説明

ホットメルト接着剤に関する組成物および方法

本発明は、エチレンメチルメタアクリレートおよび粘着付与樹脂を含有するホットメルト接着剤に関する方法および組成物を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の分野
本発明は、エチレンメチルメタアクリレートのコポリマーおよび粘着付与樹脂の組成に基づくホットメルト接着剤に関する。
【0002】
発明の背景
本発明は、幅広い用途に広く用いられるホットメルト接着剤に関する。ホットメルト接着剤は、一般に、高温で、接着剤組成物の押出し塗布または回転塗布により、他の加工物を固定することを所望される加工物上に簡便に塗布される材料を含む。
【0003】
ホットメルト接着剤は、今日までのところ、望ましい熱安定性を有していない。すなわち、従前のホットメルト接着剤は、典型的に、経時的に実質的な粘度変化を有し、比較的に短い期間で著しく黒ずみ、焦げ、スキンまたはゲルを生じる。
【0004】
伝統的なホットメルト接着剤は、不快な匂いを有することもまた、知られている。このような悪臭を放つ接着剤を繰り返して用いることは、非常に不快な作業環境をもたらし得る。
【0005】
さらに、ホットメルト接着剤は、今日までのところ、ある温度範囲において不十分な接着性能を有する。すなわち、それらは、ある温度範囲おいて十分な接着性を欠く。
【0006】
ホットメルト接着剤の1つの用途は、製本である。一般的に、ブックブロックを製造するための2つの異なる方法がある。「ワンショット(one-shot)」法は、ブックブロックの背上への直接的な接着剤の塗布を含む。「ツーショット(two-shot)」法は、(1)背上への下塗組成物の塗布、ついで、(2)乾燥した下塗組成物の表面への接着剤組成物の塗布を含む。
【0007】
水系接着剤は、典型的に、製本における下塗組成物として用いられている。しかしながら、これらの接着剤は、遅い硬化速度を有し、これは、製本機械の製造速度にとって不利となり得る。乾燥器および熱が、水系下塗剤の乾燥を促進するために用いられているが、熱に曝すことは、典型的に、水系下塗剤にスキンを生じ、形成したポリマー膜内に湿気を閉じ込める。水系下塗層の内部に閉じ込められた水分は、揮発することが可能であり、膜を持ち上げ、大きな膨れを形成し、これは加熱下で破けて燃える。一方で、水系下塗剤が十分に乾燥されないと、約100℃〜約200℃の範囲に渡る塗布温度で第2段階目のホットメルト接着剤を塗布すると、水系下塗剤中に存在する残存水分のために、はね散らしおよび膨れを引き起こす。
【0008】
従って、ホットメルト接着剤は、ツーショット法における下塗接着剤として、ますます一般的に用いられる。何故なら、ホットメルト接着剤は、製造スピードを向上させ、乾燥ユニットを取り除くために製本コストを削減し、および水系接着剤下塗に付随する乾燥の懸念を除く。しかしながら、今日入手できるホットメルト接着剤の1つの欠点は、種々の紙素材に対して強力な接着を提供することが出来ないということであった。
【0009】
従って、当該技術分野において、殆ど粘度変化を有さずまたは粘度変化を有さず、殆ど色変化を有さないか穏やかな色変化を有し、焦げ、スキンまたはゲル化を有さないという良好な熱安定性を有する接着剤組成物への要求が存在する。
【0010】
また、殆ど匂いを有さず、および伝統的なホットメルト接着剤と比べて殆ど不快な匂いを有さない接着剤組成物への要求も存在する。
【0011】
さらに、広い温度の範囲に渡って、優れた接着性能を有する接着剤組成物への要求が存在する。
【0012】
加えて、製本の領域における種々の紙素材に対して強力な接着を提供する接着剤組成物への要求が存在する。
【0013】
発明の簡潔な概要
本発明は、1つの態様においては、ホットメルト接着剤である。該組成物は、エチレンメチルメタアクリレートコポリマーおよび粘着付与樹脂を含む。該組成物は、また、オイル、ワックス、酸化防止剤およびブロックコポリマーのようなさらなる成分を含んでもよい。1つの態様において、該組成物は、本質的に、エチレンメチルメタアクリレートコポリマーおよび粘着付与樹脂から成る。
【0014】
他の態様においては、本発明は、エチレンメチルメタアクリレートコポリマー、ブロックコポリマーおよび粘着付与樹脂を含むホットメルト接着剤組成物であり、ただし該組成物は界面活性剤を有さない。
【0015】
本発明は、他の態様においては、製本のためのホットメルト接着剤の使用方法である。本方法は、エチレンメチルメタアクリレートコポリマーおよび粘着付与樹脂を含有するホットメルト接着剤を提供すること、および綴じようとする本の要素に該組成物を塗布することを含む。
【0016】
さらなる態様において、本発明は、パッケージ製品である。この製品は、本質的にエチレンメチルメタアクリレートコポリマーおよび粘着付与樹脂から成るホットメルト接着剤組成物、および該組成物の基材への塗布についての説明書を含む。あるいは、この製品は、エチレンメチルメタアクリレートコポリマー、ブロックコポリマーおよび粘着付与樹脂を含有するホットメルト接着剤組成物、並びに該組成物の基材への塗布についての説明書を含む。
【0017】
多数の態様を開示するが、本発明のさらに他の態様が、本発明の例示的な態様を示し且つ記載した以下の詳細な記載から当業者には明らかになるであろう。理解されるように、本発明は、全て本発明の意図および範囲を逸脱することなく、種々の明らかな側面を改変することができる。従って、図面と詳細な記載は、全く例示的であり、制限的なものではないとみなされる。
【0018】
詳細な記載
本発明の方法および組成物は、製品組み立て、パッケージング、製本、鞄組み立ておよび不織物の集成を含む、種々の産業において使用するためのホットメルト接着剤に関する。本発明の組成物は、限られないが、標準的な温度範囲、および低い塗布温度のホットメルト接着剤に向けられる。本発明の組成物は、広い温度範囲に渡って、今日の技術と比べて熱的に安定であり、優れた接着性能を有する。さらに、本発明の組成物は、幅広い範囲の紙のタイプについて優れた接着を示す。加えて、本発明の組成物は、高い耐熱性と共に、優れた低温柔軟性を示し、さらに、現在の技術と比較して格別な熱安定性を示す。
【0019】
1つの側面において、本発明は、粘着付与樹脂と組み合わせたエチレンメチルメタアクリレートの組成物である。「エチレンメチルメタアクリレート」は、エチレンとメチルメタアクリレートのコポリマーであり、これは本発明の組成物に柔軟性と強度を提供する。
【0020】
1つの態様によれば、エチレンメチルメタアクリレート中のメチルメタアクリレートの濃度は、コポリマーの約20重量%〜約40重量%の範囲の量である。あるいは、この濃度は、コポリマーの約25重量%〜約35重量%に渡る。本発明の1つの側面によるエチレンメチルメタアクリレートのメルトインデックスは、1200未満である。あるいは、このメルトインデックスは、600未満である。
【0021】
エチレンメチルメタアクリレートの調製は、当該技術分野において知られており、ステュッツ(Stuetz)への米国特許第3,287,335号、クヌーソン(Knudson)等への米国特許第3,658,741号、およびアグーリ(Agouri)等への米国特許第3,949,016号に教示されており、これらを本明細書の一部として本願に援用する。エチレンメチルメタアクリレートを、例えば、スミトモケミカルから購入することができる。
【0022】
組成物中のエチレンメチルメタアクリレートコポリマーの濃度は、約10重量%〜約50重量%に渡る量である。あるいは、この濃度は、約15重量%〜約45重量%に渡る。
【0023】
「粘着付与樹脂」は、当該技術分野において認知され、組成物が硬化する間に、接着される要素を固定するために用いられる組成物に粘着性を提供し、および組成物の粘性を減じ、組成物が基材に塗布されることを容易にする物質を含むと意図される。粘着付与樹脂は、限られないが、当該技術分野において知られるような、ロジン、ロジン誘導体、テルペン、改質テルペン樹脂、炭化水素、改質炭化水素樹脂、テルペンフェノール樹脂、またはピュアモノマー樹脂であり得る。本発明の組成物中での粘着付与樹脂の濃度は、約15重量%〜約70重量%の範囲の量である。あるいは、この濃度は、約20重量%〜約60重量%に渡る。種々の粘着付与樹脂を、例えば、アリゾナケミカル(Arizona Chemical)、エクソンケミカル(Exxon Chemical)およびイーストマンケミカル(Eastman Chemical)から購入することができる。
【0024】
あるいは、組成物は、ブロックコポリマーを含む。「ブロックコポリマー」という語は、当該技術分野において認知され、スチレンのブロック、ミッドブロック(mid-block)を有し、および任意に他のスチレンブロックを有する物質を含むと意図される。1つの態様によれば、ブロックコポリマーは、スチレンブロックコポリマーである。例えば、ブロックコポリマーは、限られないが、スチレンブタジエンスチレン(SBS)、スチレンイソプレンスチレン(SIS)、スチレンエチルプロピルスチレン(SEPS)、またはスチレンエチルブチルスチレン(SEBS)であり得る。本発明の組成物中のブロックコポリマーの濃度は、約0重量%〜約15重量%に渡る量である。あるいは、この濃度は、約2重量%〜約10重量%に渡る。種々のブロックコポリマーを、例えば、クレイトンケミカル(Kraton Chemical)、クラレアメリカ社(Kuraray America, Inc.)、およびデクスコ(Dexco)から購入することができる。
【0025】
さらなる代替において、組成物は、ワックスを含む。「ワックス」という語は、当該技術分野において認知され、本質的に脂肪族であるいずれもの粘度調整剤を含むことを意図される。ワックスは、限られないが、パラフィンワックス、マイクロワックス、または合成ワックスであり得る。本発明の組成物中のワックスの濃度は、約0重量%〜約40重量%に渡る量である。あるいは、この濃度は、約5重量%〜約35重量%に渡る。種々のワックスを、例えば、エクソンケミカルおよびバレコ(Bareco)から購入することができる。
【0026】
本発明の他の側面において、組成物はオイルを含む。「オイル」という語は、当該技術分野において認知され、ホットメルト組成物を可塑化するいずれもの可塑剤を含むことを意図される。例えば、オイルは、限られないが、ナフテン系オイル(naphthinic oil)、鉱油、またはパラフィンを基とするオイルであり得る。本発明の組成物中のオイルの濃度は、約0重量%〜約20重量%に渡る量である。
【0027】
さらに他の代替によれば、本発明の組成物は、酸化防止剤を含む。「酸化防止剤」という語は、当該技術分野において認知され、自動酸化プロセスを妨げる物質を含むことを意図される。1つの態様によれば、酸化防止剤は、本発明の接着剤製品を分解に対して安定化する。酸化防止剤は、限られないが、Irganox 565、Irganox 1010、およびIrganox 1076 であり得、これらは、ヒンダードフェノール酸化防止剤である。本発明の組成物中の酸化防止剤の濃度は、約0重量%〜約2重量%に渡る量である。種々の酸化防止剤を、例えば、チバガイギー(Ciba Geigy)から購入することができる。
【0028】
1つの代替によれば、本発明の組成物は、さらに、1以上のさらなるポリマーを含む。さらなるポリマーは、限られないが、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンメチルアクリレート(EMA)、エチレンn−ブチルアクリレート(EnBA)、エチレンエチルアクリレート(EEA)、または共重合体を含み得る。
【0029】
EVAは、エチレンとビニルアセテートのコポリマーである。1つの態様によれば、EVAコポリマー中のビニルアセテートの濃度は、コポリマーの約18重量%〜約40重量%に渡る量である。本発明の1つの側面によるEVAのメルトインデックスは、約1100未満である。あるいは、EVAのメルトインデックスは、約900未満である。EVAは、例えば、ATプラスチック(AT Plastics)およびエクソンケミカルにより販売される。
【0030】
EMAは、エチレンとメチルアクリレートのコポリマーである。1つの態様によれば、EMAコポリマー中のメチルアクリレートの濃度は、コポリマーの約15重量%〜約30重量%に渡る量である。本発明の1つの側面によるEMAのメルトインデックスは、約400未満である。EMAは、例えば、エクソンケミカルにより販売される。
【0031】
EnBAは、エチレンとn−ブチルアクリレートのコポリマーである。1つの態様によれば、EnBA中のn−ブチルアクリレートの濃度は、コポリマーの約28重量%〜約38重量%に渡る量である。本発明の1つの側面によるEnBAのメルトインデックスは、約1000未満である。EnBAは、例えば、エクソンケミカルにより販売される。
【0032】
本発明の組成物中のさらなるポリマーの濃度は、約0重量%〜約20重量%に渡る量である。あるいは、この濃度は、約5重量%〜約15重量%に渡る。
【0033】
本発明の1つの側面において、組成物は以下の様式で作られる。含まれる全てのポリマー以外の組成物の成分は、ホットメルト接着剤の成分を混合するためのいずれかの既知の温度において溶融状態で混合され、混合物を生成する。あるいは、成分は、約150℃〜約175℃に渡る温度で溶融される。本発明の1つの側面において、酸化防止剤成分が、最初の成分と共に加えられる。あるいは、酸化防止剤は、ポリマーを加える時を含む組成物の調製中のいずれもの時間において加えられる。1つの態様によれば、成分は、強制通気型オーブンにおいて溶融される。あるいは、成分は、ホットメルト接着剤成分を溶融するためのいずれかの既知の装置において溶融される。
【0034】
本発明の1つの側面において、ポリマー成分が、続いて混合物に加えられる。ポリマー成分は、直立型ミキサまたは軽量ミキサ中に加えられる。このようなミキサの1つの例は、カナダ、オンタリオ州、ワイアートンのカフラモ(Caframo)により製造される Stirrer Type RZRI である。あるいは、ポリマーを、いずれかの既知の方法または装置により加えることができる。
【0035】
1つの態様によれば、混合物は、混合物を溶融状態に保つためのいずれかの既知の温度に保たれる。あるいは、混合物は、約150℃〜約175℃に渡る温度で溶融状態に保たれる。1つの態様において、混合物の温度は、加熱マントルを用いて保たれる。加熱マントルの1例は、インディアナ、テレホートのGlas-Col により製造されるいずれかのものである。あるいは、混合物の温度を、既知の方法または装置により保つことができる。本発明の1つの側面によれば、組成物は、続いて、なめらか且つ均質になるまで混合される。
【0036】
使用に際して、本発明の組成物は、他の基材に接着される基材に塗布される。すなわち、組成物は、既知のホットメルト接着剤塗布装置中に入れられる。組成物は、続いて、塗布装置におけるノズルから押出されるか、ローラに塗布されて基材に移し変えられる。最終的に、組成物を塗布した基材は、第2の基材と貼り合わされ、冷却すると2つの基材間に接着が形成される。あるいは、組成物は、いずれかの既知の方法により塗布される。
【0037】
本発明は、好ましい態様に関して記載されるが、当業者は、本発明の意図および範囲を逸脱することなく、様態および細部を変更することができることを理解するであろう。
【0038】
以下の例は、本発明の、限定されない、実例による説明として示される。他に示さない限り、以下の試験手法を用いた。
【0039】
メルトインデックス(MI)は、ASTM D−1238、コンディション190C、2.16kg(公式には、コンディションEとして知られる)に従って測定する。
【0040】
剥離接着破壊温度(peel adhesion failure temperature)(PAFT)は、サンプルの結合が破壊する摂氏温度における温度である。PAFTは、ASTM D−4498におけるPAFTの変動に従って測定される。本発明の方法における試験片サンドイッチの厚さが10ミルであり、オーブン温度は、手動ではなく自動で高められるという点で、本発明の試験方法は異なる。
【0041】
剪断接着破壊温度(shear adhesion failure temperature)(SAFT)は、サンプルの結合が破壊する摂氏温度における温度である。SAFTは、ASTM D−4498におけるSAFT試験の変動に従って測定される。本発明の方法における試験片サンドイッチの厚さが10ミルであり、オーブン温度は、手動ではなく自動で高められるという点で、本発明の試験方法は異なる。
【0042】
粘度は、ASTM D−3236に従って測定される。粘度の測定は、本明細書中では、本明細書中に示される通りセンチポアズ(CPS)またはミリパルカルセカンド(mPa.s)で提供される。ホットメルト接着剤の溶融粘度は、適切なスピンドルを用いて、ブルックフィールドサーモセル粘度計(Brookfield Thermosel Viscometer)、モデルLVDV2+により測定した。
【0043】
繊維引裂け(FT)は、特定の温度で、本発明の接着剤組成物のサンプルにより互いに接着された2つの基材を分離した後の、接着剤領域を覆う繊維のパーセントを測定する。FTは、以下の手法に従って測定した。接着剤結合を、当該技術分野において知られるウォルドーフボンドシュミレータ(Waldorf bond Simulator)を用いて、種々の基材に、約175℃の塗布温度、1秒、3秒、5秒および7秒の開放時間、2秒の硬化時間(または圧締時間)、および1/8インチ(0.32cm)の滴サイズを用いて形成した。生じた接着は、少なくとも24時間、約40°F(約4.5℃)に調節され、続いて、手で分離し、パーセントに基づく繊維引裂けの量を測定した。最少の6サンプルを、本発明の各組成物について試験した。
【0044】
使用温度(serv temp)は、サンプルが十分に接着する摂氏温度の範囲である。使用温度は、75%以上の繊維引裂け接着を示す温度の範囲を決定するための、上記した繊維引裂け接着試験の結果を検査することにより測定される。すなわち、繊維引裂け試験方法は、ある範囲の温度に渡って行われる。これらの結果を検査し、サンプルが十分に機能するという主観的な観察により決定される温度の範囲が、使用温度範囲である。
【0045】
オープン温度(OT)は、接着剤サンプルが、オープン(または粘着)段階からろう状段階へと移行するカ氏度における温度である。開放段階は、本発明の接着剤組成物のサンプルにより互いに接着された2つの基材を剥離することができ、互いに元に戻し、本発明の組成物により生成される接着が、なお、硬化する段階である。ろう状段階は、基材を剥離した後、互いに再び合わせても、接着が硬化しない段階である。
【0046】
硬化温度(ST)は、接着剤サンプルが、ろう状段階から繊維引裂け段階へと以降するカ氏度における温度である。繊維引裂け段階は、基材を剥離した際に、紙がばらばらになる段階である。
【0047】
OTおよびSTは、以下の手法に従って測定した。本発明の接着剤の滴を傾斜バー上に注ぎ、一片のクラフト紙を組成物上にプレスした。接着剤を5分間に渡って冷却しながら、紙を組成物に接着させた。その後、どこで相転移が起こるかを見るために、紙を剥がした。相転移の点における温度を測定し、記録した。
【0048】
オープンタイムは、第1の基材への接着剤サンプルの塗布と、第1の基材を第2の基材に貼り合わせた後に、基材の分離が、本明細書中に定義される80%の繊維引裂けをもたらす間の最も長い時間の測定である。オープンタイムを、以下の手法に従って測定した。接着剤結合を、当該技術分野において知られるウォルドーフボンドシュミレータを用いて形成した。オープンタイム(塗布と貼り合わせの間の時間)を変化させ、80%の繊維引裂けをもたらす中で用いられる最も長いオープンタイムを決定した。
【0049】
硬化時間は、基材の分離が、80%の繊維引裂けをもたらす最も短い圧締時間の測定である。硬化時間を、以下の手法に従って測定した。接着剤結合を当該技術分野において知られるウォルドーフボンドシュミレータを用いて形成した。予め決めたオープンタイムを用いて、硬化時間(2つの基材と、塗布された接着剤サンプルが、互いに圧締される間の時間)を変化させ、80%の繊維引裂けが得られる最も短い硬化時間を決定した。
【0050】
サンプルの軟化点(SP)は、サンプルが、予め決めた程度にまで溶融する摂氏温度における温度である。SPを、ASTM D−3461に説明される手法に従って測定した。
【0051】
熱老化軟化点(heat aged SP)は、熱老化分析中の種々の時間において行われる軟化点測定の平均である。測定は、サンプルをガラス容器中に入れた後、サンプルを200時間または他の具体的な時間の間放置しておくことにより行われる。摂氏温度において測定される。熱老化SPを、以下の手法に従って測定した。2または3カップの接着剤組成物を、パイレックス(登録商標)容器またはガラス容器中に計り入れた。続いてこの容器を、オーブンに入れ、予め決めた速度の温度上昇で加熱した。加熱中、サンプルを、光電池によりモニターした。サンプル流により光線が暗くなることは、マイクロプロセッサにおける応答を引き起こした。
【0052】
離層は、離層(または接着破壊)に対する接着剤サンプルの耐熱性の測定である。離層は、The Institute of Packaging Professionals Journalの1992年冬季版の「ホットメルト接着剤の熱ストレス抵抗を評価するために提唱する手法(Suggested Procedure for Evaluating the Heat Stress Resistance of Hot Melt Adhesives)」と題する記事(7〜9ページ)に説明される手法に従って測定した。
【0053】
クリープは、サンプルに500gの重りをつけて吊るした際に、予め決めた温度にあるサンプルが破壊する分単位の時間である。クリープを、以下の手法に従って測定した。試験片を、上記した離層試験方法と同じ様式で作り、500グラムの重りと共に、予め決めた温度で10分間オーブン中に入れた。本明細書中のSAFT試験方法について用いられるのと同じ配置で、1のストリップの端を、オーブンの取り付け部に留めて、500gの重りを、第2のストリップの端に留めた。温度を保ち、破壊の平均時間を記録した。最少の5サンプルを、この試験のために用いた。
【0054】
熱老化粘度は、ガラス容器中にサンプルを入れ、このサンプルを、180℃で、示す通り200時間以上放置した後の粘度の測定である。180℃におけるmPa.sにおいて測定する。熱老化粘度は、ASTM D−4499に説明される手法に従って測定した。接着剤サンプルのスキン形成、ゲル化および焦げを含む他の観察も、この試験中に併せて行う。加えて、粘度上昇比も併せて、本試験中に測定する。
【0055】
引張り強さは、引張り方向におけるlbs./inまたはkg/cmにおける強度の測定である。引張り強さを、ASTM D−638に説明される手法に従って測定する。
【0056】
伸び率は、その本来の長さのパーセントで、どれくらいサンプルが伸びるかという測定である。伸び率を、ASTM D−638に説明される方法に従って測定する。
【0057】
降伏点は、試験片を伸ばした際の破断点または解放点の測定である。これを、ASTM D−638に従って、psiまたはkg/cmにおいて測定する。
【0058】
低温亀裂は、圧力を加えた際に、サンプルが破損する温度の測定である。低温亀裂を、以下の手法に従って測定した。試験を、3インチ×3/4インチの幅で、4〜12インチの長さの試験台を用いて行った。v字型のベースを、1/2インチの深さで台の上部の縁から90度直角にカットすることにより形成した。この台は、また、連動プレッシャバー(2と1/2インチ×3/4インチ、4〜12インチ長さ)を有し、これは、v字型ベースにぴったりと適合する90度角のv字型の端を有する。
【0059】
試験を行うために、1インチ×3インチ、厚さ20〜30mmである、サンプルの泡を含まない塗膜を形成する。サンプルの3つの塗膜を試験代のv字型ベースに渡って配置し、各サイド上に約1インチの張出しを残し、試験台を、50°Fの初期温度で、少なくとも1時間、一定の温度に保つことができる温度チャンバ中に入れる。続いて、プレッシャバーを、下のv字型ベースに押し込み、塗膜を90度角に曲げる。この温度で亀裂が入る全ての塗膜を観察する。この手法を、3つの塗膜のうち2つまでに亀裂が入るまで、新しい塗膜サンプルおよび5度低下させた温度を用いて繰り返し、さらに、5度上昇させて繰り返した。低温亀裂温度は、3つの塗膜のうち2つに亀裂が入る最も高い温度である。
【0060】
例1
方法および材料
以下の実験は、本発明の17の異なる態様(サンプル)を含み、各サンプルの種々の特性を試験した。各サンプルは、可変の量で、以下のそれぞれで構成された。
【0061】
EMMA(28−450):28%のメチルメタアクリレートおよび72%のエチレンの組成物(MI=450);
EMMA(28−150):28%のメチルメタアクリレートおよび72%のエチレンの組成物(MI=150);
PX100:高融点ワックス;および
Escorez 5637:粘着付与樹脂。
【0062】
結果
結果を表1に述べる。
【表1】

【0063】
例2
方法および材料
以下の実験は、本発明の4つの異なる態様(サンプル)を含み、各サンプルの種々の特性を試験した。以下の成分が、可変の量で、少なくともいくつかのサンプルに含まれた。
【0064】
EMMA(29.3−400):29.3%のメチルメタアクリレートおよび70.7%のエチレンの組成物(MI=400);
EMMA(32.4−426):32.4%のメチルメタアクリレートおよび67.6%のエチレンの組成物(MI=426);
EMMA(29−150):29%のメチルメタアクリレートおよび71%のエチレンの組成物(MI=150);
Imarv S−100:粘着付与樹脂;
Komotac KF454S:粘着付与樹脂;
Sasol C−80:ワックス;
Polylets 120SZ:ワックス;
Evernox 76:酸化防止剤;
Irgafos 168(JP650):酸化防止剤;
Sumitate KF−11:EVA;および
Sumitate KC−10:EVA。
【0065】
結果
結果を表2に述べる。
【表2】

【0066】
例3
方法および材料
以下の実験は、本発明の6つの異なる態様(サンプル)を含み、各サンプルの種々の特性を試験した。以下の成分が、可変の量で、少なくともいくつかのサンプルに含まれた。
【0067】
Acryft EMMA(29−150):29%のメチルメタアクリレートおよび71%のエチレンの組成物(MI=150);
Acryft EMMA(29.3−400):29.3%のメチルメタアクリレートおよび70.7%のエチレンの組成物(MI=400);
Acryft EMMA(32.4−426):32.4%のメチルメタアクリレートおよび67.6%のエチレンの組成物(MI=426);
NUC−6070 EEA(25−250):25%のエチレンアクリレートを含むエチレンエチルアクリレートの組成物(MI=250);
Sylvares TP−2040:粘着付与樹脂;
Sylvares ZT−105L/501L:粘着付与樹脂;
Komotac KF−454S:粘着付与樹脂;
Esmax 180F(Micro 180F):ワックス;
Himic−1080(Micro 180F):ワックス;
Paraffin Wax 150F:ワックス;
Sasol C−80:ワックス;
RM 6197:共押出しコーティング;および
Evernox−10:酸化防止剤。
【0068】
結果
結果を以下の表3に示す。
【表3−1】

【表3−2】

【0069】
例4
方法および材料
以下の実験は、本発明の3つの異なる態様(サンプル)を含み、各サンプルの種々の特性を試験した。以下の成分が、可変の量で、少なくともいくつかのサンプルに含まれた。
【0070】
Acryft EMMA(32.4−426):32.4%のメチルメタアクリレートおよび67.6%のエチレンの組成物(MI=426);
Acryft EMMA(29−150):29%のメチルメタアクリレートおよび71%のエチレンの組成物(MI=150);
Acryft EMMA(29.3−400):29.3%のメチルメタアクリレートおよび70.7%のエチレンの組成物(MI=400);
HiMic 1080:ワックス;
Sasol C−80:ワックス;
Komotac KF 454S:粘着付与樹脂;
Sylvares ZT 105:粘着付与樹脂;
Sylvares TP 2040:粘着付与樹脂;
Irganox 1010:酸化防止剤;
Enable EN 33330:33%nBAのEnBAコポリマー組成物(MI=330);
Enable EN 33900:33%nBAのEnBAコポリマー組成物(MI=900);
Optema TC140:21.5%MAのEMAコポリマー組成物(MI=125);および
RM 6197:共押出しコーティング。
【0071】
結果
結果を以下の表4に述べる。
【表4】

【表5−1】

【0072】
例5
方法および材料
以下の実験は、本発明の3つの異なる態様(サンプル)を含み、各サンプルの種々の特性を試験した。以下の成分が、可変の量で、少なくともいくつかのサンプルに含まれた。。
【0073】
Acryft EMMA(32.4−426):32.4%のメチルメタアクリレートおよび67.6%のエチレンの組成物(MI=426);
Acryft EMMA(29−150):29%のメチルメタアクリレートおよび71%のエチレンの組成物(MI=150);
HiMic 1080:ワックス;
Sasol C−80:ワックス;
Komotac KF 454S:粘着付与樹脂;
Sylvares ZT 105:粘着付与樹脂;
Sylvares TP 2040:粘着付与樹脂;
Irganox 1010:酸化防止剤;
Enable EN 33330:33%nBAのEnBAコポリマー組成物(MI=330);
Enable EN 33900:33%nBAのEnBAコポリマー組成物(MI=900);
Optema TC140:21.5%MAのEMAコポリマー組成物(MI=125);および
RM 6197:共押出しコーティング。
【0074】
結果
結果を、以下の表5に述べる。
【表5−2】

【0075】
例6
以下の実験は、本発明の5つの異なる態様(サンプル)を含み、各サンプルの種々の特性を試験した。各サンプルは、以下の表6に述べる成分で構成された。
【表6】

【0076】
結果
各サンプルの結果を、同様の市販の製品の結果と比較した。結果を、以下の表7に述べる。
【表7】

【0077】
分析
標準的な温度範囲の製品について、サンプル8040−24−1および8040−24−2の双方は、HL−7268よりも優れた性能を提供する。8040−24−2は、有利には、HL−9256と比較され、8040−24−2は、−20°Fおよび0°Fにおいてより優れた接着を有し、HL−9256と比較して、140°Fにおいて低下するのみであるために、HL−9256よりも幅広い温度範囲を有する。サンプル8040−24−3は、有利には、全ての試験においてHM−2835−Yと比較される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)エチレンメチルメタアクリレートコポリマー、および
(b)粘着付与樹脂
を含み、ただし界面活性剤およびエチレンとn−ブチルアクリレートのコポリマーを含まないホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
さらにオイルを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらにワックスを含む請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
さらに酸化防止剤を含む請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
さらにコポリマーを含む請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
さらにブロックコポリマーを含む請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
さらにワックスを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
さらにブロックコポリマーを含む請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
(a)請求項1に記載の前記組成物、および
(b)基材への前記組成物の塗布のための説明書
を含むパッケージ製品。
【請求項10】
請求項1に記載の前記組成物を作る方法。

【公表番号】特表2007−504335(P2007−504335A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526108(P2006−526108)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/027166
【国際公開番号】WO2005/023951
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(591190771)エイチ・ビー・フラー・ライセンジング・アンド・ファイナンシング・インコーポレーテッド (13)
【Fターム(参考)】