説明

ホットアイル排熱式空調補助装置

【課題】データセンターにおける冷却機の負荷を軽減し、効率的な冷却を可能にするホットアイル排熱式空調補助装置を提供する。
【解決手段】複数のサーバ(12)と、サーバの排気側に配置されたホットアイル(14)と、サーバの吸気側に配置されたコールドアイル(16)と、ホットアイルとコールドアイルとの間に配置された冷却機(18)とを備えたデータセンターに設置されるホットアイル排熱式空調補助装置(20)は、ホットアイルに配置された排風機(22)と、ホットアイルに配置された送風機(24)とを備え、排風機及び送風機を作動させて、ホットアイル内の空気のうち一定量を外部に排出するとともに、同量の外気をホットアイル内に導入するように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、空調補助装置に関する。より詳細には、本発明は、データセンターにおける空調システムの負荷を軽減するホットアイル排熱式空調補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データセンターに配置されるサーバや他のIT機器等は、動作時に発熱するCPU等の内部部品を冷却することによって熱気が排出されるため、データセンターの空調管理においては、この熱を如何に処理するかが重要な課題となっている。
【0003】
従来のデータセンターでは、一般的に、サーバから排出される高温の排気が流れる流路と、サーバに供給される低温の吸気が流れる流路とを区分けする等の工夫を施すことにより、空調を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、データセンターにおける近時のサーバ機器の高密度化により、空調システムの冷却機への負荷が増大し、電力量が増加してコスト高を招くという課題が生じている。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みて開発されたものであって、データセンターにおける冷却機の負荷を軽減し、効率的な冷却を可能にするホットアイル排熱式空調補助装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に記載の、複数のサーバと、前記サーバの排気側に配置されたホットアイルと、前記サーバの吸気側に配置されたコールドアイルと、前記ホットアイルと前記コールドアイルとの間に配置された冷却機とを備えたデータセンターに設置されるホットアイル排熱式空調補助装置は、前記ホットアイルに配置された排風機と、前記ホットアイルに配置された送風機とを備え、前記排風機及び前記送風機を作動させて、前記ホットアイル内の空気のうち一定量を外部に排出するとともに、同量の外気を前記ホットアイル内に導入するように構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
本願請求項2に記載のホットアイル排熱式空調補助装置は、前記請求項1の装置において、前記送風機にフィルタが設置されていることを特徴とするものである。
【0008】
本願請求項3に記載のホットアイル排熱式空調補助装置は、前記請求項1又は2の装置において、前記排風機及び前記送風機に、回転数を制御するためのインバータがそれぞれ設置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基本的にはホットアイルに排風機と送風機を設置するのみでよいので、簡単な構造で低コストで効率的な空調管理を実施することができる。本発明の装置では、ホットアイルの温度管理を行うのみでよく、コールドアイルの温度管理は主空調機器で行うため、コールドアイルにおける本空調補助装置による温度管理は不要であるため、装置全体が簡単かつ小型のもので済み、故障が少なくメンテナンスが容易であるとともに、データセンターの空間設計に対する負担は殆ど生じない。また、送風機にフィルタを設置することにより、サーバへの粉塵等の侵入を効果的に防止することができる。さらに、排風機と送風機にそれぞれインバータを設置して回転数を制御することにより、一層効率的な空調管理を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の空調補助装置が設置されるデータセンターの空調関連設備を概略的に示した模式図である。
【図2】冷却機がコールドアイルの天井に設置されている変形形態を模式的に示した立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係るホットアイル排熱式空調補助装置(以下「空調補助装置」という)について詳細に説明する。図1は、空調補助装置が設置されるデータセンターのうち空調関連設備10を概略的に示した模式図である。データセンター内には、データ処理を行うための複数のサーバ12が配置されている。図1では、サーバ12が前面から吸気し背面から排気するように構成されているものとして図示されているが、このような構成に限定されるものではない。また、サーバ12は、本来のサーバの他、ルータ等の他のIT機器、変圧器、配電盤、無停電電源装置等の周辺機器も含むものとする。なお、図1において参照符号12a、12bは、サーバ本体、サーバ循環ファンをそれぞれ示している。
【0012】
データセンターの空調関連設備10は、サーバ12の排気側に配置されたホットアイル14と、サーバ12の吸気側に配置されたコールドアイル16とを備えている。ここで、ホットアイル14とは、サーバ12からの排気のみを集めた空間を意味し、コールドアイル16とは、サーバ12によって吸引される吸気のみを集めた空間を意味する。ホットアイル14とコールドアイル16は通常、排気と吸気が混合しないように、隔壁等によって区分けされている。
【0013】
データセンターの空調関連設備10はまた、ホットアイル14とコールドアイル16との間に配置された冷却機18を備えている。冷却機18は、高温の排気を冷却して低温にし、得られた低温の吸気をサーバ12に供給するためのものである。冷却機18は、通常の型式のものを使用してよい。図1において参照符号18a、18b、18c、18d、18eは、冷却コイル、冷却循環ファン、圧縮機、放熱機、冷媒配管をそれぞれ示している。
【0014】
本発明の空調補助装置20は、ホットアイル14に配置され、ホットアイル14内の高温の排気を外部に排出するための排風機22と、ホットアイル14に配置され、ホットアイル14内に外気を供給するための送風機24とを備えている。排風機22及び送風機24は、通常のファンを使用してよい。
【0015】
送風機24には、ホットアイル14内に清浄な外気を供給するため、フィルタ26を設置するのが好ましい。また、後述するようにインバータ制御が行われる場合には、排風機22及び送風機24に、ボリュームダンパ(図示せず)を設置してもよい。また、排風機22及び送風機24に消火用のピストンダンパ(図示せず)を、建物の延焼防止用にファイアダンパ(図示せず)をそれぞれ設置してもよい。さらに、排風機22及び送風機24の停止時に、風圧による逆流防止用としてチェッキダンパ又はモータダンパ(いずれも図示せず)を設置してもよい。
【0016】
通常は温熱が低所ではなく高所に溜まることを考慮して、図示されるように、排風機22をホットアイル14の高所に、送風機24を低所に配置するのが好ましい。
【0017】
次に、以上のように構成された空調補助装置20の作動について説明する。サーバ12に、コールドアイル16から低温の空気が供給され、サーバ12内のCPU等の発熱した部品を冷却した後、ホットアイル14に高温の空気が排出される。ホットアイル14に排出された高温の空気のうち一定量が排風機22を介して外部に排出されるとともに、同量の外気が送風機24を介してホットアイル14に導入される。これにより、ホットアイル14内の空気の温度が、ホットアイル14に排出された直後の空気の温度よりも低下する。このようにして温度が低下した空気は、冷却機18に供給されて所定温度まで冷却された後、コールドアイル16に戻される。コールドアイル16に戻された低温の空気は、再びサーバ12に供給され、上述の過程を繰り返すことにより、データセンターの空調システムを補助する。
【0018】
より効率的に空調管理を実施するため、排風機22と送風機24にインバータ22a、24aを設置し、それぞれの回転数を制御するように構成してもよい。
【0019】
インバータ22a、24aを設置した場合には、温度センサ28、30によりホットアイル内温度、外気温度をそれぞれ測定し、両者の温度差が小さければ、インバータ22a、24aにより排風/送風の空気量を増大させ、両者の温度差が大きければ、インバータ22a、24aにより排風/送風の空気量を減少させることによって、冷却機18への負荷を軽減して電力消費を減らし、一層効率的な空調管理が実施される。
【0020】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0021】
たとえば、図面に示されている各構成要素の大きさや他の細部などは、単なる例示的なものにすぎず、これらに限定されるものではない。
【0022】
また、図2に示されるように、冷却機18をコールドアイル16の天井に設置してもよい。さらに、コールドアイル16の通路の突き当たり部分に冷却機18を設置(図示せず)してもよい。
【符号の説明】
【0023】
10 データセンターの空調関連設備
12 サーバ
12a サーバ本体
12b サーバ循環ファン
14 ホットアイル
16 コールドアイル
18 冷却機
18a 冷却コイル
18b 冷却循環ファン
18c 圧縮機
18d 放熱機
18e 冷媒配管
20 空調補助装置
22 排風機
22a インバータ
24 送風機
24a インバータ
26 フィルタ
28 温度センサ(ホットアイル内温度測定用)
30 温度センサ(外気温測定用)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサーバと、前記サーバの排気側に配置されたホットアイルと、前記サーバの吸気側に配置されたコールドアイルと、前記ホットアイルと前記コールドアイルとの間に配置された冷却機とを備えたデータセンターに設置されるホットアイル排熱式空調補助装置であって、
前記ホットアイルに配置された排風機と、前記ホットアイルに配置された送風機とを備え、前記排風機及び前記送風機を作動させて、前記ホットアイル内の空気のうち一定量を外部に排出するとともに、同量の外気を前記ホットアイル内に導入するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記送風機にフィルタが設置されていることを特徴とする請求項1に記載された空調補助装置。
【請求項3】
前記排風機及び前記送風機に、回転数を制御するためのインバータがそれぞれ設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載された空調補助装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−109612(P2013−109612A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254686(P2011−254686)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(507373128)株式会社シーエムプラス (2)
【Fターム(参考)】