説明

ホウ酸塩発光材料及びその製造方法

【課題】本発明は、ホウ酸塩発光材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のホウ酸塩発光材料は、化学構造式がM(Re1−xLnである化合物を備え、0<x≦0.5であり、Mはアルカリ金属元素であり、LnはTm、Tb、Eu、Sm、Pr、Dy、Ce、及びBiの中の少なくとも一種であり、ReはY、Gd、Sc、Lu、及びLa元素の中の一種又は多種である。本発明は、ホウ酸塩発光材料の製造方法も提供する。前記ホウ酸塩発光材料は、優れる化学安定性及び高い発光効率を有し、さらに色純度が高い美点を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光材料技術領域に関するものであり、特にホウ酸塩発光材料及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ(FPD)は、今まで人々が絶えずに発展を追求する表示装置の一つであり、電界放出ディスプレイ(FED)はその中の一種である。20世紀60年代、Ken Shoulderは、電界放射陰極アレイ (FEAs)に基づく陰極射線小型装置の構想を提出し、FEAsを利用してフラットパネルディスプレイ及び光源器具を設計して製造する研究は、人々の大きい興味を引き起こした。このような新型の電界放射器具の基本原理は、従来のブラウン管(CRT)と同じで、電子ビームで赤、緑、青の3色蛍光粉を衝突させることで発光することにより結像及び照明用途を実現し、このような電界放出器具は、輝度、視角、応答時間、動作温度範囲、エネルギー消耗などの面で全て潜在する優れた利点を有する。
【0003】
優良性能を有する電界放出器具を製造する場合、肝心な要素は高性能の発光材料、即ち蛍光粉を製造することである。現在、電界放出器具が採用する蛍光材料は、主に従来のブラウン管及びプロジェクションテレビの受像管に用いられる硫化物系、酸化物系、又は酸硫化物系の発光材料である。硫化物系及び酸硫化物系の蛍光粉は、発光輝度が高く且つ所定の導電性を有するが、大規模電子ビームに衝突される場合、分解され易く、単体硫黄を放出して陰極針先を「中毒」させ、且つ他の沈殿物を生成して蛍光粉の表面を覆って、蛍光粉の発光効率を下げ、電界放出器具の使用寿命を短縮する。酸化物系の蛍光粉は、優れる安定性を有するが、発光効率は高くなく、且つ材料は一般的に絶縁体である。硫化物系、酸化物系、酸硫化物系のホウ酸塩発光材料は、上述の性能を満たすことができなく、これらの性能を改善することを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、前記課題を解決し、発光効率が高く、安定性が良いホウ酸塩発光材料を提供することである。
【0005】
本発明の他の目的は、前記課題を解決し、製造工程が簡単であり、製品品質が高く、コストが低いホウ酸塩発光材料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るホウ酸塩発光材料は、化学構造式がM(Re1−xLnである化合物を備える。
【0007】
ただし、0<x≦0.5であり、Mはアルカリ金属元素であり、LnはTm、Tb、Eu、Sm、Pr、Dy、Ce、及びBiの中の少なくとも一種であり、ReはY、Gd、Sc、Lu、及びLa元素の中の一種又は多種である。
【0008】
本発明に係るホウ酸塩発光材料の製造方法は、アルカリ金属Mの源化合物、Re3+の源化合物、Lnイオンの源化合物及びホウ酸又は酸化ホウ素を選び取って原料として、各原料は構造式M(Re1−xLnの中の各元素の間のモル比によって選び取るステップと、各原料を研磨して均一に混合するステップと、混合した原料に対して焼成処理を行い、冷却してからホウ酸塩発光材料を獲得するステップと、を備える。
【0009】
ただし、0<x≦0.5であり、Mはアルカリ金属元素であり、LnはTm、Tb、Eu、Sm、Pr、Dy、Ce、及びBiの中の少なくとも一種であり、ReはY、Gd、Sc、Lu、及びLa元素の中の一種又は多種である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のホウ酸塩発光材料は、希土ドーピングしたM(Re1−xLn酸化物系を採用するので、硫化物系の単体硫黄“毒化”現象を免れることができ、且つ従来の酸化物系の発光効率が低い欠点を解消し、前記ホウ酸塩発光材料が優れる化学安定性及び高い発光効率を有することになる。また、前記ホウ酸塩発光材料は、色純度がさらに高い特徴を有する。
【0011】
本発明のホウ酸塩発光材料の製造方法は、少ない工程ステップを採用し、例えば、研磨及び焼成処理を採用し、これらの工程は、操作が簡単であり且つ工程条件に対する要求も低いので、コストが低い。なお、この方法が提供する最終生産物の中の各種元素の源化合物に他の金属イオン又は他の酸化物を引き込まなかったので、最終生産物であるM(Re1−xLnの純度が高く、ホウ酸塩発光材料が発光する時の色純度を大きく高め、この方法によって製造された製品の品質も高い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係わるホウ酸塩発光材料の製造方法のフローチャートである。
【図2】本発明の実施例4によって製造されたホウ酸塩発光材料と現存の商業販売する緑色蛍光粉(ZnS:Cu,Au,Al)の陰極線の励起による発光スペクトル対比図であり、前記発光スペクトルは、5KV加速電圧の陰極線に励起される場合、シマズ(Shimadzu)RF−5301PC蛍光分光光度計により測定して分析してから獲得する。以下の図面の発光スペクトル測定条件も同じであるので、具体的な説明を省略する。
【図3】本発明の実施例6によって製造されたホウ酸塩発光材料の陰極射線の励起による発光スペクトルを示す図である。
【図4】本発明の実施例8によって製造されたホウ酸塩発光材料の陰極射線の励起による発光スペクトルを示す図である。
【図5】本発明の実施例9によって製造されたホウ酸塩発光材料の陰極射線の励起による発光スペクトルを示す図である。
【図6】本発明の実施例11によって製造されたホウ酸塩発光材料の陰極射線の励起による発光スペクトルを示す図である。
【図7】本発明の実施例14によって製造されたホウ酸塩発光材料の陰極射線の励起による発光スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
本発明の実施形態に係わるホウ酸塩発光材料は、化学構造式がM(Re1−xLnである化合物を備え、0<x≦0.5であり、Mはアルカリ金属元素であり、LnはTm、Tb、Eu、Sm、Pr、Dy、Ce、及びBiの中の少なくとも一種であり、ReはY、Gd、Sc、Lu、及びLa元素の中の一種又は多種である。
【0015】
具体的に説明すると、xの範囲は、0.001≦x≦0.4であり、アルカリ金属元素は、好ましくはNa、K、及びLi元素の中の少なくとも一種である。Reは、Y元素又はY元素とGd、Sc、Lu、及びLa元素の中の少なくとも一種との組合である。本発明のホウ酸塩発光材料の一つの実施形態において、ホウ酸塩発光材料は、M(Re1−xLnで表示する化合物であり、即ち、ReはY元素である。本発明のホウ酸塩発光材料の他の実施形態において、ホウ酸塩発光材料は、M(Re1−xLnで表示する化合物であり、ReはY元素であり、異なったのはY元素がGd、Sc、Lu、及びLa元素の中の少なくとも一種の元素に部分的に置換されるか又は全て置換される。
【0016】
なお、金属Lnにおいて、Tm、Tb、Eu、Sm、Pr、Dy、及びCeは全て希土類元素であり、ドーパントとして発光材料の発光を助ける。Biは第五族元素であり、ここでBi元素は希土類元素と同じ発光ドーパントである。
【0017】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係わるホウ酸塩発光材料の製造方法は、以下のステップを備える。
【0018】
S01:予定のモル比によって必要な原料を選び取り、即ちアルカリ金属Mの源化合物、Re3+の源化合物、Lnイオンの源化合物、及びホウ酸又は酸化ホウ素を選び取って原料として、各原料は構造式M(Re1−xLnの中の各元素の間のモル比によって選び取り、0<x≦0.5であり、Mはアルカリ金属元素であり、ReはY、Gd、Sc、Lu、及びLa元素の中の一種又は多種であり、LnはTm、Tb、Eu、Sm、Pr、Dy、Ce、及びBiの中の少なくとも一種である。
【0019】
S02:各原料を研磨して均一に混合する。
【0020】
S03:混合した原料に対して焼成(Calcination)処理を行い、冷却してからホウ酸塩発光材料を獲得する。
【0021】
ステップS01において、前記アルカリ金属Mの源化合物は、その炭酸塩、シュウ酸塩の中の少なくとも一種であることができ、前記Re3+の源化合物は、その酸化物、塩化物、硝酸塩、炭酸塩、及びシュウ酸塩の中の少なくとも一種であることができ、前記Lnイオンの源化合物は、その酸化物、塩化物、硝酸塩、炭酸塩、及びシュウ酸塩の中の少なくとも一種であることができる。具体的に説明すると、前記アルカリ金属元素は、好ましくはNa、K、及びLi元素の中の少なくとも一種であり、xの範囲は、好ましくは0.001≦x≦0.4である。Reは、好ましくはY元素であり、即ち本発明のホウ酸塩発光材料の一つの実施形態において、ホウ酸塩発光材料は、M(Re1−xLnで表示する化合物である。本発明のホウ酸塩発光材料の他の実施形態において、ホウ酸塩発光材料は、M(Re1−xLnで表示する化合物であり、異なったのはY元素がGd、Sc、Lu、及びLa元素の中の少なくとも一種の元素に部分的に置換されるか又は全て置換される。
【0022】
ステップS02において、多種の方法を採用して実現することができ、高温固相法を備えるが、これに限定されるものではない。具体的に説明すると、高温固相法は以下のステップを備える。各原料を混合し、混合物を粉末に研磨してから、ステップS03を行う。ステップS03における焼成処理過程は、以下の過程を備える。研磨混合した源化合物を600℃〜800℃の温度で0.5時間〜2時間予焼成してから、900℃〜1300℃の温度で1時間〜20時間焼結する。好ましくは、前記予焼成温度は650℃〜800℃であり、前記予焼成時間は1〜1.5時間であり、前記焼結温度は1000℃〜1200℃であり、前記焼結時間は4時間〜15時間である。
【0023】
また、ステップS03の焼成処理は、還元雰囲気で行うことができ、例えば、95(V)%N+5(V)%H雰囲気で、1000℃〜1150℃の温度で4時間〜15時間燃焼するが、これに限定されるものではない。もちろん還元気体を含まない不活性保護雰囲気(例えば、窒素又は不活性ガスであるが、これに限定されるものではない)で焼成処理を行うことができる。
【0024】
以下、複数の実施例によって、ホウ酸塩発光材料の各種の適用する組成及びその製造方法、その性能などの方面に対して説明する。
【0025】
実施例1 高温固相法でK(Y0.999Tm0.001を製造する
室温で0.6910gのKCO、2.7462gのY(NO、0.025gのTm(CO、0.6184gのHBOを秤とって、瑪瑙乳鉢に放置して均一に混合するまで十分に研磨して、粉末を形成する。前記粉末をコランダムるつぼに入れて600℃で1時間予焼成してから、高温箱形炉に放置して1300℃で1時間焼結し、焼結物を室温に冷却してからモルタルに入れて研磨して、K(Y0.999Tm0.001発光材料を獲得し、この材料は電子ビームに励起されて青色光を発射する。
【0026】
実施例2 高温固相法でLi(Sc0.995Sm0.005を製造する
室温で0.3694gのLiCO、0.6861gのSc、0.0128gのSmCl、0.3481gのBを秤とって、瑪瑙乳鉢に放置して均一に混合するまで十分に研磨して、粉末を形成する。前記粉末をコランダムるつぼに入れて800℃で0.5時間予焼成してから、高温箱形炉に放置して1200℃で10時間焼結し、焼結物を室温に冷却してからモルタルに入れて研磨して、Li(Sc0.995Sm0.005発光材料を獲得し、この材料は電子ビームに励起されて赤色光を発射する。
【0027】
実施例3 高温固相法でNa(Y0.946Sc0.05Pr0.004を製造する
室温で0.6700gのNa、1.8471gのYCl、0.0344gのSc、0.0021gのPr11、0.6184gのHBOを秤とって、瑪瑙乳鉢に放置して均一に混合するまで十分に研磨して、粉末を形成する。前記粉末をコランダムるつぼに入れて700℃で0.5時間予焼成してから、高温箱形炉に放置して95%N+5%H弱還元雰囲気で1000℃で16時間焼結し、焼結産物を室温に冷却してからモルタルに入れて研磨して、Na(Y0.946Sc0.05Pr0.004発光材料を獲得し、この材料は電子ビームに励起されて赤色光を発射する。
【0028】
実施例4 高温固相法でNa(Y0.85Tb0.15を製造する
室温で0.5299gのNaCO、0.9596gのY、0.2802gのTb、0.6184gのHBOを秤とって、瑪瑙乳鉢に放置して均一に混合するまで十分に研磨して、粉末を形成する。前記粉末をコランダムるつぼに入れて700℃で1時間予焼成してから、高温箱形炉に放置して95%N+5%H弱還元雰囲気で1000℃で4時間焼結し、焼結物を室温に冷却してからモルタルに入れて研磨して、Na(Y0.85Tb0.15発光材料を獲得し、この材料は電子ビームに励起されて緑色光を発射する。
【0029】
実施例5 高温固相法でLi(Y0.9Gd0.08Sm0.02を製造する
室温で0.5095gのLi、1.6101gのY(CO、0.1450gのGd、0.0480gのSm(CO、0.3481gのBを秤とって、瑪瑙乳鉢に放置して均一に混合するまで十分に研磨して、粉末を形成する。前記粉末をコランダムるつぼに入れて800℃で1時間予焼成してから、高温箱形炉に放置して900℃で20時間焼結し、焼結物を室温に冷却してからモルタルに入れて研磨して、Li(Y0.9Gd0.08Sm0.02発光材料を獲得し、この材料は電子ビームに励起されて橙赤色光を発射する。
【0030】
実施例6 高温固相法でNa(Y0.995Tm0.005を製造する
室温で0.5299gのNaCO、1.1233gのY、0.0096gのTm、0.6184gのHBOを秤とって、瑪瑙乳鉢に放置して均一に混合するまで十分に研磨して、粉末を形成する。前記粉末をコランダムるつぼに入れて700℃で1時間予焼成してから、高温箱形炉に放置して1000℃で4時間焼結し、焼結物を室温に冷却してからモルタルに入れて研磨して、Na(Y0.995Tm0.005発光材料を獲得し、この材料は電子ビームに励起されて青色光を発射する。
【0031】
実施例7 高温固相法でK(Y0.79Gd0.2Dy0.01を製造する
室温で0.8300gのK、1.5425gのYCl、0.3625gのGd、0.0186gのDy、0.6184gのHBOを秤とって、瑪瑙乳鉢に放置して均一に混合するまで十分に研磨して、粉末を形成する。前記粉末をコランダムるつぼに入れて600℃で2時間予焼成してから、高温箱形炉に放置して1100℃で15時間焼結し、焼結物を室温に冷却してからモルタルに入れて研磨して、K(Y0.79Gd0.2Dy0.01発光材料を獲得し、この材料は電子ビームに励起されて白っぽい色の光を発射する。
【0032】
実施例8 高温固相法でNa(Y0.96Eu0.04を製造する
室温で0.5299gのNaCO、1.0838gのY、0.0703gのEu、0.6184gのHBOを秤とって、瑪瑙乳鉢に放置して均一に混合するまで十分に研磨して、粉末を形成する。前記粉末をコランダムるつぼに入れて700℃で1時間予焼成してから、高温箱形炉に放置して1000℃で4時間焼結し、焼結物を室温に冷却してからモルタルに入れて研磨して、Na(Y0.96Eu0.04発光材料を獲得し、この材料は電子ビームに励起されて赤色光を発射する。
【0033】
実施例9 高温固相法でNa(Y0.9985Bi0.0015を製造する
室温で0.5299gのNaCO、1.1273gのY、0.0034gのBi、0.6184gのHBOを秤とって、瑪瑙乳鉢に放置して均一に混合するまで十分に研磨して、粉末を形成する。前記粉末をコランダムるつぼに入れて700℃で1時間予焼成してから、高温箱形炉に放置して1000℃で4h焼結し、焼結物を室温に冷却してからモルタルに入れて研磨して、Na(Y0.9985Bi0.0015発光材料を獲得し、この材料は電子ビームに激励されて紫外光を発射する。
【0034】
実施例10 高温固相法でNa(Y0.3Lu0.5Tb0.2を製造する
室温で0.6700gのNa、0.5857gのYCl、1.4066gのLuCl、0.5305gのTbCl、0.3481gのBを秤とって、瑪瑙乳鉢に放置して均一に混合するまで十分に研磨して、粉末を形成する。前記粉末をコランダムるつぼに入れて700℃で0.5時間予焼成してから、高温箱形炉に放置して95%N+5%H弱還元雰囲気で1250℃にて8時間焼結し、焼結物を室温に冷却してからモルタルに入れて研磨して、Na(Y0.3Lu0.5Tb0.2発光材料を獲得し、この材料は電子ビームに励起されて緑色光を発射する。
【0035】
実施例11 高温固相法でNa(Y0.9985Ce0.0015を製造する
室温で0.5299gのNaCO、1.1273gのY、0.0025gのCeO、0.6184gのHBOを秤とって、瑪瑙乳鉢に放置して均一に混合するまで十分に研磨して、粉末を形成する。前記粉末をコランダムるつぼに入れて700℃で1時間予焼成してから、高温箱形炉に放置して95%N+5%H弱還元雰囲気で1000℃で4時間焼結し、焼結物を室温に冷却してからモルタルに入れて研磨して、Na(Y0.9985Ce0.0015発光材料を獲得し、この材料は電子ビームに励起されて青色光を発射する。
【0036】
実施例12 高温固相法でLi(Y0.3La0.3Eu0.4を製造する
室温で0.3694gのLiCO、0.5367gのY(CO、0.7357gのLaCl、0.7038gのEu、0.3481gのBを秤とって、瑪瑙乳鉢に放置して均一に混合するまで十分に研磨して、粉末を形成する。前記粉末をコランダムるつぼに入れて800℃で1時間予焼成してから、高温箱形炉に放置して1150℃で6時間焼結し、焼結物を室温に冷却してからモルタルに入れて研磨して、Li(Y0.3La0.3Eu0.4発光材料を獲得し、この材料は電子ビームに励起されて赤色光を発射する。
【0037】
実施例13 高温固相法でNa(Gd0.8Tb0.2を製造する
室温で0.5299gのNaCO、2.1220gのGd(C、0.3736gのTb、0.6184gのHBOを秤とって、瑪瑙乳鉢に放置して均一に混合するまで十分に研磨して、粉末を形成する。前記粉末をコランダムるつぼに入れて800℃で0.5時間予焼成してから、高温箱形炉に放置して95%N+5%H弱還元雰囲気で1350℃で5時間焼結し、焼結物を室温に冷却してからモルタルに入れて研磨して、Na(Gd0.8Tb0.2発光材料を獲得し、この材料は電子ビームに励起されて緑色光を発射する。
【0038】
実施例14 高温固相法でNa(Y0.5Tb0.5を製造する
室温で0.5299gのNaCO、0.5645gのY、0.9340gのTb、0.6184gのHBOを秤とって、瑪瑙乳鉢に放置して均一に混合するまで十分に研磨して、粉末を形成する。前記粉末をコランダムるつぼに入れて700℃で1時間予焼成してから、高温箱形炉に放置して95%N+5%H弱還元雰囲気で1000℃で4時間焼結し、焼結物を室温に冷却してからモルタルに入れて研磨して、Na(Y0.5Tb0.5発光材料を獲得し、この材料は電子ビームに励起されて緑色光を発射する。
【0039】
また、前記実施例4によって製造されたホウ酸塩発光材料の発光性能を説明するために、本実施例は、実施例4、6、8、9、11、14によって製造されたホウ酸塩発光材料の発光スペクトルを選択的に考察し、以下、具体的に説明する。
【0040】
図2は、前記実施例4によって製造されたホウ酸塩発光材料の発光スペクトル11と現有の商業販売する緑色蛍光粉(ZnS:Cu,Au,Al)の発光スペクトル12の対比図である。前記実施例4によって製造されたホウ酸塩発光材料のピーク位置は、標準カード(PDF35−0405)の純相のNaYSiのピーク位置と一致する。現有の商業販売する緑色蛍光粉(ZnS:Cu,Au,Al)は、Cu、Au、AlをドーピングイオンとするZnS緑色蛍光粉である。図2に示されたように、前記実施例4によって製造された発光材料は、544nmの位置で強い発射ピークがあって、その発光強度は、商業販売する緑色蛍光粉(ZnS:Cu,Au,Al)の発光強度を超え、前記実施例4によって製造された発光材料は、安定性がよく、色純度がよく、発光効率が高い特徴を有し、同様に前記実施例6、8、9、11、14によって製造されたホウ酸塩発光材料も類似する特徴を有するので、以下詳しい説明を省略する。
【0041】
図3は、前記実施例6によって製造されたNa(Y0.995Tm0.005発光材料の陰極射線の励起による発光スペクトルである。図3に示されたように、前記実施例6によって製造された発光材料は、460nmの位置で狭帯域の青色光を発射する。同様に、前記実施例6によって製造された発光材料も安定性がよく、色純度がよく、発光効率が高い特徴を有する。
【0042】
図4は、前記実施例8によって製造されたNa(Y0.96Eu0.04発光材料の陰極射線の励起による発光スペクトルである。図4に示されたように、前記実施例8によって製造された発光材料は、614nmの位置で狭帯域の赤色光を発射する。
【0043】
図5は、前記実施例9によって製造されたNa(Y0.9985Bi0.0015発光材料の陰極射線の励起による発光スペクトルである。図5に示されたように、前記実施例9によって製造された発光材料は、365nmの位置で広帯域の紫外光を発射する。
【0044】
図6は、前記実施例11によって製造されたNa(Y0.9985Ce0.0015発光材料の陰極射線の励起による発光スペクトルである。図6に示されたように、前記実施例11によって製造された発光材料は、432nmの位置で広帯域の青色光を発射する。
【0045】
図7は、前記実施例14によって製造されたNa(Y0.5Tb0.5発光材料の陰極射線の励起による発光スペクトルである。図7に示されたように、前記実施例14によって製造された発光材料は、544nmの位置で狭帯域の緑色光を発射する。
【0046】
上述の実施例の発光スペクトルから見ると、前記ホウ酸塩発光材料の発光強度は現有の蛍光粉の発光強度より強い。前記ホウ酸塩発光材料は、希土ドーピングしたM(Re1−xLn酸化物系を採用するので、硫化物系の単体硫黄“毒化”現象を免れることができ、且つ従来の酸化物系の発光効率が低い欠点を削除し、前記ホウ酸塩発光材料が優れる化学安定性及び高い発光効率を有することにする。また、前記ホウ酸塩発光材料は、さらに色純度が高い特徴を有する。前記ホウ酸塩発光材料の製造方法において、少ない工程ステップを採用し、例えば、研磨及び焼成処理を採用し、これらの工程は、操作が簡単であり且つ工程条件に対する要求も低いので、コストが低い。なお、この方法が提供する最終生産物の中の各種元素の源化合物に他の金属イオン又は他の酸化物を引き込まなかったので、最終生産物であるM(Re1−xLnの純度が高く、ホウ酸塩発光材料が発光する時の色純度を大きく高め、この方法によって製造された製品の品質も高い。
【0047】
以上本発明を実施例に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種種変更可能であることは勿論であって、本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲から決まる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学構造式がM(Re1−xLnである化合物を備えることを特徴とするホウ酸塩発光材料。
(ただし、0<x≦0.5であり、Mはアルカリ金属元素であり、LnはTm、Tb、Eu、Sm、Pr、Dy、Ce、及びBiの中の少なくとも一種であり、ReはY、Gd、Sc、Lu、及びLa元素の中の一種又は多種である。)
【請求項2】
前記xの範囲は0.001≦x≦0.4であることを特徴とする請求項1に記載のホウ酸塩発光材料。
【請求項3】
前記アルカリ金属元素は、Na、K、及びLi元素の中の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のホウ酸塩発光材料。
【請求項4】
前記ReはY元素であることを特徴とする請求項1に記載のホウ酸塩発光材料。
【請求項5】
前記Reは、Y元素とGd、Sc、Lu、及びLa元素の中の少なくとも一種との組合であることを特徴とする請求項1に記載のホウ酸塩発光材料。
【請求項6】
アルカリ金属Mの源化合物、Re3+の源化合物、Lnイオンの源化合物、及びホウ酸又は酸化ホウ素を選び取って原料として、各原料は構造式M(Re1−xLnの中の各元素の間のモル比によって選び取るステップと、
各原料を研磨して均一に混合するステップと、
混合した原料に対して焼成処理を行い、冷却してからホウ酸塩発光材料を獲得するステップと、
を備えることを特徴とするホウ酸塩発光材料の製造方法。
(ただし、0<x≦0.5であり、Mはアルカリ金属元素であり、LnはTm、Tb、Eu、Sm、Pr、Dy、Ce、及びBiの中の少なくとも一種であり、ReはY、Gd、Sc、Lu、及びLa元素の中の一種又は多種である。)
【請求項7】
前記焼成処理過程は、混合した原料を600℃〜800℃の温度で0.5時間〜2時間予焼成してから、900℃〜1300℃の温度で1時間〜20時間焼結することを特徴とする請求項6に記載のホウ酸塩発光材料の製造方法。
【請求項8】
前記xの範囲は0.001≦x≦0.4であることを特徴とする請求項6に記載のホウ酸塩発光材料の製造方法。
【請求項9】
前記Reは、Y元素又はY元素とGd、Sc、Lu、及びLa元素の中の少なくとも一種との組合であることを特徴とする請求項6に記載のホウ酸塩発光材料の製造方法。
【請求項10】
前記アルカリ金属Mの源化合物は、その炭酸塩、及びシュウ酸塩の中の少なくとも一種であり、前記Re3+の源化合物は、その酸化物、塩化物、硝酸塩、炭酸塩、及びシュウ酸塩の中の少なくとも一種であり、前記Lnイオンの源化合物は、その酸化物、塩化物、硝酸塩、炭酸塩、及びシュウ酸塩の中の少なくとも一種であることを特徴とする請求項6に記載のホウ酸塩発光材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−512320(P2013−512320A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541297(P2012−541297)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/CN2009/075304
【国際公開番号】WO2011/066685
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(511215230)オーシャンズ キング ライティング サイエンスアンドテクノロジー カンパニー リミテッド (15)
【Fターム(参考)】