説明

ボイラ

【課題】 熱回収を効果的に行うと共に耐久性の高い拡大伝熱面(フィン等)を有する水管群を備えたボイラを提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、環状に配列された内側水管群20と外側水管群30とを有する缶体10と、前記内側水管群20の中央部に配設されたバーナ40とを備えたボイラ1であって、前記内側水管群20を成す隣接する内側水管間が、ガス流路を設ける部分を除いて閉塞されており、前記ガス流路近傍における前記内側水管群20および前記外側水管群30の少なくとも一方に、スタッドフィン22,32が設けられていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラ(多管式貫流ボイラ)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、環状に配列された水管群を有する缶体を備えたボイラはよく知られており、このようなボイラにおいては、一般的に、その水管群の中央部にバーナが配設されている。つまり、このような構成のボイラにおいては、環状に配列された水管群の中央部が、バーナから供給された燃料を燃焼させるための燃焼室として機能する。
【0003】
また、従来技術にかかるボイラにおいては、バーナにて生成された燃焼ガスの熱回収量を高めるために、水管群を構成する所定の水管に対してフィンを設ける技術が知られている。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
しかしながら、従来技術にかかるボイラにおいては、水管に設けるフィンの設置箇所により、効果的な熱回収を行うことができないという問題があった。つまり、ボイラを構成する水管群に設けられる拡大伝熱面を有効利用できていないという問題があった。また、場合によっては、燃焼ガスによって過熱されたフィンに亀裂が入ったり、脱落が発生したりする等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−75805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、熱回収を効果的に行うと共に耐久性の高い拡大伝熱面(フィン等)を有する水管群を備えたボイラを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、環状に配列された内側水管群と外側水管群とを有する缶体と、前記内側水管群の中央部に配設されたバーナとを備えたボイラであって、前記内側水管群を成す隣接する内側水管間が、ガス流路を設ける部分を除いて閉塞されており、前記ガス流路近傍における前記内側水管群および前記外側水管群の少なくとも一方に、拡大伝熱面(例えば、スタッドフィン)が設けられており、前記ガス流路近傍における前記外側水管群にのみ、前記拡大伝熱面(例えば、スタッドフィン)が設けられていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、温度差が大きくなる領域である前記ガス流路近傍に、前記拡大伝熱面(例えば、スタッドフィン)が設けられているため、効果的に熱回収を行うことができる。また、拡大伝熱面としてスタッドフィンを用いれば、仮に過熱状態となったとしても、亀裂や脱落等が発生しにくい。さらに、このような構成によれば、前記ガス流路近傍に拡大伝熱面を設け、早い段階で燃焼ガスから熱回収が行われ、燃焼ガス温度が早期に低下するため、サーマルNOxの発生を低減することが可能となる。また、本発明にかかるボイラによれば、上述したように、前記内側水管群の中央部に設けられたバーナにて生成された燃焼ガスが、前記ガス流路を介して前記外側水管群に衝突した後、前記外側水管群に沿って、水管群間を流通する。したがって、この好ましい構成によれば、燃焼ガスと多く接触する前記外側水管群に設けられている前記拡大伝熱面(例えば、スタッドフィン)によって、より効果的に燃焼ガスからの熱回収を行うことができる。
【0009】
また、本発明にかかるボイラは、前記ガス流路が、前記内側水管群の一端側に環状に設けられている構成が好ましい。より具体的には、本発明にかかるボイラは、前記ガス流路が、前記内側水管群の上端側あるいは下端側に環状に設けられている構成が好ましい。
【0010】
さらに、本発明にかかるボイラは、前記ガス流路近傍に設けられた前記拡大伝熱面(例えば、スタッドフィン)の下流側に、ガスの流れに対して傾斜させた平板状のフィンが設けられている構成が好ましい。
【0011】
また、本発明にかかるボイラは、前記平板状のフィンの傾斜角度が、前記ガスの流れに対して20°〜85°(水平に対して5°〜70°)である構成が好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、熱回収を効果的に行うと共に耐久性の高い拡大伝熱面(フィン等)を有する水管群を備えたボイラを得ることができる。また、本発明によれば、低NOx化を図ることが可能なボイラを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態を説明する前に、本明細書において使用する用語について説明する。
【0014】
本明細書において、単に「ガス」と称する場合、ガスとは、燃焼反応中のガスおよび燃焼反応が完了したガスの少なくとも一方を含む概念であり、燃焼ガスと称することもできる。つまり、ガスとは、燃焼反応中のガスおよび燃焼反応が完了したガスの両方を有する場合、燃焼反応中のガスのみを有する場合、あるいは燃焼反応が完了したガスのみを有する場合の、いずれをも含む概念である。以下、特に説明しない場合は同様の概念である。
【0015】
また、排ガスとは、燃焼反応が完了または殆ど完了したガスを意味する。さらに、特に説明しない場合は、排ガスとは、ボイラの缶体内を通過して煙突部に達したガス、および缶体内にて循環するガスの両方あるいはいずれかを意味するものとする。
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
まず、本実施形態の第一態様にかかるボイラは、環状に配列された内側水管群と外側水管群とを有する缶体と、内側水管群の中央部に配設されたバーナとを備えたボイラであって、内側水管群を成す隣接する内側水管間が、ガス流路を設ける部分を除いて閉塞されており、ガス流路近傍における内側水管群および前記外側水管群の少なくとも一方に、拡大伝熱面(例えば、スタッドフィン)が設けられていることを特徴としている。
【0018】
また、本実施形態の第二態様にかかるボイラは、第一態様の構成において、ガス流路近傍における内側水管群および外側水管群に拡大伝熱面(例えば、スタッドフィン)が設けられており、外側水管群の方が、内側水管群よりも多くの拡大伝熱面(例えば、スタッドフィン)が設けられている。
【0019】
さらに、本実施形態の第三態様にかかるボイラは、第一態様の構成において、ガス流路近傍における外側水管群にのみ、拡大伝熱面(例えば、スタッドフィン)が設けられている。
【0020】
また、本実施形態の第四態様にかかるボイラは、第一態様から第三態様のいずれかの構成において、ガス流路が、内側水管群の一端側に環状に設けられている。つまり、本実施形態にかかるボイラは、ガス流路が、内側水管群の上端側あるいは下端側に環状に設けられている。
【0021】
さらに、本実施形態の第五態様にかかるボイラは、第一態様から第四態様のいずれかの構成において、ガス流路近傍に設けられた拡大伝熱面(例えば、スタッドフィン)の下流側に、ガスの流れに対して傾斜させた平板状のフィンが設けられている。
【0022】
また、本実施形態の第六態様にかかるボイラは、第五態様の構成において、平板状のフィンの傾斜角度が、ガスの流れに対して20°〜85°(水平に対して5°〜70°)であることが好ましい。
【0023】
<第一実施例>
以下、図面に基づき、本発明の第一実施例にかかるボイラについて説明する。
【0024】
図1は、本発明の第一実施例にかかるボイラの縦断面の説明図を示している。図2は、図1のII−II線に沿う横断面の簡略説明図を示している。図3は、図1のIII−III線に沿う横断面の簡略説明図を示している。図4は、図1のIV−IV線に沿う横断面の簡略説明図を示している。
【0025】
図1等に示すように、本実施例にかかるボイラ1は、環状に配列された水管群を有する缶体10と、これらの水管群の中央部に配設されたバーナ40とを用いて構成されており、バーナ40上方位置には、燃焼用空気をバーナ40に供給する、ウインドボックス50が設けられている。
【0026】
缶体10は、上部ヘッダ11と下部ヘッダ12との間に複数の水管群(内側水管群20、外側水管群30)を立設して構成されている。それぞれの水管群20,30は、略同心円上の環状に配列されており、内側水管群20から所定間隔を隔てて外側水管群30が設けられており、内側水管群20と外側水管群30との間に環状ガス流路60が形成されている。
【0027】
本実施例において、内側水管群20は、複数の内側水管21および第一縦ヒレ部24を用いて構成されている。それぞれの内側水管21は、略均等の所定間隔を有した状態で環状に構成されており、各内側水管21間には、隣接する内側水管21間の隙間をなくすべく連接された第一縦ヒレ部24が設けられている。つまり、本実施例においては、この第一縦ヒレ部24を用いて、内側水管群20は、密接状態で環状に構成されることとなる。
【0028】
また、各内側水管21の下端部21aは縮径部となっており、本実施例にかかる内側水管群20においては、この縮径された下端部21a周辺の空間が、環状に形成された内側ガス流路25(本発明の「ガス流路」に相当)として機能することとなる。すなわち、この内側ガス流路25は、内側水管群20内部で生成されたガスを環状ガス流路60に導くべく機能する。
【0029】
本実施例において、外側水管群30は、複数の外側水管31および第二縦ヒレ部34を用いて構成されている。それぞれの外側水管31は、略均等の所定間隔を有した状態で環状に構成されており、各外側水管31間には、隣接する外側水管31間の隙間をなくすべく連接された第二縦ヒレ部34が設けられている。つまり、本実施例においては、この第二縦ヒレ部34を用いて、外側水管群30は、密接状態で環状に構成されることとなる。
【0030】
また、各外側水管31の上端部31aは縮径部となっており、本実施例にかかる外側水管群30においては、この縮径された上端部31a周辺の空間が、環状に形成された外側ガス流路35として機能することとなる。この外側ガス流路35は、環状ガス流路60内に導入されたガスを排気筒90側へ導くべく機能する。つまり、内側水管群20内部で生成されたガスは、内側ガス流路25、環状ガス流路60、および外側ガス流路35を介して排気筒90に集められ、この排気筒90を介して缶体10の外部に排出される。
【0031】
内側水管群20を構成する各内側水管21には、下端部21aに複数の第一スタッドフィン22(本発明の「拡大伝熱面」に相当)が設けられている。第一スタッドフィン22が設けられた箇所の下流側(ガス流れの下流側)に位置する内側水管21には、その環状ガス流路60側に、複数の平板状の第一フィン23(本発明の「平板状のフィン」に相当)が設けられている。
【0032】
また、外側水管群30を構成する各外側水管31には、内側ガス流路25の近傍に複数の第二スタッドフィン32(本発明の「拡大伝熱面」に相当)が設けられている。第二スタッドフィン32が設けられた箇所の下流側(ガス流れの下流側)に位置する外側水管31には、その環状ガス流路60側に、複数の平板状の第二フィン33(本発明の「平板状のフィン」に相当)が設けられている。
【0033】
すなわち、本実施例においては、内側ガス流路25の近傍における内側水管群20(を構成する内側水管21)および外側水管群30(を構成する外側水管31)にスタッドフィン(第一スタッドフィン22,第二スタッドフィン32)が設けられており、これらのスタッドフィンの下流側(ガス流れにおける下流側)に平板状のフィン(第一フィン23,第二フィン33)が設けられている。本実施例においては、第一フィン23および第二フィン33は、ガス流れ(垂直方向の流れ)に対して80°の傾斜角度(水平に対して10°の傾斜角度)を有するように設けられている。また、本実施例において、この平板状の第一フィン23および第二フィン33の高さは、6mm〜12mm程度が好ましい。さらに、本実施例においては、全ての平板状の第一フィン23および第二フィン33の高さを同一とするのみではなく、必要に応じて、その高さを変更してもよい。例えば、下方に位置する平板状の第一フィン23および第二フィン33の高さを6mmとし、上方に位置する平板状の第一フィン23および第二フィン33の高さを12mmとしてもよい。すなわち、下方のフィン(横ヒレ)は上方のフィン(横ヒレ)よりも、水管外周面からの延長長さが短く形成されてもよい。
【0034】
本実施例にかかるボイラ1を成すバーナ40は、特に何等かの構成に限定されるものではなく、ガス燃料あるいは液体燃料のいずれを用いるものも適用可能である。つまり、本実施例においては、環状に構成された水管群20,30を有する缶体10内において、適切に火炎Fを形成可能なバーナ40であれば、どのような構成のバーナを用いてもよい。
【0035】
本実施例にかかるボイラ1は、以上のように構成されており、その構成に基づき、次のような作用効果を奏する。以下、上述した図面(図1〜図4)を用いて、その作用効果を具体的に説明する。
【0036】
本実施例においては、図1に示すように、内側水管群20の中央部に設けられたバーナ40から、下方に向けて火炎F(燃焼ガス)が形成される。そして、バーナ40にて生成された燃焼ガスG0は、内側水管群20に沿って下方向に流動する。内側水管群20に沿って下方向に流動したガスは、缶体10の下面に衝突した後、周方向に向けて放射状に流動するガスG1(図1および図2参照)の流れとなって、内側ガス流路25を介して環状ガス流路60内に導入される。
【0037】
内側ガス流路25を介して環状ガス流路60内に導入されたガスG2は、次いで、内側水管群20と外側水管群30に沿って、上方向に流動する。この際、内側水管群20と外側水管群30とに設けられている平板状のフィン(第一フィン23,第二フィン33)の傾斜角度に応じて、ガスG2は旋回しながら上方向に流動する。そして、旋回しながら上方向に流動したガスG2は、缶体10の上面に衝突した後、周方向に向けて放射状に流動するガスG3(図1および図4参照)の流れとなって、外側ガス流路35を介して排気筒90に集められ、この排気筒90を介して缶体10の外部に排出される。
【0038】
上記のようなガスの流れにおいて、バーナ40にて生成された火炎(燃焼ガス)の熱エネルギは、内側水管群20および外側水管群30にて回収される。
【0039】
より具体的には、まず、内側水管群20の内表面側(バーナ40が設けられている側(燃焼室側))において、ガスG0,G1と内側水管群20の内表面とが接触することによって熱回収が行われる。次いで、ガスG1が内側ガス流路25を通過する際には、内側水管群20(を成す内側水管21の下端部21a)および内側ガス流路25の近傍に設けられた第一スタッドフィン22と、ガスG1とが接触することによって熱回収が行われる。
【0040】
次いで、ガスG1が内側ガス流路25を通過した後には、ガスが外側水管群30の下端部に衝突し、加えてこの内側ガス流路25近傍にはスタッドフィン22,32が設けられていることから、この内側ガス流路25近傍においては乱流状態が促進される。したがって、この内側ガス流路25近傍においては、第一スタッドフィン22および第二スタッドフィン32と、ガスとの接触が効果的に行われて、高効率の熱回収が行われることとなる。
【0041】
次いで、環状ガス流路60を旋回しながら上方向に流動するガスG2は、内側水管群20、外側水管群30、およびそれぞれの水管群20,30に設けられた平板状のフィン(第一フィン23,第二フィン33)と接触し、これらの接触を行うことによってガスG2からの熱回収が行われる。最後に、環状ガス流路60を旋回しながら上方向に流動したガスG3は、外側ガス流路35を介して排気筒90に集められるまでの間、外側水管群30の外側(排気筒90側)に接触することによって、熱回収が行われる。
【0042】
本実施例によれば、ボイラ1は以上のように構成され、その缶体10内にて以上のようにガスが流動するため、熱回収を効果的に行うと共に耐久性の高い拡大伝熱面(フィン等)を有する水管群を備えたボイラを得ることができる。
【0043】
具体的には、本実施例にかかるボイラ1によれば、温度差が大きくなる領域である内側ガス流路25(ガス流路)近傍に、スタッドフィン22,32(拡大伝熱面)が設けられているため、効果的に熱回収を行うことができる。また、この内側ガス流路25近傍に設けられている拡大伝熱面がスタッドフィン22,32であるため、仮に過熱状態となったとしても、亀裂や脱落等が発生しにくい。さらに、このような構成によれば、内側ガス流路25近傍にスタッドフィン22,32を設け、早い段階で燃焼ガスから熱回収を行い、燃焼ガス温度が早期に低下するため、サーマルNOxの発生を低減することが可能となる。
【0044】
また、本実施例にかかるボイラ1においては、内側ガス流路25近傍に設けられたスタッドフィン22,32の下流側に、ガスの流れに対して傾斜させた平板状のフィン23,33が設けられている。このような構成によれば、スタッドフィン22,32によって回収できなかった熱エネルギを無駄にすることなく、より効果的に回収し、高効率で運転可能なボイラ1を構成することが可能となる。
【0045】
さらに、本実施例にかかるボイラ1においては、スタッドフィン22,32の下流側に設けられた平板状のフィン23,33が、ガス流れに対して所定角度傾斜して設けられており、ガスは、環状ガス流路60内を旋回しながら上昇する。つまり、本実施例によれば、ガス流れに対して直角にフィンを設ける場合と比較して、フィン23,33がガス流れを邪魔しないため、低圧損を実現可能なボイラ1とすることができる。
【0046】
また、本実施例にかかるボイラ1によれば、上述したように、効果的に熱回収を実施することが可能となるため、これに起因して、ボイラの小型化を図ることが可能となる。つまり、熱回収率を高めることによって、ボイラの運転効率を高めることが可能となるため、その分、ボイラの小型化を図ることができる。
【0047】
<第二実施例>
次に、本発明の第二実施例にかかるボイラについて説明する。なお、本発明の第二実施例にかかるボイラは、基本的な構成は、先に説明した第一実施例と同様である。そこで、以下においては、第一実施例と同様な部分については、第一実施例と同様の符号を付してその詳細な説明を省略し、主に第一実施例と異なる構成について説明を行う。
【0048】
図5は、本発明の第二実施例にかかるボイラの横断面の簡略説明図を示したものである。より具体的には、先に説明した第一実施例にかかる図2に相当する簡略説明図である。すなわち、この図5は、本実施例にかかるボイラの内側ガス流路25(本発明の「ガス流路」に相当)近傍における横断面の簡略説明図を示したものである。
【0049】
先にも説明した通り、本実施例にかかるボイラ1は、基本的には第一実施例と同様の構成を有しており、第一実施例との違いは、内側ガス流路25近傍に設けられたスタッドフィン22,32の数である。本実施例においては、第一実施例と比較して、内側水管21の下端部21aに設けられた第一スタッドフィン22を少なく、外側水管31の下端部に設けられた第二スタッドフィン32を多く設けている。より詳細には、内側水管21の下端部21における環状ガス流路60側には第一スタッドフィン22を設けず、その分(内側水管21にて減じた分)のスタッドフィンを外側水管31の下端部に設けている。
【0050】
第一実施例にて説明した通り、ガスG1が内側ガス流路25を通過した後、そのガスは、外側水管群30の下端部に衝突する。そして、その後、内側ガス流路25近傍において、ガスは主に外側水管群30を沿って上方向に流動する。そうとすれば、内側ガス流路25近傍においては、内側水管群20よりも外側水管群30の方がガスとの接触回数が多いこととなる。
【0051】
本実施例は、このガス流動に着目して構成されたものであり、より高い効率で熱回収を行うことができるボイラ1を提供することを目的としている。
【0052】
本実施例にかかるボイラは、上述した通り、内側ガス流路25近傍における内側水管群20および外側水管群30に、スタッドフィン22,32が設けられており、外側水管群30の方が、内側水管群20よりも多くのスタッドフィンが設けられている構成であることを特徴としている。
【0053】
本実施例にかかるボイラ1によれば、内側水管群20の中央部に設けられたバーナ40にて生成された燃焼ガスが、内側ガス流路25を介して外側水管群30に接触した後、水管群間(内側水管群20と外側水管群30との間)(環状ガス流路60)を流通する。この際、ガスは内側水管群20から外側水管群30に向かって連続的に流動するため、環状ガス流路60内においては、どうしてもガスの接触時間は内側水管群20よりも外側水管群30の方が長くなる。そして、本実施例によれば、外側水管群30の方が、内側水管群20よりも多くのスタッドフィンを設けているため、より効果的に燃焼ガスからの熱回収を行うことができる。
【0054】
また、本実施例にかかるボイラ1によれば、上記作用効果に加えて、第一実施例にて得られる作用効果も当然のごとく得ることができる。
【0055】
<第三実施例>
次に、本発明の第三実施例にかかるボイラについて説明する。なお、本発明の第三実施例にかかるボイラは、基本的な構成は、先に説明した第一実施例と同様である。そこで、以下においては、第一実施例と同様な部分については、第一実施例と同様の符号を付してその詳細な説明を省略し、主に第一実施例と異なる構成について説明を行う。
【0056】
図6は、本発明の第三実施例にかかるボイラの縦断面の説明図を示している。図7は、図6のVII−VII線に沿う横断面の簡略説明図を示している。図8は、図6のVIII−VIII線に沿う横断面の簡略説明図を示している。図9は、図6のIX−IX線に沿う横断面の簡略説明図を示している。
【0057】
図6等に示すように、本実施例にかかるボイラ1は、環状に配列された水管群を有する缶体10と、これらの水管群の中央部に配設されたバーナ40とを用いて構成されており、バーナ40上方位置には、燃焼用空気をバーナ40に供給する、ウインドボックス50が設けられている。
【0058】
缶体10は、上部ヘッダ11と下部ヘッダ12との間に複数の水管群(内側水管群20、外側水管群30)を立設して構成されている。それぞれの水管群20,30は、略同心円上の環状に配列されており、内側水管群20から所定間隔を隔てて外側水管群30が設けられており、内側水管群20と外側水管群30との間に環状ガス流路60が形成されている。
【0059】
本実施例において、内側水管群20は、複数の内側水管21および第一縦ヒレ部24を用いて構成されている。それぞれの内側水管21は、略均等の所定間隔を有した状態で環状に構成されており、各内側水管21間には、隣接する内側水管21間の隙間をなくすべく連接された第一縦ヒレ部24が設けられている。つまり、本実施例においては、この第一縦ヒレ部24を用いて、内側水管群20は、密接状態で環状に構成されることとなる。
【0060】
また、各内側水管21の下端部21aは縮径部となっており、本実施例にかかる内側水管群20においては、この縮径された下端部21a周辺の空間が、環状に形成された内側ガス流路25(本発明の「ガス流路」に相当)として機能することとなる。すなわち、この内側ガス流路25は、内側水管群20内部で生成されたガスを環状ガス流路60に導くべく機能する。
【0061】
本実施例において、外側水管群30は、複数の外側水管31および第二縦ヒレ部34を用いて構成されている。それぞれの外側水管31は、略均等の所定間隔を有した状態で環状に構成されており、各外側水管31間には、隣接する外側水管31間の隙間をなくすべく連接された第二縦ヒレ部34が設けられている。つまり、本実施例においては、この第二縦ヒレ部34を用いて、外側水管群30は、密接状態で環状に構成されることとなる。
【0062】
また、各外側水管31間に連接された第二縦ヒレ部34は、図6に示すように、缶体10の内壁上方部に設けられた断熱材との間に所定の空間を有するべく設けられており、本実施例にかかる外側水管群30においては、この第二縦ヒレ部34の上方に形成された空間(第二縦ヒレ部34と上部断熱材との間に形成された空間)が、環状に形成された外側ガス流路35として機能することとなる。この外側ガス流路35は、環状ガス流路60内に導入されたガスを排気筒90側へ導くべく機能する。つまり、内側水管群20内部で生成されたガスは、内側ガス流路25、環状ガス流路60、および外側ガス流路35を介して排気筒90に集められ、この排気筒90を介して缶体10の外部に排出される。
【0063】
内側水管群20を構成する各内側水管21には、下端部21aの上方位置に(内側ガス流路25近傍に)複数の第一スタッドフィン22(本発明の「拡大伝熱面」に相当)が設けられている。より具体的には、環状ガス流路60側に面する各内側水管21の略中央部から下方位置にかけて、複数の第一スタッドフィン22が設けられている。第一スタッドフィン22が設けられた箇所の下流側(ガス流れの下流側)に位置する内側水管21には、その環状ガス流路60側に、複数の平板状の第一フィン23(本発明の「平板状のフィン」に相当)が設けられている。
【0064】
また、外側水管群30を構成する各外側水管31には、内側ガス流路25の近傍に複数の第二スタッドフィン32(本発明の「拡大伝熱面」に相当)が設けられている。より具体的には、環状ガス流路60側に面する各外側水管31の略中央部から下方位置にかけて、複数の第二スタッドフィン32が設けられている。第二スタッドフィン32が設けられた箇所の下流側(ガス流れの下流側)に位置する外側水管31には、その環状ガス流路60側に、複数の平板状の第二フィン33(本発明の「平板状のフィン」に相当)が設けられている。
【0065】
すなわち、本実施例においては、内側ガス流路25の近傍における内側水管群20(を構成する内側水管21)および外側水管群30(を構成する外側水管31)にスタッドフィン(第一スタッドフィン22,第二スタッドフィン32)が設けられており、これらのスタッドフィンの下流側(ガス流れにおける下流側)に平板状のフィン(第一フィン23,第二フィン33)が設けられている。本実施例においては、第一フィン23および第二フィン33は、ガス流れ(垂直方向の流れ)に対して80°の傾斜角度(水平に対して10°の傾斜角度)を有するように設けられている。また、本実施例において、この平板状の第一フィン23および第二フィン33の高さは、6mm〜12mm程度が好ましい。さらに、本実施例においては、全ての平板状の第一フィン23および第二フィン33の高さを同一とするのみではなく、必要に応じて、その高さを変更してもよい。例えば、下方に位置する平板状の第一フィン23および第二フィン33の高さを6mmとし、上方に位置する平板状の第一フィン23および第二フィン33の高さを12mmとしてもよい。すなわち、下方のフィン(横ヒレ)は上方のフィン(横ヒレ)よりも、水管外周面からの延長長さが短く形成されてもよい。
【0066】
本実施例にかかるボイラ1を成すバーナ40は、特に何等かの構成に限定されるものではなく、ガス燃料あるいは液体燃料のいずれを用いるものも適用可能である。つまり、本実施例においては、環状に構成された水管群20,30を有する缶体10内において、適切に火炎Fを形成可能なバーナ40であれば、どのような構成のバーナを用いてもよい。
【0067】
本実施例にかかるボイラ1は、以上のように構成されており、その構成に基づき、先に説明した第一実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0068】
<第四実施例>
次に、本発明の第四実施例にかかるボイラについて説明する。なお、本発明の第四実施例にかかるボイラは、基本的な構成は、先に説明した第一実施例と同様の部分もある。そこで、以下においては、第一実施例と同様な部分については、第一実施例と同様の符号を付してその詳細な説明を省略し、主に第一実施例と異なる構成について説明を行う。
【0069】
図10は、本発明の第四実施例にかかるボイラの縦断面の説明図を示している。図11は、図10のXI−XI線に沿う横断面の簡略説明図を示している。図12は、図10のXII−XII線に沿う横断面の簡略説明図を示している。図13は、図10のXIII−XIII線に沿う横断面の簡略説明図を示している。
【0070】
図10等に示すように、本実施例にかかるボイラ1は、環状に配列された水管群を有する缶体10と、これらの水管群の中央部に配設されたバーナ40とを用いて構成されており、バーナ40上方位置には、燃焼用空気をバーナ40に供給する、ウインドボックス50が設けられている。
【0071】
缶体10は、上部ヘッダ11と下部ヘッダ12との間に複数の水管群(内側水管群20、外側水管群30)を立設して構成されている。それぞれの水管群20,30は、略同心円上の環状に配列されており、内側水管群20から所定間隔を隔てて外側水管群30が設けられており、内側水管群20と外側水管群30との間に環状ガス流路60が形成されている。
【0072】
この缶体10の内面(側面、上面、下面)には、断熱材が施工されている。より具体的には、水管群20,30の軸方向側面に側面断熱部71、水管群20,30の上端側(缶体10の上面)に上側断熱部72、および水管群20,30の下端側(缶体10の下面)に下側断熱部73(下側断熱部)が、それぞれ充填施工されている。上側断熱部72は、缶体10の上面に施工面が平面になるように断熱材が充填されている。下側断熱部73は、缶体10の下面に施工面が凹型となるように断熱材が充填されており、中央凹み部73A、傾斜部73B、および平面部73Cを有している。
【0073】
本実施例において、内側水管群20は、複数の内側水管21および第一縦ヒレ部24を用いて構成されている。それぞれの内側水管21は、略均等の所定間隔を有した状態で環状に構成されており、各内側水管21間には、隣接する内側水管21間の隙間をなくすべく連接された第一縦ヒレ部24が設けられている。つまり、本実施例においては、この第一縦ヒレ部24を用いて、内側水管群20は、密接状態で環状に構成されることとなる。
【0074】
また、各内側水管21の下端部21aは縮径部となっており、本実施例にかかる内側水管群20においては、この縮径された下端部21a周辺の空間が、環状に形成された内側ガス流路25(本発明の「ガス流路」に相当)として機能することとなる。すなわち、この内側ガス流路25は、内側水管群20内部で生成されたガスを環状ガス流路60に導くべく機能する。
【0075】
本実施例において、外側水管群30は、複数の外側水管31および第二縦ヒレ部34を用いて構成されている。それぞれの外側水管31は、略均等の所定間隔を有した状態で環状に構成されており、各外側水管31間には、隣接する外側水管31間の隙間をなくすべく連接された第二縦ヒレ部34が設けられている。つまり、本実施例においては、この第二縦ヒレ部34を用いて、外側水管群30は、密接状態で環状に構成されることとなる。
【0076】
また、各外側水管31の上端部31aは縮径部となっており、本実施例にかかる外側水管群30においては、この縮径された上端部31a周辺の空間が、環状に形成された外側ガス流路35として機能することとなる。この外側ガス流路35は、環状ガス流路60内に導入されたガスを排気筒90側へ導くべく機能する。つまり、内側水管群20内部で生成されたガスは、内側ガス流路25、環状ガス流路60、および外側ガス流路35を介して排気筒90に集められ、この排気筒90を介して缶体10の外部に排出される。
【0077】
内側水管群20を構成する各内側水管21には、下端部21aおよびその上方位置に(内側ガス流路25近傍に)複数の第一スタッドフィン22(本発明の「拡大伝熱面」に相当)が設けられている。より具体的には、環状ガス流路60側に面する各内側水管21の略中央部から下方位置にかけて、複数の第一スタッドフィン22が設けられている。第一スタッドフィン22が設けられた箇所の下流側(ガス流れの下流側)に位置する内側水管21には、その環状ガス流路60側に、複数の平板状の第一フィン23(本発明の「平板状のフィン」に相当)が設けられている。
【0078】
また、外側水管群30を構成する各外側水管31には、内側ガス流路25の近傍に複数の第二スタッドフィン32(本発明の「拡大伝熱面」に相当)が設けられている。より具体的には、環状ガス流路60側に面する各外側水管31の略中央部から下方位置にかけて、複数の第二スタッドフィン32が設けられている。第二スタッドフィン32が設けられた箇所の下流側(ガス流れの下流側)に位置する外側水管31には、その環状ガス流路60側に、複数の平板状の第二フィン33(本発明の「平板状のフィン」に相当)が設けられている。
【0079】
すなわち、本実施例においては、内側ガス流路25の近傍における内側水管群20(を構成する内側水管21)および外側水管群30(を構成する外側水管31)にスタッドフィン(第一スタッドフィン22,第二スタッドフィン32)が設けられており、これらのスタッドフィンの下流側(ガス流れにおける下流側)に平板状のフィン(第一フィン23,第二フィン33)が設けられている。本実施例においては、第一フィン23および第二フィン33は、ガス流れ(垂直方向の流れ)に対して80°の傾斜角度(水平に対して10°の傾斜角度)を有するように設けられている。また、本実施例において、この平板状の第一フィン23および第二フィン33の高さは、6mm〜12mm程度が好ましい。さらに、本実施例においては、全ての平板状の第一フィン23および第二フィン33の高さを同一とするのみではなく、必要に応じて、その高さを変更してもよい。例えば、下方に位置する平板状の第一フィン23および第二フィン33の高さを6mmとし、上方に位置する平板状の第一フィン23および第二フィン33の高さを12mmとしてもよい。すなわち、下方のフィン(横ヒレ)は上方のフィン(横ヒレ)よりも、水管外周面からの延長長さが短く形成されてもよい。
【0080】
本実施例にかかるボイラ1を成すバーナ40は、特に何等かの構成に限定されるものではなく、ガス燃料あるいは液体燃料のいずれを用いるものも適用可能である。つまり、本実施例においては、環状に構成された水管群20,30を有する缶体10内において、適切に火炎Fを形成可能なバーナ40であれば、どのような構成のバーナを用いてもよい。
【0081】
本実施例にかかるボイラ1は、以上のように構成されており、その構成に基づき、次のような作用効果を奏する。以下、上述した図面(図10〜図13)を用いて、その作用効果を具体的に説明する。
【0082】
本実施例においては、図10に示すように、内側水管群20の中央部に設けられたバーナ40から、下方に向けて火炎F(燃焼ガス)が形成される。そして、バーナ40にて生成された燃焼ガスG0は、内側水管群20に沿って下方向に流動する。内側水管群20に沿って下方向に流動したガスは、缶体10の下面(下側断熱部73)に衝突した後、周方向に向けて放射状に流動するガスG1(図10および図11参照)の流れとなって、内側ガス流路25を介して環状ガス流路60内に導入される。より具体的には、内側水管群20に沿って下方向に流動したガスは、まず、下側断熱部73を成す中央凹み部73Aに衝突し、その後、下側断熱部73を成す傾斜部73Bに沿って斜め上方に流動してから、内側ガス流路25を介して環状ガス流路60内に導入される。
【0083】
内側ガス流路25を介して環状ガス流路60内に導入されたガスG2は、次いで、内側水管群20と外側水管群30に沿って、上方向に流動する。この際、内側水管群20と外側水管群30とに設けられている平板状のフィン(第一フィン23,第二フィン33)の傾斜角度に応じて、ガスG2は上方向に流動する。そして、上方向に流動したガスG2は、缶体10の上面に衝突した後、周方向に向けて放射状に流動するガスG3(図10および図13参照)の流れとなって、外側ガス流路35を介して排気筒90に集められ、この排気筒90を介して缶体10の外部に排出される。
【0084】
上記のようなガスの流れにおいて、バーナ40にて生成された火炎(燃焼ガス)の熱エネルギは、内側水管群20および外側水管群30にて回収される。
【0085】
より具体的には、まず、内側水管群20の内表面側(バーナ40が設けられている側(燃焼室側))において、ガスG0,G1と内側水管群20の内表面とが接触することによって熱回収が行われる。次いで、ガスG1が内側ガス流路25を通過する際には、内側水管群20(を成す内側水管21の下端部21a)および内側ガス流路25の近傍に設けられた第一スタッドフィン22と、ガスG1とが接触することによって熱回収が行われる。
【0086】
次いで、ガスG1が内側ガス流路25を通過した後には、ガスが外側水管群30の下端部に衝突し、加えてこの内側ガス流路25近傍にはスタッドフィン22,32が設けられていることから、この内側ガス流路25近傍においては乱流状態が促進される。したがって、この内側ガス流路25近傍においては、第一スタッドフィン22および第二スタッドフィン32と、ガスとの接触が効果的に行われて、高効率の熱回収が行われることとなる。
【0087】
次いで、環状ガス流路60を上方向に流動するガスG2は、内側水管群20、外側水管群30、およびそれぞれの水管群20,30に設けられた平板状のフィン(第一フィン23,第二フィン33)と接触し、これらの接触を行うことによってガスG2からの熱回収が行われる。最後に、環状ガス流路60を上方向に流動したガスG3は、外側ガス流路35を介して排気筒90に集められるまでの間、外側水管群30の外側(排気筒90側)に接触することによって、熱回収が行われる。
【0088】
本実施例によれば、ボイラ1は以上のように構成され、その缶体10内にて以上のようにガスが流動するため、缶体圧損を低減させることによってフィン等の拡大伝熱面の設置可能箇所を広げ、この設置可能箇所に耐久性の高い拡大伝熱面(フィン等)を設けて拡大伝熱面の亀裂・脱落等を防ぎ、熱回収を効果的に行うことができるボイラを得ることができる。
【0089】
本実施例にかかるボイラ1においては、バーナ40にて生成される燃焼ガスが、ガス流路25に対して流入しやすいように、内側水管群20の下端側に設けられた下側断熱部73の形状が定められている。より具体的には、内側水管群20に沿って下方向に流動したガスは、缶体10下面の下側断熱部73を成す中央凹み部73Aに衝突し、その後、下側断熱部73を成す傾斜部73Bに沿って斜め上方に流動してから、内側ガス流路25が設けられている平面部73Cに達し、この内側ガス流路25を介して環状ガス流路60内に導入される。このように、本実施例によれば、缶体下部(内側水管群の下端側)に設けられている断熱材(下側断熱部73)が燃焼ガスの流れを促進するような形状(凹形状)に施工させているため、燃焼ガスがターンする領域(缶体下部)での偏流が小さくなり、缶体圧損を減少させることができる。
【0090】
また、本実施例にかかるボイラ1においては、上記のように、缶体下部での偏流が小さくなることから(缶体圧損が小さくなることから)、温度差が大きくなる領域であるガス流路25近傍に、多くの拡大伝熱面(スタッドフィン22,32等)を設けることが可能となる。本実施例では、拡大伝熱面としてスタッドフィン22,32を用いているため、仮に過熱状態となったとしても、拡大伝熱面に亀裂や脱落等が発生しにくい。したがって、本実施例によれば、缶体圧損を低減させることによってフィン等の拡大伝熱面の設置可能箇所を広げ、この設置可能箇所に耐久性の高い拡大伝熱面(フィン等)を設けて拡大伝熱面の亀裂・脱落等を防ぐことにより、熱回収を効果的に行うことができるボイラを得ることができる。さらに、このような構成によれば、内側ガス流路25近傍にスタッドフィン22,32を設け、早い段階で燃焼ガスから熱回収を行い、燃焼ガス温度が早期に低下するため、サーマルNOxの発生を低減することが可能となる。
【0091】
さらに、本実施例にかかるボイラ1においては、内側ガス流路25近傍に設けられたスタッドフィン22,32の下流側に、ガスの流れに対して傾斜させた平板状のフィン23,33が設けられている。このような構成によれば、スタッドフィン22,32によって回収できなかった熱エネルギを無駄にすることなく、より効果的に回収し、高効率で運転可能なボイラ1を構成することが可能となる。
【0092】
また、本実施例にかかるボイラ1においては、スタッドフィン22,32の下流側に設けられた平板状のフィン23,33が、ガス流れに対して所定角度傾斜して設けられており、ガスは、環状ガス流路60内を上昇する。つまり、本実施例によれば、ガス流れに対して直角にフィンを設ける場合と比較して、フィン23,33がガス流れを邪魔しないため、低圧損を実現可能なボイラ1とすることができる。
【0093】
さらに、本実施例にかかるボイラ1によれば、上述したように、効果的に熱回収を実施することが可能となるため、これに起因して、ボイラの小型化を図ることが可能となる。つまり、熱回収率を高めることによって、ボイラの運転効率を高めることが可能となるため、その分、ボイラの小型化を図ることができる。
【0094】
<第五実施例>
次に、本発明の第五実施例にかかるボイラについて説明する。なお、本発明の第五実施例にかかるボイラは、基本的な構成は、先に説明した第四実施例と同様である。そこで、以下においては、第四実施例と同様な部分については、第四実施例と同様の符号を付してその詳細な説明を省略し、主に第四実施例と異なる構成について説明を行う。
【0095】
図14は、本発明の第五実施例にかかるボイラの縦断面の説明図を示している。より具体的には、先に説明した第四実施例にかかる図10に相当する説明図である。
【0096】
先にも説明した通り、本実施例にかかるボイラ1は、基本的には第四実施例と同様の構成を有しており、第四実施例との違いは、缶体10の下面構造のみである。より具体的には、本実施例においては、図14に示すように、水管群20,30の軸方向側面に側面断熱部71、水管群20,30の上端側(缶体10の上面)に上側断熱部72、および水管群20,30の下端側(缶体10の下面)に下側断熱部83(下側断熱部)が、それぞれ充填施工されている。上側断熱部72は、缶体10の上面に施工面が平面になるように断熱材が充填されている。下側断熱部83は、缶体10の下面に施工面が凸型となるように断熱材が充填されており、中央凸部83A、凹み部83B、および平面部83Cを有している。
【0097】
本実施例にかかるボイラ1は、以上のように構成されており、その構成に基づき、次のような作用効果を奏する。以下、図14に基づいて(必要に応じて図11〜図13を参照しつつ)、その作用効果を具体的に説明する。
【0098】
本実施例においては、図14に示すように、内側水管群20の中央部に設けられたバーナ40から、下方に向けて火炎F(燃焼ガス)が形成される。そして、バーナ40にて生成された燃焼ガスG0は、内側水管群20に沿って下方向に流動する。内側水管群20に沿って下方向に流動したガスは、缶体10の下面(下側断熱部83)に衝突した後、周方向に向けて放射状に流動するガスG1の流れとなって、内側ガス流路25を介して環状ガス流路60内に導入される。より具体的には、内側水管群20に沿って下方向に流動したガスは、まず、下側断熱部83を成す中央凸部83Aにて周方向に均等に分配されて、凹み部83Bに衝突した後、この凹み部83Bに沿って斜め情報に流動してから、内側ガス流路25を介して環状ガス流路60内に導入される。
【0099】
内側ガス流路25を介して環状ガス流路60内に導入されたガスG2は、次いで、内側水管群20と外側水管群30に沿って、上方向に流動する。この際、内側水管群20と外側水管群30とに設けられている平板状のフィン(第一フィン23,第二フィン33)の傾斜角度に応じて、ガスG2は上方向に流動する。そして、上方向に流動したガスG2は、缶体10の上面に衝突した後、周方向に向けて放射状に流動するガスG3の流れとなって、外側ガス流路35を介して排気筒90に集められ、この排気筒90を介して缶体10の外部に排出される。このようなガスの流れにおいて、バーナ40にて生成された火炎(燃焼ガス)の熱エネルギは、内側水管群20および外側水管群30にて回収される。
【0100】
本実施例によれば、ボイラ1は以上のように構成され、その缶体10内にて以上のようにガスが流動するため、缶体圧損を低減させることによってフィン等の拡大伝熱面の設置可能箇所を広げ、この設置可能箇所に耐久性の高い拡大伝熱面(フィン等)を設けて拡大伝熱面の亀裂・脱落等を防ぎ、熱回収を効果的に行うことができるボイラを得ることができる。
【0101】
本実施例にかかるボイラ1においては、バーナ40にて生成される燃焼ガスが、ガス流路25に対して流入しやすいように、内側水管群20の下端側に設けられた下側断熱部83の形状が定められている。より具体的には、内側水管群20に沿って下方向に流動したガスは、缶体10下面の下側断熱部83を成す中央凸部83Aに衝突して周方向に均等に分配され、その後、下側断熱部83を成す凹み部83Bに沿って斜め上方に流動してから、内側ガス流路25が設けられている平面部83Cに達し、この内側ガス流路25を介して環状ガス流路60内に導入される。このように、本実施例によれば、缶体下部(内側水管群の下端側)に設けられている断熱材(下側断熱部83)が燃焼ガスの流れを促進するような形状(凸形状)に施工させているため、燃焼ガスがターンする領域(缶体下部)での偏流が小さくなり、缶体圧損を減少させることができる。
【0102】
また、本実施例にかかるボイラ1においては、第四実施例と同様に、上記のように缶体下部での偏流が小さくなることから(缶体圧損が小さくなることから)、温度差が大きくなる領域であるガス流路25近傍に、多くの拡大伝熱面(スタッドフィン22,32等)を設けることが可能となる。本実施例では、拡大伝熱面としてスタッドフィン22,32を用いているため、仮に過熱状態となったとしても、拡大伝熱面に亀裂や脱落等が発生しにくい。したがって、本実施例によれば、缶体圧損を低減させることによってフィン等の拡大伝熱面の設置可能箇所を広げ、この設置可能箇所に耐久性の高い拡大伝熱面(フィン等)を設けて拡大伝熱面の亀裂・脱落等を防ぐことにより、熱回収を効果的に行うことができるボイラを得ることができる。さらに、このような構成によれば、内側ガス流路25近傍にスタッドフィン22,32を設け、早い段階で燃焼ガスから熱回収を行い、燃焼ガス温度が早期に低下するため、サーマルNOxの発生を低減することが可能となる。
【0103】
さらに、本実施例にかかるボイラ1は、これまで説明した通り、内側水管群20の下端側に設けられた下側断熱部83の形状以外は、第四実施例と同様の構成を有している。したがって、この第五実施例においても、先に説明した第四実施例にて得られる効果を全て得ることができる。
【0104】
<その他の実施例等>
なお、本発明は、上記実施形態および実施例(以下「上記実施形態等」という。)に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で必要に応じて種々の変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0105】
上記実施形態等においては、内側ガス流路25(ガス流路)近傍における内側水管群20および外側水管群30の両方にスタッドフィン22,32を設ける場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、内側ガス流路25近傍における外側水管群30にのみスタッドフィンを設ける構成としてもよい。上述したように、ガスは内側水管群20から外側水管群30に向かって連続的に流動するため、環状ガス流路60内において、ガスの接触時間は内側水管群20よりも外側水管群30の方が長くなる。よって、このように、内側ガス流路25近傍における外側水管群30にのみスタッドフィンを設ける構成としても、比較的効果的に燃焼ガスからの熱回収を行うことができる。
【0106】
また、上記実施形態等においては、内側水管群の下端側に環状の内側ガス流路25(ガス流路)を設ける構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、内側水管群の上端側に環状の内側ガス流路(本発明の「ガス流路」に相当)を設けるべく構成してもよい。この際、内側水管群の上端側に内側ガス流路を設けた場合には、熱回収率を高めるために(ガスと水管群との接触時間を高めるために)、外側ガス流路は、外側水管群の下端側に設けることが好ましい。
【0107】
さらに、上記実施形態等においては、略同心円状に二列の水管群を配設した缶体を用いてボイラを構成する場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、必要に応じて、三列以上の水管群を配設して缶体を構成してもよい。仮に、略同心円状に三列の水管群(例えば、内側水管群、中間水管群、外側水管群)を配設して缶体を構成した場合、内側水管群の一端側(例えば、下端側)に内側ガス流路を設けたら、中間水管群の他端側(例えば、上端側)に中間ガス流路を設け、外側水管群の一端側(例えば、下端側)に外側ガス流を設けるべく構成することが好ましい。
【0108】
また、上記実施形態等においては、円柱形状のスタッドフィン22,32を用いる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、水管に適切に溶接可能な耐久性の高い突起物であれば如何なる形状であってもよい。したがって、例えば、斜円柱形状、楕円柱形状(斜楕円柱形状も含む)、角柱形状(斜角柱形状も含む)、円錐形状(斜円錐形状も含む)、角錐形状(斜角錐形状も含む)等の形状を有するスタッドフィンを用いてもよい。
【0109】
さらに、上記実施形態等においては、バーナ40の構造については特に説明しなかったが、本発明は、特に何等かの構成に限定されるものではなく、例えば、図15および図16に示すようなバーナ40であってもよい。ここで、図15は、本発明の実施例にかかるバーナの縦断面の説明図を示し、図16は、図15に示したバーナの下面図を示している。
【0110】
本実施例にかかるボイラ1を構成するバーナ40は、このバーナ40に対して燃焼用空気を供給する空気供給手段たるウインドボックス50内の隔壁171に設置されている(図15参照)。具体的には、バーナ40を構成する載置板41を隔壁171に上方から載置して、ボルト等の締結手段(図示省略)にて載置板41を隔壁171に締結することによって、バーナ40をウインドボックス50内の隔壁171に設置している。
【0111】
本実施例にかかるバーナ40は、例えば、図15および図16に示すように、液体燃料を噴霧するノズル部42(第一ノズル部42a,第二ノズル部42b)(燃料噴出部)と、第一ノズル部42a近傍にその先端が位置すべく設けられた着火器43と、ウインドボックス50から供給される空気をノズル部42から噴霧される液体燃料に混合させるために設けられた空気供給経路(一次空気供給用の第一空気供給経路44,二次空気供給用の第二空気供給経路45)と、第一空気供給経路44から供給された空気を燃焼室16側に噴出させる中央空気噴出部46と、第二空気供給経路45から供給された空気を燃焼室16側に噴出させる複数の周囲空気噴出部47(空気噴出部)(第一周囲空気噴出部47a〜第六周囲空気噴出部47f)とを用いて構成されている。
【0112】
本実施例にかかるノズル部42としては、低燃焼時および高燃焼時に液体燃料を噴霧する第一ノズル部42aと、高燃焼時にのみ液体燃料を噴霧する第二ノズル部42bとが設けられている。つまり、ノズル部42は、低燃焼時(および高燃焼時)に燃料供給状態となる第一ノズル部42aと、高燃焼時に第一ノズル部42aと共に燃料供給状態となる第二ノズル部42bとを有し、ボイラの燃焼負荷に応じて、それぞれのノズル部42における燃料供給状態が適宜切り換えられる。すなわち、それぞれのノズル部42a,42bは、必要に応じてオンオフ制御される。
【0113】
バーナ40を構成する第一空気供給経路44は、ノズル部42の外側に設けられた第一筒部材54を用いて構成されており、第二空気供給経路45は、第一筒部材54を用いて構成されている。つまり、第一筒部材54の内側領域が第一空気供給経路44として機能し、第一筒部材54と第二筒部材55との間に形成される領域が第二空気供給経路45として機能する。第二筒部材55の上端部には、上方へ行くに従い外方へ拡開する拡開部55Aが形成されている。このような形状を有する拡開部55Aが設けられているのは、ウインドボックス50から供給された空気が、第二空気供給経路45内の横断面方向に均一に流れるようにするためである。仮に、この拡開部55Aを設けないとすれば、空気流が第二筒部材55の内壁に付着して流れてしまい、第二空気供給経路45内の横断面方向に均一に流れない。
【0114】
第一筒部材54の先端部(ボイラ1の燃焼室16側端部)には、中央空気噴出部46が穿孔された第一空気供給板56が設けられており、ウインドボックス50から供給された空気は、この中央空気噴出部46を介して、燃焼室16側に噴出される。また、第二筒部材57の先端部(ボイラ1の燃焼室16側端部)には、複数の周囲空気噴出部47が設けられた第二空気供給板57が設けられており、ウインドボックス50から供給された空気は、中央空気噴出部46のみならず、これら複数の周囲空気噴出部47を介しても燃焼室16側に噴出される。
【0115】
周囲空気噴出部47(空気噴出部)は、図15および図16に示すように、ノズル部42の周囲に設けられている。この周囲空気噴出部47は、バーナ40にて生成されたガスが外側に広がらないように、空気を内側に向けて噴出させるべく構成されている。このような構成によれば、液体燃料および燃焼開始段階における火炎(ガス)が缶体10の内側水管群20に接触しにくくなるため、バーナ40直近における不適切な不完全燃焼をなくし、COや煤塵の発生を効果的に防止することができる。
【0116】
本実施例にかかる周囲空気噴出部47は、それぞれの周囲空気噴出部47(第一周囲空気噴出部47a〜第六周囲空気噴出部47f)から噴出される空気を内側(ノズル部42側)方向に導くガイド部58(第一ガイド部58a〜第六ガイド部58f)と、それぞれの周囲空気噴出部47(第一周囲空気噴出部47a〜第六周囲空気噴出部47f)から噴出される空気の拡散を促す拡散部59(第一拡散部59a〜第六拡散部59f)とを有している。
【0117】
より具体的には、本実施例においては、第二空気供給板57に六つの略台形状の貫通孔部51(第一貫通孔部51a〜第六貫通孔部51f)が穿孔されており、それぞれの貫通孔部51の外周側(ノズル部42から遠い側)に板状部材を用いてガイド部58(第一ガイド部58a〜第六ガイド部58f)が構成されている。このガイド部58は、それぞれの貫通孔部51の一部を覆うべく構成されており、本実施例においては、このガイド部58にて覆われていない部分が、周囲空気噴出部47から噴出される空気の拡散を促す拡散部59(第一拡散部59a〜第六拡散部59f)として機能する。
【0118】
それぞれのガイド部58は、各周囲空気噴出部47から噴出される空気の少なくとも一部(主に貫通孔部51のガイド部58によって覆われている領域の空気)を内側(ノズル部42側)方向に噴出させるべく、板状部材を傾斜させて構成されている。この際の傾斜角度θ(取り付け角度)は、20°〜60°程度であることが好ましい。
【0119】
また、それぞれのガイド部58は、ノズル部42からコーン状(ノズル部42を頂点とした三角錐状)に噴霧される液体燃料が接触しないように、各ガイド部58の高さが設定されている。
【0120】
拡散部59(第一拡散部59a〜第六拡散部59f)は、上述したように、貫通孔部51のうちのガイド部58にて覆われていない部分(図15および図16において破線で囲った領域)である。この部分(拡散部59)には、ガイド部58等のような第二空気供給経路45を介して供給された空気を整流するための要素が設けられていないため、拡散部59から噴出された空気は急拡大することになる。
【0121】
したがって、本実施例にかかるバーナ40においては、周囲空気噴出部47から噴出される空気は、ガイド部58によって内側方向に導かれると共に、その一部が拡散部59によって拡散促進されることとなる。
【0122】
本実施例にかかるバーナ40においては、ノズル部42における燃料供給状態を適宜切り換えること(オンオフ制御する)によって、停止状態、低燃焼状態、および高燃焼状態のいずれかへの切り換えが可能である。すなわち、燃焼状態継続時においては、低燃焼から高燃焼、あるいは高燃焼から低燃焼への切り換えが可能である。
【0123】
バーナ40に対する空気の供給量は、一般にウインドボックス50と送風機との間のダクト内に設けられたダンパ(図示省略)や、送風機の回転数を制御するインバータ等(図示省略)を用いて調整される。そして、この空気は、液体燃料の供給量に対応して供給される。例えば、同様の燃料供給性能を有する2つのノズルチップを用いて構成されたバーナにおいて、どちらか一方のノズルチップから液体燃料を噴霧させる際(低燃焼時)に供給される空気量を「1」とすれば、両方のノズルチップから液体燃料を噴霧させる際(高燃焼時)に供給される空気量を「2」とする。このような空気量の調整をダンパやインバータを用いて行っている。
【0124】
さて、以上のように構成され機能するバーナ40においては、図15等に示すように、周囲空気噴出部47からの空気を内側に噴出させるべく、ガイド部58が設けられている。よって、バーナ40においては、広がりが抑えられた状態で下方に向けて火炎F(燃焼ガス)(図示省略)が形成されることとなる。そして、バーナ40にて生成された燃焼ガスG0は、内側水管群20に沿って下方向に流動する。内側水管群20に沿って下方向に流動したガスは、缶体10の下面に衝突した後、周方向に向けて放射状に流動するガスG1の流れとなって、内側ガス流路25を介して環状ガス流路60内に導入される。
【0125】
内側ガス流路25を介して環状ガス流路60内に導入されたガスG2は、次いで、内側水管群20と外側水管群30に沿って、上方向に流動する。この際、内側水管群20と外側水管群30とに設けられている平板状のフィン(第一フィン23,第二フィン33)の傾斜角度に応じて、ガスG2は上方向に流動する。そして、上方向に流動したガスG2は、缶体10の上面に衝突した後、周方向に向けて放射状に流動するガスG3の流れとなって、外側ガス流路35を介して排気筒90に集められ、この排気筒90を介して缶体10の外部に排出される。
【0126】
上記のようなガスの流れにおいて、バーナ40にて生成された火炎(燃焼ガス)の熱エネルギは、内側水管群20および外側水管群30にて回収される。
【0127】
本実施例にかかるバーナ40によれば、周囲空気噴出部47がガイド部58を有するため、缶体の構成(ガス流路の位置等)に応じて火炎(ガス)の流れを制御し、有害物質の低減化(低煤塵化、低NOx化)を図ることができる。本実施例においては、缶体10の内側ガス流路25が下方に環状に構成されており、この内側ガス流路25に対して均一にガスを流すと共に、内側水管群20へのガス等の早期接触をなくすべく、ガイド部58は、燃焼用空気を内側(ノズル部42側)に噴出される角度に設けられている。このような構成に基づき、燃焼用空気を内側に向けて噴出させれば、液体燃料および燃焼開始段階における火炎(ガス)が缶体10の内側水管群20に接触しにくくなるため、バーナ40近傍における不適切な不完全燃焼をなくし、COや煤塵の発生を効果的に防止することができる。
【0128】
また、このような構成によれば、ノズル部42の周囲に複数の周囲空気噴出部47が設けられているため、分割火炎を形成して低NOx化を図ることができる。
【0129】
さらに、このような構成によれば、ガイド部58を有することにより、燃焼用空気を集束させて液体燃料に対し高速で接触させることが可能となるため、火炎の燃焼状態が気化燃焼に近づき、低NOx化を図ることができる。また、このようにガイド部58を設けて噴出される燃焼用空気の流速を高めることにより、ガイド部58周辺のガスを巻き込むこととなるため(自己再循環の状態となるため)、低NOx化を図ることができる。
【0130】
また、本実施例にかかるバーナ40を構成する周囲空気噴出部47は、上述した種々の効果を発揮するガイド部58と共に、拡散部59をも有している。この拡散部59は、先にも説明したとおり、貫通孔部51のうち、ガイド部58にて覆われていない部分である(図15および図16参照)。つまり、この拡散部59には、ガイド部58等のような空気を整流するための要素が設けられていないため、拡散部59から噴出された空気は、拡散部59のエッジ部分(貫通孔部51のエッジ部分)にて急拡大することになる。そうすると、バーナ40直近においては、空気に小さな乱れが生じ、ノズル部42から噴霧される液体燃料と空気とのミキシング状態を一部不均一にすることができる。本実施例にかかるバーナ40は、このような拡散部59を有するため、単にミキシング状態を良好にするわけではなく、一部意図的に不均一なミキシング状態を形成することができる。すなわち、本実施例においては、拡散部59を設けることによって、バーナ40近傍において濃淡燃焼的な燃焼状態を形成可能となるため、ガス温度の低下を図り、NOx値を低減させることができる。勿論、このような構成によれば、周囲空気噴出部47が拡散部59を有するため、液体燃料と燃焼用空気とを効果的に混合させて、低煤塵化をも図ることができる。
【0131】
以上のように、本実施例にかかるバーナ40(図15等参照)を適用したボイラ1は、缶体10の燃焼室16内でガスの広がりを抑えることによるCOおよび煤塵の低下、缶体10内で形成される適切な排ガス循環流によるガス温度の低下、適切な分割火炎が形成されることによるガス温度の低下、および拡散部39によって形成される濃淡燃焼によるガス温度の低下の相乗効果によって、NOxの低減、COの低減、および煤塵の低減等を図ることができる。
【0132】
さらに、上記実施形態等において、缶体を構成するそれぞれの水管には、拡大伝熱面として、スタッドフィンと平板状のフィンとを設ける場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、それぞれの水管に、複数種類の(例えば、形状の異なる)平板状のフィンを設ける構成も、本発明の技術的範囲に属する。したがって、例えば、本発明の他の実施例にかかるボイラとして、図17、図18、および図19に示すような構造を採用することも可能である。
【0133】
ここで、図17は、本発明の他の実施例にかかるボイラの縦断面の説明図を示し、図18は、図17のZ1−Z1線に沿う横断面の簡略説明図(部分拡大図)を示し、図19は、図17のZ2−Z2線に沿う横断面の簡略説明図(部分拡大図)を示している。本実施例にかかるボイラは、基本的な構成は、第三実施例にて説明したボイラと同様であり、それぞれの水管に設けられたフィンの構造のみが異なる。そこで、以下においては、第三実施例と同様な部分については、第三実施例と同様の符号を付してその詳細な説明を省略し、主に第三実施例と異なる構成について説明を行う。
【0134】
図17等に示すように、本実施例にかかるボイラにおいては、それぞれの水管21,31の下方位置には、ガス流れ(垂直方向の流れ)に対して80°の傾斜角度(水平に対して10°の傾斜角度)を有する平板状の拡大伝熱面(下方内側横ヒレ122,下方外側横ヒレ132)が設けられている。また、それぞれの水管21,31の上方位置には、ガス流れ(垂直方向の流れ)に対して80°の傾斜角度(水平に対して10°の傾斜角度)を有する平板状のフィン(上方内側横ヒレ123,上方外側横ヒレ133)が設けられている。すなわち、本実施例によれば、下方に設けられたヒレ122,132と上方に設けられたヒレ123,133とが、同様の角度(傾斜角度)にて、水管21,31に取り付けられるべく構成されている。
【0135】
また、図18に示すように、本実施例にかかるボイラを構成する各内側水管21の下方には、下方内側横ヒレ122(本発明の「拡大伝熱面」に相当)が設けられ、各外側水管31の下方には、下方外側横ヒレ132(本発明の「拡大伝熱面」に相当)が設けられている。本実施例にかかる下方内側横ヒレ122および下方外側横ヒレ132の高さは、6mm程度に設定される。
【0136】
さらに、図19に示すように、本実施例にかかるボイラを構成する各内側水管21の上方には、上方内側横ヒレ123(本発明の「平板状のフィン」に相当)が設けられ、各外側水管31の上方には、上方外側横ヒレ133(本発明の「平板状のフィン」に相当)が設けられている。ここで、上方内側横ヒレ123および上方外側横ヒレ133に先端部には、それぞれスリット(上方内側横ヒレスリット部123A,上方外側横ヒレスリット部133A)が設けられている。本実施例にかかる上方内側横ヒレ123および上方外側横ヒレ133の高さは、12mm程度に設定される。
【0137】
上述したように、本実施例においては、全ての拡大伝熱面が、平板状のフィン(横ヒレ)を用いて構成されており、下方のフィン(横ヒレ)122,132は上方のフィン(横ヒレ)123,133よりも、水管外周面からの延長長さが短く形成されている。
【0138】
本実施例にかかるボイラは、以上のように構成されているため、先に説明した各実施例と同様の効果を得ることができる。すなわち、スタッドフィンに換えて、横ヒレ122,123を設けた場合であっても、その横ヒレ122,123の高さ等を適切に設定することによって、所定の熱応力に耐え、効果的な熱回収を行うことができる。
【0139】
また、本実施例によれば、下方に設けられたヒレ122,132と上方に設けられたヒレ123,133とが、同様の角度(傾斜角度)にて、水管21,31に取り付けられているため、製造時における工数等が削減され、ボイラ製造時の製造効率を高めることができる。
【0140】
なお、本実施例においては、ガス流れ(垂直方向の流れ)に対して80°の傾斜角度(水平に対して10°の傾斜角度)を有すべく水管21,31にヒレ122,123,132,133が設けられる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、下方に設けられたヒレと上方に設けられたヒレとが、同様の傾斜角度で水管に取り付けられる構成であれば、その傾斜角度は特に限定されない。したがって、例えば、下方に設けられたヒレ122,132と上方に設けられたヒレ123,133とが、ガス流れ(垂直方向の流れ)に対して40°の傾斜角度(水平に対して60°の傾斜角度)を有すべく、水管21,31に取り付けられる構成も、本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明の第一実施例にかかるボイラの縦断面の説明図である。
【図2】図1のII−II線に沿う横断面の簡略説明図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う横断面の簡略説明図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う横断面の簡略説明図である。
【図5】本発明の第二実施例にかかるボイラの横断面の簡略説明図である。
【図6】本発明の第三実施例にかかるボイラの縦断面の説明図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う横断面の簡略説明図である。
【図8】図6のVIII−VIII線に沿う横断面の簡略説明図である。
【図9】図6のIX−IX線に沿う横断面の簡略説明図である。
【図10】本発明の第四実施例にかかるボイラの縦断面の説明図である。
【図11】図10のXI−XI線に沿う横断面の簡略説明図である。
【図12】図10のXII−XII線に沿う横断面の簡略説明図である。
【図13】図10のXIII−XIII線に沿う横断面の簡略説明図である。
【図14】本発明の第五実施例にかかるボイラの縦断面の説明図である。
【図15】本発明の実施例にかかるバーナの縦断面の説明図を示したものである。
【図16】図15に示したバーナの下面図を示したものである。
【図17】本発明の他の実施例にかかるボイラの縦断面の説明図である。
【図18】図17のZ1−Z1線に沿う横断面の簡略説明図である。
【図19】図17のZ2−Z2線に沿う横断面の簡略説明図である。
【符号の説明】
【0142】
1…ボイラ
10…缶体
11…上部ヘッダ
12…下部ヘッダ
20…内側水管群
21…内側水管
21a…下端部
22…第一スタッドフィン
23…第一フィン(平板状のフィン)
24…第一縦ヒレ部
25…内側ガス流路
30…外側水管群
31…外側水管
31a…上端部
32…第二スタッドフィン
33…第二フィン(平板状のフィン)
34…第二縦ヒレ部
35…外側ガス流路
40…バーナ
41…載置板
42…ノズル部
42a…第一ノズル部
42b…第二ノズル部
43…着火器
44…第一空気供給経路
45…第二空気供給経路
46…中央空気噴出部
47…周囲空気噴出部
47a〜47f…第一周囲空気噴出部〜第六周囲空気噴出部
50…ウインドボックス
51…貫通孔部
51a〜51f…第一貫通孔部〜第六貫通孔部
54…第一筒部材
55…第二筒部材
55A…拡開部
56…第一空気供給板
57…第二空気供給板
58…ガイド部
58a〜58f…第一ガイド部〜第六ガイド部
59…拡散部
59a〜59f…第一拡散部〜第六拡散部
60…環状ガス流路
71…側面断熱部
72…上側断熱部
73…下側断熱部
73A…中央凹み部
73B…傾斜部
83C…平面部
83…下側断熱部
83A…中央凸部
83B…凹み部
83C…平面部
90…排気筒
122…下方内側横ヒレ(拡大伝熱面)
123…上方内側横ヒレ(平板状のフィン)
123A…上方内側横ヒレスリット部
132…下方外側横ヒレ(拡大伝熱面)
133…上方内側横ヒレ(平板状のフィン)
133A…上方外側横ヒレスリット部
171…隔壁



【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に配列された内側水管群と外側水管群とを有する缶体と、前記内側水管群の中央部に配設されたバーナとを備えたボイラであって、
前記内側水管群を成す隣接する内側水管間が、ガス流路を設ける部分を除いて閉塞されており、
前記ガス流路近傍における前記内側水管群および前記外側水管群の少なくとも一方に、拡大伝熱面が設けられており、
前記ガス流路近傍における前記外側水管群にのみ、前記拡大伝熱面が設けられている
ことを特徴とするボイラ。
【請求項2】
前記ガス流路が、前記内側水管群の一端側に環状に設けられている
請求項1に記載のボイラ。
【請求項3】
前記ガス流路近傍に設けられた前記拡大伝熱面の下流側に、ガスの流れに対して傾斜させた平板状のフィンが設けられている
請求項1または2に記載のボイラ。
【請求項4】
前記平板状のフィンの傾斜角度が、前記ガスの流れに対して20°〜85°である
請求項3に記載のボイラ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−57501(P2013−57501A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−253832(P2012−253832)
【出願日】平成24年11月20日(2012.11.20)
【分割の表示】特願2007−258741(P2007−258741)の分割
【原出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)