説明

ページビュー切替装置

【課題】実際の書籍におけるページ捲りに近い直感的な操作により、表示中の静止画像データのページ切り替えを実現できるページビュー切替装置を提供する。
【解決手段】ユーザにより操作される方向に傾き、操作が終了すると元の位置に戻る突起部と、突起部が傾いたときに操作により突起部に加えられた圧力を検知し、突起部が元の位置に戻ったときに操作の終了による圧力の低下を検知する圧力検知手段と、圧力検知手段により圧力の低下が検知された場合、表示中の静止画像データのページを切り替える制御を行う制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示中の静止画像データのページを切り替えるページビュー切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが、情報処理装置において、電子書籍等の複数ページからなる静止画像データを閲覧する場合、例えば、マウスでクリックしたり、又は、タッチパネル上で指やスタイラスペンをスライドさせたりして、表示中のページを捲る(切り替える)操作を行っていた。しかしながら、このような操作は、実際の書籍におけるページ捲りとは感覚が異なるため、ユーザが、ページを捲る量を直感的に捉えることは難しい。よって、ページの送りすぎや戻りすぎが発生し、閲覧上のストレスとなるという問題があった。
【0003】
特許文献1には、タッチパネル上に設けられた突部にユーザが触れることでクリック感を得られる操作ができ、その操作としてページ捲りができるといった技術が開示されている。しかし、クリック感は、実際の書籍におけるページ捲りとは感覚が異なる。よってこの技術でも、ユーザがページを捲る量を直感的に捉えることは難しく、上述したような閲覧上のストレスは解消されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−169653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、実際の書籍におけるページ捲りに近い直感的な操作により、表示中の静止画像データのページ切り替えを実現できるページビュー切替装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明のページビュー切替装置は、ユーザにより操作される方向に傾き、操作が終了すると元の位置に戻る突起部と、突起部が傾いたときに操作により突起部に加えられた圧力を検知し、突起部が元の位置に戻ったときに操作の終了による圧力の低下を検知する圧力検知手段と、圧力検知手段により圧力の低下が検知された場合、表示中の静止画像データのページを切り替える制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、実際の書籍におけるページ捲りに近い直感的な操作により、表示中の静止画像データのページ切り替えを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るタブレット端末の正面外観の一例を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る操作部の上面及び側面の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るページ切り替え制御(ページ送り)の一例を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るページ切り替え制御(ページ戻し)の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
以下では、本実施形態のページビュー切替装置をタブレット端末に適用した例について説明するが、これに限定されない。本実施形態のページビュー切替装置は、据え置きタイプ、携帯タイプを問わず、情報処理装置及びその周辺機器全般に適用することができる。例えば、PC(Personal Computer)、スマートフォン、携帯電話、ゲーム機、電子書籍端末、キーボード、マウスなどに適用できる。
【0011】
図1は、本実施形態のタブレット端末10の正面の外観の一例を示す図である。図1に示すように、タブレット端末10は、表示部11と、その左右両側に操作部12を備える。図1では例として、ユーザが右手で操作する用と左手で操作する用の2つの操作部12が備えられている。操作部12は、本実施形態における特徴的な構成であり、実際の書籍におけるページ捲りに近い直感的な操作を実現するためのデバイスである。その詳細は、後述する。
【0012】
また、図1に示すタブレット端末10の内部には、操作部12にて受け付けた操作を基に表示部11に表示する静止画像データのページを切り替える制御を行う制御手段が備えられている。制御手段は、例えば、タブレット端末10全体を制御するためのCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。表示部10に表示される静止画像データは、複数のページで構成された電子データ(例えば、電子書籍データ)である。制御手段により実現されるページの切り替え制御としては、ページを先に送る「ページ送り」及びページを前に戻す「ページ戻し」がある。
【0013】
ユーザは、表示部11に表示される静止画像データを閲覧する際に、表示中のページを先に進めたい場合は、表示部11の右側に位置する右手用の操作部12に右手の指(例えば親指)を載せて、実際の書籍でページ捲りを行うようにその指を動かす(例えば操作部12上の指を右方向へ移動させる)。この操作を受け付けると、制御手段は、表示部11において、これまで表示していたページから先のページを表示するように切り替える。また、ユーザは、表示部11に表示される静止画像データを閲覧する際に、表示中のページを前に戻したい場合は、表示部11の左側に位置する左手用の操作部12に左手の指(例えば親指)を載せて、実際の書籍でページ捲りを行うようにその指を動かす(例えば操作部12上の指を左方向へ移動させる)。この操作を受け付けると、制御手段は、表示部11において、これまで表示していたページから前のページを表示するように切り替える。
【0014】
次に、操作部12の構成例について、図2を参照して説明する。図2(a)は、操作部12の上面の断面を示す図であり、図2(b)は、操作部12の側面(図1においてユーザが位置する側からの側面)を示す図である。
【0015】
図2(a)、(b)に示すように、操作部12は、配線14、突起部15、センサ16(圧力検知手段の一例)をそれぞれ複数有して構成される。図2(a)に示すように、配線14は格子状となっており、各交点にはセンサ16が設けられている。各センサ16の上には、図2(a)、(b)に示すように、柵状(直方体状)の突起部が等間隔で並列に配置されている。突起部15は、例えばゴムなどの弾性部材で構成されている。
【0016】
ユーザは、突起部15の上面に指を載せ、その指を所定方向に移動させることで、擬似的なページ捲り動作を行う。ユーザが所定の突起部15の上面に指を載せたとき、指が載せられた突起部15の下部に配置されているセンサ16は、当該突起部15に加えられた圧力を検知し、配線14を介して図示しない制御手段へ圧力検知信号を送出する。その後、ユーザが指を移動させて所定の突起部15の上面から指を離したとき、指が離された突起部15の下部に配置されているセンサ16は、当該突起部15に加えられていた圧力の低下を検知し、配線14を介して図示しない制御手段へ圧力低下検知信号を送出する。この圧力低下検知信号が入力された制御手段は、ページ切り替え制御として、ページ送り又はページ戻しを行う。
【0017】
次に、図3を参照して、ページ切り替え制御の具体例について説明する。図3(a)〜(c)において、上図は突起部15の上面に指が置かれた状態を模式的に示す図であり、下図は上図に示される状態のときにセンサ16が検知する圧力を示すグラフである。なお、図3は、右手用の操作部12が操作されて、ページ送りが実行される例について示している。
【0018】
ユーザは、表示部11に表示中のページを先に進めたい場合、右手用の操作部12において、例えば右手の親指を突起部15の上面に載せ、右斜め下に力を加える。これにより、図3(a)の上図に示すように、突起部15が右方向(矢印aに示す方向)に傾く。図3(a)の上図の例では、ユーザが、突起部15全てに指を載せている状態を示している。このとき、指が載せられた突起部15に対応して設けられたセンサ16は、図3(a)の下図に示すように、圧力pを検知する。この検知結果は、圧力検知信号として、センサ16から配線14を介して制御手段へ出力される。制御手段は、図3(a)の下図に示すように、全ての突起部15において圧力pが検知されたことを認識する。
【0019】
次に、ユーザは、1ページ先に進めたい場合、図3(a)の上図の状態において、右手の親指を右方向(矢印aに示す方向)に移動させ、一番左(x1)に位置する突起部15から指を離す。これにより、図3(b)の上図に示すように、一番左の突起部15はその弾性力により、傾いた状態から元の位置に戻る。このとき、指が離された突起部15に対応して設けられたセンサ16は、図3(b)の下図に示すように、圧力pの低下(図の例では0)を検知する。この検知結果は、圧力低下検知信号として、センサ16から配線14を介して制御手段へ出力される。制御手段は、図3(b)の下図に示すように一番左(x1)の突起部15において圧力低下が検知されたことを認識すると、ページ送り制御を行う。すなわち、制御手段は、表示部11において、表示中のページを、1ページ分先に進めたページを表示するように切り替える。
【0020】
ユーザがさらに1ページ先に進めたい場合、図3(b)の上図の状態において、右手の親指を右方向(矢印aに示す方向)に移動させ、左端から2番目(x2)に位置する突起部15から指を離す。これにより、図3(c)の上図に示すように、左から2番目の突起部15はその弾性力により、傾いた状態から元の位置に戻る。このとき、指が離された突起部15に対応して設けられたセンサ16は、図3(c)の下図に示すように、圧力pの低下(図の例では0)を検知する。この検知結果は、圧力低下検知信号として、センサ16から配線14を介して制御手段へ出力される。制御手段は、図3(c)の下図に示すように左から2番目(x2)の突起部15において圧力低下が検知されたことを認識すると、ページ送り制御を行う。すなわち、制御手段は、表示部11において、表示中のページを、1ページ分先に進めたページを表示するように切り替える。
【0021】
なお、図3(c)の上図の状態以降において、ユーザが指を右方向に移動させていき、一番右の突起部15から指を離すと、全ての突起部15が元の位置に戻る(図2(b)に示す状態となる)。よって、その後もページ送りを行いたい場合、ユーザは再度、指を図3(a)の上図に示すように突起部15に載せて、右方向に移動させていけばよい。このように突起部15において指の移動を繰り返すことで、静止画像データのページ数が多い場合でもページ送りを行うことができる。
【0022】
以上がページ送り制御の例であるが、ページ戻し制御も上記同様である。ページ戻し制御の例について、図4を参照して説明する。
【0023】
ユーザは、表示部11に表示中のページを前に戻したい場合、左手用の操作部12において、例えば左手の親指を突起部15の上面に載せ、左斜め下に力を加える。これにより、図4(a)に示すように、突起部15が左方向(矢印bに示す方向)に傾く。図4(a)の例では、ユーザが、突起部15全てに指を載せている状態を示している。このとき、指が載せられた突起部15に対応して設けられたセンサ16は、圧力(所定値)を検知する。この検知結果は、圧力検知信号として、センサ16から配線14を介して制御手段へ出力される。制御手段は、全ての突起部15において圧力(所定値)が検知されたことを認識する。
【0024】
次に、ユーザは、1ページ前に戻したい場合、図4(a)の状態において、左手の親指を左方向(矢印bに示す方向)に移動させ、一番右に位置する突起部15から指を離す。これにより、図4(b)に示すように、一番右の突起部15はその弾性力により、傾いた状態から元の位置に戻る。このとき、指が離された突起部15に対応して設けられたセンサ16は、圧力の低下(例えば0)を検知する。この検知結果は、圧力低下検知信号として、センサ16から配線14を介して制御手段へ出力される。制御手段は、一番右の突起部15において圧力低下が検知されたことを認識すると、ページ戻し制御を行う。すなわち、制御手段は、表示部11において、表示中のページを、1ページ分前に戻したページを表示するように切り替える。
【0025】
なお、図4(b)の状態以降において、ユーザが指を左方向に移動させていき、一番左の突起部15から指を離すと、全ての突起部15が元の位置に戻る(図2(b)に示す状態となる)。よって、その後もページ戻しを行いたい場合、ユーザは再度、指を図4(a)に示すように突起部15に載せて、左方向に移動させていけばよい。このように突起部15において指の移動を繰り返すことで、静止画像データのページ数が多い場合でもページ戻しを行うことができる。
【0026】
このように本実施形態では、突起部15を擬似的なページに見立て、ユーザが、突起部15の上面に指を載せた状態で指を所定方向に移動させ、突起部15から指を順に離していくと、離した突起部15の数に応じて、表示中のページが切り替えられていく。なお、上記説明では、1つの突起部15に対して「1ページ」が、切り替えられる数として予め設定されている場合とした。この切り替えられる数は、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。例えば1つの突起部15に「2ページ」を予め設定した場合において、ユーザによる指の移動により所定の突起部15が1つ元の位置に戻ると、それによる圧力低下を認識した制御手段は、表示部11において、表示中のページを、2ページ分先に進めた(又は前に戻した)ページを表示するように切り替える。
【0027】
また、上記説明では、図3(a)の上図や図4(a)に示すように、ユーザが、指を突起部15の全てに載せるようにした場合を例としたが、指の載せ方はこれに限定されない。突起部15の全てに指を載せる必要はなく、任意の位置にある突起部15に指を載せ、そこから指を移動させるようにしてもよい。
【0028】
また、上記説明では、図1に示すように右手用と左手用の2つの操作部12を備える例としたが、数はこれに限定されない。例えば、操作部12を1つだけ備えるようにしてもよい。その場合、1つの操作部12にて、図3で説明した操作(ページ送りの操作)及び図4で説明した操作(ページ戻しの操作)を受け付けることになる。よって、どちらの操作が行われたのかを識別するために、ユーザが指を突起部15に載せて力を加えたときにその突起部15が傾く方向を検知する方向検知手段を備える必要がある。方向検知手段は、例えば、圧力検知手段として機能する図2のセンサ16が方向検知機能を兼ね備えてもよいし、あるいは、圧力検知手段として機能する図2のセンサ16とは別に、方向検知機能を備えたセンサを設けるようにしてもよい。方向検知機能を備えたセンサは、例えば、1つの突起部に対して複数設けられるようにし、突起部が右方向から弾かれたとき(図3)と突起部が左方向から弾かれたとき(図2)の圧力分布の変化を検知することにより、ページ送りの操作がされたか又はページ戻しの操作がされたかを検出するようにしてもよい。方向検知機能を備えたセンサは、図3(a)の上図に示すようにユーザにより突起部15が右方向に傾けられると、傾きが右方向である旨を示す方向検知信号を、制御手段へ出力する。一方、方向検知機能を備えたセンサは、図4(a)に示すようにユーザにより突起部15が左方向に傾けられると、傾きが左方向である旨を示す方向検知信号を、制御手段へ出力する。制御手段には予め、突起部15の傾きが右方向である場合はページ送りを行い、突起部15の傾きが左方向である場合はページ戻しを行うように設定されている。よって、制御手段は、入力された方向検知信号において、傾きが右方向を示す場合にはページ送り制御を実行するようにし、傾きが左方向を示す場合にはページ戻し制御を実行するようにする。このようにして、操作部12が1つであってもページ送り及びページ戻しの両方を実現できる。
【0029】
また、上記説明では、タブレット端末10において、同一筐体に、操作部12(突起部15、センサ16)及び制御手段を備える例としたが、これに限定されない。例えば、デスクトップパソコンに適用する場合、制御手段はPC本体の筐体に内蔵し、操作部12はキーボードやマウスといった、PC本体の筐体に接続される周辺機器に備えるようにしてもよい。
【0030】
また、上記説明では、操作部12がタブレット端末10の正面に配置される例としたが、これに限定されない。例えば、操作部12は、タブレット端末10の側面にそれぞれ配置されてもよい。すなわち、操作部12は、備えられる機器・装置においてユーザビリティを考慮した任意の位置に備えられればよい。
【0031】
以上説明したように、本実施形態によれば、実際の書籍におけるページ捲りに近い直感的な操作により、表示中の静止画像データのページ切り替えを実現することができる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0033】
10 タブレット端末
11 表示部
12 操作部(右手用)
13 操作部(左手用)
14 配線
15 突起部
16 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより操作される方向に傾き、前記操作が終了すると元の位置に戻る突起部と、
前記突起部が傾いたときに前記操作により前記突起部に加えられた圧力を検知し、前記突起部が元の位置に戻ったときに前記操作の終了による前記圧力の低下を検知する圧力検知手段と、
前記圧力検知手段により前記圧力の低下が検知された場合、表示中の静止画像データのページを切り替える制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とするページビュー切替装置。
【請求項2】
前記突起部は柵状の部材であり、
前記柵状の部材が等間隔で並列に複数配置されることを特徴とする請求項1記載のページビュー切替装置。
【請求項3】
前記操作により前記突起部が傾いた方向を検知する方向検知手段をさらに有し、
前記制御手段は、
前記方向検知手段により検知された方向に応じて、ページを先に送るページ送り又はページを前に戻すページ戻しのいずれかを行うように制御することを特徴とする請求項1又は2記載のページビュー切替装置。
【請求項4】
前記突起部にはページ数が予め設定され、
前記制御手段は、
前記圧力検知手段により前記圧力の低下が検知された場合、前記予め設定されたページ数分の切り替えを行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のページビュー切替装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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