説明

ペレット供給装置と、ペレット吐出方法

【課題】エアによって移送されるペレットを被供給部に確実に供給できるペレット吐出部を提供する。
【解決手段】ペレット計量部によって計量されたペレットが、エアによってペレット移送管32内をペレット吐出部33に向かって移動する。ペレット吐出部33は、吐出管93と、カバー部材94とを備えている。カバー部材94は、下方に開口するペレット吐出口94aと、周壁94bとを有している。周壁94bは、ペレットの粒径よりも小さな開口寸法の多数の通気孔からなる通気孔群を有する通気性多孔部材101によって構成されている。吐出管93の先端開口93aからエアと共に噴出したペレットPは、カバー部材94の周壁94bの内面に衝突する。周壁94bに衝突したエアは、通気孔100を通り抜けて外部に放出される。周壁94bに衝突したペレットPは下方に落ち、ペレット吐出口94aから被供給部25aに向かう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばダイキャスト成形機や射出成形機等の成形機において、被供給部に各種ペレットを供給するためのペレット供給装置と、ペレット吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
成形機の一例であるコールドチャンバ方式のダイキャスト成形機は、ラドルによって汲み取られた金属の溶湯をスリーブ(ショットスリーブとも称される)に供給したのち、スリーブ内の溶湯をプランジャ(ショットピストンあるいはチップとも称される)によって金型内のキャビティに高速かつ高圧で射出するようになっている。
【0003】
このような成形機では、スリーブとプランジャとの潤滑のために、油性の液体潤滑剤が使用されていた。液体潤滑剤は、供給ポンプや配管系を介してスリーブの溶湯供給口からスリーブの内部に供給される。しかし油性の液体潤滑剤は成形機の周囲を汚しやすく、作業環境上も好ましくないため、最近ではペレット状の固形潤滑剤の使用が検討されている。成形機のスリーブ内にペレット状の固形潤滑剤を一定量ずつ供給するためには、それなりの供給装置が必要である。例えば下記の特許文献1に開示されているように、計量されたペレットを圧縮エアによって被供給部に送る材料供給装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−240041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来例のように、計量されたペレットを圧縮エアによって被供給部まで送る材料供給装置は、供給管の先端開口からペレットがエアと共に噴出する際に、エアの勢いなどによって、ペレットの一部が被供給部に入らずに周囲に散らばる懸念があった。
【0006】
従って本発明の目的は、エアによってペレットを被供給部に供給するペレット供給装置において、ペレットの一部が被供給部に入らず被供給部の周囲に散らばったり、ペレット供給量がばらついたりするなどの不具合を回避できるペレット供給装置と、ペレット吐出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のペレット供給装置は、退避位置と前進位置とにわたって往復移動可能な吐出管と、前記吐出管を前記退避位置と前進位置とに移動させる駆動源(例えばエアシリンダ)と、前記ペレットをエアによって前記吐出管に向けて移送するペレット移送機構と、前記吐出管の先端部に設けられたカバー部材とを具備している。このカバー部材は、前記吐出管が前記前進位置に移動した状態において前記被供給部の上方に位置するペレット吐出口を有し、かつ、周壁にエアの通過を許容しペレットの通過を阻止する通気孔群を有する通気性多孔部材によって構成されている。
【0008】
本発明の1つの実施形態では、前記吐出管が前記前進位置に移動した状態において、前記ペレット吐出口からペレットの少なくとも一部が吐出されたのち前記カバー部材を小ストロークで往復移動させるシャッフル動作を行なう手段を備えている。
【0009】
本発明のペレット吐出方法は、エアによって吐出管内を移動してくるペレットを、エアの通過を許容しペレットの通過を阻止する通気孔群を有するカバー部材に衝突させること、前記カバー部材に衝突したエアを前記通気孔群から外部に放出するとともに、前記カバー部材に衝突した前記ペレットを下方のペレット吐出口に向けて落下させること、そして前記ペレット吐出口から落下する前記ペレットを前記被供給部に供給すること、を具備している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、エアによってペレットを被供給部に供給するペレット供給装置において、吐出管の先端部に通気性多孔部材からなるカバー部材を設けたことにより、吐出管の先端開口からエアと共に噴出するペレットを確実に被供給部に入れることができる。このため被供給部へのペレット供給量がばらついたり、被供給部の周囲にペレットが散らばるなどの不具合を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の1つの実施形態に係るペレット供給装置を備えた成形機を模式的に示す断面図。
【図2】図1に示されたペレット供給装置のペレット計量部の内部を示す正面図。
【図3】図2に示されたペレット計量部の計量部材が第1の位置にある状態を一部断面で示す正面図。
【図4】図2に示されたペレット計量部の計量部材が第2の位置に移動した状態を一部断面で示す正面図。
【図5】図1に示されたペレット供給装置のペレット吐出部の正面図。
【図6】図5に示されたペレット吐出部の平面図。
【図7】図5に示されたペレット吐出部の吐出管が退避位置に移動した状態の正面図。
【図8】図5に示されたペレット吐出部の一部を拡大して示す断面図。
【図9】ペレット計量部の動作の一例を示すフローチャート。
【図10】ペレット吐出部の動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の1つの実施形態について、図1から図10を参照して説明する。
図1は、成形機の一例であるコールドチャンバ方式のダイキャスト成形機10を模式的に示している。ダイキャスト成形機10は、固定ダイプレート11と、移動ダイプレート12と、互いに平行に延びる4本のタイバー13,14(2本のみ示す)と、ダイプレート駆動機構15などを含んでいる。ダイプレート駆動機構15は、移動ダイプレート12をタイバー13,14に沿って水平方向に移動させる機能を有している。
【0013】
この成形機10は、操作パネル16を有するコントローラ17によって操作される。コントローラ17には、成形動作および型締動作等を制御するためのコンピュータプログラムとメモリ等が組込まれている。操作パネル16は、作業員が成形機10を操作する際に使用するヒューマンマシン・インタフェースとして機能する。
【0014】
固定ダイプレート11に固定側金型20が取付けられている。移動ダイプレート12に移動側金型21が取付けられている。これら金型20,21間に、成形品のためのキャビティ22が形成されている。キャビティ22は、溶湯通路23を介して溶湯供給機構24に連通している。溶湯供給機構24は、スリーブ25と、プランジャ26と、プランジャ26を駆動するための駆動源27などを含んでいる。溶湯供給機構24から溶融金属がキャビティ22に供給されることにより、ダイキャスト製品が成形される。
【0015】
このダイキャスト成形機10はペレット供給装置30を備えている。ペレット供給装置30は、固形潤滑剤のペレットをスリーブ25の被供給部25aに供給する機能を有している。固形潤滑剤のペレットの一例は、ワックスと黒鉛などからなる粒径1mm前後の粒子であり、スリーブ25とプランジャ26とを潤滑することができる。
【0016】
ペレット供給装置30は、図2から図4に示すペレット計量部31と、ペレット移送管32と、図5から図8に示すペレット吐出部33と、ペレット供給装置30の動作をつかさどる制御手段であるシーケンサ34(図1に示す)と、ヒューマンマシン・インタフェースとして機能する入力部35および表示部36とを有している。シーケンサ34は、ダイキャスト成形機10のコントローラ17に組込まれていてもよい。また、入力部35と表示部36は、ダイキャスト成形機10の操作パネル16に配置されていてもよい。
【0017】
図2はペレット計量部31の内部を示している。ペレット計量部31は、筐体40と、筐体40の内部に配置されたホッパ41を有するペレット収容部42と、ペレットP(図3と図4に示す)を計量するための計量機構43と、圧縮エアによってペレットPを移送するペレット移送機構44と、エアの流れを制御するための開閉弁45と、切換弁46などを含んでいる。開閉弁45と切換弁46は、それぞれ圧縮エアの供給源47に接続されている。
【0018】
図3と図4は計量機構43を示している。計量機構43は、ボディ50を構成する上壁51および下壁52と、計量部材53と、計量部材53を駆動するためのアクチュエータの一例であるエアシリンダ54と、ペレット溜め部55を有する底部材56などを備えている。
【0019】
計量部材53には、上下方向に貫通する計量室60が形成されている。計量室60の容積は、所定量(例えば0.5グラム)のペレットPを収容できる大きさである。計量室60は、計量部材53の上方から見て円形の孔からなる。この計量部材53はエアシリンダ54によって、図3に示す第1の位置と、図4に示す第2の位置とにわたって、水平方向に往復移動することができるようになっている。
【0020】
ボディ50の上壁51に、エア流通孔61と、ペレット供給孔62とが、互いに水平方向に離れた位置に形成されている。エア流通孔61は、計量部材53が第1の位置(図3)にあるときに、計量室60と連通する位置に形成されている。ペレット供給孔62は、計量部材53が第2の位置(図4)にあるときに、計量室60と連通する位置に形成されている。エア流通孔61は、継手65とエア配管66とを介して、開閉弁45に接続されている。
【0021】
ボディ50の下壁52には、ペレット落とし孔70が形成されている。このペレット落とし孔70は、計量部材53が第1の位置(図3)にあるときに、計量室60と連通する位置に形成されている。ペレット落とし孔70の下方にペレット溜め部55が形成されている。ペレット溜め部55には、継手71を介してペレット移送管32の一端32aが接続されている。
【0022】
ペレット移送管32の他端32b(図1と図5〜図7に示す)は、ペレット吐出部33に接続されている。これらペレット移送管32や開閉弁45、エア流通孔61、エア配管66などによって、ペレット溜め部55内のペレットをエアによって送り出すためのペレット移送機構44が構成されている。
【0023】
計量機構43のエアシリンダ54は、筐体40に取付けられたシリンダ本体80と、第1のエア供給口81と、第2のエア供給口82と、ロッド83などを有している。エア供給口81,82は、それぞれエア配管85,86を介して切換弁46に接続されている。ロッド83には、接続部材87を介して計量部材53が連結されている。
【0024】
図1と図5〜図8に示されたペレット吐出部33は、固定ダイプレート11側の部材11a(図6に示す)に取付けるベース部材90と、ベース部材90に設けられた駆動源の一例であるエアシリンダ91と、エアシリンダ91によって水平方向に往復駆動される可動体92と、可動体92に取付けられた吐出管93と、吐出管93の先端部に設けられたカバー部材94などを有している。
【0025】
図8に示すようにカバー部材94は、吐出管93の先端部に設けられた端部材96に、ねじ等の固定用部材97によって固定されている。吐出管93の基部には、ペレット移送管32の他端32bが接続されている。エアシリンダ91には、エア配管95と切換弁46(図2に示す)を介して、圧縮エアの供給源47が接続されている。このエアシリンダ91は、切換弁46を介して供給される圧縮エアによって作動する。
【0026】
カバー部材94は、下方に開口するペレット吐出口94aと、ペレット吐出口94aの四周と上面を囲む周壁94bと、吐出管93の先端開口93aと対向する位置に形成されたペレット流通口94cを有している。カバー部材94の周壁94bは、多数の通気孔100からなる通気孔群を有する通気性多孔部材101によって構成されている。
【0027】
通気性多孔部材101の一例は金網等のメッシュ部材であるが、金網以外に、例えば薄い金属板にプレスによって多数の孔を開けたパンチングメタルや、フォトエッチングによって形成された多孔板などでもよい。要するにペレットPの粒径よりも小さな開口寸法の多数の通気孔100からなる通気孔群を有し、かつ、吐出管93の先端開口93aから噴出するエアの圧力によって変形しない剛性を有している部材であればよい。通気孔100は円形以外でもよいし、多数のスリットからなる通気孔群であってもよい。
【0028】
吐出管93の先端開口93aからエアと共に噴出するペレットPは、カバー部材94の周壁94bの内面に衝突する。周壁94bに衝突したエアは、周壁94bの通気孔100を通り抜けてカバー部材94の外部に放出される。周壁94bに衝突したペレットPは、通気孔100を通り抜けることができないため、自重によって下方に落ち、ペレット吐出口94aから被供給部25aに向かって自然落下することになる。
【0029】
前記可動体92と吐出管93は、駆動源の一例であるエアシリンダ91によって、図5および図6に示す前進位置と、図7に示す退避位置とにわたって駆動される。吐出管93が前進位置(図5,図6)にあるとき、カバー部材94のペレット吐出口94aがスリーブ25の溶湯供給口(被供給部25a)の上方に位置する。吐出管93が退避位置(図7)に移動すると、カバー部材94のペレット吐出口94aが被供給部25aの側方に退避するようになっている。
【0030】
図9は、前記のように構成されたペレット供給装置30のペレット計量部31の動作の一例を示すフローチャートである。図10は、ペレット吐出部33の動作の一例を示すフローチャートである。以下に、図9と図10を参照してペレット供給装置30によるペレット供給方法について説明する。
【0031】
図9に示すステップS1において、計量機構43の計量部材53が第1の位置(図3に示す後退位置)で待機している。このとき計量室60はペレット供給孔62から外れた位置にあり、ペレット供給孔62は上壁51によって遮断されているため、ペレット収容部42内のペレットPが計量室60内に落ちることはない。
ステップS2において、固形潤滑剤(ペレット)の供給を指示するペレット供給信号がコントローラ17から出力されると、ステップS3に進む。
【0032】
ステップS3では、エアシリンダ54の第2のエア供給口82にエアが供給されることにより、ロッド83と計量部材53が第2の位置(図4に示す)まで前進する。計量部材53が第2の位置に移動すると、計量室60がペレット供給孔62に連通するため、ペレット収容部42内のペレットPがペレット供給孔62を通って計量室60内に落下する。このため規定量のペレットPが計量室60に収容される。
【0033】
ステップS4では、計量部材53が第2の位置にあるときに、切換弁46が短い周期で繰返し切換わることにより、エアシリンダ54が小ストロークで例えば3回ほど短時間で往復動する。ここで言う小ストロークとは、計量室60がペレット供給孔62から外れない程度の距離である。この小ストローク(短周期)での往復動により、計量部材53が激しく揺さぶられる。これがシャッフル動作である。シャッフル動作が行なわれると、計量部材53に生じる振動と衝撃などにより、計量室60の上方にあるペレットPが計量室60内に落下することが促進される。このためペレットPが計量室60に確実に落とし込まれ、規定量のペレットPが計量室60に収容される。
【0034】
ステップS5において、前記シャッフル動作が所定回数(例えば3回)繰返されると、ステップS6に進む。ステップS6では、エアシリンダ54の第1のエア供給口81にエアが供給されることによって、ロッド83と計量部材53が第1の位置(図3)に後退する。計量部材53が第1の位置に後退すると、計量室60がペレット落とし孔70に連通することにより、計量室60内のペレットPがペレット落とし孔70を通ってペレット溜め部55内に落下する。
【0035】
ステップS7では、計量部材53が第1の位置にあるときに、切換弁46が短い周期で繰返し切換わることにより、エアシリンダ54が小ストロークで例えば2回ほど短時間で往復動する。ここで言う小ストロークとは、計量室60がペレット落とし孔70から外れない程度の距離である。このシャッフル動作が行なわれると、計量部材53に生じる振動と衝撃などにより、計量室60やペレット落とし孔70内のペレットPがペレット溜め部55に落下することが促進される。
【0036】
ステップS8において、前記シャッフル動作が所定回数(例えば2回)繰返されると、ステップS9に進む。ステップS9では、計量回数が所定数(例えば3回)に達したか否かが判定され、計量回数が所定数に達していなければ、再びステップS3からステップS9までの一連の計量動作が繰返されることにより、計量部材53が往復した回数に比例した量のペレットPがペレット溜め部55に貯留される。例えば計量部材53が前記第1の位置と第2の位置との間を3回往復すると、(0.5グラム×3)で合計1.5グラムのペレットPがペレット溜め部55に貯留される。計量回数は、必要に応じて、任意の値を入力部35からコントローラ17に入力することができるため、さらに多くのペレットPをペレット溜め部55に貯留することも勿論可能である。
【0037】
計量回数が所定数に達すると、ステップS10に進む。ステップS10では、計量部材53が前記第1の位置に停止した状態で、開閉弁45(図2に示す)が開弁することにより、圧縮エアの供給源47から送られるエアが、エア流通孔61から計量室60とペレット溜め部55を通ってペレット移送管32に高速で流れる。このエア(ペレット移送用エア)により、ペレット溜め部55内のペレットがペレット移送管32を経てペレット吐出部33に送られる。
【0038】
図10は、ペレット吐出部33の動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS11では、吐出管93が退避位置(図7)にある。ステップS12においてペレット供給信号がオンになると、ステップS13に進む。
【0039】
ステップS13では、切換弁46から送られてくるエアによってエアシリンダ91が伸び側に作動することにより、吐出管93が前進位置(図5,図6)まで移動し、ステップS14に進む。
【0040】
ステップS14では、ペレット移送管32内をエアによって移送されてくるペレットPが、エアと共に吐出管93の先端開口93aからカバー部材94の周壁94bの内面に向かって噴出し、エアとペレットPが周壁94bに衝突する(図8参照)。
【0041】
周壁94bに衝突したエアとペレットPのうち、エアは周壁94bの通気孔100を通り抜けてカバー部材94の外部に放出される。周壁94bに衝突したペレットPは、通気孔100を通り抜けることができないため、周壁94bに衝突したのち自重により下方に落ちる。下方に落ちたペレットPは、カバー部材94のペレット吐出口94aからさらに下方に向かい、被供給部25aに向かって自然落下する。以上が図10中のステップS15である。
【0042】
ステップS16において、所定の吐出時間が経過したことが判断されると、ステップS17に進む。所定の吐出時間が経過していなければ、ステップS14とステップS15が繰り返される。
【0043】
ステップS17では、シャッフル動作が行なわれる。すなわち吐出管93が図5と図6に示す前進位置にあるときに、切換弁46が短い周期で繰返し切換わることにより、エアシリンダ91が小ストロークで例えば3回ほど短時間で往復動する。ここで言う小ストロークとは、カバー部材94のペレット吐出口94aが被供給部25aから外れない程度の距離(例えば図6にMで示す距離)である。
【0044】
このシャッフル動作が行なわれると、カバー部材94に生じる振動と衝撃などにより、カバー部材94内のペレットPが被供給部25aに向かって落下することが促進される。
【0045】
このシャッフル動作は、所定のペレット吐出時間が経過し、少なくとも一部のペレットが吐出されたのち行なわれる。ここで所定のペレット吐出時間とは、ペレットの吐出終了直後でもよいし、ペレットの吐出終了間際でもよいが、要するに吐出管93から噴出するエアの圧力が下がった後が望ましい。
【0046】
吐出管93の先端部に設けられたカバー部材94の周壁94bは、多数の通気孔100を有する通気性多孔部材101からなるため、エアと共に周壁94bに衝突したペレットPの一部が通気孔100にくっつく可能性がある。しかし前記シャッフル動作によって、カバー部材94内のペレットPの落下が促進されるため、ペレットPが通気孔100に付着することを阻止でき、カバー部材94内のペレットPを確実に被供給部25aに向けて落とすことができるものである。
【0047】
ステップS18において、前記シャッフル動作が所定回数行なわれたと判断されると、ステップS19に進む。ステップS19では、吐出管93が退避位置(図7)に移動することにより、一連のペレット供給サイクルが終了する。
【0048】
こうしてペレット供給サイクルが終了すると、ダイキャスト成形機10の成形サイクルの一環として、スリーブ25の溶湯供給口(被供給部25a)に溶湯が供給され、駆動源27によってプランジャ26が加圧されることにより、スリーブ25内の溶湯がキャビティ22に供給される。
【0049】
本実施形態のペレット供給装置30のペレット吐出部33によれば、吐出管93の先端部に通気性多孔部材101からなる周壁94bを有するカバー部材94を設けたことにより、エアによってペレット移送管32内を移動するペレットPが吐出管93の先端開口93aから噴出しても、噴出するエアを周壁94bの通気孔100から外部に逃がすことができるため、ペレットPを自重による自然落下によって被供給部25aに供給することができる。
【0050】
また本実施形態のペレット吐出部33によれば、吐出管93が前進位置にあるときのシャッフル動作により、カバー部材94の周壁94b内に存在するペレットを確実に被供給部25aに向けて落とすことができる。このため、計量された正確な量のペレットを被供給部25aに供給することができ、スリーブ25とプランジャ26との潤滑を正しく行なうことができる。
【0051】
前記シャッフル動作を行なうための手段は、エアシリンダ91の作動制御をなすシーケンサ34において、切換弁46の作動タイミングを制御するシーケンスプログラムに手を加えるだけでよいため、シャッフル動作のための部材や機構を追加する必要がなく、低コストで実現できる。
【0052】
以上説明したように本実施形態のペレット吐出部33によるペレット吐出方法は、少なくとも下記の工程を具備している。
(1)吐出管93を退避位置に移動させておくこと(ステップS11)、
(2)吐出管93を前進位置に移動させること(ステップS12,S13)、
(3)吐出管93からエアとペレットをカバー部材94の周壁94bに向けて噴出すること(ステップS14)、
(4)カバー部材94の周壁94bに衝突したエアを通気孔100から外部に逃がすとともに、周壁94bに衝突したペレットを落下させること(ステップS15,S16)、
(5)カバー部材94を小ストロークで往復移動させることによりシャッフル動作を行なうこと(ステップS17,S18)、
(6)吐出管93を退避位置に復帰させること(ステップS19)。
【0053】
なお本発明を実施するに当たって、ペレット供給装置の計量部やペレット吐出部を構成する種々の要素の具体的な形状や配置等の態様を、必要に応じて変更して実施できることは言うまでもない。例えば、吐出管を往復移動させる駆動源として、エアシリンダ以外のアクチュエータが採用されてもよい。また本発明は、固形潤滑剤を用いるダイキャスト成形機以外に、ペレットを用いる成形機であれば同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
10…成形機(ダイキャスト成形機)
25a…被供給部
30…ペレット供給装置
32…ペレット移送管
33…ペレット吐出部
44…ペレット移送機構
91…エアシリンダ(駆動源)
93…吐出管
94…カバー部材
94a…ペレット吐出口
94b…周壁
100…通気孔
101…通気性多孔部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレットを被供給部に供給するためのペレット供給装置であって、
退避位置と前進位置とにわたって移動可能な吐出管と、
前記吐出管を前記退避位置と前進位置とに移動させる駆動源と、
前記ペレットをエアによって前記吐出管に向けて移送するペレット移送機構と、
前記吐出管の先端部に設けられ、前記吐出管が前記前進位置に移動した状態において前記被供給部の上方に位置するペレット吐出口を有し、かつ、周壁にエアの通過を許容しペレットの通過を阻止する通気孔群を有する通気性多孔部材からなるカバー部材と、
を具備したことを特徴とするペレット供給装置。
【請求項2】
前記駆動源が切換弁によって作動するエアシリンダであることを特徴とする請求項1に記載のペレット供給装置。
【請求項3】
前記吐出管が前記前進位置に移動した状態において、前記カバー部材を小ストロークで往復移動させるシャッフル動作を行なう手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のペレット供給装置。
【請求項4】
ペレットを被供給部に供給するためのペレット吐出方法であって、
エアによって吐出管内を移動してくるペレットを、エアの通過を許容しペレットの通過を阻止する通気孔群を有するカバー部材に衝突させること、
前記カバー部材に衝突したエアを前記通気孔群から外部に放出するとともに、前記カバー部材に衝突した前記ペレットを下方のペレット吐出口に向けて落下させること、
前記ペレット吐出口から落下する前記ペレットを前記被供給部に供給すること、
を具備したことを特徴とするペレット吐出方法。
【請求項5】
前記ペレット吐出口から前記ペレットの少なくとも一部が吐出されたのち前記カバー部材を小ストロークで往復移動させるシャッフル動作を行なうことを特徴とする請求項4に記載のペレット吐出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−110924(P2012−110924A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261455(P2010−261455)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)