説明

ホットメルト接着剤組成物

(a)(a)と(b)との合わせた総量の約5〜約95重量%の量で存在する、エチレンと、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、これらの酸の対応する塩、モノエステルおよびジエステル、ならびにこれらの任意の混合物から選択されたコモノマーとの共重合から得られた機能性コポリマーと、(b)エチレンと極性モノマーとの共重合から得られた少なくとも1つのエチレンコポリマーであって、前記極性コモノマーが8〜40重量%の量でコポリマー中に存在し、前記エチレンコポリマーが(a)と(b)との合わせた総量の約5〜約95重量%の量で、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーおよびエチレン/アルキル(メタ)アクリレート/一酸化炭素ターポリマーからなる群から選択されるエチレンコポリマーとを含み、100グラム/10分以上のメルトインデックスを有するホットメルト接着剤組成物。本ホットメルト接着剤を含む物品および本ホットメルト接着剤の使用方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全開示内容が参照により本明細書に援用される、2005年12月30日出願の米国仮特許出願第60/755,567号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、エチレンコポリマーを含むホットメルト接着剤組成物に関する。本発明は、カートン、ケース、トレイ、書籍、組立製品、および使い捨て品などの、かかるホットメルト接着剤を使用する製品をさらに提供する。
【背景技術】
【0003】
ホットメルト接着剤は、80℃〜220℃の温度間で液化し、そして冷却されるときに再び凝固するポリマー組成物をベースとする熱可塑性樹脂である。ホットメルト接着剤は、急速に固まり、および/または他のタイプの接着剤に流動性を与える水性または溶剤媒体を含まないために望ましい。それらは、乾燥ポリマー(5%未満液体)からなり、水または溶剤を使用せずに溶融状態で塗布される。ホットメルト接着剤は環境にやさしいと考えられ、操作工程数を減らすことによってまたは操作の自動化への転換を可能にすることによって製造便益を提供することができる。
【0004】
ホットメルト接着剤は、様々な用途向けに業界で広く使用されている。典型的な用途には、製品組立、ケース、カートンまたはトレイ形成などの包装、およびスティックのりが含まれる。ホットメルト接着剤の望ましい特性には、高温最終用途への適合性、低温可撓性、低粘度、および熱安定性が含まれる。
【0005】
ホットメルト接着剤は、それらの作業温度およびそれらの接着機能に従って類別することができる。所与の用途向けに、しばしば特性、ハンドリングおよび同様に重要なことにはコストがホットメルト接着剤を選ぶ上での要因である。現在使用されているホットメルト接着剤は一般に、低分子量ポリエチレンホモポリマー(LMPE)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリアミドおよび水分架橋性ポリウレタンをベースとする。しかしながら、ポリウレタンホットメルト接着剤は非常に高価であり、ポリアミドホットメルト接着剤は水およびスチームに弱く、そしてハンドリングのためにより高い温度を必要とする。LMPE−ベースのホットメルト調合物は、良好な高温最終用途特性を有することができるが、低温で望ましくないほど脆い。EVAは、より低いコスト、容易なハンドリング、および多くの基材への良好な接着性の、最も万能のホットメルト接着剤の1つである。しかしながら、EVAコポリマーは一般に劣った高温性能(劣った耐熱性)を有し、空気の存在下に高温に曝されたときに焦げる、剥がれるまたはゲル化する傾向がある。加えて、EVA−ベースの接着剤は、より厳しい用途向けには適切でないかもしれない。
【0006】
米国特許第6,946,528号明細書は、エチレンとアルキルアクリレート、アルキルメタアクリレート、またはそれらの混合物に由来する少なくとも5モル%のコモノマー単位との管型反応器コポリマーを含むホットメルト接着剤組成物であって、コポリマーが(a)300〜10,000g/10分のメルトインデックス、(b)少なくとも100℃の最高ピーク溶融温度、および(c)コポリマーの50%を溶融させるために必要とされる少なくとも80℃の温度を有する組成物を開示している。
【0007】
米国特許出願公開第2006/0025527号明細書は、自立フィルムとして塗布することができるか、または基材上へ共押出するもしくは押出コートすることができる、非官能性ベース樹脂とエチレン/無水マレイン酸(E/MAH)またはエチレン/マレイン酸エチル水素コポリマーなどの官能性エチレンコポリマーとを含む接着剤組成物を開示している。
【0008】
180℃未満の温度で塗布することができ、そして広いスペクトルの基材に良好な接合強度(接着性)を与える改良されたホットメルト接着剤が必要とされている。接着剤は望ましくは良好な強靱性、良好な耐熱性、熱安定性、およびハンドリングのための容易な流動粘度を含む、良好な高温および低温性能を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
(a)(a)と(b)との合わせた総量の約5〜約95重量%の量で存在する、エチレンと、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、これらの酸の対応する塩、モノエステルおよびジエステル、ならびにこれらの任意の混合物から選択されたコモノマーとの共重合から得られた機能性コポリマーと、
(b)エチレンと極性モノマーとの共重合から得られた少なくとも1つのエチレンコポリマーであって、前記極性コモノマーが8〜40重量%の量でコポリマー中に存在し、(a)と(b)との合わせた総量の約5〜約95重量%の量で、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーおよびエチレン/アルキル(メタ)アクリレート/一酸化炭素ターポリマーからなる群から選択される前記エチレンコポリマーとを含み、100グラム/10分以上、好ましくは150グラム/10分以上のメルトインデックスを有する
ホットメルト接着剤組成物を提供する。
【0010】
ホットメルト接着剤組成物は、必要に応じて粘着付与剤、ワックス、酸化防止剤および/または他の添加剤をさらに含むことができる。例えば、ある実施形態は、
(1)約50重量%〜約90重量%の
(a)(a)と(b)との合わせた総量の約5〜約95重量%の量で存在する、エチレンと、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、これらの酸の対応する塩、モノエステルおよびジエステル、ならびにこれらの任意の混合物から選択されたコモノマーとの共重合から得られた機能性コポリマーと、
(b)エチレンと極性モノマーとの共重合から得られた少なくとも1つのエチレンコポリマーであって、前記極性コモノマーが8〜40重量%の量でコポリマー中に存在し、かつ、(a)と(b)との合わせた総量の約5〜約95重量%の量で、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーおよびエチレン/アルキル(メタ)アクリレート/一酸化炭素ターポリマーからなる群から選択される前記エチレンコポリマーと
の組み合わせ、ならびに
(2)組成物の総重量を基準として、約10〜約50重量%の
(c)全組成物の重量を基準として、0〜約50重量%のワックス、
(d)全組成物の重量を基準として、0〜約50重量%の粘着付与剤、および
(e)全組成物の重量を基準として、0〜約15重量%の可塑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料、着色剤、無機充填剤、難燃剤、滑剤、強化材、加工助剤、スリップ剤、粘着防止剤、剥離剤およびそれらの混合物からなる群から選択された他の添加剤
を含む。好ましくは(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の合計は、ホットメルト接着剤組成物の約100重量%である。
【0011】
別の態様では、本発明は第2基材への第1基材の接合方法であって、(i)第1基材に上記のような溶融ホットメルト接着剤組成物を塗布する工程と、(ii)第2基材を溶融ホットメルト接着剤組成物と接触させる工程と、(iii)溶融ホットメルト接着剤組成物を放冷しそして凝固させ、それによって前記基材を一緒に接合させる工程とを含む方法である。
【0012】
さらに別の態様では、本発明は、本明細書に記載されるようなホットメルト接着剤組成物を含むかまたはそれから製造された製品に関する。物品の一実施形態は、本ホットメルト接着剤組成物から製造されるスティックのりである。別の実施形態では、物品は、少なくとも1つの表面または少なくとも1つの基材に接着した本組成物を含む。例えば、物品は、第2表面の少なくとも一部が本ホットメルト接着剤組成物によって第1表面の少なくとも一部に接着されている、第1表面および第2表面を含む。他の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるホットメルト接着剤組成物を含むかまたはそれから製造されたカートン、ケース、トレイ、製本、使い捨て品、パッケージ、バッグ、衣類、シューズ、スポーツ用品、自動車部品、書籍または不織布地などの物品を提供する。物品にはまた、パッケージが本ホットメルト接着剤組成物を含むか、または本ホットメルト接着剤組成物を使用することによって形成されるおよび/またはシールされる、包装食料品などの、包装品も含まれる。
【0013】
本発明はまた、上記のようなホットメルト接着剤組成物を塗布してケース、カートン、トレイ、バッグまたは書籍をシールするおよび/または形成する工程を含むケース、カートン、トレイ、バッグまたは書籍のシールおよび/または形成方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本明細書に記載される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、全体として参照により援用される。特に明記しない限り、本明細書に用いられる全ての技術および科学用語は、本発明が属する当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。矛盾が生じた場合には、定義を含む本明細書が優先されるであろう。
【0015】
明記した場合を除き、商標は大文字で示される。
【0016】
本明細書に記載されるものに類似のまたは等価の方法および材料が本発明の実施または試験に用いられ得るが、好適な方法および材料が本明細書に記載される。
【0017】
「コポリマー」は、2つ以上の異なるモノマーを含有するポリマーを意味する。用語「ダイポリマー」および「ターポリマー」は、それぞれ、2つおよび3つ異なるモノマーのみを含有するポリマーを意味する。語句「様々なモノマーのコポリマー」は、その単位が様々なモノマーに由来するコポリマーを意味する。
【0018】
用語「(メタ)アクリル酸」は、メタクリル酸および/またはアクリル酸に対する簡単な表記法である。同様に、用語「(メタ)アクリレート」は、メタクリレートおよび/またはアクリレートに対する簡単な表記法である。
【0019】
用語「有限量」および「有限値」は、ゼロより大きい量に関する。
【0020】
用語「約」は、量、サイズ、調合物、パラメーター、ならびに他の量および特性が正確ではなく、そして正確である必要はないが、許容範囲、換算係数、端数計算、測定誤差など、および当業者に公知の他の因子を反映して、必要に応じて、おおよそであってもおよび/またはより大きくてももしくはより小さくてもよいことを意味する。用語「約」がある値またはある範囲の端点を記載するのに用いられるとき、開示は、言及される具体的な値または端点を含むと理解されるべきである。一般に、量、サイズ、調合物、パラメーターまたは他の量もしくは特性は、そのように明示されているか否かにかかわらず「約」または「おおよそ」である。
【0021】
用語「または」は、本明細書で用いるところでは、包含的であり、より具体的には、語句「AまたはB」は、「A、B、またはAおよびBの両方」を意味する。排他的な「または」は本明細書では、例えば、「AかBかのどちらか」および「AまたはBの1つ」などの用語によって明示される。
【0022】
加えて、本明細書に記載される範囲は、特に明記しない限りそれらの端点を含む。さらに、量、濃度、または他の値もしくはパラメーターが範囲、1つ以上の好ましい範囲または好ましい上方値と好ましい下方値とのリストとして与えられるとき、これは、かかるペアが別途開示されるかどうかにかかわらず、任意の上限範囲もしくは好ましい上方値と任意の下限範囲もしくは好ましい下方値との任意のペアから形成される全ての範囲を具体的に開示するものとして理解されるべきである。範囲が0で始まるとき、範囲に言及される成分は存在しなくてもよいか、またはそれは有限量で存在してもよい(すなわち、成分は任意の成分である)。
【0023】
材料、方法、または機械が、用語「当業者に公知の」、または同義語もしくは同義語句付きで本明細書に記載されるとき、この用語は、本出願の出願時点で慣例的である材料、方法、および機械がこの記載により包含されることを示す。現在は慣例的ではないが、同様な目的のために好適であると当該技術分野で認められるようになるであろう材料、方法、および機械もまた包含される。
【0024】
最後に、本明細書に記載される全ての百分率、部、比などは、具体的な場合に特に明記しない限り重量による。
【0025】
熱可塑性組成物は、圧力下に加熱されるときに流れることができるポリマー材料である。メルトインデックス(MI)は、温度および圧力の調節された条件下に規定のキャピラリーを通り抜けたポリマーの質量流量である。本明細書に報告されるメルトインデックスは、MIの値がグラム/10分の単位で報告されて、2160g重量を用いて190℃でASTM(米国材料試験協会)1238に従って測定される。
【0026】
本発明は、エチレンと無水マレイン酸または別の極性の反応性官能基との共重合から得られたコポリマーと、エチレンと極性モノマーとの共重合から得られる少なくとも1つのエチレンコポリマーと、場合によりワックス、粘着付与剤および/または他の添加剤とを含む、少なくとも約100グラム/10分のMIを有する、接着ポリマーブレンドを含む低い適用温度、高い耐熱性のホットメルト接着剤に関する。少なくとも約150グラム/10分、より好ましくは約200〜約10,000グラム/10分のMIを有するブレンドが好ましい。本接着剤は、自動組立用途での使用に特に好適である。
【0027】
機能性エチレンコポリマー
ホットメルト接着剤組成物は、第1成分として(a)エチレンと無水マレイン酸または別の極性の反応性官能基との共重合から得られた機能性コポリマーを含む。本明細書で用いるところでは、用語「機能性コポリマー」は、極性の反応性官能基を有するコモノマー、例えば、無水マレイン酸を含有するコポリマーに対する簡単な表記法として用いられる。いかなる特定の理論によって制限されることなく、反応性官能基は、組成物の他の成分とおよび/または基材と化学相互作用して化学関連部位を形成する。例えば、それらは求核試薬と反応して共有結合を形成してもよく、またはそれらはイオン結合を形成してもよい。無水マレイン酸または他の極性の反応性官能基は、基材への組成物の接着性を高める反応機能性を提供する。他の極性の反応性官能基には、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、および無水テトラヒドロフタル酸が含まれる。それらにはまた、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、およびこれらの酸の対応する塩、モノエステルまたはジエステルが含まれる。
【0028】
酸の塩は、酸部分をリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムもしくは亜鉛、またはかかる陽イオンの組み合わせなどの、アルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属陽イオンまたは遷移金属陽イオンで中和するために酸部分を塩基性化合物で処理することによって、好ましくはエチレンとマレイン酸などの酸とのコポリマーを塩基性化合物で処理することによって製造される。注目すべき塩基性化合物には、アルカリ金属、特にナトリウムおよびカリウムのイオンのギ酸塩、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、水酸化物またはアルコキシド、ならびにアルカリ土類金属および遷移金属のイオンのギ酸塩、酢酸塩、硝酸塩、酸化物、水酸化物またはアルコキシドが含まれる。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが特に注目すべきである。
【0029】
エチレンと無水マレイン酸とのコポリマーまたはエチレンとマレイン酸モノアルキル(マレイン酸アルキル水素としても知られる)とのコポリマーが好ましい。本明細書で用いるところでは、用語「エチレン/マレイン酸モノアルキルコポリマー」および「E/MAME」は、エチレンとマレイン酸モノエステル(ここで、マレイン酸部分の1つのカルボキシル基はエステル化されており、他はカルボン酸である)とから製造されたダイポリマー、ならびにE/X/Yターポリマー(式中、Eはエチレンであり、Xは酢酸ビニル、アルキル(メタ)アクリレート、および(メタ)アクリル酸からなる群から選択されたモノマーであり、Yは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、およびn−ブチルアルコールなどのC1〜C4アルコールのマレイン酸モノエステルを含む、マレイン酸モノエステルであり、式中、Xは、ターポリマーの10重量%未満であり、好ましくは5重量%未満である)を意味する。Xとしての包含に好適なモノマーの例は、C1〜C4アルコールの(メタ)アクリル酸エステルである。メチルアクリレートおよびブチルアクリレートがXとしての包含に好適なアクリレートモノマーの特定の例である。
【0030】
例えば、E/X/Yターポリマーには、エチレン/マレイン酸モノエステル/n−ブチル(メタ)アクリレート、エチレン/マレイン酸モノエステル/メチル(メタ)アクリレート、およびエチレン/マレイン酸モノエステル/エチル(メタ)アクリレートターポリマーが含まれる。かかるコポリマーについては、マレイン酸モノエステルコモノマーに使用されるアルコール部分は、アルキル(メタ)アクリレートコモノマーに使用されるものと同じものであってもよく、またはそれは異なってもよい。エチレン/マレイン酸エチル水素ダイポリマーなどの、エチレンとマレイン酸モノアルキルとしてマレイン酸エチル水素を含むマレイン酸モノアルキルとのコポリマーが特に注目すべきである。
【0031】
エチレン/マレイン酸モノアルキルコポリマーは、高圧フリーラジカル重合法によって得ることができる。好適な高圧法は、例えば、米国特許第4,351,931号明細書に記載されている。
【0032】
極性エチレンコポリマー
本ホットメルト接着剤組成物は、第2成分として(b)エチレンと極性モノマーとの共重合から得られる少なくとも1つのエチレンコポリマー(極性エチレンコポリマー)を含む。エチレンとの共重合に好適な極性モノマーには、酢酸ビニル、アルキル(メタ)アクリレートおよび一酸化炭素(CO)コモノマーが含まれる。かかるコポリマーには、エチレン/酢酸ビニルコポリマー(EVA)およびエチレン/アルキル(メタ)アクリレート/COコポリマーを含む、エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーおよび/またはこれらの任意の混合物が含まれる。それぞれが異なる重量%で同じ極性コモノマーを有する2つ以上の極性エチレンコポリマーの組み合わせが使用されてもよい。異なる極性コモノマーの2つ以上の極性エチレンコポリマーの組み合わせもまた使用されてもよい。
【0033】
エチレン/酢酸ビニルコポリマー
本ホットメルト接着剤組成物は、少なくとも1つのエチレン/酢酸ビニルコポリマー(EVAコポリマー)を含むことができる。用語「エチレン/酢酸ビニルダイポリマー」には、エチレンと酢酸ビニルとの共重合から誘導されるコポリマーが含まれる。
【0034】
エチレン/酢酸ビニルコポリマーへ組み込まれる酢酸ビニルコモノマーの相対的な量は、原則として、全コポリマーの数重量パーセントから45重量パーセント程度もしくはさらにそれ以上まで広く変わることができる。存在する酢酸ビニルの相対的な量は、生じたエチレンコポリマーをいかにそしてどの程度までブレンド組成物における極性ポリマー成分とみなすべきかを確定するものとみなすことができる。
【0035】
エチレン/酢酸ビニルコポリマーは、多様な量の酢酸ビニル含量を有することができるが、6〜40重量%、特に12〜32重量%の酢酸ビニル単位含量を好ましくは有する。エチレン/酢酸ビニルコポリマーは場合により、不飽和カルボン酸またはその誘導体での変性を含む、当該技術分野で周知の方法(例えば、グラフト化)によって変性されてもよい。
【0036】
好適なエチレン/酢酸ビニルコポリマーには、エルバックス(ELVAX)という商品名でイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(デュポン)、デラウェア州ウィルミントン(E.I.du Pont de Nemours and Company(DuPont),Wilmington,Delaware)から入手可能なものが含まれる。他のエチレン/酢酸ビニルコポリマーは、商品名エスコレーン(ESCORENE)でエクソン・ケミカル社(Exxon Chemical Co.)から、そしてまた商品名ウルトラセーン(ULTRATHENE)でミレニアム・ペトロケミカルズ、イリノイ州ローリング・メドウ(Millennium Petrochemicals,Rolling Meadows,Illinois)から入手可能であり、そしてATコポリマーがATポリマーズ・アンド・フィルム社、ノースカロライナ州シャーロット(AT Polymers & Film Co.,Charlotte,NC)から、およびエバテイン(EVATANE)がアトフィナ・ケミカルズ、ペンシルバニア州フィラデルフィア(Atofina Chemicals,Philadelphia,PA)から入手可能である。
【0037】
2つ以上の異なるエチレン/酢酸ビニルコポリマーの混合物は、コモノマー含量についての平均値が上に示された範囲内にある限り、単一コポリマーの代わりにホットメルト接着剤組成物に使用することができる。特に有用な特性は、2つ以上の適切に選択されたエチレン/酢酸ビニルコポリマーがブレンドに使用されるときに得られるかもしれない。
【0038】
エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー
本ホットメルト接着剤組成物は、少なくとも1つのエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーを含んでもよい。用語「エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー」には、エチレンと、アルキル部分が1〜8個の炭素原子を含有するアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーが含まれる。
【0039】
エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーへ組み込まれるアルキル(メタ)アクリレートコモノマーの相対的な量は、原則として、全コポリマーの数重量パーセントから40重量パーセント程度もしくはさらにそれ以上まで広く変わることができる。同様に、アルキル基の選択は、再び原則として、簡単なメチル基からかなりの分岐を含むかまたは含まない8個の炭素原子アルキル基まで変わることができる。アルキル(メタ)アクリレートエステルコモノマー中に存在するアルキル基の相対的な量および選択は、生じたエチレンコポリマーをいかにそしてどの程度までブレンド組成物における極性ポリマー成分とみなすべきかを確定するものとみなすことができる。
【0040】
好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートコモノマー中のアルキル基は1〜4個の炭素原子を有し、アルキル(メタ)アクリレートコモノマーは、エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーの6〜40重量パーセント、好ましくは12〜32重量%の濃度範囲を有する。
【0041】
エチレン/アルキルアクリレートコポリマーが好ましい。アルキルアクリレートの例には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。「エチレン/メチルアクリレート」(EMA)は、エチレンとメチルアクリレートとのコポリマーを意味する。「エチレン/エチルアクリレート」(EEA)は、エチレンとエチルアクリレートとのコポリマーを意味する。「エチレン/ブチルアクリレート」(EBA)は、エチレンとブチルアクリレートとのコポリマーを意味する。i−ブチルアクリレートコモノマーから製造されたエチレン/ブチルアクリレートコポリマー(EiBA)およびn−ブチルアクリレートコモノマーから製造されたエチレン/ブチルアクリレート(EnBA)が注目すべきである。
【0042】
エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーは、オートクレーブか管型反応器かのどちらかを用いるポリマー技術で周知の方法によって製造することができる。共重合は、オートクレーブ中連続プロセスで行うことができ:エチレン、アルキル(メタ)アクリレート、および場合によりメタノールなどの溶媒(米国特許第5,028,674号明細書を参照されたい)が連続的に開始剤と一緒に、米国特許第2,897,183号明細書に開示されているタイプなどの撹拌オートクレーブ中へフィードされる。
【0043】
特に好ましい実施形態では、エチレンコポリマーは、論文「高圧管型法で製造される高可撓性EMA(High Flexibility EMA Made from High Pressure Tubular Process)」(年次技術会議−プラスチック技術者協会(Annual Technical Conference−Society of Plastics Engineers)、第60回(2002年)(第2巻)、1832−1836ページ)に記載されている手順に従って、管型反応器で製造されるタイプのものである。
【0044】
管型反応器エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーの製造は好ましくは、管に沿って反応体コモノマーが追加導入される高温での高圧管型反応器でであり、撹拌される高温および高圧オートクレーブ型反応器で単に製造されない。しかしながら、類比のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー材料を一連のオートクレーブ反応器で製造できることは理解されるべきであり、ここで、コモノマー取り換えは、米国特許第3,350,372号明細書、同第3,756,996号明細書、および同第5,532,066号明細書に教示されているように反応体コモノマーの多数ゾーン導入によって達成され、従ってこれらの高融点材料は本発明の目的のために等価であると考えられるべきである。
【0045】
好適なエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーには、エルバロイ(ELVALOY)ACという商品名でデュポンから入手可能なものが含まれる。
【0046】
2つ以上の異なるエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーの混合物を、コモノマー含量についての平均値が上に示された範囲内にある限り、単一コポリマーの代わりに本メルト接着剤組成物に使用することができる。特に有用な特性は、2つ以上の適切に選択されたエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーがブレンドに使用されるときに得られるかもしれない。
【0047】
エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/一酸化炭素ターポリマー
本ホットメルト接着剤組成物は、アルキル部分が1〜8個の炭素原子を含有するエチレン/アルキル(メタ)アクリレート/一酸化炭素ターポリマーを含んでもよい。
【0048】
エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/一酸化炭素ターポリマー中へ組み込まれるアルキル(メタ)アクリレートコモノマーの相対的な量は、原則として、全コポリマーの数重量パーセントから40重量パーセント程度もしくはさらにそれ以上まで広く変わることができる。同様に、アルキル基の選択は、再び原則として、簡単なメチル基からかなりの分岐を含むかまたは含まない8個の炭素原子アルキル基まで変わることができる。アルキル(メタ)アクリレートエステルコモノマー中に存在するアルキル基の相対的な量および選択は、生じたエチレンコポリマーをいかにそしてどの程度までブレンド組成物における極性ポリマー成分とみなすべきかを確定するものとみなすことができる。ターポリマーはまた、ブレンド組成物の極性にもまた貢献する、一酸化炭素を含有する。
【0049】
好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートコモノマー中のアルキル基は、1〜4個の炭素原子と有し、アルキル(メタ)アクリレートコモノマーは、エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーの6〜40重量パーセント、好ましくは12〜32重量%の濃度範囲を有する。
【0050】
エチレン/アルキルアクリレート/一酸化炭素ターポリマーが好ましい。アルキルアクリレートの例には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。エチレン/n−ブチルアクリレート/一酸化炭素(EnBACO)ターポリマーが注目すべきである。
【0051】
これらのターポリマーは、上記のそれらの方法に類似の、オートクレーブ法か管型法かのどちらかによるエチレン、アルキル(メタ)アクリレートおよび一酸化炭素の共重合によって製造することができる。好適なエチレン/アルキル(メタ)アクリレート/COコポリマーには、エルバロイHPという商品名でデュポンから入手可能なものが含まれる。
【0052】
本接着剤組成物は、(c)ワックスもしくは(d)少なくとも1つの粘着付与剤のどちらか、または(c)および(d)の両方をさらに含むことができる。
【0053】
ワックス
ワックスは場合により、ホットメルト組成物の特性を改質するために使用することができる。ワックスは接着剤の全体粘度を下げ、それによってそれが容易に液化することを可能にする。ワックスはまた、システムの開放時間、硬化速度および熱安定性を調節するかもしれない。ワックスは、存在するとき、好ましくは接着剤組成物の総重量の少なくとも約0.1重量%、少なくとも約2重量%、または少なくとも約5重量%の限られた量で含まれる。また好ましくは、ワックスは、接着剤組成物の総重量を基準として、約10重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、または50重量%以下の限られた量で存在する。
【0054】
好適なワックスには、パラフィンワックス、微結晶性ワックス、高密度低分子量ポリエチレンワックス、副産物ポリエチレンワックス、フィッシャー−トロプシュワックス、酸化フィッシャー−トロプシュワックス、ならびにヒドロキシステアルアミドワックスおよび脂肪酸アミドワックスなどの官能化ワックスが含まれる。用語「合成高融点ワックス」には、高密度低分子量ポリエチレンワックス、副産物ポリエチレンワックス、およびフィッシャー−トロプシュ・ワックスが含まれる、酢酸ビニル変性および無水マレイン酸変性ワックスなどの変性ワックスもまた使用されてもよい。
【0055】
注目に値するパラフィンワックスは、約55℃〜約85℃の管球式軟化点を有する。パラフィンワックスには、アストル・ワックス・コーポレーション、ジョージア州ドラビル(Astor Wax Corporation,Doraville,GA)から入手可能なオケリン(OKERIN)236TP、ペンゾイル・プロダクツ社、テキサス州ヒューストン(Pennzoil Products Co.,Houston,TX)から入手可能なペンレコ(PENRECO)4913、ムーア・アンド・ミュンガー、コネチカット州シェルトン(Moore & Munger,Shelton,CT)から入手可能なR−7152パラフィンワックス、およびカナダ国オンタリオ州のインターナショナル・ワックシズ社(International Waxes, Ltd in Ontario,Canada)から入手可能なパラフィンワックス1297が含まれる。例えば、シットゴ(Citgo)から入手可能なペースメーカー(PACEMAKER)、およびムーア・アンド・ミュンガーから入手可能なR−2540、ならびに約80℃未満の融点を有する低融点合成フィッシャー−トロプシュ・ワックスなどの、他の注目に値するパラフィンワックスは約55〜75℃の範囲の融点を有する。約65℃の融点のパラフィンワックスが特に注目に値する。他のパラフィンワックスには、製品称号1230、1236、1240、1245、1246、1255、1260および1262でCPホール(オハイオ州ストウ)(CP Hall(Stow,Ohio))から入手可能なワックスが含まれる。
【0056】
他の好適なワックスには、水素化植物油から製造されたワックスなどの、米国特許第6,890,982号明細書に記載されているものが含まれる。このワックスは、その脂肪酸が主としてステアリン酸であるトリグリセリドを含む。
【0057】
ワックスは、本ホットメルト組成物の50重量%以下で、例えば、粘着付与剤が存在しないとき10〜50重量%存在してもよい。少なくとも1つの粘着付与剤と組み合わせて使用されるとき、好ましくは約5〜約45重量%ワックスが存在する。好ましいワックスは、約60℃〜約68℃の融点を有し、約0.5重量%未満、好ましくは約0.2重量%未満のオイル含量を有する。
【0058】
粘着付与樹脂
場合により、粘着付与剤は、差別化基材への初期接着性を高めるために主として使用されてもよい。粘着性は、加熱された接着剤が硬化する前に物品の適切な接合を可能にするためのホットメルト接着剤組成物において有用である。粘着付与剤は、接着剤におよびまたより低い粘度のものに粘着性を与えるために加えられる。粘着付与剤は、組成物が塗布中の湿潤を改善することによってより接着性であることを可能にする。粘着付与剤の存在は、変形への抵抗性を低くし、それ故に接触時の結合形成を容易にする。
【0059】
粘着付与剤は、存在するとき、好ましくは接着剤組成物の少なくとも約0.1重量%、少なくとも約2重量%、または少なくとも約5重量%の一定量で含まれる。また好ましくは、粘着付与剤は、接着剤組成物の総重量を基準として、約10重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、または50重量%以下の限られた量で存在する。
【0060】
粘着付与剤は、米国特許第3,484,405号明細書にリストされているものなどの、当該技術分野で一般に公知の任意の好適な粘着付与剤であってもよい。かかる粘着付与剤には、様々な天然および合成樹脂ならびにロジン材料が含まれる。用いることができる樹脂は、一般に、一定の融点および結晶化する傾向を全く有さない有機化合物の混合物の形態での液体、半固体ないし固体、複雑な非晶質材料である。かかる樹脂は、水に不溶性であり、植物または動物由来のものであることができるか、または合成樹脂であることができる。樹脂は、組成物に実質的な、改善された粘着性を与えることができる。好適な粘着付与剤には、後述される樹脂が含まれるが、それらに必ずしも限定されない。
【0061】
粘着付与剤組成物として用いることができるクラスの樹脂成分は、パラ−クマロン−インデン樹脂などの、クマロン−インデン樹脂である。一般に、用いることができるクマロン−インデン樹脂は、約500〜約5,000の範囲である分子量を有する。商業的に入手可能であるこのタイプの樹脂の例には、ピッコ(PICCO)−25およびピッコ−100として上市されているそれらの材料が挙げられる。
【0062】
別のクラスの粘着付与剤樹脂は、またスチレン化テルペンを含む、テルペン樹脂である。これらのテルペン樹脂は、約600〜6,000の分子量範囲を有することができる。このタイプの典型的な商業的に入手可能な樹脂は、水素化ロジンのグリセロールエステルである、ピッコライト(PICCOLYTE)S−100として、ステイベライト・エステル(STAYBELITE Ester)#10として、およびポリテルペン樹脂である、ウィングタック(WINGTACK)95として上市されている。
【0063】
粘着付与剤として用いることができる第3クラスの樹脂は、約500〜約5,000の範囲の分子量を有するブタジエン−スチレン樹脂である。このタイプの典型的な商業製品は、ブトン(BUTON)100、約2,500の分子量を有する液体ブタジエン−スチレンコポリマー樹脂として上市されている。第4クラスの粘着付与剤樹脂は、約500〜約5,000の範囲の分子量を有するポリブタジエン樹脂である。このタイプの商業的に入手可能な製品は、ブトン150、約2,000〜約2,500の分子量を有する液体ポリブタジエン樹脂として上市されているものである。
【0064】
粘着付与剤として用いることができる第5クラスの樹脂は、石油の精製で得られる選択された留分の触媒重合によって製造される、そして約500〜約5,000の分子量範囲を有するいわゆる炭化水素樹脂である。かかる樹脂の例は、ピッコペイル(PICCOPALE)−100として、およびアモコ(AMOCO)およびベルシコール(VELSICOL)樹脂として上市されているものである。同様に、イソブチレンの重合から得られるポリブテンが粘着付与剤として含まれてもよい。
【0065】
粘着付与剤にはまた、ロジン材料、ピッコラスチック(PICCOLASTIC)A−75として上市されている材料などの低分子量スチレン硬質樹脂、不均化ペンタエリスリトールエステル、ならびにベルシコールWX−1232として上市されているタイプの芳香族および脂肪族モノマーシステムのコポリマーが含まれるかもしれない。
【0066】
粘着付与剤として有用なロジンは、「ロジン」、またはロジンを含有する供給原料として公知の任意の標準商品であってもよい。ロジンは主に、「樹脂酸」と普通に言われるピマル酸およびアビエチン酸によって代表される、C20三環式縮合環モノカルボン酸の混合物である。ロジン中に存在するC20環式カルボン酸含有異性体の任意の1つ以上が使用されてもよい。ロジンは、パイナス・パルストリス(Pinus palustris)およびマツ属(Pinus)、マツ科(Pinaceae)の他の種から得られるオレオレジンから揮発性オイルを留去した後に残る残留物である。それは、木材ロジン(幹を収穫し、幹を小さなチップへチップ化し、チップをヘキサンまたはより高沸点パラフィンで抽出し、そして木材ロジンをもたらすためにヘキサンまたはパラフィンを蒸留した後にサザンパイン幹からの)、ゴムロジン(生木、P.パルストリスおよびP.カリバエア(caribaea)での切開からの抽出物)およびトールオイル・ロジンとして入手可能である。ロジンは約90%樹脂酸および約10%中性物質を含有する。天然ロジン中に存在する酸は、例えば、中性物質の鹸化、抽出および再酸性化によって精製されてもよい。樹脂酸のうち約90%はアビエチン酸(C20302)の異性体であり、他の10%はジヒドロアビエチン酸(C20322)とデヒドロアビエチン酸(C20282)との混合物である(メルク・インデックス(Merck Index)、第10版、米国ニュージャージー州ローウェー(Rahway,NJ,USA)、1983年、1191ページ、エントリー8134を参照されたい)。液体ロジンとしても知られる、トールオイルは木材パルプ工業の副産物であり、通常、松材からサルフェートまたはクラフト(Kraft)紙法の「黒液」として回収される。クラフト法によれば、松材はアルカリおよびスルフィドで蒸解されて、副産物としてトールオイル石鹸および粗サルフェートターペンチンを生成する。この石鹸の酸性化、引き続く粗トールオイルの分別は、トールオイル・ロジンおよび脂肪酸をもたらす。トールオイルは典型的には、ロジン酸(34〜40%)、オレイン酸およびリノール酸などの脂肪酸(50〜60%)および中性物質(5〜10%)を含有する(メルク・インデックス、第10版、1299ページ、エントリー8917を参照されたい)。好ましくは、ロジンは少なくとも90重量%樹脂酸、および10重量%未満の脂肪酸を含有する。分別プロセスの間に形成するかもしれない、幾つかのロジン二量化生成物もまた、トールオイル・ロジン中に存在するかもしれない。ロジンは、幾つかのグレード(例えば、レジナール・コーポレーション(Resinall Corporation)から商品名レジナール(RESINALL)で、およびハーキュレス(Hercules)、アアラカワ(Aarakawa)などによって供給される他の製品)で商業的に入手可能である。標準グレードのロジンは、ユニトール(UNITOL)という商品名でユニオン・キャンプ・コーポレーション(ニュージャージー州ウェイン)(Union Camp Corporation(Wayne,N.J.))から商業的に入手可能である。本発明を実施するために使用することができる商業的に入手可能なロジンにはまた、アリゾナ・ケミカル(Arizona Chemical)から入手可能なシルバレス(SYLVARES)RE115およびアメリカン・ケミカル(Arizona Chemical)から入手可能なシルバレスRE104もまた含まれる。
【0067】
本明細書で用いるところでは、用語「ロジン」には、天然ロジン、液体ロジン、変性ロジンおよび精製ロジン酸、ならびに金属イオンで部分的にないし完全に中和された塩、例えばレジネートなどを含む、ロジン酸の誘導体が集合的に含まれる。ロジンは、ゴム、木材またはトールオイル・ロジンであってもよいが、好ましくはトールオイル・ロジンである。
【0068】
ロジン材料は、二量化ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、またはロジンのエステルなどの変性ロジンであってもよい。変性ロジン、ロジン(それの誘導体を含む)を製造するために当該技術分野で認められた本質的に任意の反応条件が、変性ロジンを製造するために用いられてもよい。ロジンは、例えば、カルボン酸部分の一部もしくは全てのエステル化によって、または鹸化によるカルボン酸塩の形成によって変性することができる。エステルは、ロジンを、2〜6個のアルコール基を含有する多価アルコールでエステル化することによって製造することができる。
【0069】
フェノール系変性ロジンエステルは典型的には、ロジンとフェノール系化合物との反応によって製造される。このフェノール系ロジンは次に、多価アルコールでエステル化されてフェノール系変性ロジンエステルを与える。典型的には、反応体の組み合わせは、100〜300℃の範囲の高温に曝される。これらの高温で、反応体は、他の反応体との共有結合形成反応を受け、その結果樹脂状材料が形成される。ロジンの反応生成物およびそれらの製造方法は当該技術分野で公知である(例えば、米国特許第2,007,983号明細書を参照されたい)。
【0070】
芳香族粘着付与剤には、スチレン、アルファ−メチルスチレン、および/またはビニルトルエンから誘導された熱可塑性炭化水素樹脂、ならびにそれらのポリマー、コポリマーおよびターポリマー、テルペン、テルペンフェノール系、変性テルペン、およびそれらの組み合わせが含まれる。クリスタレックス(KRYSTALEX)3100は、ハーキュレス社から商業的に入手可能な、97〜103℃の管球式軟化点の主としてアルファメチルスチレンから誘導される低分子量の熱可塑性炭化水素ポリマーである。
【0071】
用いることができる、粘着付与剤のより包括的なリスティングは、商業的に入手可能である200をはるかに上回る粘着付与剤樹脂をリストしている、TAPPI CA報告#55、1975年2月、13〜20ページ、パルプ製紙業界技術協会、ジョージア州アトランタ(Technical Association of the Pulp and Paper Industry,Atlanta,GA)の刊行物に提供されている。
【0072】
好ましい粘着付与剤は一般に、約85℃〜約130℃、より典型的には約100℃〜約125℃の範囲の平均軟化点を有し、約1000より大きい重量平均分子量を有し、約20未満の酸価を有し、約10,000cpより大きい125℃での粘度を有するであろう。
【0073】
テトラヒドロフランなどの好適な溶剤に材料を溶解させ、当該溶液のサンプルを、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて分析することによって粘着付与剤の分子量および軟化点を測定することができる。グラム/モル単位の分子量平均、Mwは、既知分子量のポリスチレン標準(多くのクロマトグラフィー卸売業者、例えば、スペルコ社(Supelco,Inc.)またはウォ−ターズ・アソウシエイツ(Waters Associates)から商業的に入手可能な)の保持時間および溶出プロフィールと比較することによって測定される。軟化点は、メトラーFP90セントラル・プロセッサー(Mettler FP90 Central Processor)および軟化点環付きメトラーFP83HT滴点(Dropping Point)セルを用いて測定されてもよい。
【0074】
粘着付与剤は、ワックスが存在しないとき、ホットメルト組成物の50重量%以下、例えば、10〜50重量%で存在してもよい。ワックスと組み合わせて使用されるとき、約5〜約45重量%の粘着付与剤が存在する。2つ以上の粘着付与樹脂の混合物が幾つかの調合物に必要とされるかもしれない。
【0075】
他の添加剤
接着剤組成物は、ポリマー技術で普通に使用され、よく知られている少量の任意の物質をさらに含むことができる。かかる任意の添加剤(上記の成分(e))には、可塑剤、粘度安定剤および加水分解安定剤を含む安定剤、一次および二次酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料もしくは他の着色剤、無機充填剤、難燃剤、滑剤、ガラス繊維およびフレークなどの強化材、加工助剤、スリップ剤、シリカもしくはタルクなどの粘着防止剤、剥離剤および/またはそれらの混合物が含まれる。これらの添加剤はカーク−オスマー化学技術百科事典(Kirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)に記載されている。
【0076】
これらの添加剤は、存在するとき、接着剤組成物の総重量の少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約2重量%、または少なくとも約5重量%、接着剤組成物の総重量の約15%以下の限られた量で組成物中に存在してもよい。添加剤は、それらが本組成物の基本的な、新規な特性を損なわず、かつ、組成物の接着性などの品質に有意に悪影響を及ぼさない限り、一般に0.01〜15重量%、好ましくは0.01〜10重量%である量で存在してもよい。多くのかかる添加剤は0.01〜5重量%で存在してもよい。
【0077】
オイルなどの液体可塑剤、および商品名ベンゾフレックス(BENZOFLEX)でイリノイ州ローズモントのベルシコール・ケミカル社(Velsicol Chemical Corp.in Rosemont,IL)から入手可能な安息香酸エステルなどの固体可塑剤は、より長い開放時間、より低い粘度、改善された接着性および改善された低温可撓性を得るために使用することができる。有用であるかもしれない可塑化オイルには、植物油および動物油ならびにそれらの誘導体だけでなく、オレフィンオリゴマーおよび低分子量ポリマーが含まれる。好適な石油由来オイルは、好ましくはオイルの30重量%未満、より好ましくは15重量%未満の少量の芳香族炭化水素のみを含有する比較的高沸点の材料である。あるいはまた、オイルは本質的に芳香族化合物を含まなくてもよい。
【0078】
安定剤または酸化防止剤は、接着剤が熱、光、または粘着付与樹脂などの材料からの残存触媒のようなものによって誘発される酸素との反応によって引き起こされる分解から保護するために添加される。
【0079】
本明細書に含まれる適用可能な安定剤または酸化防止剤の中には、硫黄およびリン含有フェノールなどの高分子量ヒンダードフェノールおよび多官能性フェノールがある。ヒンダードフェノールは、フェノール性ヒドロキシル基に近接して立体的に嵩高い基を含有するフェノール系化合物として特徴づけられる。代表的なヒンダードフェノールには、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン、ペンタエリスリチルテトラキス−3(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオナート、n−オクタデシル−3(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオナート、4,4’−メチレンビス(2,6−第三ブチル−フェノール)、4,4’−チオビス(8−第三ブチル−o−クレゾール)、2,6−ジ−第三ブチルフェノール、6−(4−ヒドロキシフェノキシ)−2,4−ビス(n−オクチル−チオ)−1,3,5−トリアジン、ジ−n−オクチルチオ)エチル 3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、およびソルビトールヘキサ[3−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオナート]が含まれる。
【0080】
これらの酸化防止剤の性能は、例えば、チオジプロピオナートエステルおよびホスファイトなどの公知の相乗剤を使用することによって高められるかもしれない。ジステアリルチオジプロピオナートが特に有用である。
【0081】
かかる酸化防止剤は、チバ−ガイギー、ニューヨーク州ホーソーン(Ciba−Geigy,Hawthorne,NY)から商業的に入手可能であり、ヒンダードフェノール・イルガノックス(IRGANOX)565、1010、1076を含む。これらは、ラジカル捕捉剤として働く一次酸化防止剤であり、単独でまたはチバ−ガイギーから入手可能なイルガフォス(IRGAFOS)168のようなホスファイト酸化防止剤などの他の酸化防止剤と組み合わせて使用されてもよい。ホスファイト触媒は二次触媒と考えられ、一般に単独では使用されない。これらは主としてペルオキシド分解剤として使用される。他の入手可能な触媒は、コネチカット州スタンフォードのサイテック・インダストリーズ(Cytec Industries in Stamford,CT)から入手可能なサイアノックス(CYANOX)LTDPおよびルイジアナ州バトンルージュのアルベマーレ社(Albemarle Corp.in Baton Rouge,LA)から入手可能なエタノックス(ETHANOX)1330である。多くのかかる酸化防止剤は、単独でまたは他のかかる酸化防止剤と組み合わせてのどちらかで使用されるために入手可能である。これらの安定剤は、使用される場合、約0.1〜1.5重量%、好ましくは0.25〜1.0重量%などの、約2重量%以下の量で一般に存在する。
【0082】
本組成物は場合により、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アミン含有樹脂、金属アルコキシドおよび有機酸の金属塩からなる群から選択された架橋剤をさらに含む。硬化剤としても知られる架橋剤は、個々のポリマー鎖間に可逆的なまたは不可逆的な結合を形成することによって、より強いそしてより弾性の接着剤組成物を提供することができる。熱および/または圧力は、接着剤組成物を、それが塗布された後に硬化させることができる。架橋剤は場合によっては望ましいかもしれないが、架橋は他の場合には必要ではない。従って、架橋剤を含まない組成物が注目すべきである。
【0083】
酸硬化サイトを含有するE/MAMEコポリマーで使用することができる架橋剤または硬化剤には、ヘキサメチレンジアミンカーバメート(HMDAC)、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、トリエチレンテトラミン、テトラメチレン−ペンタミン、ヘキサメチレンジアミン−桂皮アルデヒド付加体、およびヘキサメチレンジアミンジ安息香酸塩などの、ジ−およびマルチ−官能性アミン含有樹脂が含まれる。芳香族アミンもまた硬化剤として使用することができる。2つ以上の硬化剤の組み合わせもまた使用されてもよい。硬化剤は、ニートでまたは不活性キャリア中で添加されてもよい。水性HMDAを使用する硬化方法は米国特許第7,001,957号明細書に記載されている。
【0084】
本組成物へのかかる任意の添加剤の組み込みは、任意の公知の方法によって実施することができる。この組み込みは、例えば、乾式ブレンディングによって、様々な成分の混合物を押し出すことによって、マスターバッチ技法によって実施することができる。本接着剤組成物は、従来の咬合装置、例えば、ゴムミル、ブラベンダーミキサー(Brabender Mixer)、バンバリーミキサー(Banbury Mixer)、バス−コ混練機(Buss−Ko Kneader)、ファレル(Farrel)連続ミキサーまたは二軸スクリュー連続ミキサーを用いて、ポリマー原料、任意のワックス、粘着付与剤、および他の添加剤を、均一なブレンドが得られるまで約130℃〜約210℃の温度で、溶融体でブレンドすることによって調製される。混合温度は、約150℃〜約160℃が好適な範囲で、特定の接着剤調合物に依存する。他の実施形態は、次の範囲:130〜160℃、130〜200℃、150〜160℃、および150〜200℃から選択される混合温度を用いる。ブレンディングの様々な方法は当該技術分野で公知であり、均一なブレンドを生成するいかなる方法も満足できる。
【0085】
一実施形態では、(a)エチレンと無水マレイン酸または他の極性の反応性コモノマーとのコポリマーと(b)エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーまたはエチレン/アルキル(メタ)アクリレート/一酸化炭素ターポリマーなどのエチレンと極性モノマーとのコポリマーとの組み合わせは、追加成分を組み込む必要なく、それら自体でホットメルト接着剤としての使用に好適である。組成物は(a)と(b)との組み合わせのみを含むかもしれないが、これらの「ニート」接着剤について、用語「接着剤組成物」が依然として用いられることは理解されるべきである。別の実施形態では、本接着剤組成物は、粘着付与剤を必要としない(例えば、(a)と(b)との組み合わせそれ自体か、もしくはワックスなどの他の非−粘着付与剤添加剤と調合された)か、または20重量%未満の粘着付与剤入り接着剤組成物などの、比較的少量の粘着付与剤のみを使用する。
【0086】
本ホットメルト接着剤は、ケース、カートン、トレイなどの形成および/またはシールなどの包装用途;製本、使い捨て品、および製品組立などの、ただしそれらに限定されない様々な用途に好適である。
【0087】
本ホットメルト接着剤は、少なくとも1つの基材に容易に塗布される。例えば、ホットメルト接着剤はシーティング製品(例えば、装飾、反射、およびグラフィカル)、ラベルストック、ならびにテープ裏地に適用することができる。基材は、所望の用途に依存して任意の好適なタイプの材料であることができる。少なくとも1つの基材は、織布もしくは不編布、金属、ポリマー、ガラスならびに木材および木材製品、紙、および板紙などのセルロース系材料からなる群から選択されてもよい。
【0088】
接着剤を付着させることができる基材には、未使用紙およびリサイクル紙、高および低密度クラフト紙、チップボードおよび様々なタイプの処理およびコート紙およびチップボード、不織布地、シリコーン処理ライナーなどの剥離ライナー、箔、ポリエチレン、MYLAR、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)などのポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニルおよび様々な他のポリマーなどのポリマー材料が含まれる。複合材料もまた、アルコール飲料のパッケージング用などの包装用途向けに使用される。これらの複合材料には、フィルム材料にさらに積層されるアルミ箔に積層されたチップボードが含まれるかもしれない。さらに、これらのフィルム材料はまた、チップボードまたは紙に直接接合されてもよい。多くの様々な基材、特に複合材料は包装業界で有用性を見いだすので、前述の基材は決して包括的なリストを表すものではない。
【0089】
多数の部品でできた物品は、本ホットメルト接着剤を使用して組み立てることができる。例えば、溶融接着剤が第1部品または第1表面に塗布され、そして依然として溶融したまま同時にまたは順次に第2部品または第2表面と接触させられ、放冷され、それによって部品または表面を貼り合わせる。他の場合には、第1操作で、ホットメルト接着剤は基材(第1表面)に塗布し、そして放冷させることができ、接着剤組成物と基材とを含む物品を提供する。第2操作で、接着剤組成物と基材とを含む物品は加熱されて接着剤を軟化させ、加熱された接着剤は第2表面と接触させられ、放冷され、それによって部品を貼り合わせる。部品または表面は、上記の基材を含むかまたはそれから製造することができる。第1表面および第2表面は、同じまたは異なる基材から製造されてもよい。
【0090】
本接着剤組成物は、望ましい耐熱性、耐水性および耐洗剤性、可撓性、弾性、ならびに織布または不織布などの布および布地への接着性を示し、それらを、運動競技アパレルまたは装飾衣類などの衣類を製造するのに好適なものにする。例えば、本接着剤組成物を布などの基材へ塗布すると、別の基材に熱接着させることができる接着剤/布複合材料を形成することができる。衣類用途には、接着性芯材、縫合シームテーピングまたは耐水性コーティングが含まれる。同様に、本組成物は、例えば、運動競技シューズ用途向けの装飾アップリケを製造するおよび接着させるために使用することができる。
【0091】
本ホットメルト接着剤は、ケース、カートン、およびトレイ形成などの包装用途で、ならびにヒートシーリング用途を含むシール接着剤として、例えば穀物、クラッカーおよびビール製品の包装で特別な使用を見いだす。波形カートン、特に冷蔵もしくは冷凍食品の輸送用に、または氷中でパックされた食品の輸送用に使用されるものの製造のために、ホットメルト接着剤が、ハンドリングにおけるストレスおよびショック、高い湿度および環境温度の変動などの、厳しい条件下で強い接合を維持するそれらの能力のために一般に選択される。
【0092】
本接着剤組成物を含む容器、例えば、カートン、ケース、ボックス、バッグ、トレイ、パッケージなどは本発明に包含される。容器は本組成物を使用して形成されてもよい。かかるパッケージの形成は、本接着剤組成物の介在層ありで包装材料の表面を包装材料の別の表面上に折り重ねることおよび/またはオーバーレイすることの組み合わせを一般に含む。溶融した本接着剤組成物が表面と接触した後、それは冷却され、表面を貼り合わせる。代わりにまたはさらに、本ホットメルト接着剤組成物は、それがヒートシールされて製品(すなわち、包装製品)を同封できるようにパッケージに塗布することができる。従って、本発明は、パッケージ、カートン、ケース、トレイまたはバック内に含有される包装食品などの、包装製品であって、パッケージ、カートン、ケース、トレイまたはバックが本明細書に記載されるホットメルト接着剤を含む包装製品を提供する。
【0093】
包装用のホットメルト接着剤は一般に、ピストンポンプまたはギアポンプ押出装置を用いてビーズ形態で基材上へ押し出される。ホットメルト塗布装置は、ノードソン(Nordson)、ITWおよびスラウターバック(Slautterback)を含む幾つかの供給業者から入手可能である。ホイール塗布機もまた普通にホットメルト接着剤を塗布するために用いられるが、押出装置ほど頻繁には用いられない。塗布の特定の方法は、接着剤が塗布される物品、および接着剤または物品が機能する必要がある条件などの、当該技術分野でよく理解されている様々な要因に依存するであろう。任意のかかる従来技法によるホットメルト接着剤の塗布は十分に当業者の理解の範囲内である。
【0094】
本ホットメルト接着剤はまた、製本、紙バッグの端のシール、家具製造、ならびにプラスチック容器への紙ラベルの貼付けを含む、織布または不織布、ガラス、金属および様々なプラスチックなどの他の物品の接着などの、多様な分野でも使用される。ホットメルト接着剤の追加用途には、カーペットシーム・シーリングテープ、積層、物品組立、不織布構成、ならびに注封およびカプセル化配合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0095】
スポーツ用品、シューズおよび自動車部品などの物品は、この方法で組み立てられてもよい。本接着剤は、遮光板、ヘッドライナー構造物、ドアパネル、シートカバー、および堅いコアまたは他の基材に接合された布を含むカーペットマットなどの、自動車内装用部品の製造に特に有用である。
【0096】
上記の用途に加えて、本接着剤組成物は他のプロセス用途向けにも好適である。
【0097】
さらなる実施形態には、基材および本ホットメルト接着剤組成物を含むテープ(例えば、片面および両面テープ)が含まれる。テープを形成するために、本ホットメルト接着剤は、好適な裏地の少なくとも一部上へコートされる。低接着性バックサイズなどの剥離材を、必要ならば、裏地の反対側に付けることができる。両面テープが形成されるとき、本ホットメルト接着剤は、裏地の両面の少なくとも一部上へコートされる。
【0098】
別の実施形態では、本ホットメルト接着剤は、かかるホットメルト接着剤の改善された耐熱性が有利であるスティックのり調合物に使用することができる。このように、本実施形態は、上記のようなホットメルト接着剤組成物を含むスティックのりを提供する。スティックのり、またはそれの一部は、本接着剤組成物を1つ以上の基材に塗布するために本組成物の軟化点または融点より上に加熱することができる。
【0099】
別の実施形態では、本接着剤組成物はスプレー可能である。
【0100】
本発明は、それの好ましい実施形態に関して特に示され、記載されてきたが、形態および詳細における様々な変更が本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく行われ得ることは当業者によって理解されるであろう。
【0101】
以下の実施例はあくまで例示であり、本明細書に記載されるおよび/または特許請求される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0102】
使用される材料
ナイロン6は、商品名ウルトラアミド(ULTRAMID)B3でバスフ(BASF)から入手可能である。
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、商品名クリスター(CRYSTAR)3924でデュポン(DuPont)から入手可能である。
EVA−1は、400のMIのエチレン/酢酸ビニルコポリマー(28重量%VA)である。
EVA−2は、500のMIのエチレン/酢酸ビニルコポリマー(18重量%VA)である。
F−1は、205のMIおよび104℃の融点のエチレン/無水マレイン酸コポリマー(E/MAH85/15重量%)である。
F−2は、30のMIおよび108℃の融点のエチレン/マレイン酸エチルモノエステルコポリマー(E/MAME90.5/9.5重量%)である。
【0103】
用いられる試験
組成物のメルトインデックス(MI)は、2.16kg重量を使用してASTM D1238を用いて測定し、そして190℃で測定した。
【0104】
熱応力は、規定寸法の波形板紙の2片間に接着剤の複合構成を形成することによって測定することができる。この複合材料を形成する接着剤ビーズを次に、高温で24時間おおよそ2ポンドのカンチレバー応力下に置く。この構成が少なくとも24時間元の状態のままである最高温度を次に書き留める。
【0105】
アルミ箔への接着強度は、次の手順に従って測定した。表1の組成物を、10ミル(0.25mm)厚さのフィルムへプレス成形した。3層複合材料を、順に(Al箔/成形フィルム/Al箔)積み重ねることによって組み立てた。Al箔は厚さが5ミル(0.125mm)であった。積み重ね層を、135℃にセットした積層プレスにて44psi圧力で30秒間プレスして積層複合構造物を形成した。構造物を室温に冷却した後、1インチ幅ストリップを3層複合材料からカットした。剥離強度ストリップを、インストロン(INSTRON)で接着特性について試験した(90度剥離試験、50mm/分の速度で)。
【0106】
ナイロン6およびPETへの接着強度は、次の手順に従って測定した。10ミル厚さのナイロン6またはPETフィルムを250℃でプレス成形することによって製造した。ナイロン6フィルムまたはPETと表1の成形フィルムとの2層複合材料を、一緒に積み重ねることによって組み立てた。組み重ね層を次に、120℃か150℃かのどちらかにセットした積層プレスにて44psi圧力で30秒間プレスして積層複合構造物を形成した。用いられる積層温度で、ナイロン6およびPETの両方とも溶融せず、その結果ナイロン6およびPETへの組成物の固有接着力を評価することができる。構造物を室温に冷却した後、2層ラミネートを、手により引き剥がしてシール強度を評価し、次の通り格付けした:
4.シールの破壊なしに2つのフィルムを分離することができないときシールは「優れて」いる。
3.2つのフィルムを努力すれば分離することができるときシールは「良好で」ある。
2.2つのフィルムを容易に分離することができるときシールは「不満足で」ある。
1.2つのフィルムはヒートシール処理下にシールしなかった。
【0107】
表1の実施例に使用する組成物は、140℃〜170℃の溶融温度を用いて、混合スクリュー付き30mm直径ワーナー・アンド・フライデラー(Werner & Pfleiderer)二軸スクリュー押出機を用いて溶融ブレンドすることによって調製した。実施例1〜3および比較例1〜2で得られた特性を表1に与える。比較例1および2は典型的なEVAベースのホットメルト接着剤樹脂である。
【0108】
表1に示すように、規定のプレス成形条件で比較例1および2はAl箔への非常に低い接着性を示す。PETへの接着性は、比較例1および2の両方について良好であるが、両方ともナイロン6へのいかなる接着性も与えない。Al箔および比較接着剤は容易に引き剥がれた。
【0109】
表1のデータは、実施例1、2および3の組成物がAl箔への接着性を向上させ、そして150℃でプレス成形されたときにPETおよびナイロン6への分離できない接着性を達成したことを実証する。実施例1、2および3はまた、高いメルトフローインデックスも保持する。実施例1、2および3の成分の溶融温度はより高いので、耐熱性は良くなると期待される。
【0110】
表1

【0111】
比較EVAホットメルトと比較して、新規組成物は金属、布、木材および他のポリマーへのはるかに向上した接着性を示す。本組成物はさらに硬化させることができ、より高い使用温度を有する。本組成物は、溶融粘度および性能を調整するために万能である。
【0112】
ある程度具体的に本発明をこのように説明し、例示してきたが、特許請求の範囲がそのように限定されるべきではなく、特許請求の範囲およびそれらの等価物の各要素の文言に見合う範囲が与えられるべきであることは認識されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(a)と(b)との合わせた総量の約5〜約95重量%の量で存在する、エチレンと、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、これらの酸の対応する塩、モノエステルおよびジエステル、ならびにこれらの任意の混合物から選択されたコモノマーとの共重合から得られた機能性コポリマーと、
(b)エチレンと極性モノマーとの共重合から得られた少なくとも1つのエチレンコポリマーであって、前記極性コモノマーが8〜40重量%の量で前記コポリマー中に存在し、(a)と(b)との合わせた総量の約5〜約95重量%の量で、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーおよびエチレン/アルキル(メタ)アクリレート/一酸化炭素ターポリマーからなる群から選択されるエチレンコポリマーとを含み、100グラム/10分以上、好ましくは150グラム/10分以上のメルトインデックスを有するホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
(1)約50重量%〜約90重量%の
(a)(a)と(b)との合わせた総量の約5〜約95重量%の量で存在する、エチレンと、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、これらの酸の対応する塩、モノエステルおよびジエステル、ならびにこれらの任意の混合物から選択されたコモノマーとの共重合から得られた機能性コポリマーと、
(b)エチレンと極性モノマーとの共重合から得られた少なくとも1つのエチレンコポリマーであって、前記極性コモノマーが8〜40重量%の量で前記コポリマー中に存在し、かつ、(a)と(b)との合わせた総量の約5〜約95重量%の量で、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーおよびエチレン/アルキル(メタ)アクリレート/一酸化炭素ターポリマーからなる群から選択されるエチレンコポリマーと
の組み合わせ、ならびに
(2)前記組成物の総重量を基準として、約10〜約50重量%の
(c)前記全組成物の重量を基準として、0〜約50重量%のワックス、
(d)前記全組成物の重量を基準として、0〜約50重量%の粘着付与剤、および
(e)前記全組成物の重量を基準として、0〜約15重量%の可塑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料、着色剤、無機充填剤、難燃剤、滑剤、強化材、加工助剤、スリップ剤、粘着防止剤、剥離剤およびそれらの混合物からなる群から選択された他の添加剤
を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の合計が組成物の100重量%である請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
(a)の前記機能性コポリマーがエチレンと無水マレイン酸とのコポリマーである請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(a)の前記機能性コポリマーが、マレイン酸モノアルキルとしてのマレイン酸エチル水素とのコポリマーを含むマレイン酸モノアルキルである請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アミン含有樹脂、金属アルコキシドおよび有機酸の金属塩からなる群から好ましくは選択された、架橋剤をさらに含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
架橋剤を含まない請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
スティックのり、カートン、ケース、トレイ、製本、使い捨て品、パッケージ、バッグ、衣類、シューズ、スポーツ用品、自動車部品、書籍または不織布地を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物を含むかまたはそれから製造された製品。
【請求項9】
前記組成物が少なくとも1つの基材に接着され、前記少なくとも1つの基材が織布または不織布、金属、ポリマー、ガラスまたは木材および木材製品、紙、および板紙などのセルロース製品からなる群から選択される請求項8に記載の物品。
【請求項10】
第1表面および第2表面を含み、第2表面の少なくとも一部がホットメルト接着剤組成物によって第1表面の少なくとも一部に接着される請求項8または9に記載の物品。
【請求項11】
パッケージがホットメルト接着剤組成物を含むか、またはホットメルト接着剤組成物を使用することによって形成されるかもしくはシールされる、包装食品を含む、包装物品をさらに含む請求項8〜10のいずれか一項に記載の物品。
【請求項12】
第2基材への第1基材の接合方法であって、(i)第1基材に請求項1〜7のいずれか一項に記載の溶融ホットメルト接着剤組成物を塗布する工程と、(ii)第2基材を前記溶融ホットメルト接着剤組成物と接触させる工程と、(iii)前記溶融ホットメルト接着剤組成物を放冷しそして凝固させ、それによって前記基材を一緒に接合させる工程とを含む方法。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物を塗布してケース、カートン、トレイ、バッグまたは書籍をシールするおよび/または形成する工程を含むケース、カートン、トレイ、バッグまたは書籍のシールまたは形成方法。

【公表番号】特表2009−522413(P2009−522413A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548686(P2008−548686)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/049313
【国際公開番号】WO2007/079092
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】