行った。5分間で20−30%B、15分間で30−38%B、さらに3分間で38−100%B;緩衝液Aは、100%水と0.1%TFA、緩衝液Bは95%アセトニトリルと0.1%TFA。
【0049】
HPLC 方法2:LC-MS:4.6 x 250 mm、10μm、300 Å Vydac C8 逆相カラムを用いる、Finnigan Duo Q LC-MS。勾配は、方法3と同じ有機変更因子の変化率で行った。
【0050】
HPLC 方法3: t=0 (封入体)から反応時間経過試料(tfinalまで)について、4.6x250 mm、10μm、300 Å Vydac C8逆相カラムを以下の移動相で用いた (流速1 mL/分、カラム化熱機を32℃に設定):
A=20%アセトニトリル、0.1%TFA;B=75%アセトニトリル、0.1%TFA。使用した勾配は、15〜33%B (25分)、33〜100%B (5分)、100〜15%B (1分)、15%B (7分)である。紫外線吸光度検出は、214nmで行った。
【実施例4】
【0051】
T7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACLE (配列番号:11)の切断−アミド化におけるクエン酸の使用
前駆体ペプチド、T7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACLEを、実施例2に記載の方法を用いて1mg/mL、2mg/mLおよび3mg/mLの濃度でクエン酸に均一に溶解した。約3.5Mのクエン酸ストックを均一化の間に終濃度3Mに希釈した。それぞれの封入体濃度について、5つのテトラクロロパラジウム酸(tetrachloropalladate)濃度(1mM、2mM、5mM、10mMおよび15mM)を検討した。反応時間は6時間であり、反応温度は60℃で行った。14%以下のアミド化r-GRFの率を、実施例3のHPLC 方法3にて測定し、表1に一覧とした。
【表1】

【実施例5】
【0052】
T7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACLE (配列番号:11)の切断−アミド化におけるマロン酸の使用
マロン酸中にGRF-CACLE (配列番号:26)封入体を可溶化したものを4つ、以下のように作製した:4M マロン酸中2 mg/mL、5M マロン酸中2 mg/mL、4M マロン酸中3 mg/mL、そして5M マロン酸中3 mg/mL。2 mg/mL ペプチド溶液2つのそれぞれに、テトラクロロパラジウム酸を2、3および4mM濃度で注入した。2つの3 mg/mLペプチド溶液に、テトラクロロパラジウム酸をそれぞれ3、4および5mM濃度で別々に加えた。すべての条件につき2連で行い、それぞれの反応液を60℃で3時間処理した後、NaSCN溶液により3倍希釈しクエンチした(それぞれの最終Pd:SCNを1:2に維持するようにした)。HPLC分析は、8 M 尿素/20 mM TCEPより5倍希釈した試料を用いて実施例3の方法3で行った。図2はマロン酸濃度、前駆体ペプチド濃度およびテトラクロロパラジウム酸濃度の関数としてのrGRF(1-44)アミドの収率を示す。
【0053】
図2から明らかなように、(4M、2mg/mL)傾きと(4M、3mg/mL)傾き、および(5M、2mg/mL)カーブと(5M、3mg/mL)カーブの比較により、ペプチド濃度と関連した最大収率にはほとんど差がない。しかし、(4M、2mg/mL)と(5M、2mg/mL)の比較、さらに(4M、3mg/mL)と(5M、3mg/mL)の比較は、前駆体ペプチドの濃度にかかわらず、4M マロン酸濃度が明らかに優位であることを示している。図2における4つの曲線すべては、1つのシステイン残基(前駆体ペプチド1つに対し3つのCys)に対するテトラクロロパラジウム酸の5〜5.5当量に相当する最大テトラクロロパラジウム酸濃度を示している。
【実施例6】
【0054】
マロン酸中テトラクロロパラジウム酸によるT7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CAMLE (配列番号:20)、T7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACLE (配列番号:11)およびT7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CAHLE (配列番号:21)の切断−アミド化の比較
−CAMLE (配列番号:16)、−CAHLE(配列番号:17)および−CACLE(配列番号:12)前駆体 ペプチドを、実施例1および2に記載のように5Mマロン酸溶液中に調製し、4 mMテトラクロロパラジウム酸と60℃で2時間インキュベートした。分析を方法1により行った。CACLE(配列番号:12)前駆体ペプチドの切断およびアミド化の率は、CAHLE(配列番号:17)前駆体ペプチドの率の2倍であり(31%対16.1%GRF(1-44)アミド率)、そしてCAMLE(配列番号:16)前駆体ペプチドの切断およびアミド化の率は、CACLE(配列番号:12)前駆体ペプチドより17倍少なかった(1.8%対31%GRF(1-44)アミド率)。従って、CACLE(配列番号:12)末端配列の使用は、C末端アミド化GRFの最高収率を示した。
【実施例7】
【0055】
マロン酸中テトラクロロパラジウム酸によるT7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CGHLE(配列番号:22)、T7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CAHLE(配列番号:21)、T7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CLHLE(配列番号:23)の切断−アミド化の比較
前駆体ペプチド、T7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CGHLE(配列番号:22)、T7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CAHLE(配列番号:21)、T7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CLHLE (配列番号:23)を、実施例1および2に記載のように5Mマロン酸中に可溶化し、4 mMテトラクロロパラジウム酸と60℃で2時間インキュベートした。HPLC分析を、実施例3の方法1により行った。その結果、−CLHLE(配列番号:33)および−CAHLE(配列番号:17)前駆体のアミド化率は、実質的に同じであった;共に、−CGHLE(配列番号:34)前駆体より約50%多くアミド化された。本一連の実験の結果は、末端配列 Cys-X2-X3におけるX2が、特定のアミノ酸に限定されないことを証明した。
【実施例8】
【0056】
マロン酸中テトラクロロパラジウム酸によるT7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACLE(配列番号:11)、T7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACKK(配列番号:19)およびT7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACDD(配列番号:18)の切断−アミド化の比較
前駆体ペプチド、T7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACLE (配列番号:11)、T7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACKK (配列番号:19)およびT7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACDD (配列番号:18)を、実施例1および2に記載のように5M マロン酸に可溶化し、4 mM テトラクロロパラジウム酸と60℃で2時間インキュベートした。HPLC分析を、実施例3の方法1により行った。前駆体CACKK (配列番号:14)の約21%がアミド化された;他の構築物のアミド化率は、平均約50%であった。
【実施例9】
【0057】
マロン酸中テトラクロロパラジウム酸を用いたT7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACLE (配列番号:11)の反応産物の質量分析による研究
前駆体ペプチド、T7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACLE(配列番号:11)を、実施例1および2に記載のように3 mg/mLの濃度で5M マロン酸に可溶化した。その溶液を4 mM テトラクロロパラジウム酸と60℃で2.5時間インキュベートした。その溶液の一部を実施例3のHPLC方法2のLC-MSにより分析した。図3AはrGRF(1-44)アミドである。図3CはrGRF(1-44)JACLE(配列番号:35)である。
推定GRF産物の質量分析は、図3に示したようにGRF(1-44)アミドの正確な質量を示している。図3BはrGRF(1-44)アミドである。図3DはrGRF(1-44)JACLE(配列番号:35)である。
【実施例10】
【0058】
マロン酸中にてテトラクロロパラジウム酸をT7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACLE(配列番号:11)と反応させた産物のGRF(1-44)アミドとしてのHPLC同定
T7tag-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACLE(配列番号:11)前駆体ペプチドを、実施例9に記載のようにテトラクロロパラジウム酸と反応させ、実施例3のHPLC方法1により分析した。切断−アミド化産物を、GRF(1-44)アミドおよびGRF(1-44)-OHの標準物質を添加して、またはせずに、分析した。標準物質の保持時間はそれぞれ18.3分および18.7分であった。反応による生成物ピークは18.3分にて溶出した。標準物質を試料に添加して分析した場合、18.3分における主ピークが高く上昇した。このことは、質量分析による生成物がGRF(1-44)アミドであり、GRF(1-44)遊離酸でないとの同定を支持している。
【0059】
2002年5月4日付けの先の特許出願番号60/383,362を含むすべての刊行物、特許、および特許出願は、引用により本明細書に包含される。上述の明細書にて本発明は、その好ましい態様に関して記載され、多くの詳細な記載が例示の目的で示されているが、本発明には態様を追加する余地があり、本明細書に詳述した事項が発明の基本原則を逸脱しない範囲で相当に変更されうるということは、当業者に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性媒質中で基質ポリペプチドとパラジウム複合体(ここに、パラジウム複合体は、パラジウム(II)またはパラジウム(IV)複合体である)を接触させることを含む(ここに、基質ポリペプチドは、所望のポリペプチドの配列および配列X1-Cys-X2-X3(ここに、X1は、所望のペプチドのカルボキシル末端におけるアミノ酸であり、X1およびX2は任意のアミノ酸であり、X3はシステイン、ヒスチジンおよびメチオニンからなる群から選択される)を含む)、所望のポリペプチドのカルボキシル末端アミドを形成する方法。
【請求項2】
基質ポリペプチドが(所望のペプチド-X1)-(システイン-X2-X3)、(所望のペプチド-X1)-(システイン-X2-X3-末端配列)、(リーダー・ポリペプチド-パラジウム切断部位)-(所望のペプチド-X1)-(システイン-X2-X3-末端配列)、および(リーダー・ポリペプチド-パラジウム切断部位)-(所望のペプチド-X1)-(システイン-X2-X3)(ここに、X1は、所望のペプチドのカルボキシル末端におけるアミノ酸であり、X1およびX2は任意のアミノ酸であり、X3はシステイン、ヒスチジンおよびメチオニンからなる群から選択される)からなる群から選択される構造を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リーダー・ポリペプチドが、システイン-ヒスチジンを含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
酸性媒質が、酸性有機溶媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
反応混合液中におけるCysに対するパラジウム複合体のモル比が、0.1〜20である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
基質ポリペプチドおよびパラジウム複合体が、1〜6時間接触する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
温度が50℃〜70℃に維持されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
酸性有機溶媒が、モノカルボン酸、ヒドロキシ置換した酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、ウロン酸、アルドン酸およびアルダル酸からなる群から選択される有機酸である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
リーダー配列が、システイン-ヒスチジン配列のシステインのN末端部位に存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
リーダー配列が、DDDD(配列番号:36)、DDDK(配列番号:37)、DTRL(配列番号:38)、GGPR(配列番号:39)、DDDDK(配列番号:7)およびGGGGPR(配列番号:8)からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
パラジウム複合体が、Na2PdCl4;シス−[Pd(en)Cl2];シス−[Pd(bp)Cl2];シス−[Pd(phen)Cl2];シス−[Pd(pn)Cl2];シス−[Pd(pic)Cl2];シス−[Pd(dtco-OH)Cl2;シス−[Pd(en)(OH2)2]2+;シス−[Pd(pn)(OH2)2]2+;シス−[Pd(pic)(OH2)2]2+;シス−[Pd(bp)(OH2)2]2+;シス−[Pd(phen)(OH2)2]2+;シス−[Pd(dtco-OH)(OH2)2]2+;および[Pd(OH2)3(OH)](NO3)からなる群から選択されるパラジウム(II)複合体である、請求項1または4に記載の方法。
【請求項12】
基質ポリペプチドが、封入体(inclusion body)の形態で宿主細胞から回収されるキメラタンパク質として組換え的に宿主細胞中で発現されたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
(a)宿主細胞が大腸菌であり;そして、
(b)キメラタンパク質が、T7-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACLE(配列番号:11)、T7-Vg-D4KCH-GRF (1-44)-CACDD (配列番号:18)、T7-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACDE(配列番号:40)、T7-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACKK(配列番号:19)、T7-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CKCLE(配列番号:41)、T7-Vg-D4KCH-GRF (1-44)-CACKK (配列番号:19)、T7-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CAMLE(配列番号:20)、T7-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CAHLE (配列番号:21)、T7-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CGHLE(配列番号:22)、T7-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CLHLE(配列番号:23)からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
有機溶媒が、HCl、H3PO4、H2SO4およびHClO4からなる群から選択される無機酸と併用される、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
末端配列が、CACLE(配列番号:12)、CACDD (配列番号:13)、CACKK(配列番号:14)、CKCLE(配列番号:15)、CAMLE(配列番号:16)、CAHLE(配列番号:17)、CGHLE(配列番号:34)およびCLHLE(配列番号:33)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
基質ポリペプチドがT7-Vg-D4KCH-GRF(1-44)-CACLE(配列番号:11)であり、酸性媒質が4M〜5Mの濃度のマロン酸であり、反応混合液中におけるマロン酸に対する基質ポリペプチドの濃度がマロン酸1mlに対して基質ポリペプチド0.1mg〜3mgの範囲であり、パラジウム複合体がNa2PdCl4(反応混合液中のモル濃度が、基質ポリペプチドのシステインに関して4〜6倍)であり、反応時間が60分〜90分であり、そして反応温度が60℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
基質ポリペプチドが合成されたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
基質ポリペプチドが天然に生じるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
X1-Cys切断部位が、アミド化される前に基質ポリペプチドのカルボキシル末端に合成的に付加されたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
所望のペプチドが、GLP-2、GLP-1、GRF、PTH、副甲状腺ホルモン関連ホルモン、ACTH、エンケファリン、エンドルフィン、エキセンディン、アミリン、オピオイド、ゲーグリン5または6、ブレビニン1、ラナテリン1〜9、エスクレチン、GIP、グルカゴン、モチリン、サイモポエチン、サイモシン、ユビキチン、血清胸腺因子、胸腺液性因子、ニューロテンシン、タフトシン、ガストリン、カルシトニン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、膵臓ポリペプチド、エンドセリン、副腎皮質刺激ホルモン放出因子、神経ペプチドY、心房性ナトリウム利尿ペプチド、アミリン、ガラニン、ソマトスタチン、血管作動性小腸ペプチドおよびインスリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記基質ポリペプチドが、基質ポリペプチドとパラジウム複合体の接触の前に組換え的に宿主細胞中で発現され、封入体の形態で宿主細胞から回収されるものである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記基質ポリペプチドが、基質ポリペプチドとパラジウム複合体の接触の前に組換え的に宿主細胞中で発現され、封入体の形態で宿主細胞から回収されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
宿主細胞が大腸菌である、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
カルボキシ末端をアミド化された所望のペプチドを生成する方法であって、酸性有機溶媒およびパラジウム複合体の反応混合液中にて基質ポリペプチドを反応させることにより、基質ポリペプチドを(i)所望のペプチドを規定する第一のアミノ酸配列のN末端と、リーダー配列を規定する第二のアミノ酸配列のカルボキシル末端とを連結する第一の切断部位、および(ii)第二のX1-システイン切断部位(ここに、X1はペプチド・カルボキシル末端のアミノ酸であり、システインは配列システイン-X2-X3を含む末端配列の第一のアミノ酸である。また、X2は任意のアミノ酸であってよく、そしてX3はシステイン、ヒスチジンおよびメチオニンからなる群から選択されるアミノ酸である。)にて同時に切断すること(ここに、有機溶媒の濃度は2〜22モルの間であり、そして所望のペプチドのカルボキシル末端が第二のX1-システイン切断部位にて切断の際にアミド化される)、を含む方法。
【請求項25】
X2が、アラニンである、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
基質ポリペプチドが、2つ以上のX1-Cys-X2-X3配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つのX1-Cys-X2-X3配列が、所望のポリペプチドのアミノ末端に位置しており、かつ少なくとも1つのX1-Cys-X2-X3配列が、所望のポリペプチドのカルボキシル末端に位置している、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【公開番号】特開2010−265287(P2010−265287A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152281(P2010−152281)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【分割の表示】特願2004−508108(P2004−508108)の分割
【原出願日】平成15年5月23日(2003.5.23)
【出願人】(591007804)メドトロニック,インコーポレイテッド (243)
【住所又は居所原語表記】710Medtronic Parkway,Minneapolis,Minnesota 55432,U.S.A
【Fターム(参考)】