説明

ホットプレスの下熱盤

【課題】熱圧処理した木質系板材をホットプレスから取出す際に、たとえホットプレスの下熱盤の加熱面と木質系板材とが仮接着状態となっていても、簡単に仮接着状態を解消して取出せるようにする。
【解決手段】ホットプレスの下熱盤1に於ける熱媒体の流通路2が存在しない部分に、熱圧処理した木質系板材17を下方から支持して下熱盤の加熱面1aから隔離させるに足る強度を有する薄板状の板材支持部材5が、加熱面の反対側から熱盤内部に介入して加熱面1aより出没するのを許容するに足る断面積を有する貫通孔3を穿設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質系板材の接着や乾燥に用いるホットプレスに具備する下熱盤の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上下一対の熱盤を有するホットプレスを用いて、合板・LVL(単板積層材)・ベニヤ単板等の木質系板材の接着や乾燥を行うことは公知の技術であり、高温蒸気・加熱油等の熱媒体や電熱ヒーターを熱源とする、上熱盤又は下熱盤の少なくともいずれか一方を、他方に対して接近及び離隔自在に備えて、両熱盤の間に木質系板材を挿入してから、両熱盤を接近させることにより、木質系板材を熱圧し、木質系板材の内部に介在させた接着剤を硬化させたり、木質系板材が含有する水分を蒸発させたりするもので、必要に応じては、少なくともいずれか一方の熱盤の加熱面に、複数条の細溝を刻設して、水分等の発散を促進させることも可能である。
【0003】
而して、熱圧処理した木質系板材をホットプレスから取出すに際しては、押出し棒などの取出し具を人手によって操作して、木質系板材を押出す取出し形態の他に、例えば特許文献1に開示される如く、先端に移送爪を有する往復移動式の移送腕を介して、木質系板材を押出す取出し形態、或は例えば特許文献2に開示される如く、先端に押出片を有する往復回動式の押出レバー介して、木質系板材を押出す取出し形態等が一般的である。
【特許文献1】特公昭30−7495号公報
【特許文献2】実公昭46−1278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、公知の如く、木質系板材には、加熱されると接着作用を奏する成分が含有されており、ホットプレスの熱圧処理に伴って、前記成分の一部が熱盤の加熱面と木質系板材との境界部分に滲出して固化したり、或は接着剤の一部が、表層の割れ目や道管等を介して前記境界部分に滲出して固化したりすることから、熱盤と木質系板材とが仮接着されたような状態(以下、斯様な状態を、単に仮接着状態と称す)となる現象が発生し易く、而も重力の作用も影響するので、上下両熱盤を相互に離隔させた後まで、下熱盤と木質系板材との仮接着状態が継続されることが多い。換言すると、接着剤等は自重で下方へ滲出し易い傾向があるので、上熱盤と木質系板材との仮接着状態に比べて、下熱盤と木質系板材との仮接着状態の方が強固である場合が多く、また仮に上下熱盤の仮接着状態が同程度の強さであっても、下熱盤側には木質系板材の自重が加わるので、結果的に、上熱盤と木質系板材との仮接着状態のみが解消され、下熱盤と木質系板材との仮接着状態が継続されることが多い。
【0005】
それに対して、従来の木質系板材の取出し形態は、いずれも、木質系板材の下面と平行方向乃至は略平行方向に押し力を加えて、前記仮接着状態の解消を図らんとするものであるから、比較的強大な押し力が必要であって、例えば押出しを人手で行う場合には、作業者の過労を誘発する弊害が発生し、また前記特許文献1・2に開示される如く、移送腕や押出レバーを介して機械的に行う場合には、移送爪や押出片が、下熱盤の加熱面へ過剰に強く摺接し、やがて加熱面に摺接痕を形成するので、該摺接痕が木質系板材の下面に転写されて、木質系板材の品質を劣化させる弊害が発生している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、述上の如き弊害の発生を回避することを主たる課題として開発したものであって、具体的には、加熱用の熱源が介在しない部分に、複数の貫通孔を穿設して成り、各貫通孔は、熱圧処理した木質系板材を下方から支持して加熱面から隔離させるに足る強度を有する板材支持部材が、加熱面の反対側から熱盤内部に介入して加熱面より出没するのを許容するに足る断面積を有する貫通孔であることを特徴とするホットプレスの下熱盤(請求項1)と、薄板状の板材支持部材が介入可能な貫通孔を穿設して成る請求項1記載のホットプレスの下熱盤(請求項2)と、細棒状の板材支持部材が介入可能な貫通孔を穿設して成る請求項1記載のホットプレスの下熱盤(請求項3)と、高温蒸気・加熱油等の熱媒体を、熱源に用いて成る請求項1又は請求項2又は請求項3記載のホットプレスの下熱盤(請求項4)と、電熱ヒーターを、熱源に用いて成る請求項1又は請求項2又は請求項3記載のホットプレスの下熱盤(請求項5)とを提案する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1に係るホットプレスの下熱盤によれば、熱圧処理した木質系板材を下方から支持して加熱面から隔離させるに足る強度を有する複数の板材支持部材を、加熱面の反対側から熱盤内部に介入させ、加熱面より突出させることができるから、該板材支持部材を介して、下熱盤と木質系板材との仮接着状態の解消を図ることが可能となる。
【0008】
而して、下熱盤と木質系板材との仮接着状態の解消を図るに際しては、板材支持部材を介して、木質系板材の下面に対して垂直方向に押し力を加えるものであるから、従来のように木質系板材の下面と平行方向乃至は略平行方向に押し力を加える場合に比べて、少ない押し力を以って容易に仮接着状態の解消を図ることができるのは勿論のこと、仮接着状態の解消を図った後に、従来通りの取出し形態にて、木質系板材をホットプレスから取出すに際しては、単に木質系板材の自重に抗する押し力を加えるだけで足りるので、先記弊害の発生を、防止乃至は大幅に軽減させることができる。
【0009】
また、板材支持部材を介して、下熱盤と木質系板材との仮接着状態を解消する際に、必要に応じては、下熱盤と木質系板材との間に所望の間隔を開けることができるから、該間隔を活用して、後述する如く、従来とは異なる取出し形態にて、木質系板材をホットプレスから取出すことも容易であり、取出し形態の多様化を図ることが可能となる。
【0010】
尚、板材支持部材の具体的な形状としては、薄板状と細棒状が代表的な例として挙げられ、薄板状は、木質系板材を比較的少数箇所で以って支えるのに適しており、細棒状は、木質系板材を比較的多数箇所で以って支えるのに適しているが、形状としては、必ずしもこのいずれかに限定するものではなく、要は木質系板材を下方から支持して加熱面から隔離させるに足る強度を有するものであれば差支えない。
【0011】
また、加熱用の熱源としては、従来公知の高温蒸気・加熱油等の熱媒体、或は電熱ヒーターなどが挙げられ、現存する木質系板材の生産工場に於ては、高温蒸気の汎用性が特に高いので、後述する実施例に於ては、熱媒体の流通路をジグザグ状に設けた下熱盤を代表的な例として図示したが、他の熱源も支障なく使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を図面に例示した実施の一例に基づいて更に詳述するが、後述する実施例に於けるホットプレスの態様、並びに下熱盤の態様は、単なる代表的な例であって、本発明に係る下熱盤の態様としては、実施例の態様に限定されるものではなく、要は特許請求の範囲に記載される要件を充足するものであれば差支えない。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明に係る下熱盤を備えたホットプレスの一部破断概略正面説明図であり、図2は、図1に例示したホットプレスの概略側面説明図であり、図3は、本発明に係る下熱盤の平面説明図である。図中、1は、内部にジグザグ状の熱媒体の流通路2を設けると共に、後述する薄板状の板材支持部材5が、加熱面の反対側から熱盤内部に介入して加熱面1aより出没するのを許容するに足る断面積を有する貫通孔3(実施例は断面が長円形)を、熱媒体の流通路2が存在しない部分に穿設して成る下熱盤であって、後述する上熱盤4と対を成して、木質系板材17(実施例は、5プライ合板)を熱圧すべく、断熱材(図示省略)等を介して、図示しないホットプレスの下定盤(ベッド)に固定されている。
【0014】
4は、前記下熱盤1と同様の熱媒体の流通路2を設けて成る上熱盤であって、下熱盤1と対を成して、木質系板材17を熱圧すべく、断熱材(図示省略)等を介して、図示しないホットプレスの上定盤(可動盤)に具備されており、図示しない油圧シリンダー等から成る加圧機構の作動を得て、適時、図示矢印方向に昇降せしめられ、下降時には、所望の押圧力を以って木質系板材17を熱圧する。
【0015】
5は、熱圧処理した木質系板材17を下方から支持して下熱盤の加熱面1aから隔離させるに足る強度を有する薄板状(実施例は断面が矩形)の板材支持部材であって、適宜間隔を隔てて複数枚(実施例は3枚)が連結杆18を介して列状に連結されると共に、合計4列(板材支持部材の総計12枚)が、並列状に並べられて、下熱盤1の加熱面の反対側から前記貫通孔3へ緩やかに嵌装されており、後述する昇降機構6の作動を得て、適時、図示矢印方向に昇降せしめられ、上昇時には、下熱盤の加熱面1aから適量だけ突出して、熱圧処理した木質系板材17を下方から支持して下熱盤の加熱面1aから隔離させる。
【0016】
6は、昇降機構であって、前記各連結杆18の前後の両端部下方に夫々付設されたラック7、前後一対の回転軸9に固着されて前記各ラック7の夫々に噛合するピニオン8、各回転軸9の左端部に固着された傘歯車10、伝達軸12の両端部に固着されて前記各傘歯車10に噛合する傘歯車11、前側の回転軸9の右端部に固着された鎖車13、減速機付電動機・サーボモータ等から成る駆動源16に固着された鎖車14、前記各鎖車13・14を連結する鎖15等を有して成り、例えば図示しない床面に直接配置されるか、或は例えばホットプレスの下定盤(図示省略)に固着されており、所要時に、駆動源16を作動させることによって、前記各連結杆18を介して、薄板状の板材支持部材5を一斉に図示矢印方向に昇降させる。
【0017】
本発明に係る下熱盤は、例えば述上の如くホットプレスに備えて用いるものであって、図1・図2に図示する如く、所望時に木質系板材17を熱圧処理することができると共に、図4に例示する如く、熱圧処理を終えて上熱盤4を上昇させた際に、昇降機構6を介して板材支持部材5を上昇させ、下熱盤の加熱面1aより適量だけ突出させることが可能であって、下熱盤1と木質系板材17との仮接着状態の解消を図ることができ、而も板材支持部材5は、木質系板材17の下面に対して垂直方向に押し力を加えるものであるから、従来のように木質系板材17の下面と平行方向乃至は略平行方向に押し力を加える場合に比べて、少ない押し力を以って容易に仮接着状態の解消を図ることができる。
【0018】
而して、仮接着状態を解消した後は、図5に例示する如く、昇降機構6を介して板材支持部材5を下降させて、下熱盤の加熱面1a上に木質系板材17を戻せば、従来通りの取出し形態によっても、先記弊害の発生を、防止乃至は大幅に軽減させながら、容易にホットプレスから木質系板材17を取出すことができる外に、後述する如く、従来とは異なる取出し形態を新たに採用することも可能となる。
【0019】
即ち、熱圧処理を終えて上熱盤と板材支持部材とを上昇させるに際して、図6に例示する如く、板材支持部材5の上昇距離を、図示矢印方向に進退自在なフォーク19が、下熱盤1と木質系板材17との間に支障なく介入するのに適した上昇距離に、また上熱盤4の上昇距離を、前記板材支持部材5の上昇距離に対応する上昇距離に夫々設定する。
【0020】
前記設定の下で、熱圧処理を終えて上熱盤4と板材支持部材5とを図6に実線で示す位置へ上昇させた後に、フォーク19を点線で示す位置まで前進させ、次いで、図7に例示する如く、板材支持部材5を下降させて、フォーク19上に木質系板材17を載せ、その後、図8に例示する如く、フォーク19を図示矢印方向へ後退させることにより、ホットプレスから木質系板材17を取出すことができるが、斯様な取出し形態によれば、下熱盤1と上熱盤4のいずれにも、取出し用部材(フォーク、移送爪、押出片等)が全く摺接しなくなるので、各熱盤の加熱面の損傷が一段と良好に防止できる。
【0021】
尚、板材支持部材を上昇させて木質系板材の仮接着状態を解消するタイミングは、木質系板材の熱圧処理を終えて、上下両熱盤の隔離を開始した後であれば、何時でも差支えないが、能率性からすると、上下両熱盤の隔離に合わせて可及的速やかに実施するのが好ましい。
【0022】
また、前記実施例に於ては、各板材支持部材の上端面の高さを、全て同じ高さに揃えたが、必要に応じては、図9に例示する如く、左右両側に於ける板材支持部材の上端面の高さを、中央部に於ける板材支持部材の上端面の高さに比べて、僅かな距離h(例えば数mm)だけ高くすることにより、木質系板材の左右両側(長手方向の両端)から先に仮接着状態を解消し、後で木質系板材の中央部(長手方向の中央)の仮接着状態を解消するように図っても差支えなく、斯様にすれば、一段と少ない押し力を以って容易に仮接着状態の解消を図ることができる。
【0023】
また、板材支持部材の代表的な形態として、前記実施例の如き薄板状の他に、細棒状が挙げられることは既に述べた通りであるが、下熱盤を含めた加工性等からすると、細棒状の内でも、特に断面が円形のもの、即ち、細丸棒状が至便である。
【0024】
而して、図10に例示した下熱盤1Aは、図示しない細丸棒状の板材支持部材の介入を許容する断面が円形の貫通孔3Aを、熱媒体の流通路2が存在しない部分に多数穿設して構成したものであって、先記図1〜図3の実施例に準ずる作用・効果を奏することができるが、板材支持部材の形状としては、要は木質系板材を下方から支持して加熱面から隔離させるに足る強度を有するものであれば差支えないことは先述の通りであり、更に板材支持部材の断面形状と貫通孔の断面形状との関連性についても、必ずしも同一形状である必要のないことは、先記図1〜図3の実施例からも明らかであって、加工の困難性等を度外視すれば、例えば断面が正四角形の細棒状の板材支持部材と断面が円形の貫通孔との組合せ、或は例えばその逆で細丸棒状の板材支持部材と断面が正四角形の貫通孔との組合せ、更には例えば細丸棒状の板材支持部材と断面が長円形の貫通孔との組合せ等々、適宜に設計変更することができる。
【0025】
但し、熱圧の均一性からすると、貫通孔の断面は、過剰に広い空間部分を有しない形状とするのが好ましく、例えば同じ断面積であれば、円形よりも長円形或は矩形として、木質系板材のいずれの部分も可及的にムラなく熱圧できるようにするのが適切であるから、板材支持部材の断面の形状もそれを考慮して設定するのが良く、また板材支持部材に対する嵌装度合いについても、過剰に広い隙間が生じない程度に留めるのが好ましので、板材支持部材が緩やかに介入できる程度の嵌合とするのが良く、実験的には、木質系板材のいずれの部分にあっても、好ましくは約8mm以内の近辺に、より好ましくは約5mm以内の近辺に、下熱盤の加熱面が存在し得るように、貫通孔の断面を設定すれば、実用的に格別支障ない程度に熱圧の均一性を保つことが可能であることが確認された。
【0026】
因に、前記貫通孔のより好ましい断面の数値を、板材支持部材に置き換えると、例えば薄板状の板材支持部材であれば、厚さが約10mm未満、また丸棒状の板材支持部材であれば、太さが約10mm未満に相当するが、いずれの場合も、仮接着状態の解消を図る強度には充分な数値であるから(例えば鋼鉄・ステンレス鋼等の硬質金属製にすれば、半分の5mm前後でも差支えない)、斯様な数値の範囲内に収まるように設定すれば、仮接着状態の解消にも全く支障ない。
【0027】
一方、処理する木質系板材が、強度的な異方性を有するベニヤ単板である場合については、仮接着状態の解消の適確性からして、ベニヤ単板の繊維方向と直交方向に対する板材支持部材の存在を比較的密にするのが好ましく、図示は省略したが、ベニヤ単板の繊維方向と直交方向に対する各板材支持部材同士の間隔を過剰に広くしないよう設定すると共に、ベニヤ単板の繊維方向と直交方向の全長に亘って板材支持部材の列が存在するように設定するのが良く、特にベニヤ単板の繊維方向と直交方向の両端部付近に於ては、仮接着状態の解消を図る際に、ベニヤ単板が裂け易い傾向があるので、ベニヤ単板の繊維方向と同方向に適宜の間隔を隔てた複数の箇所に於ける繊維方向と直交方向の両端部付近に於て、板材支持部材が存在し得るように設定するのが良い。
【0028】
また一方、熱媒体を熱源に用いる場合に於ける流通路の形成態様についても、前記各実施例の如きジグザグ状に限るものではなく、図示は省略したが、従来公知のあらゆる形成態様を含めた、別の形成態様に適宜設計変更して差支えなく、必要に応じては、複数個所の入口・出口を設けること、或は複数本の流通路を設けることなども差支えない。
【0029】
而して、貫通孔の形成場所としては、要は加熱用の熱源が介在しない部分(例えば熱媒体を熱源に用いる場合に於ては、熱媒体が流通する流通路の部分以外の部分)であれば足りるが、下熱盤が加熱に伴って熱膨張した場合に、貫通孔に異常な歪が発生して、同じく加熱に伴って熱膨張する板材支持部材の昇降に差し障りが生じないよう、貫通孔と加熱用の熱源との隔壁は、異常な歪が発生しない程度の厚さに設定する方が安全である。
【0030】
勿論、板材支持部材の昇降に用いる昇降機構の形態についても、先記実施例の形態に限るものではなく、図示は省略したが、例えば各種のカム機構、リンク機構等、他の公知の機構に変換することが可能であり、必要に応じては、適数個の板材支持部材毎に個別に駆動源を設けて、分別的に選択して昇降できるようにしても差支えなく、斯様に分別的に選択して昇降できる形態によれば、必要に応じて、所望の板材支持部材の上昇開始時期を若干異ならせることにより、図9の例に準じて、仮接着状態の解消時期を部分的に異ならせることも可能である。
【0031】
また、先記図1〜図3の実施例の如く、上熱盤を可動とし、下熱盤を固定とする形態によれば、ホットプレス自体の構造が比較的簡単となるのみならず、床に加圧機構の収容穴を設けることなく直置きできるので、総じて設置工事が簡略化できる利点があるが、ホットプレスとの形態としては、斯様な形態に限るものではなく、図示は省略したが、上熱盤を固定とし、下熱盤を可動とする形態、或は構造が些か複雑化するが、両熱盤共に可動とする形態のいずれであっても差支えなく、下熱盤を可動とする場合に於ては、下熱盤を配備する下定盤に、板材支持部材の昇降に用いる昇降機構を付設し、該昇降機構が下熱盤と一緒に昇降するよう構成しても差支えない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上明らかな如く、本発明に係るホットプレスの下熱盤は、従来の問題点の解消に有効であるのみならず、従来とは異なる木質系板材の取出し形態の実現をも可能とするものであるから、斯界に於ける利用可能性は著大である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る下熱盤を備えたホットプレスの一部破断概略正面説明図である。
【図2】図1に例示したホットプレスの概略側面説明図である。
【図3】本発明に係る下熱盤の平面説明図である。
【図4】図1〜図3に例示したホットプレスの作動説明図である。
【図5】図1〜図3に例示したホットプレスの作動説明図である。
【図6】図1〜図3に例示したホットプレスの変更例の概略側面説明図である。
【図7】図6に例示したホットプレスの作動説明図である。
【図8】図6に例示したホットプレスの作動説明図である。
【図9】板材支持部材の変更例の概略正面説明図である。
【図10】本発明に係る下熱盤の変更例の平面説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1、1A :下熱盤
1a :下熱盤の加熱面
2 :熱媒体の流通路
3、3A :貫通孔
4 :上熱盤
5 :薄板状の板材支持部材
6 :昇降機構
17 :木質系板材
18 :連結杆
19 :フォーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱用の熱源が介在しない部分に、複数の貫通孔を穿設して成り、各貫通孔は、熱圧処理した木質系板材を下方から支持して加熱面から隔離させるに足る強度を有する板材支持部材が、加熱面の反対側から熱盤内部に介入して加熱面より出没するのを許容するに足る断面積を有する貫通孔であることを特徴とするホットプレスの下熱盤。
【請求項2】
薄板状の板材支持部材が介入可能な貫通孔を穿設して成る請求項1記載のホットプレスの下熱盤。
【請求項3】
細棒状の板材支持部材が介入可能な貫通孔を穿設して成る請求項1記載のホットプレスの下熱盤。
【請求項4】
高温蒸気・加熱油等の熱媒体を、熱源に用いて成る請求項1又は請求項2又は請求項3記載のホットプレスの下熱盤。
【請求項5】
電熱ヒーターを、熱源に用いて成る請求項1又は請求項2又は請求項3記載のホットプレスの下熱盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−28912(P2009−28912A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192218(P2007−192218)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000155182)株式会社名南製作所 (77)
【Fターム(参考)】