説明

ペーパタオルホルダ

【課題】従来の水濡れ防止のペーパタオルホルダは、小型化が困難であり、また構造が複雑で安価に製造することが困難であった。
【解決手段】本発明のペーパタオルホルダは、全体がほぼ直方体状をなし、内部に積層体21を収納する収納部8が設けられ、正面部2にペーパタオルの引出口3が設けられ、他の面に積層体21を収納する開口部10が設けられ、底面部4に背面部6側から正面部2側に向かって低くなる傾斜ガイド面5が設けられたホルダ本体1と、収納部8において、一端が背面部6に取り付けられ、他端が底面部4に取り付けられた弾性部材11とを備える。そして、弾性部材11は、開口部10から、弾性部材11上に積層体21が載置され、ホルダ本体1の底面部4と背面部6の方向に突出するようにたわんで、ペーパタオルの積層数に応じて復元力によって、積層体21を引出口3の方向に押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペーパタオルホルダに関し、詳細には、水平面に載置することができる水濡れ防止のペーパタオルホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
ペーパタオルは、洗面所や台所で用いられる使い捨ての紙製のシートであり、主に手拭き用に用いられる。多くの場合には、矩形状のペーパタオルの一部を折り曲げ、折った内側の面に他の同様に折り曲げたペーパタオルの折った内側の面を交互に重ねて積層された状態で提供される。このように積層されたペーパタオルを引出口のある容器に収納して、引出口からペーパタオルを1枚ずつ順次引き出す。上述の折り重ねた積層状態によって、1枚目のペーパタオルを引き出すと、続いて2枚目のペーパタオルの一部が引き出され次の引き出しに備える。
【0003】
このように積層されたペーパタオルを収納するペーパタオルホルダは、一般的には、ホルダ本体の上面にペーパタオルを引き出すためのペーパタオルの幅程度の幅を有する引出口が設けられている。多くの場合、ペーパタオルホルダは、洗面所や台所等の水平な場所に置かれて用いられる。利用者は、ペーパタオルホルダの上方に洗った手をもっていき、ペーパタオルホルダの引出口から上方に向かって突出しているペーパタオルをつまんで引き出す。このため、濡れた手をペーパタオルの突出している上方にもっていくので、水滴がたれてペーパタオルを濡らしてしまう。ペーパタオルホルダの引出口は、上方に向かって開口しているので、水滴がたれると、1枚目のペーパタオルを濡らしてしまうばかりでなく、ペーパタオルホルダ内に収納されているペーパタオルまで汚損してしまう場合がある。ペーパタオルは、一般家庭や店舗で用いられるばかりでなく、病院等の医療機関や飲食店の調理場等においても用いられ、ペーパタオルの汚損は、衛生上の問題となり得る。
【0004】
ペーパタオルホルダを水平な場所に置くことによる、ペーパタオルの引出口を上部に設けることの問題を避けるために、水平面に対して垂直な面、たとえば壁面にペーパタオルホルダを据え付けて、下部からペーパタオルを引き出すタイプのペーパタオルホルダがある。
【0005】
しかしながら、壁面にペーパタオルホルダを据え付けてしまうと、家庭用、医療用、店舗用等さまざまな利用の場面において、ペーパタオルホルダを容易に持ち歩いたり、置く場所を自由に選ぶことができなくなり、ペーパタオルホルダの利便性が損なわれる。また、壁面に据え付けるには、壁面に固定するための加工が壁面に対しても必要となり、ガラス面や全面鏡の洗面所には据え付けることができない等の不便が生じる。
【0006】
そこで、本件出願人は、特許文献1に示すペーパタオルホルダを提案している。この特許文献1のペーパタオルホルダでは、収納部の下部に脚部を備えることにより、ペーパタオルホルダを水平面に置きながら、収納部分の下部からペーパタオルを引き出すようになっている。
【0007】
また、ペーパタオルホルダ自体は水平面に置きながら、ペーパタオルホルダの正面に引出口を設けることにより、ペーパタオルを前方に引き出すタイプのペーパタオルホルダとしては特許文献2に示すものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3137582号公報
【特許文献2】特開平11−76097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1のペーパタオルホルダでは、水平面にペーパタオルホルダを載置して脚部に支えられた収納部の下部からペーパタオルを引き出すので、収納されているペーパタオルは、濡れた手による水滴等で汚損されることはない。しかしながら、濡れた手を脚部の間に突っ込んで、下方に引っ張らなければならず、不便である。また、収納部と脚部との間にペーパタオルを引き出すための空間が必要であり、さらに収納部の高さのために、ペーパタオルホルダ全体として、一定以上の高さが必要となり、小型化に制約がある。また、積層されたペーパタオルの自重により引出口のある下方にペーパタオルを押し付ける構造となっている。そのため、ペーパタオルを使用したことにより、積層枚数が減った場合にはペーパタオルの自重による下方への押圧が小さくなるため、ペーパタオルを引き出しにくくなることがある。
【0010】
特許文献2のペーパタオルホルダは、水平面に載置して前方に向かって開口した引出口からペーパタオルを引き出すため、収納部に収納されたペーパタオルを水滴等で汚損することはない。特許文献2のペーパタオルホルダでは、収納本体の背面から正面に向かって低下する傾斜を底面にもたせることに加えて、収納本体の背面側からスプリングにより正面に向かって押圧を加える構成となっている。このため、ペーパタオルが引出口から順次取り出されるごとに、ペーパタオルが正面側に押し付けられるため、ペーパタオルの積層枚数が減っても引き出しにくくならない。しかしながら、背面に備えられたスプリングは、積層されたペーパタオルに直接押圧を加えるのではなく、積層されたペーパタオルを収納する支持板、押圧板を押圧する構成となっている。このため、スプリングの長さが短くならざるを得ず、ペーパタオルの積層枚数が少なくなると、正面側へ押圧する力がペーパタオルの自重にのみ依存することになるので、ペーパタオルを引き出しにくくなることには特許文献1のペーパタオルと変わりない。また、ペーパタオルを収納するための構造や、スプリングにより押圧する構造が複雑となり、安価に製造することが困難であるとの問題がある。
【0011】
そこで、小型化が可能で、構造が簡単で最後の1枚までスムーズに引き出すことができ、安価に製造することができる水濡れ防止のペーパタオルホルダを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のペーパタオルホルダは、全体がほぼ直方体状をなし、内部にペーパタオルの積層体よりもやや幅広の、積層体を収納する収納部が設けられ、正面部に最前のペーパタオルをほぼ水平方向に引き出す引出口が設けられ、他の面に積層体を収納する開口部が設けられ、底面部に背面部側から正面部側に向かって低くなる傾斜ガイド面が設けられたホルダ本体と、収納部において、一端が背面部の上側に取り付けられ、他端が底面部の正面部側又は正面部の底面部側に取り付けられ、一端の取付位置と他端の取付位置との2点間の直線距離よりも長い、上記ホルダ本体の上面の方向に突出するようにたわんだ状態の板状の弾性部材とを備える。そして、本発明のペーパタオルホルダに備える弾性部材は、収納部の開口部から、弾性部材上に積層体が載置され、ホルダ本体の底面部と背面部の方向に突出するようにたわんだ状態で積層体を引出口の方向に押圧し、積層体が少なくなると、弾性部材の復元力によって積層体を引出口の方向に押圧する。
【発明の効果】
【0013】
以上のように構成された本発明に係るペーパタオルホルダによれば、ペーパタオルの積層体の自重によって、傾斜した傾斜ガイド面にしたがって正面部の方向に向かって滑り落ちるように押し付ける力を生ずる。また、弾性部材は、ホルダ本体の底面部と背面部の方向に突出するようにたわんだ状態で、積層体を引出口の方向に押圧し、積層体が少なくなると、弾性部材の復元力によって積層体を引出口の方向に押圧する。これによって、ペーパタオルは、積層体の枚数が多いときも少ないときも安定して引出口のある正面部に向かって押し付けられ、最後の1枚までスムーズに引き出すことができる。正面部にある引出口からペーパタオルをほぼ水平方向に引き出すため、ホルダ本体に収納されたペーパタオルを水滴等で汚損するのを防止することができる。ホルダ本体を、ペーパタオルを収納できる程度の大きさの形状とすることができ、小型化が容易であり、簡単な構造であるため、低コストで容易に製造できる。
【0014】
また、本発明に係るペーパタオルホルダによれば、ペーパタオルをほぼ水平方向に引出口から引き出すようにペーパタオル積層体が収納されるので、本体の奥行きを短くしてコンパクトにすることができ、載置面積を小さくでき、壁面等に取り付けた場合に突出スペースを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明が適用されたペーパタオルホルダと収納されるペーパタオルの積層体の斜視図である。
【図2】本発明が適用されたペーパタオルホルダの図1におけるA−A部の断面図である。
【図3】本発明が適用されたペーパタオルホルダにペーパタオルの積層体を収納した状態を示す図1におけるA−A部の断面図である。
【図4】本発明が適用されたペーパタオルホルダの上部に蓋体を取り付けた状態を示す断面図である。
【図5】本発明が適用されたペーパタオルホルダの正面部の上部を引出口の方向に傾けるように構成した実施の形態を示す断面図である。
【図6】ペーパタオル積層体の折り目がない方の縁を弾性部材上に接するように載置するために全体を縦長の直方体状に形成したペーパタオルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明が適用されたペーパタオルホルダについて図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1〜3に示すペーパタオルホルダは、ペーパタオルの積層体21が収納されるホルダ本体1を有する。ホルダ本体1は、ほぼ直方体状をなし、積層体21を収納する収納部8を有する。収納部8は、上面に開口された開口部10を有する。ここで、ペーパタオルは、ほぼ正方形状のペーパタオルの1辺に対して平行にほぼ1/2の箇所を折り曲げ、折った内側の面に他の同様に折り曲げたペーパタオルの折った内側の面を交互に重ねて各縁をそろえて積層された積層体21の状態で提供される。このため、収納部8は、積層体21を収納できるように、正面部2及び背面部6が積層体21の幅より広く形成され、積層体21の積層数に対応した長さの奥行きを有するように側面部7が形成される。開口部10の幅は、積層体21の幅より広く、奥行きは、積層体21の積層数に応じた奥行きになるように開口される。ホルダ本体1は、正面部2にペーパタオルを引き出すための引出口3を有している。引出口3は、収納部8に収納されたペーパタオルをスムーズに引き出すために、ペーパタオルの幅程度又はペーパタオルの幅よりやや広く形成される。ホルダ本体1の底面部4には、背面部6側から正面部2側に向かって低くなる傾斜ガイド面5が形成されている。傾斜ガイド面5によって、弾性部材11を介してペーパタオルの積層体21が載置されたときに、弾性部材11の面は、背面部6側から正面部2側に低くなる傾斜を有する。
【0018】
ホルダ本体1は、一般にポリスチレンやABS樹脂等の合成樹脂を射出一体成型することによって製造される。ただし、射出一体成型に限らず、正面部2と、正面部に対向して配置される背面部6と、側面部7と、底面部4からなる各部材を組み合わせて構成してもよい。また、材質については、合成樹脂に限らず、ステンレス等の金属を用いることも、木材等その他の材質のものを用いることができ、複数の材質のものを組み合わせて、周知の方法で成型することが可能である。
【0019】
板状の弾性部材11は、ほぼ矩形状であり、一端が背面部6の上側に取り付けられ、他端が底面部の正面部2側に取り付けられる。弾性部材11の他端は、正面部2の底面部4側に取り付けられてもよい。弾性部材11の開口部10側の面上には、積層体21が載置されるので、ペーパタオルの幅とほぼ等しいことが望ましい。1枚の弾性部材によって構成してもよく、複数の同じ長さの弾性部材を並列に配置することによって構成してもよい。弾性部材11は、図2に示すように、背面部6及び底面部4の取付箇所の長さよりも長い必要があり、これにより、たわんで正面部及び上方に向かって突出する。
【0020】
弾性部材11は、アクリル樹脂製の薄板を用いることが好ましいが、他の合成樹脂、たとえばポリエチレン、ポリスチレン等の薄板を用いることや、ステンレス等の金属製の薄板を用いることも可能である。ホルダ本体1への弾性部材11の両端部の取り付けには、合成樹脂同士であれば適切な接着剤等を用い、金属同士であれば溶接等を用いることができる。あるいは、弾性部材11の先端部に係止爪を形成し、接続する背面部6及び底面部4の該当する箇所に形成した係止孔に挿入する嵌め込み式により接続することができる。また、弾性部材11の一端及び他端のそれぞれの両側に張り出すようにピン状の軸を形成し、正面部2及び底面部4の該当する箇所に係止孔を形成してピン状の軸を係止孔に挿入して係止することによって接続することができる。周知のこれらの方法に限らずさまざまな方法により接続することができる。
【0021】
以上のようなペーパタオルホルダにおいて、積層体21は、図1及び図3に示すように、各縁をそろえて、折り目のある側の縁を弾性部材11上に載置するようにホルダ本体1の開口部10から収納部8に収納される。なお、後述するように、折り目のない方の縁を弾性部材11上に載置するようにホルダ本体1内に収納してもよい。開口部10の幅は、積層体21の幅より広く、奥行きは、積層体21の積層数に応じた奥行きになるように開口されている。収納部8は、積層体21を収納できるように、正面部2及び背面部6が積層体21の幅より広く形成され、積層体21の積層数に対応した長さの奥行きを有するように側面部7が形成されている。したがって、積層体21の最前にあるペーパタオルの面は、引出口3のある正面部2側に向き、積層体21の最後にあるペーパタオルの面は、背面部6側に向くように載置される。このとき、弾性部材11は、積層体21の自重によって底面部4及び背面部6の方向に突出するようにたわむ。
【0022】
図3は、図1のA−A部における断面図であり、積層体21をホルダ本体1の収納部8に収納して弾性部材11上に載置した状態を示している。
【0023】
積層体21には、以下説明する3つの力が作用して、積層体21は、背面部6側から正面部2側に押し付けられる。まず、積層体21が開口部10から収納部8に挿入されると、その自重によって弾性部材11は、底面部4と背面部6の方向に突出するようにたわむことによって積層体21から圧力を受ける。弾性部材11は、この圧力に抗しながら、その弾性により底面部4の傾斜ガイド面5に押し付けられる。傾斜ガイド面5は、背面部6側から正面部2側に向かって低下する傾斜を有しているので、弾性部材11も同様の傾斜を有する。この傾斜によって、積層体21は、その自重に応じて背面部6側から正面部2側に向かう力を受ける。また、弾性部材11は、積層体21の自重に抗する弾性力によって、積層体21に対して力を及ぼし、その力は、背面部6側から正面部2側に向かってはたらく力の成分を有する。したがって、この力は、積層体21を正面部2に押し付ける力として作用する。さらに、積層体21が弾性部材11上に載置されると、弾性部材11は、積層体21の背面部6側の面によって背面部6側に押しひろげられる。このため、弾性部材11は、弾性部材11の押しひろげられた変位量に応じて、積層体21の背面部6側の面を正面部2側に押圧する。これにより、積層体21は、弾性部材11から正面部2側に押し付けられる力を受ける。かくして、これら3つの力が作用して、積層体21は、背面部6側から正面部2側に押し付けられることになる。
【0024】
積層体21の最前のペーパタオルを引出口3から引き出すと、弾性部材11は、正面部2に向かう力により、積層体21を正面部2の方向に押し付け続けるので、次々にペーパタオルを引出口3から引き出すことができる。ペーパタオルを引き出すことにより、積層体21の積層枚数が減少すると、積層体21の自重によって押圧する力は小さくなる。一方、図3の破線のように、弾性部材11は、積層体21の縁及び背面部6側の面を押し付ける力を加え続けるので、ペーパタオルの積層枚数にしたがって積層体21を正面部2側に押し付ける力を生じ続ける。そして、弾性部材11は、復元力によって、ホルダ本体1の上面の方向に突出して、図2に示すような状態にまで復元する。したがって、常に積層体21は、正面部2に押し付けられるので、ペーパタオルの最後の1枚まで引出口3から引き出すことができる。引出口3は、ペーパタオルをほぼ水平方向に引き出すように開口されているので、手に付いた水滴等がたれて引出口3からホルダ本体1内部に水滴等が浸入することがない。また、ホルダ本体1は、ペーパタオルの積層体21を収納できる程度の大きさにできるので小型化できる。上述のように、簡単な構造であるので、低コストで容易に製造する事ができる。
【0025】
なお、ペーパタオルは、たとえばティッシュペーパ等と比較すると、1枚当たりの厚さが厚く、それに応じて1枚当たりの重量も重い。したがって、ペーパタオルでは、ティッシュペーパ等では不可能な、その縁により自立させ、その自重によって効果的に押圧する力を生ぜしめることができる。
【0026】
図4は、ホルダ本体1の収納部8の開口部10を覆うように蓋体9を付加した状態を示す断面図である。ペーパタオルの引出口3は正面部2にあるので、ペーパタオルを引き出す際には濡れた手についた水滴等が引出口3から収納部8に浸入することはない。しかしながら、ペーパタオルホルダは、洗面所や台所等の水平な場所に置いて使用するので、ホルダ本体1の上部を開口させた状態のままだと手洗い時の飛沫によって、あるいは濡れた手をホルダ本体1の上方にもっていった際に、収納されているペーパタオルを汚損させてしまうおそれがある。そこで、ホルダ本体1の収納部8の開口部10を覆うように蓋体9を取り付けることによって、水滴等のホルダ本体1内部への浸入を防止することができる。
【0027】
蓋体9は、ホルダ本体1と同一の材質のものでもよく、異なる材質のものであってももちろんよい。図4のように、蓋体9をホルダ本体1の上部に嵌合させる構造であってもよく、蓋体9とホルダ本体1の一部を蝶番等により開閉自在としてもよい。その他周知の方法で、ホルダ本体1と蓋体9との結合を図ることが可能である。
【0028】
図5は、正面部2の上側をペーパタオルを引き出す方向にやや傾けることにより、開口部10の面積を広げた変形例を示す図である。開口部10の面積を広げることにより、積層体21をホルダ本体1内に収納することがより容易になる。また、正面部2の上側を傾けることによって、濡れた手で引出口3から露出しているペーパタオルをつまんだ際に、手に付いた水滴は、引出口3の方向ではなく、手首の方向に流れるため、引出口3から浸入しにくくなる。さらに、傾斜ガイド面5に対してほぼ垂直になるように正面部2を傾けて構成すると、積層体21が正面部2に押し付けられたときに、正面部2と積層体21との間の下部に隙間ができにくくなるので、ペーパタオルを引き出しにくくならない。なお、上述した蓋体9を組み合わせて収納部8への水滴等の浸入を防止することももちろん可能である。
【0029】
図6は、ペーパタオルの折った縁でない方の縁をそろえて積層体21を弾性部材11上に載置するように構成した変形例を示す図である。図1に示すペーパタオルホルダが横長の状態で積層体21を収納するのに対し、積層体21を縦長に収納する。ペーパタオルの引出口3は、ペーパタオルの幅と同程度又はペーパタオルの幅よりもやや幅広にして縦長に開口される。横長に構成した、図1に示すペーパタオルホルダでは、ペーパタオルホルダの設置面積がとれないような場所であっても、ペーパタオルホルダを図6のように縦長に構成することでより狭い場所でも置くことができる。
【0030】
なお、本発明の実施の形態では、ペーパタオルホルダのホルダ本体1を水平な場所に置いて、ペーパタオルを水平方向に引き出す場合について説明したが、背面部6又は側面部7に固着部材を追加すれば、壁面等の水平でない場所にも設置することができ、ペーパタオルを水平方向に引き出すことが可能であることはいうまでもない。
【0031】
また、上述した具体的な実施の形態に限定されるものではなく、本発明の原理及び趣旨にしたがって、さまざまな変形が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0032】
1 ホルダ本体、2 正面部、3 引出口、4 底面部、5 傾斜ガイド面、6 背面部、7 側面部、8 収納部、9 蓋体、10 開口部、11 弾性部材、21 積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体がほぼ直方体状をなし、内部にペーパタオルの積層体よりもやや幅広の、該積層体を収納する収納部が設けられ、正面部に該積層体の最前のペーパタオルをほぼ水平方向に引き出す引出口が設けられ、他の面に該積層体を収納する収納部に開口部が設けられ、底面部に、背面部側から正面部側に向かって低くなる傾斜ガイド面が設けられたホルダ本体と、
上記収納部において、一端が背面部の上側に取り付けられ、他端が底面部の正面部側又は正面部の底面部側に取り付けられ、該一端の取付位置と該他端の取付位置との2点間の直線距離よりも長い、上記ホルダ本体の上面の方向に突出するようにたわんだ状態の板状の弾性部材とを備え、
上記弾性部材は、上記開口部から、該弾性部材上に上記積層体が載置されたときに、上記ホルダ本体の底面部と背面部の方向に突出するようにたわんで、該積層体を上記引出口の方向に押圧し、該積層体が少なくなるにつれて、該弾性部材の復元力によって該積層体を該引出口の方向に押圧することを特徴とするペーパタオルホルダ。
【請求項2】
上記ホルダ本体の正面部の上側は、上記ペーパタオルの引き出す方向に傾いていることを特徴とする請求項1記載のペーパタオルホルダ。
【請求項3】
上記弾性部材は、プラスチック製薄板又は金属製薄板のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2記載のペーパタオルホルダ。
【請求項4】
上記収納部の開口部は、上記ホルダ本体の上側に設けられていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のペーパタオルホルダ。
【請求項5】
上記収納部の開口部を覆う蓋体を更に備えることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のペーパタオルホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−34803(P2013−34803A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175798(P2011−175798)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(394006222)大富士製紙株式会社 (2)
【Fターム(参考)】