説明

ボウルの構造

【課題】 水跳ねを少なくし、また、蛇口から流下した水がボウルの内面に沿って前端縁側に集中して流れるて前端縁から溢れ出るというような現象が生じることがない。。
【解決手段】 ボウル本体1の底面2を蛇口3の下方に対応する位置が高く且つ周囲にいくにしたがって低くなるような上向き凸となった凸曲面部4とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面台のボウル、あるいは流し台のボウル(シンク)等のボウルの水跳ね防止の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の洗面台のボウルA、あるいは、一般にはシンクと称される流し台のボウルA等の底面2は図3に示すように下方に向けて凹んだ凹曲面部20となっている。
【0003】
この底面が凹曲面部20となっているボウルAの後部の上方位置にからんの蛇口3が位置し、蛇口3から水(湯)が流下するようになっており、図3のように蛇口3から流下した水が凹曲面部20に当たり、流下した水の殆どが前上方に向けて跳ねるようになっていた。このため、前方へ向けての水跳ねが集中して起きるという問題があり、更に、流下した水の勢いにより流下した水の殆どが凹曲面部20の後部から凹曲面部21に沿って前部に盛り上がるようにして集中して流れるため、ボウルAの前端縁から溢れ出る恐れもあった。このようなボウルAの前端縁からの水の溢れ出を防止するために従来はボウルAの前端縁部に内方に向けて水返しリブ21を突設しているが、該水返しリブ21の裏面側及び凹曲部20の水返しリブ21側の端部に汚れが付着しやすく、付着した汚れの掃除もし難いという問題あった。
【0004】
また、ボウルの前端縁に水返しリブを設けることなく、凹曲面部の内面の前部に複数段に水切り突起を突設して、凹曲面部の後部に流下した水が凹曲面部に沿って前方に盛り上がるようにして流れるのを水切りすることが特許文献1により知られているが、凹部面部の内面に水切り突起を突設しただけでは凹曲面部の後部から凹曲面部に沿って前部に盛り上がるようにして集中して流れる水を止めるには十分ではなく、また、凹曲面部の内面に複数段の水切り突起を設けた部分にも汚れが付き易く、この部分に付着した汚れの掃除がし難いという問題がある。
【0005】
また、従来のボウルは凹曲面部の一部に排水口部を設け、ボウル内に流下した水を該排水口から排水するようにしているが、上記のように蛇口から流下した水が集中して凹曲面部の内面に沿って前方に盛り上がるようにして流れるため、排水口部からの排水がスムーズに行なわれないという問題がある。更に、凹曲面部の一部に排水口部を設けるので、排水口部に栓をしてボウル内に水を溜めて洗顔したり、手を洗ったり、小物を洗ったりする場合に、排水口部の栓が邪魔になるという問題があり、また、水を溜めての使用中に誤って栓を抜いてしまう恐れもあって、使用性が良くない。
【特許文献1】特開平8−243037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、水跳ねを少なくし、また、蛇口から流下した水がボウルの内面に沿って前端縁側に集中して流れて前端縁から溢れ出るというような現象が生じることがなく、また、排水口部からの排水がスムーズに行え、使用性が良いボウルの構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係るボウルの構造は、ボウル本体1の底面2を蛇口3の下方に対応する位置が高く且つ周囲にいくにしたがって低くなるような上向き凸となった凸曲面部4として成ることを特徴とするものである。
【0008】
このような構成とすることで、蛇口3から流下した水は凸曲面部4の頂部9部分に流下し、凸曲面部4の頂部9部分から全周囲に向かって凸となった弧面に沿って分散して流れることになり、これにより、従来のようにボウルAの前方側にのみ集中して水が飛散するというような現象が生じることがなく、しかも、凸曲面部4の頂部9部分から全周囲に向かって分散して流れるため、従来のように蛇口3から流下した水の勢いのままボウルAの前方側に流下水の殆どが集中して流れてボウルAの前端縁から溢れ出るというような現象が生じることがない。したがって、従来のようにボウルAの前端縁部に内方に向けて水返しリブを突設しないようにすることが可能となり、水返しリブを設けない場合はこの部分に汚れが付着して外観が悪くなるだけでなく、掃除がし難いというような問題がなくなる。
【0009】
また、ボウル本体1の底面2の周部に凸曲面部4から流れる水を排水するための排水溝部5を設け、ボウル本体1の側壁部6の一部に排水口部7を設け、上記排水溝部5を排水口部7に連通接続すると共に排水溝部5の溝底を排水口部7に向けて下り傾斜させることが好ましい。
【0010】
このような構成とすることで、凸曲面部4の頂部9から周囲に分散して流れた水を凸曲面部4の周囲に設けた排水溝部5を介してスムーズに排水口部7に流すことができる。排水口部7に栓をしてボウルA内に水を溜めて洗顔や手洗いや小物の洗浄を行う際に排水口部7にした栓が邪魔になることがなく、また、水を溜めての使用中に誤って栓を抜くことがない。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、蛇口から流下する水を凸曲面部の頂部部分から周囲に向けて分散して凸曲面部の弧面に沿って流すことができ、水跳ねを少なくし、また、蛇口から流下した水がボウルの内面に沿って前端縁側に集中して流れて前端縁から溢れ出るというような現象が生じることがない。
【0012】
また、排水口部からの排水がスムーズに行え、使用性も良くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。図1、図2に示すように、ボウルAは、下方に凹んだボウル本体1の底面2の周囲を除く大部分を上方に向けて凸となった凸曲面部4を形成すると共に凸曲面部4の周囲を囲むように排水溝部5を設け、更に、ボウル本体1の側壁部6の一部に排水口部7を設けることで構成してある。
【0014】
凸曲面部4は略半球状をしたもので、からんに設けた蛇口3の下方に対応する位置が凸曲面部4の最も高くなった部分(つまり頂部9)となっており、凸曲面部4は全体として上記蛇口3の下方に対応する位置である頂部9から周囲にいくにしたがって低くなるように構成してある。
【0015】
ボウル本体1の底面2の周部には上記凸曲面部4の周囲を囲むように凸曲面部4から流れる水を排水するための排水溝部5を設けてある。また、ボウル本体1の側壁部6の一部には一側方及び上方に開口した凹部11が設けてあり、凹部11の底に排水口部7を設けてある。凸曲面部4の周囲を囲む環状をした排水溝部5の一部に上記凹部11の側方開口部が開口し、凹部11の底が排水溝部5の一部に連続していて凹部11の底に設けた排水口部7が排水溝部5の一部に連通接続しており、環状の排水溝部5の底は排水口部7に向けて下り傾斜しており、実施形態では排水溝部5の排水口部7から最も離れた位置が排水溝部5の底の最も高さが高く、排水口部7に最も近い位置が最も高さが低くなっている。
【0016】
上記のような構成のボウルAにおいて、蛇口3から水(湯)を流下させると、図1に示すように水は凸曲面部4の頂部9部分に流下し、頂部9部分に流下した水は凸曲面部4の頂部9部分から頂部9の全周囲に向かって凸となった弧面に沿って分散して流れることになる。この場合、周囲に分散して流れる水は周囲に分散することで勢いを分散させられて図1の矢印に示すように凸曲面部4の弧面に沿って流線的に下向きに流れ、凸曲面部4の頂部9の周囲から凸曲面部4の周囲に設けた排水溝部5へと流れる。
【0017】
このように、凸曲面部4の周囲に分散して流れることで、従来のようにボウルAの前方側にのみ集中して水が飛散するというような現象が生じることがなくなる。また、凸曲面部4の頂部部分から全周囲に向かって分散して流れるため、従来のように蛇口3から流下した水の勢いのままボウルAの前方側に流下水の殆どが集中して流れてボウルAの前端縁から溢れ出るというような現象が生じることがない。このため、本発明によれば、従来のようにボウルAの前端縁部に内方に向けて水返しリブを突設しないようにすることが可能となり(図1.図2にはボウルAの前端縁部に内方に向けて水返しリブを突設しない実施形態が示してある)、このように水返しリブを設けない場合は従来に比べて汚れが付着し難く、しかも掃除がし易くなる。
【0018】
凸曲面部4の周囲に分散して流れて周囲の排水溝部5に流れることで、勢いが減じられた水は排水溝部5を排水口部7に向けてスムーズに流れ、排水口部7からスムーズに排水される。
【0019】
このように、蛇口3から流れた水は下方に凹んだボウル本体1の底面2の大部分を占める凸曲面部4の頂部9に流下して凸曲面部4の全周面を凸曲面部4の弧面に沿って分散して流れ、更に底面2の周部の排水溝部5に沿って流れて排水口部7から排水されるので、凸曲面部4の全面及び周囲の全排水溝部5を水が流れることになり、汚れ難くい。
【0020】
また、ボウル本体1の側壁部6の一部に排水口部7を設けてあるので、排水口部7に栓をしてボウルA内に水を溜めて洗顔や手洗いや小物の洗浄を行う際、排水口部7にした栓が邪魔になることがなく、また、水を溜めての使用中に誤って栓を抜くといったおそれもなく、使い勝手が良くなる。
【0021】
なお、本発明のボウルAは洗面台のボウルであってもよく、あるいは流しのシンクが本発明のボウルであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の概略断面図である。
【図2】本発明のボウルの全体斜視図である。
【図3】従来例の概略断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ボウル本体
2 底面
3 蛇口
4 凸曲面部
5 排水溝部
6 側壁部
7 排水口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウル本体の底面を蛇口の下方に対応する位置が高く且つ周囲にいくにしたがって低くなるような上向き凸となった凸曲面部として成ることを特徴とするボウルの構造。
【請求項2】
ボウル本体の底面の周部に凸曲面部から流れる水を排水するための排水溝部を設け、ボウル本体の側壁部の一部に排水口部を設け、上記排水溝部を排水口部に連通接続すると共に排水溝部の溝底を排水口部に向けて下り傾斜させて成ることを特徴とする請求項1記載のボウルの構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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