説明

ペーパーディスペンサー

【課題】使用者の安全を確保するとともに、きれいな切り口で且つ容易に紙製シートを切り取ることが可能なペーパーディスペンサーを提供する。
【解決手段】長尺の紙製シートを収容する筐体に設けられた取出口から紙製シートを所望の長さ引き出した後、取出口近傍に取り付けられた切り取り部により紙製シートを切り取ることが可能なペーパーディスペンサーにおいて、切り取り部に、先端部を覆うように、研磨微粉の粒度が#100〜#180であるサンドペーパーを取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペーパーディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺の紙製シート(例えば、ロールタオル等)を収容する筐体の取出口から紙製シートを所望の長さ引き出した後、当該紙製シートを取出口近傍に取り付けられた切り取り刃に押し当てて、幅方向に沿って引き裂くことにより、紙製シートを切り取ることが可能なペーパーディスペンサーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、例えば、使用者が紙製シートを使用する目的で当該紙製シートの切れ端(先端部)に向けて手指を差し出した場合、切り取り刃の存在が死角となって見えにくいこともあり、手指が刃先と接触する虞がある。仮に、使用者の手指が刃先と接触した場合、使用者の手指を傷つける虞があるため、使用者の安全の確保は重要な課題である。
【0004】
刃先から手指を守る技術を開示したものとしては、ラップフィルムの収納ケースにおいて、フィルム切断用の金属製鋸刃を取り付けている収納ケースの上蓋(紙蓋片)の先端を、鋸刃の山と谷との間にまで延出させる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
上記特許文献2に係る技術を、例えば特許文献1に係るペーパーディスペンサーに適用した場合、切り取り刃の突出部分の長さが短くなり、使用者の手指に深く食い込むことがなくなるので、使用者の安全確保の面で、一定の効果を期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−283280号公報
【特許文献2】特開2005−187015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、切り取り刃の突出部分の長さを短くしたとしても、刃先との接触を防止できるわけではないため、依然として手指を傷つける虞がある。
また、切り取り刃の突出部分の長さを短くした場合、紙製シートを切り取る際の切れ味が低下するため、切り取り動作に力を要するうえ、紙製シートの切り口が汚くなる虞がある。
【0007】
本発明は、使用者の安全を確保するとともに、きれいな切り口で且つ容易に紙製シートを切り取ることが可能なペーパーディスペンサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、長尺の紙製シートを収容する筐体に設けられた取出口から前記紙製シートを所望の長さ引き出した後、前記取出口近傍に取り付けられた切り取り部により前記紙製シートを切り取ることが可能なペーパーディスペンサーにおいて、
前記切り取り部には、先端部を覆うように、研磨微粉の粒度が#100〜#180であるサンドペーパーが取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のペーパーディスペンサーにおいて、前記切り取り部は、先端部から他端への方向と当該先端部に押し当てられた前記紙製シートとで形成される角度αが45°≦α≦70°となるように取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、切り取り部の先端部を覆うようにサンドペーパーが取り付けられているので、切り取り刃を使用したときのように使用者の手指を傷つける虞がなく、使用者の安全を確保することができる。また、切り取り刃を使用したときに比べ、紙製シートの切り口がきれいで滑らかであり、使用者に高級で柔らかい印象を与えることができる。さらに、金属製の切り取り刃を使用したときに比べ、サンドペーパー6を取り付けた切り取り部5は安価で作成することができるうえ、自然に帰し易いので環境によい。また、使用者は紙製シートを小さな力で切り取ることができ、子供やお年寄りであっても容易に紙製シートを切り取ることができる。なお、本発明で紙製シートを所望の長さ引き出すとは、紙製シートを手指でつかんで引き出すこと、又は、光センサ等を使って使用者の存在を検知して、紙製シートを自動的に引き出すこと、をいう。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、切り取り部が、先端部から他端への方向と当該先端部に押し当てられた紙製シートとで形成される角度αが45°≦α≦70°となるように取り付けられているので、使用者は紙製シートを小さな力で切り取ることができ、子供やお年寄りであっても容易に紙製シートを切り取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係るロールタオルディスペンサー100の外観斜視図である。
【図2】本実施形態に係るロールタオルディスペンサー100の蓋体を開けた状態について示した斜視図である。
【図3】図1中のV−V線の断面図である。
【図4】切り取り部5の拡大図である。
【図5】切り取り部5の先端部51の厚さRについて示した図である。
【図6】ロールタオルPの切り口について示した図である。
【図7】サンドペーパー6の研磨微粉の粒度毎のロールタオルPの切り取り易さを測定する方法について示した図である。
【図8】切り取り部5の先端部51から他端52への方向と当該先端部51に押し当てられたロールタオルPとで形成される角度αについて示した図である。
【図9】切り取り部5の取り付け位置の変形例について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、ペーパーディスペンサーとして、ロールタオルを収容したロールタオルディスペンサーを例示して説明を行う。
【0014】
図1,2に示すように、ロールタオルディスペンサー100は、長尺の紙製シート(ロールタオルP)を支持する収納体11と、収納体11の左右二つの側面11a,11a下部に一つずつ設けられたヒンジ部2,2により開閉可能に連結された蓋体12と、を備える筐体1内に、ロールタオルPを収容可能に構成されている。収納体11の後面11bは、キッチンや洗面所等の壁面に固定される。蓋体12は、ヒンジ部2を軸として回動させることで、正面方向(図中の矢印方向X)に向けて開閉自在となっている(図2参照)。使用者は、蓋体12を正面方向に向けて開けることで、ロールタオルPの収納体11への装填又は収納体11からの取り外しを自由に行うことができる。
また、収納体11の下面11cと蓋体12の下端部12aの合わせ目には取出口3が設けられている。使用者は、この取出口3を通じて、筐体1内に収容されたロールタオルPを引き出せるようになっている。
【0015】
収納体11は、図2に示すように、左右二つの側面11a,11a中央部に一つずつ設けられたペーパー支持部4,4により、ロール状に巻かれた紙製のロールタオルPを回転可能に支持する。
なお、ペーパー支持部4により支持されたロールタオルPの先端部P1は、筐体1下面に設けられた取出口3を通じて、筐体1外に引き出されるようになっている。
蓋体12の下端部12aには、ロールタオルPを切り取るための切り取り部5が取り付けられている。使用者は、蓋体12が閉じた状態(図1参照)で、引き出したロールタオルPの所望の位置を切り取り部5に押し当てた後、上方に引っ張ることで、ロールタオルPを切り取ることができる。
【0016】
ロールタオルPの先端部P1は、図3に示すように、取出口3付近に引き出された状態となっている。通常、使用者によりロールタオルPが切り取られると、ロールタオルPの切れ端(先端部P1)は、取出口3付近に位置することとなる。
また、蓋体12の下端部12aには、切り取り部5が、鉛直方向よりも筐体1の内部方向(図中の矢印方向Y)に先端部51が向かうように取り付けられている。切り取り部5は、最大厚さ5mm程度の略矩形板状の部材を先端部51に向かうにつれて厚さが薄くなるように形成したものであり、その先端部51にサンドペーパー6を貼り付けたものである(図4参照)。すなわち、切り取り部5には、先端部51を覆うようにサンドペーパー6が取り付けられている。使用者によりロールタオルPが切り取り部5の先端部51に押し当てられると、先端部51を覆うように取り付けられたサンドペーパー6の表面に塗布された研磨剤との摩擦により、ロールタオルPが切り取られることとなる。
【0017】
サンドペーパー6は、例えば紙状のシートに研磨剤を塗布したものであり、一般に研磨加工に用いられる。サンドペーパー6は、研磨剤の粒度(研磨微粉の粒度)によって目の粗さが定義されており、例えば、#100のように記載する。研磨微粉の粒度は、目の粗いものほど数字が小さくなり(例えば#60)、目の細かいものほど数字が大きくなる(例えば#320)。例えば、研磨微粉の粒度の小さい(目の粗い)サンドペーパー6を使用して研磨する場合、早く削ることができるが、削った箇所が滑らかにならない。一方、研磨微粉の粒度の大きい(目の細かい)サンドペーパー6を使用して研磨する場合、削った箇所は滑らかになるが、早く削ることができない。
【0018】
本実施形態に係るロールタオルディスペンサー100では、研磨微粉の粒度が#100〜#180のサンドペーパー6を使用している。研磨微粉の粒度が#100〜#180のサンドペーパー6を使用しているのは、その他のサンドペーパー6を使用したときに比べ、使用者がロールタオルPを切り取り易いからである。
【0019】
また、本実施形態に係るロールタオルディスペンサー100では、先端部51の厚さRが薄い切り取り部5(例えば、厚さR=1mm)を使用している。ここで、切り取り部5の先端部51の厚さRとは、図5に示すように、切り取り部5の先端部51を覆うように取り付けられたサンドペーパー6の最も先端部51側の部分、即ち、押し当てられたロールタオルPと直に接触する部分の厚さのことである。先端部51の厚さRが薄い切り取り部5を使用しているのは、厚さRが薄ければ薄いほど、使用者がロールタオルPを切り取り易いからである。
【0020】
なお、本実施形態に係る紙製シートは、例えば、バージンパルプ、古紙パルプまたはこれらの混合物のみを紙料として製造されたものである。古紙パルプを用いる場合、古紙パルプ100%またはバージンパルプを配合してもよい。また、パルプ繊維の種類は、特に限定されないが、針葉樹パルプを60〜100重量%、特に好適には80〜100重量% 用い、残量を広葉樹パルプとするのが好ましい。繊維の短い広葉樹パルプを高配合とすることで、繊維配向の影響が低減するとともに、より容易且つ緻密な引き裂きが可能になる。
【0021】
紙製シートの坪量は、例えばJIS P 8124(1998)に準じて測定した15〜65g/m2程度とすることができるが、中でも坪量が30〜60g/m2の厚手のものが好ましく、特に坪量が30〜50g/m2のものが好ましい。
【0022】
紙製シートは、JIS P 8113(1998)に規定される乾燥引張強度の縦横比が2.0以下であるのが好ましく、1.0〜1.8であるのが特に好ましい。この縦横比は、ワイヤーパートにおけるジェットワイヤー比等、各種抄造条件の変更により調整できる。乾燥引張強度の縦横比(縦方向/横方向)を低く抑えることで、縦裂けの発生が低減し、より直線状に近い引き裂きが可能となる。
【0023】
また、紙製シートは、JIS P 8113(1998)に規定される引張破断伸び(縦方向)が16%以下であるのが好ましく、13%以下であるのが特に好ましい。引張破断伸びは、クレープ加工の程度(所謂クレープ率)により調整することができる。引張破断伸びを低く抑えることにより、紙に加わる引裂力の方向が紙の伸びにより不規則に変化するのを防止し、縦や斜め方向への裂けの発生を低減することができる。
【0024】
より好ましい形態では、紙製シートは、JIS P 8116(2000)に規定される横方向の引裂強度が65gf以下とされる。また、引裂強度の縦横比は0.75以上、特に0.8以上が好ましい。横方向の引裂強度は、パルプの配合、叩解度(フリーネス)、引張破断伸び等を変更することにより調整できる。横方向の引裂強度ならびに引裂強度の縦横比がこの範囲内にあると、引き裂きに要する力が適切となるだけでなく、不要な力が不要な方向に作用し難くなり、より綺麗に引裂くことができるようになる。
【0025】
紙製シートは、紙製シートをロール状にしてなり、横方向に沿って引き裂いて使用するロール状製品、特にロール状のペーパータオルに好適である。このような製品では複数枚の紙シートを重ねて1枚として使用する形態があるが、このような形態では乾燥・湿潤引張強度、引張破断伸び、引裂強度等の試験値は1枚の状態における値を意味するものである。
【0026】
本発明は、ロール状ペーパータオルに限定されるものではないが、例えばJIS P 8124(1998)に準じて測定した30〜40g/m2程度のロール状ペーパータオルとする場合、紙厚の測定方法としては、JIS P 8111(1998)の条件下で、ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて測定するものとし、140〜220μmとし、湿潤引張強度(JIS P 8135 1998))は縦方向が500〜1500cN/25mm、横方向が200〜100cN/25mmであるのが好ましく、吸水量は100mm四方に裁断した試験片を網に載せ、この網ごと水の入った容器に浮かせ、試験片に十分に水が浸透した後に引き上げ、30秒間放置した後の試験片の質量を測定した。この測定質量から乾燥時の質量を引き100倍し、1m2当たりの吸水量とした。100〜200g/m2であるのが好ましく、乾燥引張強度(JIS P 8113 1998)は上記縦横比を満たす範囲内で、縦方向が1400〜3000cN/25mm、横方向が600〜1700cN/25mmであるのが好ましい。
【0027】
次に、ロールタオルディスペンサー100に係るロールタオルPの切り取り動作について説明する。
使用者により、取出口3付近に位置するロールタオルPの切れ端(先端部P1)を引き出す動作が行われると、ペーパー支持部4により支持されたロールタオルPの回転動作に伴い、ロールタオルPが引き出される。使用者は、ロールタオルPを所望の長さ引き出した後、ロールタオルPの所望の位置を蓋体12の下端部12aに取り付けられた切り取り部5の先端部51に押し当てて、上方に引っ張る動作を行う。このとき、ロールタオルPは、先端部51を覆うように取り付けられたサンドペーパー6に押し当てられ、サンドペーパー6の表面に塗布された研磨剤との摩擦により幅方向に沿って引き裂かれ、切り取られることとなる。
【0028】
ここで、従来技術に係る切り取り刃で切り取られた場合と、本実施形態に係る切り取り部5で切り取られた場合の、ロールタオルPの切り口を比較する。
従来技術に係る切り取り刃で切り取られた場合、図6(a)に示すように、ロールタオルPの切り口はぎざぎざの状態であり、使用者に粗雑で安っぽい印象を与えてしまう。
一方、本実施形態に係る切り取り部5で切り取られた場合、図6(b)に示すように、ロールタオルPの切り口はきれいで滑らかであり、使用者に高級で柔らかい印象を与えることができる。
【0029】
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
[実施例]
ロールタオルPとして、米坪が32.5g/m2、乾燥引張強度が縦2319cN/25mm、横1972CN、湿潤引張強度が縦1069cN/25mm、横704cN/25mm、吸水量が162g/m2、紙厚が183μm、のものを用いた。
【0031】
サンドペーパー6の研磨微粉の粒度毎にロールタオルPの切り取り動作に係る抵抗力を測定する。
[試験方法]
まず、図7に示すように、引き出したロールタオルPの先端部P1を、略矩形状のプラスチック板(寸法;50×180mm、厚み;1mm)7に、クラフトテープ(寸法;50×190mm)8により両側面とも接着して固定する。クラフトテープ8として「313−50」(ニチバン株式会社)を用いた。
次に、プラスチック板7に設けた直径4mm程度の円形穴71(プラスチック板7の底辺から円形穴71の中心までの距離Tを20mm、図7において右側から円形穴71の中心までの距離Wを30mmの位置)に、物体を押し引きする力を測定可能なプッシュプルゲージ9の接合部91を挿入し、プラスチック板7にプッシュプルゲージ9を取り付ける。円形穴71はロールタオルPを使用するときに手で持つ位置に設置した。プッシュプルゲージ9として、「DPS−20」(株式会社イマダ)を用いた。
そして、プッシュプルゲージ9を手前横(図7において左方向)に引っ張ることにより、プラスチック板7を介してロールタオルPを引っ張り上げることで、ロールタオルPを切り取る。
最後に、プッシュプルゲージ9の表示から、上記切り取り動作により測定された最大抵抗力を記録する。
なお、図8に示すように、切り取り部5の先端部51から他端52への方向と当該先端部51に押し当てられたロールタオルPとで形成される角度αが20°〜120°の範囲で測定を行った。
[評価方法]
使用者による、ロールタオルPの切り取り易さについての官能評価であり、
○;スムーズに切り取ることができる
△;少し抵抗を感じるが切り取り易い
×;切り取ることはできるが、切り取りにくい
××;切り取ることが困難である
で四段階評価した。
その結果を表1に示す。
[試験結果]
表1の上段では、サンドペーパー6の研磨微粉の粒度と角度αの各条件におけるロールタオルPの切り取り動作に係る抵抗力(単位kgf)を表している。
【表1】

【0032】
表1の下段に示すように、研磨微粉の粒度が#100〜#180である場合に、使用者が切り取り易さを感じていることが分かった。
また、角度αが45°≦α≦70°である場合に、使用者が切り取り易さを感じていることが分かった。
【0033】
次に、切り取り部5の先端部51の厚さR毎にロールタオルPの切り取り動作に係る抵抗力を測定する。
[試験方法]
試験方法は、上記研磨微粉の粒度に係る試験と同じである。
なお、サンドペーパー6の研磨微粉の粒度は#150、角度α=90°の条件で測定を行った。
その結果を表2に示す。
[試験結果]
表2では、切り取り部5の先端部51の厚さR毎にロールタオルPの切り取り動作に係る抵抗力(単位kgf)を表している。
【表2】

【0034】
表2に示すように、切り取り部5の先端部51の厚さRが1mmである場合に、切り取り動作に係る力が最も小さい(0.20kgf)ことが分かった。一方、切り取り部5の先端部51の厚さRが4mmである場合に、切り取り動作に係る力が最も大きい(0.55kgf)ことが分かった。
従って、切り取り部5の先端部51の厚さRが薄ければ薄いほど、使用者がロールタオルPを切り取り易いことが分かった。
【0035】
このように、本実施形態に係るロールタオルディスペンサー100は、切り取り部5の先端部51を覆うように、研磨微粉の粒度が#100〜#180であるサンドペーパー6が取り付けられているので、切り取り刃を使用したときのように使用者の手指を傷つける虞がなく、使用者の安全を確保することができる。また、切り取り刃を使用したときに比べ、ロールタオルPの切り口がきれいで滑らかであり、使用者に高級で柔らかい印象を与えることができる。さらに、金属製の切り取り刃を使用したときに比べ、サンドペーパー6を取り付けた切り取り部5は安価で作成することができるうえ、自然に帰し易いので環境によい。また、使用者はロールタオルPを小さな力で切り取ることができ、子供やお年寄りであっても容易にロールタオルPを切り取ることができる。
【0036】
また、本実施形態に係るロールタオルディスペンサー100は、切り取り部5が、先端部51から他端52への方向と当該先端部51に押し当てられたロールタオルPとで形成される角度αが45°≦α≦70°となるように取り付けられているので、使用者はロールタオルPを小さな力で切り取ることができ、子供やお年寄りであっても容易にロールタオルPを切り取ることができる。
【0037】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0038】
例えば、上記実施形態では、図3に示したように、切り取り部5が蓋体12の下端部12aに取り付けられているが、これに限定されるものではない。
例えば、図9(a)に示すように、蓋体12の下端部12aよりも上方に切り取り部5を取り付けるようにしてもよい。
【0039】
また、図9(b)に示すように、蓋体12の下端部12aに、切り取り部5の根元部分(他端52)ではなく中間部分で取り付けるようにしてもよい。切り取り部5の中間部分で取り付けることにより、蓋体12の外部に切り取り部5の他端52が露出することになるので、使用者は切り取り部5の位置を容易に認識することができ、ロールタオルPを押し当て易くなる。
【0040】
さらに、図9(c)に示すように、収納体11の下面11cに切り取り部5を取り付けるようにしてもよい。収納体11の下面11cに切り取り部5を取り付けることにより、使用者はロールタオルPを下方に引っ張って切り取ることができるので、上方に引っ張り上げて切り取ることに比べ、容易に切り取ることができる。
【0041】
また、上記実施形態では、切り取り部5の形状を先端部51に向かうにつれて厚さが薄くなるように形成しているが、これに限定されるものではない。例えば、略矩形板状の部材の長辺の一方(先端部51)を丸く削ることで、先端部51が所定の曲率を有する曲面形状となるように形成してもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、紙製シートとして、ロール状に巻かれたロールタオルPを例示して説明しているが、これに限定されるものではない。取出口3から引き出し可能であれば、紙製シートが九十九折りされて重ねられたものであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
100 ロールタオルディスペンサー
1 筐体
11 収納体
12 蓋体
2 ヒンジ部
3 取出口
4 ペーパー支持部
5 切り取り部
51 先端部
52 他端
6 サンドペーパー
P ロールタオル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の紙製シートを収容する筐体に設けられた取出口から前記紙製シートを所望の長さ引き出した後、前記取出口近傍に取り付けられた切り取り部により前記紙製シートを切り取ることが可能なペーパーディスペンサーにおいて、
前記切り取り部には、先端部を覆うように、研磨微粉の粒度が#100〜#180であるサンドペーパーが取り付けられていることを特徴とするペーパーディスペンサー。
【請求項2】
前記切り取り部は、先端部から他端への方向と当該先端部に押し当てられた前記紙製シートとで形成される角度αが45°≦α≦70°となるように取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のペーパーディスペンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−75528(P2012−75528A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221540(P2010−221540)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】