説明

ホームネットワーク同軸配線で伝送されるネイティブ信号を利用した複数のデジタルTV装置用デジタルメディアサーバ

ヘッドエンドから加入者宅にテレビジョンサービスを提供する方法は、第一の加入者端末が、ヘッドエンドから送信された第一のテレビジョンサービスを、第一の加入者端末に接続された第一の送信リンクを介して受信することを含み、また、それを前提条件とするものである。少なくとも一つのローカルテレビジョンチャネルの属性を特定するためのシステム情報データは、第二の送信リンクを介して、第一の加入者端末に接続された第二の加入者端末に送信される。少なくとも一つのローカルテレビジョンチャネルは、ヘッドエンドが第一の送信リンクで利用しない周波数を備える。第一のテレビジョンサービスは、少なくとも一つのローカルテレビジョンチャネルで、第一の加入者端末から第二の送信リンクを介して、加入者宅に配置された第二の加入者端末に送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、本願と同一の出願人に譲渡された出願である2003年5月9日及び2003年5月10日に出願された米国仮特許出願第60/469,573号及び第60/469,801号の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般的に、広帯域通信システムに関し、特に、ホームビデオ記憶装置、サーバ端末、ネットワーク・マルチメディアシステムの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
ハードディスクを利用したデジタルメディアレコーダ(デジタルビデオレコーダ、もしくは、パーソナルビデオレコーダ「PVR」と呼ばれることが多い)の出現により、消費者は、テレビジョンを見たり音楽を聞いたりした経験に基づいて制御することを望み、それらの装置を導入することが多くなった。これらのメディア記憶/再生装置により、ユーザは番組をビデオ録画するだけでなく、テレビ信号の記録・再生を同時に行うことができる。これらの装置により、視聴者は、巻き戻しや早送りやスローモーションなどの各種の「VCRのような」モードを実行するだけでなく、生放送のテレビ番組を強制的に「一時停止」することができる。また、これらの装置により、視聴者は番組を記憶していつでも再生することができ、これは、別の「生」番組を記憶している最中であっても可能である。PVRで経験した知識は、テレビ番組の情報を豊富に含むレコーダ内のデータベースを連続的に更新するサービスによって完全なものになることが多い。レコーダではこのデータベースを使うことにより、視聴者は記録/再生する番組の選択が容易になり、また、入手可能な生番組の選択を誘導することが容易になる。これらのPVRの機能の技術的な実施方法については、2001年5月15日に発行されたバートン他の米国特許6,233,389の「マルチメディア・タイムワープシステム」にある程度開示されている。これらのPVRアプリケーションでは、現在低価格で利用可能な強力なMPEGデジタル圧縮を行うことにより、テレビ番組をPVRのハードディスクに100時間も記憶することができる。従って、加入者インタフェースや記憶装置や検索管理の詳細についてさしあたり無視すれば、標準のアナログテレビジョン信号は、記憶前にデジタル化され、デジタル圧縮され、再生(ハードディスクメモリからの検索)時に伸長される。圧縮されたMPEGストリームは、標準のテレビやオーディオ娯楽システムに表示するために、伸長され、再び符号化され、デジタル−アナログ変換器(「DAC」)によって標準のテレビジョン信号に変換される。
【0004】
番組信号が既にデジタルMPEGフォーマットのものであり、デジタルレシーバ(セットトップもしくはテレビジョン)がPVRに適切に接続されている場合は、上述の処理工程の多くはPVR装置内で省かれることがある。この場合、記憶前の伸長工程、デジタル化工程、MPEG圧縮工程は不要である。何故ならば、それらの工程はデジタル信号発信側(放送局、ケーブルヘッドエンド、衛星アップリンク機関)で行われるからである。また、MPEG伸長、符号化、DACはデジタルセットトップで実施されるのでこれらの工程を省いてもよい。これらの信号の流れについては、エリオット他の米国特許6,442,328のシステムで開示されている。このシステムによれば、対をなすデジタルセットトップの機能を利用して多くの信号処理機能を実現したり、単に記憶/検索のためにPVRを利用してもよい。これらのシステムにより、統合化デジタルセットトップとPVR、即ち、デジタルセットトップとそれと対をなすPVRを低価格で実現することが可能となる。近年、ケーブルシステム用デジタルセットトップと衛星放送サービスシステム(「DBS」)用デジタルセットトップのベンダは、これらの統合化PVRセットトップ装置を導入している。
【0005】
残念ながら、上述の統合化デジタルセットトップPVR装置は、接続されているテレビジョンセットに一つの番組信号を送信可能な組込型デジタルセットトップ装置と共に動作するので、家庭の複数の受信用アウトレットを使うことは有効ではない。従って、これらの装置では、PVRに記憶された利用可能な番組やPVRから提供される対話型の番組案内を家庭の複数のTVアウトレットから見ることができない。この複数のアウトレットの利用に関する問題を解決するために、PVRのベンダは、IEEE802.11無線LAN規格で利用可能なホームネットワーク装置を使うことによって、PVRから複数のTVセットにデジタルメディアストリームを送信する補助的手段を提供している。しかしながら、この解決策では、アウトレットを追加することで必要となる標準画像や音声信号を生成するために、各TVセットは、ネットワークインタフェースカード、MPEG伸長回路、それに続く画像符号化回路、DAC回路を含む「シンクライアント」モジュールを備える必要がある。デジタルセットトップにこれらの追加されたアウトレットがあっても、ホームネットワーク装置からは後者のMPEG伸長、符号化、DACの内部回路をアクセスすることはできない。何故ならば、これらの大部分は、ネットワークインタフェースコネクタからMPEG入力データを受け取るように設計されていないからである(また、ベースバンドデジタル入力機能すらないことがある)。従って、従来技術のPVRホームサーバを使っても、数千万台にも及ぶ設置されたデジタルセットトップの基部の大部分が利用不可である。さらに、今日の市場に導入される新しいデジタルテレビジョンセットであっても、適切なネットワークインタフェースカードや、従来技術で構成されたPVRホームサーバがその内部的なデジタル信号処理や符号化処理を活用することを可能とするベースバンドMPEG入力機能を備えていない。従って、各アウトレットにホームネットワーク装置を設置しなくても、複数のレガシーデジタルセットトップとデジタルテレビ(「DTV」)装置に経済的に対応可能な一台のデジタルメディアサーバによって解決することが求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このことを鑑みて、本発明の目的は、補助的なホームネットワーク装置を使わずにデジタルセットトップ、即ち、DTV装置に備えられる全てのTVアウトレットに対応可能な一台のデジタルメディアサーバを構成するための経済的な解決策と方法を提供することである。さらに、本発明の別の目的は、設置されたDTV装置とセットトップの基部に組み込まれた機能を使ってデジタルメディアサーバシステムを提供することによって、それらを介して加入者が交信したり、そのサーバのデジタルメディアに記録したり再生したりすることが可能にすることである。本発明のさらに別の目的は、既存のデジタルセットトップとDTV装置に固有であり受信可能な信号を送る一方で、家庭内の既存の同軸配線を使う新たな水準のデジタルメディアサーバシステムを提供することである。本発明のさらに別の目的は、設置されたヘッドエンドと、それと調和して機能するアプリケーションモジュールを利用する加入者用デジタルメディアサーバシステムを提供し、ローカル・ホームPVRサーバとネットワークPVRサーバ(ヘッドエンドに基づく)を継ぎ目なく合体させることによって低価格のハイブリッドPVRサービスを可能にすることである。本発明のその他の目的は、本明細書と添付の図面で詳細に示される開示から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
設置された従来のデジタルセットトップやDTV装置のほとんどは、既にRF変調され、内蔵のチューナ−レシーバを介して送られる信号以外のデジタルMPEG信号を処理できない。そのため、本発明では、そのデジタルセットトップとDTV装置が受信可能な固有の信号フォーマットを利用する。この固有のフォーマットには、ケーブルシステム用の直交振幅変調(「QAM」)、地上波放送システム用の残留側波帯(「VSB」)、DESシステムにおける四相位相変調(「QPSK」)変調がある。また、これらの設置されたデジタル装置は、家庭内の同軸配線に接続され、それを介して受信する。さらに、RFスイッチや配線を新たに導入しないことが望ましいので、デジタルメディアサーバから送られる信号は適切なRF周波数で変調し、同軸配線のホームネットワークに送ることで、その同軸のホームネットワークに接続された関連する全てのデジタル装置で受信される。本発明の斬新な一態様は、番組のプロバイダとローカルメディアサーバから送られる信号を調整し、組み合わせ、デジタル装置によって判別できない信号を明らかにする方法である。本発明の斬新な別の一態様は、双方向型デジタルセットトップの既存のアップストリームトランスミッタの機能を利用して、意図された本来のケーブルヘッドエンドとだけでなく、ローカル・デジタルメディアサーバとも通信することである。これは、ケーブルヘッドエンドから提供されるその他の交信サービスと調和するように行われる。
【0008】
本発明は、添付の図面を参照することでさらによく理解することができる。添付の図面において、図面全体を通して対応する部分には同じ参照番号を付してある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1と図2に本発明の好適な第一の実施形態を示す。ここでは、ケーブルヘッドエンドはホームデジタルメディアサーバと完全に協調動作するものとしている。図1は、エントリ・ゲートウェイ装置の一部として具現されるデジタルメディアPVRサーバ100を示す。これは、ケーブルプラントからの広帯域RF信号を端末101で受信し、4ウェイ・スプリッタ110によってその信号を全世帯に配信するものである。この4ウェイ・スプリッタ110は、設置されたデジタルセットトップ103、デジタルテレビ104、ケーブルモデム105、(もしあれば)その他のCATV家庭用電気製品で終端された各種アウトレットにホーム同軸配線102の信号を送る。
【0010】
図1の線102に接続される加入者装置は、ヘッドエンドから発信された全ダウンストリーム信号(順方向チャネル)を受信することができる。これらは、図1のホームチャネル列のスペクトル要素120として模式的に示されている。また、ケーブルモデム105と1台以上の(双方向型)デジタルセットトップ103から送られるアップストリーム信号は、5MHzから45MHzまでのアップストリーム周波数帯域内にあり、線102からゲートウェイサーバ100内の受動構造部を通り、入力端末101を介してケーブルプラントを通ってケーブルヘッドエンドの中央集中設備まで送られる。一例として、デジタルセットトップ103のうちの一台から送られる20MHzのアップストリーム信号が、ホームチャネル列の図のスペクトル要素121として上流に送信されることが模式的に示されている。このアップストリーム信号は、ヘッドエンドに基づく処理のためにケーブルヘッドエンドアップストリームレシーバによって受信され、また、図1からわかるように、その信号から引き出されたサンプルもサーバのアップストリームレシーバ112によって受信される。
【0011】
さらに図1によれば、サーバのレシーバ/復調器111は、順方向チャネルの下流に送られる番組信号のいずれかを受信することができる。また、複数のチャネルを同時に受信するための二重レシーバ構造を備え、当分野では周知のデジタルセットトップ装置で利用されるレシーバと同様に、制御データやアクセス制御権メッセージを受信する順方向データチャネル(「FDC」)レシーバを備えていてもよい。同様に、アップストリームレシーバ112からの加入者コマンドをMPEG加入者インタフェースユニット115が受信すると、MPEG加入者インタフェースユニット115はハードディスクドライブ116と協力して、アクセス制御ユニット114の出力信号に対して当分野では周知のPVR受信、記憶、検索を行うことができる。さらに詳しく説明すると、セットトップ(不図示)に接続されたテレビに表示される各種の画面メニューを加入者が遠隔操作することによって、加入者のコマンドが双方向セットトップ103のアップストリームトランスミッタから送られる。上述のPVRサーバシステムは、加入者コマンドインタフェースと番組再生モードを除いて、統合型セットトップPVR装置として基本的に動作することが明らかされる。1つまたは2つのデジタル信号を115内のMPEGプロセッサからQAMRF変調器113に送ることによって、PVR出力と再生結果を見ることができる。一台のデジタルQAMチャネルトランスミッタの利用は簡単であるが、好適な本実施形態では、複数のHDTVストリームを扱うために、複数の標準画質の画像ストリームを同時に送ることが可能な113用の二重QAMチャネルトランスミッタを示している。方向性結合器119を介して主線に接続されるQAMRF変調器113は、ダウンストリームチャネル列で利用されない高いケーブル帯域にチューニングするように構成可能である。一般的に、860MHz回りの帯域のうちの最上位の周波数はケーブルシステムでは利用されないが、全てのデジタルセットトップにとってチューニング範囲内にあるので、それを互換性のあるものとして選択することも可能である。従って、(以下で説明する)チャネルを適切に定義してセットトップを構成し、図1のホームチャネル列のスペクトル要素122として模式的に示されている約860MHzのQAMチャネルにチューニングすることによって、PVRサーバ100から送られるデジタルストリームのいずれかを受信することができる。線102に接続されるCATV家電製品のいずれかでこれらのチャネルが受信されるので、本発明の重要な特徴である複数のアウトレットを提供することは重要である。従って、帯域阻止フィルタ・トラップ118は、ケーブルチャネル列とぶつからないPVRのQAMチャネル周波数として利用できる周波数に一致するように構成することが好ましい。この場合におけるその周波数は860MHzである。この帯域阻止フィルタ(2チャネル幅)には2つの目的がある。第一に、ローカルQAMチャネルのセットトップ103やDTV104による受信の品質が低下しないように、端末101のケーブルシステム(即ち、隣りの加入者)からの860MHzに達する雑音や干渉を除去することである。第二に、局所的に生成される860MHzを濾波することである。スプリッタ110で反射して方向性結合器119を介して戻るQAM信号は上流方向にさらに戻る。これにより、局所的に生成された同じ周波数のPVRQAMチャネルを持つ隣りの加入者を保護することができる。トラップ118がもつべき重要な特徴を見のがしてはならない。それは、二つのチャネルをカバーする阻止周波数帯域のフラット(均一)な反射特性を示しており、方向性結合器119の出力で見られる周波数応答と群遅延歪は最小化される必要がある。
【0012】
また、図1は、オプションとしてのイーサネット(登録商標)10/100ベースT・ホームネットワーク接続106を利用して、ネットワークインタフェースユニット117から、ルータを備えることが可能なホームネットワーク108を介してホームPC107に接続できることを示している。この接続により、レシーバ・復調器111によって受信されるファイル以外の様々なメディアのファイルをPVRサーバにダウンロードすることが可能となる。また、PCのアプリケーションを用いることによって、PVRサーバと加入者の交信モードが可能になる。従って、セットトップOSD機能との単純で基本的な交信を許す一方で、メディアのディレクトリとプレイリストを編成することができる。
【0013】
図2は、図1の好適な実施形態の信号とデータのフローを示す。データフローでは、構成要素間の物理的な配線を必ずしも示す必要はない。本願では、有線電気通信技術者協会(Society of Cable Telecommunications Engineers)から出版された、本願の援用文献であるSCTE40 2003(旧VS−313)「デジタルケーブルネットワークインタフェース規格」(以下「DVS−313」とする)に記載されているケーブルシステムとデジタルセットトップ間の信号インタフェースの用語と機能の説明を採用する。PVRサーバの機能はユニット200で示される。これらの機能が加入者用ゲートウェイで実行されることが示されている。加入者デジタルセットトップとTV装置へ(から)流れる信号を280で示す。これらは実際に、図1の家庭内配線102をRF周波数で流れ、3つの主成分を備える。第一の成分は、加入者に送られるメディア番組コンテンツを含む順方向アプリケーション送信(「FAT」)チャネルである。第二の成分は、FATのコンテンツを受信したり伸長するために用いられる制御データやシステム情報を送る順方向データチャネル(「FDC」)である。FDCは帯域外のチャネルで送られることが多いため、デジタルセットトップ内に専用のレシーバと復調器が必要である。第三の成分は、加入者側から発信され、デジタルセットトップから交信サービス用のケーブルヘッドエンドにアップストリーム情報を送る逆方向データチャネル(「RDC」)である。好適な第一の実施形態のPVRサーバでは、ケーブルヘッドエンド、即ち、ハブ設備250と、280の加入者用セットトップの間で、これらの3信号成分を使って通信する。
【0014】
好適な第一の実施形態に係るサーバPVRの動作は、ケーブルヘッドエンドの協力的な構成に基づくものであるため、セットトップとDTV装置は必要なシステム制御情報を備えることが可能となり、(a)局所的に挿入されたFATチャネル201を受信し、(b)加入者がサーバPVRと交信するために、サーバPVRが受信するアップストリームRDC情報を送信することができる。このため、ヘッドエンド/ハブ設備は、サーバPVRを設置してハブに接続した全加入者が利用できるようにするために局所的に生成されたFATチャネルを定義するシステム情報パケットをFDCで送信するように構成される。これは、以下で説明するが、プログラム/システム情報プロトコル(「PSIP」)のメッセージを増やすことによってなされる。ヘッドエンドで使われるPSIPメッセージは、2000年3月28日に改訂されたSCTE DVS−234規格「帯域外送信されるデジタル有線テレビョン向けサービス情報」に記載されている。これは、本願の援用文献であり、これ以後、DVS234と呼ぶことにする。図2には、ヘッドエンドから発信されるFDC信号のDVS−234PSIPのキャリヤ定義サブテーブル251が示されている。このテーブルによって、アナログサービス252(チャネル2からチャネル78)、デジタル放送サービス253(チャネル78より上のチャネル)、デジタル狭帯域放送・ビデオオンデマンド(「VOD」)サービス254(チャネル135より下のチャネル)の物理的なチャネル周波数と論理的な属性に関する情報を送ることができる。これらのサービスは全て、ヘッドエンド/ハブ設備から発信される既存のサービスである。このハブに接続する加入者が利用するホームサーバPVRから恩恵を得るために、PSIPパケットを追加して、DVS−234に基づくホームサーバチャネル255(チャネル135、136)を定義することができる。852MHzから始まる2チャネルのグループのテーブル5.3CDS記録フォーマットに基づくその追加パケットの一例を次に示す。
【0015】
Number_of_carriers=2
spacing_unit=1 (125kHz、ビデオ標準)
Frequency_spacing=48 (6MHz/125kHz、キャリヤ間の距離)
frequency_unit=1(125kHz)
first_carrier_frequency=6816 (852MHz*8、125kHz刻み)
同様に、いくつかのセットトップでは、帯域内送信可能な類似のFDCペイロードのPSIP送信するために、本願の援用文献であるA/65ATSC規格「地上放送と有線放送用プログラム/システム情報プロトコル」におけるPSIPの有線仮想チャネルテーブル(CVCT)構造を利用することができる。
【0016】
例えば、本願の援用文献であるANSI/SCTE55−1 2002(旧DVS178)デジタル放送配信システムの帯域外配信パート1のモードAや、ANSI/SCTE55−2 2002(旧DVS167)デジタル放送配信システムの帯域外配信パート2のモードBなどのダウンストリームプロトコルとアップストリームプロトコルを利用することによって、ヘッドエンドのシステムでは、ヘッドエンドとサーバPVRがいずれも競合せずにFDC270とRDC271を介して交信できるようにセットトップを構成することができる。これは次のように行われる。即ち、2つのアップストリーム受信エンティティ(ハブ設備250とサーバPVR200)を利用する新しい常駐ミドルウェア・アプリケーションをセットトップにダウンロードし、媒体アクセス制御(「MAC」)を適切に利用してメッセージを送ることによって交互のアップストリーム通信を可能にする。またサーバPVRの話に戻るが、サーバPVRは、FATローカルチャネル(860MHzのチャネル135、136として示す)を201に挿入し、また、RDC信号成分202を受信する。また、ヘッドエンド発のFATチャネル203を受信し、ハードディスク216に格納することができる。さらに、FDC204を受信することによって、関連するシステム情報やアクセス制御メッセージを利用することが可能となる。ホームサーバペイロード255を識別するためのPSIP情報は制御データプロセッサ125で受信されるが、PSIP情報は線230を介してQAMチャネルトランスミッタ213に送られるので、その動作周波数の構築が可能になる。メッセージフィルタ220は、セットトップからヘッドエンド/ハブ側250に送られる全てのメッセージを無視するように構成される。同様に、202でセットトップからサーバPVRに送られるメッセージを受信して、メッセージフィルタ220で認識し、ヘッドエンドではメッセージフィルタ260を使ってそれを無視することができる。上述の識別は次のように行うことができる。即ち、セットトップからサーバPVRまでの全てのアップストリーム通信に対して未使用の16ビットのReturn_Path_Idワードを割り当てることをMACを介して行う。従って、メッセージフィルタ220、260は、そのReturn_Path_Idに基づくメッセージの補集合にフィルタをかけることになる。このように、ヘッドエンドシステムがそれらを無視する一方で、セットトップとサーバPVR間の交信セッションを実行することができる。同様に、サーバPVR装置は、セットトップVODとヘッドエンドの交信セッションを無視することができる。
【0017】
サーバPVRと交信するためにセットトップで利用されるグラフィカルユーザインタフェース(「GUI」)スクリーンを、FDCもしくはFATを介してヘッドエンド/ハブ側からダウンロードして、ハードディスク216内の適切なアプリケーション区画に格納することができる。また、次の加入者交信セッションが始まると、MPEG加入者インタフェースプロセッサ215は、関連する交信セッション時に、トランスミッタ213を介して201のローカルFATチャネルのうちの一つにMPEGストリームを送ることができる。また、そのような交信用スクリーンを、ローカルなイーサネット(登録商標)ホームネットワークポート206を介してダウンロードすることも可能である。
【0018】
(DTVセットの場合のように)デジタルメディアを見るために用いられる加入者デジタル装置がアップストリーム送信機能を備えていない場合には、上述したように、記憶・再生のためにサーバPVRとの交信がホームPCを使って行われること以外は、サーバPVRは、追加されたPSIF信号がホームネットワークポート206から提供される際に全てのFATチャネルサービスを提供することができる。
【0019】
図3に本発明の好適な第二の実施形態を示す。わかりやすくするために、家庭用端末と電化製品は図示していない。この構成は図1のゲートウェイ構成とは異なり、4ウェイ・スプリッタ310の後の家庭内のアウトレットにサーバPVRを設置することができる。さらに、それは、1つのTVアウトレット(不図示)を提供する統合型セットトップ、即ち、サーバPVRであってもよい。ここで、フィールド書き換え可能トラップ318は、上述の第一の実施形態のトラップ118と同じ技術要件と同じ機能を有し、さらに、サーバPVR300から送られる860MHzの信号を家庭内配線302に反射する働きもある。好適な第二の実施形態によれば、37MHzのアップストリームトラップ319は、線302上のアウトレットのいずれかに接続された双方向型セットトップから送られるリターンパス信号の信号ブロッカー/リフレクタとして示されている。従って、加入者用セットトップから送られる37MHzのアップストリーム信号は反射されて、サーバPVRのアップストリームレシーバ312によって受信される。一方、セットトップが、例えば、20MHzのアップストリーム信号を送信するように構成される場合は反射は起こらず、その信号は、アップストリームを通過して端末301を介してケーブルヘッド/ハブに送られる。このリターンパスの周波数指向性により、図2に描かれているように、論理的なメッセージをフィルタにかけることなく、アップストリーム・メッセージを物理的に識別することが可能となる。サーバPVRに送られるセットトップからのメッセージは、37MHzで送られるが、ヘッドエンドに送られるメッセージは、37MHz以外の周波数(本実施例では20MHz)で送られ、トラップ319、318を通過し、端末301を介してケーブルネットワークに送られる。無論、特定のアップストリームスペクトルの利用可能性に基づいて、二つのアップストリーム通信リンクに対して、5MHzから45MHzまでの間の周波数の組み合わせを選択することも可能である。
【0020】
上述の物理的なアップストリーム識別機能とは無関係に、本発明の好適な第二の実施形態は、帯域内で送信される制御データ情報を受信して処理することができるセットトップと共に動作するように構成される。また、そのような制御データの帯域内送信は、局所的に挿入されたQAMチャネル135もしくは136のセットトップによって受信可能である。即ち、サーバPVRシステムは、ヘッドエンドからの受信と競合しないようにPSIPメッセージを局所的に挿入することができる。図4は、図3の好適な第二の実施形態に対応するデータフロー図であり、PSIPプロセッサ445によって生成され、局所的に挿入されたPSIPメッセージを示す。このメッセージには、ローカルチャネルのシステム情報とその属性(455)が含まれる。それらのメッセージは、線431を介してQAMチャネルと多重化装置432に帯域内送信される。ローカルFATチャネルにとって必要なものは、(オプションとしてホームネットワーク配線406から送られるコマンドに応答して)データフロー線440を介してPSIPプロセッサ445と通信するMPEG加入者インタフェース415によって与えられる。また、PSIPプロセッサは、ヘッドエンドから発信された全PSIPメッセージを受信するので、401の局所的に生成されたFATチャネルに、適切で競合しないPSIP属性を割り当てることができる。
【0021】
好適な第一の実施形態の場合と同様に、ヘッドエンドから送られるFDCメッセージに基づいて常駐ミドルウェアセットトップアプリケーションをセットトップにダウンロードするか、もしくは、ホームネットワークと、多重化装置432(不図示)に対して帯域内送信される制御チャネルを介してダウンロードすることができる。ここで、ミドルウェアから提供されるセットトップの新たな機能としては、サーバPVRとヘッドエンドと通信するための2つの異なるアップストリーム周波数を用いた機能がある。その後、第一の実施形態で議論した方法と同様の方法で加入者交信を行うことができる。
【0022】
図5と図6に本発明の好適な第三の実施形態を示すが、ここでは、ケーブルヘッドエンドの調整は不要である。本実施形態によれば、FDCは75MHzのストリームで帯域外送信されるが、その信号は加入者用セットトップまでとどかない。即ち、トラップ510によって遮断される。しかしながら、ヘッドエンドから送られる制御信号は、レシーバ/復調装置511の帯域外(「OOB」)レシーバによって受信され、元のPSIPペイロード651は、局所的に挿入されたペイロード655によって付け加えられる。その後、それは完全なPSIP685として、75MHzのOOB QPSKトランスミッタ570から送られた、サーバPVR発のOOBデータストリームに挿入されて、690の新たなOOB FDCとなる。
【0023】
好適な第三の実施形態に係るシステムは、その他の全ての点で、その他の実施形態で開示されたシステムと同様に動作することができる。上述の全ての実施形態では、PSIP内の様々な番組通知用マテリアルをグラフを用いて送る加入者セッションも備えており、サーバPVR内のハードディスクに格納することも可能である。これらの機能をセットトップの既存の性能で提供できることが本発明の利点であり、これらの属性を、局所的に生成されたPSIPメッセージに共存させて再送することが可能である。
【0024】
最後に、ケーブルシステムに関して説明した特定の実施形態は、そのシステムに限定されることはないことを理解されたい。本発明によれば、同様に構成されたサーバPVRは、無線MMDSや衛星DBSサービスを加えることができる。例えば、DBSアプリケーションに図3と図4の実施形態を適用することが可能である。ここでは、860MHzのQAMトランスミッタは、未使用のL帯域チャネルと家庭内配線に送られる複合信号にチューニングされたQPSKトランスミッタに置き換えられる。パラボラアンテナやLNBダウンコンバータを端末301に接続してもよく、また、トラップ318は適切なL帯域周波数を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】チャネルの列、加入者用ゲートウェイ、ホームデジタルメディアサーバを含む本発明の好適な第一の実施形態を示す図である。
【図2】図1の好適な実施形態の信号とデータのフロー図である。
【図3】チャネル列、加入者端末装置、ホームデジタルメディアサーバを含む本発明の好適な第二の実施形態を示す図である。
【図4】図3の好適な実施形態の信号とデータのフロー図である。
【図5】チャネルの列、加入者端末装置、ホームデジタルメディアサーバを含む本発明の好適な第三の実施形態を示す図である。
【図6】図5の好適な実施形態の信号とデータのフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドエンドから加入者宅にテレビジョンサービスを提供する方法であって、
第一の加入者端末に接続される第一の送信リンクを介して前記第一の加入者端末が、ヘッドエンドから送信された第一のテレビジョンサービスを受信する工程と、
前記第一の加入者端末に接続された第二の加入者端末に第二の送信リンクを介して少なくとも一つのローカルテレビジョンチャネルの属性を特定するシステム情報データを送信する工程であって、前記少なくとも一つのローカルテレビジョンチャネルは、前記ヘッドエンドが前記第一の送信リンクでは利用しない周波数を有する、当該工程と、
前記少なくとも一つのローカルテレビジョンチャネルで、前記第一のテレビジョンサービスを前記第一の加入者端末から前記第二の送信リンクを介して、加入者宅に配置された前記第二の加入者端末に送信する工程を備えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−502090(P2007−502090A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532905(P2006−532905)
【出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/014514
【国際公開番号】WO2004/102344
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(501214764)ブロードバンド・イノベーションズ・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】BROADBAND INNOVATIONS, INC.
【Fターム(参考)】