説明

ホイールカバー

【課題】複数種類のホイールに適用可能なホイールカバーにおいて、係合突部が損傷し難くして、ホイールカバーの使用回数を増加させる。
【解決手段】ホイールカバーをホイールから外す場合には、係合部材の一端部に内周方向の力を加える。係合部材が他端部を中心に回動(弾性変形も含む)させられ、係合突部が回動させられ、被係合突部から離間させられる。それにより、中央取付部をオーナメント被取付穴20から外すことができ、ホイールカバーをホイールから外すことができる。このように、係合突部が、回動により、被係合突部から離間させられるため、係合突部に大きな荷重が加えられることがない。そのため、係合突部が損傷し難くすることができ、ホイールカバーの使用回数を増やすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールの外側の少なくとも一部を覆う、防錆用のホイールカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、互いに別部材である(i)カバー本体と、(ii)カバー本体をホイールに取り付けるカバー取付部とを含むホイールカバーが記載されている。ホイールのセンターオーナメントが取り付けられる予定の被取付穴(以下、オーナメント被取付穴と略称する)に、カバー取付部が嵌合され、オーナメント被取付穴に設けられた被係合突部に、カバー取付部に設けられた係合突部が係合させられることにより、カバー本体がホイールに取り付けられる。
そのうちの特許文献1に記載のカバー取付部は、(a)係合突部としての爪部を備え、軸線方向に延びた複数の突部部材と、(b)それら突部部材を外周部において保持する円盤状保持部とを含む。突部部材が、カバー本体を貫通して、オーナメント被取付穴に嵌合され、爪部が被係合突部に係合させられることにより、ホイールカバーがホイールに取り付けられる。また、円盤状保持部が引っ張られることにより、ホイールカバーが外される。
特許文献2に記載のカバー取付部は、(a)軸線方向に延び、外周面に係合突部が形成された一対の突部部材と、(b)それら一対の突部部材を一端部同士で連結する連結ロッドと、(c)連結ロッドの中心部に固定され、軸線方向に延びた駆動部材とを含む。駆動部材を軸線方向に押し込めば、爪部が被係合突部に係合させられ、ホイールカバーがホイールに取り付けられる。また、駆動部材を軸線方向に引っ張れば、連結ロッドが弾性変形させられ、係合突部の間の距離が小さくなる。係合突部が被係合突部から離間させられ、ホイールカバーが外される。
特許文献3〜5には、互いに一体的に設けられた(a)カバー本体と(b)カバー取付部とを含むホイールカバーが記載されている。これらホイールカバーのカバー本体の半径方向の中間部には円環状のビードが設けられる。また、特許文献4には、外周縁がタイヤと当接し、かつ、そのタイヤと当接する部分がR形状とされたカバー本体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平06−802号公報
【特許文献2】特開2006−256360号公報
【特許文献3】特開平10−193903号公報
【特許文献4】特開平09−132002号公報
【特許文献5】特許3256213
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、複数種類のホイールに使用可能であって、特許文献1〜5に記載のホイールカバーとは異なる構造を成したホイールカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段および効果】
【0005】
本願発明に係るホイールカバーは、軸線とほぼ平行な方向に延びた係合部材の一端部に、軸線と交差する向きの力を加えると、ホイールカバーの係合部がホイールの被係合部から離間させられる構造を成したものである。
ホイールカバーのホイールに対する着脱時には、係合部材に、作業者によって軸線と交差する方向の力が加えられるのであり、軸線と平行な力が加えられるのではない。そのため、係合部を被係合部から容易に離間させることができる。
また、ホイールカバーをホイールから外す場合に、係合部に加えられる荷重を小さくすることができる。そのため、係合部が損傷し難くすることができ、ホイールカバーの使用回数を増やすことができる。
さらに、ホイールの被係合部とホイールカバーの係合部とが係合可能である等の条件を満たす範囲において、複数種類のホイールに使用することができる。
【特許請求可能な発明】
【0006】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明について説明する。
(1)ホイールの外側の少なくとも一部を覆うホイールカバーであって、
(i)概して円環状を成したカバー本体と、(ii)そのカバー本体の内周側において前記ホイールに取り付けられることにより、前記カバー本体を前記ホイールに取り付けるカバー取付部とを含み、
前記カバー取付部が、
(a)前記ホイールの被係合部に係合可能な係合部を有し、前記カバー取付部の軸線と平行な成分を含む向きに延びる複数の係合部材と、
(b)それら複数の係合部材の各々の一端部に前記軸線と交差する向きの力を加えることにより、前記係合部が前記被係合部から離間させられる状態で、前記複数の係合部材を、他端部において保持する係合部材保持部とを含むことを特徴とするホイールカバー。
カバー取付部は、カバー本体の内周側に取り付けられるのであり、カバー本体の一部(内周側の部分)とカバー取付部の一部(外周側の部分)とが重なる。
係合部材は、カバー取付部の軸線と平行な成分を含む向きに延びたものであり、例えば、軸線とほぼ平行に延びたものとすることができる。また、カバー取付部の軸線は、カバー取付部がホイールに取り付けられた状態で、ホイールの軸線(中心軸線)と平行である(一致することもある)。
ホイールカバーのホイールに対する着脱時(以下、単に着脱時と略称する場合がある)には、係合部材の一端部に、作業者によって軸線と交差する方向の力が加えられるが、例えば、軸線とほぼ直交する方向、すなわち、半径方向とほぼ平行な方向の力が加えられることが望ましい。
なお、係合部材保持部は、カバー取付部の本体(以下、単に、取付部本体と称することがある)に、係合部材を保持させるものであると考えたり、取付部本体の一部、あるいは、取付部本体を含むものと考えたりすることができる。
(2)前記被係合部が、前記ホイールの中心軸線に沿って設けられた被嵌合穴の内周面に設けられた被係合突部を含み、
前記カバー取付部が、前記被嵌合穴に嵌合されることにより、前記カバー本体を前記ホイールに取り付ける中央取付部を含み、
前記複数の係合部材が、それぞれ、前記被係合突部の少なくとも一部に対向する状態で設けられた前記係合部としての係合突部を有する(1)項に記載のホイールカバー。
被嵌合穴として、例えば、オーナメント被取付穴(センターオーナメントが取り付けられる予定の穴、以下、同様とする)を利用することができる。
オーナメント被取付穴の内周面には、内周側に突出し、かつ、周方向に延びた被係合突部が設けられる。被係合突部は、周方向に連続して(円環状に)設けられる場合や、周方向の一部(円弧状)に設けられる場合等がある。
なお、係合部は、係合突部の個々を示すと考えても、複数の係合突部を含むものと考えてもよい。
(3)前記複数の係合部材が、それぞれ、互いに周方向に隔たって設けられ、
前記係合突部が、前記係合部材の他端部に設けられ、
前記係合部材保持部が、前記複数の係合部材の内周側において、前記複数の係合部材を前記他端部において保持するとともに、前記複数の係合部材の各々より半径方向に変形し難い構造を成した強剛性保持部を含む(2)項に記載のホイールカバー。
係合部材は、周方向に隔たって複数設けられる。例えば、互いに対向する位置(中心角が180°隔たった位置)に設けても(2つ)、中心角が120°ずつ隔たった位置に3つ設けてもよく、4つ以上設けてもよい。
複数の係合部材は、それぞれ、軸線方向とほぼ平行に延びたものであり、一端部が、被嵌合穴の開口側に位置し、フリーな状態にある。また、他端部に係合突部が設けられ、係合部材保持部によって保持される。
係合部材保持部は、半径方向に変形し難いものである。そのため、係合部材の一端部に内周方向に向かう力が加えられると、係合部材が、他端部付近を中心に回動させられ(弾性変形も含む)、係合突部が内周側に移動させられて、被係合突部から離間させられる。
なお、複数の係合部材および強剛性保持部等によって中央取付部の被嵌合穴に嵌合される嵌合部が構成されると考えることができる。
(4)前記係合部材の一端部が、前記係合突部が設けられた部分より前記軸線方向の外側に位置し、かつ、フリーな状態とされた(3)項に記載のホイールカバー。
軸線方向の外側(単に、外側と称することもある)とは、ホイールカバーがホイールに取り付けられた状態で、ホイールの外側である。換言すれば、カバー取付部がホイールの被嵌合穴に嵌合された状態で、被嵌合穴の開口側である。
係合突部より外側において軸線と交差する方向の力が加えられるのであり、それにより、係合突部を他端部を中心に容易に回動させることができ、係合突部を被係合部から離間させることができる。
(5)前記強剛性保持部が、半径方向に延びる少なくとも1つの補強部材を含む(3)項または(4)項に記載のホイールカバー。
例えば、補強部材を長手方向に延びた板状部材とし、半径方向が長手方向となる状態で設ければ、半径方向の変形を抑制することができる。係合部材が、互いに対向する位置に一対設けられ、係合部連結部材が、一対の係合部材を半径方向に連結するものであり、その係合部連結部材に補強部材が設けられた場合には、一対の係合部材の半径方向の距離の変化が抑制される。その結果、少なくとも一方の係合部材に半径方向の力が作用しても、係合部材同士が互いに接近し難くされ、係合突部が被係合突部から外れ難くされる。
板状の補強部材(例えば、リブ)は、1つであっても、複数であってもよいが、補強部材の個数が多い場合は少ない場合より、半径方向の変形を良好に抑制し得る。
(6)前記強剛性保持部が、前記複数の係合部材を連結する係合部連結部材と、その係合部連結部材から前記軸線方向に突出させられ、前記係合部連結部材の長手方向に延びる少なくとも1つの補強部材とを含む(3)項ないし(5)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
(7)前記強剛性保持部が、前記複数の係合部材の、前記係合突部が設けられた部分同士を半径方向に連結する突部連結部材を含む(3)項ないし(6)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
係合部材の係合突部が設けられた部分同士が突部連結部材によって直接連結されれば、係合突部の間の半径方向の距離の変化を抑制することができる。
突部連結部材は、上述の係合部連結部材と補強部材との少なくとも一方の一部によって構成されたものとしたり、係合部連結部材と補強部材とは別個のものとしたりすることができる。例えば、補強部材の一部によって構成されたものとした場合において、係合部連結部材を概してU字型を成した部材として、補強部材を台形状を成した平板部材とすることができる。
車両を、ホイールにホイールカバーが取り付けられた状態で輸送する場合において、風等により、カバー本体に、内側から外側に向かって曲げようとする力(めくり上げようとする力)が加えられると、それに起因して、カバー取付部に、内側から外側へ向かう力(抜き出そうとする力)が作用する。それに対して、カバー取付部において、係合突部の各々が内周方向(互いに接近する方向)に変形し難くされれば、カバー取付部が外れ難くすることができる。
(8)前記係合部材が、互いに対向する位置に一対設けられ、前記カバー取付部が、それら一対の係合部材の間に設けられ、前記一対の係合部材の間に作用する半径方向の外力が予め定められた設定値より小さい場合に、前記一対の係合部材の間の接近を抑制し、前記外力が前記設定値以上になると、前記一対の係合部材の間の接近を許容する半径方向距離規定部を含む(3)項ないし(7)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
半径方向距離規定部は、例えば、一方の係合部材に設けられ、半径方向成分を含む向きに延びるとともに第1当接面を備えた第1ロッドと、他方の係合部材に設けられ、半径方向成分を含む向きに延びるとともに第2当接面を備えた第2ロッドとを含むものとすることができる。第1ロッドの第1当接面と第2ロッドの第2当接面とが当接する状態において、一対の係合部材の間に作用する半径方向の外力が、これらの間に生じる摩擦力以下である場合には、一対の係合部材の間の接近が抑制される。外力が摩擦力より大きくなると、第1当接面と第2当接面との間が摺動し、一対の係合部材の間の接近が許容される。
例えば、風等により、カバー本体に外方へ曲げようとする力が加えられると、カバー取付部にも、外方への力が作用し、一対の係合部材を互いに接近させようとする力が作用する。この場合に一対の係合部材を互いに接近させようとする力、すなわち、半径方向の力は設定値より小さいのが普通である。そのため、風等により、カバー取付部が外れることを良好に回避することができる。また、ホイールカバーのホイールに対する着脱時には、作業者によって一対の係合部材の間に設定値以上の力が加えられる。この場合には、一対の係合部材の接近が許容される。
【0007】
(9)前記中央取付部が、互いに対向する一対の前記係合部材を有し、
前記一対の係合部材が、それぞれ、湾曲した形状を成したものであり、
前記一端部が、前記他端部より内周側に位置し、
前記係合部材保持部が、前記一対の係合部材を、前記他端部において保持する円環状保持部を含む(2)項ないし(8)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
係合部材が概してUの字に湾曲した形状を成し、一端部が内周側に他端部が外周側に位置し、他端部において保持される。
着脱時に作業者によって一端部に内周側に向かう力が加えられると、他端部を中心に、係合部材が回動させられ、係合突部が被係合突部から離間させられる。
円環状保持部は、取付部本体の一部とすることができる。
(10)前記一端部同士が、互いに連結された(9)項に記載のホイールカバー。
一端部同士を連結すれば、着脱時に、両方の一端部に、互いに接近する向き(内周方向)の力を容易に付与することができ、操作性を向上させることができる。
(11)前記係合部材の前記他端部および前記一端部が、前記中央取付部が前記被嵌合穴に嵌合された状態で、前記被嵌合穴の開口側に位置し、前記係合突部が、前記係合部材の湾曲した部分の近傍の前記被嵌合穴の前記開口部とは反対側に設けられた(9)項または(10)項に記載のホイールカバー。
着脱時において、係合突部より外側において軸線と交差する方向の力が加えられるため、係合突部を他端部を中心に容易に回動させ得、係合突部を被係合部から離間させ得る。
(12)前記係合部材が、前記軸線方向に突出し、かつ、長手方向に延びた補強部を含む(9)項ないし(11)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
係合部材自体が半径方向に変形し難くされた場合には、一端部に加えられた半径方向の力によって他端部を中心として係合部材を良好に回動させることができ、係合突部を回動により内周側に移動させることができる。
【0008】
(13)前記複数の係合部材が、それぞれ、周方向に隙間を隔てて設けられた少なくとも2つの係合部である係合突部を含む(1)項ないし(12)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
仮に、係合部材が板状を成したものであり、係合部である係合突部が周方向に延びて1つ設けられた場合において、係合部材が他端部の回りに回動させられると、係合突部の周方向の端部の軸線方向の位置と係合突部の中央部の軸線方向の位置との差が大きくなる。そのため、着脱時において、係合突部を被係合突部に良好に係合させることができなかったり、良好に外すことができなかったりする。一方、係合部材の幅(円周方向の長さ)を小さくするとともに、係合突部の幅を小さくすれば、端部と中央部との軸線方向の位置の差を小さくすることはできるが、係合部材の数が同じ場合に、係合突部と被係合突部との係合部分が少なくなり、風等に起因してカバー取付部に外方に向かう力が作用した場合に、外れ易くなる。また、係合部材の幅を小さくして、個数を増やすことも考えられるが、その場合には、構造が複雑になる。
それに対して、係合部材の周方向の中央部に隙間を隔てて、両側に係合突部を設ければ、係合突部の周方向の両端部の間の、軸線方向の位置の差を小さくすることができ、良好に係合させたり、外したりすることができる。また、係合部分の減少を抑制し、風等に起因して外方へ向かう力が作用しても、カバー取付部が抜け難くすることができる。さらに、構造を簡単にできる。
例えば、係合部材の周方向の長さ(幅)が、中心角25°以上、30°以上、40°以上、50°以上である場合に、本項に記載の技術的特徴を採用することができる。上述のように、係合部材の幅が小さい場合には、特徴を採用するメリットは小さいからである。また、係合部材が周方向に複数設けられることから、幅は、中心角180°より小さい。
なお、係合部材に、幅方向に連続して延びた係合突部を設け、その係合突部に、1つ以上の切欠が設けられたと考えることもできる。
(14)前記係合突部の各々が、それの外周縁が曲線を描く形状を成した(13)項に記載のホイールカバー。
係合突部は、外周縁が、ほぼ被嵌合穴の内周面に沿った、すなわち、ほぼ円弧状に延びた形状を成すものとすることができる。それにより、外周縁が直線状に延びた形状を成す場合に比較して、係合突部全体を被嵌合穴に形成された被係合突部に係合させることが可能となる。
(15)前記複数の係合部材の各々に、前記係合突部が2つ設けられ、それら係合突部の各々が、それの外周縁の、互いに前記2つの係合突部が近接する側とは反対側の端部の前記軸線からの距離が、前記近接する側の端部の前記軸線からの距離より大きい形状を成した(13)項または(14)項に記載のホイールカバー。
係合部材に、互いに幅方向(周方向)に隙間を隔てて2つの係合突部が設けられた場合において、係合突部の外周縁の各々の、係合部材の中央側の端部、すなわち、2つの係合突部が近接する側の端部を近接側端部と称し、係合突部の外周縁の各々の、係合部材の両端部側の端部を非近接側端部と称する。
係合突部の各々において、非近接側端部の半径が近接側端部の半径より大きくされるのであるが、係合突部の形状は、外周縁の軸線からの距離が、近接側端部から非近接側端部に向かって連続的に大きくなる形状としても、段階的に大きくなる形状としても、非近接側端部の近傍のみが他の部分より軸線からの距離が大きくなる形状等としてもよい。
係合突部の外周縁の非近接側端部の半径(軸線からの距離)を大きくすれば、その非近接側端部が最も外れ難くなる。例えば、前述のように風等に起因して係合部材に外方に向かう力が加えられることによって、係合突部の近接側端部が被係合突部から外れても、非近接側端部においては被係合突部に引っ掛かった状態にあり、係合部材に加えられる外方に向かう力は、非近接側端部の各々において受けられる。
この場合において、非近接側端部と近接側端部とを比較すると、非近接側端部は互いに離間した位置にあるため、風等に起因して加えられる力が同じ場合に1つの非近接側端部が受ける力は、近接側端部が受ける力より小さくなる。
したがって、1つの係合突部が受け得る最大の力が同じであれば、非近接側端部で受ける場合の方が大きな外力を受けることが可能となり、大きな外力が加えられても、カバー取付部が抜け難くすることができる。また、大きな外力が加えられても、係合突部が受ける力が小さくなるため、外周縁等の破損、削れ、変形等が生じ難くなる。
以上の理由から、非近接側端部の半径を近接側端部の半径より大きくして、非近接側端部において、外力が受けられるようにすることは妥当なことである。
(16)前記被係合部が、前記ホイールの中心軸線に沿って設けられた被嵌合穴の内周面に設けられた被係合突部を含み、
前記複数の係合部材の各々が、(i)前記被係合突部に係合可能な係合突部と、(ii)前記内周面に当接可能な当接面とを含む(1)項ないし(15)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
当接面は、カバー取付部がホイールに取り付けられた状態で、ホイールの被嵌合穴の内周面に当接する。それにより、風等に起因してカバー取付部に外方に向かう力が加えられた場合に、カバー取付部とホイールとの間に摩擦力を発生させることが可能となり、その分、カバー取付部が外れ難くすることができる。
また、風等に起因して外方に向かう力が加えられた場合に、当接面と外周縁(被係合突部との当接部分)との両方によって受けられるため、当接面を設けることにより、外周縁に加えられる力を小さくすることができ、外周縁近傍に、破損、削れ、塑性変形等が生じ難くすることができる。
なお、カバー取付部がホイールに取り付けられた状態で、当接面は外周縁の内側に位置する。
(17)前記複数の係合部材が、それぞれ、前記係合部を保持する係合部材本体を含み、
前記係合部が、前記係合部材本体より摩擦係数が大きい材料で成形されたものである(1)項ないし(16)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
例えば、ゴム等の摩擦係数の大きい材料を用いれば、カバー取付部が外れ難くすることができる。
また、係合部材本体より剛性が小さいものとすることもできる。
(18)前記係合部材の、前記係合突部を含む係合突部周辺部分と、前記係合突部周辺部分を除く部分とが互いに熱膨張係数が異なる材料で形成された(2)項ないし(17)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
例えば、係合突部付近が、熱膨張係数が非常に小さい材料で成形された場合には、係合突部の寸法安定性を向上させることができ、温度変化に伴う締付力(係合力、緊縛力と称することができる)の変化を抑制することができる。
また、係合突部周辺部分を除く部分を、温度が高くなると膨張する材料で製造されたものとすれば、車両の輸送中に、温度が高くなった場合に、係合突部を被嵌合穴に押し付ける力を大きくすることができ、温度が高くなった場合の緊縛力の低下を抑制することができる。なお、樹脂は、通常、正の熱膨張係数を有する。
さらに、係合突部付近を、負の膨張係数(温度が低くなると、膨張する)を有する材料で製造すれば、温度が低くなった場合の緊縛力の低下を抑制することができる。
(19)前記複数の係合部材が、前記軸線方向に互いに間隔を隔て、互いに半径方向の突出量が異なる複数の前記係合部を保持する(1)項ないし(18)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
係合部材が、半径方向の突出量が異なる複数の係合部としての係合突部を有するものとすれば、オーナメント被取付穴の内径が異なるホイールにも利用することが可能となり、ホイールカバーが利用可能なホイールの種類多くすることができる。
係合突部は、軸線方向の内側(被嵌合穴の開口とは反対側)に突出量が小さく、外側に突出量が大きいものを配設することが望ましい。突出量が大きい係合突部が被嵌合穴の内周面に当接しない状態で、突出量が小さい係合突部を用いることができるからである。
なお、軸方向に隔たった複数の係合突部の各々は、半径方向の突出量が同じものとすることができる。その場合には、被嵌合穴の被係合突部が設けられる軸線方向の位置が異なっても、カバー本体に加えられる応力を小さくすることができ、良好に取り付けることができる。
また、複数の係合突部は、一列に並んで配設することは不可欠ではなく、軸線に対してずれた位置に設けることもできる。
(20)前記複数の係合部材が、(a)係合部材本体と、(b)その係合部材の本体の内周側に、前記被係合突部に係合可能な係合位置と前記被係合突部から離れた非係合位置とに回動可能に保持された突部部材とを含む(2)項ないし(19)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
(21)前記複数の係合部材が、それぞれ、(a)前記係合突部を保持する係合部材本体と、(b)その係合部材本体に設けられ、前記係合突部を前記被嵌合穴の内周面に押し付ける向きの付勢力を付与するばね部材とを含む(2)項ないし(20)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
ばね部材は、係合部材本体の内部に設けても、係合部材本体の外部に設けてもよい。例えば、係合部材の本体の表面に沿って設けることができる。
いずれにしても、ばね部材が、係合突部を被係合穴の内周面に押し付ける向きの付勢力を付与する状態で張設されれば、大きな緊縛力を得ることができる。
【0009】
(22)前記カバー取付部が、前記軸線とほぼ平行な方向に延びた少なくとも1つのガイド部材を含む(1)項ないし(21)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
ガイド部材を設ければ、カバー取付部の被嵌合穴への嵌合を容易にすることができる。
ガイド部材は、周方向に等間隔に設けることが望ましく、中心角が180°隔たった位置、中心角が120°隔たった位置に設けること等が望ましい。
また、ガイド部材は、複数の係合部材のうちの互いに隣接する係合部材の間に設ける、すなわち、ガイド部材と係合部材とは、周方向において、交互に設けることが望ましい。
(23)前記複数のガイド部材が、それぞれ、前記軸方向の、前記ホイールカバーが前記ホイールに取り付けられた状態で、外側にいくにつれて半径方向外方へいく方向に傾斜した傾斜面を含む(22)項に記載のホイールカバー。
傾斜面はガイド部材の軸方向の内側の端部に設けられる。傾斜面が設けられれば、カバー取付部が、軸線方向に対して交差する向きから挿入されても、軸線と平行な姿勢に修正することが可能となり、カバー取付部を良好に被嵌合穴へ嵌め込むことができる。なお、傾斜面は平坦面でも曲面でもよい。
(24)前記複数のガイド部材が、それぞれ、(a)ガイド部材本体と、(b)そのガイド部材本体に半径方向に突出して設けられ、前記中央取付部が前記被嵌合穴に嵌合された状態で、その被嵌合穴の内周面に当接可能な当接面を備えた力受け部とを含む(22)項または(23)項に記載のホイールカバー。
カバー取付部が被嵌合穴に嵌合された状態で、力受け部が被嵌合穴の内周面に当接する状態にある。ホイールカバーとホイールとの間に作用する力は、係合突部と力受け部とによって受けられるのであり、力受け部が設けられることにより、係合突部が受ける力を軽減することができる。
(25)前記当接面が中心角180°隔てて設けられた(24)項に記載のホイールカバー。
力受け部は、少なくとも一対、中心角が180°隔たった位置に設けることが望ましい。
(26)前記当接面の幅の前記ガイド部材本体の幅に対する比率が1/3以下である(24)項または(25)項に記載のホイールカバー。
力受け部の幅が大き過ぎると、カバー取付部を被嵌合穴に嵌合させる場合の抵抗が大きくなり望ましくない。そのため、当接面の幅のガイド部材本体の幅に対する比率を1/3以下とすることが望ましい。また、比率は、0.4以下の値としたり、0.3以下の値としたり、0.25以下の値としたりすることができる。
また、当接面は、ガイド部材本体の幅方向の両端部近傍に設けることが望ましい。当接面の間隔を大きくすることができ、全周に渡って、半径方向の力を均等に受けることができるからである。
(27)前記カバー取付部が、前記複数のガイド部材本体を互いに連結するガイド連結部を含み、前記ガイド連結部が、(i)前記複数のガイド部材本体を半径方向に連結するガイド連結部材と、(ii)そのガイド連結部材に設けられ、軸方向に延びた補強部材とを含む(22)項ないし(26)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
風等に起因して、カバー取付部に、外そうとする力が加えられ、複数のガイド部材本体に、互いに接近させようとする力が加えられても、ガイド部材本体が互いに接近し難くされる。その結果、当接面が被嵌合穴の内周面から離間し難くされ、当接面と内周面との当接状態を良好に維持することができる。
(28)前記係合部材保持部が、前記ガイド連結部材に接続された前記複数の係合部材を連結する係合部連結部材を含む(27)項に記載のホイールカバー。
複数のガイド部材は、取付部本体に固定され、複数のガイド部材がガイド連結部材によって連結され、ガイド連結部材に係合部連結部材が接続される。それによって、係合部材が取付部本体に保持される。ガイド連結部材、係合部連結部材等によって係合部材保持部が構成されると考えたり、ガイド連結部材、係合部連結部材、取付部本体等により係合部材保持部が構成されると考えたりすることができる。
この場合において、ガイド連結部材の剛性が大きくされるため、係合部材連結部材を良好に保持することができる。また、ガイド連結部材と係合部連結部材との接続部のコーナをR形状とすることができ、その場合には、接続部(ガイド連結部材、係合部連結部材)が変形し難くしたり、破損し難くしたりすることができる。
【0010】
(29)前記ホイールが、タイヤと、タイヤ保持部とを含み、
前記カバー本体が、前記カバー取付部によって前記ホイールに取り付けられた状態で、前記タイヤに当接する形状を成した(1)項ないし(28)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
ホイールカバーが、タイヤ、すなわち、タイヤのサイドウォールに当接する位置まで延びるため、ホイールカバーによりホイールのディスク部を良好に保護することができる。
例えば、外周縁部の少なくとも一部を、ホイールカバーがホイールに取り付けられた状態で、内側に突となる形状とすることが望ましい。
(30)前記カバー本体の外周縁がR形状を成し、そのR形状の湾曲部と前記タイヤとが当接する(29)項に記載のホイールカバー。
タイヤとカバー本体のR形状を成した部分(湾曲部)とが当接するため、タイヤに傷が付き難くすることができる。
(31)前記カバー本体の外周縁部に、周方向に隔てて、複数の半球状の突部を設けた(29)項または(30)項に記載のホイールカバー。
突部は、ホイールカバーがホイールに取り付けられた状態で、内側に凸となる形状を成したものであり、突部とタイヤとが当接することにより、当接強度を大きくすることができ、タイヤとカバー本体とが相対回転し難くなる。
また、これらの間の当接強度を大きくすることにより、タイヤとカバー本体との間の隙間を小さくすることができる。
車両が、車輪にホイールカバーが装着された状態で走行する場合において、カバー本体とタイヤとの接触力が弱いと、カバー本体とホイールとが相対回転することがあり、タイヤの外周面に摺動跡が付くことがあった。また、車両の輸送中の振動等に起因して、カバー本体がホイールに対して相対回転することがあった。それに対して、カバー本体とタイヤとの接触強度を大きくすれば、カバー本体とホイールとが一体的に回転し易くなり、カバー本体とタイヤとが摺接し難くすることができる。
また、車両の輸送中に、風等により、カバー本体とタイヤとの隙間から外気が入り、カバー本体を外側に曲げようとする力が加えられる。それに対して、カバー本体とタイヤとの隙間が小さくされれば、外側に曲げようとする力が加えられ難くしたり、力を小さくすることができる。
(32)前記カバー本体が、半径方向の中間部に設けられた少なくとも1つの窪みを含む(1)項ないし(31)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
窪みを含む周辺の部分は他の部分より変形し易い。そのため、窪みを含む周辺の部分において変形が吸入される。
窪みは、周方向に隔てて複数設けたり、周方向に連続して設けたりすることができる。窪みを環状に設けた場合に、凹部の深さを周方向において周期的に異ならせることができる(例えば、深い部分と浅い部分とを設ける)。周方向に連続して設けられた窪みは1つの窪みであると考えたり、複数の窪みから構成されたものであると考えたりすることができる。例えば、周方向に連続して設けられた窪みにおいて、深さが均一な部分を1つの窪みであると考えることができるのである。
窪みはビードより開口部が広い。窪みはビードの少なくとも一部に重ねて設けられることもある。
また、窪みの形状は問わない。底面は曲線と直線との少なくとも一方で規定される形状を成したものとすることができる。例えば、概して楕円形状を成したものとしたり、多角形状を成したものとしたりすることができる。
複雑な形状を成した窪みを周方向に連続して設けた方が、単純な形状を成した窪みを周方向に隔てて設ける場合より、変形がより吸収され易くなると考えられる。
(33)前記カバー本体が、半径方向に延びた1つ以上のビードと、周方向に延びた1つ以上のビードとの少なくとも一方を含む(1)項ないし(32)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
半径方向に延びたビードは、カバー本体の内周部から外周部に達するまで延びたものとしたり、内周部から中間部まで延びたものとしたり、中間部から外周部まで延びたものとしたり、中間部において延びたものとしたりすること等ができる。
内周部、外周部は、内周縁、外周縁の近傍の部分である。例えば、内周部を、内周縁から設定範囲内の環状の部分とし、外周部を外周縁から設定範囲内の環状の部分とすることができる。中間部は、内周部、外周部を除く部分であり、カバー本体の半径の1/n(n=2,3・・・)の位置を含む設定範囲内の環状の部分とすることができる。
また、半径方向のビードの内周側端部を、中央取付部が連結される中央被連結部の外周縁(あるいはその近傍)とし、外周側端部を、カバー本体のR形状、あるいは、突部が形成された外周縁部の内周縁(あるいはその近傍)とすることができる。
周方向に延びたビードは、円環状に延びたものであっても、円弧状に延びたものであってもよい。円弧状に延びたビードが周方向に並んで設けられることによりほぼ円環状に配設される。
周方向に延びたビードがカバー本体の中間部に設けられる場合において、半径方向ビードの中間側端部を、その周方向ビードの縁(あるいはその近傍)とすることができる。
また、半径方向に延びたビード、周方向に延びたビードは、それぞれ、1本であっても、複数本であってもよい。
カバー本体には、半径方向に延びたビードと周方向に延びたビードとのいずれか一方を設けることもできるが、両方のビードを設けることが望ましく、カバー本体の剛性が所望の大きさ、所望の強度分布となるように設けられる。
前述のように、車両の輸送中に、風等により、カバー本体に内側から外側に向かう力、すなわち、カバー本体を外方へ曲げようとする力が作用する場合がある。それに対して、半径方向ビード、周方向ビードが設けられると、半径方向あるいは周方向に曲がり難くすることができる。
また、カバー本体に、風等に起因して外方へ曲げようとする力が作用すると、それにより、カバー取付部に外方に向かう力が作用し、カバー取付部が外れ、ホイールカバーが外れるおそれがある。それに対して、カバー本体の剛性を大きくすれば、カバー取付部に外方に向かう力が作用し難くすることができ、ホイールカバーが外れ難くすることができる。
(34)前記カバー本体が、前記少なくとも1つの窪みより外周側の部分に設けられた少なくとも1つの環状のビードを含む(32)項または(33)項に記載のホイールカバー。
ホイールの回転中心軸線と、ホイールカバーとタイヤとの当接点との間の半径方向の長さ、ホイールのオーナメント被取付穴の開口部とホイールカバーとタイヤとの当接点との間の軸線方向の長さ(これらをオフセット量と称することがある)は、ホイールの種類毎に異なるのが普通である。そのため、ホイールカバーをホイールに取り付けた場合に、ホイールの種類(形状)によっては、カバー本体が変形することがある。
それに対して、本項に記載のカバー本体においては、窪みの外周側の部分に環状のビード(凹凸)が設けられる。環状のビードにより、それより内周側の部分と外周側の部分とが分離され、内周側において生じた変形が外周側に影響し難くされる。そのため、ビードより内周側の部分が変形しても、外周側の部分において良好にタイヤと当接することができる。
その意味において、窪みが形成された中間部を応力緩和部と称し、ビードより外周側の部分をタイヤ対向部と称することができる。タイヤ対向部には、窪み等は設けられていない。
(35)前記環状のビードが、前記カバー本体の外周縁から、前記カバー本体の半径方向の長さの1/3の位置より外周側の部分に設けられた(34)項に記載のホイールカバー。
カバー本体が円環状を成したものである場合に、外周縁から、その内径と外径との差Rの1/3の位置より外周側の部分に環状ビードが設けられる。
環状ビードは、0.4Rより外周側、0.3Rより外周側、0.25Rより外周側、0.2Rより外周側とすることが望ましく、また、0.1Rより内周側、0.15Rより内周側、0.2Rより内周側、0.3Rより内周側に設けることが望ましい。
環状ビードは、外周縁がタイヤに良好に当接し得る位置に設けられる。外周縁から遠すぎると、応力緩和部の領域が少なくなり、変形を良好に吸収できない場合がある。また、外周縁から近すぎると、タイヤ対向部の領域が少なくなり、外周縁がタイヤから浮き上がり易くなる。以上の事情から、上述の位置に設けられることが望ましい。
(36)前記カバー本体に、半径方向に直線状に延びたビードが、放射線状に複数設けられた(1)項ないし(35)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
半径方向に直線状に延びたビードは、3本以上設けることが望ましい。例えば、中心角120°間隔で3本設けたり、中心角90°間隔で4本設けたりすること等ができる。
(37)前記カバー本体に、(i)半径方向に、そのカバー本体の内周部から外周部に達するまで直線状に延びた複数の長ビードと、(ii)内周部から中間部に達するまで直線状に延びた複数の内周側短ビードと、(iii)中間部から外周部に達するまで直線状に延びた複数の外周側短ビードとが設けられるとともに、外周側短ビードの数が内周側短ビードの数以下とされた(1)項ないし(36)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
カバー本体の外周側の部分が撓み易くても、内周側の部分が撓み難くされれば、カバー取付部に加えられる外力を小さくすることができるため、ホイールカバーがホイールから外れ難くすることができる。そのため、内周側の剛性は、外周側の剛性より大きくすることが望ましい。
外周側短ビードを設ける必要は必ずしもない。また、外周側短ビードと内周側短ビードとで本数は同じであってもよい。
また、内周側短ビード、外周側短ビードは、それぞれ、隣接する長ビードの間に、それぞれ、2本以上ずつ設けることが望ましい。
(38)前記内周側短ビードと前記外周側短ビードとが、同じ相対位相の位置に設けられた(37)項に記載のホイールカバー。
内周側短ビードと外周側短ビードとが交互に設けられた場合(位相がずれて設けられた場合)と、内周側短ビードと外周側短ビードとが同位相で設けられた場合とを比較すると、同位相で設けられた場合の方が、シミュレーション等により、カバー本体を変形し難くすることができることがわかる。
内周側短ビードと外周側短ビードとで本数は同じであっても、外周側短ビードの方が少なくてもよい。
(39)前記カバー本体が、円周方向に並んで配設された複数の円弧状ビードを含む(1)項ないし(38)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
円弧状ビードは、隣接する長ビード同士の間に設けられる場合、短ビード同士の間に設けられる場合、長ビードと短ビードとの間に設けられる場合等がある。
(40)前記カバー本体が、それの内周部に設けられ、前記カバー取付部が配設される中央被連結部を含み、複数のビードが、前記中央被連結部より外周側の部分に設けられた(1)項ないし(39)項に記載のホイールカバー。
中央被連結部より外周側にビードが設けられる。カバー本体に作用する外力が中央被連結部の外周側の部分において受けられ、中央被連結部に及び難くすることができる。
中央被連結部において、外周側部に軸線方向の段差を設け、その段差に遮断壁を設ければ、より一層中央被連結部に、外周側部に加えられた力の影響が及び難くすることができる。また、中央被連結部は、ホイールカバーとホイールに取り付けた場合において、ホイールの被嵌合穴より外周側に位置する。
【0011】
(41)当該ホイールカバーが、前記カバー本体の前記ホイールに対する相対回転を抑制する相対回転抑制部を含む(1)項ないし(40)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
カバー本体のホイールに対する相対回転を抑制すれば、カバー本体とタイヤとが摺接することを防止し、タイヤに摺動跡が付き難くすることができる。
相対回転抑制部は、(i)カバー本体に設けられ、ホイールに、ホイールに対する相対回転を抑制する状態で係合可能なホイール係合部を含むものとしたり、(ii)カバー本体とカバー取付部との間に設けられ、これらの相対回転を抑制するカバー・取付部相対回転抑制部を含むものとしたりすることができる。
カバー取付部は、カバー本体より、ホイールに対して相対回転し難い。そのため、カバー本体に作用する回転させようとする力が、カバー・取付部相対回転抑制部を介してカバー取付部に伝達され、カバー取付部において受けられ、それにより、カバー本体のホイールに対する相対回転が抑制される。
ホイール係合部には、ホイールのスポーク、隣接するスポークの間の隙間、ホイールの外周側の端部等を利用して、カバー本体をホイールに相対回転を抑制し得る状態で係合するもの、タイヤと大きな接触力で係合するもの等が該当する。
(42)前記カバー本体の一部が、他の部分より熱膨張係数が小さいものとされた(1)項ないし(41)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
カバー本体の弾性変形し易く、熱によって変形し易い部分を、他の部分より熱膨張係数が小さい材料で形成すれば、カバー本体全体の熱による変形を小さくすることができる。それにより、タイヤとの接触性の低下を抑制することができる。
特に、熱膨張係数が非常に小さい材料、あるいは、負の値である材料を用いれば、熱に対する寸法安定性を向上させることができる。
熱によって変形し易い部分は、弾性変形し易い部分に対応し、例えば、ビードを含む部分、窪みを含む部分等が対応する。
カバー本体全体を、熱膨張係数が小さい材料で成形することも可能であるが、その場合には、材料費が高くなる等の問題がある。それに対して、一部を熱膨張係数が小さい材料で成形されるようにすれば、材料費の低減を図りつつ、熱に起因する不要な変形を抑制することができ、タイヤとの接触性の低下を抑制することができる。
【0012】
(43)当該ホイールカバーが、前記カバー本体と前記カバー取付部とを互いに連結するカバー・取付部連結部を含む(1)項ないし(42)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
カバー本体とカバー取付部とが連結されると、ホイールカバーのホイールへの取り付けを容易にすることができる。
(44)前記カバー・取付部連結部が、前記カバー取付部の外周面に設けられ、外側へ突出した複数の連結爪を含み、それら複数の連結爪が前記カバー本体の内周縁部に引っかけられることにより、前記カバー本体と前記カバー取付部とを連結する(43)項に記載のホイールカバー。
連結爪は、取付部本体の外周面に設けられるのであり、連結爪を利用して、カバー取付部とカバー本体とが連結される。
連結爪は、取付部本体の外周面に等間隔で設けたり、互いに対向する連結爪の組を1組以上設けたりすることができる。連結爪は、軸線と直交する線に対して対称に設けることが望ましい。
連結爪は、カバー本体の内周縁あるいはその近傍において引っかけられる。
(45)前記カバー本体の内周側の端部が、内周側にいくにつれて内側へ近づく傾斜面を備え、前記カバー・取付部連結部が、前記傾斜面と、前記カバー取付部の本体との間に設けられた(i)ねじ機構、(ii)ラチェット機構、(iii)テーパ嵌合機構のうちの1つを利用するものである(43)項または(44)項に記載のホイールカバー。
カバー・取付部連結部は、カバー取付部の取付部本体とカバー本体の傾斜面との間に設けられたねじ機構、ラチェット機構、テーパ嵌合機構を利用することができる。
(46)前記カバー・取付部連結部が、前記カバー本体と前記カバー取付部とを、互いに相対回転を抑制する状態で連結する相対回転抑制型連結部を含む(43)項ないし(45)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
カバー・取付部連結部は、相対回転抑制機能を有する場合と有さない場合とがある。
相対回転抑制型連結部は、例えば、カバー取付部とカバー本体とのいずれか一方に設けられた1つ以上の半径方向突部と、いずれか他方に設けられた半径方向突部に対応する半径方向凹部とを含むものとすることができる。
また、カバー本体の内周部に設けられた中央被連結部の、カバー取付部が配設される部分の形状を平面視において多角形を成したものとし、カバー取付部の外周縁の形状を、それに応じた多角形を成したものとすることができる。
(47)前記カバー本体が、それの内周部に設けられ、前記カバー取付部が配設される中央被連結部を含み、その中央被連結部が、(i)内周縁に形成され、軸線に対して傾斜した内周傾斜部と、(ii)環状平坦面と、(iii)環状壁部とを含み、その環状壁部が襞状を成した(1)項ないし(46)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
環状平坦面において、中央取付部が当接し、軸線方向に押付力が加えられる。
また、環状壁部が襞状とされることにより、壁部の剛性を大きくすることができ、カバー本体の環状壁部より外周側が撓められても、内周側に影響が及び難くすることができる。
【0013】
(48)前記カバー取付部が、(a)外周部に設けられ、前記カバー本体を軸線方向に押し付ける円環状の溝型押圧部と、(b)その溝型押圧部の内部に設けられ、半径方向に延びる複数の補強部材を有する半径方向補強部とを含む(1)項ないし(47)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
溝型押圧部は、取付部本体の開口側の外周縁に設けられ、ホイールにホイールカバーが取り付けられた状態で、ホイールの被嵌合穴より外周側に位置する。
溝型押圧部に半径方向補強部を設けることにより、溝型押圧部が半径方向に変形し難くすることができる。それにより、カバー取付部のカバー本体に対する押付力の低下を抑制し、ホイールカバーが外れ難くすることができる。
(49)前記カバー本体が、それの内周部に設けられ、前記カバー取付部が配設される中央被連結部を含み、その中央被連結部が、(i)内周縁に形成され、軸線に対して傾斜した内周傾斜部と、(ii)環状平坦面と、(iii)環状壁部とを含み、
前記カバー取付部が、前記カバー本体を軸線方向に押し付ける円環状の溝型押圧部を含み、その溝型押圧部の外周縁の前記軸線からの距離が、前記カバー本体の環状平坦面と前記環状壁部との境界線の前記軸線からの距離より小さくされるとともに、前記溝型押圧部の外周面に複数の半径方向に突出した突部が設けられた(1)項ないし(48)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
カバー取付部の外周縁の径は、カバー本体の環状平坦面の外周縁の径より小さくされるため、カバー取付部のカバー本体への連結作業を容易にできる。また、カバー取付部の突部までの径が、カバー本体の環状平坦面の外周縁の径とほぼ同じにされるため、カバー取付部がカバー本体に連結された状態(ホイールカバーがホイールに取り付けられた状態)で、がたつきを抑制することができる。
(50)前記カバー取付部が、前記カバー本体の半径方向の中間部において、前記ホイールに向かって押し付ける中間押付部を含む(1)項ないし(49)項のいずれか1つに記載のホイールカバー。
例えば、カバー取付部の外周部にアーム部を設け、アーム部により、カバー本体を半径方向の中間部においてホイールに押し付けることができる。それにより、カバー本体の浮き上がりを抑制し、外周縁を良好にタイヤに当接させることができる。
【0014】
(51)(a)タイヤと、(b)そのタイヤを保持するタイヤ保持部とを含むホイールの外側の少なくとも一部を覆うホイールカバーであって、
当該ホイールカバーが、それの外周縁が前記タイヤに当接する状態で、前記ホイールに取り付けられるとともに、(a)それの半径方向の中間部に設けられた少なくとも1つの窪みと、(b)その少なくとも1つの窪みの外周側の、それの外周縁から前記ホイールカバーの半径方向の長さの1/3の位置より外周側の部分に設けられた少なくとも1つの環状ビードとを含むことを特徴とするホイールカバー。
本項に記載のホイールカバーには、(1)項ないし(50)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(52)ホイールの外側の少なくとも一部を覆うホイールカバーであって、
(i)概して円環状を成したカバー本体と、(ii)そのカバー本体の内周側において前記ホイールに取り付けられることにより、前記カバー本体を前記ホイールに取り付けるカバー取付部とを含み、
前記カバー本体が、(a)内周部から外周部に達するまで、半径方向に直線状に延びた複数の長ビードと、(b)前記内周部から中間部に達するまで、半径方向に直線状に延びた複数の内周側短ビードと、(c)前記複数の内周側短ビードの外周側において、円周方向に並んで配設された複数の円弧状ビードとを含むことを特徴とするホイールカバー。
本項に記載のホイールカバーには、(1)項ないし(51)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(53)ホイールの外側の少なくとも一部を覆うホイールカバーであって、
(i)概して円環状を成したカバー本体と、(ii)そのカバー本体の内周側において前記ホイールに取り付けられることにより、前記カバー本体を前記ホイールに取り付けるカバー取付部とを含み、
前記ホイールが、それの中心軸線に沿って設けられた被嵌合穴の内周面に設けられた被係合突部を含み、
前記カバー取付部が、前記ホイールの被係合突部に係合可能であって、前記中心軸線に対して傾斜した姿勢で設けられた係合凹部を含むことを特徴とするホイールカバー。
カバー取付部のホイールに対する中心軸線回りの相対回転により、ホイールカバーをホイールに取り付けたり、外したりすることができる。
本項に記載のホイールカバーには、(1)項ないし(52)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(54)ホイールの外側の少なくとも一部を覆うホイールカバーであって、
(i)概して円環状を成したカバー本体と、(ii)そのカバー本体の内周側において前記ホイールに取り付けられることにより、前記カバー本体を前記ホイールに取り付けるカバー取付部とを含み、
前記カバー取付部が、
(a)前記ホイールの被係合部に係合可能な係合部と、(b)その係合部を保持する係合部材本体とを含み、その係合部材本体が、軸方向に伸縮可能な構造を備えたことを特徴とするホイールカバー。
本項に記載のホイールカバーには、(1)項ないし(53)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(55)ホイールの外側の少なくとも一部を覆うホイールカバーであって、
(i)概して円環状を成したカバー本体と、(ii)そのカバー本体の内周側において前記ホイールに取り付けられることにより、前記カバー本体を前記ホイールに取り付けるカバー取付部とを含み、
前記カバー取付部が、
(a)取付部本体に保持され、前記ホイールの被係合部に係合可能な係合部を備え、軸線と平行な方向の成分を含む方向に延びた複数の係合部材と、
(b)前記取付部本体とは別個独立な部材であって、前記複数の係合部材の間に配設することにより、それら複数の係合部を被係合部に向かって押し付ける緊縛力付与部材とを含むことを特徴とするホイールカバー。
取付部本体をホイールに取り付けた後に、緊縛力付与部材を複数の係合部材の間に取り付ける。それにより、係合部を被係合部に向かって押し付けることができる。
本項に記載のホイールカバーには、(1)項ないし(54)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(56)ホイールの外側の少なくとも一部を覆うホイールカバーであって、
(i)カバー本体と、(ii)そのカバー本体を前記ホイールに取り付けるカバー取付部とを含み、
前記カバー取付部が、
(a)前記ホイールの被係合部に係合可能な係合部を有し、前記カバー取付部の軸線と平行な成分を含む向きに延びる複数の係合部材と、
(b)それら複数の係合部材の各々の一端部に前記軸線と交差する向きの力を加えることにより、前記係合部が前記被係合部から離間させられる状態で、前記複数の係合部材を、他端部において保持する係合部材保持部とを含むことを特徴とするホイールカバー。
カバー本体は、円環状を成したものに限定されない。また、ホイールのスポーク等を被係合部として利用することができる。
本項に記載のホイールカバーには、(1)項ないし(55)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(57)前記カバー本体が、それの半径を調節可能な構造を備えた(56)項に記載のホイールカバー。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例に係るホイールカバーがホイールに取り付けられた状態を示す断面図(一部)である。
【図2】(a)上記ホイールのディスク部の正面図である。(b)上記ディスク部のII断面図(一部)である。
【図3】(a)上記ホイールカバーのカバー本体の正面図である。(b)図3(a)のAA断面図である。
【図4】上記ホイールカバーのカバー取付部の平面図である。
【図5】図4のBB断面図である。
【図6】図4のCC断面図である。
【図7】(a)〜(c)上記ホイールカバーのカバー本体とカバー取付部とを連結させる場合の作動図である。
【図8】(a),(b)上記ホイールカバーをホイールに取り付ける場合の作動図である。(c),(d)上記ホイールカバーをホイールから外す場合の作動図である。
【図9】(a)本発明の別の実施例に係るホイールカバーのカバー取付部の図4のCC断面図に対応する図である。(b)上記カバー取付部がホイール10に取り付けられた状態の要部を表す断面図である。
【図10】本発明の実施例2に係るホイールカバーのカバー取付部の平面図である。
【図11】図10のBB断面図である。
【図12】図10のCC断面図である。
【図13】(a),(b)上記ホイールカバーをホイールに取り付ける場合の作動図である。(c),(d)上記ホイールカバーをホイールから外す場合の作動図である。
【図14】本発明の実施例3に係るホイールカバーのカバー取付部の断面図(図4のCC断面図に対応する図)である。
【図15】本発明の実施例4に係るホイールカバーのカバー取付部の断面図(図4のCC断面図に対応する図)である。
【図16】本発明の実施例5に係るホイールカバーのカバー取付部の断面図(図10のCC断面図に対応する図)である。
【図17】本発明の実施例6に係るホイールカバーのカバー取付部の断面図(図4のCC断面図に対応する図)である。
【図18】(a)本発明の実施例7に係るホイールカバーのカバー取付部の断面図(図10のCC断面図に対応する図)である。(b)上記ホイールカバーがホイールに取り付けられた状態を示す断面図である。
【図19】(a)本発明の実施例8に係るホイールカバーのカバー取付部の断面図(図10のCC断面図に対応する図)である。(b)上記ホイールカバーが取り付けられるホイールのオーナメント被取付穴の形状を示す図である。
【図20】本発明の実施例9に係るホイールカバーのカバー・取付部連結部を表す断面図(一部)である。
【図21】本発明の実施例10に係るホイールカバーのカバー・取付部連結部を表す断面図(一部)である。
【図22】本発明の実施例11に係るホイールカバーのカバー・取付部連結部を表す断面図(一部)である。
【図23】本発明の実施例12に係るホイールカバーのカバー・取付部連結部を表す断面図(一部)である。
【図24】本発明の実施例13に係るホイールカバーのカバー・取付部連結部を表す断面図(一部)である。
【図25】(a)本発明の実施例14に係るホイールカバーのカバー本体の半径が最大である状態を示す正面図である。(b)半径が(a)の場合より小さい状態を示す正面図である。(c)上記カバー本体をホイールに取り付ける取付け部材を表す断面図である。
【図26】(a)本発明の実施例15に係るホイールカバーのカバー本体を示す正面図である。(b)上図のAA断面図である。
【図27】本発明の実施例16に係るホイールカバーのカバー本体の正面図である。
【図28】上記ホイールカバーのAA断面図である。
【図29】上記ホイールカバーのカバー取付部の平面図である。
【図30】上記カバー取付部の底面図である。
【図31】図29のBB断面図である。
【図32】図29のCC断面図である。
【図33】上記カバー取付部とカバー本体とが連結された状態を示す断面図である。
【図34】(a)本発明の実施例17に係るホイールカバーのカバー本体の正面図である。(b)図34(a)のカバー本体の一部を改良したカバー本体の平面図である。
【図35】(a)本発明の実施例18に係るホイールカバーのカバー本体の正面図である。(b)上図のDD断面図(一部)である。
【図36】本発明の実施例19に係るホイールカバーのカバー本体の正面図である。
【図37】(a)本発明の実施例20に係るホイールカバーがホイールに取り付けられた状態を示す断面図である。(b)上記ホイールカバーのカバー本体の正面図である。
【図38】(a)本発明の実施例21に係るホイールカバーがホイールに取り付けられた状態を示す断面図である。(b)上記ホイールカバーのカバー本体の正面図である。
【図39】本発明の実施例22に係るホイールカバーがホイールに取り付けられた状態を示す断面図である。
【図40】(a)本発明の実施例23に係るホイールカバーのカバー本体の正面図である。(b)上記ホイールカバーのカバー取付部の平面図である。
【図41】本発明の実施例24に係るホイールカバーのカバー取付部の正面断面図である。
【発明の実施形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態である防錆用のホイールカバーについて図面に基づいて詳細に説明する。ホイールカバーは、車を輸送する際にホイールの少なくとも一部(ディスク部を含む部分)を外側から覆う。車はホイールカバーがホイールに取り付けられた状態で走行する場合がある。
【実施例1】
【0017】
図1,2に示すように、ホイール10は、タイヤ保持部12と、タイヤ14とを含む。タイヤ保持部12は、概して円盤状を成したディスク部16と、ディスク部16の外周に設けられた円環状のリム18とを含み、リム18にタイヤ14が保持される。
ディスク部16の中心部には、センターオーナメントが取り付けられる予定の穴(以下、オーナメント被取付穴と称する)20が形成される。オーナメント被取付穴20は、回転軸線L(以下、単に、軸線Lと略称する)に沿って延びたものであり、内周面21に円環状の被係合部としての被係合突部22が形成される。なお、符号23は、ハブボルト穴(図2参照)を示し、符号24はスポークを示す。また、ホイール10の内側には、ホイール10と一体的に回転可能なブレーキ回転体25、摩擦部材をブレーキ回転体25に押し付けるキャリパ26等を備えたディスクブレーキ27が配設される。
【0018】
ホイール10にはホイールカバー30が取り付けられる。ホイールカバー30は、主としてホイール10のディスク部16の外側を覆うものであり、互いに別個独立な部材であるカバー本体32とカバー取付部としての中央取付部34とを含む。中央取付部34の外周部の一部とカバー本体32の内周部の一部とが互いに重なる状態で、中央取付部34がオーナメント被取付穴20に嵌合されることにより、ホイールカバー30がホイール10に取り付けられる。
なお、カバー本体32,中央取付部34は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂材料で製造することができるが、その他、厚紙、木材等で製造することができる。いずれの材料で製造されても、剛性が弱く、可撓性を有するもの、換言すれば、柔軟性があるものとすることが望ましい。
【0019】
<カバー本体>
図3(a)に示すように、カバー本体32は、概して円環状を成した板状部材であるが、図3(b)に示すように、半径方向の中間部が、ホイールカバー30がディスク10に取り付けられた状態(以下、単に取付状態と略称する場合がある)において、ディスク部16の外側面(意匠面と称することがある)に対して凸となる向きに湾曲した形状を成す。そのため、取付状態において、ディスク部16の外側面とカバー本体32の内側面との間に隙間d(図1参照)が設けられる場合が多い。換言すれば、カバー本体32を、取付状態で、外側に凸となる湾曲形状を成したものとすることにより、ホイールカバー30を、複数種類のホイールに使用することが可能となる。
なお、本明細書において、外側、内側とは、ホイールカバー30がホイール10に取り付けられた状態(取付状態)における、ホイール10の外側、内側のことであり、軸線L方向の外側、内側と称したり、単に、外側、内側と称したりする。
【0020】
カバー本体32は、図3(a)に示すように、半径方向に隔たった位置に円環状のビード40,42が形成される。ビード42は、ビード40より外周側に形成される。これらビード40,42により、カバー本体32の剛性が得られる。
ビード40は、カバー本体32の半径方向のほぼ中央部に設けられ、ビード42は、外周縁から、カバー本体32の半径方向の長さR0の約0.25の位置、換言すれば、カバー本体32の中心P0(物は存在しない。ホイールカバー30がホイール10に取り付けられた状態で、軸線L上の点)から外周縁までの長さR1の約0.2の位置に設けられる。
なお、ビード42は、長さR0の0.4の位置(0.4R0)より外周側に設けても、(0.3R0)の位置より外周側に設けてもよく、(0.1R0)の位置より内周側、(0.2R0)の位置より内周側に設けることが望ましい。
また、カバー本体32の外周縁部はR形状(R形状部44と称する)とされている。R形状部44の湾曲部がタイヤ14に当接可能とされているのであり、それにより、タイヤ14に傷が付き難くされる。また、タイヤ14とホイールカバー30とが当接するため、ディスク部16を良好に外気から保護することができる。
【0021】
カバー本体32の中間部のビード40が形成された部分には、周方向に連続した窪み46が形成される。窪み46は、半径方向に広がって、ビード40全体を覆う状態で設けられる。窪み46は、互いに凹部の深さ(軸線L方向の深さ)が異なる窪み46a,bを含む。窪み46a、bは、交互に、90°ずつ隔たった位置に設けられる。窪み46a,bは、それぞれ、底面が曲線と直線とによって規定される形状とされているが、窪み46a,b各々の形状、個数は問わない。
窪み46が形成されることにより、カバー本体32のビード42より内周側の部分において、変形し易くされ、応力が吸収され易くされる。窪み46は、図3(b)に示すように、外側が開口、内側が底部となる向きに凹まされたものである。
ホイール10の形状は多種類あり、図1に示すように、(i)軸線Lと、カバー本体32の外周縁44とタイヤ14との当接点との間の半径方向の長さR* 、(ii)ディスク部16のオーナメント被取付穴20の開口部47と当接点との間の軸線Lと平行な方向の距離H*(以下、R*、H*をオフセット長さと総称することがある)は、ホイールの種類毎に異なることが多い。そのため、オフセット長さとカバー本体32の形状とが合わない場合には、ホイールカバー30がホイール10に取り付けられた場合に、カバー本体32に力が加わり、変形させられることがある。そして、カバー本体32の変形により、R形状部44とタイヤ14との間に隙間が生じる(R形状部44がタイヤ14から浮き上がる)と、ディスク部16に雨等が入り込む可能性が高くなり、望ましくない。
それに対して、本実施例に係るホイールカバー10においては、カバー本体32の中間部に窪み46が形成され、変形し易くされている。また、ビード42により内周側の部分と外周側の部分とが分離され、内周側の部分が変形しても、ビード42の外周側の部分は変形し難くされる。その結果、オフセット長さとカバー本体32の形状とが合わない場合であっても、ビード42の外周側においては形状(平板性、真円度等)が保持され、タイヤ14とカバー本体32のR形状部44とが安定的に当接可能とされる。
この意味において、ビード42の内周側を応力緩和部と称し、ビード42の外周側をタイヤ対向部と称することができる。
【0022】
また、カバー本体32の窪み46が形成された部分より内周側の部分には、中央取付部34が取り付けられる被連結部(中央取付部34と重なる部分)が設けられる。被連結部は、半径方向に平坦に延びた円環状の平坦面部48と、平坦面部48の内周側の軸線Lに対して傾斜した傾斜面を備えた傾斜部50とを含む。傾斜部50は、内周にいくにつれて内側にいく向きに傾斜する傾斜面を含む。符号52は、傾斜部50の内周縁部を示す。内周縁部52は、内周方向に突出した(半径方向に平坦な面を含む)部分である。なお、内周縁部52を設けることは不可欠ではない。
以下、被連結部は、中央被連結部と称する場合がある。
【0023】
<中央取付部>
中央取付部34は、図4〜6に示すように、(i)概して円錐形を成した取付部本体60と、(ii)取付部本体60の外周に形成された押圧部62と、(iii)オーナメント被取付穴20に嵌合される嵌合部64とを含む。中央取付部34がホイール10に取り付けられた状態で、中央取付部34の軸線はホイール10の軸線Lと一致する。
[取付部本体]
取付部本体60は、軸線Lの外側において内側におけるより半径が大きくなる向きに傾斜した傾斜面を備え、傾斜面の最も外側に押圧部62が設けられる。押圧部62は、外側に凸とされ、外側に突出した頂面が平坦(平坦面65)とされている。押圧部62は、中央取付部34とカバー本体32とが連結された場合に、カバー本体32の平坦面部48に対向する。また、平坦面65は、後述するように、中央取付部34をカバー本体32に連結する作業等を容易にするために設けられたものである。
[カバー・取付部連結部]
取付部本体60の傾斜面には、4つの連結爪66が形成される。4つの連結爪66は、図4,6に示すように、軸線L方向の同じ位置に、半径方向に延びる線BBあるいはCCに対して対称な位置に設けられ、板状部材が、半径方向に湾曲した形状(外側に凹となる形状)を成す。換言すれば、連結爪66は、図6に示すように、互いに対向する部分68a,68bの間に、カバー本体30の傾斜部50の内周縁部52が収容され得る形状とされる。また、連結爪66は、半径方向に変形し易い形状を成している。
なお、連結爪66は、本実施例においては、4個設けられたが、2つあるいは3つ設けても、5つ以上設けてもよい。また、等間隔に設けてもよい。
本実施例においては、中央取付部34の連結爪66、カバー本体32の内周縁部52等によりカバー・取付部連結部70(図7参照)が構成される。
取付部本体60の内側には、概して長円形状を成した開口72が設けられる。
【0024】
[嵌合部]
嵌合部64は、取付部本体60に保持される。嵌合部64は、互いに位相が180°隔たった位置に設けられた一対のガイド部材78a,bと、一対の係合部材82a,bとを含む。ガイド部材78a,bと、係合部材82a,bとは、それぞれ、交互に設けられる。
{ガイド}
ガイド部材78a,bは、図5に示すように、軸線Lとほぼ平行に延びたものであり、それぞれ、ガイド部本体84a,b、補強ロッド86a,b、傾斜面保持部材88a,b等を含む。ガイド部本体84a,bは、取付部本体60の開口72の狭幅部に対応する部分に保持される。また、一対のガイド部本体84a,bは、直径方向に延びるガイド連結部材90によって連結される。
ガイド部本体84a,bは、概して円筒の一部の形状を成したものであり、外周面においてオーナメント被取付穴20の内周面21に対向する。一方、ガイド部本体84a,bの内周側には、それぞれ、補強ロッド86a,bが設けられるとともに、補強ロッド86a,bとガイド部本体84a,bの外周面との間に傾斜面保持部88a,bが設けられる。傾斜面保持部88a,bは、軸線L方向の内側に設けられ、それぞれ、外側にいくにつれて半径方向外方へいく向きに傾斜する傾斜面92a,bを備え、傾斜面92a,bの最も半径方向外方の縁が前記ガイド部本体84a,bの外周面と連続する。
傾斜面92a,bは、嵌合部64のオーナメント被取付穴20への嵌合を容易にするために設けられたものである。嵌合部64が軸線Lに対して傾斜した向きから挿入されても、傾斜面92a,bにより嵌合部64を軸線Lと平行な姿勢に修正することが可能となる。
傾斜面92a,bは平坦面であっても曲面であってもよい。
【0025】
また、ガイド部本体84a,bの軸線L方向の外側の端部の、周方向の両端部には、それぞれ、力受け部94a1,a2、力受け部94b1,b2が設けられる。力受け部94a1,a2,力受け部94b1,b2は、それぞれ、軸線Lと平行な方向に延びたものであり、外周面が、オーナメント被取付穴20の内周面21に当接可能とされる(以下、力受け部94a,bの外周面を当接面と称する場合がある)。
ガイド部本体84a,bの外周面によって規定される外径は、オーナメント被取付穴20の内径より小さい。そのため、力受け部94(力受け部94a1,a2,b1,b2の各々を区別する必要がない場合、力受け部の全体を総称する場合には、a1,a2,b1,b2を付さないで用いる。他の部材についても同様であり、区別する必要がない場合には、a,bを付さないで用いる。)が設けられていない場合には、ホイールカバー30がホイール10に取り付けられた状態で、ガイド部本体84a,bはオーナメント被取付穴20の内周面21に当接せず、ホイール10とホイールカバー30との間に作用する力は、後述する係合突部が受ける。それに対して、力受け部94が設けられれば、力受け部94も力を受けることになり、係合突部が受ける力が軽減される。その結果、係合突部が損傷し難くすることができる。
このことから、力受け部94は、互いに対向する位置(中心角が180°隔たった位置)に設けることが望ましい。本実施例においては、力受け部94a1,b2が互いに対向し、力受け部94a2,b1が互いに対向する相対位置関係にある。
なお、本実施例においては、ガイド部本体84a,bの周方向の両端部に、力受け部94が2つずつ設けられるようにされていたが、3つ以上ずつ設けることもできる。また、ガイド部本体84a,bの周方向の中央部に、1つずつ設けてもよい。
一方、力受け部94をガイド部本体84の周方向の全体に渡って設けることも可能であるが、力受け部94の当接面の面積が大きすぎると、ホイールカバー30をホイール10に取り付ける場合の抵抗が大きくなる。それに対して、力受け部94を、ガイド部本体84の周方向の一部に設ければ、抵抗が過大になることを回避しつつ、係合突部が受ける荷重を小さくすることができる。
【0026】
{係合部}
図6に示すように、係合部材82a,bは、軸線Lとほぼ平行に延びたものである。係合部材82a,bの外側の端部が一端部96a,bとされ、内側の端部が他端部98a,bとされる。一端部96a,bは開口72から外側へ突出した位置にあり、フリーな状態とされる。また、他端部98a,bには、周方向の中央部に隙間を隔てて、それぞれ、係合突部100a1,a2,係合突部100b1,b2が、2つずつ設けられる。本実施例においては、係合突部100a1,a2,b1,b2の各々が係合部に対応する。
また、係合部材82a,bは、他端部98a,bにおいて係合部連結部材102によって連結される。係合部連結部材102は、概してコの字形を成したものであり、中間部において、ガイド連結部材90に固定される。係合部材82a,bは、係合部連結部材102,ガイド連結部材90を介して取付部本体60に保持される。
係合部連結部材102には、互いに平行に、直径方向に延びる複数の補強部(リブ)104p,q,r(図4,5参照)が設けられる。補強部104p、q、rは、それぞれ、係合部連結部材102から軸線L方向に突出して設けられた板状部材であり、係合部材82a,bが互いに接近する方向に変形し難くされている。
【0027】
係合部材82a,bの一端部96a,bに、それぞれ、内周方向の力が加えられると、係合部材82a,bは、それぞれ、他端部98a,bを中心として回動させられ{弾性変形(内周側への撓み)も含む}、係合突部100a1,a2,100b1,b2が内周側へ回動させられる。仮に、係合突部100aが周方向に連続して設けられていた場合(中央部で分離されていない場合)には、回動させられた状態において、係合突部100aの周方向の端部と、中央部とにおける軸線L方向の位置の差が大きくなる(中央部における方が軸線L方向の外側に位置する)。そのため、係合突部100aの中央部がオーナメント被取付穴20の被係合突部22に引っかかり、着脱を良好に行い難いという問題があった。
一方、係合部材82および係合突部100の周方向の長さを短くすれば、係合突部100の両端部間の軸線L方向の位置の差は小さくなるが、被係合突部22との係合部分が少なくなり、中央取付部34が外れ易くなるという別の問題が生じる。また、係合部材82の周方向の長さを短くして、個数を増やすことも考えられるが、構造が複雑になる。
それに対して、係合部材82a,bの周方向の長さを長くするとともに、係合突部100a1,a2,100b1,b2を、それぞれ、2つずつ、中央部に隙間を設けて設ければ、構造を複雑にすることなく、係合突部100a1,a2、b1,b2の各々の周方向の両端部の間の軸線L方向の位置の差を小さくすることができる。また、中央取付部34が外れ難くすることもできる。
【0028】
仮に、補強部104p,q,rが設けられていない場合において、一端部96a,bに内周方向の力が加えられると、係合部連結部材102および係合部材82が変形させられる。そのため、力が除かれた場合に、充分に戻らず、充分な緊縛力が得られない場合がある。
それに対して、係合部連結部材102に補強部104p,q,rが設けられると、一端部96a,bに力が加えられても係合部連結部材102は変形し難くなり、主として係合部材82a,bが変形させられる。そのため、力が除かれた場合に、係合突部100を外周側に回動させることができ、緊縛力不足を抑制することができる。
本実施例においては、補強部104p,q,rを備えた係合部連結部材102、ガイド連結部材90により強剛性保持部が構成される。
【0029】
図4〜6において、中央取付部34が複数の部材から構成される状態を示したが、一体的に成形されたものとすることもできる。例えば、射出成形等により製造される場合には、中央取付部34は一体的に成形されることになる。すなわち、中央取付部34の成形方法は問わず、一体的に成形されたものであっても、複数の部材から構成されたものであってもよい。以下の実施例においても同様とする。
【0030】
<着脱作業>
以上のように構成されたホイールカバー30のホイール10に対する着脱作動について説明する。
[取付け作業]
(1)予め、中央取付部34とカバー本体32とを連結しておく。
図7(a)〜(c)に示すように、作業者は、中央取付部34をカバー本体32の内周側に軸線Lの方向へ挿入する。
図7(b)に示すように、連結爪66(対向部68bの外周面)が、カバー本体32の内周縁部52(あるいは傾斜部50)によって内周側に押し付けられて、弾性変形させられる。そして、連結爪66が、内周縁部52を超えて、押付力が除かれると、図7(c)に示すように、復元力により、連結爪66の形状が戻り、対向部68a,bの間に、カバー本体32の内周縁部52が収容される。それにより、中央取付部34と、カバー本体32とが連結される。この場合に、中央取付部34の押圧部62の平坦面65をカバー本体32に向かって押し付けると連結操作が容易となる。
また、この状態で、中央取付部34の押圧部62が、カバー本体32の平坦面部48に位置し、カバー本体32の平坦面部48から内周側の部分において、カバー本体32と中央取付部34とが軸線L方向において重なる(カバー本体32が内側、中央取付部34が外側)。
このように、内周縁部52は、連結爪66を半径方向に弾性変形させるのに有効に機能する。
【0031】
(2)連結されたカバー本体32および中央取付部34をホイール10に取り付ける。
中央取付部34がオーナメント被取付穴20に嵌合されるのであるが、作業者は、図8(a)に示すように、係合部材82a,bの一端部96a,bに内周方向の力を加える。係合部材82a,bの回動により、係合突部100a,bが内周側に移動させられる。中央取付部34を軸線Lに沿って、係合突部100a,bが被係合突部22より内側に位置するまで、押し込む。その状態で、一端部96a,bに加えられた内周方向の力を除けば、復元力により、図8(b)に示すように、係合突部100a1,a2,100b1,b2を被係合突部22の軸線L方向の内側において係合させることができる。
この状態において、中央取付部34の押圧部62がカバー本体32の平坦面部48に当接し、カバー本体32をホイール10に向かって押し付ける。また、ホイール10の形状(オフセット量)とホイールカバー30の形状とが合わないことに起因して、ホイールカバー30に生じる応力は、カバー本体32のビード42より内周側の部分で受けられて、変形させられる。その結果、カバー本体32の外周縁44をタイヤ14に良好に当接させることができ、ホイール10のディスク部16を外気から良好に保護することができる。
【0032】
なお、取付け作動は、上述のように行うことに限定されない。
例えば、中央取付部34をオーナメント被取付穴20に嵌合する場合には、中央取付部34を軸線Lと平行な方向に押し付ける(押圧部62の平坦面65において押し付ける)だけでもよい。係合部材82a,bの弾性変形により、係合突部100a1,a2,100b1,b2を被係合突部22の内側まで押し込むことが可能である。
また、カバー本体32のホイール10への取り付けと、カバー本体32と中央取付部34との連結は同時に行われるようにすることもできる。カバー本体32をホイール10に当てておいて、中央取付部34をオーナメント被嵌合穴20に嵌合させれば、カバー本体32がホイール10に取り付けられるとともに、カバー本体32と中央取付部34とが連結される。
【0033】
[取外し作業]
図8(c)に示すように、作業者が、係合部材82a,bの一端部96a,bに内周方向の力(係合部材82a,bが互いに接近する向きの力)を加える。係合部材82a,bの回動により、係合突部100a1,2,100b1,2が内周側に移動させられ、被係合突部22から離間させられる。係合突部100と被係合突部24との係合が外されるため、図8(d)に示すように、中央取付部34を容易に軸線L方向の外側へ移動させること(引き抜くこと)ができるのであり、容易に、ホイールカバー30をホイール10から外すことができる。
【0034】
このように、本実施例においては、係合突部100と被係合突部24との係合状態と非係合状態とが、係合部材82の回動(撓みも含む)に伴う係合突部100の回動によって切り換えられる。そのため、着脱時に、係合突部100に加えられる荷重が小さくなり、係合突部100が損傷し難くすることができる。それにより、ホイールカバー30の使用可能回数を増やすことができる。
【0035】
なお、上記実施例においては、係合突部100a1,a2,b1,b2と係合部材82a,bのそれ以外の部分とが同じ種類の樹脂材料で成形されるようにされていたが、係合突部を、係合部材82a,bのそれ以外の部分より摩擦係数が大きい材料で成形されたものとすることができる。
その場合の一例を図9に示す。
図9(a)、(b)に示すように、係合突部が、ゴムで成形された係合突部140a1(a2),b1(b2)とされる。このように、係合突部140が、ゴム等の摩擦係数が高い材料で成形されたものとされるため、取付状態において、ホイールカバー30に軸線Lと平行な方向の力が作用しても、摩擦力により、ホイールカバー30がホイール10から外れ難くすることができる。
なお、図9(b)に示すように、係合突部140と被係合突部22との係合状態において、係合突部140は、被係合突部22の内側に位置するのではなく、被係合突部22と当接する状態とすることができる。ゴム等は、剛性が小さく、弾性変形し易いため、自身の弾性変形により、被係合突部22に当接した状態で係合させられるようにすることもできるのである。
【実施例2】
【0036】
本発明の別の一実施例であるホイールカバーの中央取付部150について図10〜12に基づいて説明する。カバー本体32については、実施例1における場合と同様であるため、説明を省略する。
図10〜12において、中央取付部150は、取付部本体152と、押圧部154と、嵌合部156とを含む。取付部本体152は概して円錐状を成したものであり、外側の開口部に押圧部154が設けられ、内側に円形の開口158が設けられる。
[嵌合部]
嵌合部156は、一対のガイド部材160a,bと、一対の係合部材162a,bとを含み、図10,11に示すように、一対のガイド部材160a,bは、それぞれ、取付部本体152の内周面に保持される。ガイド部材160a,bの外側の端部の周方向の両端部には、それぞれ、力受け部163a1,a2,163b1,b2が設けられる。
{係合部}
係合部材162a,bは、図10,12に示すように、概してU字形に湾曲した形状を成したものであり、一端部164a,bが内周側に位置し、他端部166a,bが外周側に位置し、他端部166a,bにおいて取付部本体152に保持される。本実施例においては、取付部本体152が係合部材連結部としての機能を果たす。
また、一端部164a,bおよび他端部166a,bが外側に位置し、湾曲した部分が内側に位置し、その内側の部分に係合突部168a1,a2,b1,b2が設けられる。係合部材162a,bの一端部164a,bを含む部分は、軸線L方向に外側へいくにつれて内周側にいく向きに傾斜しており、本実施例においては、一端部164a,bが、開口158付近まで至る。また、一端部164a,bの縁同士が連結され、概して逆Vの字形状とされる。さらに、係合部材162a,bには、直径方向に沿って、他端部166a,bの間に、軸線L方向に突出する補強部172(リブ)が設けられる。
【0037】
<着脱作業>
以上のように構成されたホイールカバーを取り付ける場合には、図13(a)に示すように、作業者が、一端部164a,b(逆V字形を成した部分)を互いに接近させる向き(内周側に向かう向き)の力を加える。係合部材162a,bが他端部166a,bを中心に回動させられ、係合突部168a,bが内周方向へ移動させられる。係合突部168a,bが、被係合突部22より内側へ位置するまで中央取付部150を軸線L方向へ押し込んだ後に、一端部164a,bに加えた力を除く。図13(b)に示すように、係合部材162a,bは、元の状態に戻され、係合突部168a,bが被係合突部22の内側において係合させられる。
ホイールカバーを外す場合には、作業者は、図13(c)に示すように、一端部164a,bを互いに接近させる向きの力を加える。係合突部168a,bが内周方向へ移動させられ、係合状態から非係合状態に切り換えられる。それにより、図13(d)に示すように、中央取付部150を軸線Lに沿って、引き抜くことができ、ホイールカバーをホイール10から外すことができる。
このように、本実施例においては、逆V字形の部分を挟むような力が加えられることにより、係合部材162a,bが、係合突部168a,bが設けられた位置より外側の部分を中心して回動させられる。それにより、係合突部168a,bを被係合突部22から良好に離間させることができる。
【0038】
なお、係合部材162a,bを均一の材料で成形することは不可欠ではなく、係合突部168a,b(あるいは、係合突部168a,bを含む周辺部分)を、他の部分に比較して、熱膨張係数が小さい材料で成形することができる。熱膨張係数が小さい材料として、タングステン酸ジルコニウム(ZrW23),シリコン酸化物(Li2O−Al23−nSiO2)等が該当する。これらは温度が低下するとわずかに膨張する材料(熱膨張係数が負である材料)でもある。ポリプロピレン等の汎用樹脂は、温度が上昇すると膨張する材料(熱膨張係数が正である材料)であるため、係合部材162a,bの突部168a,b以外の部分は、熱膨張係数が正の材料で成形されたものであると考えることができる。
このように、係合突部168a,bの寸法安定性を向上させれば、温度変化に起因する締付力(緊縛力)の変化を抑制することができる。
【実施例3】
【0039】
本発明の別の一実施例であるホイールカバーの中央取付部190について図14に基づいて説明する。その他の部分については、実施例1における場合と同様であるため、説明を省略する。
本実施例においては、図14に示すように、係合部材192a,bに、軸線Lの方向に間隔を隔てて複数の係合突部194a,b,196a,b,198a,bが設けられる。係合突部194a1(a2),b1(b2),196a1(a2),b1(b2),198a1(a2),b1(b2)は、互いに半径方向の突出量ΔAが異なるものであり、軸線方向Lの外側に位置する突部198が、最も半径方向の突出量ΔA3が大きく、内側に位置する突部194の突出量ΔA1が、最も小さく、中間に位置する突部196の突出量ΔA2は中間の大きさである(ΔA1<ΔA2<ΔA3)。
オーナメント被取付穴20の内径が大きい場合には、中央取付部190のオーナメント被取付穴20への挿入長さを大きくして、内径が小さい場合には小さくすることにより、オーナメント被取付穴20の内径が異なっても、本実施例のホイールカバーを利用することが可能となる。
また、突出量ΔAが大きい係合突部198が軸線L方向の外側に設けられるため、オーナメント被取付穴20の内径が小さい場合には、挿入長さを小さく、内径が大きい場合には、挿入長さを大きくすればよく、内径が小さい場合に、突出量ΔAが大きい係合突部198が邪魔にならないようにされている。
【実施例4】
【0040】
本発明の別の一実施例であるホイールカバーの中央取付部200を図15に基づいて説明する。その他の部分については、実施例1における場合と同様であるため、説明を省略する。
図15において、互いに対向する位置に係合部材本体202a,bが設けられる。係合部材本体202a,bの各々の軸線L方向に隔たった2箇所に、半径方向に開口を有する外側穴204a,b、内側穴206a,bが形成され、係合部材本体202a,bの内周側に、突部部材210a,bがそれぞれ配設される。
突部部材210a,bは、それぞれ、軸線Lと平行な方向に延びた部材であり、内側の端部に係合突部212a,bが形成されるとともに、外側の端部にロッド214a,bが半径方向に延びた姿勢で設けられる。突部部材210a,bは、それぞれ、係合突部212a,bが内側穴206a,bから外周方向へ突出し、ロッド214a,bが外側穴204a,bから外周方向へ突出する姿勢で、内側の端部において回動軸220a,b回りに回動可能に保持されるとともに、中間部において、スプリング222a,bを介して保持される。スプリング222a,bは、突部部材210a,bに、係合突部212a,bをそれぞれ、外周側に押し出す方向の付勢力を付与する状態で設けられる。
【0041】
以上のように構成された中央取付部200において、係合部材本体202a,bの各々において、ロッド214a,bがスプリング222a,bの付勢力に抗して内周側に押し付けられると、突部部材210a,bが、それぞれ、回動軸220a,b回りに回動させられ、係合突部212a,bが内周側へ移動させられる。それにより、係合突部212a,bが被係合突部22から離間させられる。この状態で、中央取付部200を軸線Lと平行に移動させれば(押し込み、あるいは、引き抜き)、容易に、ホイールカバーをホイール10に対して着脱することができる。
本実施例においては、突部部材210a,bによって係合部材が構成され、ロッド214a,bが、突部部材210a,bの一端部に対応し、回動軸220a,bによって保持された部分が他端部に対応し、係合部材本体202a,bの回動軸220a,bを含む部分,係合部連結部材102等により係合部材保持部が構成される。ロッド214a,bは、操作ロッドと称することができる。
【0042】
なお、本実施例においては、係合突部本体202a,bの外側の一端部224a,bに、内周方向の力が加えられることにより、係合突部本体202a,bが回動させられ、それに伴って突部部材210a,bが回動させられる。突部部材210a,bの回動に伴って係合突部212a,bが内周側へ移動させられ、被係合突部22との係合が解除される。このように、一端部224a,bの内周側への操作により、ホイールカバーのホイール10への着脱作業が行われるようにすることもできる。
また、突部部材210a,bは、係合部材本体202a,bに、突部部材210a,bの内周側または外周側において回動可能に保持されるようにすることもできる。
さらに、本実施例に記載の技術的特徴は、実施例2に記載の中央取付部に適用することができる。係合部材本体202a,bの外周縁において、実施例2に記載の中央取付部150の取付部本体152に保持される。その場合には、突部部材210a,bが、ロッド214a,bが開口158より外側に位置する長さとされる。
【実施例5】
【0043】
本発明の別の一実施例であるホイールカバーの中央取付部230を図16に基づいて説明する。その他の部分については、実施例2における場合と同様であるため、説明を省略する。
中央取付部230においては、取付部本体152に嵌合部としての円筒部234が保持される。円筒部234の外周面には螺旋状の溝236が形成され、オーナメント被取付穴20の被係合突部22と螺合可能とされている。
本実施例においては、円筒部234がオーナメント被取付穴20に嵌合された状態で、中央取付部230が軸線Lの回りにホイール10に対して相対回転させられる(カバー本体に対して相対回転させられることもある)。それにより、中央取付部230が軸線Lに沿って内側へ移動させられ、ホイールカバーがホイール10に取り付けられる。
また、中央取付部230が軸線Lの回りに逆方向に回転させられれば、軸線Lの外側へ移動させられる。それにより、ホイールカバーをホイール10から外すことができる。
【実施例6】
【0044】
本発明の別の一実施例であるホイールカバーの中央取付部270を図17に基づいて説明する。その他の部分については、実施例1における場合と同様であるため、説明を省略する。
本実施例に係る中央取付部270は、実施例1の中央取付部34と形状は同じであるが、図17に示すように、係合部材272a,bに、それぞれ、ばね部材274a,bが配設される。ばね部材274a,bは、係合部材272a,bを外周側に押し付ける向き、すなわち、係合部材272a,bと連結部材276との間をそれぞれ広げる(半径方向に広げる)方向に付勢力を付与する状態で設けられる。それにより、係合突部100a1(a2),b1(b2)に、オーナメント被取付穴20の内周面21に向かって押し付ける向きの付勢力が付与される。
係合部材272a,bの一端部280a、bに内周方向への力が付与されると、係合突部100a,bが内周側へ移動させられ、被係合突部22から離間させられる。一端部280a,bには、ばね部材274a,bの付勢力に抗して係合部材272a,bを回動させ得る大きさの力が加えられる。
【実施例7】
【0045】
本発明の別の一実施例であるホイールカバーの中央取付部300を図18に基づいて説明する。その他の部分については、実施例2における場合と同様であるため、説明を省略する。
図18(a)に示すように、本実施例の中央取付部300は、取付部本体152と、取付部本体152の内側に保持された一対のガイド部材304a,bと、一対の係合部材306a,bとを含み、ガイド部材304a,bと係合部材306a,bとが周方向に交互に設けられる。
ガイド部材304a,b、係合部材306a,bは、軸線Lとほぼ平行な方向に延びたものであり、係合部材306a,bの内側の端部には、係合突部308a,bが、それぞれ設けられる。
図18(b)に示すように、作業者によって、中央取付部300が軸線Lと平行な方向にオーナメント被取付穴20に押し込まれると、係合突部308a,bがオーナメント被取付穴20の内周面21と接することにより弾性変形させられる(内周側に撓められる)。
そして、中央取付部300が、係合突部308a,bがオーナメント被取付穴20の被係合突部22の内側に位置するまで挿入された後、作業者によって、ロッド状を成した緊縛力付与部材310が、直径方向に延びた姿勢で、一対の係合部材306a,bの間に押し込まれる。それにより、ホイールカバーがホイール10に取り付けられる。
また、緊縛力付与部材310を外せば、中央取付部300を軸線Lと平行な方向に容易に引き抜くことができ、ホイールカバーをホイール10から外すことができる。
このように、緊縛力付与部材310が一対の係合部材306a,bの間に張設されている間は、一対の係合部材306a,bが接近しないようにされている。そのため、ホイールカバーの着脱作業等において、誤って、一対の係合部材306a,bに半径方向の力が加えられても、ホイールカバーがホイール10から外れないようにすることができる。
なお、緊縛力付与部材310は、リング状を成したものとしたり、リングの中心にロッドが配設された形状を成したものとしたりすること等もできる。
【実施例8】
【0046】
本発明の別の一実施例であるホイールカバーの中央取付部320を図19(a)に基づいて説明する。その他の部分については、実施例2における場合と同様であるため、説明を省略する。
図19(a)に示す中央取付部320においては、取付部本体152に保持された嵌合部324が伸縮可能とされている。嵌合部324は、軸線Lと平行な方向に延びた複数の円筒部325〜327を含む。複数の円筒部325〜327は、互いに重なりあって配設され、各々、外側へいくにつれて内径が小さくなる向きに傾斜する形状とされている。そのため、円筒部325〜327の重なり部分を調節することにより、互いの相対位置で固定することができ、長さを調節することができる。
また、円筒部325〜327のうちの、最も外周側に位置する円筒部327の、互いに対向する部分に一対の係合突部328a、328bが設けられる。
一方、本実施例においては、オーナメント被取付穴330の内周面に、中心角180°隔たった位置に隙間332,334を隔てて、一対の被係合突部336,338が形成される。環状の被係合突部に一対の切欠が形成された形状を成したものである。
【0047】
作業者によって、中央取付部320がオーナメント被取付穴330に軸線Lと平行な方向に、係合突部328a,bが隙間332,334に対応する相対位相で挿入される。係合突部328a,bが隙間332,334を通過した後、ホイールに対して相対回転させられ、係合突部328a,bが被係合突部336,338の内側に位置する。それにより、係合突部328a,bと被係合突部336,338とが係合させられ、ホイールカバーがホイール10に取り付けられる。
また、作業者によって、中央取付部320がオーナメント被取付穴330において軸線Lの回りに相対回転させられ、係合突部328a,bが隙間332,334に対応する相対位相とされる。中央取付部320は、軸線Lと平行な方向に引き抜かれる。中央取付部320がオーナメント被取付穴330から外され、ホイールカバーがホイール10から外される。
なお、一対の係合部材の各々を、伸縮自在の円筒状を成したものとすることができる。
【実施例9】
【0048】
本発明の別の一実施例であるホイールカバーについて図20に基づいて説明する。本実施例においては、カバー・取付部連結部の構造が、実施例1における場合と異なる。他の部分については、実施例1における場合と同様であるため、説明を省略する。なお、以下の各実施例において、内周縁部52は不可欠ではないため、図21,23においては省略した。
カバー本体350の内周側の傾斜部352には第1歯部356が形成される。また、中央取付部358の取付部本体360から半径方向外方へ突出した連結突部362が複数設けられ、連結突部362の各々に、第1歯部356と係合可能な第2歯部364が形成される。第1歯部356と第2歯部364とでラチェット機構が構成される。中央取付部358のカバー本体350に対する外側から内側への相対移動が許容され、逆向きの移動が阻止される。連結突部362は、ロッド状を成したものであっても、板状を成したものであってよく、取付部本体360の外周面に固定された円筒状を成したものであってもよい。
このように、第1歯部356と第2歯部364とが噛み合った状態において、中央取付部358がカバー本体350に対して外側に抜け難くされる。それにより、中央取付部358とカバー本体350とを良好に連結することができる。
また、第1歯部356と第2歯部364との噛合い位置を調節すれば、中央取付部358とカバー本体350との連結状態における相対位置関係を調節することができる。
なお、これらを分離する場合には、ホイールカバーをホイール10から外した後に、作業者によって、連結突部362と傾斜部352とが離間させられる(剥がされる)。
本実施例においては、第1歯部356と第2歯部364とによりカバー・取付部連結部366が構成される。
【実施例10】
【0049】
本発明の別の一実施例であるホイールカバーについて図21に基づいて説明する。本実施例においては、カバー・取付部連結部の構造が、実施例1における場合と異なる。他の部分については、実施例における場合と同様であるため、説明を省略する。
カバー本体380の内周側の傾斜部382には、雄ねじ部と雌ねじ部との一方(例えば、雌ねじ部)384が形成され、中央取付部388の取付部本体390に設けられた連結突部392には、雄ねじ部と雌ねじ部との他方(例えば、雄ねじ部)394が形成される。連結突部392は、概して円筒状を成したものであり、取付部本体390の外周面に半径方向に突出した状態で設けられる。連結突部392の雄ねじ部394と傾斜部382の雌ねじ部384とによりねじ機構が構成される。
中央取付部388のカバー本体380に対する軸線回りの相対回転により、雄ねじ部394と雌ねじ部384とが螺合させられ、これらが連結される。
また、中央取付部388をカバー本体380に対して逆方向に回転させれば、これらの連結が解除される。
本実施例においては、雄ねじ部394が形成された連結突部392,雌ねじ部384が形成された傾斜部382等によりカバー・取付部連結部396が構成される。
【実施例11】
【0050】
本発明の別の一実施例であるホイールカバーについて図22に基づいて説明する。本実施例においては、カバー・取付部連結部の構造が、実施例1における場合と異なる。他の部分については、実施例1における場合と同様であるため、説明を省略する。
カバー本体410の内周側の傾斜部412は、軸線Lと直交する方向(半径方向)に対して角度θで傾斜した姿勢で設けられる。また、中央取付部414の取付部本体416には、等間隔で複数(互いに対向する位置に設けられた少なくとも一対)の連結突部422が設けられるが、連結突部422は、半径方向に対して角度φで傾斜した姿勢で設けられる。角度φは角度θより大きくされている(θ<φ)。
中央取付部414がカバー本体410の内周側に軸線Lと平行な方向に挿入されると、連結突部422と傾斜部412とが係合させられるのであり、斜面の効果により、カバー本体410と中央取付部414とが連結される。本実施例においては、爪、歯部等を形成する必要がないという利点がある。
本実施例においては、連結突部422および傾斜部412等によりカバー・取付部連結部424が構成される。
なお、連結突部422は、中央取付部414の取付部本体416の外周面に固定された円筒状の部材とすることができる。
【実施例12】
【0051】
本発明の別の一実施例であるホイールカバーについて図23に基づいて説明する。本実施例においては、カバー・取付部連結部の構造が、実施例1における場合と異なる。他の部分については、実施例1における場合と同様であるため、説明を省略する。
図23(a)に示すように、中央取付部432の取付部本体434の外周面の中心角120°隔たった位置に、3つの連結突部436が形成される。連結突部436は、半径方向に突出する形状を成したものである。
図23(b)に示すように、カバー本体438の中央被連結部において、内周側の傾斜部440には、内径側に突出した保持部材442が、中心角120°ずつ隔たった位置に、互いに隙間446を隔てて形成され、保持部材442より内側(内周側)に、環状の保持部材444が形成される。
作業者によって、中央取付部432が、連結突部436が隙間446に対応する相対位相で、軸線Lと平行に内側へ移動させられると、連結突部436が、保持部材444に当接する。そして、中央取付部432がカバー本体438に対して相対回転させられると、連結突部436が保持部材442,444の間に位置することになる。それにより、中央取付部432とカバー本体438とが連結される。連結突部436が、軸線Lと平行な方向の両側から保持されるため、中央取付部432が軸線Lと平行な方向に外れ難くされる。
中央取付部432をカバー本体438に対して相対回転させ、隙間446に突部436が対応する相対位相とすれば、中央取付部432をカバー本体438から外すことができる。
本実施例においては、保持部材442,444および連結突部436等によりカバー・取付部連結部448が構成される。
【実施例13】
【0052】
本発明の別の一実施例であるホイールカバーについて図24に基づいて説明する。本実施例においては、カバー・取付部連結部の構造が、実施例1における場合と異なる。他の部分については、実施例1における場合と同様であるため、説明を省略する。
中央取付部450の押圧部454の周方向の互いに隔たった位置に、半径方向に延び出したアーム部456が複数設けられる。アーム部456は、半径方向に延びたものであり、その先端が、内側に曲げられて押付部458とされる。押付部458は、カバー本体32のビード40に至る長さとされる。また、アーム部456は、外側に凸となる向きに大きく湾曲した形状を成し、アーム部456の中間部がカバー本体32と干渉しないようにされる。
中央取付部450がオーナメント被取付穴20に嵌合されることにより、アーム部456に軸線Lと平行な方向の力が作用し、押付部458により、カバー本体32の半径方向の中間部(ビード40が設けられた位置)において、ホイール10に向かって押し付けられる。それにより、カバー本体32の外周縁44を良好にタイヤ14に当接させることができる。
本実施例においては、アーム部456,押付部458,ビード40等によりカバー・取付部連結部460が構成される。
なお、アーム部456,押付部458,ビード40等により、中間押付部が構成されると考えることもできる。
【実施例14】
【0053】
本発明の別の一実施例であるホイールカバーについて図25に基づいて説明する。
本実施例においては、図25(a)、(b)に示すように、カバー本体480が概して円盤状を成したものであり、図25(c)に示すように、カバー取付部482が、ホイールカバーがホイール10に取り付けられた状態で、軸線Lとほぼ平行な方向に延びた一対の係合部材484a,bと、係合部材484a,bにそれぞれ設けられた係合突部486a,bとを含む。カバー取付部484は、ホイール10のスポーク24(図2参照)を利用して、カバー本体480をホイール10に取り付けるものである。
カバー本体480は、概して扇状を成した7枚の本体部分492を含む。本体部分492には、それぞれ、中心から半径方向に延びた長穴494が形成され、長穴494の各々が、径調整用ロッド496によって連結される。径調整用ロッド496と長穴494とにより、本体部分492の各々の重なりの程度が調節可能とされ、カバー本体480の大きさ(外径)を調節することができる。図25(a)は、重なり部分が最も小さく、カバー本体480の外径が最大とされた状態であり、図25(b)は本体部分492のうちの1枚同士が重なっており、図25(a)に示す状態より外径が小さくされた状態である。このように、7枚の本体部分492の重なりの程度を調節することにより、カバー本体480の外径を調節することができる。
カバー取付部482は、板状のばね部材が逆U字形に湾曲した形状を成したものであり、一対の係合部材484a,bの外側の端部(一端部)498a,b同士が、連結部材500によって連結され、係合突部486a,bが、係合部材484a,bの内側の端部に設けられる。
【0054】
カバー本体480の外径を所望の大きさに調節した後、複数のカバー取付部482が、連結部材500が隣接する長穴494の間の外側に位置し、係合部材484a,bがそれぞれ隣接する長穴494を貫通する状態で、カバー本体480に取り付けられる(連結される)。
作業者によって、カバー取付部482が、互いに隣接するスポーク24の間の隙間に位置する姿勢、すなわち、係合突部486a,bが、互いに隣接するスポーク24の内側に位置する姿勢とされる。それにより、カバー本体480がカバー取付部482によってホイール10に取り付けられる。
また、カバー取付部482において、一対の係合部材484a,bの一端部498a,bに、互いに接近させる向きの力を加えれば、係合突部486a,bの間の距離が狭くされ、係合突部486a,bがそれぞれスポーク24から離間させられ、隣接するスポーク24の間の隙間に配設される。それにより、カバー取付部482をホイール10から外すことができるのであり、ホイールカバーをホイール10から外すことができる。
【0055】
なお、カバー本体480の本体部分492を、外周縁が内側に湾曲した形状とすることができる。それにより、カバー本体480を、全体として、外周縁がホイール10に最も近づく椀状とすることができる。
【実施例15】
【0056】
実施例15に係るホイールカバーのカバー本体501においては、窪み502が、周方向に隔たって、互いに独立に、複数個(本実施例においては4個)設けられる。窪み502の底面は、概して楕円状を成したものである。
なお、窪み502の形状は問わない。また、実施例1における場合と同様に、隣接する窪み502の間を互いに連結する窪みを設けることもできる。
また、内周縁部504において、半径方向に平坦な部分が設けられていない。本実施例においては、内周縁部504が内周縁に対応する。
【実施例16】
【0057】
本発明の実施例16に係るホイールカバーについて、図27〜33に基づいて説明する。なお、以下の実施例において、実施例1〜15に係るホイールカバーと、同じ機能を有する部分は、同じ符合を付して説明を省略する場合がある。
実施例16に係るホイールカバー598(図33参照)は、カバー本体600と中央取付部602(図29〜33)とを含む。
<カバー本体>
カバー本体600は、図27に示すように、半径方向に直線状に延びた、換言すれば、放射線状に形成された複数の半径方向ビードと、円周方向に延びた、換言すれば、円弧状に形成された複数の円弧状ビードとを含む。
半径方向ビードには、カバー本体600の内周部から外周部に達するまで延びた4本の長ビード610と、内周部から中間部まで延びた複数(例えば、12本)の内周側短ビード612と、中間部から外周部まで延びた複数(例えば、12本)の外周側短ビード614とが含まれる。
長ビード610は、互いに中心角が90°隔たった位置に設けられ、内周側短ビード612、外周側短ビード614は、それぞれ、互いに隣接する2本の長ビード610の間に3本ずつ、互いに等間隔で(等しい中心角隔たって)形成される。内周側短ビード612と外周側短ビード614とは同位相の位置に形成される。
内周側短ビード612と外周側短ビード614との間には、中間円弧状ビード616が形成され、外周側短ビード614の途中には、外周円弧状ビード618が形成される。
中間円弧状ビード616は、円環が長ビード610によって分断された形状を成したものであり、それぞれ、隣接する長ビード610の間に、2つずつ半径方向に並んで設けられる。換言すれば、中間円弧状ビード616は、同一円周に沿って、周方向に並んで配設される。
外周円弧状ビード618は、円環が外周側短ビード614、長ビード610によって分断された形状(円弧状)を成し、それぞれ、隣接する外周側短ビード614の間、隣接する外周側短ビード618と長ビード610との間に設けられる。外周円弧状ビード618も、半径方向に並んで2本ずつ設けられる。
【0058】
長ビード610により、カバー本体600を半径方向に曲げようとする外力に対する抵抗力を大きくすることができる。
例えば、車両の輸送中に、風等により、内側から外側に向かってカバー本体600を湾曲させようとする力(めくり上げる向きの力)が作用することがあるが、その場合であっても、長ビード610が内周部から外周部に達するまで延びているため、カバー本体600の変形を良好に防止することができる。そのことからも、長ビード610を放射線状に3本以上、等しい中心角ずつ隔てて設けることが望ましい。
円弧状ビード616、618により、周方向に曲げようとする外力に対する抵抗力を大きくすることができる。
例えば、車両の輸送中に、風等により、カバー本体600を周方向に湾曲させようとする外力が作用することがあるが、その場合であっても、中間円弧状ビード616により、周方向の湾曲を良好に抑制することができる。中間円弧状ビード616は、カバー本体600の半径方向長さR0のほぼ1/2の位置に設けることが望ましい。
なお、外周側円弧状ビード618は、外周縁部44より内周側に設けられ、外周縁部44の変形を抑制する機能も有する。外周側円弧状ビード618により、外周縁部44とタイヤ14とを良好に接触させた状態を維持することができる。
【0059】
このように、半径方向に延びる複数の長ビード610,短ビード612,614および周方向に延びる円弧状ビード616,618により、カバー本体600の剛性を大きくすることができる。風等の外力に対する抵抗力を大きくすることができ、カバー本体600を変形し難くすることができるのである。
また、内周側短ビード612と外周側短ビード614とが同位相に設けられるため、位相がずれた状態、換言すれば、隣接する内周側短ビード612の間に外周側短ビード614が位置する場合に比較して、カバー本体600の全体の剛性を大きくすることができる。
なお、カバー本体600の半径方向の中間部には、周方向に隙間を隔てて窪み619が形成される。窪み619により、軸線Lと平行な方向に弾性変形し易くすることができ、カバー本体600を、弾性的にホイール10に取り付けることが可能となる。
【0060】
一方、カバー本体600の内周部は、中央取付部602が連結される被連結部(中央被連結部)620とされる。
被連結部620は、軸線Lと平行な方向に対する段部を有する形状を成し、軸線Lに対して傾斜した内周側傾斜部622と、円環状の平坦面部624と、円環状の壁部626とを含む。内周側傾斜部622は内周縁に形成され、平坦面部624は内周側傾斜部622に連続して設けられる。壁部626は平坦面部624の外周縁に形成される。
平坦面部624は、中央取付部602の押圧部が当接する部分である。また、平坦面部624は、半径方向(軸線Lとほぼ垂直な方向)に延びた部分である。
壁部626は、平坦面部624に対して交差する方向に延びたものであり、概して襞状を成し、図27,28に示すように、複数の半径方向の凹凸が設けられた形状を成す。このように、壁部626を襞状とすることにより、被連結部620の剛性を大きくすることができる。また、壁部626により、壁部626の内周側と外周側とを分けることができ、外周側が弾性変形しても、被連結部620に影響が及び難くされる。換言すれば、カバー本体600に加えられた外力に起因して、中央取付部602が外れ難くされるのである。
また、カバー本体600の被連結部620は、図33に示すように、ホイールカバー598の中央取付部602の嵌合部644の外周側に位置するのであり、ホイールカバー598がホイール10に取り付けられた状態で、オーナメント被取付穴20より外周側に位置する。
【0061】
また、図28に示すように、カバー本体600が軸線Lと平行な方向に弾性変形させられた状態でホイール10に取り付けられるように、内周縁と、外周縁部44との間に軸線Lと平行な方向の差hが設けられる。差hは、適用されるホイール10の形状、所望の押付力の大きさ等に基づいて、適宜決定される。例えば、ホイールカバー598をホイール10に取り付けた状態で、カバー本体600が軸線Lと平行な方向に第1設定値以上弾性変形させられるように、あるいは、カバー本体600がタイヤ14を第2設定値以上の押付力で押し付け得るように、差hが決定される。
なお、上述の長ビード610,内周側短ビード612は、襞状の壁部626から延びており、このことからも、壁部626の内周側の部分が外周側の部分の弾性変形等の影響を受け難くされる。
また、外周側短ビード614は、外周縁部44の内周側まで延びており、このことからも、外周縁部44のタイヤ14への接触性が良好に保たれる。
【0062】
<中央取付部>
中央取付部602は、図29〜32に示すように、取付部本体640と、嵌合部644とを含む。
[取付部本体]
取付部本体640は、軸線Lに対して傾斜した傾斜面を備え、傾斜面の外側外周縁に押圧部646が設けられる。
押圧部646は、断面がコの字形を成した溝型の押圧部(溝型押圧部と称することができる)であり、図31,32に示すように、外側が平坦面とされ、図29,30に示すように、内側が開口とされる。また、押圧部646には、半径方向に延びた複数の板状の補強部材(リブ)656が設けられ、押圧部646の内周壁部657と外周壁部658とを連結する。補強部材656によって、中央取付部602に半径方向の力が作用しても、押圧部646が変形し難くされるのであり、押圧部646の剛性が大きくされる。
【0063】
押圧部646の外周壁部658には、等間隔に半径方向に突出した複数の突部659が形成される。図33に示すように、ホイールカバー598がホイール10に取り付けられた状態(カバー本体600と中央取付部602とが連結された状態)で、押圧部646が平坦面部624に対向する状態とされるが、その場合に、押圧部646の外径(外周壁部658の外径であり、突部659を含まない)raが、襞状壁部626の内径(最も内周側に突出した部分の内径)rbより小さくされ(ra<rb)、突部659までの外径rcが襞状壁部626の内径rbとほぼ同じ、あるいは僅かに小さくされる(rc<rb、rc≒rb)。
このように、押圧部646の外径raが襞状壁部626の内径rbより小さくされるため、中央取付部602をカバー本体600にスムーズに連結することができる。また、ホイールカバー598がホイール10に取り付けられた状態において、複数の突部659のうちの少なくとも1つが襞状壁部626に当接することによって、中央取付部602のカバー本体600に対するがたつきを防止することができる。
突部659は、互いに対向する位置(中心角180°隔たった位置)に、複数対設けることが望ましく、本実施例においては、2対(隣接する突部659が中心角90°隔たって)設けられる。この意味において、突部659を、がたつき防止用突部と称することができる。
【0064】
取付部本体640の中間部の外周側の互いに中心角120°隔たった位置に、連結爪660が3つ設けられる。また、開口662に沿って、板状の補強部材664が外周側から軸線Lと平行な方向に突出して設けられる。板状の補強部材664は環状に設けられるのであり、それにより、取付部本体640の剛性が大きくされる。
【0065】
[嵌合部]
嵌合部644は、一対のガイド部材666a,bと、一対の係合部材668a,bとを含む。
{ガイド}
一対のガイド部材666a,bは、それぞれ、ガイド部材本体669a,bと、ガイド部材本体669a,bの幅方向の両端部に各々に2つずつ設けられた力受け部672a1,a2,b1,b2とを含む。ガイド部材本体669a,bは、図32に示すように、それぞれ、取付部本体640に固定されるとともに、互いにガイド連結部材670によって連結される。力受け部672a1,a2,672b1,b2の幅dx(円周方向の長さ)は、ガイド部材本体669a,bの幅wの1/3以下とされる(図31参照)。
0<dx≦w/3
力受け部672a1,a2,672b1,b2の幅dxが大きすぎると、中央取付部602をホイール10に取り付ける場合の抵抗が大きくなる。また、幅dxが小さ過ぎると、嵌合部644の位置決め機能(嵌合部644を動き難くする機能)を果たすことが難しくなる。そこで、本実施例においては、力受け部672a1,a2,b1,b2の幅を、1mmより大きく、ガイド部材666a,bの幅wの1/3以下とした。
なお、力受け部672a1,a2,b1,b2の幅のガイド部材本体669a,bの幅に対する比率は、1/20以上、1/15以上、1/10以上、1/8以上とすることができ、1/6以下、1/5以下、1/4以下とすることができる。
また、ガイド部材本体669a,bの幅が内側から外側に向かうにつれて変化する場合には、幅の最大値を用いても、最小値を用いても、平均的な値を用いてもよい。
【0066】
また、力受け部672a1,a2の間(力受け部672b1,b2の間も同じ)の中心角θg(図29参照)は10°以上とすることが望ましい(θg≧10°)。これらの間の中心角θgは、15°以上、20°以上とすることもできる。
力受け部672a1,a2,b1,b2は、前述のように、嵌合部644に作用する力を受け、嵌合部644の動きを抑制する(嵌合部644の位置を規定する)機能を有する。そのため、力受け部672a1,a2,b1,b2は、嵌合部644の全周に渡って設けることが望ましい。そこで、ガイド部材666a,bの各々において設けられた力受け部672a1,a2の間隔(力受け部672b1,b2の間隔)を、中心角10°以上とした。
なお、力受け部672a1,a2の間隔(力受け部672b1,b2の間隔)は、ガイド部材本体669a(ガイド部材本体669b)の幅の中心角にほぼ対応すると考えることができる。
【0067】
ガイド連結部材670には、それぞれ、半径方向に延び、かつ、外方に突出した板状の外側補強部材676と、内方に突出した板状の内側補強部材678とが設けられる。このように、外側、内側に、それぞれ、板状の補強部材676,678が設けられるため、ガイド連結部材670が半径方向に変形し難くされ、一対のガイド部材666a,bがオーナメント被取付穴20の内周面21から離間し難くすることができる。
本実施例においては、板状の外側補強部材676,板状の内側補強部材678は、それぞれ、3本づつ設けられるが、これら板状の補強部材676,678の本数は、所望の剛性、材料費、重量等に基づき、適宜決定される。
また、ガイド部材本体669a,bと、ガイド連結部材670との接続部679の形状がR形状とされている。それにより、接続部679において、破損し難くすることができ、強度を大きくすることができる。
【0068】
{係合部}
一対の係合部材668a,bにおいて、それぞれ、図31に示すように、一端部680a,bが開口662から外方へ突出し、他端部682a,bに、それぞれ、2つずつの係合突部684a1,a2,684b1,b2が形成される。
係合突部684a1,a2(係合突部684b1,b2についても同様であるため、説明を省略する。)の最も半径方向に突出した外周縁688a1,a2は、図29,30に示すように、円弧に沿って延びている。換言すれば、オーナメント被取付穴20の内周面21にほぼ沿って延びている。そのため、概して直線状に延びている場合に比較して、一端部680a,bに、互いに接近させる向きの力(内周方向の力)が加えられた場合に、外周縁688a1,a2の高さの変化を小さくすることができる。その結果、一端部680a,bに加えられた力が除かれた場合に、外周縁688a1,a2全体をオーナメント被取付穴20の被係合突部22に良好に引っ掛けることができる。
【0069】
また、外周縁688a1,a2の、2つの係合突部684a1,a2が互いに近接する側の端部(以下、近接側端部と称する)690a1,a2の半径ri(軸線Lからの距離。図29参照)より、近接する側と反対側の端部(以下、非近接側端部と称する)692a1,a2の半径ro(軸線Lからの距離)の方が大きくされる(ri<ro)。
このように、非近接側端部692a1,a2において半径が大きくされるため、中央取付部602に外側へ向かう大きな外力が加えられた場合に、近接側端部690a1,a2が被係合突部22から外れても、非近接側端部692a1,a2は被係合突部22に引っかけられた状態にある。そのため、非近接側端部692a1,a2において、外力が受けられる。この場合に、非近接側端部692a1,a2の間の距離が大きいため、外力が同じ場合に、1つの非近接側端部692a1,a2が受ける力が、近接側端部690a1,a2が受ける場合と比較して、小さくなる。そのため、係合突部684a1,a2の強度が同じ場合に、受け得る外力の最大値を大きくすることができる。換言すれば、外周縁688a1,a2の非近接側端部692a1,a2の半径を大きくすることにより、大きな外力が作用しても、中央取付部602が外れ難くすることができるのである。また、外周縁688a1,a2が破損したり、削れたり、塑性変形したりし難くすることができる。
【0070】
さらに、図31に示すように、係合突部684a1(a2)の外周縁688a1(a2)の内側が、円筒面694a1(a2)とされている。円筒面694a1(a2)は、カバー取付部602がオーナメント被取付穴20に嵌合された状態で、オーナメント被取付穴20の内周面21に当接可能とされている。円筒面694a1(a2)が内周面21に当接させられるため、係合突部684aとオーナメント被取付穴20との間に摩擦力を発生させることができる。
このように、外周縁688a1(a2)が被係合突部22に引っかけられるとともに、円筒面694a1(a2)が内周面21に当接させられるため、係合部材688aに、軸線L方向に大きな外力が作用しても、抜け難くすることができる。また、円筒面694a1(a2)等を設けることにより、外周縁688a1(a2)に加えられる負荷を小さくすることができ、外周縁688a1(a2)が破損したり,削れたり、塑性変形したりし難くすることができる。
円筒面694a1(a2)は、当接面(係合部側当接面)、摩擦面と称することができ、軸線Lと平行な方向の長さdyを5mm以上とすることが望ましい。また、7mm以上、10mm以上、12mm以上とすることができる。
【0071】
また、係合部材668a,bの各々の円周方向の長さ(幅)に対応する中心角θh(図30参照)は60°(π/3)以上とすることが望ましい(θh≧60°)。係合部材668a,bの幅を大きくすることにより、2つの係合突部684a1,a2の間隔、係合突部684b1,b2の間隔を大きくすることができる。そのため、上述のように、係合突部684a1,a2,b1,b2が受ける力を小さくすることができる。また、円筒面694a1,a2,b1,b2が、位置決め機能、係合部材668a,bの動きを抑制する機能も有するが、これらの機能を発揮する上において、これらを、嵌合部664の周方向の全体に設けることが望ましい。このように、中心角θhを大きくすることにより、嵌合部664の動きを良好に抑制することが可能となる。例えば、係合部材668a,b以外の部分に軸線Lと交差する方向に力が加えられても、嵌合部644の動きを良好に抑制することが可能となる。
なお、中心角θhは、70°以上、80°以上、90°以上とすることもできる。
【0072】
さらに、係合突部684a1,a2,b1,b2の円周方向の長さに対応する中心角θ1、力受け部672a1,a2,b1,b2の円周方向の長さに対応する中心角θ2の和の360°(2π)に対する比率を0.2以上とすることが望ましい。
(θ1×4+θ2×4)/360°≧0.2
すなわち、ホイールカバー598がホイール10に取り付けられた状態で、オーナメント被取付穴20の内周面21に当接する部分(被係合突部22と係合している部分を含む)の和の全周に対する比率が高い方が、取付状態を安定的に維持できる。そのため、本実施例においては、比率を0.2以上とした。また、0.25以上、0.3以上、0.4以上とすることもできる。
【0073】
また、一対の係合部材668a,bは、概してコの字形を成した係合部連結部材696によって連結されるとともに、係合部連結部材696に半径方向に延びた3本の板状の補強部材(リブ)698が設けられる。板状の補強部材698は、図31に示すように、概して台形状を成したものであり、一対の係合部材668a,bの他端部同士も半径方向に直接連結される。
このように、台形状の補強部材698が一対の係合部材668a,bの間に設けられるため、係合部連結部材696が半径方向に変形し難くすることができ、一対の係合部材668a,bが互いに接近し難くされる。それにより、係合突部684a1,a2,b1,b2の被係合突部22に対する引っ掛かりが外れ難くすることができる。
また、ガイド連結部材670と、係合部連結部材696との接続部699もR形状とされる。それによって、ガイド連結部材670と係合部連結部材696との接続部付近の強度を大きくすることができ、中央取付部602の強度を大きくすることができる。
また、板状の補強部材(リブ)656,664,676,678,698等の板厚は、0.5mm以上とすることが望ましい。さらに、取付部本体640の板厚も、0.5mm以上とすることが望ましい。
なお、着脱作動については、実施例1における場合と同様であるため、説明を省略する。
【0074】
以上のように、本実施例においては、カバー本体600の剛性が強くされたため、車両の輸送中に、風等により、カバー本体600を外方へ曲げようとする力が作用しても、カバー本体600を変形し難くすることができる。
また、中央取付部602においても剛性が大きくされたため、半径方向の力が作用しても、軸線L方向の力が作用しても、一対の係合部材668a,bおよび一対のガイド部材666a,bが互いに接近し難くされ、中央取付部602が外れ難くすることができる。また、嵌合部644が、オーナメント被取付穴20において動き難くすることができる。
さらに、オーナメント被取付穴20の内周面21と当接する当接面694a1,a2,b1,b2、力受け部672a1,a2,b1,b2の当接面等により、係合突部684a1,a2,b1,b2の外周縁688a1,a2,b1,b2の破損、削れ、塑性変形等が生じ難くすることができる。
【実施例17】
【0075】
なお、カバー本体において、長ビード610の本数、内周側短ビード612、外周側短ビード614の本数は問わないが、外周側短ビード614の本数を内周側短ビード612の本数以下とすることが望ましい。仮に、外周側短ビード614の本数が少ないことに起因して、カバー本体600が中間部から外周側の部分において外方に湾曲するように変形しても、内周側の部分において変形し難くすれば、カバー本体600全体が、中央取付部602の押圧部646を支点にして外方へ曲がるように変形し難くすることができる。また、カバー本体600に作用する外力が中央取付部602に影響され難くすることができ、中央取付部602に軸線Lと平行な外力が作用し難くすることができる。
なお、内周側短ビード612は、長ビード610が90°間隔で設けられた場合に、隣接する長ビード610の間に少なくとも2本設けることが望ましい。長ビード610は、放射線状に4本以上設けることが望ましく、5本以上、6本以上設けることもできる。
【0076】
外周側短ビードの本数が内周側短ビードの本数より少なくされたカバー本体の一例を図34(a)、(b)に示す。
図34(a)に示すように、カバー本体720においては、長ビード722が放射線状に4本設けられるとともに、内周側短ビード724が12本設けられる。また、中間円弧状ビード726,外周側円弧状ビード728が、それぞれ、隣接する長ビード722の間に設けられる。本実施例においては、外周側短ビードが設けられていない(0本)ため(0<12)、外周側円弧状ビード728が、実施例16における場合と比較して、周方向に長くされている。
例えば、カバー本体720の外周縁から空気が入り、カバー本体720を内側から外側へ向かって曲げようとする力(めくり上がらせようとする力)が作用した場合に、カバー本体720の中間円弧状ビード724より内周側の部分の剛性が大きいため、外周側の部分において曲がっても、内周側の部分においては曲がり難い。その結果、カバー本体720が、被連結部を支点として曲がり難くすることができ、カバー本体720の外周側の部分に作用する外力が中央取付部602に及び難くすることができる。
【0077】
また、図34(b)に示すように、カバー本体730においては、4本の長ビード731、12本の内周側短ビード732、4本の外周側短ビード734、中間円弧状ビード736,外周側円弧状ビード738が設けられる(4<12)。
外周側円弧状ビード738は、長ビード731と外周側短ビード734との間に設けられる。
また、外周側短ビード734は、隣接する長ビード731の間に位置する3つの内周側短ビード732のうちの中央に位置する内周側短ビード732cと同じ位相に形成される。このように、内周側短ビード732cと外周側短ビード734とを同じ位相の位置に形成すれば、異なる位相の位置に形成する場合に比較して、カバー本体730の全体の剛性を大きくすることができる。
【実施例18】
【0078】
実施例1〜17においては、カバー本体の外周縁がR形状とされていたが、外周縁の形状は、上記実施例におけるそれに限らない。
例えば、図35(a)、(b)に示すように、外周縁部に、内側に突出した突部を等間隔で複数個形成することができる。
カバー本体750において、外周縁部752に複数の突部754が、等間隔で形成される。突部754は、概して半球状を成したものであり、軸線Lと平行に、内側に突出した形状を成したものである。
突部754を設けることにより、カバー本体750が弾性変形させられてホイール10に取り付けられた状態において、カバー本体750とタイヤ14との間の接触力を大きくすることができ、カバー本体750とタイヤ14との間の隙間を小さくすることができる。
その結果、カバー本体とタイヤとの隙間から風等が入り、カバー本体を外方へ曲げようとする力が作用する場合があるが、実施例18に係るカバー本体750においては、外周縁部752とタイヤ14との間の隙間が小さくされるため、風等が入り難くすることができ、カバー本体750を外方へ曲げようとする力が生じ難くすることができる。
また、カバー本体750とタイヤ14との接触力を大きくすることができるため、カバー本体750のタイヤ14に対する相対回転を抑制することができる。
車両が、車輪にホイールカバーが装着された状態で自走した場合に、カバー本体がホイール10に対して相対回転し、カバー本体とタイヤとが摺接することがある。また、車両の輸送中の振動等によりカバー本体がホイールに対して相対回転させられることがある。それに対して、カバー本体750においては、タイヤ14との間の接触力が大きくされるため、カバー本体750とタイヤ14との相対回転を抑制することができ、タイヤ14に傷が付き難くすることができる。この意味において、突部754等により相対回転抑制部が構成されると考えることができる。
【実施例19】
【0079】
カバー本体は、全体を同じ材料で成形しなくても、一部を、他の部分と異なる材料で成形することができる。
例えば、図36に示すように、カバー本体770の円周方向に延びた中間円弧状ビード616を含む部分772、外周側円弧状ビード618を含む部分774を、他の部分より熱膨張係数が小さい材料で成形することができる。中間円弧状ビード616を含む部分772、外周側円弧状ビード618を含む部分774等は、他の部分より弾性変形させられ易く、熱によって変形し易い。そのため、中間円弧状ビード616を含む部分772、外周側円弧状ビード618を含む部分774を、熱膨張し難い材料で成形すれば、カバー本体770の熱に起因する変形を小さくすることができ、ホイール10に対する取付け状態を良好に保持することができる。また、それにより、外周縁44とタイヤ14との接触性を良好に保持でき、カバー本体770のホイール10に対する相対回転を良好に抑制することができる。
なお、熱膨張係数が小さい材料には、熱膨張係数が負の値となる材料も含む。このような材料を用いれば、熱に対する寸法安定性を向上させることができ、熱に起因する変形を良好に抑制することができる。
また、カバー本体770全体を熱膨張係数が小さい材料で成形することもできる。
【実施例20】
【0080】
本実施例においては、カバー本体に、カバー本体のホイール10に対する相対回転を抑制する相対回転抑制部が設けられる。相対回転抑制部の一例を図37(a)、(b)に示す。
カバー本体780の中間部に、周方向に隙間を隔てて、内側に凸となる窪み782が複数設けられる。窪み782は、図2に示すように、隣接するスポーク24の間の隙間に嵌め込み可能な形状、大きさを成したものである。カバー本体780の一部をスポーク24の間に隙間に入れ込めば、カバー本体780のホイール10に対する相対回転を抑制することができ、カバー本体780とタイヤ14の外側面との間の摺接を抑制することができる。
また、カバー本体780を、中央取付部602と連結する前に、ホイール10に取り付けておくことができる。そのため、カバー本体780をホイール10に取り付けた後に、中央取付部602をオーナメント被取付穴20に嵌合させることにより、中央取付部602をカバー本体780に連結すると同時に、カバー本体780をホイール10に取り付けることができる。
なお、ホイール10の形状は車種毎に異なるため、スポーク24の位置も異なる。しかし、窪み782を周方向に複数設ければ、スポーク24間の隙間との相対位置が合致する窪み782が少なくとも1つは存在する。そのため、その相対位置が合致する窪み782を、その隙間に嵌め込めばよい。
本実施例においては、窪み782,ホイール10のスポーク間の隙間等により相対回転抑制部が構成されると考えることができる。
【実施例21】
【0081】
相対回転抑制部の別の一例を図38(a)、(b)に示す。
実施例21においては、カバー本体790の中間部の内側面にフック状の突部792が複数対設けられる。フック状の突部792を、1本のスポーク24の両側に引っ掛ける状態でカバー本体790をホイール10に取り付けることにより、ホイール10とカバー本体790との相対回転を抑制することができる。本実施例においては、突部792、スポーク24等により相対回転抑制部が構成される。
なお、一対のフック状の突部792の代わりに、概してUの字状を成したフックとすることもできる。
また、フック状の突部に限らず、スポーク24と周方向(相対回転方向)の側面において係合可能な複数の突部を設けることができる。突部が、スポーク間の隙間に、スポーク24の側面と係合可能な状態で配設されれば、スポーク24の側面と当接することにより、前進、後退両方向のカバー本体790とホイール10との相対回転を抑制することができる。
【実施例22】
【0082】
相対回転抑制部のさらに別の一例を図39に示す。
カバー本体810において、外周縁部812が、軸線Lと平行に内方に曲げられて、円筒状の係合突部とされる。
円筒状の係合突部812を、ホイール10のディスク部16(あるいはリム18)の外周端部814に引っ掛けることにより、カバー本体810がホイール10に取り付けられる。それにより、カバー本体810とホイール10との相対回転が抑制される。
本実施例においては、外周縁部812、外周端部814等により相対回転抑制部が構成される。
【実施例23】
【0083】
相対回転抑制部のさらに別の一例を図40(a)、(b)に示す。
実施例23においては、カバー本体と中央取付部との間の相対回転を抑制することによって、カバー本体とホイール10との相対回転が抑制される。
中央取付部820の押圧部822の外周壁部824に、外方に突出する回転止用突部826が少なくとも1つ設けられる。本実施例においては、回転止用突部826は、がたつき防止用突部828より半径方向の突出量が大きいものであり、互いに中心角90°隔てた位置に4個設けられる。
一方、カバー本体830の被連結部831の平坦面部832の外周側の段部834に回転止用突部826が嵌合可能な回転止用凹部836が少なくとも1つ設けられる。本実施例においては、回転止用突部826に対応して、中心角90°隔てた位置に4個設けられる。
そして、中央取付部820をカバー本体830に、回転止用突部826が回転止用凹部836に嵌め込まれた状態で、連結する。それにより、カバー本体830と中央取付部820との相対回転を抑制することができる。
実施例23においては、回転止用突部826および回転止用凹部836等によって相対回転抑制部840が構成される。
【0084】
中央取付部820は、ホイール10のオーナメント被取付穴20の内周面21との摩擦面684a1,a2,b1,b2,672a1,a2,b1,b2を有しているため、カバー本体830よりホイール10に対して相対回転し難いものである。
そのため、車両が自走している場合、あるいは、車両の輸送中の振動が加えられた場合等に、カバー本体830に、ホイール10に対して相対回転させようとする向きの力が作用しても、その力が中央取付部820において受けられる。カバー本体830のホイール10に対する相対回転が抑制され、カバー本体830とタイヤ14との摺接が抑制される。
カバー本体と中央取付部との間の相対回転を抑制する相対回転抑制部(一体的回転許容部と称することもできる)840の構造はこれに限らない。
なお、本実施例に係る相対回転抑制部840は、カバー・取付部連結部の一部であると考えることもできる。
【実施例24】
【0085】
中央取付部は、図41に示す構造を成したものとすることができる。
中央取付部848において、一対の係合部材850a,bの各々の内周面に、互いに対向可能な当接面852a,bを有する突っ張り部材854a,bが設けられる。
突っ張り部材854a,bは、図に示すように、一対の係合部材850a,bの各々に傾斜した姿勢で設けられる。また、突っ張り部材854a,bは、例えば、ばね材等で成形されたものであり、設定値以上の力が加えられると弾性変形可能な(撓められ得る)ものである。
中央取付部848がオーナメント被取付穴20に嵌合された状態で、一対の突っ張り部材854a,bが当接面852a,b同士が当接する状態とされる。それにより、一対の係合部材850a,bを互いに接近させようとする力が加えられても、当接面852a,bの間に作用する摩擦力により、当接面同士の摺動が抑制され、係合部材850a,bの接近が抑制される。
また、半径方向に設定値以上の力が加えられた場合(作業者によって互いに接近させる力が加えられた場合)には、当接面同士が摺接し、一対の係合部材850a,bが接近させられ、係合突部858a,bが被係合突部22から外れる。
【0086】
以上のように、本実施例においては、中央取付部848に大きな半径方向の力が加えられない限り、一対の係合部材850a,bが接近しないようにされている。そのため、中央取付部848を取り付けた状態で、誤って係合部材850a,bに半径方向の力が加わってしまった場合であっても、係合部材850a,bが互いに接近し難くすることができ、良好に係合状態を保持することができる。
【0087】
以上のように、本発明の複数の実施例について説明したが、それぞれ、互いに組み合わせて実施することができる。また、複数の実施例の一部同士を組み合わせたり、一の実施例の一部を他の実施例に適用したりして、実施すること等も可能である。
また、本発明は、上記各実施例の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0088】
22,336,338:被係合突部 30,598:ホイールカバー 32,350,380,410,438,480,501,600,720,730,750,770,780,790,830:カバー本体 34,150,190,200,230,270,300,320,358,388,414,432,450,482,602,820:カバー取付部 40,42,610,612,614,618,722,724,726,728,731,732,734,736,738:ビード 44:R形状部 46,619:窪み 48.624,832:平坦面部 50,352,382,412,440,622:傾斜部 52:内周縁部 66,660:連結爪 70,366,396,424,448,460:カバー・取付部連結部 78,160,304,666:ガイド部材 82,162,272,306,668:係合部材 90、670,696:連結部材 92:傾斜面 94,163,672:力受け部 100,140,168,194,196,198,212,308,328,684:係合突部 102,276:連結部材 104,676,678,698:補強部 210:突部部材 274:ばね部材 325〜327:円筒部 659:突部 656,644:補強部材 688:外周縁 690,692:端部 754:半球状突部 782:窪み 792:フック状突部 840:相対回転抑制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイールの外側の少なくとも一部を覆うホイールカバーであって、
(i)概して円環状を成したカバー本体と、(ii)そのカバー本体の内周側において前記ホイールに取り付けられることにより、前記カバー本体を前記ホイールに取り付けるカバー取付部とを含み、
前記カバー取付部が、
(a)前記ホイールの被係合部に係合可能な係合部を有し、前記カバー取付部の軸線と平行な方向の成分を含む方向に延びる複数の係合部材と、
(b)それら複数の係合部材の各々の一端部に前記軸線と交差する方向の力を加えることにより、前記係合部がそれぞれ前記被係合部から離間させられる状態で、前記複数の係合部材を、他端部において保持する係合部材保持部とを含むことを特徴とするホイールカバー。
【請求項2】
前記被係合部が、前記ホイールの中心軸線に沿って設けられた被嵌合穴の内周面に設けられた被係合突部を含み、
前記カバー取付部が、前記被嵌合穴に嵌合されることにより、前記ホイールに前記カバー本体を取り付ける中央取付部であり、
前記複数の係合部材が、それぞれ、前記被係合突部の少なくとも一部に対向する状態で設けられた前記係合部としての係合突部を有する請求項1に記載のホイールカバー。
【請求項3】
前記複数の係合部材が、それぞれ、前記軸線と平行に延びた形状を成し、かつ、互いに周方向に隔たって設けられ、
前記係合部材保持部が、前記複数の係合部材の内周側において、前記複数の係合部材を前記他端部において保持するとともに、前記複数の係合部材の各々より半径方向に変形し難い構造を成した強剛性保持部である請求項2に記載のホイールカバー。
【請求項4】
前記複数の係合部材が、それぞれ、周方向に隙間を隔てて設けられた少なくとも2つの係合部である係合突部を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載のホイールカバー。
【請求項5】
前記複数の係合部材が、それぞれ、前記係合突部を2つ含み、
それら係合突部の各々が、それの外周縁の前記2つの係合突部が近接する側とは反対側の端部の前記軸線からの距離が、前記近接する側の端部の前記軸線からの距離より大きい形状を成した請求項4に記載のホイールカバー。
【請求項6】
前記被係合部が、前記ホイールの中心軸線に沿って設けられた被嵌合穴の内周面に設けられた被係合突部を含み、
前記複数の係合部材の各々が、(i)前記被係合突部に係合可能な係合突部と、(ii)前記内周面に当接可能な当接面とを含む請求項1ないし5のいずれか1つに記載のホイールカバー。
【請求項7】
前記カバー取付部が、前記軸線と平行な方向に延びた少なくとも1つのガイド部材を含む請求項1ないし6のいずれか1つに記載のホイールカバー。
【請求項8】
前記少なくとも1つのガイド部材が、前記ホイールカバーが前記ホイールに取り付けられた状態で、前記ホイールの外側にいくにつれて半径方向外方へいく向きに傾斜した傾斜面を含む請求項7に記載のホイールカバー。
【請求項9】
前記カバー取付部が、前記ホイールの中心軸線に沿って設けられた被嵌合穴に嵌合可能なものであり、
前記少なくとも1つのガイド部材が、それぞれ、(a)ガイド部本体と、(b)そのガイド部本体に半径方向に突出して設けられ、前記カバー取付部が前記被嵌合穴に嵌合された状態で、その被嵌合穴の内周面に当接可能な当接面を備えた力受け部とを含む請求項7または8に記載のホイールカバー。
【請求項10】
前記カバー取付部が、(i)複数の前記ガイド部材と、(ii)それら複数のガイド部材を互いに連結するガイド連結部材と、(iii)そのガイド連結部材に設けられ、半径方向の変形を抑制する補強部材とを含む請求項7ないし9のいずれか1つに記載のホイールカバー。
【請求項11】
前記ホイールが、(a)タイヤと、(b)そのタイヤを保持するタイヤ保持部とを含み、
前記カバー本体が、前記カバー取付部によって前記ホイールに取り付けられた状態で、前記タイヤに当接する形状を成した請求項1ないし10のいずれか1つに記載のホイールカバー。
【請求項12】
前記カバー本体の外周縁がR形状を成し、前記タイヤと湾曲部において当接する請求項11に記載のホイールカバー。
【請求項13】
前記カバー本体が、(a)半径方向の中間部に設けられた少なくとも1つの窪みと、(b)その少なくとも1つの窪みより外周側の部分に設けられた環状のビードとを含む請求項1ないし12のいずれか1つに記載のホイールカバー。
【請求項14】
前記環状のビードが、前記カバー本体の外周縁から、前記カバー本体の半径方向の長さの1/3の位置より外周側の部分に設けられた請求項13に記載のホイールカバー。
【請求項15】
前記カバー本体が、半径方向に延びた複数の直線状のビードを含む請求項1ないし14のいずれか1つに記載のホイールカバー。
【請求項16】
前記カバー本体が、前記複数の半径方向に延びたビードの間に、それぞれ、円周方向に並んで設けられた複数の円弧状ビードを含む請求項15に記載のホイールカバー。
【請求項17】
前記カバー本体が、(i)内周部から中間部に達するまで、半径方向に直線状に延びた複数の内周側短ビードと、(ii)前記中間部から外周部に達するまで、半径方向に直線状に延びた複数の外周側短ビードとを含み、前記外周側短ビードの個数が前記内周側短ビードの個数以下とされ、かつ、前記外周側短ビードと前記内周側短ビードとが同一位相に設けられた請求項1ないし16のいずれか1つに記載のホイールカバー。
【請求項18】
当該ホイールカバーが、前記カバー本体と前記ホイールとの相対回転を抑制する相対回転抑制部を含む請求項1ないし17のいずれか1つに記載のホイールカバー。
【請求項19】
当該ホイールカバーが、前記カバー本体と前記カバー取付部とを互いに連結するカバー・取付部連結部を含む請求項1ないし18のいずれか1つに記載のホイールカバー。
【請求項20】
前記カバー・取付部連結部が、前記カバー取付部の外周面に設けられ、半径方向外方へ突出した複数の連結爪を含み、それら複数の連結爪が前記カバー本体の内周縁部に引っかけられることにより、前記カバー本体と前記カバー取付部とを連結するものである請求項19に記載のホイールカバー。
【請求項21】
前記複数の係合部材が、それぞれ、前記係合部を保持する係合部材本体を含み、
前記係合部が、前記係合部材本体より摩擦係数が大きい材料で形成された請求項1ないし20のいずれか1つに記載のホイールカバー。
【請求項22】
前記複数の係合部材が、それぞれ、前記軸線方向に間隔を隔て、互いに半径方向の突出量が異なる複数の前記係合部としての係合突部を含む請求項1ないし21のいずれか1つに記載のホイールカバー。
【請求項23】
前記中央取付部が、互いに対向する一対の前記係合部材を有し、
前記一対の係合部材が、それぞれ、湾曲した形状を成したものであり、
前記一端部が、前記他端部より内周側に位置し、
前記係合部材保持部が、前記一対の係合部材を、他端部において保持する円環状部を含む請求項2に記載のホイールカバー。
【請求項24】
(a)タイヤと、(b)そのタイヤを保持するタイヤ保持部とを含むホイールの外側の少なくとも一部を覆うホイールカバーであって、
当該ホイールカバーが、それの外周縁が前記タイヤに当接する状態で、前記ホイールに取り付けられるとともに、(i)それの半径方向の中間部に設けられた少なくとも1つの窪みと、(ii)その少なくとも1つの窪みの外周側の、外周縁から前記ホイールカバーの半径方向の長さの1/3の位置より外周側の部分に設けられた少なくとも1つの環状ビードとを含むことを特徴とするホイールカバー。
【請求項25】
ホイールの外側の少なくとも一部を覆うホイールカバーであって、
(i)概して円環状を成したカバー本体と、(ii)そのカバー本体の内周側において前記ホイールに取り付けられることにより、前記カバー本体を前記ホイールに取り付けるカバー取付部とを含み、
前記カバー本体が、(i)内周部から外周部に達するまで、半径方向に直線状に延びた複数の長ビードと、(ii)前記内周部から中間部に達するまで、半径方向に直線状に延びた複数の内周側短ビードと、(iii)前記複数の内周側短ビードの外周側において、円周方向に並んで配設された複数の円弧状ビードとを含むことを特徴とするホイールカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2013−28325(P2013−28325A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246327(P2011−246327)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【出願人】(591187977)プラマック株式会社 (3)