説明

ホルムアルデヒド捕捉剤及びそれを用いる木質材料

【課題】木質材料を変色させることがなく、優れたホルムアルデヒド捕捉性能を得ることができ、ホルムアルデヒドを再放出することのないホルムアルデヒド捕捉剤及びそれを用いる木質材料を提供する。
【解決手段】ホルムアルデヒド捕捉剤は、尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを含む。尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを、尿素/第1リン酸アンモニウム/第2リン酸アンモニウム=5〜45/0.5〜15/1〜20の範囲の重量比で含むことが好ましく、尿素/第1リン酸アンモニウム/第2リン酸アンモニウム=10〜35/1〜10/2〜15の範囲の重量比で含むことがさらに好ましい。木質材料は、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布してなる。前記ホルムアルデヒド捕捉剤は、乾燥重量で1〜50g/m2の範囲で塗布することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具、建材、保温材、緩衝材、断熱材、車両用内装材等から放散されるホルムアルデヒドを捕捉するホルムアルデヒド捕捉剤及びそれを用いる木質材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合板、パーティクルボード、繊維板等の木質材料の製造、あるいは前記木質材料を用いる家具、建材等の製造の際には、ホルムアルデヒド系接着剤が用いられることがある。この場合、前記家具、建材等からは、前記接着剤から遊離したホルムアルデヒドが放散されるが、近年、家屋の気密性が高くなるに従って、該ホルムアルデヒドによりシックハウス症候群等の健康被害が起きている。
【0003】
また、車両用シート等の車両用内装材の製造の際にも前記ホルムアルデヒド系接着剤が用いられることがある。この場合には、車室が一般家屋に比較して狭い上、一般家屋よりも格段に気密性が高いために、前記ホルムアルデヒドによる被害がより深刻である。
【0004】
また、これら以外にも保温材、緩衝材、断熱材等は、グラスウール、ロックウール等を前記ホルムアルデヒド系接着剤を用いて固定することにより製造されており、一般住宅を初め、ビル、工場、倉庫等の内装材として使用されている。これらの材料からも前記ホルムアルデヒドが放散されており、居室内部が僅かではあるが汚染されている。
【0005】
そこで、従来、前記ホルムアルデヒドを捕捉、分解するホルムアルデヒド捕捉剤が知られている。前記ホルムアルデヒド捕捉剤として、尿素が一般に知られている。
【0006】
前記尿素は、ホルムアルデヒド捕捉剤として安価であるものの、捕捉したホルムアルデヒドを、熱等による加水分解により再放出するという不都合がある。
【0007】
また、前記ホルムアルデヒド捕捉剤として、第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとからなるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0008】
しかしながら、第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとからなる前記従来のホルムアルデヒド捕捉剤は、十分なホルムアルデヒド捕捉性能を得られないことがある。
【0009】
また、前記ホルムアルデヒド捕捉剤として、尿素と、第1リン酸アンモニウム、第2リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウムから選択される少なくとも1種のアンモニウム塩とからなるアルデヒド消臭組成物が知られている(特許文献2参照)。
【0010】
しかしながら、特許文献2には、前記アルデヒド消臭組成物を木質材料に適用することについて具体的に記載されていない。
【特許文献1】特開2007−191575号公報
【特許文献2】特開2007−313300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、かかる事情に鑑み、木質材料を変色させることがなく、優れたホルムアルデヒド捕捉性能を得ることができ、ホルムアルデヒドを再放出することのないホルムアルデヒド捕捉剤を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明の目的は、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を用いた木質材料を提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するために、本発明のホルムアルデヒド捕捉剤は、尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを含むことを特徴とする。本発明のホルムアルデヒド捕捉剤は、尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを含むことにより、木質材料を変色させることがなく、優れたホルムアルデヒド捕捉性能を得ることができ、しかも、ホルムアルデヒドの再放出を抑制することができる。
【0014】
本発明のホルムアルデヒド捕捉剤は、尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを、尿素/第1リン酸アンモニウム/第2リン酸アンモニウム=5〜45/0.5〜15/1〜20の範囲の重量比で含むことが好ましい。尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとの重量比が前記範囲外である場合には、木質材料に塗布したときに、該木質材料の変色を避けることができないか、又は十分なホルムアルデヒド捕捉性能を得ることができないか、又はホルムアルデヒドの再放出を抑制することができないことがある。
【0015】
本発明のホルムアルデヒド捕捉剤は、尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを、尿素/第1リン酸アンモニウム/第2リン酸アンモニウム=10〜35/1〜10/2〜15の範囲の重量比で含むことがさらに好ましい。本発明のホルムアルデヒド捕捉剤は、尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとの重量比が前記範囲内にあることにより、特に優れたホルムアルデヒド捕捉性能を得ることができ、ホルムアルデヒドの放散量を著しく低減することができる。
【0016】
また、本発明のホルムアルデヒド捕捉剤は、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を水に溶解又は分散してなることが好ましい。本発明のホルムアルデヒド捕捉剤は、水に溶解又は分散することにより、木質材料に容易に塗布することができる。
【0017】
また、本発明の木質材料は、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布してなることを特徴とする。本発明の木質材料は、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を、乾燥重量が1〜50g/m2の範囲となるように塗布してなることが好ましい。前記ホルムアルデヒド捕捉剤の塗布量は、乾燥重量が1g/m2未満ではホルムアルデヒドの放散量を低減する効果を十分に得ることができないことがあり、50g/m2を超えると該ホルムアルデヒド捕捉剤の粉末が木質材料の表面に残り、外観品質を低減することがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0019】
本実施形態のホルムアルデヒド捕捉剤は、尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを含むものである。ここで、尿素は、試薬のみならず工業製品を使用することもできる。第1リン酸アンモニウムは、NH42PO4で示され、リン酸二水素アンモニウムとも呼ばれる。また、第2リン酸アンモニウムは、(NH42HPO4で示され、リン酸水素二アンモニウムとも呼ばれる。
【0020】
リン酸アンモニウム塩としては、さらに(NH43PO4で示される第3リン酸アンモニウムが考えられるが、第3リン酸アンモニウムは分解しやすく、利用することが難しい。
【0021】
本実施形態のホルムアルデヒド捕捉剤は、尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを、尿素/第1リン酸アンモニウム/第2リン酸アンモニウム=5〜45/0.5〜15/1〜20の範囲の重量比で含むことが好ましく、尿素/第1リン酸アンモニウム/第2リン酸アンモニウム=10〜35/1〜10/2〜15の範囲の重量比で含むことがさらに好ましい。本実施形態のホルムアルデヒド捕捉剤は、尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを、前記範囲で含むことにより、家具、建材等の木質材料に塗布したときに該木質材料を変色させることがなく、優れたホルムアルデヒド捕捉性能を得ることができ、しかも、ホルムアルデヒドの再放出を抑制することができる。
【0022】
本実施形態のホルムアルデヒド捕捉剤は、そのホルムアルデヒド捕捉性能を損なわない範囲で、他の公知のホルムアルデヒド捕捉剤、消臭剤が配合されていてもよく、界面活性剤、防腐剤、防菌剤、防黴剤、防虫剤、防蟻剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、防錆剤、染料、顔料、分散剤、消泡剤、凍結防止剤、弱酸金属塩、金属ハロゲン化物、増量剤、充填剤、合成樹脂エマルジョン等の各種配合剤が配合されていてもよい。
【0023】
前記公知のホルムアルデヒド消臭剤としては、例えば、パーライト、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、エチレン尿素、硫酸第一鉄とL−アスコルビン酸との結合体、ヒドラジド化合物、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、苛性ソーダ等を挙げることができる。また、前記界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤、スルホン酸型陰イオン界面活性剤、硫酸エステル型陰イオン界面活性剤、リン酸エステル型陰イオン界面活性剤等を挙げることができる。また、前記弱酸金属塩としては、例えば、酢酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等を挙げることができる。また、前記金属ハロゲン化物としては、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等を挙げることができる。また、前記増量剤、充填剤としては、例えば、結晶シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ等を挙げることができる。
【0024】
また、前記合成樹脂エマルジョンとしては、例えば、酢酸ビニル重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−バーサテート共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、アクリル酸エステル重合体エマルジョン、アクリル酸エステル−スチレン共重合体エマルジョン、塩化ビニル重合体エマルジョン、ウレタン重合体エマルジョン、シリコーン重合体エマルジョン、エポキシ重合体エマルジョン、ワックスエマルジョン、スチレン−ブタジエン共重合ラテックス、シリル化ウレタン共重合体エマルジョン等を挙げることができる。
【0025】
本実施形態のホルムアルデヒド捕捉剤は、イオン交換水に溶解して、例えば6.5〜50重量%の濃度の範囲の水溶液として、家具、建材等の木質材料、車両内装材等に塗布する。このとき、前記木質材料に対しては、乾燥重量が1〜50g/m2の範囲となるように塗布することが好ましい。前記木質材料に対して、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を、前記範囲の乾燥重量となるように塗布することにより、該木質材料を変色させることがなく、優れたホルムアルデヒド捕捉性能を得ることができ、しかも、ホルムアルデヒドの再放出を抑制することができる。
【0026】
尚、リン酸塩としては、前記第1乃至第3のリン酸アンモニウムに対応して、第1乃至第3リン酸ナトリウム、第1乃至第3リン酸カリウム等がある。しかし、第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを除く他のリン酸塩を、単独または相互に尿素と混合しても、木質材料に塗布したときに、該木質材料の変色を避けることができないか、又は十分なホルムアルデヒド捕捉性能を得ることができないか、又はホルムアルデヒドの再放出を抑制することができない。
【0027】
また、本実施形態のホルムアルデヒド捕捉剤は、粉末または該粉末の水溶液もしくは水分散液の形態に調製することができる。また、このホルムアルデヒド捕捉剤を適当な合成樹脂と混合することにより消臭性樹脂組成物とすることもできる。前記合成樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、メタアクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテルポリスルホン、ポリフェニレンエーテルポリスルフィド等の熱可塑性合成樹脂;SBR樹脂、NBR樹脂等の合成ゴム樹脂;エポキシ樹脂、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、マレイン酸樹脂、ケイ酸樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性合成樹脂;ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、でんぷん、デキストリン、コンスターチ、小麦粉、イソブチレン−無水マレイン酸共重合樹脂、ポリアクリルアミド樹脂等の水性高分子等を挙げることができる。
【0028】
次に、本発明の実施例及び比較例を示す。
【実施例1】
【0029】
本実施例では、尿素10重量部と、第1リン酸アンモニウム5重量部と、第2リン酸アンモニウム5重量部とを混合してホルムアルデヒド捕捉剤を調製した。
【0030】
次に、本実施例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤20重量部を、イオン交換水80重量部に溶解して、20重量%の濃度のホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0031】
次に、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料について、ホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定した。まず、前記ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を、木質材料として予め調製した試験材Aの両面に、各面に対する該ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液の塗布量が22.2g/m2となるように塗布した後に、1〜3日風乾させた。前記試験材Aは、乾燥重量で4.4g/m2の前記ホルムアルデヒド捕捉剤をその表面に塗布した木質材料となっている。
【0032】
次に、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した前記試験材Aのホルムアルデヒド放散量をJASのガラスデシケータ法により測定し、次式(1)により捕捉率を算出した。
【0033】
捕捉率(%)=(Fc−Fd)/Fc×100 …(1)
式中、Fcはホルムアルデヒド捕捉剤を塗布していない試験材Aのホルムアルデヒド放散量であり、Fdは前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した試験材Aのホルムアルデヒド放散量である。尚、Fcは、1.577mg/Lであった。
【0034】
前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した前記試験材Aのホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を表1に示す。
【0035】
前記試験材Aは、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂系接着剤を用いて、厚さ1.7mmの黄ラワンの両面に、厚さ0.7mmの黄ラワンを貼り合わせることにより調製した合板である。前記メラミン・ホルムアルデヒド樹脂系接着剤は、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂100重量部、小麦粉(赤花)18重量部、水10重量部、塩化アンモニウム1重量部の組成を備えている。また、前記メラミン・ホルムアルデヒド樹脂は、不揮発分59重量%、粘度0.22Pa・s(23℃)、pH9.0、密度1.200g/cm3、ゲル化時間15分(60℃)、遊離ホルムアルデヒド0.5重量%である。
【0036】
前記合板は、各黄ラワンの間に、その塗布量が311g/m2となるように前記メラミン・ホルムアルデヒド樹脂系接着剤を塗布した後、1MPaで30分間の冷圧と、125℃、1MPaで60秒間の熱圧とをかけて接着した。この結果、前記合板は、ホルムアルデヒドの放散量がJASに定められたホルムアルデヒド放散量基準でF☆☆(平均値1.5mg/L、最大値2.1mg/L)となった。
【0037】
次に、前記ホルムアルデヒド捕捉剤について、ホルムアルデヒドの再放出の有無を判定した。まず、前記ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を、ポリエチレンテレフタレート樹脂製不織布(東洋紡績株式会社製、商品名:H3501AD)に、各面に対する該ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液の塗布量が30g/m2となるように塗布した後、80℃で30分間乾燥させた。次に、前記不織布を9cm角に裁断することにより、試験片を調製した。
【0038】
次に、前記試験片を、ホルムアルデヒドの濃度が40〜50ppmである2.5Lの三角フラスコに入れ、2時間放置した。前記放置の間、1時間ごとに、三角フラスコ内のホルムアルデヒド濃度を測定し、前記試験片に塗布された前記ホルムアルデヒド捕捉剤により、三角フラスコ内のホルムアルデヒドが完全に吸収されたことを確認した。前記ホルムアルデヒド濃度の測定は、検知管式気体測定器(株式会社ガステック製、商品名:GV−100S型)及びホルムアルデヒド用検知管(株式会社ガステック製、商品名:91L、測定範囲0.1〜40.0ppm、又は商品名:91LL、測定範囲0.05〜1.0ppm)を用いて行った。
【0039】
次に、ホルムアルデヒドが吸収された前記試験片を0.5Lの三角フラスコに移し、乾燥機により40℃で2時間乾燥した後に、三角フラスコ内のホルムアルデヒド濃度を前記検知管により測定することにより、該試験片におけるホルムアルデヒドの再放出の有無を判定した。結果を表1に示す。表1において、○は再放出がないことを示し、×は再放出があることを示す。
【0040】
次に、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料について、変色の有無を判定した。まず、前記ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を、予め調製した試験材Bのブナ突き板の面に、該面に対する該ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液の塗布量が33.3g/m2となるように塗布した。次に、試験材Bの塗布面に、厚さ3mmのラワン合板を重ね合わせ、試験材B及び前記ラワン合板の各露出面に、水をその塗布量が22.2g/m2となるように塗布した。次に、試験材Bとラワン合板とを重ね合わせたものをビニル袋に入れて密封し、乾燥機により60℃で1日間加熱した。次に、ビニル袋から前記試験材Bを取り出し、目視により、該試験材Bの塗布面における木質材料の汚染(変色)の有無を判定した。表1において、○は変色がないことを示し、×は変色があることを示す。
【0041】
前記試験材Bは、第1の接着剤(株式会社オーシカ製、商品名:ファンシーボンドFB521−2)100重量部と、第2の接着剤(株式会社オーシカ製、商品名:ファンシーボンドFB520−1)50重量部と、小麦粉(青ウェーブ)50重量部と、水30重量部と、塩化アンモニウム0.5重量部とを混合して糊液を調製し、厚さ3mmのラワン合板に、前記糊液をその塗布量が111g/m2となるように塗布した後に、厚さ0.15mmのブナ突き板を貼り合わせ、その後120℃、0.7MPaで50秒間の熱圧をかけて接着することにより調製した合板である。
【実施例2】
【0042】
本実施例では、尿素10重量部と、第1リン酸アンモニウム7重量部と、第2リン酸アンモニウム3重量部とを混合してホルムアルデヒド捕捉剤を調製した以外は、実施例1と全く同一にして、ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0043】
次に、本実施例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表1に示す。
【実施例3】
【0044】
本実施例では、尿素10重量部と、第1リン酸アンモニウム2重量部と、第2リン酸アンモニウム8重量部とを混合してホルムアルデヒド捕捉剤を調製した以外は、実施例1と全く同一にして、ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0045】
次に、本実施例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
本比較例では、尿素20重量部のみを用いてホルムアルデヒド捕捉剤を調製した以外は、実施例1と全く同一にして、ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0046】
次に、本比較例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
本比較例では、第1リン酸アンモニウム5重量部と、第2リン酸アンモニウム5重量部とのみを混合してホルムアルデヒド捕捉剤を調製した。次に、本比較例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤10重量部を、イオン交換水90重量部に溶解して、10重量%の濃度のホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0047】
次に、本比較例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた点と、該ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を、ホルムアルデヒド捕捉剤の塗布量が乾燥重量で2.2g/m2となるように試験材Aに塗布した点とを除いて、実施例1と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
本比較例では、第1リン酸アンモニウム7重量部と、第2リン酸アンモニウム3重量部とのみを混合してホルムアルデヒド捕捉剤を調製した以外は、比較例2と全く同一にして、ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0048】
次に、本比較例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた以外は、比較例2と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表1に示す。
〔比較例4〕
本比較例では、第1リン酸アンモニウム2重量部と、第2リン酸アンモニウム8重量部とのみを混合してホルムアルデヒド捕捉剤を調製した以外は、比較例2と全く同一にして、ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0049】
次に、本比較例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた以外は、比較例2と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
表1から、尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとからなり、三者の合計が20重量部である実施例1〜3のホルムアルデヒド捕捉剤によれば、F☆☆の木質材料に塗布したときに、木質材料を変色させることがなく、優れたホルムアルデヒド捕捉性能を得ることができ、しかも、ホルムアルデヒドの再放出を抑制することができることが明らかである。一方、第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを含まず、尿素20重量部のみからなる比較例1のホルムアルデヒド捕捉剤によれば、前記木質材料を変色させることはないものの、実施例1〜3のホルムアルデヒド捕捉剤と比較してホルムアルデヒド捕捉性能が低い上に、ホルムアルデヒドの再放出を抑制することができないことが明らかである。また、尿素を含まず、第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとからなり、二者の合計が10重量部である比較例2〜4のホルムアルデヒド捕捉剤によれば、前記木質材料を変色させることがなく、ホルムアルデヒドの再放出を抑制することができるものの、実施例1〜3のホルムアルデヒド捕捉剤と比較してホルムアルデヒド捕捉性能が非常に低いことが明らかである。
【実施例4】
【0052】
本実施例では、尿素10重量部と、第1リン酸アンモニウム1重量部と、第2リン酸アンモニウム4重量部とを混合してホルムアルデヒド捕捉剤を調製した。次に、本実施例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤15重量部を、イオン交換水85重量部に溶解して、15重量%の濃度のホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0053】
次に、本実施例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた点と、該ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を、ホルムアルデヒド捕捉剤の塗布量が乾燥重量で3.3g/m2となるように試験材Aに塗布した点とを除いて、実施例1と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表2に示す。
【実施例5】
【0054】
本実施例では、尿素10重量部と、第1リン酸アンモニウム3.5重量部と、第2リン酸アンモニウム1.5重量部とを混合してホルムアルデヒド捕捉剤を調製した以外は、実施例4と全く同一にして、ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0055】
次に、本実施例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた以外は、実施例4と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表2に示す。
〔比較例5〕
本比較例では、尿素15重量部のみを用いてホルムアルデヒド捕捉剤を調製した以外は、実施例4と全く同一にして、ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0056】
次に、本比較例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた以外は、実施例4と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表2に示す。
【0057】
【表2】

【0058】
表2から、尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとからなり、三者の合計が15重量部である実施例4,5のホルムアルデヒド捕捉剤によれば、F☆☆の木質材料に塗布したときに、木質材料を変色させることがなく、優れたホルムアルデヒド捕捉性能を得ることができ、しかも、ホルムアルデヒドの再放出を抑制することができることが明らかである。一方、第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを含まず、尿素15重量部のみからなる比較例5のホルムアルデヒド捕捉剤によれば、前記木質材料を変色させることはないものの、実施例4,5のホルムアルデヒド捕捉剤と比較してホルムアルデヒド捕捉性能が低い上に、ホルムアルデヒドの再放出を抑制することができないことが明らかである。
【実施例6】
【0059】
本実施例では、尿素10重量部と、第1リン酸アンモニウム3重量部と、第2リン酸アンモニウム12重量部とを混合してホルムアルデヒド捕捉剤を調製した。次に、本実施例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤25重量部を、イオン交換水75重量部に溶解して、25重量%の濃度のホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0060】
次に、本実施例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた点と、該ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を、ホルムアルデヒド捕捉剤の塗布量が乾燥重量で5.5g/m2となるように試験材Aに塗布した点とを除いて、実施例1と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表3に示す。
【実施例7】
【0061】
本実施例では、尿素10重量部と、第1リン酸アンモニウム10重量部と、第2リン酸アンモニウム10重量部とを混合してホルムアルデヒド捕捉剤を調製した。次に、本実施例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤30重量部を、イオン交換水70重量部に溶解して、30重量%の濃度のホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0062】
次に、本実施例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた点と、該ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を、ホルムアルデヒド捕捉剤の塗布量が乾燥重量で6.6g/m2となるように試験材Aに塗布した点とを除いて、実施例1と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表3に示す。
【0063】
【表3】

【0064】
表3から、尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとからなり、三者の合計が25重量部である実施例6のホルムアルデヒド捕捉剤と、三者の合計が30重量部である実施例7のホルムアルデヒド捕捉剤とによれば、F☆☆の木質材料に塗布したときに、木質材料を変色させることがなく、優れたホルムアルデヒド捕捉性能を得ることができ、しかも、ホルムアルデヒドの再放出を抑制することができることが明らかである。
【実施例8】
【0065】
本実施例では、尿素30重量部と、第1リン酸アンモニウム5重量部と、第2リン酸アンモニウム5重量部とを混合してホルムアルデヒド捕捉剤を調製した。次に、本実施例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤40重量部を、イオン交換水60重量部に溶解して、40重量%の濃度のホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0066】
次に、本実施例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた点と、該ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を、ホルムアルデヒド捕捉剤の塗布量が乾燥重量で8.8g/m2となるように試験材Aに塗布した点とを除いて、実施例1と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表4に示す。
【実施例9】
【0067】
本実施例では、尿素30重量部と、第1リン酸アンモニウム7重量部と、第2リン酸アンモニウム3重量部とを混合してホルムアルデヒド捕捉剤を調製した以外は、実施例8と全く同一にして、ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0068】
次に、本実施例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた以外は、実施例8と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表4に示す。
【実施例10】
【0069】
本実施例では、尿素30重量部と、第1リン酸アンモニウム2重量部と、第2リン酸アンモニウム8重量部とを混合してホルムアルデヒド捕捉剤を調製した以外は、実施例8と全く同一にして、ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0070】
次に、本実施例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた以外は、実施例8と全く同一にして、該ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表4に示す。
〔比較例6〕
本比較例では、尿素40重量部のみを用いてホルムアルデヒド捕捉剤を調製した以外は、実施例8と全く同一にして、ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0071】
次に、本比較例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた以外は、実施例8と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表4に示す。
〔比較例7〕
本比較例では、尿素30重量部と、第2リン酸アンモニウム10重量部とのみを混合してホルムアルデヒド捕捉剤を調製した以外は、実施例8と全く同一にして、ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0072】
次に、本比較例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた以外は、実施例8と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表4に示す。
【0073】
【表4】

【0074】
表4から、尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとからなり、三者の合計が40重量部である実施例8〜10のホルムアルデヒド捕捉剤によれば、F☆☆の木質材料に塗布したときに、木質材料を変色させることがなく、優れたホルムアルデヒド捕捉性能を得ることができ、しかも、ホルムアルデヒドの再放出を抑制することができることが明らかである。一方、第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを含まず、尿素40重量部のみからなる比較例6のホルムアルデヒド捕捉剤によれば、前記木質材料を変色させることはないものの、実施例8〜10のホルムアルデヒド捕捉剤と比較してホルムアルデヒド捕捉性能が低い上に、ホルムアルデヒドの再放出を抑制することができないことが明らかである。また、第1リン酸アンモニウムを含まず、尿素と第2リン酸アンモニウムとからなり、二者の合計が40重量部である比較例7のホルムアルデヒド捕捉剤によれば、実施例8〜10と同程度の優れたホルムアルデヒド捕捉性能を得ることができる上に、ホルムアルデヒドの再放出を抑制することができるものの、前記木質材料の変色を防止することができないことが明らかである。
【実施例11】
【0075】
本実施例では、実施例2と全く同一にして、ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0076】
次に、本実施例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた点と、木質材料として試験材Aに代えて試験材Cに塗布した点を除き、実施例1と全く同一にして、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定した。尚、前記Fcは、0.478mg/Lであった。
【0077】
前記試験材Cは、前記試験材Aの調製の際に用いた前記メラミン・ホルムアルデヒド樹脂系接着剤に代えて、該メラミン・ホルムアルデヒド樹脂系接着剤の組成に加えて尿素7重量部を含む組成を備えるメラミン・ホルムアルデヒド樹脂系接着剤を用いた点を除き、該試験材Aと同一の構成を備える合板である。前記合板は、前記試験材と全く同一にして接着された結果、ホルムアルデヒドの放散量がJASに定められたホルムアルデヒド放散量基準でF☆☆☆(平均値0.5mg/L、最大値0.7mg/L)となった。
【0078】
次に、実施例1と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表5に示す。
【実施例12】
【0079】
本実施例では、実施例3と全く同一にして、ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0080】
次に、本実施例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた以外は、実施例11と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表5に示す。
〔比較例8〕
本比較例では、比較例2と全く同一にして、ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0081】
次に、本比較例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた点と、該ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を、ホルムアルデヒド捕捉剤の塗布量が乾燥重量で2.2g/m2となるように試験材Cに塗布した点とを除いて、実施例11と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表5に示す。
〔比較例9〕
本比較例では、比較例4と全く同一にして、ホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を調製した。
【0082】
次に、本比較例で得られたホルムアルデヒド捕捉剤水溶液を用いた以外は、比較例8と全く同一にして、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料のホルムアルデヒド放散量及び捕捉率を測定すると共に、該ホルムアルデヒド捕捉剤のホルムアルデヒドの再放出の有無と、該ホルムアルデヒド捕捉剤を塗布した木質材料の汚染(変色)の有無とを判定した。結果を表5に示す。
【0083】
【表5】

【0084】
表5から、尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとからなり、三者の合計が20重量部である実施例11,12のホルムアルデヒド捕捉剤によれば、F☆☆☆の木質材料に塗布したときに、木質材料を変色させることがなく、優れたホルムアルデヒド捕捉性能を得ることができ、しかも、ホルムアルデヒドの再放出を抑制することができることが明らかである。一方、尿素を含まず、第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとからなり、二者の合計が10重量部である比較例8,9のホルムアルデヒド捕捉剤によれば、前記木質材料を変色させることがなく、ホルムアルデヒドの再放出を抑制することができるものの、実施例11,12のホルムアルデヒド捕捉剤と比較してホルムアルデヒド捕捉性能が低いことが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを含むことを特徴とするホルムアルデヒド捕捉剤。
【請求項2】
尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを、尿素/第1リン酸アンモニウム/第2リン酸アンモニウム=5〜45/0.5〜15/1〜20の範囲の重量比で含むことを特徴とする請求項1記載のホルムアルデヒド捕捉剤。
【請求項3】
尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを、尿素/第1リン酸アンモニウム/第2リン酸アンモニウム=10〜35/1〜10/2〜15の範囲の重量比で含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のホルムアルデヒド捕捉剤。
【請求項4】
前記ホルムアルデヒド捕捉剤を水に溶解又は分散してなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のホルムアルデヒド捕捉剤。
【請求項5】
尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを含むホルムアルデヒド捕捉剤を塗布してなることを特徴とする木質材料。
【請求項6】
前記ホルムアルデヒド捕捉剤を、乾燥重量が1〜50g/m2の範囲となるように塗布してなることを特徴とする請求項5記載の木質材料。
【請求項7】
前記ホルムアルデヒド捕捉剤は、尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを、尿素/第1リン酸アンモニウム/第2リン酸アンモニウム=5〜45/0.5〜15/1〜20の範囲の重量比で含むことを特徴とする請求項5又は6記載の木質材料。
【請求項8】
前記ホルムアルデヒド捕捉剤は、尿素と第1リン酸アンモニウムと第2リン酸アンモニウムとを、尿素/第1リン酸アンモニウム/第2リン酸アンモニウム=10〜35/1〜10/2〜15の範囲の重量比で含むことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の木質材料。

【公開番号】特開2010−6961(P2010−6961A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168360(P2008−168360)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000205742)株式会社オーシカ (40)
【出願人】(500242384)出光テクノファイン株式会社 (55)
【Fターム(参考)】