ホログラム作成方法、ホログラム及びそのホログラムを用いたセキュリティー媒体
【課題】 簡単な方法でデザイン性やセキュリティー性に優れ、実物のような十分な立体感を得ることが可能なホログラムを作成するホログラム作成方法、ホログラム及びそのホログラムを用いたセキュリティー媒体を提供する。
【解決手段】 計算機を用いた演算により所定の記録面上に原画像を干渉縞として記録したホログラムを作成する方法において、立体像から構成される原画像と、前記原画像を記録するためのホログラム記録面と、前記ホログラム記録面に対して照射する参照光とを定義する段階と、前記ホログラム記録面上に多数の演算点を定義し、個々の演算点について、各対象物から発せられた物体光と、前記参照光とによって形成される干渉波の強度を演算する段階と、前記演算する段階によって前記記録面上に得られた干渉波の強度分布に基づいて、媒体上に物理的な干渉縞を作成する段階と、を有し、前記原画像を定義する際に、前記立体像の最も手前の部分を前記ホログラム記録面の近傍に配置されるようにする。
【解決手段】 計算機を用いた演算により所定の記録面上に原画像を干渉縞として記録したホログラムを作成する方法において、立体像から構成される原画像と、前記原画像を記録するためのホログラム記録面と、前記ホログラム記録面に対して照射する参照光とを定義する段階と、前記ホログラム記録面上に多数の演算点を定義し、個々の演算点について、各対象物から発せられた物体光と、前記参照光とによって形成される干渉波の強度を演算する段階と、前記演算する段階によって前記記録面上に得られた干渉波の強度分布に基づいて、媒体上に物理的な干渉縞を作成する段階と、を有し、前記原画像を定義する際に、前記立体像の最も手前の部分を前記ホログラム記録面の近傍に配置されるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム作成方法に関し、特に、蛍光灯等の大きな照明光で照明した場合にも奥行き幅の広い立体像を観察可能なホログラム作成方法、ホログラム及びそのホログラムを用いたセキュリティー媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
偽造防止のためホログラムを金券やクレジットカード等に貼り付け又は一体に形成するものがある。
【0003】
従来のホログラムは、レーザー光を2つに分岐し、片方のレーザー光を立体像の基となる被写体(物体)に照射しその散乱および反射光がホログラム記録材料に到達するようにし、もう一方のレーザー光を被写体に照射せずに直接ホログラム記録材料に到達するようにすることで、2つの経路をたどったレーザー光をホログラム記録材料上で干渉させ、その結果生じた干渉縞をホログラム記録材料に記録することで作成していた。この方法では、被写体の実物を用意する必要があるため、実物を用意することができない被写体(例えば、空中に浮いた文字列など)のホログラムを作ることができなかった。
【0004】
これに対し、最近では、被写体を3次元CG(Computer Graphics)の形状及び材質データとして用意し、3次元CGデータを基に、従来のホログラムの作成方法でホログラム記録材料に記録した干渉縞と同様の干渉縞パターンを計算機シミュレーションで生成し、生成した干渉縞パターンを微細加工することで作成する計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)が実用化されている。CGHを用いると実物を用意できない被写体のホログラムを作成することができるため、偽造防止効果の高いホログラムとして注目されている(特許文献1参照)。
【0005】
ホログラムを点光源や平行光で照明するとホログラムの手前や奥までボケの少ない立体像を観察できるが、照明する光が大きい(ホログラムへの入射角度範囲が広い)と、ホログラムから手前や奥に離れるほど像がボケ、鮮明な立体像を観察できなくなる。
【0006】
一方、偽造防止用途や意匠用途などでホログラムを使うのは、物質的には平面のホログラム媒体を通して、奥行きのある立体像を観察できるというホログラムの不思議な見え方が求められるためであることが多い。
【0007】
ホログラムの不思議な見え方を強調するには、奥行き方向に幅の広い立体像を観察できるようにすると効果が高いが、前述したとおりホログラムを照明する光が大きいと、ホログラムから手前や奥に離れるほど像がボケるため、無制限に立体像の奥行き方向の幅を広くすると逆効果となる。
【0008】
そこで、ボケを最小限に抑えつつ奥行き幅の広い立体像とするために、図22に示すように、ホログラム記録面20に対して、手前と奥にほぼ均等の飛び出しと奥行き量となるような立体像10’の配置にし、計算機合成ホログラムを作成することが行われている(特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】特開2000−214751号公報
【特許文献2】特開平11−24541号公報
【特許文献3】特開2002−72837号公報
【特許文献4】特開2005−215570号公報
【非特許文献1】「3次元画像コンファレンス‘99−3D Image Conference‘99−」講演論文集CD−ROM(1999年6月30日〜7月1日 工学院大学新宿校舎)、論文「EB描画によるイメージ型バイナリCGH(3)−隠面消去・陰影付けによる立体感の向上−」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、立体像をホログラム表面の手前と奥に飛び出しまたは奥行き量がほぼ均等になるように配置すると、全体として極端なボケは抑えられるが、手前に飛び出した部分が最もボケるため、実物のような手前が奥より鮮明に見えることによる十分な立体感を得ることが困難であった。
【0011】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な方法でデザイン性やセキュリティー性に優れ、実物のような見やすさと十分な立体感を得ることが可能なホログラムを作成するホログラム作成方法、ホログラム及びそのホログラムを用いたセキュリティー媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のホログラムの作成方法は、上記課題を解決するものであって、計算機を用いた演算により所定の記録面上に原画像を干渉縞として記録したホログラムを作成する方法において、立体像から構成される原画像と、前記原画像を記録するためのホログラム記録面と、前記ホログラム記録面に対して照射する参照光とを定義する段階と、前記ホログラム記録面上に多数の演算点を定義し、個々の演算点について、各対象物から発せられた物体光と、前記参照光とによって形成される干渉波の強度を演算する段階と、前記演算する段階によって前記記録面上に得られた干渉波の強度分布に基づいて、媒体上に物理的な干渉縞を作成する段階と、を有し、前記原画像を定義する際に、前記立体像の最も手前の部分を前記ホログラム記録面の近傍に配置されるようにすることを特徴とする。
【0013】
また、前記立体像の最も手前の部分を前記ホログラム記録面の約±1mm以内に配置することを特徴とする。
【0014】
また、前記立体像の最も奥の部分を前記ホログラム記録面の奥の約2mm〜20mmに配置することを特徴とする。
【0015】
また、前記立体像の最も手前の部分から最も奥の部分までの奥行き範囲を約2mm以上とすることを特徴とする。
【0016】
また、前記立体像は、奥行きを有する文字列からなることを特徴とする。
【0017】
また、前記文字列は、リング状文字列からなることを特徴とする。
【0018】
また、前記リング状文字列は、以下の条件式(1)を満足するように配置されることを特徴とする。
-4≦Zf/H≦4 ・・・(1)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【0019】
また、前記リング状文字列は、以下の条件式(2)を満足するように配置されることを特徴とする。
|Zf/H|<-Zr/H ・・・(2)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
また、||は、絶対値を表す記号である。
【0020】
また、前記リング状文字列は、以下の条件式(4)を満足するように配置される
ことを特徴とする。
-16≦Zr/H≦-6 ・・・(4)
ただし、Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【0021】
さらに、本発明のホログラムは、前記ホログラム作成方法により作成されたことを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明のホログラムは、最も手前の部分をホログラム記録面の±1mm以内、最も奥の部分を前記ホログラム記録面の奥の2mm〜20mm、前記最も手前の部分から前記最も奥の部分までの奥行き範囲を2mm以上とする像が再生されることを特徴とする。
【0023】
また、以下の条件式(1)及び条件式(2)を満足するリング状文字列の像が再生されることを特徴とする。
-4≦Zf/H≦4 ・・・(1)
|Zf/H|<-Zr/H ・・・(2)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
また、||は、絶対値を表す記号である。
【0024】
また、以下の条件式(4)を満足するリング状文字列の像が再生されることを特徴とする。
-16≦Zr/H≦-6 ・・・(4)
ただし、Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【0025】
さらに、本発明のセキュリティー媒体は、前記ホログラムを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、デザイン性やセキュリティー性に優れ、偽造防止効果が高いホログラムを作成することが可能となる。また、奥行き範囲が広いため、実物のような十分な立体感を与えることが可能となる。さらに、大きな照明でも最前面の文字列が判読できるため、見やすくなる。また、大きな照明では判読できなかった奥に配置された文字列が点光源などの適切な照明では判読できるようになるため、偽造防止効果を一層高くすることが可能となる。
【0027】
また、このように作成されたホログラムをセキュリティー媒体に用いることで、セキュリティー媒体のデザイン性やセキュリティー性がさらに向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照にして本実施形態の計算機合成ホログラムを説明する。図1乃至図8は、計算機合成ホログラム1を作成する原理を示す。
【0029】
本実施形態では、図1に示すように、原画像10を記録面20上に干渉縞として記録する方法を用いる。ここでは、説明の便宜上、図示のとおりXYZ三次元座標系を定義し、記録面20がXY平面上に置かれているものとする。光学的な手法を採る場合、記録対象となる物体が原画像10として用意されることになる。この原画像10上の任意の点Pから発せられた物体光Oは、記録面20の全面に向けて進行する。一方、記録面20には、参照光Rが照射されており、物体光Oと参照光Rとの干渉縞が記録面20上に記録されることになる。
【0030】
記録面20の位置に計算機ホログラムを作成するには、原画像10、記録面20、参照光Rを、コンピュータ上にデータとしてそれぞれ定義し、記録面20上の各位置における干渉波強度を演算すればよい。具体的には、図2に示すように、原画像10をN個の点光源P1,P2,P3,…,Pi,…,PNの集合として取り扱い、各点光源からの物体光O1,O2,O3,…,Oi,…,ONが、それぞれ演算点Q(x,y)へと進行するとともに、参照光Rが演算点Q(x,y)に向けて照射されたものとし、これらN本の物体光O1〜ONと参照光Rとの干渉によって生じる干渉波の演算点Q(x,y)の位置における振幅強度を求める演算を行えばよい。物体光および参照光は、通常、単色光として演算が行われる。記録面20上には、必要な解像度に応じた多数の演算点を定義するようにし、これら各演算点のそれぞれについて、振幅強度を求める演算を行えば、記録面20上には干渉波の強度分布が得られることになる。
【0031】
具体的には、物体上に配置した点光源の座標をPi(xi,yi,zi)、点光源のもつエネルギーを4πAi2とすると、XY平面上の演算点Q(x,y)の位置における物体光の合成複素振幅値O(x,y)は、次の式(A1)によって求めることができる。
【数1】
・・・(A1)
【0032】
ここで、Aiは点光源Piから発せられた物体光の振幅を表す係数を示し、ri(x,y)は、式(A2)に示すように、点光源Piと演算点Q(x,y)との距離を示している。
【数2】
・・・(A2)
【0033】
すなわち、式(1)におけるAi/ri(x,y)の項は、距離による振幅の減衰を示すものである。
【0034】
また、指数関数の形で記述された次の項は、この物体光の周期的な振幅変動を複素振幅の形式で示す項であり、jは虚数単位、kは波長をλとした場合にk=2π/λ、φiはPiにおける点光源の初期位相を示す。ここで、kri(x,y)なる項は、光路長を示しており、この光路長に初期位相φiを加えることにより、演算点Q(x,y)における物体光の合成複素振幅値が与えられることになる。なお、初期位相φiは各物体光にそれぞれランダムに設定することが可能である。
【0035】
また、平行光からなる参照光Rの入射ベクトルを(Rx,Ry,Rz)、振幅をAR、座標原点での位相をφRとすると、演算点Q(x,y)の位置における参照光Rの複素振幅値R(x,y)は、次の式(A3)によって求めることができる。
【数3】
・・・(A3)
【0036】
したがって、式(1)で与えられた物体光合成振幅強度O(x,y)及び式(3)で与えられた参照光複素振幅値R(x,y)は、いずれも複素振幅の強度であるから、演算点Q(x,y)の位置における干渉縞の強度I(x,y)は、次の式(A4)によって求めることができる。
【数4】
・・・(A4)
【0037】
このような強度分布を示す画像データに基づいて、実際の媒体上に物理的な濃淡パターンやエンボスパターンを形成すれば、原画像10を干渉縞として記録したホログラムが作成できる。媒体上に高解像度の干渉縞を形成する手法としては、電子線描画装置を用いた描画が適している。電子線描画装置は、半導体集積回路のマスクパターンを描画する用途などに広く利用されており、電子線を高精度で走査する機能を有している。そこで、演算によって求めた干渉波の強度分布を示す画像データを電子線描画装置に与えて電子線を走査すれば、この強度分布に応じた干渉縞パターンを描画することができる。
【0038】
ただ、一般的な電子線描画装置は、描画/非描画を制御することにより二値画像を描画する機能しか有していない。そこで、演算によって求めた強度分布を二値化して二値画像を作成し、この二値画像データを電子線描画装置に与えるようにすればよい。
【0039】
図3は、このような二値化処理を用いて干渉縞パターンを記録する一般的な方法の概念図である。上述した演算により、記録面20上の各演算点Q(x,y)には、所定の干渉波強度値、すなわち干渉波の振幅強度値が定義されることになる。たとえば、図3(a) に示す演算点Q(x,y)にも、所定の振幅強度値が定義される。そこで、この振幅強度値に対して所定のしきい値(たとえば、記録面20上に分布する全振幅強度値の平均値)を設定し、このしきい値以上の強度値をもつ演算点には画素値「1」を与え、このしきい値未満の強度値をもつ演算点には画素値「0」を与えるようにする。したがって、図3(a) に示す演算点Q(x,y)には、「1」か「0」のいずれかの画素値が定義されることになる。
【0040】
そこで、図3 (b) に示すように、この演算点Q(x,y)の位置に単位領域U(x,y)を定義し、この単位領域U(x,y)を「1」か「0」のいずれかの画素値をもった画素として取り扱うようにすれば、所定の二値画像を得ることができる。この二値画像のデータを電子線描画装置に与えて描画を行えば、物理的な二値画像として干渉縞を描画することができる。実際には、この物理的に描画された干渉縞に基づいて、たとえばエンボス版を作成し、このエンボス版を用いたエンボス加工を行うことにより、表面に干渉縞が凹凸構造として形成されたホログラムを量産することができる。
【0041】
図4には、記録面20上に二次元配列された単位領域U1〜U24が示されている。この例では、いずれの単位領域も、一辺が2μmの正方形となっているが、これは、記録面20上に定義された演算点Q1〜Q24が縦横に2μmピッチで配置されているためである。記録面20上に定義される演算点は、いわば干渉波強度のサンプル点としての機能を果たすことになるので、原画像10上に定義された点光源のピッチ、原画像10と記録面20との距離、参照光Rの方向、波長などの光学的な条件設定を考慮して、干渉縞を記録するのに最適なピッチで配置すればよい。図4に示す例では、演算点Qのピッチは縦横ともに2μmとしているが、縦横のピッチを変えるようにしてもよい(この場合、各単位領域は長方形となる)。また、図4に示す例では、正方形状の単位領域の中心点が各演算点上に重なるように、個々の単位領域を個々の演算点上に配置しているが、単位領域と演算点との位置関係は、必ずしもこのとおりにする必要はない。たとえば、各単位領域の左上隅点を基準点として定め、この左上隅点の基準点が演算点上に重なるように、個々の単位領域を配置してもかまわない。
【0042】
上述したように、この図4に示す各演算点Q1〜Q24には、それぞれ所定の干渉波強度値が演算される。そして、従来の一般的な手法では、各強度値は、所定のしきい値に基づいて二値化され、「1」または「0」の画素値に変換される。そこで、たとえば、画素値「1」が定義された演算点Qを含む単位領域Uを白画素、画素値「0」が定義された演算点Qを含む単位領域Uを黒画素として取り扱えば、白黒の二値画像が得られることになる。この二値画像に基づいて、白画素の部分を凹部、黒画素の部分を凸部(あるいはその逆)とする物理的な凹凸構造を形成すれば、ホログラム媒体が得られることになる。
【0043】
しかしながら、このような一般的な計算機ホログラムの作成方法では、各単位領域に割り付けられるのは、白画素か黒画素かのいずれかに限定されることになるため、演算により求められた干渉波強度の階調値は失われてしまう。
【0044】
そこで、本実施形態では、単位領域を第1の画素値をもった第1の領域と第2の画素値をもった第2の領域とに分割することにより定義される二値パターンを、「単位領域に対する第1の領域の占有率」を変えることにより複数通り用意しておき、各演算点の位置に、それぞれ各演算点についての干渉波強度に対応した占有率(「単位領域に対する第1の領域の占有率」)を有する二値パターンを割り付けるようにしたのである。
【0045】
まず、図5に示すように、干渉波強度の値に応じて特定の階調値を画素に割り付ける。本実施形態では、図6に示すように、5種類の二値パターンD0〜D4を予め用意しておく。いずれの二値パターンも、一辺が2μmの正方形からなる単位領域内のパターンであり、第1の画素値「1」をもった第1の領域(図では白い部分)と、第2の画素値「0」をもった第2の領域(図ではハッチングが施された部分)とによって構成されている。もっとも、二値パターンD0には第2の領域のみしか含まれておらず、二値パターンD4には第1の領域のみしか含まれていないが、これは便宜上、他方の領域の面積が0である特別な場合と考えることにする。ここで、「単位領域(正方形全体)に対する第1の領域(白い部分)の占有率」に着目すると、二値パターンD0,D1,D2,D3,D4についての当該占有率は、それぞれ0%,25%,50%,75%,100%となる。
【0046】
いずれの二値パターンにおいても、図示のとおり、第1の領域(白い部分)は、単位領域(正方形全体)の縦幅に等しい縦幅を有し、所定の占有率に応じた横幅を有する矩形から構成されており、しかもこの第1の領域を構成する矩形は、単位領域の横幅に関する中心位置に配置されている。そして、単位領域内の第1の領域が配置された残りの部分が第2の領域(ハッチングが施された部分)となっている。なお、二値パターンは、図6に示したものに限らず、図7に示すような様々なパターン又はそれ以外のパターンでもよい。また、それぞれの二値パターンにそれぞれ異なる屈折率を対応させることで階調を表現してもよい。
【0047】
さて、こうして用意された5種類の二値パターンD0〜D4を、記録面上の各演算点位置に選択的に割り付けることにより、各演算点における干渉波強度を5段階の階調によって表現することが可能になる。図5に示す例では、各演算点における干渉波強度は、0〜4の5段階の強度値として与えられている。この5段階の強度値に、5種類の二値パターンD0〜D4を割り当てるためには、たとえば、強度値0については二値パターンD0、強度値1については二値パターンD1、強度値2については二値パターンD2、強度値3については二値パターンD3、強度値4については二値パターンD4といった対応関係を予め定義しておけばよい。図8は、上述の対応関係に基づいて、図5に示す各強度値に対応する二値パターンを割り付けて得られる二値画像の一例を示す図である。一般的な方法により得られる二値画像と比較すると、いずれも二値画像であることに変わりはないものの、各演算点における干渉波強度値が階調情報をもったまま表現されている。
【0048】
この図8に示すような二値画像が得られたら、この二値画像に基づいて、媒体上に物理的な干渉縞を形成すれば、品質の高い階調画像を再現することが可能な計算機ホログラム媒体が得られる。具体的には、図8における黒い部分を凸部、白い部分を凹部(またはその逆)とするエンボス構造を媒体上に形成すればよい。実際には、このような二値画像の形成は、電子線描画装置を用いた電子ビーム走査によって行うのが好ましい。現在、一般的に利用されている電子線描画装置における電子ビームのスポット径は0.05μm程度、その走査精度は0.01μm程度であり、図6に示すような寸法構成をもった二値パターンであれば十分に描画可能である。もちろん、図8に示すような二値画像を得るまでの工程は、所定のプログラムを組み込んだコンピュータによって行われ、このコンピュータによって作成された二値画像データを電子線描画装置に与えることにより、実際の物理的な描画処理が行われることになる。
【0049】
なお、本実施形態では、計算機合成ホログラム1の作成に干渉波の強度分布、すなわち干渉縞分布を使用したが、参照光と干渉させずに複素振幅分布を適用してもよい。
【0050】
例えば演算点Qでの物体光の振幅と位相の記録には、上記で説明したような参照光との干渉による干渉縞で記録する方法以外に、特許文献3、4に記載されているように一面に溝を持った3次元セルの溝の深さで位相を、溝の幅で振幅を記録する方法でもよい。
【0051】
あるいは、非特許文献1に記載されたA.W.Lohmann等の方法、Leeの方法等で振幅と位相を記録するようにしてもよい。
【0052】
次に、本発明にかかる第1実施形態の計算機合成ホログラム1について説明する。図9は、第1実施形態の計算機合成ホログラム1を演算する際の原画像10としての立体像10’とホログラム記録面20との位置関係を示す図である。
【0053】
図9(a)は、立体像10’をホログラム記録面20の手前に配置した例であり、図9(b)は、立体像10’をホログラム記録面20の奥に配置した例である。
【0054】
第1実施形態の計算機合成ホログラム1は、立体像10’の最も手前の部分10’aをホログラム記録面20の近傍、±1mm以内に配置するものである。なお、厳格に±1mm以内ではなく、約±1mm以内であればよい。
【0055】
また、立体像10’の最も奥の部分10’bをホログラム記録面20の奥の2mm〜20mmに配置することが好ましい。なお、厳格に2mm〜20mmではなく、約2mm〜20mmであればよい。
【0056】
さらに、立体像10’の最も手前の部分10’aから最も奥の部分10’bまでの奥行き範囲を2mm以上とすることが好ましい。なお、厳格に2mm以上ではなく、約2mm以上であればよい。
【0057】
このように、計算機合成ホログラム1を演算する際の原画像10としての立体像10’とホログラム記録面20との位置関係を、このような位置関係として設定することにより、簡単な方法でデザイン性やセキュリティー性に優れ、実物のような見やすさと十分な立体感を得ることが可能となる。
【0058】
次に、本発明にかかる第2実施形態の計算機合成ホログラム1について説明する。図10は、第2実施形態の計算機合成ホログラム1を演算する際の原画像10としてのリング状文字列110を示す図である。
【0059】
第2実施形態の原画像10として用いるリング状文字列110は、リング状に配置され、空中に浮いた文字列である。このようなリング状文字列110を被写体としたホログラムは、実物の被写体を用意できないため偽造防止効果の高いホログラムであると言われている。
【0060】
ホログラムの不思議な見え方を強調しつつ、偽造防止効果の高いホログラムを作成する場合、従来の考え方では、図23に示すように、リング状文字列110がホログラム記録面20の手前と奥に飛び出しまたは奥行き量がほぼ均等になるように配置することになる。
【0061】
ところが、リング状文字列110をホログラム記録面20の手前と奥に飛び出しまたは奥行き量がほぼ均等になるように配置すると、全体として極端なボケは抑えられるが、文字どうしが重なり合わずに文字列として判読可能な部分であるリング状文字列の最も手前の部分110a及びリング状文字列の最も奥の部分110bがホログラム記録面20から最も離れた位置に配置されることになるため、文字列がボケやすく観察しづらい計算機合成ホログラム1になってしまうという課題があった。
【0062】
図11は、第2実施形態の計算機合成ホログラム1を演算する際の原画像10としてのリング状文字列110とホログラム記録面20との位置関係を示す図である。
【0063】
図11(a)は、リング状文字列110をホログラム記録面20の手前に配置した例であり、図11(b)は、リング状文字列110をホログラム記録面20の奥に配置した例である。
【0064】
ここで配置する文字の適切な奥行きを定めるため、特願2008-160136の方法で計算機合成ホログラムの再生像のシミュレーションを実施した。対象とした物体は、リング状文字列110を代表する文字「S」とした。ここで、文字や図形の代表的な寸法をHとあらわすことにする。例えば、本実施例の「S」であれば、「S」の最も下から最も上までの文字の高さが、代表的寸法Hとして適切である。また文字の奥行き配置(ホログラム表面からの距離)をZとする。
【0065】
図12に示すとおり、文字高さは0.2mm、0.4mm、0.8mm、1.6mm、3.2mmの5種類とした。また文字の奥行き配置は、ホログラム面に対して手前(観察者側)を正の値、奥(観察者と反対側)を負の値として、1.6mm、0.8mm、0.4mm、-0.2mm、-0.3mm、-0.4mm、-0.6mm、-0.8mm、-1.2mm、-1.6mm、-2.4mm、-3.2mm、-4.8mm、-6.4mm、-9.6mm、-19.2mm、-25.6mmの17種類とした。
【0066】
まず、大きな照明でも文字が判読できる範囲を定めるため、幅300mmの照明光源をホログラムの上2m、後方2mの位置に配置した場合のシミュレーション結果を図13〜図15に示す。
【0067】
図13は、ホログラム面に対して、文字を手前に配置した場合を示す図である。図13(a)〜(c)は、ホログラム面に対して、それぞれ文字を1.6mm、0.8mm、0.4mm手前に配置した場合を示す。
【0068】
図14及び図15は、ホログラム面に対して、文字を奥に配置した場合を示す図である。
【0069】
図14(a)〜(g)は、ホログラム面に対して、それぞれ文字を-0.2mm、-0.3mm、-0.4mm、-0.6mm、-0.8mm、-1.2mm、-1.6mm奥に配置した場合を示す。
【0070】
また、図15(a)〜(g)は、ホログラム面に対して、それぞれ文字を-2.4mm、-3.2mm、-4.8mm、-6.4mm、-9.6mm、-19.2mm、-25.6mm奥に配置した場合を示す。
【0071】
以上の図13〜図15の再生シミュレーション画像を基に、それぞれの文字高さおよび奥行き配置の設定ごとに、文字「S」が判読できる場合を「○」、判読できない場合を「×」とした表を図16に示す。図16に示すとおり、大きな光源で照明した場合、-4≦Z/H≦4の範囲では文字が判読できるが、Z/H≦-6およびZ/H≧6の場合は文字が判読できないことがわかる。
【0072】
第2実施形態の計算機合成ホログラム1は、原画像10として奥行きを有する文字列を用いるものであり、文字列110の最も手前の部分110aの奥行き配置Zfをホログラム記録面20の近傍で以下の条件式(1)を満足するように配置するものである。
-4≦Zf/H≦4 ・・・(1)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【0073】
特に、奥行きを有するリング状文字列110を用いるものであり、リング状文字列110の最も手前の部分110aの奥行き配置Zfをホログラム記録面20の近傍で以下の条件式(1)を満足するように配置するものである。
-4≦Zf/H≦4 ・・・(1)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【0074】
また、観察者に、より近くに観察される物体がより遠くに観察される物体よりもボケないようにするために、リング状文字列110の最も奥の部分110bの奥行き配置Zrを、以下の条件式(2)を満足するように配置することが望ましい。
|Zf/H|<-Zr/H ・・・(2)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
また、||は、絶対値を表す記号である。
【0075】
次に適切な照明光源であれば文字が判読できる範囲を定めるために、先ほどと同じホログラムを平行光で照明した場合のシミュレーション結果を図17〜図19に示す。
【0076】
図17は、ホログラム面に対して、文字を手前に配置した場合を示す図である。図17(a)〜(c)は、ホログラム面に対して、それぞれ文字を1.6mm、0.8mm、0.4mm手前に配置した場合を示す。
【0077】
図18及び図19は、ホログラム面に対して、文字を奥に配置した場合を示す図である。
【0078】
図18(a)〜(g)は、ホログラム面に対して、それぞれ文字を-0.2mm、-0.3mm、-0.4mm、-0.6mm、-0.8mm、-1.2mm、-1.6mm奥に配置した場合を示す。
【0079】
また、図19(a)〜(g)は、ホログラム面に対して、それぞれ文字を-2.4mm、-3.2mm、-4.8mm、-6.4mm、-9.6mm、-19.2mm、-25.6mm奥に配置した場合を示す。
【0080】
また、大きな光源の場合と同様に、再生シミュレーション画像を基に、文字「S」が判読できるか判読できないかを整理した表を図20に示す。ここで文字高さ0.2mmに関しては、像のボケの影響ではなくシミュレーション方法に起因するノイズの影響で文字が判読し辛かったため、評価対象から外した。
【0081】
図20から、ホログラムを平行光で照明した場合、Z/H≧-16の範囲であれば文字が判読でき、Z/H≦-24の範囲の場合文字が判読できないことが分かる。以上より、大きな照明では文字が判読できないが、点光源や平行光などの適切な光源で照明した場合に文字が判読できる範囲は、以下の条件式(3)となる。
-16≦Z/H≦-6 ・・・(3)
ただし、Zはリング状文字列の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【0082】
つまり、リング状文字列110の最も奥の部分110bの奥行き配置Zrをホログラム記録面20の奥に、以下の条件式(3)を満足するように配置することが好ましい。
-16≦Zr/H≦-6 ・・・(4)
ただし、Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【0083】
図21は、実際に作成されたホログラムの例である。実際の文字高さと奥行き配置は、
文字列(大):文字高さ2.2mm, 手前1.2mm (Zf/H=0.54),奥-5.7mm(Zr/H=-2.59)
文字列(中):文字高さ0.76mm,手前1.1mm (Zf/H=1.44),奥-5.5mm(Zr/H=-7.23)
文字列(小):文字高さ0.55mm,手前0.92mm(Zf/H=1.67),奥-5.3mm(Zr/H=-9.63)、
である。
【0084】
このように、計算機合成ホログラム1を演算する際の原画像10が空中に浮いたリング状文字列110で構成されているため、デザイン性やセキュリティー性に優れ、偽造防止効果が高いホログラムを作成することが可能となる。また、リング状文字列110とホログラム記録面20との位置関係を、このような位置関係として設定することにより、奥行き範囲が広いため実物のような十分な立体感を与えることが可能となる。さらに、大きな照明でも最前面の文字列が判読できるため、見やすくなる。また、大きな照明では判読できなかった奥に配置された文字列が点光源などの適切な照明では判読できるようになるため、偽造防止効果を一層高くすることが可能となる。
【0085】
さらに、このように作成されたホログラムをカード、ブランドプロテクションラベル、紙幣、パスポート、シール、携帯用シール又は商品券等のセキュリティー媒体に用いることができる。
【0086】
これにより、セキュリティー媒体のデザイン性やセキュリティー性がさらに向上する。
【0087】
また、実施形態では、計算機合成ホログラムに限って説明したが、コンピュータグラフィックスを原画として用いて作成するホログラフィックステレオグラムを用いても実施することができる。
【0088】
以上、本発明のホログラムを実施形態に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施形態に限定されず種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】計算機合成ホログラムの記録方法の概念を示す斜視図である。
【図2】図1の演算処理の概念に基づく具体例を示す図である。
【図3】干渉波強度分布から二値画像を得る概念を示す図である。
【図4】記録面状に格子状に配列された領域を示す図である。
【図5】各領域の5値化された干渉縞強度を示す図である。
【図6】二値パターンの構成を示す図である。
【図7】他の二値パターンの構成を示す図である。
【図8】本実施形態により得られる二値画像を示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態の計算機合成ホログラム1を演算する際の原画像10としての立体像10’とホログラム記録面20との位置関係を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態の計算機合成ホログラム1を演算する際の原画像10としてのリング状文字列110を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態の計算機合成ホログラム1を演算する際の原画像10としてのリング状文字列110とホログラム記録面20との位置関係を示す図である。
【図12】文字の高さを示す図である。
【図13】大きな光源でホログラム面に対して、文字を手前に配置した場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図14】大きな光源でホログラム面に対して、文字を奥に配置した場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図15】大きな光源でホログラム面に対して、文字を奥に配置した場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図16】大きな光源の場合の文字の可読判定表である。
【図17】平行光でホログラム面に対して、文字を手前に配置した場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図18】平行光でホログラム面に対して、文字を奥に配置した場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図19】平行光でホログラム面に対して、文字を奥に配置した場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図20】平行光の場合の文字の可読判定表である。
【図21】実際に作成されたホログラムの例である。
【図22】従来の技術を示す図である。
【図23】リング状文字列110を従来の技術のように配置した例を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
10…原画像
10’…立体像
110…リング状文字列
20…記録面
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム作成方法に関し、特に、蛍光灯等の大きな照明光で照明した場合にも奥行き幅の広い立体像を観察可能なホログラム作成方法、ホログラム及びそのホログラムを用いたセキュリティー媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
偽造防止のためホログラムを金券やクレジットカード等に貼り付け又は一体に形成するものがある。
【0003】
従来のホログラムは、レーザー光を2つに分岐し、片方のレーザー光を立体像の基となる被写体(物体)に照射しその散乱および反射光がホログラム記録材料に到達するようにし、もう一方のレーザー光を被写体に照射せずに直接ホログラム記録材料に到達するようにすることで、2つの経路をたどったレーザー光をホログラム記録材料上で干渉させ、その結果生じた干渉縞をホログラム記録材料に記録することで作成していた。この方法では、被写体の実物を用意する必要があるため、実物を用意することができない被写体(例えば、空中に浮いた文字列など)のホログラムを作ることができなかった。
【0004】
これに対し、最近では、被写体を3次元CG(Computer Graphics)の形状及び材質データとして用意し、3次元CGデータを基に、従来のホログラムの作成方法でホログラム記録材料に記録した干渉縞と同様の干渉縞パターンを計算機シミュレーションで生成し、生成した干渉縞パターンを微細加工することで作成する計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)が実用化されている。CGHを用いると実物を用意できない被写体のホログラムを作成することができるため、偽造防止効果の高いホログラムとして注目されている(特許文献1参照)。
【0005】
ホログラムを点光源や平行光で照明するとホログラムの手前や奥までボケの少ない立体像を観察できるが、照明する光が大きい(ホログラムへの入射角度範囲が広い)と、ホログラムから手前や奥に離れるほど像がボケ、鮮明な立体像を観察できなくなる。
【0006】
一方、偽造防止用途や意匠用途などでホログラムを使うのは、物質的には平面のホログラム媒体を通して、奥行きのある立体像を観察できるというホログラムの不思議な見え方が求められるためであることが多い。
【0007】
ホログラムの不思議な見え方を強調するには、奥行き方向に幅の広い立体像を観察できるようにすると効果が高いが、前述したとおりホログラムを照明する光が大きいと、ホログラムから手前や奥に離れるほど像がボケるため、無制限に立体像の奥行き方向の幅を広くすると逆効果となる。
【0008】
そこで、ボケを最小限に抑えつつ奥行き幅の広い立体像とするために、図22に示すように、ホログラム記録面20に対して、手前と奥にほぼ均等の飛び出しと奥行き量となるような立体像10’の配置にし、計算機合成ホログラムを作成することが行われている(特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】特開2000−214751号公報
【特許文献2】特開平11−24541号公報
【特許文献3】特開2002−72837号公報
【特許文献4】特開2005−215570号公報
【非特許文献1】「3次元画像コンファレンス‘99−3D Image Conference‘99−」講演論文集CD−ROM(1999年6月30日〜7月1日 工学院大学新宿校舎)、論文「EB描画によるイメージ型バイナリCGH(3)−隠面消去・陰影付けによる立体感の向上−」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、立体像をホログラム表面の手前と奥に飛び出しまたは奥行き量がほぼ均等になるように配置すると、全体として極端なボケは抑えられるが、手前に飛び出した部分が最もボケるため、実物のような手前が奥より鮮明に見えることによる十分な立体感を得ることが困難であった。
【0011】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な方法でデザイン性やセキュリティー性に優れ、実物のような見やすさと十分な立体感を得ることが可能なホログラムを作成するホログラム作成方法、ホログラム及びそのホログラムを用いたセキュリティー媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のホログラムの作成方法は、上記課題を解決するものであって、計算機を用いた演算により所定の記録面上に原画像を干渉縞として記録したホログラムを作成する方法において、立体像から構成される原画像と、前記原画像を記録するためのホログラム記録面と、前記ホログラム記録面に対して照射する参照光とを定義する段階と、前記ホログラム記録面上に多数の演算点を定義し、個々の演算点について、各対象物から発せられた物体光と、前記参照光とによって形成される干渉波の強度を演算する段階と、前記演算する段階によって前記記録面上に得られた干渉波の強度分布に基づいて、媒体上に物理的な干渉縞を作成する段階と、を有し、前記原画像を定義する際に、前記立体像の最も手前の部分を前記ホログラム記録面の近傍に配置されるようにすることを特徴とする。
【0013】
また、前記立体像の最も手前の部分を前記ホログラム記録面の約±1mm以内に配置することを特徴とする。
【0014】
また、前記立体像の最も奥の部分を前記ホログラム記録面の奥の約2mm〜20mmに配置することを特徴とする。
【0015】
また、前記立体像の最も手前の部分から最も奥の部分までの奥行き範囲を約2mm以上とすることを特徴とする。
【0016】
また、前記立体像は、奥行きを有する文字列からなることを特徴とする。
【0017】
また、前記文字列は、リング状文字列からなることを特徴とする。
【0018】
また、前記リング状文字列は、以下の条件式(1)を満足するように配置されることを特徴とする。
-4≦Zf/H≦4 ・・・(1)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【0019】
また、前記リング状文字列は、以下の条件式(2)を満足するように配置されることを特徴とする。
|Zf/H|<-Zr/H ・・・(2)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
また、||は、絶対値を表す記号である。
【0020】
また、前記リング状文字列は、以下の条件式(4)を満足するように配置される
ことを特徴とする。
-16≦Zr/H≦-6 ・・・(4)
ただし、Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【0021】
さらに、本発明のホログラムは、前記ホログラム作成方法により作成されたことを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明のホログラムは、最も手前の部分をホログラム記録面の±1mm以内、最も奥の部分を前記ホログラム記録面の奥の2mm〜20mm、前記最も手前の部分から前記最も奥の部分までの奥行き範囲を2mm以上とする像が再生されることを特徴とする。
【0023】
また、以下の条件式(1)及び条件式(2)を満足するリング状文字列の像が再生されることを特徴とする。
-4≦Zf/H≦4 ・・・(1)
|Zf/H|<-Zr/H ・・・(2)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
また、||は、絶対値を表す記号である。
【0024】
また、以下の条件式(4)を満足するリング状文字列の像が再生されることを特徴とする。
-16≦Zr/H≦-6 ・・・(4)
ただし、Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【0025】
さらに、本発明のセキュリティー媒体は、前記ホログラムを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、デザイン性やセキュリティー性に優れ、偽造防止効果が高いホログラムを作成することが可能となる。また、奥行き範囲が広いため、実物のような十分な立体感を与えることが可能となる。さらに、大きな照明でも最前面の文字列が判読できるため、見やすくなる。また、大きな照明では判読できなかった奥に配置された文字列が点光源などの適切な照明では判読できるようになるため、偽造防止効果を一層高くすることが可能となる。
【0027】
また、このように作成されたホログラムをセキュリティー媒体に用いることで、セキュリティー媒体のデザイン性やセキュリティー性がさらに向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照にして本実施形態の計算機合成ホログラムを説明する。図1乃至図8は、計算機合成ホログラム1を作成する原理を示す。
【0029】
本実施形態では、図1に示すように、原画像10を記録面20上に干渉縞として記録する方法を用いる。ここでは、説明の便宜上、図示のとおりXYZ三次元座標系を定義し、記録面20がXY平面上に置かれているものとする。光学的な手法を採る場合、記録対象となる物体が原画像10として用意されることになる。この原画像10上の任意の点Pから発せられた物体光Oは、記録面20の全面に向けて進行する。一方、記録面20には、参照光Rが照射されており、物体光Oと参照光Rとの干渉縞が記録面20上に記録されることになる。
【0030】
記録面20の位置に計算機ホログラムを作成するには、原画像10、記録面20、参照光Rを、コンピュータ上にデータとしてそれぞれ定義し、記録面20上の各位置における干渉波強度を演算すればよい。具体的には、図2に示すように、原画像10をN個の点光源P1,P2,P3,…,Pi,…,PNの集合として取り扱い、各点光源からの物体光O1,O2,O3,…,Oi,…,ONが、それぞれ演算点Q(x,y)へと進行するとともに、参照光Rが演算点Q(x,y)に向けて照射されたものとし、これらN本の物体光O1〜ONと参照光Rとの干渉によって生じる干渉波の演算点Q(x,y)の位置における振幅強度を求める演算を行えばよい。物体光および参照光は、通常、単色光として演算が行われる。記録面20上には、必要な解像度に応じた多数の演算点を定義するようにし、これら各演算点のそれぞれについて、振幅強度を求める演算を行えば、記録面20上には干渉波の強度分布が得られることになる。
【0031】
具体的には、物体上に配置した点光源の座標をPi(xi,yi,zi)、点光源のもつエネルギーを4πAi2とすると、XY平面上の演算点Q(x,y)の位置における物体光の合成複素振幅値O(x,y)は、次の式(A1)によって求めることができる。
【数1】
・・・(A1)
【0032】
ここで、Aiは点光源Piから発せられた物体光の振幅を表す係数を示し、ri(x,y)は、式(A2)に示すように、点光源Piと演算点Q(x,y)との距離を示している。
【数2】
・・・(A2)
【0033】
すなわち、式(1)におけるAi/ri(x,y)の項は、距離による振幅の減衰を示すものである。
【0034】
また、指数関数の形で記述された次の項は、この物体光の周期的な振幅変動を複素振幅の形式で示す項であり、jは虚数単位、kは波長をλとした場合にk=2π/λ、φiはPiにおける点光源の初期位相を示す。ここで、kri(x,y)なる項は、光路長を示しており、この光路長に初期位相φiを加えることにより、演算点Q(x,y)における物体光の合成複素振幅値が与えられることになる。なお、初期位相φiは各物体光にそれぞれランダムに設定することが可能である。
【0035】
また、平行光からなる参照光Rの入射ベクトルを(Rx,Ry,Rz)、振幅をAR、座標原点での位相をφRとすると、演算点Q(x,y)の位置における参照光Rの複素振幅値R(x,y)は、次の式(A3)によって求めることができる。
【数3】
・・・(A3)
【0036】
したがって、式(1)で与えられた物体光合成振幅強度O(x,y)及び式(3)で与えられた参照光複素振幅値R(x,y)は、いずれも複素振幅の強度であるから、演算点Q(x,y)の位置における干渉縞の強度I(x,y)は、次の式(A4)によって求めることができる。
【数4】
・・・(A4)
【0037】
このような強度分布を示す画像データに基づいて、実際の媒体上に物理的な濃淡パターンやエンボスパターンを形成すれば、原画像10を干渉縞として記録したホログラムが作成できる。媒体上に高解像度の干渉縞を形成する手法としては、電子線描画装置を用いた描画が適している。電子線描画装置は、半導体集積回路のマスクパターンを描画する用途などに広く利用されており、電子線を高精度で走査する機能を有している。そこで、演算によって求めた干渉波の強度分布を示す画像データを電子線描画装置に与えて電子線を走査すれば、この強度分布に応じた干渉縞パターンを描画することができる。
【0038】
ただ、一般的な電子線描画装置は、描画/非描画を制御することにより二値画像を描画する機能しか有していない。そこで、演算によって求めた強度分布を二値化して二値画像を作成し、この二値画像データを電子線描画装置に与えるようにすればよい。
【0039】
図3は、このような二値化処理を用いて干渉縞パターンを記録する一般的な方法の概念図である。上述した演算により、記録面20上の各演算点Q(x,y)には、所定の干渉波強度値、すなわち干渉波の振幅強度値が定義されることになる。たとえば、図3(a) に示す演算点Q(x,y)にも、所定の振幅強度値が定義される。そこで、この振幅強度値に対して所定のしきい値(たとえば、記録面20上に分布する全振幅強度値の平均値)を設定し、このしきい値以上の強度値をもつ演算点には画素値「1」を与え、このしきい値未満の強度値をもつ演算点には画素値「0」を与えるようにする。したがって、図3(a) に示す演算点Q(x,y)には、「1」か「0」のいずれかの画素値が定義されることになる。
【0040】
そこで、図3 (b) に示すように、この演算点Q(x,y)の位置に単位領域U(x,y)を定義し、この単位領域U(x,y)を「1」か「0」のいずれかの画素値をもった画素として取り扱うようにすれば、所定の二値画像を得ることができる。この二値画像のデータを電子線描画装置に与えて描画を行えば、物理的な二値画像として干渉縞を描画することができる。実際には、この物理的に描画された干渉縞に基づいて、たとえばエンボス版を作成し、このエンボス版を用いたエンボス加工を行うことにより、表面に干渉縞が凹凸構造として形成されたホログラムを量産することができる。
【0041】
図4には、記録面20上に二次元配列された単位領域U1〜U24が示されている。この例では、いずれの単位領域も、一辺が2μmの正方形となっているが、これは、記録面20上に定義された演算点Q1〜Q24が縦横に2μmピッチで配置されているためである。記録面20上に定義される演算点は、いわば干渉波強度のサンプル点としての機能を果たすことになるので、原画像10上に定義された点光源のピッチ、原画像10と記録面20との距離、参照光Rの方向、波長などの光学的な条件設定を考慮して、干渉縞を記録するのに最適なピッチで配置すればよい。図4に示す例では、演算点Qのピッチは縦横ともに2μmとしているが、縦横のピッチを変えるようにしてもよい(この場合、各単位領域は長方形となる)。また、図4に示す例では、正方形状の単位領域の中心点が各演算点上に重なるように、個々の単位領域を個々の演算点上に配置しているが、単位領域と演算点との位置関係は、必ずしもこのとおりにする必要はない。たとえば、各単位領域の左上隅点を基準点として定め、この左上隅点の基準点が演算点上に重なるように、個々の単位領域を配置してもかまわない。
【0042】
上述したように、この図4に示す各演算点Q1〜Q24には、それぞれ所定の干渉波強度値が演算される。そして、従来の一般的な手法では、各強度値は、所定のしきい値に基づいて二値化され、「1」または「0」の画素値に変換される。そこで、たとえば、画素値「1」が定義された演算点Qを含む単位領域Uを白画素、画素値「0」が定義された演算点Qを含む単位領域Uを黒画素として取り扱えば、白黒の二値画像が得られることになる。この二値画像に基づいて、白画素の部分を凹部、黒画素の部分を凸部(あるいはその逆)とする物理的な凹凸構造を形成すれば、ホログラム媒体が得られることになる。
【0043】
しかしながら、このような一般的な計算機ホログラムの作成方法では、各単位領域に割り付けられるのは、白画素か黒画素かのいずれかに限定されることになるため、演算により求められた干渉波強度の階調値は失われてしまう。
【0044】
そこで、本実施形態では、単位領域を第1の画素値をもった第1の領域と第2の画素値をもった第2の領域とに分割することにより定義される二値パターンを、「単位領域に対する第1の領域の占有率」を変えることにより複数通り用意しておき、各演算点の位置に、それぞれ各演算点についての干渉波強度に対応した占有率(「単位領域に対する第1の領域の占有率」)を有する二値パターンを割り付けるようにしたのである。
【0045】
まず、図5に示すように、干渉波強度の値に応じて特定の階調値を画素に割り付ける。本実施形態では、図6に示すように、5種類の二値パターンD0〜D4を予め用意しておく。いずれの二値パターンも、一辺が2μmの正方形からなる単位領域内のパターンであり、第1の画素値「1」をもった第1の領域(図では白い部分)と、第2の画素値「0」をもった第2の領域(図ではハッチングが施された部分)とによって構成されている。もっとも、二値パターンD0には第2の領域のみしか含まれておらず、二値パターンD4には第1の領域のみしか含まれていないが、これは便宜上、他方の領域の面積が0である特別な場合と考えることにする。ここで、「単位領域(正方形全体)に対する第1の領域(白い部分)の占有率」に着目すると、二値パターンD0,D1,D2,D3,D4についての当該占有率は、それぞれ0%,25%,50%,75%,100%となる。
【0046】
いずれの二値パターンにおいても、図示のとおり、第1の領域(白い部分)は、単位領域(正方形全体)の縦幅に等しい縦幅を有し、所定の占有率に応じた横幅を有する矩形から構成されており、しかもこの第1の領域を構成する矩形は、単位領域の横幅に関する中心位置に配置されている。そして、単位領域内の第1の領域が配置された残りの部分が第2の領域(ハッチングが施された部分)となっている。なお、二値パターンは、図6に示したものに限らず、図7に示すような様々なパターン又はそれ以外のパターンでもよい。また、それぞれの二値パターンにそれぞれ異なる屈折率を対応させることで階調を表現してもよい。
【0047】
さて、こうして用意された5種類の二値パターンD0〜D4を、記録面上の各演算点位置に選択的に割り付けることにより、各演算点における干渉波強度を5段階の階調によって表現することが可能になる。図5に示す例では、各演算点における干渉波強度は、0〜4の5段階の強度値として与えられている。この5段階の強度値に、5種類の二値パターンD0〜D4を割り当てるためには、たとえば、強度値0については二値パターンD0、強度値1については二値パターンD1、強度値2については二値パターンD2、強度値3については二値パターンD3、強度値4については二値パターンD4といった対応関係を予め定義しておけばよい。図8は、上述の対応関係に基づいて、図5に示す各強度値に対応する二値パターンを割り付けて得られる二値画像の一例を示す図である。一般的な方法により得られる二値画像と比較すると、いずれも二値画像であることに変わりはないものの、各演算点における干渉波強度値が階調情報をもったまま表現されている。
【0048】
この図8に示すような二値画像が得られたら、この二値画像に基づいて、媒体上に物理的な干渉縞を形成すれば、品質の高い階調画像を再現することが可能な計算機ホログラム媒体が得られる。具体的には、図8における黒い部分を凸部、白い部分を凹部(またはその逆)とするエンボス構造を媒体上に形成すればよい。実際には、このような二値画像の形成は、電子線描画装置を用いた電子ビーム走査によって行うのが好ましい。現在、一般的に利用されている電子線描画装置における電子ビームのスポット径は0.05μm程度、その走査精度は0.01μm程度であり、図6に示すような寸法構成をもった二値パターンであれば十分に描画可能である。もちろん、図8に示すような二値画像を得るまでの工程は、所定のプログラムを組み込んだコンピュータによって行われ、このコンピュータによって作成された二値画像データを電子線描画装置に与えることにより、実際の物理的な描画処理が行われることになる。
【0049】
なお、本実施形態では、計算機合成ホログラム1の作成に干渉波の強度分布、すなわち干渉縞分布を使用したが、参照光と干渉させずに複素振幅分布を適用してもよい。
【0050】
例えば演算点Qでの物体光の振幅と位相の記録には、上記で説明したような参照光との干渉による干渉縞で記録する方法以外に、特許文献3、4に記載されているように一面に溝を持った3次元セルの溝の深さで位相を、溝の幅で振幅を記録する方法でもよい。
【0051】
あるいは、非特許文献1に記載されたA.W.Lohmann等の方法、Leeの方法等で振幅と位相を記録するようにしてもよい。
【0052】
次に、本発明にかかる第1実施形態の計算機合成ホログラム1について説明する。図9は、第1実施形態の計算機合成ホログラム1を演算する際の原画像10としての立体像10’とホログラム記録面20との位置関係を示す図である。
【0053】
図9(a)は、立体像10’をホログラム記録面20の手前に配置した例であり、図9(b)は、立体像10’をホログラム記録面20の奥に配置した例である。
【0054】
第1実施形態の計算機合成ホログラム1は、立体像10’の最も手前の部分10’aをホログラム記録面20の近傍、±1mm以内に配置するものである。なお、厳格に±1mm以内ではなく、約±1mm以内であればよい。
【0055】
また、立体像10’の最も奥の部分10’bをホログラム記録面20の奥の2mm〜20mmに配置することが好ましい。なお、厳格に2mm〜20mmではなく、約2mm〜20mmであればよい。
【0056】
さらに、立体像10’の最も手前の部分10’aから最も奥の部分10’bまでの奥行き範囲を2mm以上とすることが好ましい。なお、厳格に2mm以上ではなく、約2mm以上であればよい。
【0057】
このように、計算機合成ホログラム1を演算する際の原画像10としての立体像10’とホログラム記録面20との位置関係を、このような位置関係として設定することにより、簡単な方法でデザイン性やセキュリティー性に優れ、実物のような見やすさと十分な立体感を得ることが可能となる。
【0058】
次に、本発明にかかる第2実施形態の計算機合成ホログラム1について説明する。図10は、第2実施形態の計算機合成ホログラム1を演算する際の原画像10としてのリング状文字列110を示す図である。
【0059】
第2実施形態の原画像10として用いるリング状文字列110は、リング状に配置され、空中に浮いた文字列である。このようなリング状文字列110を被写体としたホログラムは、実物の被写体を用意できないため偽造防止効果の高いホログラムであると言われている。
【0060】
ホログラムの不思議な見え方を強調しつつ、偽造防止効果の高いホログラムを作成する場合、従来の考え方では、図23に示すように、リング状文字列110がホログラム記録面20の手前と奥に飛び出しまたは奥行き量がほぼ均等になるように配置することになる。
【0061】
ところが、リング状文字列110をホログラム記録面20の手前と奥に飛び出しまたは奥行き量がほぼ均等になるように配置すると、全体として極端なボケは抑えられるが、文字どうしが重なり合わずに文字列として判読可能な部分であるリング状文字列の最も手前の部分110a及びリング状文字列の最も奥の部分110bがホログラム記録面20から最も離れた位置に配置されることになるため、文字列がボケやすく観察しづらい計算機合成ホログラム1になってしまうという課題があった。
【0062】
図11は、第2実施形態の計算機合成ホログラム1を演算する際の原画像10としてのリング状文字列110とホログラム記録面20との位置関係を示す図である。
【0063】
図11(a)は、リング状文字列110をホログラム記録面20の手前に配置した例であり、図11(b)は、リング状文字列110をホログラム記録面20の奥に配置した例である。
【0064】
ここで配置する文字の適切な奥行きを定めるため、特願2008-160136の方法で計算機合成ホログラムの再生像のシミュレーションを実施した。対象とした物体は、リング状文字列110を代表する文字「S」とした。ここで、文字や図形の代表的な寸法をHとあらわすことにする。例えば、本実施例の「S」であれば、「S」の最も下から最も上までの文字の高さが、代表的寸法Hとして適切である。また文字の奥行き配置(ホログラム表面からの距離)をZとする。
【0065】
図12に示すとおり、文字高さは0.2mm、0.4mm、0.8mm、1.6mm、3.2mmの5種類とした。また文字の奥行き配置は、ホログラム面に対して手前(観察者側)を正の値、奥(観察者と反対側)を負の値として、1.6mm、0.8mm、0.4mm、-0.2mm、-0.3mm、-0.4mm、-0.6mm、-0.8mm、-1.2mm、-1.6mm、-2.4mm、-3.2mm、-4.8mm、-6.4mm、-9.6mm、-19.2mm、-25.6mmの17種類とした。
【0066】
まず、大きな照明でも文字が判読できる範囲を定めるため、幅300mmの照明光源をホログラムの上2m、後方2mの位置に配置した場合のシミュレーション結果を図13〜図15に示す。
【0067】
図13は、ホログラム面に対して、文字を手前に配置した場合を示す図である。図13(a)〜(c)は、ホログラム面に対して、それぞれ文字を1.6mm、0.8mm、0.4mm手前に配置した場合を示す。
【0068】
図14及び図15は、ホログラム面に対して、文字を奥に配置した場合を示す図である。
【0069】
図14(a)〜(g)は、ホログラム面に対して、それぞれ文字を-0.2mm、-0.3mm、-0.4mm、-0.6mm、-0.8mm、-1.2mm、-1.6mm奥に配置した場合を示す。
【0070】
また、図15(a)〜(g)は、ホログラム面に対して、それぞれ文字を-2.4mm、-3.2mm、-4.8mm、-6.4mm、-9.6mm、-19.2mm、-25.6mm奥に配置した場合を示す。
【0071】
以上の図13〜図15の再生シミュレーション画像を基に、それぞれの文字高さおよび奥行き配置の設定ごとに、文字「S」が判読できる場合を「○」、判読できない場合を「×」とした表を図16に示す。図16に示すとおり、大きな光源で照明した場合、-4≦Z/H≦4の範囲では文字が判読できるが、Z/H≦-6およびZ/H≧6の場合は文字が判読できないことがわかる。
【0072】
第2実施形態の計算機合成ホログラム1は、原画像10として奥行きを有する文字列を用いるものであり、文字列110の最も手前の部分110aの奥行き配置Zfをホログラム記録面20の近傍で以下の条件式(1)を満足するように配置するものである。
-4≦Zf/H≦4 ・・・(1)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【0073】
特に、奥行きを有するリング状文字列110を用いるものであり、リング状文字列110の最も手前の部分110aの奥行き配置Zfをホログラム記録面20の近傍で以下の条件式(1)を満足するように配置するものである。
-4≦Zf/H≦4 ・・・(1)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【0074】
また、観察者に、より近くに観察される物体がより遠くに観察される物体よりもボケないようにするために、リング状文字列110の最も奥の部分110bの奥行き配置Zrを、以下の条件式(2)を満足するように配置することが望ましい。
|Zf/H|<-Zr/H ・・・(2)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
また、||は、絶対値を表す記号である。
【0075】
次に適切な照明光源であれば文字が判読できる範囲を定めるために、先ほどと同じホログラムを平行光で照明した場合のシミュレーション結果を図17〜図19に示す。
【0076】
図17は、ホログラム面に対して、文字を手前に配置した場合を示す図である。図17(a)〜(c)は、ホログラム面に対して、それぞれ文字を1.6mm、0.8mm、0.4mm手前に配置した場合を示す。
【0077】
図18及び図19は、ホログラム面に対して、文字を奥に配置した場合を示す図である。
【0078】
図18(a)〜(g)は、ホログラム面に対して、それぞれ文字を-0.2mm、-0.3mm、-0.4mm、-0.6mm、-0.8mm、-1.2mm、-1.6mm奥に配置した場合を示す。
【0079】
また、図19(a)〜(g)は、ホログラム面に対して、それぞれ文字を-2.4mm、-3.2mm、-4.8mm、-6.4mm、-9.6mm、-19.2mm、-25.6mm奥に配置した場合を示す。
【0080】
また、大きな光源の場合と同様に、再生シミュレーション画像を基に、文字「S」が判読できるか判読できないかを整理した表を図20に示す。ここで文字高さ0.2mmに関しては、像のボケの影響ではなくシミュレーション方法に起因するノイズの影響で文字が判読し辛かったため、評価対象から外した。
【0081】
図20から、ホログラムを平行光で照明した場合、Z/H≧-16の範囲であれば文字が判読でき、Z/H≦-24の範囲の場合文字が判読できないことが分かる。以上より、大きな照明では文字が判読できないが、点光源や平行光などの適切な光源で照明した場合に文字が判読できる範囲は、以下の条件式(3)となる。
-16≦Z/H≦-6 ・・・(3)
ただし、Zはリング状文字列の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【0082】
つまり、リング状文字列110の最も奥の部分110bの奥行き配置Zrをホログラム記録面20の奥に、以下の条件式(3)を満足するように配置することが好ましい。
-16≦Zr/H≦-6 ・・・(4)
ただし、Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【0083】
図21は、実際に作成されたホログラムの例である。実際の文字高さと奥行き配置は、
文字列(大):文字高さ2.2mm, 手前1.2mm (Zf/H=0.54),奥-5.7mm(Zr/H=-2.59)
文字列(中):文字高さ0.76mm,手前1.1mm (Zf/H=1.44),奥-5.5mm(Zr/H=-7.23)
文字列(小):文字高さ0.55mm,手前0.92mm(Zf/H=1.67),奥-5.3mm(Zr/H=-9.63)、
である。
【0084】
このように、計算機合成ホログラム1を演算する際の原画像10が空中に浮いたリング状文字列110で構成されているため、デザイン性やセキュリティー性に優れ、偽造防止効果が高いホログラムを作成することが可能となる。また、リング状文字列110とホログラム記録面20との位置関係を、このような位置関係として設定することにより、奥行き範囲が広いため実物のような十分な立体感を与えることが可能となる。さらに、大きな照明でも最前面の文字列が判読できるため、見やすくなる。また、大きな照明では判読できなかった奥に配置された文字列が点光源などの適切な照明では判読できるようになるため、偽造防止効果を一層高くすることが可能となる。
【0085】
さらに、このように作成されたホログラムをカード、ブランドプロテクションラベル、紙幣、パスポート、シール、携帯用シール又は商品券等のセキュリティー媒体に用いることができる。
【0086】
これにより、セキュリティー媒体のデザイン性やセキュリティー性がさらに向上する。
【0087】
また、実施形態では、計算機合成ホログラムに限って説明したが、コンピュータグラフィックスを原画として用いて作成するホログラフィックステレオグラムを用いても実施することができる。
【0088】
以上、本発明のホログラムを実施形態に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施形態に限定されず種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】計算機合成ホログラムの記録方法の概念を示す斜視図である。
【図2】図1の演算処理の概念に基づく具体例を示す図である。
【図3】干渉波強度分布から二値画像を得る概念を示す図である。
【図4】記録面状に格子状に配列された領域を示す図である。
【図5】各領域の5値化された干渉縞強度を示す図である。
【図6】二値パターンの構成を示す図である。
【図7】他の二値パターンの構成を示す図である。
【図8】本実施形態により得られる二値画像を示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態の計算機合成ホログラム1を演算する際の原画像10としての立体像10’とホログラム記録面20との位置関係を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態の計算機合成ホログラム1を演算する際の原画像10としてのリング状文字列110を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態の計算機合成ホログラム1を演算する際の原画像10としてのリング状文字列110とホログラム記録面20との位置関係を示す図である。
【図12】文字の高さを示す図である。
【図13】大きな光源でホログラム面に対して、文字を手前に配置した場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図14】大きな光源でホログラム面に対して、文字を奥に配置した場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図15】大きな光源でホログラム面に対して、文字を奥に配置した場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図16】大きな光源の場合の文字の可読判定表である。
【図17】平行光でホログラム面に対して、文字を手前に配置した場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図18】平行光でホログラム面に対して、文字を奥に配置した場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図19】平行光でホログラム面に対して、文字を奥に配置した場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図20】平行光の場合の文字の可読判定表である。
【図21】実際に作成されたホログラムの例である。
【図22】従来の技術を示す図である。
【図23】リング状文字列110を従来の技術のように配置した例を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
10…原画像
10’…立体像
110…リング状文字列
20…記録面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計算機を用いた演算により所定の記録面上に原画像を干渉縞として記録したホログラムを作成するホログラム作成方法において、
立体像から構成される原画像と、前記原画像を記録するためのホログラム記録面と、前記ホログラム記録面に対して照射する参照光とを定義する段階と、
前記ホログラム記録面上に多数の演算点を定義し、個々の演算点について、各対象物から発せられた物体光と、前記参照光とによって形成される干渉波の強度を演算する段階と、
前記演算する段階によって前記記録面上に得られた干渉波の強度分布に基づいて、媒体上に物理的な干渉縞を作成する段階と、
を有し、
前記原画像を定義する際に、前記立体像の最も手前の部分を前記ホログラム記録面の近傍に配置する
ことを特徴とするホログラム作成方法。
【請求項2】
前記立体像の最も手前の部分を前記ホログラム記録面の±1mm以内に配置する
ことを特徴とする請求項1に記載のホログラム作成方法。
【請求項3】
前記立体像の最も奥の部分を前記ホログラム記録面の奥の2mm〜20mmに配置する
ことを特徴とする請求項2に記載のホログラム作成方法。
【請求項4】
前記立体像の最も手前の部分から最も奥の部分までの奥行き範囲を2mm以上とする
ことを特徴とする請求項3に記載のホログラム作成方法。
【請求項5】
前記立体像は、奥行きを有する文字列からなる
ことを特徴とする請求項1に記載のホログラム作成方法。
【請求項6】
前記文字列は、リング状文字列からなる
ことを特徴とする請求項5に記載のホログラム作成方法。
【請求項7】
前記リング状文字列は、以下の条件式(1)を満足するように配置される
ことを特徴とする請求項6に記載のホログラム作成方法。
-4≦Zf/H≦4 ・・・(1)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【請求項8】
前記リング状文字列は、以下の条件式(2)を満足するように配置される
ことを特徴とする請求項7に記載のホログラム作成方法。
|Zf/H|<-Zr/H ・・・(2)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
また、||は、絶対値を表す記号である。
【請求項9】
前記リング状文字列は、以下の条件式(4)を満足するように配置される
ことを特徴とする請求項8に記載のホログラム作成方法。
-16≦Zr/H≦-6 ・・・(4)
ただし、Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載のホログラム作成方法により作成された
ことを特徴とするホログラム。
【請求項11】
最も手前の部分をホログラム記録面の±1mm以内、最も奥の部分を前記ホログラム記録面の奥の2mm〜20mm、前記最も手前の部分から前記最も奥の部分までの奥行き範囲を2mm以上とする像が再生されることを特徴とするホログラム。
【請求項12】
以下の条件式(1)及び条件式(2)を満足するリング状文字列の像が再生されることを特徴とするホログラム。
-4≦Zf/H≦4 ・・・(1)
|Zf/H|<-Zr/H ・・・(2)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
また、||は、絶対値を表す記号である。
【請求項13】
以下の条件式(4)を満足するリング状文字列の像が再生されることを特徴とする請求項12に記載のホログラム。
-16≦Zr/H≦-6 ・・・(4)
ただし、Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【請求項14】
請求項10乃至請求項13のいずれか1つに記載のホログラムを用いたことを特徴とするセキュリティー媒体。
【請求項1】
計算機を用いた演算により所定の記録面上に原画像を干渉縞として記録したホログラムを作成するホログラム作成方法において、
立体像から構成される原画像と、前記原画像を記録するためのホログラム記録面と、前記ホログラム記録面に対して照射する参照光とを定義する段階と、
前記ホログラム記録面上に多数の演算点を定義し、個々の演算点について、各対象物から発せられた物体光と、前記参照光とによって形成される干渉波の強度を演算する段階と、
前記演算する段階によって前記記録面上に得られた干渉波の強度分布に基づいて、媒体上に物理的な干渉縞を作成する段階と、
を有し、
前記原画像を定義する際に、前記立体像の最も手前の部分を前記ホログラム記録面の近傍に配置する
ことを特徴とするホログラム作成方法。
【請求項2】
前記立体像の最も手前の部分を前記ホログラム記録面の±1mm以内に配置する
ことを特徴とする請求項1に記載のホログラム作成方法。
【請求項3】
前記立体像の最も奥の部分を前記ホログラム記録面の奥の2mm〜20mmに配置する
ことを特徴とする請求項2に記載のホログラム作成方法。
【請求項4】
前記立体像の最も手前の部分から最も奥の部分までの奥行き範囲を2mm以上とする
ことを特徴とする請求項3に記載のホログラム作成方法。
【請求項5】
前記立体像は、奥行きを有する文字列からなる
ことを特徴とする請求項1に記載のホログラム作成方法。
【請求項6】
前記文字列は、リング状文字列からなる
ことを特徴とする請求項5に記載のホログラム作成方法。
【請求項7】
前記リング状文字列は、以下の条件式(1)を満足するように配置される
ことを特徴とする請求項6に記載のホログラム作成方法。
-4≦Zf/H≦4 ・・・(1)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【請求項8】
前記リング状文字列は、以下の条件式(2)を満足するように配置される
ことを特徴とする請求項7に記載のホログラム作成方法。
|Zf/H|<-Zr/H ・・・(2)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
また、||は、絶対値を表す記号である。
【請求項9】
前記リング状文字列は、以下の条件式(4)を満足するように配置される
ことを特徴とする請求項8に記載のホログラム作成方法。
-16≦Zr/H≦-6 ・・・(4)
ただし、Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載のホログラム作成方法により作成された
ことを特徴とするホログラム。
【請求項11】
最も手前の部分をホログラム記録面の±1mm以内、最も奥の部分を前記ホログラム記録面の奥の2mm〜20mm、前記最も手前の部分から前記最も奥の部分までの奥行き範囲を2mm以上とする像が再生されることを特徴とするホログラム。
【請求項12】
以下の条件式(1)及び条件式(2)を満足するリング状文字列の像が再生されることを特徴とするホログラム。
-4≦Zf/H≦4 ・・・(1)
|Zf/H|<-Zr/H ・・・(2)
ただし、Zfはリング状文字列の最も手前の部分の奥行き配置、
Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
また、||は、絶対値を表す記号である。
【請求項13】
以下の条件式(4)を満足するリング状文字列の像が再生されることを特徴とする請求項12に記載のホログラム。
-16≦Zr/H≦-6 ・・・(4)
ただし、Zrはリング状文字列の最も奥の部分の奥行き配置、
Hはリング状文字列の高さ、
である。
【請求項14】
請求項10乃至請求項13のいずれか1つに記載のホログラムを用いたことを特徴とするセキュリティー媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図16】
【図20】
【図22】
【図23】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図16】
【図20】
【図22】
【図23】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図21】
【公開番号】特開2010−20005(P2010−20005A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179310(P2008−179310)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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