説明

ボイラ

【課題】水位センサの検出精度のズレを確実に捉え、好適に水位制御(給排水制御)を行うことを可能にしたボイラを提供する。
【解決手段】水管15内の水Wを給排制御するための水位検出手段4が、水Wの水位を無段階で検出する水位制御用水位センサ20と、水Wの水位を段階別に検出するための複数の電極棒21、22、23を備えている。そして、各電極棒21、22、23の水位検出点での水位制御用水位センサ20の水位検出結果と各電極棒21、22、23の水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に、電極棒21、22、23の水位検出結果に基づいて水位制御用水位センサ20の検出特性を補正する補正手段25を備える。また、各電極棒21、22、23の水位検出点での水位制御用水位センサ20の水位検出結果と各電極棒21、22、23の水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に、信号出力する監視手段26を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水位制御用水位センサを備えるボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば多管式貫流ボイラなどのボイラは、環状の下部管寄せ及び環状の上部管寄せに上下端をそれぞれ接続し、上下方向に軸線方向を向けて配設された複数の伝熱管(伝熱部)を備えた水管と、各伝熱管内にボイラ水を供給する(水管内に水を供給する)ボイラ水供給装置と、伝熱管の間に形成された燃焼室の上部に配設され、各伝熱管内に供給したボイラ水を加熱して蒸気を発生させるためのバーナとを備えて構成されている。
【0003】
また、この種のボイラの水管には、例えば上部管寄せと下部管寄せなどの上部と下部にそれぞれ端部を接続してセパレータ(気水分離器)が設けられ、セパレータで蒸気と缶水を分離し、蒸気を外部に導出させつつ分離した缶水を再度伝熱管内に返送、あるいは外部に排出するように構成されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、この種のボイラには、各伝熱管内のボイラ水の水位を検出するための水位検出装置(水位検出手段)が設けられている。水位検出装置は、一般に、連絡管を介して上部管寄せと下部管寄せ、及び/又は下部管寄せとセパレータにそれぞれ接続して配設される水位検出筒と、水位検出筒内に設けられた水位センサ(水位制御用水位センサ)及び複数の電極棒とを備えて構成されている。
【0005】
この水位検出装置においては、水位検出筒内に連絡管を通じてボイラ水が導入されるため、水位検出筒内のボイラ水の水位と伝熱管内のボイラ水の水位が略同等になる。このため、水位センサによって水位検出筒内の水の水位を検出することで、伝熱管内のボイラ水の水位を検出することができる。そして、この水位センサの検出結果に基づいてボイラ水供給装置等の駆動を制御し、伝熱管内のボイラ水(水位、量)を給排制御することで、伝熱管内のボイラ水の水位を適正に保つようにしている。
【0006】
複数の電極棒は、ボイラを新設したり、既設のボイラの水位センサを交換する場合などにおいて、これら電極棒で検出した水位と水位センサが検出した水位を対比することで、水位センサが適正に伝熱管内のボイラ水の水位を検出しているか否かを確認するために使用される。すなわち、ボイラを新設したり、既設のボイラの水位センサを交換する場合などに、複数の電極棒を用い複数点(複数の水位検出点)で水位センサの校正を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−192194号公報
【特許文献2】特開2005−321146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、上記従来のボイラにおいて、水位センサは、出力特性(検出特性)がある程度決まっているが、ボイラや水位センサ自体の個体差によって同じ所に設置したとしても、出力が異なる場合がある。また、ボイラを使用すると、経年劣化やスラッジ、スケールといった異物の付着などに起因して水位センサの検出結果(精度)にズレが生じる場合がある(検出特性に変化が生じる場合がある)。
【0009】
そして、水位センサが検出した水位と伝熱管内の水位の間にズレが生じると、水管内の水位が給水開始水位を大幅に下回っているにもかかわらず、伝熱管が加熱されて水管過熱が生じたり、水管内の水位が給水停止水位を上回っているにもかかわらず、給水が停止されないため、缶水を大量に含んだ蒸気がセパレータに流れ込み、セパレータで缶水と蒸気を好適に分離できなくなり、乾き度不良が生じるおそれがある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、水位センサの検出精度のズレを確実に捉え、好適に水位制御(給排水制御)を行うことを可能にしたボイラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0012】
請求項1記載のボイラは、水を供給して加熱することによって蒸気を生成する伝熱部を含む水管から連絡管を通じて導出した水の水位を検出して、前記水管内の水を給排制御するための水位検出手段を備えるとともに、該水位検出手段が、前記水の水位を無段階で検出する水位制御用水位センサと、前記水の水位を段階別に検出するための複数の電極棒を備え、前記水位制御用水位センサの水位検出結果と前記複数の電極棒の各水位検出結果を比較して前記水位制御用水位センサを複数点で校正するように構成したボイラにおいて、各電極棒の水位検出点での前記水位制御用水位センサの水位検出結果と各電極棒の水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に、前記電極棒の水位検出結果に基づいて前記水位制御用水位センサの検出特性を補正する補正手段を備えていることを特徴とする。
【0013】
この発明においては、水位制御用水位センサの水位検出結果と各電極棒の水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に(不良状態が生じた際に)、補正手段によって、電極棒の水位検出結果に基づき、水位制御用水位センサの検出特性を補正することができる。これにより、水位制御用水位センサの出力が微妙に異なっていたり、経年劣化やスラッジ、スケールといった異物の付着などに起因して水位制御用水位センサの検出精度にズレが生じた場合であっても、水位制御用水位センサの検出結果に基づいて伝熱管内のボイラ水(水位、量)を給排制御して、伝熱管内のボイラ水の水位を適正に保つことが可能になる。
【0014】
請求項2記載のボイラは、水を供給して加熱することによって蒸気を生成する伝熱部を含む水管から連絡管を通じて導出した水の水位を検出して、前記水管内の水を給排制御するための水位検出手段を備えるとともに、該水位検出手段が、前記水の水位を無段階で検出する水位制御用水位センサと、前記水の水位を段階別に検出するための複数の電極棒を備え、前記水位制御用水位センサの水位検出結果と前記複数の電極棒の各水位検出結果を比較して前記水位制御用水位センサを複数点で校正するように構成したボイラにおいて、各電極棒の水位検出点での前記水位制御用水位センサの水位検出結果と各電極棒の水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に、信号出力する監視手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
この発明においては、水位制御用水位センサの水位検出結果と各電極棒の水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に(不良状態が生じた際に)、監視手段によってこれを捉え、アラームなどの信号を出力することができる。これにより、水位制御用水位センサの出力が微妙に異なっていたり、経年劣化やスラッジ、スケールといった異物の付着などに起因して水位制御用水位センサの検出精度にズレが生じた場合であっても、アラームなどの信号が出力されるとともに水位制御用水位センサを確認することで、好適に水位制御用水位センサの検出結果に基づいて伝熱管内のボイラ水(水位、量)を給排制御するようにでき、伝熱管内のボイラ水の水位を適正に保つことが可能になる。
【0016】
請求項3記載のボイラは、水を供給して加熱することによって蒸気を生成する伝熱部を含む水管から連絡管を通じて導出した水の水位を検出して、前記水管内の水を給排制御するための水位検出手段を備えるとともに、該水位検出手段が前記水の水位を無段階で検出する水位制御用水位センサを備えたボイラにおいて、前記水位検出手段が前記水位制御用水位センサに加えて前記水の水位を無段階で検出する比較用水位センサを備え、前記水位制御用水位センサの水位検出結果と前記比較用水位センサの水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に、前記水位制御用水位センサと比較用水位センサの水位検出結果に基づいて前記水位制御用水位センサの検出特性を補正する補正手段を備えていることを特徴とする。
【0017】
この発明においては、水位制御用水位センサの水位検出結果と比較用水位センサの水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に(不良状態が生じた際に)、補正手段によって、比較用水位センサの水位検出結果に基づき、水位制御用水位センサの検出特性を補正することができる。これにより、水位制御用水位センサの出力が微妙に異なっていたり、経年劣化やスラッジ、スケールといった異物の付着などに起因して水位制御用水位センサの検出精度にズレが生じた場合であっても、両水位センサの検出結果に基づいて、伝熱管内のボイラ水(水位、量)を給排制御し、伝熱管内のボイラ水の水位を適正に保つことが可能になる。
【0018】
請求項4記載のボイラは、水を供給して加熱することによって蒸気を生成する伝熱部を含む水管から連絡管を通じて導出した水の水位を検出して、前記水管内の水を給排制御するための水位検出手段を備えるとともに、該水位検出手段が前記水の水位を無段階で検出する水位制御用水位センサを備えたボイラにおいて、前記水位検出手段が前記水位制御用水位センサに加えて前記水の水位を無段階で検出する比較用水位センサを備え、前記水位制御用水位センサの水位検出結果と前記比較用水位センサの水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に、信号出力する監視手段を備えていることを特徴とする。
【0019】
この発明においては、水位制御用水位センサの水位検出結果と比較用水位センサの水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に(不良状態が生じた際に)、監視手段によってこれを捉え、アラームなどの信号を出力することができる。これにより、水位制御用水位センサの出力が微妙に異なっていたり、経年劣化やスラッジ、スケールといった異物の付着などに起因して水位制御用水位センサの検出精度にズレが生じた場合であっても、アラームなどの信号が出力されるとともに水位制御用水位センサを確認することで、好適に水位制御用水位センサの検出結果に基づいて伝熱管内のボイラ水(水位、量)を給排制御するようにでき、伝熱管内のボイラ水の水位を適正に保つことが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のボイラにおいては、水位制御用水位センサの出力が異なっていたり、経年劣化やスラッジ、スケールといった異物の付着などに起因して水位制御用水位センサの検出精度にズレが生じた場合であっても、水位制御用水位センサの検出結果に基づいて伝熱管内のボイラ水を給排制御して、伝熱管内のボイラ水の水位を適正に保つことが可能になる。
【0021】
これにより、ボイラ水の水位制御を高精度で行うことができ、水管過熱や乾き度不良の発生を確実に防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係るボイラを示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るボイラの水位検出装置(水位検出手段)を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るボイラを示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るボイラの水位検出装置(水位検出手段)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1及び図2を参照し、本発明の第1実施形態に係るボイラについて説明する。
【0024】
本実施形態のボイラAは、図1に示すように、多管式貫流ボイラであり、ボイラ本体1と、ボイラ水供給装置2と、セパレータ(気水分離器)3と、水位検出装置(水位検出手段)4と、制御装置5とを備えて構成されている。
【0025】
ボイラ本体1は、環状の下部管寄せ6及び環状の上部管寄せ7に上下端をそれぞれ接続し、上下方向に軸線方向を向けて配設された複数の伝熱管(伝熱部)8と、伝熱管8の間に形成された燃焼室9と、燃焼室9の上部に配置され、各伝熱管8内に供給されたボイラ水Wを加熱して蒸気を発生させるバーナ10とを備えて構成されている。
【0026】
また、ボイラ本体1の下部には、蒸気の発生に伴って濃縮されたボイラ水Wを系外(外部)に排出するための濃縮ブロー弁11aを備えたブローライン11が接続されている。さらに、ボイラ本体1の上部には、圧力センサ12が設けられている。また、バーナ10には、燃料供給弁13aを備えた燃料供給ライン13が接続され、この燃料供給弁13aを開閉制御することで、燃焼がオンオフ制御されるように構成されている。
【0027】
ボイラ水供給装置2は、ボイラ本体1に接続された給水ライン2aと、この給水ライン2aに設けられ、上流側から順に配設された給水水質測定部2b、給水ポンプ2c、逆止弁2dと、給水水質測定部2bよりも上流側に設けられ、原水の水質を調節して給水Wを生成する水処理部(不図示)とを備えて構成されている。
【0028】
セパレータ3は、ボイラ本体1の伝熱管8とともに水管15の一部とされ、下部管寄せ6と上部管寄せ7にそれぞれ端部を接続して設けられた連絡管16を通じてボイラ本体1に接続されている。そして、このセパレータ3は、ボイラ本体1で生成された蒸気Sと缶水を分離し、蒸気Sを外部に導出させつつ分離した缶水を下部管寄せ6を通じて再度伝熱管8内に返送、あるいは外部に排出するように設けられている。
【0029】
水位検出装置4は、図1及び図2に示すように、下部管寄せ6と上部管寄せ7、及び/又は下部管寄せ6(連絡管16)とセパレータ3にそれぞれ端部を接続した水位検出筒17を備えて構成されている。また、この水位検出筒17内に設けられ、水位検出筒17内に連絡管16、18を通じて導入された水Wの水位を検出するための水位センサ(水位制御用水位センサ)20と複数の電極棒(本実施形態では3本の電極棒21、22、23)を備えて構成されている。水位センサ20は、水位検出筒17内の水Wの水位を無段階で検出し、伝熱管8内のボイラ水Wの水位を制御するためのものである。複数の電極棒21、22、23は、それぞれの水位検出点P1、P2、P3が上下方向に所定の間隔をあけて配されるようにして水位検出筒17内に設けられ、水位検出筒17内の水Wの水位を段階別に検出する。
【0030】
ここで、本実施形態において、3本の電極棒21、22、23は、例えば、1つの電極棒23が水位センサ20の下限よりも水位検出点P1を僅かに上方に配して設けられる低水位検出棒とされ、もう1つの電極棒22がその水位検出点P2を低水位検出棒21の水位検出点P1よりも上方に配して設けられ、最も水位精度が要求される高燃焼時の水位を検出する高燃焼水位検出棒とされている。また、残りの1つの電極棒21がその水位検出点P3を高燃焼水位検出棒22の水位検出点P2よりも上方に配して設けられ、着火時の水位を検出する着火水位検出棒とされている。そして、通常運転時には、着火水位検出棒21が常時水なしの状態を検出し、低水位検出棒23が常時水ありの状態を検出することになる。
【0031】
一方、本実施形態の制御装置5は、図1に示すように、給水水質測定部2b、給水ポンプ2c、濃縮ブロー弁11a、圧力センサ12、燃料供給弁13aに信号線を接続して設けられ、本実施形態のボイラAにおいては、ボイラAの燃焼制御、ボイラ水Wの水位制御、濃縮ブロー制御をこの制御装置5によって行うように構成されている。例えば、制御装置5は、圧力センサ12の検出値に基づいて燃焼制御を行い、上部管寄せ7内の蒸気圧力が所定圧力の範囲となるようにボイラAを制御する。具体的に、圧力センサ12の検出値が下限圧力まで下降したときには、燃料供給弁13aを開状態としてバーナ10の燃焼状態とし、圧力センサ12の検出値が上限圧力まで上昇したときには、燃料供給弁13aを閉状態としてバーナ10を燃焼停止状態にする。
【0032】
また、制御装置5は、水位検出装置4の水位センサ20で検出した水位検出結果に基づき、各伝熱管8内の水位が所定の範囲で適正に保たれるように、給水ポンプ2cをオンオフ制御する。
【0033】
すなわち、本実施形態では、水位検出筒17内の水Wの水位を水位センサ20で検出した情報が制御装置5に送られ、この制御装置5で水位が給水開始水位より低くなったことを検出すると、給水ポンプ2cに対して動作指令が出力され、ボイラ本体1への給水が行われる。また、給水によって水位が給水停止水位よりも高くなったことを検出すると、給水ポンプ2cに対する動作指令を停止してボイラ本体1への給水が停止される。
【0034】
さらに、本実施形態のボイラAにおいては、水位センサ20と各電極棒21、22、23の水位検出結果がボイラAの運転時に制御装置5に送られて、各電極棒21、22、23の水位検出点P1、P2、P3での水位センサ20の水位検出結果と各電極棒21、22、23の水位検出結果とが制御装置5で比較される。
【0035】
そして、本実施形態の制御装置5には、各電極棒21、22、23の水位検出点P1、P2、P3での水位センサ20の水位検出結果と各電極棒21、22、23の水位検出結果との間に予め設定した所定範囲を外れる差異が生じた際に、電極棒21、22、23の水位検出結果に基づいて水位センサ20の検出特性を補正する補正手段25が設けられている。また、本実施形態の制御装置5には、補正手段25とともに、各電極棒21、22、23の水位検出点P1、P2、P3での水位センサ20の水位検出結果と各電極棒21、22、23の水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に、信号出力する監視手段26が設けられている。
【0036】
すなわち、本実施形態のボイラAでは、複数の電極棒21、22、23が、ボイラAを新設したり、既設のボイラAの水位センサ20を交換する場合などに、複数の電極棒21、22、23を用い複数点(複数の水位検出点P1、P2、P3)で水位センサ20の校正を行うのに加えて、ボイラAの運転時に水位センサ20とともに水位を段階的に検出してその水位検出結果を制御装置5に送り続ける。
【0037】
このとき、低水位検出棒(電極棒)23の水位検出点P1まで水位が低下した際には、低水位検出棒23で検出された水位検出結果と水位センサ20の水位検出結果が制御装置5によって対比され、また、高燃焼水位検出棒(電極棒)22の水位検出点P2に水位が達した際には、高燃焼水位検出棒22で検出された水位検出結果と水位センサ20の水位検出結果が制御装置5で対比され、さらに、着火水位検出棒(電極棒)21の水位検出点P3まで水位が上昇した際には、着火水位検出棒21で検出された水位検出結果と水位センサ20の水位検出結果が対比される。
【0038】
そして、水位センサ20の出力が異なっていたり、経年劣化やスラッジ、スケールといった異物の付着などに起因して水位センサ20の検出精度にズレが生じ、低水位P1、高燃焼水位P2、着火水位P3の各水位で、水位センサ20の水位検出結果と各電極棒21、22、23の水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じると、制御装置5の監視手段26がアラームなどの信号を出力する。
【0039】
これにより、作業者が監視手段26から出力された信号を認識することで、水位センサ20の検出特性の変化が確認される。このため、監視手段26から出力された信号を確認するとともに水位センサ20の補正又は校正を行うことで、好適に水位センサ20の検出結果に基づいて伝熱管8内のボイラ水W(水位、量)を給排制御できるように戻され、伝熱管8内のボイラ水Wの水位が適正に保たれることになる。
【0040】
さらに、本実施形態では、補正手段25が設けられている。このため、水位センサ20の水位検出結果と各電極棒21、22、23の水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じ、監視手段26からアラームなどの信号が出力された段階で、例えば作業者がボタン操作などを行うと、補正手段25が電極棒21、22、23の水位検出結果に基づいて水位センサ20の検出特性を補正する。
【0041】
これにより、水位センサ20の出力が異なっていたり、経年劣化やスラッジ、スケールといった異物の付着などに起因して水位センサ20の検出精度にズレが生じた場合であっても、水位センサ20の検出結果に基づいて伝熱管8内のボイラ水Wを給排制御し、伝熱管8内のボイラ水Wの水位を適正に保つことが容易に行えることになる。
【0042】
したがって、本実施形態のボイラAにおいては、水位センサ20の水位検出結果と各電極棒21、22、23の水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に、補正手段25によって、電極棒21、22、23の水位検出結果に基づき、水位センサ20の検出特性を補正することができる。これにより、水位センサ20の出力が異なっていたり、経年劣化やスラッジ、スケールといった異物の付着などに起因して水位センサ20の検出精度にズレが生じた場合であっても、水位センサ20の検出結果に基づいて伝熱管8内のボイラ水Wを給排制御して、伝熱管8内のボイラ水Wの水位を適正に保つことが可能になる。
【0043】
また、水位センサ20の水位検出結果と各電極棒21、22、23の水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に、監視手段26によってこれを捉え、アラームなどの信号を出力することができる。これにより、水位センサ20の出力が異なっていたり、経年劣化やスラッジ、スケールといった異物の付着などに起因して水位センサ20の検出精度にズレが生じた場合であっても、アラームなどの信号が出力されるとともに水位センサ20を確認することで、好適に水位センサ20の検出結果に基づいて伝熱管8内のボイラ水Wを給排制御するようにでき、伝熱管8内のボイラ水Wの水位を適正に保つことが可能になる。
【0044】
よって、本実施形態のボイラAによれば、ボイラ水Wの水位制御を高精度で行うことができ、水管過熱や乾き度不良の発生を確実に防止することが可能になる。
【0045】
以上、本発明に係るボイラの第1実施形態について説明したが、本発明は上記の第1実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態は、制御装置5に補正手段25と監視手段26が具備されているものとして説明を行ったが、補正手段25と監視手段26の少なくとも一方を備えていればよく、監視手段26については、信号により警報を出し、又は給水量補正に用いたり、誤差の大きさに応じてボイラAを停止する等の制御に用いるようにしてもよい。その結果、水位センサ20の出力が異なっていたり、経年劣化やスラッジ、スケールといった異物の付着などに起因して水位センサ20の検出精度にズレが生じた場合であっても、伝熱管8内のボイラ水Wの水位を適正に保つことが可能になる。
【0046】
次に、図3及び図4を参照し、本発明の第2実施形態に係るボイラBについて説明する。本実施形態は、第1実施形態と同様の多管式貫流ボイラに関するものであり、水位検出装置(及び制御装置)の構成のみが異なっている。このため、第1実施形態と同様の構成に対しては、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0047】
本実施形態の水位検出装置(水位検出手段)30は、第1実施形態と同様に、下部管寄せ6と上部管寄せ7、及び/又は下部管寄せ6(連絡管16)とセパレータ3にそれぞれ端部を接続した水位検出筒17を備えて構成されている。一方、この水位検出筒17内には、水位検出筒17内に連絡管16、18を通じて導入された水Wの水位を検出するための水位制御用水位センサ31と比較用水位センサ32が設けられている。
【0048】
そして、本実施形態のボイラBにおいては、水位制御用水位センサ31と比較用水位センサ32の水位検出結果がボイラBの運転時に常時制御装置5に送られて、水位制御用水位センサ31の水位検出結果と比較用水位センサ32の水位検出結果とが常時制御装置5で比較される。
【0049】
また、本実施形態の制御装置5には、水位制御用水位センサ31の水位検出結果と比較用水位センサ32の水位検出結果との間に予め設定した所定範囲を外れる差異が生じた際に、これら両水位センサ31、32の水位検出結果に基づいて水位制御用水位センサ31の検出特性を補正する補正手段25が設けられている。さらに、本実施形態の制御装置5には、補正手段25とともに、両水位センサ31、32の水位検出結果の間に所定範囲を外れる差異が生じた際に、信号出力する監視手段26が設けられている。
【0050】
このため、水位制御用水位センサ31の出力が異なっていたり、経年劣化やスラッジ、スケールといった異物の付着などに起因して水位制御用水位センサ31の検出精度にズレが生じると、制御装置5の監視手段26がアラームなどの信号を出力する。
【0051】
これにより、作業者が監視手段26から出力された信号を認識することで、水位制御用水位センサ31の検出特性の変化が確認される。このため、本実施形態のボイラBにおいても、監視手段26から出力された信号を確認するとともに水位制御用水位センサ31の補正又は校正を行うことで、好適に水位制御用水位センサ31の検出結果に基づいて伝熱管8内のボイラ水W(水位、量)を給排制御できるように戻され、伝熱管8内のボイラ水Wの水位が適正に保たれることになる。
【0052】
さらに、本実施形態では、補正手段25が設けられているため、水位制御用水位センサ31の水位検出結果と比較用水位センサ32の水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じ、監視手段26からアラームなどの信号が出力された段階で、例えば作業者がボタン操作などを行うと、補正手段25が両水位センサ31、32の水位検出結果に基づいて水位制御用水位センサ31の検出特性を補正する。
【0053】
これにより、水位制御用水位センサ31の出力が異なっていたり、経年劣化やスラッジ、スケールといった異物の付着などに起因して水位制御用水位センサ31の検出精度にズレが生じた場合であっても、両水位センサ31、32の検出結果に基づいて伝熱管8内のボイラ水Wを給排制御し、伝熱管8内のボイラ水Wの水位を適正に保つことが容易に行えることになる。
【0054】
したがって、本実施形態のボイラBにおいては、水位制御用水位センサ31の水位検出結果と比較用水位センサ32の水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に、補正手段25によって、水位制御用水位センサ31と比較用水位センサ32の水位検出結果に基づき、水位制御用水位センサ31の検出特性を補正することができる。
【0055】
これにより、水位制御用水位センサ31の検出精度にズレが生じた場合であっても、両水位センサ31、32の検出結果に基づいて、伝熱管8内のボイラ水Wを給排制御し、伝熱管8内のボイラ水Wの水位を適正に保つことが可能になる。
【0056】
また、水位制御用水位センサ31の水位検出結果と比較用水位センサ32の水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に、監視手段26によってこれを捉え、アラームなどの信号を出力することができる。
【0057】
これにより、水位制御用水位センサ31の検出精度にズレが生じた場合であっても、アラームなどの信号が出力されるとともに水位制御用水位センサ31を確認することで、好適に水位制御用水位センサ31の検出結果に基づいて伝熱管8内のボイラ水Wを給排制御するようにでき、伝熱管8内のボイラ水Wの水位を適正に保つことが可能になる。
【0058】
よって、本実施形態のボイラBにおいても、第1実施形態と同様に、ボイラ水Wの水位制御を高精度で行うことができ、水管過熱や乾き度不良の発生を確実に防止することが可能になる。
【0059】
以上、本発明に係るボイラの第2実施形態について説明したが、本発明は上記の第2実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第1実施形態と同様、制御装置5に補正手段25と監視手段26が具備されているものとしたが、補正手段25と監視手段26の少なくとも一方を備えていればよい。
【符号の説明】
【0060】
1 ボイラ本体
2 ボイラ水供給装置
2a 給水ライン
2b 給水水質測定部
2c 給水ポンプ
2d 逆止弁
3 セパレータ
4 水位検出装置(水位検出手段)
5 制御装置
6 下部管寄せ
7 上部管寄せ
8 伝熱管(伝熱部)
9 燃焼室
10 バーナ
11 ブローライン
11a 濃縮ブロー弁
12 圧力センサ
13 燃料供給ライン
13a 燃料供給弁
15 水管
16 連絡管
17 水位検出筒
18 連絡管
20 水位センサ(水位制御用水位センサ)
21 電極棒
22 電極棒
23 電極棒
25 補正手段
26 監視手段
30 水検出装置(水位検出手段)
31 水位制御用水位センサ
32 比較用水位センサ
A ボイラ
B ボイラ
P1 水位検出点
P2 水位検出点
P3 水位検出点
S 蒸気
W ボイラ水、水、給水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を供給して加熱することによって蒸気を生成する伝熱部を含む水管から連絡管を通じて導出した水の水位を検出して、前記水管内の水を給排制御するための水位検出手段を備えるとともに、
該水位検出手段が、前記水の水位を無段階で検出する水位制御用水位センサと、前記水の水位を段階別に検出するための複数の電極棒を備え、
前記水位制御用水位センサの水位検出結果と前記複数の電極棒の各水位検出結果を比較して前記水位制御用水位センサを複数点で校正するように構成したボイラにおいて、
各電極棒の水位検出点での前記水位制御用水位センサの水位検出結果と各電極棒の水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に、前記電極棒の水位検出結果に基づいて前記水位制御用水位センサの検出特性を補正する補正手段を備えていることを特徴とするボイラ。
【請求項2】
水を供給して加熱することによって蒸気を生成する伝熱部を含む水管から連絡管を通じて導出した水の水位を検出して、前記水管内の水を給排制御するための水位検出手段を備えるとともに、
該水位検出手段が、前記水の水位を無段階で検出する水位制御用水位センサと、前記水の水位を段階別に検出するための複数の電極棒を備え、
前記水位制御用水位センサの水位検出結果と前記複数の電極棒の各水位検出結果を比較して前記水位制御用水位センサを複数点で校正するように構成したボイラにおいて、
各電極棒の水位検出点での前記水位制御用水位センサの水位検出結果と各電極棒の水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に、信号出力する監視手段を備えていることを特徴とするボイラ。
【請求項3】
水を供給して加熱することによって蒸気を生成する伝熱部を含む水管から連絡管を通じて導出した水の水位を検出して、前記水管内の水を給排制御するための水位検出手段を備えるとともに、該水位検出手段が前記水の水位を無段階で検出する水位制御用水位センサを備えたボイラにおいて、
前記水位検出手段が前記水位制御用水位センサに加えて前記水の水位を無段階で検出する比較用水位センサを備え、
前記水位制御用水位センサの水位検出結果と前記比較用水位センサの水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に、前記水位制御用水位センサと前記比較用水位センサの水位検出結果に基づいて前記水位制御用水位センサの検出特性を補正する補正手段を備えていることを特徴とするボイラ。
【請求項4】
水を供給して加熱することによって蒸気を生成する伝熱部を含む水管から連絡管を通じて導出した水の水位を検出して、前記水管内の水を給排制御するための水位検出手段を備えるとともに、該水位検出手段が前記水の水位を無段階で検出する水位制御用水位センサを備えたボイラにおいて、
前記水位検出手段が前記水位制御用水位センサに加えて前記水の水位を無段階で検出する比較用水位センサを備え、
前記水位制御用水位センサの水位検出結果と前記比較用水位センサの水位検出結果との間に所定範囲を外れる差異が生じた際に、信号出力する監視手段を備えていることを特徴とするボイラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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