説明

ペーパータオル収納箱

【目的】本発明は、ペーパータオルの取り出しのための開口部開けが簡単にできると共に、ペーパータオル自体の取り出し時において、皺になりにくくできると共に、極めて取り出し易くすること。
【構成】比較的厚手のペーパータオルの取出しのために取出し口が形成されたペーパータオル収納箱において、前記取出し口は、中央の斜方形開口部1と該斜方形開口部1の長手方向の両端に端部U字形開口部3,3として上面Aの長手方向の間隔目いっぱいに形成されている。斜方形開口部1の長軸Nは上面7Aの水平線Gに対して平面的に見て適宜な傾斜角度θに形成され、且つ両端部U字形開口部3,3の周縁にはU字形ミシン目4が、両端部U字形開口部3,3との接合箇所を除きつつ斜方形開口部1の周縁には斜方形ミシン目2がそれぞれ形成されていること。U字形ミシン目4が指で破れる力の破断力fが斜方形ミシン目2の破断力Fよりも小さく形成されてなること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペーパータオルの取り出しのための開口部開けが簡単にできると共に、ペーパータオル自体の取り出し時において、皺になりにくくできると共に、極めて取り出し易くできるペーパータオル専用のペーパータオル収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ペーパータオル収納箱は、種々のものが存在している。特に、その折り畳み状になっているペーパータオルが、小さな収納箱に約20乃至約75枚が積層されて、紙製の箱又はボックス、収納箱に入って、家庭又は業務用などで手拭きや、調理用などに使われている。このペーパータオルは、ティシュペーパーよりも厚く、一枚当たり約25〜60g/m(米坪)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−85287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、ペーパータオル専用のホルダー(収納箱)が開示されているが、単に、収納箱の長手方向目一杯に横孔が形成されるように片方はミシン目aが他方は折り目bが形成され、且つ側面に設けられた切れ目cと円弧状のミシン目dとで構成されている。この場合であると、該ミシン目dを破断し、その切れ目cを介して半円部を取り除き、両側を処理し、そして、前記ミシン目aを破断して、その後に、ガイド片6を立ち上げて開口し、横孔が始めて形成できるものである。
【0005】
このように、両側の半円部を取り除き作業でのゴミ片の発生があり、1本線状のミシン目aを破断してその直後にガイド片6を立ち上げ作業があり、作業が面倒である欠点があった。また、市販されているペーパータオル収納箱では、図8に示すように、収納箱の長手方向の両端よりも内側位置間に、横孔が形成されるように周囲にミシン目が形成されている。
【0006】
この市販のペーパータオル収納箱では、ペーパータオルの横幅が横孔の長さよりも大きいために、取り出すときに抵抗となり、出しにくいのみならず、皺が発生し、見た目にも悪いという欠点があった。
【0007】
このため、本発明が解決しようとする課題(技術的課題又は目的等)は、ペーパータオルの取り出しのための開口部開けが簡単にできると共に、ペーパータオル自体の取り出し時において、皺になりにくくできると共に極めて取り出し易くできることを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、比較的厚手のペーパータオルが複数重層されて束として収容され、その上面部分に一枚ずつ前記ペーパータオルの取出しのために取出し口が形成されたペーパータオル収納箱において、前記取出し口は、中央の斜方形開口部と該斜方形開口部の長手方向の両端に端部U字形開口部として前記上面の長手方向の間隔目いっぱいに形成されていると共に、前記斜方形開口部の長軸は前記上面の水平線に対して平面的に見て適宜な傾斜角度に形成され、且つ前記両端部U字形開口部の周縁にはU字形ミシン目が、前記両端部U字形開口部との接合箇所を除きつつ前記斜方形開口部の周縁には斜方形ミシン目がそれぞれ形成されてなり、さらに前記U字形ミシン目の指で破れる力の破断力が前記斜方形ミシン目の破断力よりも小さく形成されてなることを特徴とするペーパータオル収納箱さとしたことにより、前記課題を解決した。
【0009】
請求項2の発明を、請求項1おいて、前記端部U字形開口部の前記斜方形開口部箇所との接合箇所は円弧状に形成されてなることを特徴とするペーパータオル収納箱としたことにより、前記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1又は2において、前記斜方形ミシン目は、全周にわたりカット部分及び連結部分からなる内側ミシン目と外側ミシン目とによる二重ミシン目として形成され、前記U字形ミシン目は、カット部分及び連結部分からなる一重ミシン目として形成されてなることを特徴とするペーパータオル収納箱としたことにより、前記課題を解決した。
【0010】
請求項4の発明を、請求項1,2又は3の何れか1項において、ペーパータオルが重畳状態で2つ折りに形成されてなることを特徴とするペーパータオル収納箱としたことにより、前記課題を解決した。請求項5の発明を、請求項1,2又は3の何れか1項において、ペーパータオルが重畳状態で3つ折りに形成されてなることを特徴とするペーパータオル収納箱としたことにより、前記課題を解決した。
【0011】
請求項6の発明を、請求項1,2,3,4又は5の何れか1項において、前記斜方形開口部の長軸が前記上面の水平線に対する傾斜角度は、5度〜25度に形成されてなることを特徴とするペーパータオル収納箱としたことにより、前記課題を解決した。請求項7の発明を、請求項1,2,3,4,5又は6の何れか1項において、前記ペーパータオルは、1枚当たり25〜60g/mに形成されてなることを特徴とするペーパータオル収納箱としたことにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明においては、ペーパータオルの取り出しのための開口部開けが簡単にできると共に、ペーパータオル自体の取り出し時において、皺になりにくくできると共に極めて取り出し易くできる最大の利点がある。特に、ペーパータオルの取り出しのための開口部開けは、一番簡単にでき、高効率長寿命化を実現できる。さらに、請求項2の発明では、前記斜方形開口部を開けるときに指に良く掛かり極めて開けやすくでき、子供でも老人でも簡単に開口部を開けることができる効果がある。
【0013】
請求項3の発明では、特に、整然として開口部を開けることができる。請求項4又は5では、種々のペーパータオルでも対応できる利点がある。請求項6の発明では、通常のタイプのペーパータオルでは、全てに亘り、簡単に開口ができると共に、スムーズにペーパータオルの取り出しができる。
【0014】
つまり、従来では、厚手ゆえに、ガサ付いており、ペーパータオルを引っ張るときに、思わぬ抵抗がかかるのみならず、しわしわが生じるものであり、見た目にも悪い印象を与えがちであった点を全て解消することができた。さらに、請求項7の発明では、厚手のペーパータオルに極めて良好に対応できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)は本発明の斜視図、(B)は本発明の平面図、(C)は(B)の(ア)部拡大図である。
【図2】(A)はペーパータオルを入れて使用状態を示す収納箱の平面図、(B)は収納箱自体の平面図である。
【図3】(A)は端部U字形開口部を親指にて開口破断する直前の収納箱要部の断面図、(B)は(A)の斜視図、(C)は端部U字形開口部を親指にて開口破断完了した直後の収納箱要部の断面図、(D)は(C)の斜視図、(E)は斜方形開口部の端を人差指にて開口破断する直前の収納箱要部の断面図、(F)は斜方形開口部の端を人差指にて開口破断している状態の収納箱要部の断面図、(G)は(F)の要部斜視図である。
【図4】(A)は端部U字形開口部を親指にて開口破断完了した後において、該端部U字形開口部片が下方に傾斜した状態の収納箱要部の断面図、(B)及び(C)はペーパータオルを開口部から取り出している状態図、(D)は開口部からペーパータオルを取り出し、次に残っているペーパータオルが入っている断面図である。
【図5】(A),(B),(C)及び(D)は、他の実施形態を示す収納箱要部の平面図である。
【図6】本発明の別の実施形態であって、収納箱の上面の水平線に対して平面的に見て傾斜角度がマイナス側に形成されている平面図である。
【図7】(A)はペーパータオルを入れて使用状態を示す収納箱の平面図、(B)は(A)の要部斜視図、(C)は(A)のY−Y矢視図である。
【図8】ペーパータオルを入れて使用状態を示す従来の収納箱の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明すると、図1乃至図2に示した図は、ペーパータオルP用の収納箱7であって、直方体状をなしている。この内部には、ポップアップ式に上側から一枚ずつ取り出すように交互に積層された比較的厚手のペーパータオルPが数十枚(約20乃至約80枚)が収納されている。
【0017】
該収納箱7の上面7Aには、一枚ずつのペーパータオルPの取出し口を形成するための斜方形開口部1と該斜方形開口部1の長手方向の両端に端部U字形開口部3,3が目いっぱいに形成されている〔図1(A),(B)及び図2(B)参照〕。
【0018】
具体的には、前記斜方形開口部1の周縁(両端を除き)には、斜方形ミシン目2,2が形成され、前記端部U字形開口部3の周縁には、U字形ミシン目4が形成されている。前記斜方形ミシン目2は、使用開始時に取り除かれ、内部に収容されたペーパータオルPを取出すための前記斜方形開口部1が形成される。
【0019】
前記斜方形開口部1と両端部U字形開口部3,3とで、開口された後には、斜方形状開口Kが形成される。このとき、重要なことは、前記端部U字形開口部3のU字形ミシン目4が破断された後においても、その収納箱7の上面7Aの外形を形成する外形線箇所は折り目43として形成され、後々までの残り、前記端部U字形開口部3は保持される。
【0020】
前記斜方形開口部1の長軸Nは前記上面7Aの水平線Gに対して平面的に見て傾斜角度θが形成されている。実施形態では、約5度〜約25程度である。好ましくは、約10度前後に形成されている。
【0021】
前記斜方形ミシン目2は、具体的には、図1(C)に示すように、前記両端部U字形開口部3との接合箇所を除きつつ,略全周にわたり、外側ミシン目21と内側ミシン目22とによる二重ミシン目として形成されている。
【0022】
さらに詳述すると、外側ミシン目21および内側ミシン目22をともにカット部分21b、22b と連結部分21a、22aをそれぞれ同じとしながら、それぞれのミシン目のカット部分21b、22bが千鳥状配置となるように外側ミシン目21と内側ミシン目22とを同一状に形成されている。さらに、前記斜方形ミシン目2の「くの字」状辺の屈曲部分のみが、一重ミシン目として形成されることもあるが、これでも大部分は二重ミシン目として形成されている。
【0023】
また、前記端部U字形開口部3,3のミシン目4は、一重ミシン目として形成され、直線状ミシン目41と円弧状ミシン目42とから構成されている。前記直線状ミシン目41も、前記円弧状ミシン目42も、カット部分41b,42bと連結部分41a,42aとして形成されている。
【0024】
前記直線状ミシン目41は、前記斜方形ミシン目2に連続しつつ直線状に形成された部位であり、前記円弧状ミシン目42は、特に、前記斜方形開口部1との接合箇所であって、円弧状に形成された部位である。前記ミ直線状シン目41及び円弧状ミシン目42は連続して形成されている。
【0025】
前記ミシン目を指で押圧して破れる力を、この明細書において「破断力」という。すると、前記U字形ミシン目4の破断力fが、前記斜方形ミシン目2の破断力Fよりも小さく形成されている。つまり、
U字形ミシン目4の破断力f<斜方形ミシン目2の破断力F
破断力f<破断力F
として形成されている。U字形ミシン目4が斜方形ミシン目2よりも破断し易くなっている〔図1(C)参照〕。
【0026】
これによって、図3において、親指にて前記端部U字形開口部3を押したとき〔図3(C)及び(D)参照〕、U字形ミシン目4のみが破断され、前記斜方形開口部1の斜方形ミシン目2は残っている状態を呈する。
【0027】
また、前記U字形ミシン目4において、円弧状ミシン目42のカット部分42b は、前記連結部分41aの長さよりは極端に大きく形成され、破断力が僅かであっても破断できるように形成されている。つまり、より破断し易く形成されることもある。
【0028】
前述したように、前記斜方形開口部1と両端部U字形開口部3,3とで、開口された後には、斜方形状開口Kが形成されるが、該斜方形状開口Kは、菱形状をなし、その対角線状の開口最大幅をL0とする〔図2(B)参照〕。該開口最大幅L0は、前記収納箱7の長手方向の両側部7C,7Cの内側壁の幅Lmaxに対して傾斜角度θの線状における間隔である。
【0029】
このときには、両端部U字形開口部3,3は、図4(B)に示すように、下側に折れ曲がっておりペーパータオルPが比較的厚手であっても開口部としては、開口最大幅L0が形成されている。この図4(B)では、開口最大幅L0は、傾斜角度θ曲がっていることが条件となる。ここで、ペーパータオルPの幅をLとすると、
【0030】
開口最大幅L0は>収納箱7長手方向の内側壁幅Lmax>ペーパータオルPの幅L
つまり、開口最大幅L0>内側壁幅Lmax>ペーパータオル幅L
ペーパータオルPは、収納箱の幅よりも大きな開口最大幅L0を有する斜方形状開口Kを備えているので、ペーパータオルPを取りだすときに、その斜方形状開口Kに抵抗になることなく、極めてスムーズに取り出すことができる。
【0031】
また、前記斜方形開口部1や前記斜方形状開口Kは、簡単に言うと、菱形状をなしており、これを適宜な傾斜角度θが形成されていることから、前述したように、開口最大幅L0を得られるのみならず、菱形の長手方向の「くの字形」の一辺は平行になったり、近づいたりするが、他辺は傾斜状となり、この傾斜状辺が、図2(A)において右側のように、ペーパータオルPの先端側を上側に伸ばすように作用させる機能を有している。
【0032】
また、その前記斜方形開口部1の形状としては、図5(A)〜(D)に示すように、その菱形状を変形する場合もある。図5(A)では、菱形状を太めに形成した場合であり、図5(B)では、菱形状を細めに形成した場合である。図5(C)では、菱形状を円弧辺状に形成した場合であり、図5(D)では、両端部U字形開口部3を大きめに形成した場合である。何れの実施形態でも、図1及び図2と同様の機能を発揮しうる。
【0033】
図6の実施形態では、図1(B)の場合と勝手反対の場合である。すなわち、前記斜方形開口部1の長軸Nの傾斜角度θは、前記上面の水平線に対して平面的に見てマイナス側(時計方向に)に形成されている。実施形態では、約マイナス10度に形成されている。この場合でも、図1及び図2と同様の機能を発揮する。
【0034】
前記ペーパータオルPは、実施形態においては、3つ折りに形成されとおり、この場合には、ポップアップ式に取りだしたときには、常に、図2(A)に示すように、ペーパータオルPは下向きになっているが、図示しない重畳状態で2つ折りの場合には、上側向き、下側向きが交互になるが、特に、略対称形の斜方形のために、3つ折りの場合と同等の効果がある。
【符号の説明】
【0035】
P…ペーパータオル、1…斜方形開口部、2…斜方形ミシン目、21…外側ミシン目、
21…内側ミシン目、21b、22b、41b,42b …カット部分、
21a、22a、41a,42a…連結部分、3…端部U字形開口部、
4…U字形ミシン目、N…長軸、f,F…破断力、G…水平線、θ…傾斜角度、
7…収納箱、7A…上面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
比較的厚手のペーパータオルが複数重層されて束として収容され、その上面部分に一枚ずつ前記ペーパータオルの取出しのために取出し口が形成されたペーパータオル収納箱において、前記取出し口は、中央の斜方形開口部と該斜方形開口部の長手方向の両端に端部U字形開口部として前記上面の長手方向の間隔目いっぱいに形成されていると共に、前記斜方形開口部の長軸は前記上面の水平線に対して平面的に見て適宜な傾斜角度に形成され、且つ前記両端部U字形開口部の周縁にはU字形ミシン目が、前記両端部U字形開口部との接合箇所を除きつつ前記斜方形開口部の周縁には斜方形ミシン目がそれぞれ形成されてなり、さらに前記U字形ミシン目の指で破れる力の破断力が前記斜方形ミシン目の破断力よりも小さく形成されてなることを特徴とするペーパータオル収納箱。
【請求項2】
請求項1おいて、前記端部U字形開口部の前記斜方形開口部箇所との接合箇所は円弧状に形成されてなることを特徴とするペーパータオル収納箱。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記斜方形ミシン目は、全周にわたりカット部分及び連結部分からなる内側ミシン目と外側ミシン目とによる二重ミシン目として形成され、前記U字形ミシン目は、カット部分及び連結部分からなる一重ミシン目として形成されてなることを特徴とするペーパータオル収納箱。
【請求項4】
請求項1,2又は3の何れか1項において、ペーパータオルが重畳状態で2つ折りに形成されてなることを特徴とするペーパータオル収納箱。
【請求項5】
請求項1,2又は3の何れか1項において、ペーパータオルが重畳状態で3つ折りに形成されてなることを特徴とするペーパータオル収納箱。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5の何れか1項において、前記斜方形開口部の長軸が前記上面の水平線に対する傾斜角度は、5度〜25度に形成されてなることを特徴とするペーパータオル収納箱。
【請求項7】
請求項1,2,3,4,5又は6の何れか1項において、前記ペーパータオルは、1枚当たり25〜60g/mに形成されてなることを特徴とするペーパータオル収納箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−86825(P2013−86825A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227986(P2011−227986)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【特許番号】特許第5025819号(P5025819)
【特許公報発行日】平成24年9月12日(2012.9.12)
【出願人】(000219680)東海加工紙株式会社 (8)
【Fターム(参考)】