説明

ホルムアルデヒドフリーの水性サイズ剤のための添加剤としてのグリセロールの使用方法

【課題】ミネラルウール製造用の、アクリルまたはアクリレートポリマーをベースとするホルムアルデヒドフリーの水性サイズ剤のエージング耐性を改善する。
【解決手段】ミネラルウール製造用の、アクリルまたはアクリレートポリマーをベースとするホルムアルデヒドフリーの水性サイズ剤に少なくとも2つのヒドロキシル基を含むアルカノールアミンとリン含有促進剤とグリセロールを添加する。これにより、サイズ剤が架橋した後に得られるミネラルウールをベースとする製品のエージング耐性が改善する。さらに環境にやさしいこのようなサイズ剤で結合したミネラルウールをベースとする製品は、通常のフェノール樹脂で結合した製品と同じ品質を有するとともに、得られる製品の厚さ回復およびたわみが改善する。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、ミネラルウール製造用の、ポリオールによって架橋されるアクリルまたはアクリレートポリマーをベースとするホルムアルデヒドフリーの(folmaldehyde-free)水性サイズ剤のための添加剤としてのグリセロールの使用方法に関する。
【0002】
ミネラルウール、特にロックウールおよびグラスウールを製造するには、好ましくはフード中においてファイバー化操作後、たとえばブローイングによって細めた(attenuation)後に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂をベースとするサイズ剤をファイバーに塗布することが長い間知られてきた(DE3509426A1に記載されている)。
【0003】
この方法では、先行技術のほとんどのサイズ剤によって知られているフェノールホルムアルデヒド樹脂を好ましくは水溶液または分散液としてファイバーにスプレーし、前記樹脂は、樹脂がまだ高温である間に、ファイバーの表面上で重合し始める。次に、個々のファイバーが特に交差点で重合の効果によってともに連結し、その点の頂部に位置するファイバーは、液滴状の固化した樹脂中に実質的に封止される。結果として、個々のファイバーの互いに対するモビリティーは、これらがオーブン中で加熱空気によって架橋されたときに、制限されるかまたは阻害される。
【0004】
環境汚染問題を回避するには、とりわけホルムアルデヒドを含むフェノール樹脂をベースとする従来のサイズ剤を、ホルムアルデヒドを含まないサイズ剤と置換するために、多くの試行がいまだなされている。
【0005】
例えば、EP0583086B2は、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むポリオールおよびリン含有触媒を含む、少なくとも2つのカルボキシル基または無水物基を有するポリ酸ポリマー(その組成においてCOOH基対OH基の比は1/0.01から1/3まで変化する)をベースとするガラスファイバーのためのホルムアルデヒドフリーの架橋性水性サイズ剤組成物を記載している。
【0006】
EP0583086B2において、ポリ酸は例えばアクリルポリ酸である。
【0007】
ポリオールとしては、β−ヒドロキシアルキルアミド、例えば[N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)]アジパミドを用いることが好ましい。しかし、例えば、エチレングリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ショ糖、グルコース、レゾルシノール、カテコール、ピロガロール、グリコール化尿素、1,4−シクロヘキサンジオール、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンを用いてもよい。
【0008】
ミネラルファイバーのための同様のサイズ剤組成物はUS6331350B1、EP0990727A1、EP0990728A1およびEP0990729A1によっても公知である。この先行技術はポリ酸としてアクリル系ポリ酸を用いる。ここでは、アルカノールアミンが、ちょうどグリコールと同様に、ポリオールとして用いられている。
【0009】
EP0882774B1もアクリル系ポリ酸とポリオールとしてのグリコールを含むミネラルファイバーのためのサイズ剤組成物を記載している。
【0010】
ミネラルファイバーのためのそのような組成物は、LudwigshafenのBASFアクチエンゲゼルシャフトからACRODUR(登録商標)という名称で市販されている。
【0011】
先行技術により引用されているすべての刊行物において、ポリオールは架橋剤として用いられる。というのは、これらのOH官能基がポリ酸のCOOH官能基とエステル結合を形成するからである。
【0012】
架橋の前には、ポリオールにより架橋されるポリアクリルアミド樹脂、特にACRODUR(登録商標)は熱可塑性を有する。熱架橋の後、これらの特性は熱硬化性に変わり、弾性率のかなりの増加を伴う。いいかえれば、樹脂の脆化およびエージングのリスクがある。
【0013】
例えばフード中でのファイバー化後に、ポリオールにより架橋されるポリアクリルアミド樹脂をベースとする従来の組成物の水溶液をミネラルファイバーにスプレーする場合、例えばオーブン内での架橋後に、ミネラルウールをベースとする製造された製品があるレベルのエージング耐性またはユーザーにとって依然として許容できる厚さ回復(thickness recovery)およびたわみ(flexure)を維持するにはかなりの困難が生じる。
【0014】
これらの困難は、とりわけ、フェノール樹脂の化学的性質とは異なる化学的性質に基づく樹脂が、ミネラルウールを製造するための通常の条件に対応しない、変化したメカニズムおよび反応動力学を示すという事実から生じる。
【0015】
本発明の目的は、EP0882074B1による先行技術に基づいて、上述した欠点を改善する、ミネラルウールをベースとする製品の製造のためのホルムアルデヒドフリーの水性サイズ剤を提供することにある。
【0016】
この目的は、サイズ剤を架橋して後に得られるミネラルウールをベースとする製品のエージング耐性を改善するグリセロールを用いることによって達成される。
【0017】
ポリオールによって架橋される、アクリルポリマーをベースとするサイズ剤組成物またはアクリレートをベースとするすぐに使用できるサイズ組成物におけるグリセロールの使用は、水の蒸発を遅延させる効果を有する。結果として、未加工のファイバーマット(原フェルト)は、高い水分含有量を有する。未加工ファイバーマットの高い水分含有量は、オーブン中において湿潤粘着状態を通してファイバー間の望ましい結合を安定化させるにちがいないサイズ剤の早すぎる乾燥を防止する。
【0018】
さらに、サイズ剤のレオロジー特性および濡れ特性が変化し、ミネラルファイバー上でのサイズ剤の分布に有益な効果を有する。
【0019】
驚くべきことに、アクリル樹脂またはアクリレート樹脂をベースとするサイズ剤へのグリセロールの添加は、ミネラルウールをベースとする製品のエージング耐性をかなり改善することがわかった。予備研究の途中で行った試行の結果は、グリセロールの添加後のエージング特性は、厚さ回復の場合は5%まで、たわみの場合は40%まで改善することを示していた。
【0020】
本発明は特に、ミネラルウール製造用の、ポリオールによって架橋される、アクリルポリマーまたはアクリレートポリマーをベースとするホルムアルデヒドフリーの水性サイズ剤のための、サイズ剤が架橋した後に得られるミネラルウールのエージング耐性を改善する観点での、添加剤としてのグリセロールの使用方法に関する。
【0021】
この目的のために、グリセロールをアクリルまたはアクリレートのサイズ剤、すなわちすぐに使用できる溶液に、約2から20重量%の濃度、特に5から10重量%の濃度で加えることが好ましい。
【0022】
したがって、グリセロールの添加は、厚さ回復を少なくとも5%、特に約10%まで、たわみを約10から40%、より具体的には約30%まで改善する。
【0023】
厚さ回復は、包装、貯蔵および輸送によるすべての圧縮プロセスを考慮して、ミネラルウール製品が圧縮力を除去した後に使用場所でその最終厚さを達成するために製造の間に有していなければならない厚さ過剰分の尺度である。
【0024】
例えば、屋根のたるき間の断熱のためのミネラルウールの積層ロールが約140mmの要求厚さを有していなければならない場合、それを例えば約155mmのかなり厚い厚さで製造し、設置される場所で巻きを解いた後に目標の140mmの厚さを有するようにしなければならない。実際には製品は製造された後にもともと持っていた厚さに回復する。この効果の説明は、製造の間に弾性特性がファイバーに与えられ、これらの特性が、一方ではファイバーの純粋に機械的なからみ合いによるものであり、他方ではサイズ剤とその添加剤のような添加剤によるものであり、このことは架橋したウールを輸送上の要求のために比較的多量に圧縮する、すなわちそれを圧縮するとその結果ある程度の弾性を失うことを意味するという事実に基づく。
【0025】
本発明はこの場合に特定の長所を有する。厚さ回復の文脈における必要な厚さ過剰分は、もちろん製品中により多量のファイバーを伴う。経済的な観点から、60000ないし90000トンのミネラルファイバーの年間製造を基にすると、「厚さ回復」効果を達成するためには、このような厚さ過剰分はかなりのトン数になる。
【0026】
本発明者による計算は、アクリルサイズ剤をグリセロールによって改良することにより、製品の製造したままの厚さに依存してわずかに5%の厚さ回復の増加に対して4重量%までのファイバー材料を節約できることを示している。1年あたり75000トンの平均製造量に対して、これは約3000トンの材料の年間節約量を意味している。
【0027】
サイズ剤の組成物に用いられるアクリルポリマーは、アクリル酸ポリマーまたはアクリル酸と他のエチレン性不飽和モノマー、特に無水マレイン酸とのコポリマーであろう。
【0028】
特に適していることがわかっているホルムアルデヒドフリーのサイズ剤は、エチレン性不飽和ジカルボン酸(カルボン酸基がポリマーの5ないし100重量%からなる含有量で無水物基を形成することができる)、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むアルカノールアミン、およびポリマーとアルカノールアミンの全重量に対して1.5重量%未満のリン含有促進剤のラジカル重合により得られるポリマーを含む。このようなサイズ剤は、例えば、LudwigshafenのBASFからACRODUR(登録商標)の商品名で入手できる。
【0029】
本発明の他の利点および特徴を以下の例および図面で示す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】フェノール−ホルムアルデヒド樹脂をベースとする参照サイズ剤、グリセロールを添加していないアクリレートサイズ剤、種々の割合のグリセロールを含む同じアクリレートサイズ剤について、温度の関数としての弾性率の変化を示す図。
【図2】たわみを測定するための試験装置を示す図。
【0031】
例1
市販のアクリレート樹脂をサイズ剤の製造に用いた。本例においては、LudwigshafenのBASFから得られる樹脂ACRODUR DS 3530である。これに、サイズ油およびシランを添加した(表1)。
【表1】

【0032】
サイズ剤溶液のpHは3.3であった。
【0033】
グリセロールの効果を以下に説明する。
【0034】
1. サイズ剤の特性(弾性特性)
サイズ剤の反応性とバインダーの特性を、本出願人によって開発された動的機械的分析[DMA](ポリマーの粘弾性を決定することが可能である)により測定した。
【0035】
ろ紙(ホワットマンGF/C)をサイズ剤で含浸し、固定した爪(jaw)の間に水平に保持した。変形の関数としての張力を測定するための可動ヘッドをろ紙の上面近くに配置した。これらの測定から弾性率を計算できる。
【0036】
含浸したろ紙を、20℃から出発して5℃/minの速度で300℃まで加熱した。温度の関数としての弾性率E(単位Pa)を図1に示す。測定方法は、2004年4月16日に公開されたFR0304750に詳細に記載されており、これは参照として本明細書に組み込まれている。
【0037】
この方法は、サイズ剤の粘弾性と熱反応特性を、ミネラルウール産業において用いられているフェノール−ホルムアルデヒド樹脂をベースとする従来のサイズ剤のこれらと比較するのに非常に適している。この比較は重要である。というのは、製造プロセスは、条件をフェノール−ホルムアルデヒド樹脂の架橋に調整したオーブンを用い、実際的な観点から、特性プロフィールがこれら条件からかなり異なる場合には信頼性のある結果を得ることができず、これらの条件下では方法を最適化することが困難であるからである。
【0038】
図1に見られるように、調べた架橋サイズ剤の弾性率の測定は、アクリレートサイズ剤に対するグリセロールの添加[95/5 ACRODUR(登録商標)DS3530/グリセロール](固形分基準)により、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂[樹脂R150]の粘弾性に近づく傾向があることを示している。10%グリセロールの使用[90/10 ACRODUR(登録商標)DS3530/グリセロール]は同様の効果を有する。一方、グリセロール無添加のアクリレートサイズ剤[ACRODUR(登録商標)3530]は従来のフェノールホルムアルデヒドサイズ剤からかなり変化した弾性特性を有する。
【0039】
表1から解釈される、弾性率による架橋の分析は、グリセロールの添加が粘度および架橋性をフェノール樹脂のそれらに合わせられることを示している。
【0040】
2. ミネラルウールをベースとする製品の特性
製造ラインでの実際の試験を、グリセロールを含まないものと、5%の添加グリセロール含有量のものという、2つのサイズ剤に限定した。
【0041】
通常のように、サイズ剤を、フード内で、収集する前のまだ熱いファイバー上にスプレーした。
【0042】
これらの2種のサイズ剤を含む製品の特性を、従来のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂でサイジングした製品のそれらと比較した。
【0043】
2.1 未加工ファイバーマットの水分含有量
オーブンに入れる前の、未加工ファイバーマットの水分含有量(表2)は、グリセロールの添加により増加した。5%のグリセロールの添加による、約15%の未加工ファイバーマットの水分含有量のこの増加は、ファイバーの変位とからみ合いをある機械的状態に固定する目的で、オーブン中において湿潤粘着状態を通してファイバー間の接触点を安定化させるにちがいないサイズ剤の早すぎる乾燥を防止する。
【表2】

【0044】
2.2 機械的特性
グリセロールの添加は、機械的特性、特にエージングに対して好ましい効果を有していた。加速エージング試験の結果を表3に示す。
【表3】

【0045】
表3において、「CA/2」および「屋外貯蔵後」の試験は、以下のように実施した。
【0046】
−CA/2:ミネラルウール系製品を35℃の温度、95%の相対湿度、34℃の露点で48時間処理した後、たわみと厚さ回復をエージング条件の代表であるDIN 18165−1規格に従って測定した。
【0047】
−屋外貯蔵:ミネラルウール系製品を屋外で12週間貯蔵してから、たわみと厚さ回復を測定した。
【0048】
たわみ測定を、本出願人の内部的な方法に従って実施した。図2に模式的に示す。図2において、上方部分が適切な試験装置の断面図であり、下方部分が装置の平面図である。
【0049】
パネルを配送状態で試験し(それぞれの場合に3個のパネル)、フェルトを1000mm×≦600mmの大きさの試料(フェルトの幅に沿ってロールあたり1から2個の試料)の形態で試験した。試験の前に、試料1を48時間DIN 50014規格に規定されているように標準雰囲気で予備処理した。たわみ測定のために、試料1を適切なサイズの表面2の上部に水平位置で配置し、一端3が450mmの長さにわたってテーブル4の端を超えてフリーに延長するようにした。次に、負荷プレート5を、プレート5の前端が表面4の端と同一面となるように試料上に配置した。パネルの場合にはプレートは625mm×500mmの寸法と6.25kgの質量を有し(0.2kN/m2の負荷に相当する)、フェルトの場合には同一の寸法と3.125kgの質量を有する(0.1kN/m2の負荷に相当する)。各々の試料1に関して試料の中心6で上面と底面で4回の測定を実施し、その後、試料を垂直軸の周りに180°回転させ、再び示した通りに分析した。4回の測定の平均値が、たわみ7(mm単位)を表す。
【0050】
表1および表3で用いているACRODUR(登録商標)という用語は、型番ACRODUR(登録商標)3530で市販されているLudwigshafenのBASFからのアクリレートサイズ剤を意味する。明らかであるが、当業者であればポリオールで架橋されるアクリレートをベースとする全てのホルムアルデヒドフリーの水性サイズ剤を本発明の文脈で用いることができることがわかる。
【0051】
表3からわかるように、ACRODUR(登録商標)のたわみ値は、添加グリセロールを含まないアクリレートサイズ剤に対して15から39%まで改善している。
【0052】
5%添加グリセロールを含むアクリレートバインダーの場合のたわみは、すべての場合に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂をベースとする従来のサイズ剤のたわみに等しい(表3、屋外貯蔵後のたわみ)、またはある場合にはより良好である(表3、CA/2の場合のたわみ)こともわかるであろう。
【0053】
さらに、規格DIN EN 13501、第1部による建材の分類(火災挙動)が、従来のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂をベースとするサイズ剤による製品のそれを下回らないという事実も特有の利点である。
【0054】
第2の特性、すなわち表3に示される「厚さ回復」(エージングに依存しない)に関しては、5%グリセロールを添加したアクリレートサイズ剤の厚さ回復値はフェノール樹脂バインダーを含むミネラルウールをベースとする製品の値よりわずかに劣っているといえるであろう。しかし、グリセロールを含まないACRODUR(登録商標)アクリレートサイズ剤と比較すると、厚さ回復値は5から6%まで改善している。このことは、本発明において説明したように、ファイバー材料に関してでかなりの節約を意味している。
【0055】
例2
2種の樹脂、即ち、ポリアクリル樹脂(樹脂A、Rohm & Haasにより販売されている)およびアクリル酸/無水マレイン酸コポリマーを含む樹脂(樹脂B、BASFにより販売されている)をサイズ剤の調製のために用い、これらにシランと水を添加した。場合に応じて、グリセロールを、100部の樹脂Aあたり3から5部、および100部の樹脂Bあたり5から10部の量で添加した(固形分の重量で計算した)。
【0056】
サイズ剤は、ファイバー化スピナーの下に配置したスプレーリングにより、公知技術の内的遠心(internal centrifugation)により得られたガラスファイバー上にスプレーし、サイズ組成物を形成されたグラスウール上に均一に分布させた。
【0057】
そのようにサイジングしたミネラルウールを、内部サクションボックスを備えたベルトコンベア上に集めた。内部サクションボックスは、ウールをフェルトの形態でコンベアの表面上に保持する。その後、コンベアは、バインダーを形成するためのサイズ剤を重合させるのに適した温度に維持したオーブンを通過した。
【0058】
得られた製品は、80mmの名目厚さを有するグラスウールフェルトであった。以下の測定を製品に関して行った。
【0059】
−厚さ回復(以下の方法による):製品を、6/1に等しい圧縮度(名目厚さの圧縮厚さに対する比と定義される)で、1、12、30および90日間圧縮した。厚さ回復は、圧縮力を除去した後の厚さの、名目厚さに対する比に相当する(a%と表現される)。
【0060】
−引張強度TS。製造後(TSman)、ならびに加速されたエージング後、すなわちオートクレーブ中、105℃の温度および100%の相対湿度で15分間(TS15)および45分間(TS45)。
【0061】
引張強度TSは、ASTM C 686−71T規格に従い、断熱製品からスタンピングにより切り出した試料に関して測定した。試料は、長さ122mm、幅46mmならびに外縁に沿った切片の曲率半径38mmおよび内縁に沿った切片の曲率半径12.5mmのトーラスの形態を有していた。
【0062】
試料を、試験機の2つの円筒形マンドレルの間に配置し、その一方を一定速度で動かした。試料の破壊強度(failure force)F(グラム力の単位)を測定し、破壊強度に対する試料の質量の比によって定義される引張強度TS(グラム力/g)を計算した。
【表4】

【0063】
表4の結果は、サイズ剤へのグリセロールの添加が、30日の厚さ回復と15分間のオートクレーブ処理後の引張強度を改善することを示している。
【0064】
まとめると、本発明は、ホルムアルデヒドを用いないことにより環境にやさしく、かつ品質を損なうことなく、すべての種類のミネラルウールをベースとする製品の製造に申し分なく役立つ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミネラルウール用のアクリル酸ポリマーまたはアクリレートポリマーをベースとするホルムアルデヒドフリーの水性サイズ剤であって、
−エチレン性不飽和ジカルボン酸のラジカル重合によって得られ、5ないし100重量%のポリマーからなる量のポリマーと、
−少なくとも2つのヒドロキシル基を含むアルカノールアミンと、
−ポリマーおよびアルカノールアミンの総重量に対して、1.5重量%未満のリン含有促進剤と、
−グリセロールと
を含むことを特徴とするサイズ剤。
【請求項2】
前記エチレン性不飽和ジカルボン酸のカルボン酸基が無水物基を形成することを特徴とする請求項1記載のサイズ剤。
【請求項3】
グリセロールの量がサイズ剤の約2ないし20重量%、好ましくは約5ないし10重量%であることを特徴とする請求項1または2記載のサイズ剤。
【請求項4】
さらに油およびシランを含むことを特徴とする請求項1ないし3のうち1項記載のサイズ剤。
【請求項5】
ミネラルウールを請求項1ないし4のうち1項記載のサイズ剤で結合したことを特徴とするミネラルウールをベースとする断熱製品。
【請求項6】
サイズ剤の硬化後に得られるミネラルウール製品のエージング耐性を改善するための、請求項1に記載の水性サイズ剤の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−202339(P2011−202339A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106320(P2011−106320)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【分割の表示】特願2007−517335(P2007−517335)の分割
【原出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(501085706)サン−ゴバン・イソベール (46)
【Fターム(参考)】