説明

ホログラフィックフィルムの製造方法

本発明は、成分として、マトリックスポリマー、書込モノマー、光開始剤系、必要に応じて非光重合性成分、および必要に応じて触媒、ラジカル安定剤、溶媒、添加剤および他の補助剤および/または添加剤を含むフォトポリマー処方物を供給する、ホログラフィックフィルムの製造方法に関する。フォトポリマー処方物を、フィルムの形態で担体フィルム上へ平面的に塗布し、およびフォトポリマー処方物を、温度60<T<120℃にて担体フィルム上へ乾燥させ、化合物は、フォトポリマー処方物のための成分として選択され、TGA95値は>100℃であり、および温度Tより少なくとも30℃高く、≧0.030MPaの平坦弾性率を有するフォトポリマー処方物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィックフィルムの製造方法および該方法により得られるホログラフィックフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばホログラフィックフィルムは、特別なフォトポリマー処方物により製造することができる。従って、例えばWO2008/125199A1は、ポリウレタン系マトリックスポリマー、アクリレート系書込(writing)モノマーおよび光開始剤を含有するフォトポリマー処方物を記載する。フォトポリマー処方物の層が硬化する場合、書込モノマーおよび光開始剤は、得られるポリウレタンマトリックス中へ間隙を介して等方的分布により組み込まれる。こうして、ホログラムを光への暴露により組み込むことができるフィルムが得られる。
【0003】
これは、2つのコヒーレント光源の重ね合わせにより行われ、通常、屈折率の部位変化(屈折率変調Δn)により描写することができる3次元構造が媒体中に形成される。このような構造は、ホログラムと呼ばれ、回折光学素子と記載することもできる。このようなホログラムにより果たされる光学機能は、光への特定の暴露に依存する。
【0004】
フォトポリマー処方物の使用について、フォトポリマーにおける光へのホログラフィック暴露により作られた屈折率変調Δnは、重要な役割を果たす。光へのホログラフィック暴露中に、信号光ビームおよび参照光ビームの干渉場(最も簡単な場合では、2つの平面波の干渉場)は、例えば高屈折アクリレートの局所的光重合により屈折率格子における干渉場中の高強度の部位において形成される。フォトポリマー(ホログラム)中の屈折率格子は、信号光ビームの全ての情報を含む。次いで、ホログラムを参照光ビームへのみ暴露することにより、信号を再現(reconstruct)することができる。この方法により入射参照光の強度に関して再現された信号の強度は、以下、回折効率またはDEと称される。2つの平面波の重なりから形成されるホログラムの最も簡単な場合において、DEは、再現において回折した光の強度と入射参照光および回折光の強度の合計との割合から得られる。DEが高いほど、ホログラムは、信号を一定の明るさで可視化するために必要な参照光の量に対してより効率的である。
【0005】
高屈折アクリレートは、低い屈折率を有する領域と高い屈折率を有する領域の間に高い振幅を有する屈折率格子を生成することが可能であり、従って、フォトポリマー処方物における高いDEおよびΔnを有するホログラムを可能にする。DEは、Δnおよびフォトポリマー層厚みdの積に依存することに注目すべきである。積が大きいほど、可能なDEは大きくなる(反射ホログラム)。ホログラムが可視的(再現)になる角度の範囲の幅は、例えば単色光への暴露の場合、層厚みdにのみ依存する。例えば白色光へのホログラムの暴露の場合、ホログラムの再現へ寄与することができるスペクトル領域の幅も、層厚みdにのみ依存する。dが小さいほど、各受容幅は大きくなる。
【0006】
容易に目に見える輝くホログラムを製造することが意図される場合、高いΔnおよび小さい厚みdが、特にDEができるだけ大きくなるように追求されるべきである。これは、Δnが大きいほど、輝くホログラムのための層厚みdを、DEの損失を伴わずに確立するために得られる許容度が大きくなることを意味する。従って、フォトポリマー処方物の最適化におけるΔnの最適化は、極めて重要である(P.Hariharan、Optical Holography、第2版、Cambridge University Press、1996年)。
【0007】
従って、ホログラフィックフィルムの製造に用いるフォトポリマー処方物の組成を変更することにより可能な限り高いΔnを実現する試みがなされてきた。しかしながら、実験室での実験により開発されたフォトポリマー処方物は、ホログラフィックフィルムの工業的製造について幾つかの場合に重要な問題を伴わずに用いることができないことが見出された。
【0008】
このような工業的製造方法は、例えば未だ公開されていない出願番号09001952.2を有する欧州特許出願に記載されている。この方法では、フォトポリマー処方物は、基材物質へ塗布され、次いで高温にて乾燥される。こうして、フィルムの形態でのホログラフィック媒体が得られる。
【0009】
実験室での実験により高いΔnについて最適化されたフォトポリマー処方物を上記の方法に使用する場合、一方では、十分な機械安定性を有さないフィルムが得られる場合が多く、塗布フォトポリマー処方物の破壊がロール上で巻き取る間に起こる。これは、フィルムが破壊されずにロールとして巻き取ることができないので、特に不利である。
【0010】
他方では、十分に機械的安定性を有するフィルムを用いることは確かに可能である。しかしながら、これらのフィルム中へ書き込まれるホログラムは、所望の高いΔn値を有さない。
【0011】
従って、これまで、必要な機械的安定性および強度をいずれも有し、高いΔn値を有するホログラムの書き込みに適した工業規模でのホログラフィックフィルムを製造することは、直接的に可能ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2008/125199号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願第09001952.2号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】P.Hariharan、「Optical Holography」、第2版、Cambridge University Press、1996年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、必要な機械的安定性および強度をいずれも有し、高いΔn値を有するホログラムの書き込みに適したホログラフィックフィルムを製造することが可能である(工業的)方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は、
i)成分として、
A)マトリックスポリマー、
B)書込モノマー、
C)光開始剤系、
D)必要に応じて、非光重合性成分、および
E)必要に応じて、触媒、フリーラジカル安定剤、溶媒、添加剤および他の補助剤および/または添加剤
を含むフォトポリマー処方物を供給し、
ii)フォトポリマー処方物を、フィルムとして基材へ広範囲に塗布し、および
iii)フォトポリマー処方物を、60<T<120℃の温度にて基材上で乾燥させ、
フォトポリマー処方物について選択された成分は、TGA95値が、>100℃であり、および温度Tより少なくとも30℃高い化合物のみであり、および≧30000Paの平坦弾性率を有するフォトポリマー処方物を用いることを特徴とするホログラフィックフィルムの製造方法により達成される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、被覆物質の予備処理(1〜5)、基材物質の概略的経路(8+9)、基材物質(6)への適用のための被覆装置(6)および引き続きの乾燥工程(7)の配置を含む典型的な被覆ユニットの概略的構成を示す。
【図2】図2は、マトリックスネットワークの硬化(左)および平坦挙動の試験(ωとは無関係のG’)(右)の変化を示す。
【図3】図3は、媒体の回折効率(DE)を測定したホログラフィック実験配置を示す。
【図4】図4は、角度離調ΔΩに対する、結合波理論に従うブラッグ曲線η(波線)、測定回折効率(黒丸)、および透過出力(黒線)のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明では、平坦弾性率は、未暴露フォトポリマー処方物の複素せん断弾性率(貯蔵弾性率とも称される)の実数部を意味すると理解される。
【0018】
フォトポリマー処方物の平坦弾性率は、特にフォトポリマー処方物の複素せん断弾性率をプレート−プレート形状での振動レオメーター中で測定することにより決定することができる。特に、マトリックス成分Aは、反応性成分(例えば2成分系)から構成される場合、フォトポリマー処方物のせん断弾性率における傾向を、時間の関数としてマトリックス成分の硬化時間にわたりモニターすることができ、その終わりに、平坦弾性率は、得られる複素せん断弾性率の実数部として生じる。平坦弾性率の計測を、より容易に行うことを可能とするために、フォトポリマー処方物における光開始剤系(成分C)を省くことができる。
【0019】
好ましくは、フォトポリマー処方物は、70<T<100℃の温度にて乾燥させることができる。
【0020】
個々の成分のTGA95値は、特に、各成分の試料の約10mgの量を70μLの容積を有するアルミニウムパン中へ計量投入し、小アルミニウムパンを熱天秤、好ましくはMettler−ToledoからのTG50熱天秤の炉へ導入し、試料の質量の損失を、開いた小アルミニウムパンにおいて20K/分の一定炉加熱速度にて計測し、炉の出発温度は30℃であり、終了温度は600℃であり、炉を、決定の間、200mL/分窒素流でフラッシュし、最初に計量した試料の量を基準に5重量%の試料の質量の損失が生じた温度を、各成分のTGA95値として決定することにより決定することができる。
【0021】
好ましくは、≧0.03MPaおよび≦1MPa、好ましくは≧0.05MPaおよび≦1MPa、特に好ましくは≧0.1MPaおよび≦1MPa、とりわけ好ましくは≧0.1MPaおよび≦0.6MPaの平坦モジュラスを有するフォトポリマー処方物を用いることができる。
【0022】
本発明の更なる好ましい実施態様によれば、積層フィルムを、工程iii)における乾燥後にフィルムへ適用することが意図される。次いで該フィルムを、好ましくは、積層性フィルムと共に巻き取ることができる。
【0023】
マトリックスポリマーは好ましくは、ポリウレタンであってよく、これは特に、イソシアネート成分a)とイソシアネート反応性成分b)とを反応させることにより得られる。
【0024】
さらに、フォトポリマー処方物は、ポリイソシアネート成分a)とイソシアネート反応性成分b)とを反応させることにより得られるマトリックスポリマー、化学線の作用下で、エチレン性不飽和化合物と重合により反応する基(放射線硬化性基)を有し、それ自体NCO基を含まず、書込モノマーB)として好ましい少なくとも2つの異なった化合物、光開始剤C)、フリーラジカル安定剤E)、必要に応じて触媒E)、必要に応じて助剤および添加剤E)を含む。
【0025】
イソシアネート成分a)は、好ましくはポリイソシアネートを含む。使用され得るポリイソシアネートは、1分子あたり平均2以上のNCO官能基を有する、それ自体当業者に既知の全ての化合物またはその混合物である。これらは、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族または脂環式の基礎を有し得る。不飽和基を含有するモノイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートを少量併用してもよい。
【0026】
例えばブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよびこれらの任意の所望の異性体含有量を有する混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/またはトリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートが適当である。
【0027】
また、ウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレットジオンおよび/またはイミノオキサジアジンジオン構造を有するモノマージ−またはトリイソシアネートの誘導体の使用も可能である。
【0028】
脂肪族および/または脂環式のジ−またはトリイソシアネートに基づくポリイソシアネートの使用が好ましい。
【0029】
特に好ましくは、成分a)のポリイソシアネートは、二量体化またはオリゴマー化された脂肪族および/または脂環式ジ−またはトリイソシアネートである。
【0030】
HDIおよび1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタンまたはその混合物に基づくイソシアヌレート、ウレットジオンおよび/またはイミノオキサジアジンジオンは極めて特に好ましい。
【0031】
同様に、ウレタン基、アロファネート基、ビウレット基および/またはアミド基を有するNCO官能性プレポリマーを成分a)として用いることができる。成分a)のプレポリマーは、当業者にそれ自体既知の方法で、モノマー、オリゴマーまたはポリイソシアネートa1)とイソシアネート反応性化合物a2)とを、触媒および溶媒を任意に使用して適当な化学量論により反応させることにより得られる。
【0032】
適当なポリイソシアネートa1)は、当業者に自体既知の全ての脂肪族、脂環式、芳香族または芳香脂肪族ジ−およびトリイソシアネートに基づくポリイソシアネートであり、これらがホスゲンを用いてまたはホスゲンを用いない方法により得られたかは重要ではない。さらに、当業者に自体既知のウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレットジオンまたはイミノオキサジアジンジオン構造を有するモノマージ−および/またはトリイソシアネートのより高い分子量の引き続きの生成物は、いずれの場合にも個々にまたは互いの任意の所望の混合物として用いることもできる。
【0033】
成分a1)として用いることができる適当なモノマージ−またはトリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(TIN)、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネートである。
【0034】
OH官能性化合物は、プレポリマーを合成するためのイソシアネート反応性化合物a2)として好ましく用いる。前記化合物は、成分b)について以下に記載のOH官能性化合物に類似する。
【0035】
a2)における好ましいOH官能性化合物は、200〜6200g/モルの数平均モル質量を有するポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールである。プロピレングリコールの割合が少なくとも40重量%を占める、エチレングリコールおよびプロピレングリコールに基づく2官能性ポリエーテルポリオール、および200〜4100g/モルの数平均モル質量を有するテトラヒドロフランのポリマーおよび200〜3100g/モルの数平均モル質量を有する脂肪族ポリエステルポリオールは特に好ましい。
【0036】
プロピレングリコールの割合が少なくとも80重量%を占めるエチレングリコールおよびプロピレングリコール(とりわけ純粋なポリプロピレングリコール)に基づく2官能性ポリエーテルポリオール、および200〜2100g/モルの数平均モル質量を有するテトラヒドロフランのポリマーは特に好ましい。ブチロラクトン、ε−カプロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトン(特にε−カプロラクトン)と2〜20個の炭素原子を含有する脂肪族、芳香脂肪族または脂環式2官能性、3官能性または多官能性アルコール(特に3〜12個の炭素原子を有する2官能性脂肪族アルコール)との付加物もまた極めて特に好ましい。これらの付加物は、好ましくは、200〜2000g/モル、特に好ましくは500〜1400g/モルの数平均モル質量を有する。
【0037】
アロファネートは、他のプレポリマーまたはオリゴマーと成分a1)との混合物として用いてもよい。この場合、1〜3の官能価を有するOH官能性化合物の使用は有利である。単官能性アルコールを用いる場合、3〜20個の炭素原子を有する単官能性アルコールが好ましい。
【0038】
プレポリマーの調製のためにアミンを用いることも可能である。例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノベンゼン、ジアミノビスフェニル、2官能性ポリアミン、例えばJeffamines(登録商標)、10000g/モルまでの数平均モル質量を有するアミン末端ポリマー、またはこれらの互いの任意の所望の混合物は適当である。
【0039】
ビウレット基を含有するプレポリマーの調製のために、過剰のイソシアネートをアミンと反応させ、ビウレット基を形成する。この場合、記載のジ−、トリ−およびポリイソシアネートとの反応のための適当なアミンは、上記の型の全てのオリゴマーまたはポリマーの第1級または第2級2官能性アミンである。脂肪族アミンおよび脂肪族イソシアネートに基づく脂肪族ビウレットは好ましい。脂肪族ジアミンまたは2官能性ポリアミンおよび脂肪族ジイソシアネート、特にHDIおよびTMDIに基づく2000g/モル未満の数平均モル質量を有する低分子量ビウレットは特に好ましい。
【0040】
好ましいプレポリマーは、200〜10000g/モルの数平均モル質量を有する脂肪族イソシアネート官能性化合物およびオリゴマーまたはポリマーのイソシアネート反応性化合物から得られるウレタン、アロファネートまたはビウレットであり、脂肪族イソシアネート官能性化合物および200〜6200g/モルの数平均モル質量を有するポリオールまたは3000g/モル未満の数平均モル質量を有する(ポリ)アミンから得られたウレタン、アロファネートまたはビウレットが特に好ましく、HDIまたはTMDIおよび200〜2100g/モルの数平均モル質量を有する2官能性ポリエーテルポリオール(ポリプロピレングリコール)から得られたアロファネート、ブチロラクトン、ε−カプロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトン(特にε−カプロラクトン)と、2〜20個の炭素原子を有し、500〜3000g/モル、特に好ましくは1000〜2000g/モルの数平均モル質量を有する脂肪族、芳香脂肪族または脂環式2官能性、3官能性または多官能性アルコール(特に3〜12個の炭素原子を有する2官能性脂肪族アルコールとの付加物(特に他のオリゴマーと2官能性脂肪族イソシアネートとの混合物として)に基づいて、HDIまたはTMDIから得られたウレタン、または2000および6200g/モルの間の数平均分子量を有する3官能性ポリエーテルポリオール(特にポリプロピレングリコール)に基づいてHDIまたはTMDIから得られたウレタン、およびHDIまたはTMDIと200〜1400g/モルの数平均分子量を有する2官能性アミンまたはポリアミン(特に他のオリゴマーと2官能性脂肪族イソシアネートとの混合物として)とから得られたビウレットが極めて特に好ましい。
【0041】
上記のプレポリマーは、好ましくは2重量%未満、特に好ましくは1.0重量%未満、極めて特に好ましくは0.5重量%未満の遊離モノマーイソシアネートの残渣含有量を有する。
【0042】
当然のことながら、イソシアネート成分は、記載のプレポリマーの他に比例的に更なるイソシアネート成分を含有し得る。この目的のために、芳香族、脂肪族、芳香脂肪族および脂環式ジ−、トリ−またはポリイソシアネートは適当であり、使用される。上記ジ−、トリ−またはポリイソシアネートの混合物を用いることも可能である。適当なジ−、トリ−またはポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよびこれらの任意の所望の異性体含有量を有する混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートまたはウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレットジオンまたはイミノオキサジアジン構造を有するこれらの誘導体およびこれらの混合物である。適当な方法により過剰のジイソシアネートが除かれたオリゴマー化および/または誘導体化ジイソシアネートに基づくポリイソシアネートは好ましいが、ヘキサメチレンジイソシアネートのものが特に好ましい。HDIのオリゴマーイソシアヌレート、ウレットジオンおよびイミノオキサジアジンジオンおよびこれらの混合物は特に好ましい。
【0043】
必要に応じて、イソシアネート成分a)が、イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物と部分的に反応したイソシアネートを比例的に含有することも可能である。本発明では、イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物として、α,β−不飽和カルボン酸誘導体、例えばアクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミドおよびビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテルおよびジシクロペンタジエニル単位を含有しおよび少なくとも1つのイソシアネートに対して反応性の基を有する化合物を好ましく使用し、これらは、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有するアクリレートおよびメタクリレートが特に好ましい。適当なヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレートは、例えば以下のような化合物である:2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、例えばTone(登録商標)M100(Dow、米国)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、多価アルコール、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、エトキシル化、プロポキシル化またはアルコキシル化されたトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールおよびこれらの工業用混合物のヒドロキシ官能性モノ−、ジ−またはテトラ(メタ)アクリレート。また、単独でのまたは上記モノマー化合物と組み合わせたアクリレート基および/またはメタクリレート基を含有するイソシアネート反応性オリゴマーまたはポリマー不飽和化合物は適当である。イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物と部分的に反応したイソシアネートの割合は、イソシアネート成分a)を基準に0〜99%、好ましくは0〜50%、特に好ましくは0〜25%、極めて特に好ましくは0〜15%である。
【0044】
必要に応じて、上記イソシアネート成分a)が、被覆技術から当業者に既知のブロック剤と完全にまたは部分的に反応したイソシアネートを完全にまたは比例的に含有することも可能である。ブロック剤の例として次のものが挙げられる:アルコール、ラクタム、オキシム、マロン酸エステル、アルキルアセトアセテート、トリアゾール、フェノール、イミダゾール、ピラゾールおよびアミン、例えばブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、1,2,4−トリアゾール、ジメチル−1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、マロン酸ジエチル、エチルアセトアセテート、アセトンオキシム、3,5−ジメチルピラゾール、ε−カプロラクタム、N−tert−ブチルベンジルアミン、シクロペンタノンカルボキシエチルエステルまたはこれらブロック剤の任意の所望の混合物。
【0045】
原則として、1分子当たり平均少なくとも1.5個のイソシアネート反応性基を有する全ての多官能性イソシアネート反応性化合物を、成分b)として用いることができる。
【0046】
本発明では、イソシアネート反応性基は、好ましくはヒドロキシル基、アミノ基またはチオ基であり、ヒドロキシ化合物は特に好ましい。
【0047】
適当な多官能性イソシアネート反応性化合物は、例えばポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレートおよび/またはポリウレタンポリオールである。
【0048】
さらに、低分子量を有する、すなわち、500g/モル未満の分子量を有する、短鎖、すなわち、2〜20個の炭素原子を含有する脂肪族、芳香脂肪族または脂環式ジ−、トリ−または多官能性アルコールも、成分b)の成分として、多官能性イソシアネート反応性化合物として適当である。
【0049】
これらは、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、ジエチルオクタンジオールの位置異性体、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸(2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルエステル)であり得る。適当なトリオールの例は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはグリセロールである。適当なより高い官能性のアルコールは、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリスリトールまたはソルビトールである。
【0050】
適当なポリエステルポリオールは、例えば脂肪族、脂環式または芳香族ジ−またはポリカルボン酸またはその無水物と≧2のOH官能価を有する多価アルコールとから既知の方法により得られるような直鎖ポリエステルジオールまたは分枝状ポリエステルポリオールである。
【0051】
このようなジ−またはポリカルボン酸または無水物の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはトリメリット酸および酸無水物、例えばo−フタル酸無水物、トリメリット酸無水物またはコハク酸無水物または任意の互いの所望の混合物である。
【0052】
このような適当なアルコールの例は、エタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールまたはテトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール−1,4、ブタンジオール−1,3、ブタンジオール−2,3、ペンタンジオール−1,5、ヘキサンジオール−1,6、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロールまたは互いの任意の所望のこれらの混合物である。
【0053】
好ましいポリエステルポリオールは、脂肪族アルコールおよび脂肪族および芳香族酸の混合物に基づき、500および10000g/モルの間の数平均モル質量および1.8および6.1の間の官能価を有する。
【0054】
特に好ましいポリエステルポリオールは、アジピン酸および/またはコハク酸のような脂肪族ジ−またはポリカルボン酸または無水物、または上記脂肪族ポリカルボン酸または無水物とテレフタル酸および/またはイソフタル酸のような芳香族ポリカルボン酸または無水物との混合物(芳香族ポリカルボン酸または無水物の割合は、好ましくは、用いるポリカルボン酸または無水物の全量を基準に50重量%未満(特に好ましくは30重量%未満)を占める)との組み合わせにおいて、脂肪族ジオール、例えばブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ネオペンチルグリコール、エタンジオール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジ−、トリ−またはポリエチレングリコール、ジ−、トリ−および/またはテトラプロピレングリコールまたは上記ジオールとより高い官能性の脂肪族アルコール、例えばトリメチロールプロパンおよび/またはペンタエリトリトール等との混合物(より高い官能性のアルコールの割合は、用いるアルコールの全量を基準に好ましくは50重量%未満(特に好ましくは30重量%未満)を占める)に基づく。特に好ましいポリエステルポリオールは、1000および6000g/モルの間の数平均モル質量および1.9および3.3の間の官能価を有する。
【0055】
ポリエステルポリオールは、天然原料、例えばヒマシ油等に基づいてよい。ポリエステルポリオールは、好ましくはラクトンまたはラクトン混合物の開環ラクトン重合による付加反応により得られるようなラクトン、例えばブチロラクトン、ε−カプロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトン等と、ヒドロキシ官能性化合物、例えば≧2のOH官能価を有する多価アルコールまたは上記種類の1.8を越える官能価を有するポリオール等とのホモ−またはコポリマーに基づくことも可能である。
【0056】
本発明では、スターターとして用いる好ましいポリオールは、1.8〜3.1の官能価および200〜4000g/モルの数平均モル質量を有するポリエーテルポリオールであり、1.9〜2.2の官能価および500〜2000g/モル(特に600〜1400g/モル)の数平均モル質量を有するポリ(テトラヒドロフラン)が特に好ましい。付加物がブチロラクトン、ε−カプロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトンである場合、ε−カプロラクトンが特に好ましい。
【0057】
上記ポリエステルポリオールは、400〜6000g/モル、特に800〜3000g/モルの数平均モル質量を好ましく有する。OH官能価は、1.8〜3.5、特に好ましくは1.9〜2.2である。
【0058】
適当なポリカーボネートポリオールは、有機カーボネートまたはホスゲンとジオールまたはジオール混合物との反応により、自体既知の方法により得られる。
【0059】
適当な有機カーボネートは、ジメチル、ジエチルおよびジフェニルカーボネートである。
【0060】
適当なジオールまたは混合物は、ポリエステルセグメントにおいて記載の、≧2のOH官能価を有する多価アルコール、好ましくは1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび/または3−メチルペンタンジオールを含み、またはポリエステルポリオールは、ポリカーボネートポリオールへ変換することができる。
【0061】
上記ポリカーボネートポリオールは、好ましくは400〜4000g/モル、特に好ましくは500〜2000g/モルの数平均モル質量を有する。これらのポリオールのOH官能価は、好ましくは1.8〜3.2、特に好ましくは1.9〜3.0である。
【0062】
適当なポリエーテルポリオールは、環式エーテルとOH−またはNH−官能性スターター分子との重付加物であり、重付加物は、必要に応じてブロック構造を有する。
【0063】
適当な環式エーテルは、例えばスチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリンおよびこれらの任意の所望の混合物である。
【0064】
用い得るスターターは、ポリエステルポリオールにおいて記載の≧2のOH官能価を有する多価アルコールおよび第1級アミンまたは第2級アミノおよびアミノアルコールである。
【0065】
好ましいポリエーテルポリオールは、専らプロピレンオキシドのみに基づく上記の型のポリエーテルポリオール、またはプロピレンオキシドと更なる1−アルキレンオキシドとに基づくランダムまたはブロックコポリマーであり、1−アルキレンオキシドの割合は80重量%以下である。プロピレンオキシドホモポリマーおよびオキシエチレン、オキシプロピレンおよび/またはオキシブチレン単位を有するランダムまたはブロックコポリマーは特に好ましく、オキシプロピレン単位の割合は、全オキシエチレンの全量を基準に少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも45重量%を占める。本発明では、オキシプロピレンおよびオキシブチレンは、全ての各直鎖および分枝状C3−およびC4−異性体を含む。
【0066】
このようなポリエーテルポリオールは、好ましくは250〜10000g/モル、特に好ましくは500〜8500g/モル、極めて特に好ましくは600〜4500g/モルの数平均モル質量を有する。OH官能価は、好ましくは1.5〜4.0、特に好ましくは1.8〜3.1、極めて特に好ましくは1.9〜2.2である。
【0067】
好ましく用いる特別なポリエーテルポリオールは、i=1〜10およびn=2〜8および1500g/モルを越える数平均分子量を有する型Y(Xi−H)のヒドロキシ官能性マルチブロックコポリマーを含むイソシアネート反応性成分から構成されるポリエーテルポリオールであり、セグメントXiはそれぞれ、式I:
−CH−CH(R)−O− 式I
〔式中、Rは、水素、置換されていてよい、またはヘテロ原子(例えばエーテル酸素等)により中断されていてよいアルキル基またはアリール基である〕
で示されるオキシアルキレン単位から構成され、Yは、基礎となるスターターであり、セグメントXiの割合は、セグメントXiおよびYの全量を基準に少なくとも50重量%を占める。
【0068】
外側ブロックXは、Y(X−H)の全モル質量の少なくとも50重量%、好ましくは66重量%であり、式Iで示されるモノマー単位から構成される。好ましくは、Y(X−H)におけるnは、数2〜6、特に好ましくは2または3、極めて特に好ましくは2である。好ましくは、Y(X−H)におけるiは、1〜6、特に好ましくは1〜3、極めて特に好ましくは1の数である。
【0069】
式Iでは、Rは、好ましくは水素、メチル基、ブチル基、ヘキシル基またはオクチル基またはエーテル基を含有するアルキル基である。好ましいエーテル基を含有するアルキル基は、オキシアルキレン単位に基づくエーテル基を含有するアルキル基である。
【0070】
マルチブロックコポリマーY(X−H)は、好ましくは1200g/モルを越え、特に好ましくは1950g/モルを越えるが、好ましくは12000g/モル以下、特に好ましくは8000g/モル以下の数平均分子量を有する。
【0071】
ブロックXは、もっぱら同じオキシアルキレン反復単位のホモポリマーであってよい。ブロックXは、異なったオキシアルキレン単位のランダム構造を有してもよいし、または異なったオキシアルキレン単位を含むブロック構造を有してもよい。
【0072】
好適には、セグメントXは、もっぱらプロピレンオキシドに基づくか、または別の1−アルキレンオキシドの割合が80重量%以下である、プロピレンオキシドと別の1−アルキレンオキシドとのランダム混合物またはブロック状混合物に基づく。
【0073】
プロピレンオキシドホモポリマーおよびオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレンのランダムコポリマーまたはブロックコポリマーが、セグメントXとして特に好ましく、オキシプロピレン単位の割合は、全てのオキシエチレン単位およびオキシプロピレン単位の総量を基準に少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも40重量%を占める。
【0074】
ブロックXは、更に後に記載するように、上記アルキレンオキシドの開環重合によって、n重ヒドロキシ−またはアミノ官能性スターターブロックY(H)に付加される。
【0075】
Y(X−H)中に50重量%未満、好ましくは34重量%未満の量で存在する内側ブロックYは、環状エーテルに基づくジヒドロキシ官能性および/または高級ヒドロキシ官能性ポリマー構造からなるか、またはジヒドロキシ官能性および/または高級ヒドロキシ官能性ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂および/またはポリウレタン構造単位または対応するハイブリッドからなる。
【0076】
適当なポリエステルポリオールは、脂肪族、脂環式または芳香族のジカルボン酸、ポリカルボン酸またはそれらの無水物(例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはトリメリット酸、および酸無水物、例えばo−フタル酸無水物、トリメリット酸無水物またはコハク酸無水物)またはこれらの任意の所望の混合物と、多価アルコール(例えばエタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはテトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールまたはテトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール)またはそれらの混合物とから、場合により高官能性ポリオール(例えばトリメチロールプロパンまたはグリセロール)の使用を伴って、既知の方法で調製され得るような、直鎖ポリエステルジオールまたは分枝ポリエステルポリオールである。もちろん、脂環式および/または芳香族のジヒドロキシ化合物およびポリヒドロキシ化合物も、ポリエステルポリオールを調製するための多価アルコールとして適している。遊離ポリカルボン酸に代えて、対応するポリカルボン酸無水物または対応する低級アルコールのポリカルボン酸エステル或いはそれらの混合物を、ポリエステルの調製に使用することも可能である。
【0077】
ポリエステルポリオールは、ひまし油のような天然原料に基づいてもよい。ポリエステルポリオールは、好ましくは、ラクトンまたはラクトン混合物(例えばブチロラクトン、ε−カプロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトン)とヒドロキシ官能性化合物(好ましくは2のOH官能価を有する多価アルコール、例えば上記型の2のOH官能価を有する多価アルコール)との付加反応によって得られるような、ラクトンのホモポリマーまたはコポリマーに基づくこともできる。
【0078】
そのようなポリエステルポリオールは、好ましくは200〜2000g/モル、特に好ましくは400〜1400g/モルの数平均モル質量を有する。
【0079】
適当なポリカーボネートポリオールは、有機カーボネートまたはホスゲンとジオールまたはジオール混合物との反応によって、自体既知の方法で得られる。
【0080】
適当な有機カーボネートは、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびジフェニルカーボネートである。
【0081】
適当なジオールまたは混合物は、ポリエステルポリオールにおいてそれ自体記載され、2のOH官能価を有する多価アルコール、好ましくは、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび/または3−メチルペンタンジオールを包含する。ポリエステルポリオールを、ポリカーボネートポリオールに転化してもよい。ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートは、前記アルコールの反応に特に好ましく用いてポリカーボネートポリオールを与える。
【0082】
そのようなポリカーボネートポリオールは、好ましくは400〜2000g/モル、特に好ましくは500〜1400g/モル、極めて特に好ましくは650〜1000g/モルの数平均モル質量を有する。
【0083】
適当なポリエーテルポリオールは、環状エーテルとOH官能性またはNH官能性スターター分子との重付加物であり、該重付加物は必要に応じて、ブロック構造を有する。例えば、ポリエーテルポリオールとしては、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリンの重付加物並びにそれらの混合付加物およびグラフト生成物、並びに多価アルコールまたはその混合物の縮合によって得られたポリエーテルポリオール、並びに多価アルコール、アミンおよびアミノアルコールのアルコキシル化によって得られたポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0084】
適当な環状エーテルのポリマーは、特に、テトラヒドロフランのポリマーである。
【0085】
用い得る開始剤は、ポリエステルポリオールにおいて自体記載の多価アルコール、並びに2〜8、好ましくは2〜6、特に好ましくは2または3、とりわけ好ましくは2のOH官能価またはNH官能価を有する、第1級または第2級アミンおよびアミノアルコールである。
【0086】
そのようなポリエーテルポリオールは、好ましくは200〜2000g/モル、特に好ましくは400〜1400g/モル、極めて特に好ましくは650〜1000g/モルの数平均モル質量を有する。
【0087】
テトラヒドロフランのポリマーは、スターターに用いるポリエーテルポリオールとして好ましく用いる。
【0088】
もちろん、内側ブロックYに、前記成分の混合物を使用することもできる。
【0089】
内側ブロックYに好ましい成分は、3100g/モル未満の数平均モル質量を有する、テトラヒドロフランのポリマーおよび脂肪族ポリカーボネートポリオールおよびポリエステルポリオールおよびε−カプロラクトンのポリマーである。
【0090】
内側ブロックYに特に好ましい成分は、3100g/モル未満の数平均モル質量を有する、テトラヒドロフランのポリマーおよび2官能性脂肪族ポリカーボネートポリオールおよびポリエステルポリオールおよびε−カプロラクトンのポリマーである。
【0091】
極めて特に好ましくは、スターターセグメントYは、500g/モル越〜2100g/モル未満の数平均モル質量を有する、2官能性の脂肪族ポリカーボネートポリオール、ポリ(ε−カプロラクトン)またはテトラヒドロフランのポリマーに基づく。
【0092】
好ましく使用される構造:Y(X−H)のブロックコポリマーは、50重量%を越える上記ブロックXから構成され、1200g/モルを越える総数平均モル質量を有する。
【0093】
特に好ましいブロックコポリマーは、50重量%未満の脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネートポリオールまたはポリ−THF、および50重量%を越える上記ブロックXから構成され、1200g/モルを越える数平均モル質量を有する。特に好ましいブロックコポリマーは、50重量%未満の脂肪族ポリカーボネートポリオール、ポリ(ε−カプロラクトン)またはポリ−THF、および50重量%を越える本発明に従う上記ブロックXから構成され、1200g/モル超の数平均モル質量を有する。
【0094】
極めて特に好ましいブロックコポリマーは、34重量%未満の脂肪族ポリカーボネートポリオール、ポリ(ε−カプロラクトン)またはポリ−THF、および66重量%を越える本発明に従う上記ブロックXから構成され、1950g/モル超〜9000g/モル未満の数平均モル質量を有する。
【0095】
記載のブロックコポリマーは、アルキレンオキシド付加方法によって調製される。第一に、アルキレンオキシドとツェレビチノフ活性水素原子含有スターター化合物:Y(H)との塩基触媒付加反応は、工業的に重要であり、第二に、この反応の実施にとって、複金属シアン化物化合物(「DMC触媒」)の使用がますます重要となっている。N、OまたはSへ結合した水素は、ツェレビチノフによって発見された方法によりヨウ化メチルマグネシウムとの反応に従って寄与するならば、ツェレビチノフ活性水素と称される(時には単に「活性水素」とも称される)。ツェレビチノフ活性水素を有する化合物の典型的な例は、官能基として、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基またはチオール基を含有する化合物である。アルキレンオキシド(例えばエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド等)とツェレビチノフ活性水素原子を有するスターター化合物との塩基触媒付加反応は、アルカリ金属水酸化物の存在下で実施されるが、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属カルボン酸塩またはアルカリ土類金属水酸化物を使用することもできる。アルキレンオキシドの付加反応の完了後、例えば希釈無機酸(例えば硫酸またはリン酸)での中和および得られた塩の除去によって、ポリエーテル鎖上の重合活性中心を失活させなければならない。本発明の方法では、DMC触媒を好ましく使用する。例えば、US−A5470813、EP−A700949、EP−A743093、EP−A761708、WO97/40086、WO98/16310およびWO00/47649に記載されている高活性DMC触媒を特に好ましく使用する。典型的な例は、EP−A700949に記載され、複金属シアン化物化合物(例えばヘキサシアノコバルト酸亜鉛(III))および有機錯体配位子(例えばtert−ブタノール)の他に500g/モルを越える数平均分子量を有するポリエーテルも含有する、高活性DMC触媒である。これらの触媒は、高活性のため、少量で使用することができ、このことは、ポリエーテルポリオールの更なる仕上げを不要にする。その方法を、後に詳細に記載する。ブロックコポリマー中50重量%未満の量で存在し、アルキレンオキシドを最終的にマルチブロックコポリマーが生じるように重合させるOH官能化前駆体Yは、「スターターポリオール」として常に用いる。好ましく使用されるアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよびそれらの混合物である。アルコキシル化によるポリエーテル鎖の合成は、例えば1種のモノマーエポキシドのみを使用して行ってよく、または複数の異なったモノマーエポキシドをランダムまたはブロック状で使用して行ってもよい。
【0096】
マトリックスポリマーの製造における成分a)およびb)の好ましい組み合わせは、以下の通りである:
A)イソシアヌレート、ウレットジオン、イミノオキサジアンジンジオンおよび/またはHDIに基づく他のオリゴマーとの組み合わせにおいて、ブチロラクトン、ε−カプロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトンと1.8〜3.1および200〜4000g/モルの数平均モル質量を有するポリエーテルポリオールとの付加物。特に好ましくは、HDIに基づくオリゴマー、イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオンとの組み合わせにおいて、ε−カプロラクトンと1.9〜2.2および500〜2000g/モル(特に600〜1400g/モル)の数平均モル質量を有するポリ(テトラヒドロフラン)との付加物(その数平均全モル質量は800〜4500g/モル、特に1000〜3000g/モルである)。
【0097】
B)HDIに基づくオリゴマー、イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオンとの組み合わせにおいて、アジピン酸および/またはコハク酸のような脂肪族ジ−またはポリカルボン酸または無水物、または上記脂肪族ポリカルボン酸または無水物とテレフタル酸および/またはイソフタル酸のような芳香族ポリカルボン酸または無水物との混合物と組み合わせてブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ネオペンチルグリコール、500g/モルの数平均モル質量を有するジ−、トリ−またはポリエチレングリコール、トリ−および/またはテトラプロピレングリコールに基づくポリエステルポリオール(芳香族ポリカルボン酸または無水物の割合は、用いるポリカルボン酸または無水物の全量を基準に30重量%未満を占め、1000および4000g/モルの数平均モル質量および1.9および3.0の間の官能価を有する)。
【0098】
C)200〜6000g/モルの数平均モル質量を有する脂肪族イソシアネート官能性化合物およびオリゴマーまたはポリマーイソシアネート反応性化合物から得られたウレタン、アロファネートまたはビウレットと組み合わせて、専らプロピレンオキシド、またはプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドに基づく(エチレンオキシドの割合が60重量%以下である)500〜8500g/モルおよび1.8〜3.2のOH官能価を有するポリエーテルポリオール。HDIまたはTMDIから得られたアロファネートとの組み合わせにおいて、1800〜4500g/モルおよび1.9〜2.2のOH官能価を有するプロピレンオキシドホモポリマーおよび200〜2100g/モルの数平均モル質量を有する2官能性ポリエーテルポリオール(特にポリプロピレングリコール)が特に好ましい。
【0099】
D)200〜6000g/モルの数平均モル質量を有する脂肪族イソシアネート官能性化合物およびオリゴマーまたはポリマーイソシアネート反応性化合物から得られたウレタン、アロファネートまたはビウレットとの組み合わせにおいて、またはHDIに基づくイソシアヌレート、ウレットジオン、イミノオキサジアジンジオンおよび/または他のオリゴマーとの組み合わせにおいて、式II(式中、Yがいずれの場合にも1.8〜3.1のOH官能価および400〜2000g/モルの数平均モル質量を有する純粋な脂肪族ポリカーボネートポリオールまたはテトラヒドロフランであり、nは2、iは1または2であり、RはメチルまたはHである)で示される、1950〜9000g/モル、好ましくは1950〜6000g/モルの全数平均モル質量を有するポリエーテルブロックまたはマルチブロックコポリマー。HDIまたはTMDIおよび200〜2100g/モルの数平均モル質量を有する2官能性ポリエーテルポリオール(特にポリプロピレングリコール)から得られたアロファネートとの組み合わせにおいて、脂肪族ジアミンまたはポリアミンおよび脂肪族ジイソシアネート、特にHDIおよびTMDIに基づく200〜1400g/モルの数平均モル質量を有するビウレット(特に2官能性脂肪族イソシアネートの他のオリゴマーとの混合物として)との組み合わせにおいて、HDIまたはTMDIから得られ、ブチロラクトン、ε−カプロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトン(特にε−カプロラクトン)と脂肪族、芳香脂肪族または脂環式ジ−、トリ−または多官能性アルコールとの付加物に基づく、200〜3000g/モル、特に好ましくは1000〜2000g/モルの数平均モル質量を有するウレタン(特に2官能性脂肪族イソシアネートの他のオリゴマーとの混合物として)との組み合わせにおいて、またはイソシアヌレート、HDIに基づくイミノオキサジアジンジオンおよび/または他のオリゴマーとの組み合わせにおいて、式II〔式中、Yは、1.8〜2.2のOH官能価および600〜1400g/モル(1,4−ブタンジオールおよび/または1,6−ヘキサンジオールとジメチルまたはジエチルカーボネートに基づく純粋な脂肪族ポリカーボネートポリオールまたは特に1000g/モルまで)で示される数平均モル質量を有するテトラヒドロフランのポリマーであり、nは2、iは1または2であり、RはメチルまたはHである〕で示されるポリエーテルブロックまたはマルチブロックコポリマーが特に好ましい。
【0100】
化学線の作用下でエチレン性不飽和化合物反応と重合により反応する基(放射線硬化性基)を有し、NCO基を含まない1以上の異なった化合物を、成分B)として用いる。書込モノマーアクリレートおよび/またはメタクリートが好ましい。
【0101】
成分B)では、α,β−不飽和カルボン酸誘導体のような化合物、例えばアクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミド、さらにはビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテル等およびジシクロペンタジエニル単位およびオレフィン性不飽和化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど、オレフィン、例えば1−オクテンおよび/または1−デセン、ビニルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸を含む化合物を用いることができる。アクリレートおよびメタクリレートが好ましい。
【0102】
一般に、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルをアクリレートまたはメタクリレートと称する。用いることができるアクリレートおよびメタクリレートの例は、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブトキシエチル、メタクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸p−クロロフェニル、メタクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸p−ブロモフェニル、メタクリル酸p−ブロモフェニル、アクリル酸2,4,6−トリクロロフェニル、メタクリル酸2,4,6−トリクロロフェニル、アクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、メタクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、アクリル酸ペンタクロロフェニル、メタクリル酸ペンタクロロフェニル、アクリル酸ペンタブロモフェニル、メタクリル酸ペンタブロモフェニル、アクリル酸ペンタブロモベンジル、メタクリル酸ペンタブロモベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸フェノキシエトキシエチル、メタクリル酸フェノキシエトキシエチル、アクリル酸2−ナフチル、メタクリル酸2−ナフチル、アクリル酸1,4−ビス(2−チオナフチル)−2−ブチル、メタクリル酸1,4−ビス(2−チオナフチル)−2−ブチル、プロパン−2,2−ジイルビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−{[3,3,3−トリス(4−クロロフェニル)プロパノイル]オキシ}プロパン−3,1−ジイル)オキシエタン−2,1−ジイル]ジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレートおよびそのエトキシル化類似化合物、アクリル酸N−カルバゾリルが挙げられるが、これらは使用され得るアクリレートおよびメタクリレートの抜粋である。
【0103】
もちろん、ウレタンアクリレートも成分B)として使用し得る。ウレタンアクリレートは、少なくとも1つのアクリレート基を有し、さらに、少なくとも1つのウレタン結合を有する化合物を意味すると理解される。かかる化合物は、ヒドロキシ官能性アクリレートをイソシアネート官能性化合物と反応させることにより得られることが知られている。
【0104】
1.450を越える屈折率n20(405nmの波長にて測定)を有するアクリレートおよびメタクリレートを好ましく用いる。少なくとも芳香族単位を含有し、および1.500を越える屈折率n20(405nmの波長にて測定)を有するアクリレートを特に好ましく用いる。ビスフェノールAまたはその誘導体に基づくアクリレートおよびメタクリレートおよびヒドロキシル基を含有するアクリレートおよびメタクリレートは、特に適当な例として挙げられる。
【0105】
成分B)として用いるウレタンアクリレートおよび/またはウレタンメタクリレートの実施例は、芳香族トリイソシアネート(極めて特に好ましくはトリス(4−フェニルイソシアナト)チオホスフェート、または芳香族ジイソシアネートのトリマー、例えばトルエンジイソシアネート等)とヒドロキシルエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートとの付加物、3−チオメチルフェニルイソシアネートとヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートおよび不飽和グリシジルエーテルアクリレートウレタン(出願WO2008/125229A1および未公開出願EP09009651.2に記載)との付加物またはこれらの互いの任意の所望の混合物である。
【0106】
更なる好ましい実施態様は、書込モノマーとして、単官能性および多官能性書込モノマーの組み合わせを用いる。
【0107】
単官能性書込モノマーは、特に、一般式(II):
【化1】

〔式中、R、R、R、R、Rは、いずれの場合にも互いに独立して、水素またはハロゲン原子またはC1〜C6−アルキルトリフルオロメチル基、C1〜C6−アルキルチオ基、C1〜C6−アルキルセレノ基、C1〜C6−アルキルテルロ基または窒素基であり、基R、R、R、R、Rの少なくとも1つの置換基は水素ではなく、R、Rは、いずれの場合にも単独で、水素またはC1〜C6−アルキル基であり、Aは、いずれの場合にも2〜6個の繰り返し単位をポリマー鎖中に有する飽和または不飽和または直鎖または分枝状C1〜C6−アルキル基またはポリエチレンオキシド基またはポリプロピレンオキシド基である〕
を有し得、および単官能性書込モノマーは好ましくは、<0℃のガラス転移温度Tおよび好ましくは405nmにて>1.50の屈折率を有する。
【0108】
多官能性書込モノマーは、特に一般式(III)
【化2】

〔式中、nは≧2であり、nは≦4であり、R、Rは水素および/または互いに独立して、非置換または必要に応じてヘテロ原子により置換されている直鎖状、分枝状、環状または複素環式有機基である〕
を有し得る。さらに多官能性書込モノマーは好ましくは、>1.50の屈折率を405nmにて有し得る。
【0109】
1以上の光開始剤を成分C)として用いる。このような光開始剤は、通常、化学線によって活性化され得、対応する重合性基の重合を開始させる開始剤である。光開始剤は、それ自体は既知の市販の化合物であり、単分子(I型)開始剤と二分子(II型)開始剤の間で区別される。さらに、このような開始剤は、化学的性質に応じて、上記の重合のフリーラジカル、アニオン(または)カチオン(または混合型)形態に用いられる。
【0110】
フリーラジカル光重合のための(I型)系は、例えば第3級アミン、アルキルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、アントロンおよびハロゲン化ベンゾフェノンまたは前記型の混合物との組合せでの芳香族ケトン化合物(例えば、ベンゾフェノン)である。さらに、(II型)開始剤、例えばベンゾインおよびその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシロホスフィンオキシド、フェニルグリオキシル酸エステル、カンフルキノン、α−アミノアルキルフェノン、α,α−ジアルコキシアセトフェノン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1,2−ジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)、適当な共開始剤による異なって置換されたヘクスアリールビスイミダゾール(HABI)、例えばメルカプトベンゾキサゾール、およびα−ヒドロキシアルキルフェノンなどがより適当である。アンモニウムアリールボレートと1種類以上の染料の混合物からなるEP−A0223587に記載された光開始剤系もまた光開始剤として使用され得る。例えばテトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリナフチルブチルボレート、テトラメチルアンモニウムトリフェニルベンジルボレート、テトラ(n−ヘキシル)アンモニウム(sec−ブチル)トリフェニルボレート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムジペンチルジフェニルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(4−tert−ブチル)フェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレートおよびテトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレートは、アンモニウムアリールボレートとして適当である。適当な染料は、例えば、新メチレンブルー、チオニン、ベーシックイエロー、塩化ピナシノール、ローダミン6G、ガロシアニン、エチルバイオレット、Victoria Blue R、セレスチンブルー、キナルジンレッド、クリスタルバイオレット、ブリリアントグリーン、アストラゾンオレンジG、ダローレッド、ピロニンY、べーシックレッド29、ピリリウムI、サフラニンO、シアニンおよびメチレンブルー、アズールA(Cunninghamら、RadTech’98 North America UV/EB Conference Proceedings,Chicago、1998年4月19〜22日)である。
【0111】
アニオン重合に使用される光開始剤は、概して(I型)系であり、第1列の遷移金属錯体から誘導されるものである。この場合、クロム塩(例えば、トランス−Cr(NH(NCS)等)(Kutalら,Macromolecules 1991年、第24巻、第6872頁)またはフェロセニル化合物(YamaguchiらMacromolecules 2000年、第33巻、第1152頁)である。アニオン重合のさらなる可能性は、光分解によってシアノアクリレートを重合させ得る染料(例えばクリスタルバイオレットロイコニトリルまたはマラカイトグリーンなど)の使用において構成される(NeckersらMacromolecules 2000年、第33巻、第7761頁)。しかしながら、発色団は、ポリマー内に、得られるポリマーがそれによって着色されるように組み込まれる。
【0112】
カチオン重合に使用される光開始剤は、実質的に3つの種類:アリールジアゾニウム塩、オニウム塩(この場合、具体的には:ヨードニウム、スルホニウムおよびセレノニウム塩)ならびに有機金属化合物からなる。光照射下では、水素供与体の存在下および非存在下どちらでも、フェニルジアゾニウム塩から、重合を開始させるカチオンが生成され得る。系全体の効率は、ジアゾニウム化合物に使用される対イオンの性質によって決定される。この場合、低い反応性を有し、非常に高価であるSbF6−、AsF6−またはPF6−が好ましい。このような化合物は、通常、表面品質が暴露後に遊離する窒素により低下するため(ピンホール)、被覆薄膜における使用にあまり適していない(Liら、Polymeric Materials Science and Engineering、2001年、第84巻、第139頁)。非常に広く使用されており、また、多くの形態で市販されているのはオニウム塩、特にスルホニウム塩およびヨードニウム塩である。このような化合物の光化学は、長い間、研究されている。ヨードニウム塩は、まず、励起後に均一分解され、従ってHの引抜きによって安定化するフリーラジカルおよびラジカルアニオンが生成され、プロトンが遊離され、次いで、カチオン重合が開始される(Dektarら、J.Org.Chem.1990年、第55巻、第639頁;J.Org.Chem.、1991年、第56巻、第1838頁)。この機構により、フリーラジカル光重合のためのヨードニウム塩の使用も可能になる。ここで再び、対イオンの選択は非常に重要であり、SbF、AsFまたはPFは同様に好ましい。あるいは、この構造の種類では、芳香族の置換の選択はかなり自由であり、適当な合成のための出発構成単位の入手可能性によって実質的に決定される。スルホニウム塩は、ノリッシュII型に従って分解される化合物である(Crivelloら、Macromolecules、2000、33、825)。スルホニウム塩の場合もまた、対イオンの選択は非常に重要であり、これは、実質的にポリマーの硬化速度に現れる。最良の結果は、概してSbF塩で得られる。ヨードニウム塩およびスルホニウム塩の自己吸収は、<300nmであるため、このような化合物は、近UVまたは短波可視光での光重合の場合は、増感させなければならない。これは、より吸収性の高い芳香族、例えば、アントラセンおよび誘導体(Guら、Am.Chem.Soc.Polymer Preprints、2000、41(2)、1266)またはフェノチアジンもしくはその誘導体(Huaら、Macromolecules 2001年、第34巻、第2488〜2494頁)などの使用によって行なわれる。
【0113】
このような化合物の混合物を使用することが好都合な場合があり得る。硬化に使用される放射線源に応じて、光開始剤の型および濃度を、当業者に既知の様式で適合させなければならない。更なる詳細は、例えばP.K.T.Oldring(編集)、Chemistry & Technology of UV & EB Formulations For Coatings, Inks & Paints、第3巻、1991年、SITA Technology、ロンドン、第61頁〜第328頁に記載されている。
【0114】
好ましい光開始剤C)は、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリナフチルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(4−tert−ブチル)フェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレートおよびテトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレートと、染料、例えばアストラゾンオレンジG、メチレンブルー、新メチレンブルー、アズールA、ピリリウムI、サフラニンO、シアニン、ガロシアニン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、エチルバイオレットおよびチオニンなどとの混合物である。
【0115】
用いる光開始剤系は、好ましくはアニオン染料、カチオン染料または中性染料および共開始剤を含むことができる。
【0116】
フォトポリマー処方物は、好ましくは、可塑剤(成分D)として、ウレタンが少なくとも1つのフッ素原子により置換されていてよいウレタンを更に含有し得る。
【0117】
ウレタンは、好ましくは一般式IV:
【化3】

を有する構造要素を有する化合物である。
【0118】
これらは、上述の通り、単官能性アルコールおよび単官能性イソシアネートから得られる。これらは好ましくは、少なくとも1つのフッ素原子により置換される。
【0119】
フルオロウレタンが、一般式V:
【化4】

〔式中、nは≧1であり、およびnは≦8であり、R10、R11、R12は水素、および/または互いに独立して、非置換またはヘテロ原子により置換されている直鎖状、分枝状、環状または複素環式有機基であり、好ましくは、基R10、R11、R12の少なくとも1つは、少なくとも1つのフッ素原子により置換されている〕
を有する場合には更に好ましい。本発明では、R10は、特に好ましくは、少なくとも1つのフッ素原子を有する有機基である。
【0120】
更なる実施態様によれば、R10は、1〜20個のCF基および/または1以上のCF基、特に好ましくは1〜15CF基および/または1以上のCF基、特に好ましくは1〜10個のCF基および/または1以上のCF基、極めて特に好ましくは1〜8個のCF基および/または1以上のCF基を含んでよく、R11は、C1〜C20のアルキル基、好ましくはC1〜C15のアルキル基、特に好ましくはC1〜C10のアルキル基または水素を含んでよく、および/またはR12は、C1〜C20アルキル基、好ましくはC1〜C15アルキル基、特に好ましくはC1〜C10アルキル基または水素を含んでよい。
【0121】
フルオロウレタンは、10〜80重量%のフッ素、好ましくは13〜70重量%のフッ素、特に好ましくは17.5〜65重量%のフッ素含有量を有し得る。
【0122】
成分E)としてのフォトポリマー処方物の更なる成分は、次のものであってよい:フリーラジカル安定剤、必要に応じて触媒または他の補助剤および添加剤。
【0123】
例えば、「Methoden der organischen Chemie(Methods of Organic Chemistry)」(Houben−Weyl)、第4版、第XIV/1巻、第433頁など、Georg Thieme Verlag、シュツットガルト、1961年に記載の開始剤および補助剤は、フリーラジカル安定剤の適当な例である。好適な物質の種類は、例えばフェノール(例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等)、クレゾール、ヒドロキノン、ベンジルアルコール(例えばベンズヒドロール等)、また任意にキノン(例えば2,5−ジ−tert−ブチルキノン等)、また、任意に芳香族アミン(例えばジイソプロピルアミンもしくはフェノチアジン等)である。
【0124】
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン、p−メトキシフェノール、2−メトキシ−p−ヒドロキノンおよびベンズヒドロールが好ましい。
【0125】
1種類以上の触媒を、必要に応じて使用し得る。これは、ウレタン形成を促進させるための触媒である。この目的のための既知触媒は、例えばオクタン酸スズ、オクタン酸亜鉛、ジブチルスズジラウレート、ジメチルビス[(1−オキソネオデシル)オキシ]スタンナン、ジメチルスズジカルボキシレート、ジルコニウムビス(エチルヘキサノエート)、ジルコニウムアセチルアセトネートまたは第3級アミン、例えば1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1−メチル−2H−ピリミド(1,2−a)ピリミジンである。
【0126】
ジブチルスズジラウレート、ジメチルビス[(1−オキソネオデシル)オキシ]スタンナン、ジメチルスズジカルボキシレート、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1−メチル−2H−ピリミド(1,2−a)ピリミジンが好ましい。
【0127】
もちろん、任意に、さらなる補助物質または添加剤を使用することが可能である。これは、例えばコーティング技術の分野において従来使用される添加剤、例えば溶媒、可塑剤、均染剤または接着促進剤であり得る。また、1種類の複数の添加剤を同時に使用することも有利であり得る。もちろん、複数の種類の複数の添加剤を使用することも有利であり得る。
【0128】
本発明の更なる好ましい実施態様によれば、フォトポリマー処方物が、10〜89.999重量%、好ましくは25〜70重量%のフォトポリマー、10〜60重量%、好ましくは25〜50重量%の書込モノマー、0.001〜5重量%の光開始剤、および必要に応じて0〜4重量%、好ましくは0〜2重量%の触媒、0〜5重量%、好ましくは0.001〜1重量%のラジカル安定剤、0〜30重量%、好ましくは0〜25重量%の可塑剤および0〜5重量%、好ましくは0.1〜5重量%の更なる添加剤を含むことが意図され、全成分の合計は、100重量%となる。
【0129】
25〜70重量%の成分a)および成分b)の化合物からなるマトリックスポリマー、25〜50重量%の書込モノマー、0.001〜5重量%の光開始剤、0〜2重量%の触媒、0〜5重量%、0.001〜1重量%のフリーラジカル安定剤、必要に応じて0〜25重量%の上記ウレタンおよび必要に応じて0.1〜5重量%の更なる添加剤を含むフォトポリマー処方物を、特に好ましく用いる。
【0130】
フォトポリマー処方物を含むフィルムは、基材フィルムの形態で、例えばロール被覆ユニットにより基材へ適用することができる。
【0131】
これは、当業者に既知の積極的計量ポンプ、真空脱蔵器(vacuum devolatilizer)、ろ板、静的ミキサー、スロットノズルおよび種々のナイフコーティング系、単一ロール巻出機、乾燥機、乾燥積層装置および単一ロール巻出装置を用いる異なった方法の組み合わせにより行うことができる。特に、例えばスロットノズルおよびナイフコーティング系を有する被覆装置は、液体フォトポリマー処方物の移動する基材物質への適用に適しており、適用された層厚みの高精度により優れている。
【0132】
好ましい実施態様では、基材フィルムを被覆するための方法は、上記フォトポリマー化合物の処理のための以下の個々の工程を含む:
I. まず、必要に応じて1以上の成分B)、C)、D)およびE)と混合した成分a)の輸送および計量、および次に、これとは別に、必要に応じて1以上の成分B)、C)、D)およびE)と混合した成分b)の輸送および計量、
II. I)に従って輸送、計量および必要に応じて予備混合した流れの脱蔵(devolatilization)、
III. II)に従って得られた混合物のろ過、
IV. III)に従って得られた混合物の均質化、
V. 基材物質の巻き出しおよび予備処理、
VI. 基材物質の、工程IV)に従って得られた混合物での被覆、
VII. VI)に従って被覆されたフィルムの乾燥、
VIII. VII)に従って得られた被覆フィルムの積層、
IX. VIII)に従って得られた積層フィルムの巻き取り
【0133】
上記方法の更なる好ましい実施態様は、前述の未公開欧州出願EP09001952.2.に開示されている。
【0134】
図1は、被覆物質の予備処理(1〜5)、基材物質の概略的経路(8+9)、基材物質(6)への適用のための被覆装置(6)および引き続きの乾燥工程(7)の配置を含む典型的な被覆ユニットの概略的構成を示す。
【0135】
図1における表示:
1 貯蔵容器
2 計量装置
3 真空脱蔵器
4 フィルター
5 静的ミキサー
6 被覆装置
7 乾燥器
8 ウェブ経路
9 生成物積層
【0136】
図1に示されたプロセス工程を組み合わせることにより、より高精度の層厚みが、移動性基材物質上での適用フォトポリマー層厚みにおいて得られる。
【0137】
更なる好ましい実施態様によれば、ホログラフィックフィルムは、1以上のフィルム、1以上のフォトポリマーフィルムおよび1以上の保護フィルムから任意の所望の配置において構成され得るフィルム複合材料であり得る。
【0138】
基材層の好ましい材料または複合材料は、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、水和セルロース、硝酸セルロース、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリエポキシド、ポリスルホン、三酢酸セルロース(CTA)、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラールまたはポリジシクロペンタジエンまたはその混合物をベースとするものである。さらに、複合材料、例えばフィルムの積層体または共押出体等は、基材フィルムとして用いることができる。複合材料の例は、構成A/B、A/B/AまたはA/B/Cの1つに従う構造を有するデュプレックスおよびトリプレックスフィルム、例えばPC/PET、PET/PC/PETおよびPC/TPU(TPU=熱可塑性ポリウレタン)等である。PCおよびPETは、基材フィルムとして特に好ましく用いる。
【0139】
光学的に透明な、すなわち曇っていない透明な基材フィルムが好ましい。曇りはヘイズ値によって測定可能であり、ヘイズ値は、3.5%未満、好ましくは1%未満、特に好ましくは0.3%未満である。
【0140】
ヘイズ値は、放射線が通過した試料により前方に散乱した透過光の割合を示す。したがって、これは、透明な材料の不透明性または曇りの尺度となり、透明性を阻害する該材料またはその表面における材料の欠陥、粒子、不均一性または結晶相境界が定量される。曇りの測定方法は、標準ASTM D 1003に示されている。
【0141】
基材フィルムは、好ましくは、余りに大きくない光学的遅延を有し、すなわち、典型的には、1000nm未満、好ましくは700nm未満、特に好ましくは300nm未満の平均光学的遅延を有する。光学的遅延の自動的および客観的測定は、結像偏光計(imaging polarimeter)、例えばilis GmbH製のStainMatic(登録商標)M3/M型を用いて行なわれる。光学的遅延は、垂直入射で測定される。基材フィルムのために記載の遅延値は側方平均値である。
【0142】
片側または両側上に可能性のある被覆物を含む基材フィルムは、典型的には5〜2000μm、好ましくは8〜300μm、特に好ましくは30〜200μm、特に125〜175μmまたは30〜45μmの厚みを有する。
【0143】
複合材料は、構成成分に加えて、汚れおよび環境による影響から保護するために、フォトポリマー層上に1つ以上のカバー層を有することができる。プラスチックフィルムまたはフィルム複合材料系だけでなく、クリアコートも、この目的に使用することができる。
【0144】
好ましくは、基材フィルムに使用される材料と類似のフィルム材料が、カバー層として好ましく使用され、この厚さは、典型的には5〜200μm、好ましくは8〜125μm、特に好ましくは20〜50μmである。
【0145】
できるだけ平滑な表面を有するカバー層が好ましい。DIN EN ISO 4288「Geometrical Product Specification(GPS)−Surface Texture...」、試験条件R3z前後に従って測定される粗さが尺度と使用される。好ましい粗さは、2μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲である。
【0146】
20〜60μmの厚みを有するPEまたはPETフィルムは、積層フィルムとして好ましく用いるが、40μm厚のポリエチレンフィルムは、特に好ましく用いる。
【0147】
更なる保護層、例えば基材フィルムの裏張りを用い得る。
【0148】
さらに、本発明は、記載のフォトポリマー処方物の印刷に関する。印刷法は、通常、2次元原型を複製するための手順および作業法を意味すると理解される。可能な印刷法としては、例えば凸版印刷法、平板印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、包装印刷法または刻印法を用いることができる。さらに、より新しい印刷技術、例えばピエゾ印刷機またはバブルジェット印刷機を用いることもできる。
【0149】
さらに、本発明は、本発明による方法により得られるホログラフィックフィルムに関連する。
【0150】
さらに、本発明は、可視ホログラムを記録するため、光学部材、画像、表示の製造のための、ホログラフィックフィルムの使用、およびホログラフィックフィルムの使用によりホログラムを記録するための方法に関する。
【0151】
本発明のホログラフィックフィルムにより、全可視範囲および近UV範囲(300〜800nm)における光学的用途のためのホログラムを、適切な露光プロセスにより製造することができる。可視ホログラムは、当業者に知られた方法により記録することができる全てのホログラムを含み、とりわけ、インライン型(ガーボル)ホログラム、二光束(off−axis)ホログラム、フルアパチャートランスファーホログラム、白色光透過型ホログラム(「レインボーホログラム」)、デニシュクホログラム、二光束反射ホログラム、エッジリットホログラムおよびホログラフィックステレオグラムが挙げられ、反射ホログラム、デニシュクホログラムおよび透過型ホログラムが好ましい。光学部材、例えばレンズ、鏡、偏向鏡、フィルター、散乱ディスク、回折部材、光導体、導波管、投影スクリーンおよび/またはマスク等を有することが好ましい。多くの場合、このような光学部材は、どのようにホログラムに光照射されたか、およびホログラムの寸法に応じて周波数選択性を示す。
【0152】
また、ホログラム画像または表示、例えば個人の肖像画、セキュリティ書類におけるバイオメトリック表示、または一般に広告、セキュリティラベル、商標保護、商標ブランド表示等のための画像または画像構造、デジタルデータ、とりわけ上記の生成物と組み合わせて表示することができる画像を、本発明のホログラフィックフィルムにより製造することができる。ホログラフィック画像は、3次元の画像のくぼみを与え得るだけでなく、照射される角度および光源(可動光源を含む)等に応じて、連続画像、短編映画または多くの異なった被写体を表示するものであってもよい。このような種々の設計可能性のため、ホログラム、特に体積ホログラムは、上記用途のための魅力的な技術的解決法である。
【実施例】
【0153】
以下の実施例は、本発明を説明するために働く。特記のない限り、全ての記載の割合は、重量%に基づく。
【0154】
用いた記号表示は以下の通りである:
フォトポリマー処方物は、以下のものを含む:
・3次元架橋有機マトリックスポリマーA)。特に好ましくは、3次元架橋ポリマーは、前駆体として、
・イソシアネート成分a)
・およびイソシアネート反応性成分b)
から構成され、
・通常、溶液中で添加する触媒成分E)を用いて架橋させる。
・化学線の作用下でエチレン性不飽和化合物と重合により反応する基(放射線硬化性基)を有し、上記マトリックス中で溶解または分配されるモノマーB)。
・少なくとも1つの光開始剤系C)。
・必要に応じて非光重合性成分D)。
必要に応じて触媒、フリーラジカル安定剤、溶媒、添加剤および他の助剤および/または添加剤E)。
【0155】
記載のOH価は、DIN 53240−2に従って決定した。
【0156】
記載のNCO値(イソシアネート含有量)は、DIN EN ISO 11909に従って決定した。
【0157】
他に特記のない限り、粘度の決定のために、調査すべき成分または混合物を、レオメーターのコーンオンプレート測定系(Anton Paar Physica Model MCR 51)中で20℃において適用した。計測は、以下の条件下で行う。
・測定体:コーンCP 25、d=25mm、角度=1度
・コーンおよびプレート間の距離としての測定ギャップ:0.047mm
・測定の継続時間:10秒
・250 1/秒のせん断速度での粘度の決定
【0158】
TGA95値の決定
各成分のTGA95値は、各成分の試料の約10mgの量を70μLの容積を有するアルミニウムパン中へ計量投入し、小アルミニウムパンを熱天秤、好ましくはMettler−ToledoからのTG50熱天秤の炉へ導入し、試料の質量の損失を、開いた小アルミニウムパンにおいて20K/分の一定炉加熱速度にて計測し、炉の出発温度は30℃であり、終了温度は600℃であり、炉を、決定の間、200mL/分窒素流でフラッシュし、最初に計量した試料の量を基準に5重量%の試料の質量の損失が生じた温度を、各成分のTGA95値として決定することにより決定することができる。
【0159】
反射配置での2ビーム干渉によるホログラフィック媒体のホログラフィック特性DEおよびΔnの測定
ホログラフィック性能を測定するために、ホログラフィックフィルムの保護フィルムを剥がし、ホログラフィックフィルムをフォトポリマー側に、長さおよび幅が適当である1mm厚ガラス板上へゴムローラーを用いて穏やかな圧力で積層する。このガラスおよびフォトポリマーを含むサンドイッチを用いて、ホログラフィック性能パラメーターDEおよびΔnを決定することができる。
【0160】
He−Neレーザー(放射波長633nm)のビームを、空間フィルター(SF)および視準レンズ(CL)により平行な均一ビームに変換した。信号および参照ビームの最終横断面を、虹彩絞り(I)によって固定した。虹彩絞り開口部の直径は0.4cmである。偏光依存性ビームスプリッター(PBS)が、レーザービームを2つの可干渉性(コヒーレント)の同一偏光ビームに分割する。λ/2プレートによって、参照ビームの出力を0.5mWに調節し、信号ビームの出力を0.65mWに調節した。これらの出力を、試料を除いて半導体検出器(D)で決定した。参照ビームの入射の角度(α)は21.8度であり、信号ビームの入射の角度(β)は41.8度である。角度は、ビーム方向に垂直な方向な試料から出発して計測する。従って、図3によれば、αは負号を有し、βは正号を有する。試料(媒体)の位置において、2つの重なりビームの干渉場は、試料に入射した2つのビームの角2等分線に垂直である明暗ストリップの格子(反射ホログラム)を作った。媒体中のストリップ間隔Λ(格子周期とも称される)は約225nmであった(媒体の屈折率は約1.504であると仮定される)。
【0161】
図3は、媒体の回折効率(DE)を測定したホログラフィック実験配置を示す。
【0162】
以下のようにして、ホログラムを媒体中に書込んだ。
・暴露時間tの間、両シャッター(S)を開いた。
・次いで、シャッター(S)を閉じて、媒体のなお未重合の書込モノマーを5分間拡散させた。
【0163】
記録ホログラムを以下のようにして読み取った。信号ビームのシャッターは閉じたままであった。参照ビームのシャッターを開いた。参照ビームの虹彩絞りを、<1mmの直径にまで閉じた。これにより、媒体の回転の全角度(Ω)に対して、ビームが、常に完全に、予め記録したホログラム中に存在することを確保した。ターンテーブルは、コンピューター制御下でΩ最小〜Ω最大の角度範囲を角度のステップ幅0.05度で変換した。Ωは、試料からターンテーブルの参照方向へ垂直に計測する。ターンテーブルの参照方向は、ホログラムの記録中に、参照ビームおよび信号ビームの入射の角度が等しい大きさ、すなわちα=−31.8度およびβ=31.8度である場合に生じる。この場合α記録は0度である。従って、α=−21.8度およびβ=41.8度について、α記録は、10度である。以下の式は、ホログラムの記録の間、干渉場について概して真である:
α=θ+Ω記録
【0164】
θは、媒体の外側での実験室系において半角であり、以下は、ホログラムの記録の間、真である:
【数1】

【0165】
この場合、従って、θは、−31.8度である。到達した回転のそれぞれの角Ωにおいて、ゼロ次数において透過したビームの出力を、対応する検出器Dによって測定し、第1次数において回折したビームの出力を、検出器Dによって測定した。回折効率は、到達した各角度Ωにおいて、以下の商として得られた:
【数2】

【0166】
は、回折ビーム検出器の出力であり、Pは、透過ビーム検出器の出力である。
【0167】
上記の方法により、ブラッグ(Bragg)曲線(これは、回折効率ηを、記録ホログラムの回転角Ωの関数として記載する)を測定し、コンピューターに保存した。さらに、ゼロ次数において透過した強度をも回転角Ωに対してプロットし、コンピューターに保存した。
【0168】
ホログラムの最大回折効率(DE=η最大)、即ちピーク値を、Ω再現において決定した。この目的のために、回折ビームの検出器の位置を、最大値を決定するために、必要に応じて変更した。
【0169】
ここで、フォトポリマー層の厚みdおよび回折率コントラストΔnを、結合波理論(参照:H.Kogelnik、The Bell System Technical Journal、第48巻、1969年11月、第9号、第2909〜2947頁)により、測定ブラッグ曲線および透過強度の角度変動から決定した。この方法を以下において説明する。注目すべきは、光重合の結果生じる厚み収縮に起因して、ホログラムのストリップ空間Λ’およびストリップ(傾き)の方向性が、参照パターンのストリップ空間Λおよびその方向性から外れることである。従って、最大回折効率が得られる角度α’またはターンテーブルΩ再現の対応角もまたαまたは対応するΩ記録から外れる。その結果、ブラッグ条件は変化する。この変化は、評価法において考慮する。評価を以下に記載する:
【0170】
記録ホログラムに関連するが、干渉パターンに関連しない全ての幾何学量を、波線量として表す。
【0171】
Kogelnikに従えば、以下は、反射ホログラムのブラッグ曲線η(Ω)について真である:
【数3】

と、
【数4】

【0172】
ホログラム(「再現」)を読み取る際、状態は、上記と同様である:
【数5】

【0173】
ブラッグ条件において、位相の散逸DPは0である。従って、以下は真である:
【数6】

【0174】
未知の角度β’は、ホログラムを記録する間の干渉場のブラッグ条件とホログラムを読み取る間のブラッグ条件との比較から、厚み収縮のみが起こると仮定して決定することができる。この場合、以下の式は真である:
【数7】

【0175】
νは、格子厚さであり、ξは、離調パラメーターであり、ψ’は、書き込まれた屈折率格子の方向性(傾き)である。α’およびβ’は、ホログラムの記録の間の干渉場の角度αおよびβに対応するが、媒体中で測定されたものであり、ホログラムの格子へ(厚み収縮後に)適用可能である。nは、フォトポリマーの平均屈折率であり、1.504にて設定された。λは、真空におけるレーザー光の波長である。
【0176】
この場合、ξについての最大回折効率(DE=η最大)=0である:
【数8】

【0177】
図4に示すように、回折効率、理論的ブラッグ曲線および透過強度の測定値を、回転の中心角
【数9】

(角度離調とも称する)に対してプロットした。
【0178】
DEがわかっているので、Kogelnikに従う理論的ブラッグ曲線の形状は、フォトポリマー層の厚みd’のみによって決定される。Δnを、与えられた厚みd’に対してDEより補正して、DEの測定および理論が常に一致するようにした。理論的ブラッグ曲線の最初の第2極小値の角度位置が、透過強度の最初の第2極大値の角度位置に一致するまで、さらに、理論的ブラッグ曲線と透過強度についての半最大値での全幅(FWHM)が一致するまで、d’を調節した。
【0179】
反射ホログラムがΩスキャンによる再現時に回転する方向、しかし回折光のための検出器は、限定された角度範囲のみ検出することができるので、広範なホログラム(小さいd’)のブラッグ曲線は、Ωスキャンで完全に登録されておらず、適切な検出器位置での中心領域のみである。従って、ブラッグ曲線を補完する透過強度の形状を、さらに層厚みd’を調節するために用いる。
【0180】
図4は、角度離調ΔΩに対する、結合波理論に従うブラッグ曲線η(波線)、測定回折効率(黒丸)、および透過出力(黒線)のプロットを示す。
【0181】
一配合物のために、この操作は、入射レーザービームの平均エネルギー用量が、ホログラムDEの読み取りの間に飽和となる時間にて決定するために異なった暴露時間tの間、異なった媒体上で数回繰り返した。この平均エネルギー用量Eは、角度αおよびβで調整した2部分ビームの出力(Pr=0.50mWでの参照ビームおよびPs=0.63mWでの信号ビーム)、暴露時間tおよび虹彩絞りの直径(0.4cm)から、以下のようにして得られる:
【数10】

【0182】
これら部分ビームの出力を、同じ出力密度が、使用した角度αおよびβで媒体において得られるように適合させた。
【0183】
別法Iとして、図1に示した構成と等しい試験を、真空中で532nmの放射波長λを有する緑色レーザーを用いて行った。ここで、αは−11.5度であり、βは33.5度であり、Pは1.84mWであり、Pは2.16mWであった。
【0184】
別法IIとして、図1に示した構成と等しい試験を、真空中で473nmの放射波長λを有する青色レーザーを用いて行った。ここで、αは−22.0度であり、βは42.0度であり、Pは1.78mWであり、Pは2.22mWであった。
【0185】
実施例では、いずれの場合にも、Δnにおける最大値を報告し、用いた量は、1arm当たり4および64mJ/cmの間である。
【0186】
本発明における振動レオメーターによるフォトポリマーの平坦弾性率Gの測定
以下に記載の組成を有する未だ液体処方物を、レオメーター(Anton Paar PhysicaからのModel MCR 301、50℃に予備加熱した炉型CTD 450を有する)のプレート−プレート計測系に導入する。次いでフォトポリマー処方物のマトリックスの硬化性を、時間に関して以下の条件下で測定する:
・プレート空間250μm
・10rad/秒の一定の角振動数ωおよび1%の調節変形振幅における振動測定モード
・温度50℃、0ニュートンにて設定した垂直力調節
・G’の一定値G最大に到達するまでまたは3時間以下の貯蔵弾性率G’の記録
【0187】
この値が、決定すべき平坦弾性率Gであると考えられる。典型的な測定された曲線の例が図2に見られる。
【0188】
図2は、マトリックスネットワークの硬化(左)および平坦挙動の試験(ωとは無関係のG’)(右)の変化を示す。
【0189】
フォトポリマー層の層厚みの測定
物理層厚みを、市販の白色光干渉計、例えばIngenieursbuero FuchsからのFTM−Lite NIR層厚みゲージを用いて決定した。
【0190】
層厚みの決定は、原則として薄膜上の干渉現象に基づく。異なった光学密度の2つの界面により反射された光波を互いに重ねる。反射部分ビームの不かく乱重なりは、白色連続放射対(例えばハロゲンランプ)のスペクトル中で周期的な明暗をもたらす。この重なりは、当業者には干渉と呼ばれる。この干渉スペクトルを測定し、数学的に評価する。
【0191】
出発物質
用いたイソシアネート(成分A)
イソシアネート成分1(成分a1)は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)の実験生成物、ヘキサンジイソシアネート系ポリイソシアネート、イミノオキサジアジンジオンの割合少なくとも30%、NCO含量:23.5%である。
【0192】
イソシアネート成分2(成分a2)は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)の実験生成物、ヘキサンジイソシアネートの脂肪族アロファネート、NCO含量約20%である。
【0193】
イソシアネート成分3(成分a3)は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)の実験生成物、約280g/モルの数平均モル質量、NCO含有量:16.5〜17.3%を有するポリプロピレングリコールについてのヘキサンジイソシアネートの完全アロファネートである。
【0194】
イソシアネート成分4(成分a4)は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)の市販生成物、29.4モル%のHDIに基づくイソシアヌレートと、70.6モル%のHDIでの650g/モルの数平均モル質量を有するポリ(ε−カプロラクトン)のウレタンとの混合物、NCO含量10.5〜11.5%である。
【0195】
イソシアネート成分5(成分a5)は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)の市販生成物、ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく脂肪族ビウレット型、NCO含量22.5〜23.5%である。
【0196】
用いたイソシアネート反応性成分(成分b)
ポリオール1(成分b1)は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)の実験生成物であり、その製法は、以下に記載する。
【0197】
ポリオール2(成分b2)は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)の実験生成物であり、その製法は、以下に記載する。
【0198】
ポリオール3(成分b3)は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)の実験生成物であり、その製法は、以下に記載する。
【0199】
ポリオール4(成分b4)は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)の実験生成物であり、その製法は、以下に記載する。
【0200】
用いた放射線硬化性化合物(成分B)
アクリレート1(成分B1)は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)の実験生成物であり、その製法は、以下に記載する。
【0201】
アクリレート2(成分B2)は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)の実験生成物であり、その製法は、以下に記載する。
【0202】
アクリレート3(成分B3)は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)の実験生成物であり、その製法は、以下に記載する。
【0203】
用いた光開始剤系の成分(成分C)
共開始剤1テトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)(ヘキシル)ボレート、[1147315 11 4]は、Ciba Inc.(バーゼル、スイス)により製造された実験生成物である。
【0204】
染料1は、新メチレンブルー(CAS 1934−16−3)であり、SIGMA−ALDRICH CHEMIE GmbH(シュテンハイム、独国)から得られた。
【0205】
染料2は、サフラニンO(CAS 477−73−6)であり、SIGMA−ALDRICH CHEMIE GmbH(シュテンハイム、独国)から得られた。
【0206】
染料3は、エチルバイオレット(CAS 2390−59−2)であり、SIGMA−ALDRICH CHEMIE GmbH(シュテンハイム、独国)から得られた。
【0207】
染料4は、アストラゾンオレンジG(CAS 3056−93−7)であり、SIGMA−ALDRICH CHEMIE GmbH(シュテンハイム、独国)から得られた。
【0208】
用いた非光重合性成分(成分D)
非光重合性成分(成分D1〜D10)は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)の実験生成物であり、その製法は、以下に記載する。
【0209】
用いた触媒(成分E)
触媒1(成分E1):ウレタン化触媒、ジメチルビス[(1−オキソネオデシル)オキシ]スタンナン、Momentive Performance Chemicals(ウィルトン、コネチカット州、米国)の市販生成物(N−エチルピロリドン中10%濃度溶液として用いた)
【0210】
用いた補助剤および添加剤(成分E)
BYK(登録商標)310:BYK−Chemie GmbH(ベーゼル、独国)のシリコーン系表面添加剤(成分G1)(キシレン中25%濃度溶液)
【0211】
Desmorapid(登録商標)Z(ジブチル錫ジラウレート)は、ウレタン化触媒およびBayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)の市販生成物である。
【0212】
DMC触媒:EP−A700949に記載の方法により得られるヘキサシアノコバルト酸亜鉛(III)に基づく複金属シアン化物触媒。
【0213】
Irganox1076は、オクタデシル3,5−ジ−(tert)−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート(CAS 2082−79−3)である。
【0214】
成分の製造
ポリオール1(成分b1)の製造
3.621kgの2官能性ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(当量500g/モルOH)を、撹拌機を有する20リットル反応容器中へ計量投入し、525mgのDMC触媒を添加した。次いで105℃まで約70rpmにて撹拌しながら加熱した。真空を適用しおよび窒素で3回圧抜きすることにより、空気を窒素に交換した。撹拌速度を300rpmへ上昇させた後、窒素を混合物へ下方より54分間真空ポンプを動かしながら約0.1バールの圧力にて通過させた。その後、0.2バールの圧力を窒素により確立し、363gのプロピレンオキシド(PO)を投入して重合を開始した。その結果、圧力は2.42バールへ増加した。7分後、圧力を0.34バールへ再び低下させ、更なる11.379kgのPOを2時間29分間にわたり2.9バールにて計量投入した。PO計量の終了から47分後、真空を1.9バールの残存圧にて適用し、完全な脱基を行った。生成物を、7.5gのIrganox1076の添加により安定化し、無色の粘性液体(OH価:27.6mgKOH/g、25℃での粘度:1498mPas)として得た。
【0215】
ポリオール2(成分b2)の製造
2475gの2官能性ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(当量325g/モルOH)を、撹拌機を有する20リットル反応容器中へ計量投入し、452.6mgのDMC触媒を添加した。次いで105℃まで約70rpmにて撹拌しながら加熱した。真空を適用しおよび窒素で3回圧抜きすることにより、空気を窒素に交換した。撹拌速度を300rpmへ上昇させた後、窒素を混合物へ下方より57分間真空ポンプを動かしながら約0.1バールの圧力にて通過させた。その後、0.5バールの圧力を窒素により確立し、100gのエチレンオキシド(EO)および150gのPOを投入して同時に重合を開始した。その結果、圧力は2.07バールへ増加した。10分後、圧力を0.68バールへ再び低下させ、混合物として更なる5.116kgのEOおよび7.558kgのPOを1時間53分間にわたり2.34バールにて計量投入した。エポキシド計量の終了から31分後、真空を2.16バールの残存圧にて適用し、完全な脱気を行った。生成物を、7.5gのIrganox1076の添加により安定化し、僅かに濁った粘性液体(OH価:27.1mgKOH/g、25℃での粘度:1636mPas)として得た。
【0216】
ポリオール3(成分b3)の製造:
まず、0.18gのオクタン酸錫、374.8gのε−カプロラクトンおよび374.8gの2官能性ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(当量500g/モルOH)を1リットルフラスコへ導入し、120℃へ加熱し、この温度を、固形分(非揮発性成分の割合)が99.5重量%以上になるまで維持した。その後、冷却を行い、生成物をワックス状固体として得た。
【0217】
ポリオール4(成分b4)の製造
2465gの2官能性ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(当量325g/モルOH)を、撹拌機を有する20リットル反応容器中へ計量投入し、450.5mgのDMC触媒を添加した。次いで105℃まで約70rpmにて撹拌しながら加熱した。真空を適用しおよび窒素で3回圧抜きすることにより、空気を窒素に交換した。撹拌速度を300rpmへ上昇させた後、窒素を混合物へ下方より72分間真空ポンプを動かしながら約0.1バールの圧力にて通過させた。その後、0.3バールの圧力を窒素により確立し、242gのプロピレンオキシド(PO)を投入して重合を開始した。その結果、圧力は2.03バールへ増加した。8分後、圧力を0.5バールへ再び低下させ、更なる12.538kgのPOを2時間11分にわたり2.34バールにて計量投入した。エポキシド計量の終了から17分後、真空を1.29バールの残存圧にて適用し、完全な脱気を行った。生成物を、7.5gのIrganox1076の添加により安定化し、無色の粘性液体(OH価:27.8mgKOH/g、25℃での粘度:1165mPas)として得た。
【0218】
アクリレート1(成分B1)(ホスホロチオイルトリス(オキシ−4,1−フェニレンイミノカルボニルオキシエタン−2,1−ジイル)トリアクリレート)の製造:
まず、0.1gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.05gのジブチルスズジラウレート(Desmorapid(登録商標)Z、Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、独国)と、213.07gの酢酸エチル中トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート27%濃度溶液(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、独国の生成物)を500ml容丸底フラスコに仕込み、60℃まで加熱した。続いて、42.37gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴下し、混合物は、イソシアネート含有量が0.1%未満に低下するまで60℃で保持した。この後、冷却し、酢酸エチルを真空により完全に除去した。生成物は、半結晶質固体として得られた。
【0219】
アクリレート2(成分B2) 2−({[3−(メチルスルファニル)フェニル]カルバモイル}オキシ)エチルプロプ−2−エノエート)の製造:
まず、0.02gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.01gのDesmorapid(登録商標)Z、11.7gの3−(メチルチオ)フェニルイソシアネートを100ml容丸底フラスコに投入し、60℃まで加熱した。続いて、8.2gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴下し、混合物は、イソシアネート含有量が0.1%未満に低下するまで60℃で更に保持した。次いで冷却した。生成物は淡黄色液体として得られた。
【0220】
((4−メチルベンゼン−1,3−ジイル)ビス[カルバモイルオキシ−3−(ビフェニル−2−イルオキシ)プロパン−2,1−ジイル]ビスアクリレートおよび(4−メチルベンゼン−1,3−ジイル)ビス[カルバモイルオキシ−3−(ビフェニル−2−イルオキシ)プロパン−1,2−ジイル]ビスアクリレートおよび類似異性体の混合物)の製造(成分B3):
まず、430.2gのDenacol EX 142(Nagase−Chemtex、日本)、129.7gのアクリル酸、1.18gのトリフェニルホスフィンおよび0.0056gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを、還流冷却器および撹拌器を有する3口フラスコ中へ導入した。空気を混合物へ徐々に通過させ、60℃にて温度制御した。続いて、撹拌を24時間90℃にて行う。157.8mgKOH/gのOH価を有する透明液体を得た。まず、21.3gの該中間生成物および5.2gの2,4−および2,6−トルイデンジイソシアネートの混合物((Desmodur T80、Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、独国)を還流冷却器および撹拌器を有する3口フラスコ中へ導入した。空気を混合物へ徐々に通過させ、60℃にて温度制御した。初期発熱反応後、生成物を24時間60℃にて撹拌した。0%のNCOを有する無色透明のガラス状生成物を得た。
【0221】
光開始剤系1の製造(成分C1)
暗い場所でまたは適当な照明の下で、0.05gの染料1、0.05gの染料2、0.05gの染料4、1.50gの共開始剤1を、3.50gのN−エチルピロリドンにビーカー中で溶解した。この溶液の対応する重量パーセントを、実施例媒体を製造するために用いた。
【0222】
光開始剤系2の製造(成分C2)
暗い場所でまたは適当な照明の下で、0.05gの染料1、0.05gの染料3、0.05gの染料4、1.50gの共開始剤1を、3.50gのN−エチルピロリドンにビーカー中で溶解した。この溶液の対応する重量パーセントを、実施例媒体を製造するために用いた。
【0223】
光開始剤系3の製造(成分C3)
暗い場所でまたは適当な照明の下で、0.10gの染料1、1.00gの共開始剤1を、3.50gのN−エチルピロリドンにビーカー中で溶解した。この溶液の対応する重量パーセントを、実施例媒体を製造するために用いた。
【0224】
非光重合性成分(成分D1)の製造(ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル)−(2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイル)ビスカルバメート):
まず、0.02gのジブチルスズジラウレート(Desmorapid(登録商標)Z、Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、独国)および3.6gの2,4,4−トリメチルヘキサン1,6−ジイソシアネート(TMDI)を50ml丸底フラスコに仕込み、60℃まで加熱した。続いて、11.9gの2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル)−1−オールを滴下し、混合物を、イソシアネート含有量が0.1%未満に低下するまで60℃で更に保持した。次いで冷却した。生成物を無色油として得た。
【0225】
以下の表1に記載の添加物(成分D2〜D10)を、記載の組成において添加物(成分D1)に記載の方法と同様にして製造した。
【0226】
【表1】

【0227】
試料および実施例媒体の製造
フォトポリマーの平坦弾性率Gを決定するための光開始剤C)を含まないフォトポリマー処方物(F)の製造
弾性率Gを決定するためのフォトポリマー処方物の製造のために、種々の書込モノマー(成分B)および必要に応じて添加剤(成分Eの一部)を、イソシアネート反応性成分b)(成分Aの一部として)中に、必要に応じて60℃にて溶解する。必要に応じて、60℃への加熱は、10分未満、乾燥炉中で行う。次いでイソシアネート成分a)(成分Aの他の部分)を、添加し、混合を、1分間Speedmixer中で行う。その後、酢酸ブチル中での成分E1の溶液を添加し、混合をSpeedmixer中で1分間再び行う(成分Eの他の部分)。酢酸ブチル中の成分E1)の濃度は、10重量%である。表2に記載のこの溶液の量を用いた。
【0228】
表2は、フォトポリマーの平坦弾性率Gを決定するための光開始剤系C)を有さないフォトポリマー処方物の調査した例を示し、この例は、上記方法により製造する。
【0229】
【表2】

【0230】
表3は、組成に関してホログラフィックフィルムの連続製造に用いるフォトポリマー処方物の調査した実施例を示す。
【0231】
フォトポリマー処方物の製造のために、光重合性モノマー(成分B)、非重合性成分D、次いでFomrez(登録商標)UL 28(成分E1)および表面活性添加剤BYK(登録商標) 310(成分E2)を、成分ポリオール(成分b)へ段階的に添加し、混合する。その後、フォトポリマー溶液の成分Cの溶液を、暗い場所で添加し、透明溶液が得られるように混合する。必要に応じて、処方物を60℃にて短時間、出発物質の溶解を促進させるために加熱してよい。最後に、対応するイソシアネート成分aを30℃にて添加し、混合を再び行う。得られた液体物質を、ナイフコーターまたはスロットダイにより36μm厚ポリエチレンテレフタレートフィルムへ塗布し、4.5分間、対応する乾燥温度(例えば実施例表6)にて乾燥させる。次いでフォトポリマー層を、40μm厚ポリエチレンフィルムで被覆し、および巻き取る。
【0232】
乾燥フォトポリマーの所望の目標層厚みは、好ましくは10および20μmの間である。製造されたホログラフィックフィルムについて得られた層厚みを表6に示す。
【0233】
製造速度は、好ましくは0.2m/分〜300m/分の範囲、特に好ましくは1.0m/分〜50m/分の範囲である。
【0234】
この種のホログラフィックフィルムは、本明細書の節反射配置における2ビーム干渉によるホログラフィック媒体のホログラフィック特性DEおよびΔnの測定に記載の方法に従ってその性能を決定するために特に適している。
【0235】
【表3】

【0236】
巻取性(rollability)との比較における弾性率Gの結果
以下のG(Pa)についての測定値および巻取性の品質を得た。これらを表4に示す。
【0237】
【表4】

【0238】
良好なブロック性および巻取性が、G>0.03MPaの値にて得られる。Gは、好ましくは>0.05MPa、極めて特に好ましくは>0.1MPaとなる。
【0239】
巻取性を評価するために、2つの特徴を最終生成物において評価する。まず、フォトポリマー層厚みの均質性を視覚的に評価する。ウェブの走行方向におけるフォトポリマーの端領域は、とりわけ染着され、良好と評価される。軽微な不均一性がフォトポリマーの着色による層厚みにおいて主に観測されるが、これは、保護フィルムからの圧力の適用による材料のシフトから生じ得る。
【0240】
更なる態様として、フォトポリマー層の粘着性を評価する。この評価の場合には、保護フィルムを、フォトポリマーから剥離する。このプロセスの間に、粘着性を、剥離するために適用した力およびフォトポリマーと保護フィルムとの間での界面の観察により経験的に決定することができる。本発明では、剥離の間のフォトポリマーの可能性のある破壊は、フォトポリマーと保護フィルムとの間での極めて良好な接着を特に強く表し、そして、これはポリマーの余りに低い耐ブロック性によりもたらされる。
【0241】
巻取性の各品質の等級を以下に説明する:
++ 層厚みのシフトがなく、フィルムを乱さない保護フィルムの極めて容易な取り外し。
+ 層厚みのシフトがなく、フィルムを乱さない保護フィルムの容易な取り外し。
− 端領域での軽微な層厚み変形、保護フィルムは、表面を破壊せずに剥離することが困難である。
− 端領域での顕著な層厚み変形、被覆端の深刻な「ほころび」、保護フィルムは、剥離することが困難でありフォトポリマーに乱れが起こる。
【0242】
TGA95結果
以下のTGA95測定値は、非光重合性成分D)に記載の式IIおよびIIIに従って書込モノマーB)について決定した。
【0243】
【表5】

【0244】
Δn結果
表3に記載のホログラフィック媒体の以下の測定値を表6に示す。
【0245】
【表6】

【0246】
特に、実施例M8〜M25は、フィルム構造において高いΔn値を示す。
【0247】
処方物の適当な組成に起因して、実験M4およびM5は、良好なホログラフィック性能を示す。しかしながら、<0.030MPaの余りに低い平坦弾性率Gに起因して巻取性および更なる処理性がない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィックフィルムの製造方法であって、
i)成分として、
A)マトリックスポリマー、
B)書込モノマー、
C)光開始剤系、
D)必要に応じて、非光重合性成分、および
E)必要に応じて、触媒、フリーラジカル安定剤、溶媒、添加剤および他の補助剤および/または添加剤
を含むフォトポリマー処方物を供給し、
ii)フォトポリマー処方物を、フィルムとして基材フィルムへ広範囲に塗布し、および
iii)フォトポリマー処方物を、60<T<120℃の温度にて基材フィルム上で乾燥させ、
該フォトポリマー処方物について選択された成分は、TGA95値が、>100℃であり、および温度Tより少なくとも30℃高い化合物のみであり、≧0.030MPaの平坦弾性率を有するフォトポリマー処方物を用いる、方法。
【請求項2】
フォトポリマー処方物を、70<T<100℃の温度にて乾燥させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
個々の成分のTGA95値を、各成分の試料の約10mgの量を70μLの容積を有する小アルミニウムパン中へ計量投入し、該小アルミニウムパンを熱天秤、好ましくはMettler−ToledoからのTG50熱天秤の炉へ導入し、試料の質量の損失を、開いた小アルミニウムパン中で20K/分の一定炉加熱速度にて計測し、炉の出発温度は30℃であり、終了温度は600℃であり、炉を、決定の間、200mL/分窒素流でフラッシュし、試料の最初に計量した量を基準に5重量%の試料の質量の損失が生じた温度を、各成分のTGA95値として決定することにより決定することを特徴とする、請求項1および2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
≧0.03MPaおよび≦1MPa、好ましくは≧0.05MPaおよび≦1MPa、特に好ましくは≧0.1MPaおよび≦1MPa、とりわけ好ましくは≧0.1MPaおよび≦0.6MPaの平坦弾性率を有するフォトポリマー処方物を用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
積層フィルムを、工程iii)における乾燥後にフィルムへ適用することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
フィルムを、積層フィルムと共に巻き取ることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
マトリックスポリマーは、ポリウレタンであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法
【請求項8】
ポリウレタンは、イソシアネート成分a)およびイソシアネート反応性成分b)を反応させることにより得られることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
書込モノマーは、アクリレートおよび/またはメタ(アクリレート)であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
単官能性書込モノマーおよび多官能性書込モノマーの組み合わせを、書込モノマーとして用いることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
単官能性書込モノマーは、一般式(II):
【化1】

〔式中、R1、R2、R3、R4、R5は、いずれの場合にも互いに独立して、水素またはハロゲン原子またはC1〜C6−アルキルトリフルオロメチル基、C1〜C6−アルキルチオ基、C1〜C6−アルキルセレノ基、C1〜C6−アルキルテルロ基または窒素基であり、基R1、R2、R3、R4、R5の少なくとも1つの置換基は水素ではなく、R6、R7は、いずれの場合にも単独で、水素またはC1〜C6−アルキル基であり、Aは、いずれの場合にも2〜6個の繰り返し単位をポリマー鎖中に有する飽和または不飽和または直鎖または分枝状C1〜C6−アルキル基またはポリエチレンオキシド基またはポリプロピレンオキシド基である〕
を有し、および該単官能性書込モノマーは、好ましくは、<0℃のガラス転移温度Tおよび好ましくは405nmにおいて>1.50の屈折率を有することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
多官能性書込モノマーは、一般式(III):
【化2】

〔式中、nは≧2であり、nは≦4であり、R、Rは水素および/または互いに独立して非置換または必要に応じてヘテロ原子により置換されている直鎖状、分枝状、環状または複素環式有機基である〕
を有し、および該多官能性書込モノマーは好ましくは、405nmにて>1.50の屈折率を有することを特徴とする、請求項11および12のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
フォトポリマー処方物は、添加剤として、可塑剤としてのウレタン、一般式(V):
【化3】

〔式中、nは≧1であり、およびnは≦8であり、R10、R11、R12は水素、および/または互いに独立して、非置換またはヘテロ原子により置換されている直鎖状、分枝状、環状または複素環式有機基であり、好ましくは、基R10、R11、R12の少なくとも1つは、少なくとも1つのフッ素原子により置換され、特に好ましくは、R10は、少なくとも1つのフッ素原子を有する有機基である〕
で示されるウレタンを含有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
以下のプロセス工程:
I. まず、必要に応じて成分B)、C)、D)およびE)の1以上と混合した成分a)の輸送および計量、および次いで、これとは別に、必要に応じて成分B)、C)、D)およびE)の1以上と混合した成分b)の輸送および計量、
II. I)に従って輸送、計量および必要に応じて予備混合した流れの脱蔵、
III. II)に従って得られた混合物のろ過、
IV. III)に従って得られた混合物の均質化、
V. 基材物質の巻き出しおよび予備処理、
VI. 基材物質の、工程IV)に従って得られた混合物での被覆、
VII. VI)に従って被覆されたフィルムの乾燥、
VIII. VII)に従って得られた被覆フィルムの積層、
IX. VIII)に従って得られた積層フィルムの巻き取り
を行うことを特徴とする、請求項8〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
フォトポリマー処方物を、印刷法により基材フィルムへ適用することを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の方法により得られるホログラフィックフィルム。
【請求項17】
光学要素として、画像として、または画像表示または投射のための、請求項16に記載のホログラフィックフィルムの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−510336(P2013−510336A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537368(P2012−537368)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066630
【国際公開番号】WO2011/067057
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】