説明

ホッパー型コイン払出し装置

【課題】直径の異なるコインでも、その払出し部材の交換や位置調整を要することなく、そのままの使用状態において支障なく払い出せるようにする。
【解決手段】穴明きディスクローター(D)を包囲するコイン収容ホッパー(H)の一部に、そのローターの回転によるコイン搬送路(G)からのコイン導出口(17)を切り欠いて、その上流側に臨むコイン払出しローラー(35)と下流側に臨むセパレートローラー(36)との向かい合う開口幅(W2)を、最小コイン(Cs)の直径よりも狭小に保つ一方、コイン導出口(17)の上流側開口エッジとセパレートローラーとの向かい合う開口幅(W3)を、最大コイン(Cl)の直径よりも広大に保つと共に、そのコイン導出口の上流側開口エッジをローターの正回転時にコインが円滑に払い出され、且つローターの逆回転時にコインがコイン搬送路へ掻き入れ復帰されるコイン誘導壁面(58)として造形した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスロットマシン(パチスロ機)を初め、ビデオゲームやその他の各種遊技機、両替機、メダル貸し機、釣銭機、商品の自動販売機などに内蔵設置して、必要な枚数のコイン(メダルやトークンなどの擬似コインも含む)を払い出すために使うホッパー型コイン払出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のホッパー型コイン払出し装置では、取り扱うコインの直径に応じて、これを払い出す必要部材とその取り付け位置関係が一定に決まっているため、コインの直径が変化した場合、もはやそのままの状態では正規に使用することができない。
【0003】
そこで、特開平11−339086号公報に記載の発明では、ディスク(5)の下面へ取り付けた歯車型の調整板(21)を回動操作することにより、そのディスク(5)に開口分布するコイン落し用貫通孔(13)と、調整板(21)の歯部(23)とから区画される調整孔(27)を、コインの直径に応じて大小調整するようになっている。
【0004】
又、特開2002−150347号公報に記載の発明では、三角形のガイド片(57)をコインの直径変化に応じて、その枢軸の廻りに取付位置を調整するようになっている。
【0005】
特開2003−123112号公報に記載の発明では、ストッパー部材(24)と付勢部材(26)とが取付部材(27)に組み付けユニット化された調整ユニット(28)をベース板(12)へ、その取付用長孔(54)に沿うスライド自在に取り付けることにより、コインの直径変化に応じて調整するようになっている。
【0006】
更に、特開2003−132389号公報に記載の発明では、コインの直径変化に応じた形状として予じめ作成準備された3種の案内部材(33L)(33M)(33S)を、別個に用意された調整ユニット(36)との組として、ベース板(12)へ着脱・交換自在に取り付けることにより、そのコインの直径変化に応じて調整するようになっている。
【特許文献1】特開平11−339086号公報
【特許文献2】特開2002−150347号公報
【特許文献3】特開2003−123112号公報
【特許文献4】特開2003−132389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記公知発明の構成では何れも、コインの直径が変化する毎に、人為的な調整操作を要し、未だ甚だ煩らわしく、汎用性に劣る問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はこのような問題の抜本的な解決を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では据付け台の表面をなす固定ベースプレートと、
【0009】
全体的な放射対称分布型に開口する複数のコイン受け入れ穴を備えたディスクローター本体の裏面から、そのコイン受け入れ穴の隣り合う相互間に介在する後方弯曲翼が突設されたコイン搬送用穴明きディスクローターと、
【0010】
上記ベースプレートの裏面に取り付けられた穴明きディスクローター回転駆動用の可逆モーターと、
【0011】
同じくベースプレートの表面へ着脱自在に取り付けられて、上記穴明きディスクローターの周縁部を包囲するコイン収容ホッパーと、
【0012】
そのコイン収容ホッパーにおける上記穴明きディスクローターの回転によるコイン搬送路へ臨む一部に、一定な開口幅として切り欠かれたコイン導出口と、
【0013】
上記ベースプレートの表面へ取り付け固定されたコインカウントセンサー受け台により、上記コイン収容ホッパーのコイン導出口と直通するトンネル型に造形されたコイン払出し通路と、
【0014】
そのコイン導出口とコイン払出し通路との向かい合う相互間において、上記穴明きディスクローターが正回転する進行方向の下流側へ臨むように設置されたセパレートローラーと、
【0015】
同じくコイン導出口とコイン払出し通路との向かい合う相互間において、上記穴明きディスクローターが正回転する進行方向の上流側へ臨むように設置され、且つ上記セパレートローラーとの向かい合う開口幅を最小コインの直径よりも狭く保つように弾圧付勢されたコイン払出しローラーと、
【0016】
上記ベースプレートの表面から穴明きディスクローターの回転によるコイン搬送路へ突出して、そのコインを上記コイン導出口からコイン払出し通路に向かって誘導するコイン払出し誘導体とを備え、
【0017】
上記コイン収容ホッパーからディスクローター本体のコイン受け入れ穴へ受け入れたコインを、一方向へ正回転される穴明きディスクローターの後方弯曲翼により押し進め搬送して、上記コイン導出口からコイン払出し通路へ払い出すホッパー型コイン払出し装置において、
【0018】
上記正回転する穴明きディスクローターの後方弯曲翼により一方向へ押し進められる最小コインが、今その後方弯曲翼の前側凸曲面と払出しローラー並びにコイン導出口の上流側開口エッジと各々第1〜3接点で接触したと仮定した場合に、その第1、2接点を結ぶ仮想直線が最小コインの中心よりも一定距離だけ外方へ偏倚することとなり、
【0019】
逆回転する穴明きディスクローターの後方弯曲翼により他方向へ押し進められる最小コインが、今その後方弯曲翼の後側凹曲面と払出しローラー並びにコイン導出口の上流側開口エッジと各々第1〜3接点で接触したと仮定した場合に、その第1接点の回転サークル軌跡が最小コインの中心よりも一定距離だけ外方へ偏倚することとなり、
【0020】
しかも、コイン導出口の上流側開口エッジをなす第3接点と、下流側に位置する上記セパレートローラーとの向かい合う開口幅が、最大コインの直径よりも広大となるように、
【0021】
上記コイン導出口の上流側開口エッジを、コイン収容ホッパーの円形な内周面に外接するまでの滑らかな凹曲線又は直線から成るコイン誘導壁面として造形したことを特徴とする。
【0022】
又、請求項2の構成ではコイン収容ホッパーをポリカーボネート樹脂やガラス繊維強化樹脂、その他の高強度な合成樹脂から一体成形し、そのベースプレートへ着脱自在に取り付けられる取付フランジに、上流側開口エッジがコイン誘導壁面として造形されたコイン導出口を、一定な開口幅だけ切り欠いたことを特徴とする。
【0023】
請求項3の構成では、合成樹脂製コイン収容ホッパーと金属ベースプレートとの上下相互間へ、金属ライナープレートを介在させると共に、上流側開口エッジがコイン誘導壁面として造形されたコイン導出口を、そのライナープレートに切り欠いたことを特徴とする。
【0024】
更に、請求項4の構成では一定長さの金属板から成るセパレートアームの中間部に、円形の座金受け入れ用バカ孔を開口形成して、
【0025】
そのバカ孔へ遊嵌される座金と支点ビスにより、上記セパレートアームをベースプレートの裏面へシーソー運動し得るように枢着し、
【0026】
上記セパレートアームの一端部から表向き一体的に起立するローラー軸へ、セパレートローラーを遊転自在に差し込み套嵌させると共に、
【0027】
同じくセパレートアームの一端部から裏向きに折り曲げられたバネ受け片と、上記ベースプレートから対応的な裏向き一体的に垂下するコイン払出し誘導体用固定ビスとの向かい合う相互間へ、引張りコイルバネを連繋させる一方、
【0028】
上記セパレートアームの他端部受け止め用ストッパー片を、上記ベースプレートから裏向きに切り起したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
請求項1の構成によれば、正回転する穴明きディスクローター(D)の後方弯曲翼(11)により一方向(反時計方向)(F)へ押し進められる最小コイン(Cs)が、今図28のようにその後方弯曲翼(11)の前側凸曲面(12f)と払出しローラー(35)並びにコイン導出口(17)の上流側開口エッジと、各々第1〜3接点(P1)(P2)(P3)で接触したと仮定した場合に、その第1、2接点(P1)(P2)を結ぶ仮想直線(Z−Z)が、最小コイン(Cs)の中心(O)よりも一定距離(L1)だけ外方へ偏倚することになる第1要件と、
【0030】
逆回転するディスクローター(D)の後方弯曲翼(11)により他方向(時計方向)(R)へ押し進められる最小コイン(Cs)が、今図30のようにその後方弯曲翼(11)の後側凹曲面(12r)と払出しローラー(35)並びにコイン導出口(17)の上流側開口エッジと、各々第1〜3接点(P1)(P2)(P3)で接触したと仮定した場合に、その第1接点(P1)の描く回転サークル軌跡が最小コイン(Cs)の中心(O)よりも一定距離(L2)だけ外方へ偏倚することになる第2要件と、
【0031】
しかも、コイン導出口(17)の上流側開口エッジをなす上記第3接点(P3)と、下流側に位置するセパレートローラー(36)との向かい合う開口幅(W3)が、最大コイン(Cl)の直径よりも広大となる第3要件とをすべて満たすコイン誘導壁面(58)を、上記コイン導出口(17)の上流側開口エッジからコイン収容ホッパー(H)の円形(胴筒)な内周面に外接するまでの滑らかな凹曲線又は直線として造形しているため、最小コイン(Cs)のみならず最大コイン(Cl)でも、その状態のままで支障なく確実に払い出すことができ、その払い出すためのコイン払出しローラー(35)やセパレートローラー(36)、コイン収容ホッパー(H)などを、コイン(Cl)(Cs)の直径変化に応じて交換したり、その取付け位置関係を調整したりする必要がなく、冒頭に述べた公知発明の問題が完全に解消されるのであり、汎用性と利便性に優れる。
【0032】
その場合、請求項2や請求項3の構成を採用するならば、上記コイン導出口(17)の上流側開口エッジに造形されたコイン誘導壁面(58)へ、コイン(Cl)(Cs)が繰り返し強く摺擦するも、その高強度な合成樹脂から成るコイン収容ホッパー(H)自身や、その金属ベースプレート(2)との上下相互間に介在する金属ライナープレート(59)によって、効果的に対抗することができるため、その耐久性の低下するおそれもない。
【0033】
更に、請求項4の構成を採用するならば、セパレートローラー(36)のセパレートアーム(49)が円形のバカ孔(50)と、座金(52)との遊嵌に基いて、支点ビス(51)の廻りに360度のあらゆる方向へ位置ズレ偏心し得るため、咬み込まれたコイン(Cl)(Cs)の直径に大小変化があっても、その咬み込み現象を常に自働解消することができ、その意味からも汎用性と利便性に優れたホッパー型コイン払出し装置であると言える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、図1〜33は直径:26.5mmの径大コイン(Cl)と直径:20mmの径小コイン(Cs)に兼用して、その2種の正規に払い出し可能なホッパー型コイン払出し装置を例示しており、(1)は金属板から枠組み一体化された据付け台であって、その開口表面には長方形の金属ベースプレート(2)が、上方から施蓋状態に取り付け固定されている。(3)はその四隅部の固定ビスである。
【0035】
図例の場合、据付け台(1)の開口表面に取り付け固定されたベースプレート(2)は、一定角度(α)の傾斜状態にあるが、その水平状態に取り付け固定される仕様もあり得る。何れにしても、このようなベースプレート(2)の裏面には穴明きディスクローター回転駆動用の可逆モーター(4)が、複数の固定ビス(図示省略)を介して取り付け一体化されている。
【0036】
その可逆モーター(4)は図28、31の一方向(反時計方向)(F)へ正回転されるが、図外のセンサーによってコイン(Cl)(Cs)の咬み込み現象や詰まり現象などを検知した時には、そのセンサーからの検知出力信号を受けた制御基板(図示省略)により、図30、33のように他方向(時計方向)(R)へ逆回転され、上記異常現象を解消することができるようになっている。
【0037】
(5)は可逆モーター(4)の出力軸であり、これが上記ベースプレート(2)を貫通する先端部には、コイン搬送用穴明きディスクローター(D)が上方から着脱・交換自在として、且つ一体回転し得るように取り付けられている。その穴明きディスクローター(D)はポリアセタール樹脂(好ましくは商品名:ジュラコン)などの高強度な合成樹脂から、図10、11のように一体成形されている。
【0038】
即ち、これを抽出して示した図10、11において、(6)は一定厚みの円盤型をなすディスクローター本体であり、その中心部がコイン(Cl)(Cs)を周辺部へ滑り落す転倒ガイド凸子(7)として、表向きに背高く起立されていると共に、同じくディスクローター本体(6)の周縁部はコイン受け壁(8)として、コイン(Cl)(Cs)の一定厚みとほぼ対応する高さ分だけ、表向きの起立状態に縁取りされている。
【0039】
そして、このようなディスクローター本体(6)の周辺部には複数(図例では合計4穴)の円形なコイン受け入れ穴(9)が、一定のP.C.D(Pitch Circle Diameter)を保つ全体的な放射対称分布型に開口形成されている。各コイン受け入れ穴(9)は径大コイン(Cl)よりも若干大きく、その開口縁部が円錐受皿面として、コイン(Cl)(Cs)を受け入れやすく面取りされた状態にある。
【0040】
(10)は上記コイン受け入れ穴(9)の隣り合う相互間に介在する位置関係として、ディスクローター本体(6)の表面から突設された複数の円錐型攪拌凸子、(11)は同じくコイン受け入れ穴(9)の隣り合う相互間に介在する位置関係として、やはりディスクローター本体(6)の裏面からコイン(Cl)(Cs)の一定厚みとほぼ対応する高さ分だけ突設された複数(図例では合計4枚)の後方弯曲翼であり、穴明きディスクローター(D)の回転に連れてコイン(Cl)(Cs)を押し進め搬送する。
【0041】
つまり、その後方弯曲翼(11)の裏向き突出と相対して、ディスクローター本体(6)の周辺部に言わば切り欠かれた陥没状態として残る裏面と、上記ベースプレート(2)のフラットな表面との向かい合う上下相互間隙が、コイン(Cl)(Cs)の一定厚みとほぼ対応するコイン搬送路(G)として機能し得るように画定されているのである。
【0042】
各後方弯曲翼(11)は穴明きディスクローター(D)の正回転する進行方向(F)との関係上、その各コイン受け入れ穴(9)の開口縁部に沿う曲率半径の比較的小さな凹曲面(12r)が後側となり、且つ同じく各コイン受け入れ穴(9)の開口縁部に沿わない曲率半径の比較的大きな凸曲面(12f)が前側となる言わば先太り円弧状として、ディスクローター本体(6)の中心部から周縁部に向かい一定長さだけ延在している。
【0043】
そして、穴明きディスクローター(D)が図28、31の一方向(反時計方向)(F)へ正回転する平常時には、その前側の凸曲面(12f)によりコイン(Cl)(Cs)を押し進め搬送する一方、穴明きディスクローター(D)が図30、33の他方向(時計方向)(R)へ逆回転される異常時には、後側の凹曲面(12r)によりコイン(Cl)(Cs)を押し進めることとなる。
【0044】
しかも、上記ディスクローター本体(6)の中心部から周縁部に向かう一定長さの先太り円弧状として延在する各後方弯曲翼(11)の中途部には、後述するコイン払出し誘導体の逃し溝(13)が、その全体として図11のようなサークル軌跡を描く配列状態に切り欠かれており、これによって各後方弯曲翼(11)は根元側(中心側)翼片(11a)と先端側(周縁側)翼片(11b)との2個に分割されている。
【0045】
図例の場合、上記コイン払出し誘導体用逃し溝(13)を全体的な同芯サークル軌跡の2列として、ディスクローター本体(6)における各後方弯曲翼(11)の中途部に切り欠いているが、取り扱うコイン(Cl)(Cs)の直径やその払出し誘導体の個数などの如何では、その逃し溝(13)を1列や3列以上のサークル軌跡として切り欠くこともある。
【0046】
尚、図例の穴明きディスクローター(D)は合成樹脂製品として、各後方弯曲翼(11)を先太り円弧状に延在させ、しかもその分割された根元側翼片(11a)と先端側翼片(11b)とを、図11のような裏側から見て後向きコ字型のリブ状に造形しているが、上記穴明きディスクローター(D)を金属製品として、その各後方弯曲翼(11)をディスクローター本体(6)の中心部から周縁部に向かう先細り円弧状として延在させてもさしつかえない。
【0047】
(H)はポリカーボネート樹脂やガラス繊維強化樹脂(GFRP)、その他の高強度な合成樹脂から全体的なほぼ漏斗型に一体成形されたコイン収容ホッパーであり、その円形な胴筒(14)の底部から外向きに張り出すほぼ正方形な取付フランジ(15)の四隅部には、キー穴(16)が開口分布されている。
【0048】
又、同じく取付フランジ(15)の一辺面には図5、12、13のような一定開口幅(W1)のコイン導出口(17)が切り欠かれており、そのうちの穴明きディスクローター(D)が正回転する進行方向(F)の下流側には、後述するセパレートローラー用逃し入れ口(17a)が胴筒(14)までの部分的に背高く切り欠かれてもいる。図例の場合、そのコイン収容ホッパー(H)のコイン導出口(17)は上記傾斜設置状態にあるベースプレート(2)の上向きに開口している。
【0049】
他方、その取付フランジ(15)のキー穴(16)と対応位置する係止ピン(18)の合計4本が、上記ベースプレート(2)に植え付けられているため、その係止ピン(18)へ上記取付フランジ(15)のキー穴(16)を、上方から悉く抜き差し自在に差し込んで、一方向へ回動操作することにより、コイン収容ホッパー(H)をベースプレート(2)の表面へ搭載状態に取り付け固定することができ、反対方向へ回動操作して、ベースプレート(2)から取りはずすことも可能である。
【0050】
その取付状態では図3から明白なように、上記穴明きディスクローター(D)の周縁部がコイン収容ホッパー(H)の胴筒(14)によって包囲されることとなる。但し、そのコイン収容ホッパー(H)の取付フランジ(15)に切り欠かれたコイン導出口(17)だけは、穴明きディスクローター(D)の上記コイン搬送路(G)と連通する開口状態に保たれる。
【0051】
(M)はコイン収容ホッパー(H)のコイン導出口(17)と向かい合う関係として、上記ベースプレート(2)の対応位置する一辺面(図例では傾斜設置状態にある上辺面)へ、上方から一対の固定ビス(19)により、そのベースプレート(2)のフラットな表面と一定間隙を保つ被覆状態に取り付け固定されたセンサー受け台であって、1枚物の金属板から成る。
【0052】
そして、そのセンサー受け台(M)のほぼ中央部は図2〜4のように、向かい合う一対の裏向き折曲げ片(20)とベースプレート(2)により、上記コイン収容ホッパー(H)のコイン導出口(17)と向かい合い直通するトンネル型のコイン払出し通路(21)として区画形成されている。(22)はその両裏向き折曲げ片(20)の逃し入れスリットであり、ベースプレート(2)に切り欠かれている。
【0053】
(23)は上記センサー受け台(M)へ搭載状態に据え付け固定されたコインカウントセンサーであって、透過型(又は反射型)のフォトインタラプターから成り、上記コイン払出し通路(21)から払い出される過程のコイン(Cl)(Cs)を検知する。(24)はそのベースプレート(2)に対応形成された光透過孔である。
【0054】
又、(25)は上記コイン収容ホッパー(H)の胴筒(14)により包囲された内部において、ベースプレート(2)を貫通する楕円形に開口分布された一対のコイン払出し誘導体用出没孔であり、図28〜33から示唆されるように、上記穴明きディスクローター(D)の後方弯曲翼(11)を分割したコイン払出し誘導体用逃し溝(13)の全体的な同芯サークル軌跡上に並列している。
【0055】
(A)は上記一方向(反時計方向)(F)へ正回転する穴明きディスクローター(D)により、コイン搬送路(G)に沿って押し進め搬送されてくるコイン(Cl)(Cs)を、下流側から一旦受け止めて、そのコイン搬送路(G)から上記コイン収容ホッパー(H)のコイン導出口(17)並びにコイン払出し通路(21)へ、方向を変えるように誘導するためのコイン払出し誘導体である。
【0056】
茲に、コイン払出し誘導体(A)は図15〜19に抽出して示すような根元側の取付座(26)と、先端側の二叉フォーク片(27)とを備えた擬似Y字型の輪郭形状に切り抜かれた剛性なステンレス鋼板から成り、その根元側の取付座(26)が上記ベースプレート(2)から裏向き一体的に垂下する長い固定ビス(28)によって、そのベースプレート(2)の裏面へ片持ち状態に取り付けられている。(29)は上記取付座(26)の固定ビス受け入れ孔である。
【0057】
又、(30)は上記固定ビス(28)の中途部に螺合締結されたバネ圧調整ナットであって、これとコイン払出し誘導体(A)との上下相互間に介在する圧縮コイルバネ(31)が、その固定ビス(28)に巻き掛けられており、これによってコイン払出し誘導体(A)自身をベースプレート(2)の裏面へ押し付け弾圧している。
【0058】
他方、先端側の二叉フォーク片(27)には上記穴明きディスクローター(D)の正回転時に働く一対の円柱型コイン受け止めピン(32)が、表向きの植立状態にかしめ付け一体化されている。この両コイン受け止めピン(32)が上記圧縮コイルバネ(31)の付勢力により、ベースプレート(2)の出没孔(25)を通じて、そのベースプレート(2)の表面からコイン(Cl)(Cs)の一定厚みとほぼ対応する高さ分だけ突出し、上記穴明きディスクローター(D)の正回転により一方向(反時計方向)(F)へ押し進められてくるコイン(Cl)(Cs)を、図18のように、その円弧腹面により下流側から一旦受け止め、上記コイン搬送路(G)からコイン収容ホッパー(H)のコイン導出口(17)並びにコイン払出し通路(21)へ、自づと正しく方向を変えるように誘導する。
【0059】
更に、同じく先端側の二叉フォーク片(27)からは穴明きディスクローター(D)の逆回転時に働く一対のコイン逃し誘導片(33)が、上記コイン受け止めピン(32)の円弧背中面に対応位置する直立状態として、表向き一体的に曲げ起されており、しかもその曲げ起された上面(ステンレス鋼板の切り抜きエッジ)は、上記コイン受け止めピン(32)の頂点に向かう滑らかな登り勾配面(33a)として造形されている。その両コイン逃し誘導片(33)も上記ベースプレート(2)の出没孔(25)から、常時表向きに突出する付勢状態にある。
【0060】
そして、穴明きディスクローター(D)の逆回転により他方向(時計方向)(R)へ押し進められてくるコイン(Cl)(Cs)を、図19のように、そのコイン逃し誘導片(33)の登り勾配面(33a)により逃し誘導して、そのコイン(Cl)(Cs)が上記コイン受け止めピン(32)を自づと乗り越え、正規の上流側へ復帰し得るようになっている。その乗り越える瞬時には、コイン払出し誘導体(A)のコイン逃し誘導片(33)とコイン受け止めピン(32)が、上記圧縮コイルバネ(31)の付勢力に抗しつつ、ベースプレート(2)の出没孔(25)へ一緒に没入することとなる。
【0061】
(34)は上記二叉フォーク片(27)の内部へ図7、8のように介在する貫通状態として、ベースプレート(2)から裏向き一体的に垂下された振れ止めピンであり、コイン払出し誘導体(A)自身が上記固定ビス(28)の支点廻りに振れ動くことを防ぎ、その先端側のコイン受け止めピン(32)とコイン逃し誘導片(33)をベースプレート(2)の出没孔(25)に対して、正しく出没(昇降)作用させるように規制している。
【0062】
尚、このような振れ止めピン(34)と上記圧縮コイルバネ(31)の設置を省略するために、コイン払出し誘導体(A)を剛性なステンレス鋼板に代るバネ鋼板から切り抜き加工し、その根元側の取付座(26)を複数の短かい固定ビス(28)により、ベースプレート(2)の裏面へ取り付け固定して、残る先端側の自由に撓み変形し得る二叉フォーク片(27)から、上記コイン受け止めピン(32)とコイン逃し誘導片(33)を表向き一体的に直立させても良い。コイン払出し誘導体(A)とその出没孔(25)の設置個数が、上記穴明きディスクローター(D)のコイン払出し誘導体用逃し溝(13)と対応する個数であることは言うまでもない。
【0063】
(35)(36)は上記コイン収容ホッパー(H)の取付フランジ(15)に切り欠かれたコイン導出口(17)と、上記センサー受け台(M)により造形されたコイン払出し通路(21)との向かい合う相互間へ、図3や図28〜33のような並列状態に介在するコイン払出しローラーとセパレートローラーであり、上記穴明きディスクローター(D)が正回転する進行方向(F)との関係上、その上流側に臨むコイン払出しローラー(35)と、同じく下流側に臨むセパレートローラー(36)との一対によって、上記コイン払出し通路(21)の入口部を径小コイン(Cs)の直径よりも若干狭小な開口幅(W2)に保っている。
【0064】
しかも、コイン払出しローラー(35)がコイン収容ホッパー(H)のコイン導出口(17)から遠ざかる位置にあるに比し、セパレートローラー(36)はそのコイン導出口(17)の下流側に背高く切り欠かれた逃し入れ口(17a)を通じて、穴明きディスクローター(D)の周縁部と干渉しない程度での極力接近した位置にある。尚、上記コイン払出し誘導体(A)もセパレートローラー(36)と同じく、穴明きディスクローター(D)が正回転する進行方向(F)の下流側に位置することについては、既に述べたとおりである。
【0065】
(37)は上記ベースプレート(2)から裏向き一体的に垂下する支点軸であり、これに一定長さの金属板から成るコイン払出しアーム(38)の根元部が回動自在に枢着されている一方、その払出しアーム(38)の先端部から表向き一体的に起立するローラー軸(39)に、上記コイン払出しローラー(35)が遊転自在に差し込み套嵌されている。(40)は同じく払出しアーム(38)の先端部から裏向きに折り曲げられたバネ受け片である。
【0066】
又、(41)は金属板の台座であり、図7、8から明白なように、その中間部を貫通する上記支点軸(37)と、一端部の固定ビス(42)との2個所において、上記ベースプレート(2)の裏面に取り付け固定されている。(43)はその固定ビス(42)を逃し入れるため、台座(41)の一端部に切り欠かれた円弧状の調整長孔であり、上記支点軸(37)を回動中心とする取付位置の調整用として使われる。
【0067】
そして、同じく台座(41)の他端部から裏向きに折り曲げられたバネ受け片(44)と、上記コイン払出しアーム(38)の対応するバネ受け片(40)との向かい合う相互間には、比較的弱い張力の引張りコイルバネ(45)が連繋されている。(46)はその引張り付勢されたコイン払出しアーム(38)の受け止めストッパー片であって、上記台座(41)の他端部付近から裏向きに折り曲げられており、これにはクッション材(47)が差し込み固定されている。
【0068】
上記コイン払出しアーム(38)が引張りコイルバネ(45)の付勢力により、台座(41)のストッパー片(46)に受け止められた位置では、図7や図28〜33から明白なように、その先端部に軸支された上流側のコイン払出しローラー(35)と、上記下流側のセパレートローラー(36)とによって、コイン払出し通路(21)の入口部が径小コイン(Cs)の直径よりも若干狭小な開口幅(W2)に保たれており、そのためここをコイン(Cl)(Cs)が通過すると、コイン払出しアーム(38)は引張りコイルバネ(45)の付勢力に抗しつつ、上記支点軸(37)の廻りに円弧運動し、そのコイルバネ(45)の付勢力並びにコイン払出しローラー(35)自身の遊転作用とも相俟って、コイン(Cl)(Cs)を自づと瞬時に払い出すこととなる。(48)はそのコイン払出しローラー(35)の逃し入れ用円弧長孔であり、上記ベースプレート(2)に切り欠かれている。
【0069】
他方、(49)は一定長さの金属板から成るセパレートアームであり、これを抽出して示した図20〜27から明白なように、その中間部には円形の座金受け入れ用バカ孔(50)が開口されている。(51)はセパレートアーム(49)を上記ベースプレート(2)の裏面へ回動自在に枢着する支点ビスであるが、その支点ビス(51)の皿頭(51a)とセパレートアーム(49)との上下相互間には、上記バカ孔(50)と遊嵌する円筒型のボス(52a)を備えた座金(52)が介挿されている。(52b)はその座金(52)の調芯用円錐受皿面である。
【0070】
そのため、セパレートアーム(49)は支点ビス(51)の廻りにシーソー運動する際、その支点ビス(51)から言わば偏心する如く、360度のあらゆる方向へ自由自在に位置ズレすることとなる。その支点ビス(51)を受け入れる座金(52)のボス(52a)が、セパレートアーム(49)のバカ孔(50)よりも若干径小な円形をなし、しかもセパレートアーム(49)の板厚よりも若干長大に隆起しているのである。(E)はそのセパレートアーム(49)の偏心量(クリヤランス)を示している。
【0071】
そして、このようなセパレートアーム(49)の一端部から表向き一体的に起立するローラー軸(53)に、上記セパレートローラー(36)が遊転自在に差し込み套嵌されており、コイン払出しローラー(35)と並列する状態にある。
【0072】
(54)は同じくセパレートアーム(49)の一端部から裏向きに折り曲げられたバネ受け片であり、そのバネ受け片(54)と上記コイン払出し誘導体(A)の固定ビス(28)とが向かい合う相互間には、比較的強い張力の引張りコイルバネ(55)が連繋されている。(56)はその引張り付勢されたセパレートアーム(49)の他端部を受け止めるストッパー片であり、上記ベースプレート(2)から裏向きに切り起されている。
【0073】
上記セパレートアーム(49)の他端部が引張りコイルバネ(55)により、ベースプレート(2)のストッパー片(56)に受け止められた位置では、図3や図28〜33から明白なように、その一端部に軸支されたセパレートローラー(36)が、上記コイン収容ホッパー(H)におけるコイン導出口(17)の下流側に対応位置するセパレートローラー用逃し入れ口(17a)を通じて、穴明きディスクローター(D)の周縁部へ接近した状態にある。
【0074】
そして、万一コイン(Cl)(Cs)の後述する咬み込み現象や目詰まり現象などを生じた場合にのみ、セパレートローラー(36)が上記座金(52)のボス(52a)とそのバカ孔(50)とのクリヤランスに基いて、支点ビス(51)の廻りに一定量(E)だけ偏心する如く位置ズレした状態のもとで、外方へシーソー運動することになり、上記引張りコイルバネ(55)の付勢力並びにセパレートローラー(36)自身の遊転作用とも相俟って、上記異常現象を自づと瞬時に解消することができる。(57)はそのセパレートローラー(36)の逃し入れ用長孔であり、上記ベースプレート(2)に切り欠かれている。
【0075】
コイン収容ホッパー(H)の取付フランジ(15)に一定な開口幅(W1)のコイン導出口(17)が切り欠かれている旨や、穴明きディスクローター(D)が正回転する進行方向(F)との関係において、その上流側に臨むコイン払出しローラー(35)と下流側に臨むセパレートローラー(36)との並列する一対が、コイン導出口(17)とコイン払出し通路(21)との向かい合う相互間に介在することにより、そのコイン払出し通路(21)の入口部が径小コイン(Cs)の直径よりも狭小な開口幅(W2)に保たれている旨を上記したが、そのコイン導出口(17)における上流側の開口エッジは特に次の諸要件を満たすコイン誘導壁面(58)として、コイン収容ホッパー(H)における円形な胴筒(14)の内周面と連続するように造形されている。
【0076】
即ち、一方向(反時計方向)(F)へ正回転する穴明きディスクローター(D)の後方弯曲翼(11)により、そのコイン搬送路(G)からコイン払出し通路(21)へ押し進められる過程の径小コイン(Cs)が、今図28のような後方弯曲翼(11)の凸曲面(12f)と第1接点(P1)において、コイン払出しローラー(35)と第2接点(P2)において、コイン導出口(17)の上流側開口エッジと第3接点(P3)において、各々接触したと仮定した場合に、その第1、2接点(P1)(P2)を結ぶ仮想直線(Z−Z)が径小コイン(Cs)の中心(O)よりも、必らず一定距離(L1)だけ外方へ偏倚することとなるように、上記第3接点(P3)の位置を決定する。このことが第1要件である。
【0077】
次に、他方向(時計方向)(R)へ逆回転する穴明きディスクローター(D)の後方弯曲翼(11)により、コイン導出口(17)の上流側へ押し進められる過程の径小コイン(Cs)が、今図30のような後方弯曲翼(11)の凹曲面(12r)と第1接点(P1)において、コイン払出しローラー(35)と第2接点(P2)において、コイン導出口(17)の上流側開口エッジと第3接点(P3)において、各々接触したと仮定した場合に、その第1接点(P1)の描く回転サークル軌跡が径小コイン(Cs)の中心(O)よりも、必らず一定距離(L2)だけ外方へ偏倚することとなるように、上記第3接点(P3)の位置を決定する。このことが第2要件である。
【0078】
更に、コイン導出口(17)における上流側の開口エッジをなす上記第3接点(P3)と、下流側に位置するセパレートローラー(36)との向かい合う開口幅(W3)が、必らず径大コイン(Cl)の直径よりも広大となるように、上記第3接点(P3)の位置を決定する。このことが第3要件である。
【0079】
そして、このように位置決めされた上記第3接点(P3)から、コイン収容ホッパー(H)における胴筒(14)の内周面に外接するまでの滑らかな凹曲線を、上記コイン導出口(17)における上流側のコイン誘導壁面(58)として造形するのである。但し、このような第1〜3要件を満たすコイン誘導壁面(58)となる限り、これを上記滑らかな凹曲線から造形することに代えて、図13の鎖線で示すような直線から造形してもさしつかえない。
【0080】
又、図12、13では上流側の開口エッジがコイン誘導壁面(58)として造形された一定な開口幅(W1)のコイン導出口(17)を、合成樹脂製コイン収容ホッパー(H)の取付フランジ(15)に切り欠いているが、その図12と対応する図14の変形実施形態に示す如く、上記取付フランジ(15)とベースプレート(2)との上下相互間に介在する金属ライナープレート(59)へ、上記コイン誘導壁面(58)を備えたコイン導出口(17)を切り欠いても良い。
【0081】
上記の構成によれば、図28の第1〜3接点(P1)(P2)(P3)で接触している過程の径小コイン(Cs)を、穴明きディスクローター(D)における後方弯曲翼(11)の前側凸曲面(12f)によって、引き続き同図の進行鎖線で示す如く、上流側のコイン払出しローラー(35)と下流側のコイン払出し誘導体(A)との相互間隙を通じ、そのコイン払出し誘導体(A)の変向作用とも相俟って、コイン収容ホッパー(H)のコイン導出口(17)からコイン払出し通路(21)へ誘導し、自づと円滑に払い出すことができる。
【0082】
その径小コイン(Cs)の進行中には、上記引張りコイルバネ(45)の弱い張力を受けているコイン払出しローラー(35)のみが、ベースプレート(2)の円弧長孔(48)に沿って円弧運動し、上記コイン払出し通路(21)における入口部の開口幅(W2)を瞬時に拡大することとなる。
【0083】
図29では径小コイン(Cs)がコイン払出し誘導体(A)に乗り上げて、そのコイン(Cs)の中心(O)が上記後方弯曲翼(11)の凸曲面(12f)における曲率半径の中心(X)と、セパレートローラー(36)の軸支点(Y)とを結ぶ思案線(L−L)上に偶然位置しつつ、そのセパレートローラー(36)と穴明きディスクローター(D)との相互間へ、言わば突っ張り状態に咬み込れた場合を想定している。
【0084】
このような咬み込み現象が万一発生した異常時には、そのコイン(Cs)からの強い突っ張り力を受けたセパレートローラー(36)のセパレートアーム(49)が、図23、25、27に示すように、上記支点ビス(51)の廻りに偏心する如く位置ズレし、そのセパレートローラー(36)が外方へ退避するようにシーソー運動するため、上記咬み込み現象を自づと確実に解消することができる。
【0085】
その場合、咬み込み現象を検知したセンサー(図示省略)からの出力信号に基き、上記穴明きディスクローター(D)は可逆モーター(4)により、他方向(時計方向)(R)へ逆回転されるが、その場合でも図30から明白なように、径小コイン(Cs)を穴明きディスクローター(D)における後方弯曲翼(11)の後側凹曲面(12r)によって、コイン収容ホッパー(H)のコイン導出口(17)からディスクローター(D)のコイン搬送路(G)へ、自づと円滑に掻き入れ復帰させることができ、再度の正回転による径小コイン(Cs)の押し進め払い出し作用に備え得るのである。
【0086】
上記コイン収容ホッパー(H)のコイン誘導壁面(58)を造形する第1、2要件は、径小コイン(Cs)との関係において満足するように設定されているため、径大コイン(Cl)との関係でも当然に満足されることとなり、図28〜30と対応する図31〜33から明白なように、径大コイン(Cl)をその穴明きディスクローター(D)の正回転時と、咬み込み現象が発生した逆回転時との何れにおいても、上記径小コイン(Cs)と全く同様に、自づと正しく払い出し作用することができる。
【0087】
つまり、本発明のホッパー型コイン払出し装置は上記したコイン収容ホッパー(H)におけるコイン誘導壁面(58)の構成に基いて、径小コイン(Cs)と径大コイン(Cl)との2種を払い出すことに兼用することができ、そのためのコイン払出しローラー(35)やセパレートローラー(36)、コイン収容ホッパー(H)、穴明きディスクローター(D)などをコイン(Cl)(Cs)の直径変化に応じて交換したり、又その取付け位置関係を調整したりする必要がなく、汎用性と利便性に優れる。
【0088】
尚、図示の実施形態では直径:20mmの径小コイン(Cs)と、直径:26.5mmの径大コイン(Cl)とを例示しており、この程度の直径差を有する2種のコイン(Cl)(Cs)であれば、上記穴明きディスクローター(D)さえも交換する必要なく、そのまま正規に使用することができるが、直径差が上記程度以上に大きくなる場合には穴明きディスクローター(D)だけを、そのコインの直径に応じたコイン受け入れ穴(9)が開口分布するそれと交換すれば足りる。
【0089】
上記コイン収容ホッパー(H)のコイン誘導壁面(58)を造形するための第1、2要件としては、最小コイン(Cs)との関係において設定し、同じく第3要件としては最大コイン(Cl)との関係において設定すれば、例えば20mm〜32mmの直径を有する2種以上のコインについても、上記作用を支障なく営なませることができるのである。
【0090】
更に、上記咬み込み現象が発生した場合、穴明きディスクローター(D)における後方弯曲翼(11)の凸曲面(12f)に対して接触する径小コイン(Cs)の接点と径大コイン(Cl)の接点とは相違し、その接点がコインの直径に応じて千変万化となるが、上記セパレートローラー(36)のセパレートアーム(49)はその円形のバカ孔(50)と、上記座金(52)における円筒型ボス(52a)との遊嵌に基き、360度のあらゆる方向へ位置ズレ偏心するようになっているため、取り扱うコインの直径変化に拘らず、その咬み込み現象も常に自働解消することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明に係るホッパー型コイン払出し装置の全体を示す側面図である。
【図2】図1の斜め上方から直視した拡大正面図である。
【図3】図1の3−3線に沿う拡大断面図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】図3の5−5線断面図である。
【図6】図3の6−6線断面図である。
【図7】コイン収容ホッパーと穴明きディスクローターを除去した状態の平面図である。
【図8】図7の底面図である。
【図9】ベースプレートを抽出して示す平面図である。
【図10】穴明きディスクローターを抽出して示す平面図である。
【図11】図10の底面図である。
【図12】コイン収容ホッパーを抽出して示す平面図である。
【図13】図12の拡大底面図である。
【図14】図12に対応する変形実施形態を示す正面図である。
【図15】コイン払出し誘導体を抽出して示す斜面図である。
【図16】図15の平面図である。
【図17】図15の側面図である。
【図18】コイン払出し誘導体による正回転時のコイン受け止め状態を示す側断面図である。
【図19】コイン払出し誘導体による逆回転時のコイン逃し状態を示す側断面図である。
【図20】セパレートアームとセパレートローラーを抽出して示す斜面図である。
【図21】図20からの組立過程を示す斜面図である。
【図22】同じく組立状態の平面図である。
【図23】セパレートアームと座金との偏心状態を示す平面図である。
【図24】図22の24−24線断面図である。
【図25】図23の25−25線断面図である。
【図26】ベースプレートへの取付状態として示す図24に対応する断面図である。
【図27】ベースプレートへの取付状態として示す図25に対応する断面図である。
【図28】穴明きディスクローターの正回転による最小コインの払い出し作用過程を示す断面平面図である。
【図29】最小コインの咬み込み状態を示す断面平面図である。
【図30】穴明きディスクローターの逆回転による最小コインの掻き入れ復帰作用過程を示す断面平面図である。
【図31】穴明きディスクローターの正回転による最大コインの払い出し作用過程を示す断面平面図である。
【図32】最大コインの咬み込み状態を示す断面平面図である。
【図33】穴明きディスクローターの逆回転による最大コインの掻き入れ復帰作用過程を示す断面平面図である。
【符号の説明】
【0092】
(1)・据付け台
(2)・ベースプレート
(4)・可逆モーター
(6)・ディスクローター本体
(9)・コイン受け入れ穴
(11)・後方弯曲翼
(11a)・根元側翼片
(11b)・先端側翼片
(12f)・凸曲面
(12r)・凹曲面
(13)・逃し溝
(14)・胴筒
(15)・取付フランジ
(17)・コイン導出口
(17a)・セパレートローラー用逃し入れ口
(18)・係止ピン
(20)・裏向き折曲げ片
(21)・コイン払出し通路
(23)・コインカウントセンサー
(25)・出没孔
(26)・取付座
(27)・二叉フォーク片
(28)・固定ビス
(30)・バネ圧調整ナット
(31)・圧縮コイルバネ
(32)・コイン受け止めピン
(33)・コイン逃し誘導片
(33a)・登り勾配面
(34)・振れ止めピン
(35)・コイン払出しローラー
(36)・セパレートローラー
(37)・支点軸
(38)・コイン払出しアーム
(39)・ローラー軸
(40)・バネ受け片
(41)・台座
(42)・固定ビス
(43)・調整長孔
(44)・バネ受け片
(45)・引張りコイルバネ
(46)・ストッパー片
(48)・円弧長孔
(49)・セパレートアーム
(50)・バカ孔
(51)・支点ビス
(51a)・皿頭
(52)・座金
(52a)・ボス
(52b)・円錐受皿面
(53)・ローラー軸
(54)・バネ受け片
(55)・引張りコイルバネ
(56)・コイン誘導壁面
(59)・ライナープレート
(A)・コイン払出し誘導体
(Cl)・最大コイン
(Cs)・最小コイン
(D)・穴明きディスクローター
(G)・コイン搬送路
(H)・コイン収容ホッパー
(M)・センサー受け台
(O)・コインの中心
(E)・偏心量
(L1)(L2)・一定量
(P1)・第1接点
(P2)・第2接点
(P3)・第3接点
(W1)(W2)(W3)・開口幅
(X)・後方弯曲翼の円弧半径の中心
(Y)・セパレートローラーの軸支点
(F)・正回転(反時計方向)
(R)・逆回転(時計方向)
(L−L)・思案線
(Z−Z)・仮想直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
据付け台(1)の表面をなす固定ベースプレート(2)と、
全体的な放射対称分布型に開口する複数のコイン受け入れ穴(9)を備えたディスクローター本体(6)の裏面から、そのコイン受け入れ穴(9)の隣り合う相互間に介在する後方弯曲翼(11)が突設されたコイン搬送用穴明きディスクローター(D)と、
上記ベースプレート(2)の裏面に取り付けられた穴明きディスクローター回転駆動用の可逆モーター(4)と、
同じくベースプレート(2)の表面へ着脱自在に取り付けられて、上記穴明きディスクローター(D)の周縁部を包囲するコイン収容ホッパー(H)と、
そのコイン収容ホッパー(H)における上記穴明きディスクローター(D)の回転によるコイン搬送路(G)へ臨む一部に、一定な開口幅(W1)として切り欠かれたコイン導出口(17)と、
上記ベースプレート(2)の表面へ取り付け固定されたコインカウントセンサー受け台(M)により、上記コイン収容ホッパー(H)のコイン導出口(17)と直通するトンネル型に造形されたコイン払出し通路(21)と、
そのコイン導出口(17)とコイン払出し通路(21)との向かい合う相互間において、上記穴明きディスクローター(D)が正回転する進行方向(F)の下流側へ臨むように設置されたセパレートローラー(36)と、
同じくコイン導出口(17)とコイン払出し通路(21)との向かい合う相互間において、上記穴明きディスクローター(D)が正回転する進行方向(F)の上流側へ臨むように設置され、且つ上記セパレートローラー(36)との向かい合う開口幅(W2)を最小コイン(Cs)の直径よりも狭く保つように弾圧付勢されたコイン払出しローラー(35)と、
上記ベースプレート(2)の表面から穴明きディスクローター(D)の回転によるコイン搬送路(G)へ突出して、そのコイン(Cl)(Cs)を上記コイン導出口(17)からコイン払出し通路(21)に向かって誘導するコイン払出し誘導体(A)とを備え、
上記コイン収容ホッパー(H)からディスクローター本体(6)のコイン受け入れ穴(9)へ受け入れたコイン(Cl)(Cs)を、一方向(F)へ正回転される穴明きディスクローター(D)の後方弯曲翼(11)により押し進め搬送して、上記コイン導出口(17)からコイン払出し通路(21)へ払い出すホッパー型コイン払出し装置において、
上記正回転する穴明きディスクローター(D)の後方弯曲翼(11)により一方向(F)へ押し進められる最小コイン(Cs)が、今その後方弯曲翼(11)の前側凸曲面(12f)と払出しローラー(35)並びにコイン導出口(17)の上流側開口エッジと各々第1〜3接点(P1)(P2)(P3)で接触したと仮定した場合に、その第1、2接点(P1)(P2)を結ぶ仮想直線(Z−Z)が最小コイン(Cs)の中心(O)よりも一定距離(L1)だけ外方へ偏倚することとなり、
逆回転する穴明きディスクローター(D)の後方弯曲翼(11)により他方向(R)へ押し進められる最小コイン(Cs)が、今その後方弯曲翼(11)の後側凹曲面(12r)と払出しローラー(35)並びにコイン導出口(17)の上流側開口エッジと各々第1〜3接点(P1)(P2)(P3)で接触したと仮定した場合に、その第1接点(P1)の回転サークル軌跡が最小コイン(Cs)の中心(O)よりも一定距離(L2)だけ外方へ偏倚することとなり、
しかも、コイン導出口(17)の上流側開口エッジをなす第3接点(P3)と、下流側に位置する上記セパレートローラー(36)との向かい合う開口幅(W3)が、最大コイン(Cl)の直径よりも広大となるように、
上記コイン導出口(17)の上流側開口エッジを、コイン収容ホッパー(H)の円形な内周面に外接するまでの滑らかな凹曲線又は直線から成るコイン誘導壁面(58)として造形したことを特徴とするホッパー型コイン払出し装置。
【請求項2】
コイン収容ホッパー(H)をポリカーボネート樹脂やガラス繊維強化樹脂、その他の高強度な合成樹脂から一体成形し、そのベースプレート(2)へ着脱自在に取り付けられる取付フランジ(15)に、上流側開口エッジがコイン誘導壁面(58)として造形されたコイン導出口(17)を、一定な開口幅(W1)だけ切り欠いたことを特徴とする請求項1記載のホッパー型コイン払出し装置。
【請求項3】
合成樹脂製コイン収容ホッパー(H)と金属ベースプレート(2)との上下相互間へ、金属ライナープレート(59)を介在させると共に、上流側開口エッジがコイン誘導壁面(58)として造形されたコイン導出口(17)を、そのライナープレート(59)に切り欠いたことを特徴とする請求項1記載のホッパー型コイン払出し装置。
【請求項4】
一定長さの金属板から成るセパレートアーム(49)の中間部に、円形の座金受け入れ用バカ孔(50)を開口形成して、
そのバカ孔(50)へ遊嵌される座金(52)と支点ビス(51)により、上記セパレートアーム(49)をベースプレート(2)の裏面へシーソー運動し得るように枢着し、
上記セパレートアーム(49)の一端部から表向き一体的に起立するローラー軸(53)へ、セパレートローラー(36)を遊転自在に差し込み套嵌させると共に、
同じくセパレートアーム(49)の一端部から裏向きに折り曲げられたバネ受け片(54)と、上記ベースプレート(2)から対応的な裏向き一体的に垂下するコイン払出し誘導体用固定ビス(28)との向かい合う相互間へ、引張りコイルバネ(55)を連繋させる一方、
上記セパレートアーム(49)の他端部受け止め用ストッパー片(56)を、上記ベースプレート(2)から裏向きに切り起したことを特徴とする請求項1記載のホッパー型コイン払出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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