説明

ペースト組成物

【課題】白黒2層構造のバス電極におけるAg層(白層)と透明電極との接触抵抗値がより低く、かつ黒色度に優れる黒層を形成し得るペースト組成物を提供する。
【解決手段】黒色無機酸化物(A)、及び有機バインダー(B)を含有し、黒色無機酸化物(A)は、Ni3xCo3yMn3(1−x−y)(0≦x≦0.6、0≦y≦0.6、0.4≦(1−x−y))の組成式で表現されるペースト組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒色無機酸化物を含むペースト組成物の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
黒色無機酸化物を含むペースト組成物は、塗料用、インキ用、トナー用、ゴム・プラスチック用、電子材料用等に広く使用されている。
【0003】
黒色顔料である黒色無機酸化物としては、カーボンブラック、銅・鉄・マンガン系複合酸化物、四三酸化コバルトなどが知られている。その中でも四三酸化コバルトは、赤みや黄色みを呈しない黒色度に優れ、更には熱的、力学的に過酷な使用条件下においても安定であることが知られている。
【0004】
近年、これらの材料等に用いられる黒色顔料などにおいては、さらに赤みや黄色みを帯びない黒色顔料に対する要求が益々強くなってきている。
【0005】
このような要求に対して、特許文献1には、熱的及び力学的に過酷な使用条件においても安定で、かつ赤みや黄色みを呈しない黒色度を改善する目的として、ヒドロオキシ炭酸コバルト又は水酸化コバルトを酸化性雰囲気中で加熱して200℃〜500℃未満の温度で焼成した後、200℃未満の温度まで冷却し、再度酸化性雰囲気中で加熱して500℃〜800℃の温度で焼成して得られる四三酸化コバルト粉末からなる黒色顔料が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されている四三酸化コバルトは、近年の黒色度に対する高い要求を十分に満足できていなかった。
【0006】
また、四三酸化コバルトを用いたペースト組成物は、白黒2層構造のバス電極の下層(黒層)ペーストに使用した場合、Ag層(白の上層)と透明電極の接触抵抗値が必ずしも所望する十分な低さを有していない。すなわち、上記用途に用いられるペースト組成物は、電極の発光のムラ、画像の欠陥、消費電力の増大等の問題が発生する可能性がある。このためAg層と透明電極の接触抵抗値がより低くなるペースト組成物が求められていた。
【特許文献1】特開2003−138160号公報、特許請求の範囲等
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、具体的には、白黒2層構造のバス電極におけるAg層(白層)と透明電極との接触抵抗値がより低く、かつ黒色度に優れる黒層を形成し得るペースト組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定組成のマンガンを含有する複合酸化物を用いることによって上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0009】
即ち、上記課題を解決することができる本発明のペースト組成物は以下のとおりである。
【0010】
(1)黒色無機酸化物(A)、及び有機バインダー(B)を含有し、黒色無機酸化物(A)は、Ni3xCo3yMn3(1−x−y)(0≦x≦0.6、0≦y≦0.6、0.4≦(1−x−y))の組成式で表現されることを特徴とするペースト組成物。
【0011】
(2)(1)に記載のペースト組成物の焼成物からなる、基板上に形成された焼成物パターン。
【0012】
(3)基板上に形成された焼成物層が、Ni3xCo3yMn3(1−x−y)(0≦x≦0.6、0≦y≦0.6、0.4≦(1−x−y))の組成式で表現される黒色無機酸化物(A)を含むことを特徴とする焼成物パターン。
【0013】
(4)(2)または(3)の焼成物パターンは、プラズマディスプレイパネルの前面板におけるバス電極を構成することを特徴とする。
【0014】
なお、特許請求の範囲及び明細書の記載において、x,y,zの値は、ICP発光分析法にて測定されたCo,Ni,及びMn含有率の値に基づく。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、例えば、白黒2層構造のバス電極におけるAg層(白層)と透明電極との接触抵抗値がより低く、かつ黒色度に優れる黒層を形成し得るペースト組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明のペースト組成物について詳細に説明する。
黒色無機酸化物(A)
本発明の黒色無機酸化物は、実質的にNi3xCo3yMn3(1−x−y)(0≦x≦0.6、0≦y≦0.6、0.4≦(1−x−y))で表される。図1はその組成を示すNi−Co−Mn3元系状態図である。本発明の範囲内であれば、白黒2層構造のバス電極におけるAg層と透明電極との接触抵抗値と、黒層の黒色度がともに優れる。例えば、接触抵抗値は15〜25Ωと低く、かつ黒層の黒色度はL値で6〜12、a値で0〜3、b値で0〜4であり、優れた値となる。ここで、上記L値、a値、b値が上記範囲から外れると、赤みや黄色みが強くなり、黒層の黒色度が悪くなる。一方、黒色無機酸化物の組成が本発明の範囲から外れると、接触抵抗値、黒色度のいずれか又は両方が本発明に劣る。
【0017】
本発明にかかる黒色無機酸化物は、緑色を呈するNiO等の不純物相を生成することにより、黒色度が悪くなるので、NiOの不純物相は、黒色無機酸化物のX線回折において、2θ=62.9度の回折ピークの強度と、2θ=61〜66度の最大強度を有する回折ピークの強度比率が0.9よりも小さいことが好ましい。更には、上記強度比率が0.7よりも小さいことが特に好ましい。
【0018】
また、本発明に係るペースト組成物中の黒色無機酸化物の粒子は、一次粒径D50(一次粒径の個数分布曲線において、その累積頻度が50%の粒径を意味する)が0.10〜0.60μmであることが好ましく、より好ましくは、0.16〜0.60μmであり、更に好ましくは0.20〜0.40μmであり、かつ最大一次粒径が2.0μm以下であることが好ましい。一次粒径D50が0.10μmよりも小さくなると、粒子の赤み、黄色みが強くなり、0.60μmよりも大きくなると、粒子の黒さが低くなるので、共に好ましくない。また、最大一次粒径が2.0μmよりも大きくなると、粒子の黒さが低くなる傾向にあるため、最大一次粒径2.0μm以下が好ましい。
【0019】
このような黒色無機酸化物の粒子は、反応槽において、不活性ガス雰囲気下、反応温度30〜70℃に維持しつつ、十分な攪拌を加えながら、ニッケル塩、コバルト塩およびマンガン塩の混合水溶液に錯化剤としてアンモニア水溶液を添加し、かつpHを9〜12に維持するようアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて、ニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を生成し、このニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を固液分離、水洗、乾燥後、空気雰囲気下または酸素雰囲気下、温度600〜800℃で熱処理することにより得ることができる。
【0020】
本発明の黒色無機酸化物を用いたペースト組成物によれば、バス電極の比抵抗値に影響を及ぼすことなく、Ag層と透明電極との接触抵抗値をより低くすることができる。その結果、接触抵抗値を低く抑えることによりパネルの発光ムラの改善、発光特性の向上、低消費電力を達成することができる。
【0021】
黒色無機酸化物(A)は、分散性と黒色度とを考慮して、ペースト中に1〜30質量%、好ましくは5〜25質量%とするのがよい。
【0022】
また、黒色無機酸化物(A)は、焼成後においては、接触抵抗値と黒色度を考慮して、黒層中に10〜100質量%の割合で含まれていることが好ましい。
【0023】
有機バインダー(B)
次に、前記有機バインダー(B)としては、カルボキシル基を有する樹脂、具体的にはそれ自体がエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂及びエチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のいずれも使用可能である。好適に使用できる樹脂(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)としては、以下のようなものが挙げられる。
【0024】
(1)(a)不飽和カルボン酸と(b)不飽和二重結合を有する化合物を共重合させることによって得られるカルボキシル基含有樹脂
(2)(a)不飽和カルボン酸と(b)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体にエチレン性不飽和基をペンダントとして付加させることによって得られるカルボキシル基含有感光性樹脂
(3)(c)エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物と(b)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、(a)不飽和カルボン酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂
(4)(e)不飽和二重結合を有する酸無水物と(b)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、(f)水酸基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂
(5)(g)エポキシ化合物と(h)不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂
(6)(b)不飽和二重結合を有する化合物とグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体のエポキシ基に、(i)1分子中に1つのカルボキシル基を有し、エチレン性不飽和結合を持たない有機酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂
(7)(j)水酸基含有ポリマーに(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂
(8)(j)水酸基含有ポリマーに(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂に、(c)エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物をさらに反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂
前記したようなカルボキシル基含有感光性樹脂及びカルボキシル基含有樹脂は、単独で又は混合して用いてもよいが、いずれの場合でもこれらは合計で組成物全量の10〜80質量%の割合で配合することが好ましい。これらの有機バインダーの配合割合が上記範囲よりも少な過ぎる場合、形成する塗膜中の上記樹脂の分布が不均一になり易く、充分な光硬化性及び光硬化深度が得られ難く、選択的露光、現像によるパターニングが困難となる。一方、上記範囲よりも多過ぎると、焼成時のパターンのよれや線幅収縮を生じ易くなるので好ましくない。
【0025】
また、上記カルボキシル基含有感光性樹脂及びカルボキシル基含有樹脂としては、それぞれ重量平均分子量1,000〜100,000、好ましくは5,000〜70,000、及び酸価50〜250mgKOH/g、かつ、カルボキシル基含有感光性樹脂の場合、その二重結合当量が350〜2,000、好ましくは400〜1,500のものを好適に用いることができる。上記樹脂の分子量が1,000より低い場合、現像時の塗膜の密着性に悪影響を与え、一方、100,000よりも高い場合、現像不良を生じ易いので好ましくない。また、酸価が50mgKOH/gより低い場合、アルカリ水溶液に対する溶解性が不充分で現像不良を生じ易く、一方、250mgKOH/gより高い場合、現像時に塗膜の密着性の劣化や光硬化部(露光部)の溶解が生じるので好ましくない。さらに、カルボキシル基含有感光性樹脂の場合、感光性樹脂の二重結合当量が350よりも小さいと、焼成時に残渣が残り易くなり、一方、2,000よりも大きいと、現像時の作業余裕度が狭く、また光硬化時に高露光量を必要とするので好ましくない。
【0026】
水溶性分散剤
本発明に好適に使用される水溶性分散剤は、酸価が30mgKOH/g以上、且つアミン価が20mgKOH/g以上の両性系の分散剤である。このような分散剤を用いることにより、分散性の高い長期に安定なペーストを得ることができる。この理由は、酸価が30mgKOH/g、アミン価が20mgKOH/gよりもいずれかが小さい分散剤を用いた場合、黒色無機酸化物と有機バインダーとの分散性が低下し、そのため現像性が低下し残渣が発生しやすくなる。また、保存安定性が低下し、経時で分離が発生しやすくなる。
【0027】
また、本発明に用いる分散剤は水溶性のものを用いる。その理由は、分散剤が水溶性でないと、無機酸化物スラリーの長期保存時に、スラリー中の溶剤と無機酸化物との間で分離が生じやすくなり、長期に安定な分散性の高い無機酸化物スラリーとなりにくいからである。
【0028】
上記水溶性分散剤は、その10質量%水溶液pHが6.0〜10.0であることが好ましい。分散剤の10質量%水溶液pHが6.0よりも小さくなると黒色無機酸化物ペースト中の無機酸化物と分散剤が反応することにより、長期保存した場合、黒色無機酸化物ペースト中の無機酸化物の溶解を生ずる可能性がある。一方、分散剤の10質量%水溶液pHが10.0よりも大きくなると黒色無機酸化物ペーストの長期保存時に、黒色無機酸化物ペーストの溶剤と無機酸化物の分離が生じやすくなり、分散性の高い長期に安定な黒色無機酸化物ペーストとならない。
【0029】
このような特性を有する分散剤としては、Disperbyk-180, Disperbyk-187,Disperbyk-191,(いずれもビックケミー社製、商品名)が挙げられる。
【0030】
水溶性分散剤は、分散性と黒色度とを考慮して、有機バインダー(B)100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。より好ましくは0.5〜10質量部、更に好ましくは1〜6質量部とする。
【0031】
光重合性モノマー
次に、本発明のペースト組成物は、組成物の光硬化性の促進及び現像性を向上させるために光重合性モノマーを配合することができる。この光重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート,2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及び上記アクリレートに対応する各メタクリレート類;フタル酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、こはく酸、トリメリット酸、テレフタル酸等の多塩基酸とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとのモノ−、ジ−、トリ−又はそれ以上のポリエステルなどが挙げられるが、特定のものに限定されるものではなく、またこれらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの光重合性モノマーの中でも、1分子中に2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。
【0032】
このような光重合性モノマーの配合量は、前記有機バインダー(カルボキシル基含有感光性樹脂及び/又はカルボキシル基含有樹脂)(B)100質量部当り20〜100質量部が適当である。光重合性モノマーの配合量が上記範囲よりも少ない場合、組成物の充分な光硬化性が得られ難くなり、一方、上記範囲を超えて多量になると、塗膜の深部に比べて表面部の光硬化が早くなるため硬化むらを生じ易くなる。
【0033】
光重合開始剤
次に、本発明のペースト組成物は、さらに光重合開始剤を配合することができる。この光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシー2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のアミノアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;又はキサントン類;(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィネイト等のフォスフィンオキサイド類;各種パーオキサイド類などが挙げられ、これら公知慣用の光重合開始剤を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
これらの光重合開始剤の配合割合は、前記有機バインダー(カルボキシル基含有感光性樹脂及び/又はカルボキシル基含有樹脂)(B)100質量部当り1〜30質量部が適当であり、好ましくは、5〜20質量部である。
【0035】
また、上記のような光重合開始剤は、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類のような光増感剤の1種あるいは2種以上と組み合わせて用いることができる。さらに、より深い光硬化深度を要求される場合、必要に応じて、可視領域でラジカル重合を開始するチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュアー784等のチタノセン系光重合開始剤、ロイコ染料等を硬化助剤として組み合わせて用いることができる。
【0036】
本発明において、ペースト組成物に多量の無機フィラーやガラス粉末を配合した場合、得られる組成物の保存安定性は悪く、ゲル化や流動性の低下により塗布作業性が悪くなる傾向がある。従って、本発明の組成物では、組成物の保存安定性向上のため、無機フィラーやガラス粉末の成分である金属あるいは酸化物粉末との錯体化あるいは塩形成などに効果のある化合物、例えば有機酸などの安定剤を添加することが好ましい。この安定剤の添加量は前記の無機フィラーやガラス粉末100質量部当り0.1〜10質量部の割合が好ましい。
【0037】
ガラス粉末
本発明のペースト組成物は、焼成後におけるパターンの密着性向上のため、必要に応じて軟化点400〜600℃のガラス粉末を、本発明のペースト組成物の特性を損なわない量的割合で配合することができる。このガラス粉末としては、ガラス転移点(Tg)300〜500℃、ガラス軟化点(Ts)400〜600℃のものが好ましい。また、解像度の点からは、平均粒径20μm以下、好ましくは5μm以下のガラス粉末を用いることが好ましい。
【0038】
このようなガラス粉末としては、酸化鉛、酸化ビスマス、又は酸化亜鉛などを主成分とする非結晶性フリットが好適に使用できる。
【0039】
ガラス粉末は、ペースト中に1〜25質量%、好ましくは5〜20質量%配合することができる。
【0040】
他の配合成分
本発明においては、組成物のペースト化のための希釈剤、あるいは、各種塗布工程に応じた粘度調整のための希釈剤として、適宜の量の有機溶剤を配合することができる。具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テルピネオールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
本発明のペースト組成物は、さらに必要に応じて、シリコーン系、アクリル系等の消泡・レベリング剤、塗膜の密着性向上のためのシランカップリング剤、等の他の添加剤を配合することもできる。さらにまた、必要に応じて、公知慣用の酸化防止剤や、焼成時における基板との結合成分としての金属酸化物、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物などの微粒子を添加することもできる。
【0042】
ペースト組成物の使用
本発明のペースト組成物は、予めフィルム状に成膜されている場合には基板上にラミネートすればよいが、ペースト状組成物の場合、スクリーン印刷法、バーコーター、ブレードコーターなど適宜の塗布方法で基板、例えばPDPの前面基板となるガラス基板に塗布し、次いで指触乾燥性を得るために熱風循環式乾燥炉、遠赤外線乾燥炉等で例えば約60〜120℃で5〜40分程度乾燥させて有機溶剤を蒸発させ、タックフリーの塗膜を得る。その後、選択的露光、現像、焼成を行なって所定のパターンを形成する。
【0043】
露光工程としては、所定の露光パターンを有するネガマスクを用いた接触露光及び非接触露光が可能である。露光光源としては、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、レーザー光、メタルハライドランプ、ブラックランプ、無電極ランプなどが使用される。露光量としては50〜1000mJ/cm程度が好ましい。
【0044】
現像工程としてはスプレー法、浸漬法等が用いられる。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウムなどの金属アルカリ水溶液や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン水溶液、特に約1.5質量%以下の濃度の希アルカリ水溶液が好適に用いられるが、組成物中のカルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基がケン化され、未硬化部(未露光部)が除去されればよく、上記のような現像液に限定されるものではない。また、現像後に不要な現像液の除去のため、水洗や酸中和を行なうことが好ましい。
【0045】
焼成工程においては、現像後の基板を空気中又は窒素雰囲気下で約400〜600℃の加熱処理を行ない、所望のパターンを形成する。なお、この時の昇温速度は、20℃/分以下に設定することが好ましい。
【実施例】
【0046】
(本発明に係る実施例及び比較例)
以下に実施例及び比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、「部」及び「%」とあるのは、特に断りがない限り全て質量基準である。
【0047】
下記作製例で得られた黒色無機酸化物スラリーと、合成例で得られた有機バインダーと作製例で得られたガラススラリーを用いて、ペースト化を行ない、その評価を行なった。
【0048】
(Ni−Co−Mn黒色無機酸化物の作製)
硫酸ニッケルと硫酸コバルトと硫酸マンガンとが、下記実施例1〜3、比較例1−5に対応する所定のモル比率になるようにイオン交換水に溶解してニッケル、コバルト、マンガンの1.5mol/L金属塩水溶液を作製した。
【0049】
窒素雰囲気下、反応槽温度が50℃になるように制御しながら、10Lのイオン交換水の入った有効容積15L反応槽に十分な攪拌を行った。
【0050】
上記攪拌を行っている反応槽に1.5mol/L金属塩水溶液及び硫酸アンモニウム水溶液を滴下しながら、pHが10.8を維持するように水酸化ナトリウム水溶液を滴下することで、球状のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を得た。
【0051】
この球状のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物を焼成温度650℃で5時間熱処理し粉砕することにより、黒色無機酸化物を得た。
【0052】
得られた黒色無機酸化物のCo、Ni、及びMn含有率については、試料である黒色無機酸化物を塩酸溶解し、ICP発光分析法にてCo、Ni、及びMnの測定を行った。
【0053】
一次粒径D50については、FE SEM(電界放射型走査型電子顕微鏡)で20,000〜70,000倍の写真を撮影し、200個の一次粒子のフェレー径を測定した。
【0054】
(黒色無機酸化物スラリーの作製)
上記で得られた黒色無機酸化物15kgを溶剤トリプロピレングリコールモノメチルエーテル5.09kgと分散剤BYK180(商品名、ビックケミー社製)0.21kgの混合溶液に黒色無機酸化物粉末の凝集した粉末塊が混合溶液中に残らないように攪拌機を用いて1時間攪拌し予備スラリーを得た。
尚、ビーズミルベッセル内及び配管等に溶剤トリプロピレングリコールモノメチルエーテルが1.12kg存在することを確認した。
このようにして得られた予備スラリーを直径0.1mmジルコニアビーズを体積換算で充填率85%充填されたローターの回転周速12m/sビーズミル(アシザワ・ファインテック社製LMZ4型)へポンプにて導入して循環、湿式粉砕を行ない黒色無機酸化物スラリーを得た。
レーザー回折法による粒子径測定でスラリーの平均粒径が0.26〜0.31μmに達したところを終点とした。
【0055】
(有機バインダー(B−1)の合成)
温度計、攪拌機、滴下ロート、及び還流冷却機を備えたフラスコに、メチルメタクリレートとメタクリル酸を0.87:0.13のモル比で仕込み、溶媒としてジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、触媒としてアゾビスイソブチロニトリルを入れ窒素雰囲気下、80℃で2〜6時間攪拌し、有機バインダー(B−1)を得た。この有機バインダー(B−1)は、重量平均分子量が約30,000、酸価が90mgKOH/g、固形分50%であった。なお、得られた有機バインダー(B−1)(共重合樹脂)の重量平均分子量の測定は、島津製作所製ポンプLC−6ADと昭和電工製カラムShodex(登録商標)KF−804、KF−803、KF−802を三本つないだ高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
【0056】
(ガラススラリーの作製)
ガラス粉末としては、Bi 50%、B 16%、ZnO 14%、SiO 2%、BaO 18%、熱膨張係数α300=86×10−7/℃、ガラス軟化点501℃のものを使用した。
また、ビーズミルでの粉砕は、三井鉱山株式会社製SC50を用い、メディア径を0.3〜0.8mmΦのZrO製のビーズを使用し、回転数2,000〜3,300rpmで、3〜9時間粉砕を実施した。
尚、粒度測定は、堀場レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920を、使用した。
ガラス粉末を粗粉砕した後、300メッシュのスクリーンにてフィルタリングを行ない、このガラス粉末70質量部と2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノブチレートを29.16質量部、それに分散剤として、BYK−410を0.14質量部、BYK−182を0.7質量部加えて、ビーズミルにて微粉砕し、D50:1.0μm、Dmax:3.9μmのガラス粉末の含有量が70質量%のスラリーを作製した。
作製したガラススラリーを、更にSUS製200×1400綾畳織りのメッシュにてろ過を行ったが、粒度分布に変化は見られなかった。
【0057】
(組成物例1)
有機バインダー(B−1) 100.0部
ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 110.0部
トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート 30.0部
ジベンタエリスリトールヘキサアクリレート 15.0部
ポリエステルアクリレート(商品名M−7100、東亜合成社製) 50.0部
レベリング剤(商品名モダフロー、モンサント社製) 3.0部
リン酸エステル 1.0部
ガラススラリー 43.0部
黒色無機酸化物スラリー(黒色無機酸化物組成 Ni:Co:Mn=20:20:60) 67.0部
2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モリフォリノプロパン-1-オン 10.0部
2,4-ジエチルチオキサントン 3.0部
4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン 1.0部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 3.0部
(組成物例2)
黒色無機酸化物スラリー(黒色無機酸化物組成 Ni:Co:Mn=20:20:60)を黒色無機酸化物スラリー(黒色無機酸化物組成 Co:Mn=50:50)に置き換えたこと以外は組成物例1と同様の組成にてペースト化を行なった。
【0058】
(組成物例3)
黒色無機酸化物スラリー(黒色無機酸化物組成 Ni:Co:Mn=20:20:60)を黒色無機酸化物スラリー(黒色無機酸化物組成 Ni:Co:Mn=10:45:45)に置き換えたこと以外は組成物例1と同様の組成にてペースト化を行なった。
【0059】
(比較組成物例1)
黒色無機酸化物スラリー(黒色無機酸化物組成 Ni:Co:Mn=20:20:60)を黒色無機酸化物スラリー(黒色無機酸化物組成 Ni:Co:Mn=33:33:33)に置き換えたこと以外は組成物例1と同様の組成にてペースト化を行なった。
【0060】
(比較組成物例2)
黒色無機酸化物スラリー(黒色無機酸化物組成 Ni:Co:Mn=20:20:60)を黒色無機酸化物スラリー(黒色無機酸化物組成 Ni:Co:Mn=20:60:20)に置き換えたこと以外は組成物例1と同様の組成にてペースト化を行なった。
【0061】
(比較組成物例3)
黒色無機酸化物スラリー(黒色無機酸化物組成 Ni:Co:Mn=20:20:60)を黒色無機酸化物スラリー(黒色無機酸化物組成 Ni:Co:Mn=60:20:20)に置き換えたこと以外は組成物例1と同様の組成にてペースト化を行なった。
【0062】
(比較組成物例4)
黒色無機酸化物スラリー(黒色無機酸化物組成 Ni:Co:Mn=20:20:60)を黒色無機酸化物スラリー(黒色無機酸化物組成 Ni:Co:Mn=70:10:20)に置き換えたこと以外は組成物例1と同様の組成にてペースト化を行なった。
【0063】
(比較組成物例5)
黒色無機酸化物スラリー(黒色無機酸化物組成 Ni:Co:Mn=20:20:60)を黒色無機酸化物スラリー(黒色無機酸化物組成 Ni:Co:Mn=0:100:0)に置き換えたこと以外は組成物例1と同様の組成にてペースト化を行なった。
【0064】
(ペーストの分散)
組成物例1〜3及び比較組成物例1〜5の各ペースト成分をポリ容器に各配合し、ディゾルバーにて500rpm10分間攪拌を行なう。その後、セラミック製3本ロールにて2回練肉を行ない、ペーストを作製した。
【0065】
このようにして得られた組成物例、比較組成物例の各感光性ペーストについて、それぞれ試験片を作製し、黒色度ならびに接触抵抗値について評価した。
【0066】
(試験片の作製方法)
ガラス基板上に、評価用の各感光性ペーストを300メッシュのポリエステルスクリーンを用いて全面に塗布し、次いで、熱風循環式乾燥炉にて90℃で20分間乾燥して約4μmの塗膜を形成した。次に、光源として超高圧水銀灯を用い、乾燥塗膜上の積算光量が600mJ/cm2となるように露光した後、液温25℃の0.4wt%Na2CO3水溶液を用いて現像を行ない、水洗した。こうして得たヘ゛タ膜を昇温:14℃/min.温度:590℃で10分間焼成を行った。焼成後の膜上に誘電体(商品名:YPT-065F(AP5655AE)、旭硝子社製)を100メッシュのポリエステルスクリーンを用いて全面に塗布した。次いで、熱風循環式乾燥炉にて90℃で20分間乾燥した後、14℃/min.温度:580℃で10分間焼成を行ない、試験片を得た。
【0067】
(黒色度の測定)
上記方法によって作製した試験片について、色彩色差計(ミノルタカメラ(株)製、CR−221)を用いてL表色系の値をJIS−Z−8729にしたがって測定し、明度を表す指数であるL値を黒色度の指標として評価した。このL値が小さいほど黒色度に優れる。
【0068】
(接触抵抗値測定用基板の作製)
あらかじめITO皮膜が形成されているガラス基板(旭ガラス社製PD200)上に、評価用の各感光性ペーストを200メッシュのポリエステルスクリーンを用いて全面に塗布し、次いで、熱風循環式乾燥炉にて90℃で20分間乾燥して約5μmの塗膜を形成した。次に、光源として超高圧水銀灯を用い、乾燥塗膜上の積算光量が600mJ/cm2となるように露光した後、露光塗膜上にAgペースト(配合組成は後記する)を200メッシュのポリエステルスクリーンを用いて全面に塗布し、次いで、熱風循環式乾燥炉にて90℃で20分間乾燥して約10μmの塗膜を形成した。さらに光源に超高圧水銀灯を用い、乾燥塗膜上に400mJ/cmとなるようにパターン露光した後、液温25℃の0.4wt%Na2CO3水溶液を用いて現像を行ない、水洗した。こうして得た基板を昇温:14℃/min.温度:590℃で10分間焼成を行ない図2のようなパターンを形成した試験片を得た。
【0069】
(接触抵抗値の測定)
図2の焼成パターンXは、接触抵抗値の測定に用いられたもので、をHIOKI社製:HIOKI3540mΩハイテスタを用いてこの焼成パターンの接触抵抗値の測定((1)〜(5))を行い、その平均値を求めた。
尚、「測定不能」の表示は、該測定器で計れる限界の数値を超えていることを意味する。
【0070】
(比抵抗値の測定)
図2の焼成パターンYは、比抵抗値の測定に用いられたもので、HIOKI社製:HIOKI3540mΩハイテスタを用いてこの焼成パターンの抵抗値の測定及び比抵抗値算出を行なった。比抵抗値の算出は次の通りである。
【0071】
比抵抗値(Ω・cm)=ライン抵抗値(Ω)×膜厚(cm)×ライン幅(cm)/ライン長さ(cm)
尚、「測定不能」の表示は、該測定器で計れる限界の数値を超えていることを意味する。
【0072】
黒色度測定、接触抵抗値測定、比抵抗値測定の結果について表1に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
この表1に示す結果から明らかなように、本発明の感光性ペーストを使用することにより、黒色度が良好であり、かつ接触抵抗値の低い焼成膜を提供できることが確認された。
【0075】
なお、実施例の組成物例1〜3について、ペーストの分散性を調べたところ、分散性の高い長期に安定なペーストを得ることができることが確認された。
【0076】
(露光塗膜上に塗布するAgペーストの配合組成)
Agペーストは、有機バインダー(B−2)、銀粉等を配合して作製された。
【0077】
(有機バインダー(B−2)の合成)
温度計、攪拌機、滴下ロート、及び還流冷却器を備えたフラスコに、溶媒としてジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、触媒としてアゾビスイソブチロニトリルをいれ窒素雰囲気下、80℃に加熱し、メタクリル酸及びメチルメタアクリレートを、メタクリル酸:0.4mol、メチルメタアクリレート:0.6molのモル比で混合したモノマーを約2時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌後、温度を115℃まで上げて失活させ、樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を冷却後、触媒として臭化テトラブチルアンモニウムを用い95〜115℃、30時間の条件で、ブチルグリジルエーテル:0.4molを、得られた樹脂のカルボキシル基の等量と付加反応させ、冷却した。さらに、得られた樹脂のOH基に対して、95〜105℃、8時間の条件で、無水テトラヒドロフタル酸0.26molを付加反応させ、冷却後取り出して固形分の55%の有機バインダー(B−2)を得た。
【0078】
銀粉は、平均粒径(D50)2.2μm、最大粒径(Dmax)6.3μm、表面積0.3m/gのものを使用した。
【0079】
(Agペーストの配合組成)
有機バインダー(B−2) 100.0部
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート 90.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート 25.0部
トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート 25.0部
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−
(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン 10.0部
銀粉 450.0部
ガラススラリー 22.0部
リン酸エステル 1.0部
消泡剤(BYK−354:ビックケミージャパン製) 1.0部
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る黒色無機酸化物の組成を示すNi−Co−Mn3元系状態図(太線の範囲内が本発明の範囲)。
【図2】焼成パターンを形成した試験片で、パターンXは接触抵抗値の測定に、パターンYは比抵抗値の測定に用いられた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色無機酸化物(A)、及び有機バインダー(B)を含有し、黒色無機酸化物(A)は、Ni3xCo3yMn3(1−x−y)(0≦x≦0.6、0≦y≦0.6、0.4≦(1−x−y))の組成式で表現されることを特徴とするペースト組成物。
【請求項2】
請求項1記載のペースト組成物の焼成物からなる、基板上に形成された焼成物パターン。
【請求項3】
基板上に形成された焼成物層が、Ni3xCo3yMn3(1−x−y)(0≦x≦0.6、0≦y≦0.6、0.4≦(1−x−y))の組成式で表現される黒色無機酸化物(A)を含むことを特徴とする焼成物パターン。
【請求項4】
プラズマディスプレイパネルの前面板におけるバス電極を構成することを特徴とする請求項2または3に記載の焼成物パターン。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−149461(P2009−149461A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327881(P2007−327881)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(591021305)太陽インキ製造株式会社 (327)
【Fターム(参考)】