説明

ボトルの把手組付装置

【課題】 ブロー成形ボトルの把手取付用凹溝に把手を組み付ける簡単な機構の把手組付装置を提案すること。
【解決手段】把手組付装置100は、把手10を背面が上に向いた横置き状態で配列したストッカ110を有し、ここから送り出された把手10がリフト機構150に1個ずつ引き渡され、前傾姿勢となるように持ち上げられ、次に、把手位置決め機構160のグリッパ161によって前傾姿勢のまま把手10をグリップし、90度旋回させて、前方の把手差込位置122に待機しているボトル1の把手取付用凹溝6に、その上端部分を位置決めし、把手押込機構180を駆動して把手10の下端部分をボトル中心側に押し込む。次に、ボトル1を支持板押込位置123に搬送し、支持板押込機構190により、支持板14をボトル中心側に押し込み、その先端14aを上側腕部12の先端係合溝12bに嵌めて、把手10の組付け作業が終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製のボトルに形成されている把手取付用凹部に、合成樹脂製の把手を組み付けるために用いるボトルの把手組付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食用油などを入れる合成樹脂製の大型ボトル等は重いので、持ち運びを簡単に行うことができるように、その胴部外周面部分に把手が取り付けられている。把手の取付方法としては、把手取付用凹部を外周面に備えた形状のボトルを二軸延伸ブロー成形し、しかる後に当該把手取付用凹部に、別個に成形しておいた把手を取り付ける後付け方法が知られている。
【0003】
この方法により把手が取り付けられたボトルは、例えば、下記の特許文献1、2に開示されている。これらの特許文献に開示されている把手は、ボトル上下方向に長い握り部と、そのボトル上下方向の端から突出している腕部と、上側の腕部から下側の腕部に向けて延びている支持板とを備えた構造となっている。いずれの把手においても、ボトル側に形成されている把手取付用凹部に上下の腕部を強制的に嵌め込み、しかる後に支持板を強制的に押し込み、その先端部を下側の腕部の先端部に係合させるようになっている。支持板が下側の腕部に係合すると、下側の腕部が上側に撓むことが阻止され、上下の腕部の間隔が一定に保持されるので、把手が把手取付部に取り付けられた状態に保持される。
【特許文献1】特許第3508897号公報
【特許文献2】実用新案登録第2568990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、成形後のボトルの把手取付用凹部に把手を組み付ける作業を効率良く行うことのできるボトルの把手組付装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、ブロー成形された合成樹脂製のボトルの把手取付用凹部に、合成樹脂製の把手を組付けるボトルの把手組付装置であって、
前記把手は、握り部の両端から同一方向に腕部が突出し、一方の腕部の先端からは支持板が他方の腕部まで延び、前記支持板の先端を前記握り部の側から前記腕部の先端側に押し込むと、当該先端を前記腕部先端に係合可能となっており、
把手差込位置を経由してボトルを搬送するボトル搬送機構と、
前記把手差込位置にボトルを保持する第1ボトル保持機構と、
前記把手差込位置よりも下流側に位置する支持板押込位置にボトルを保持する第2ボトル保持機構と、
前記把手を、その握り部背面を上に向けて横並び状態で収納するストッカと、
前記ストッカから供給される把手を所定角度の前傾姿勢となるまで持ち上げるリフト機構と、
持ち上げられた前傾姿勢状態の把手における握り部背面側部分を挟持し、前傾姿勢のまま、前記把手差込位置で待機しているボトルの把手取付用凹部に向けて送り出し、当該把手の上端部分が前記把手取付用凹部に差し込まれた状態となるように位置決めする位置決め機構と、
上端部分が前記把手取付用凹部に差し込まれた状態の前記把手の下端部分、当該把手取付用凹部に押し込む把手押込機構と、
前記支持板押込位置に待機しているボトルの前記把手取付用凹部に押し込まれている前記把手の前記支持板の先端をボトル中心側に押し込み、当該先端を腕部先端に係合させる支持板押込機構とを有していることを特徴としている。
【0006】
ストッカは、把手が背面を上にして横並び状態で収納されており、これらが押し出されるようになっている。したがって、縦に並べてストックしている場合などとは異なり、把手がストッカ内で滞留して、把手の供給動作が円滑に行われないなどの弊害を解消できる。
【0007】
ここで、前記ストッカは、前記把手が横並び状態で収納されている収納部と、当該収納部内の把手を前方に向けて付勢している付勢部材を備え、前記リフト機構は、前記収納部の前端開口から押し出される把手の前側の側面が当たる前側端面を備えた1個分の把手のみを受け入れ可能な幅の把手受入部と、当該把手受入部を水平姿勢から傾斜姿勢となるように旋回させる旋回部とを備え、当該把手受入部が旋回中の状態では、当該把手受入部の後側端面によって、前記収納部の前記前端開口から把手が押し出されることが阻止されるようになっている。
【0008】
この構成によれば、把手受入部によってストッカから把手が押し出されることを阻止できるので、把手の送り出しを規制するための別個の部材を配置する必要がない。
【0009】
前記位置決め機構は、前記把手受入部によって前傾姿勢に保持されている把手の握り部背面側部分を両側から挟持するグリッパと、当該グリッパを所定角度旋回させる旋回部と、旋回後のグリッパを待機中のボトルの把手取付用凹部に向けて送り出す送り出し部とを備えており、前記旋回部は、前記グリッパの送り出し動作を利用して当該グリッパを旋回させるカム機構から構成されている。
【0010】
カム機構を用いて、グリッパの送り出し動作を利用してグリッパを旋回させるようにしているので、把手を前傾姿勢で掴み、旋回させて、待機しているボトルに向けて送り出す機構を簡単かつコンパクトに構成できる。
【0011】
次に、前記支持板押込機構は、前記把手における前記握り部および前記支持板の間の下端位置に側方から差し込まれる押込部材と、この押込部材を前記支持板の背面に沿って引上げる引上げ部と、前記押込部材の引き上げ動作を利用して当該押込部材を回転させることにより前記支持板を前方に押し込むカム機構とを備えている。
【0012】
この場合においても、カム機構を用いて、支持板押込部材の引き上げ動作を利用して当該支持板押込部材を回転させて支持板を引き上げ方向に直交する方向に押し込むようにしているので、当該動作を行う支持板押込機構を、簡単かつコンパクトな構成とすることができる。
【0013】
ここで、同時に多数個の把手の組付作業を行うためには、前記ボトル搬送経路に沿って、N箇所(Nは2以上の整数)に前記把手差込位置および前記支持板押込位置を配置し、各把手差込位置に対応して、前記のストッカ、第1ボトル保持機構、リフト機構、位置決め機構、および把手押込機構を配置し、各支持板押込位置に対応して、前記第2ボトル保持機構および支持板押込機構を配置すればよい。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明の把手組付装置においては、把手を背面を上にした横並び状態にストッカに収納し、これを幅方向に押し出して、次段の位置決め機構に供給するようにしている。したがって、縦並び状態で把手を送り出す場合などとは異なり、把手がストッカ内で詰まるなどの弊害が起きずに、円滑かつ確実に把手を供給できる。また、把手をボトルに位置決めする動作、および支持板を押し込む動作を行う機構に、カム機構を採用しているので、これらの機構を簡単かつコンパクトに構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本発明により把手を組付可能なボトルの例および、本発明を適用したボトルの把手組付装置の例を説明する。
【0016】
(把手付きボトルの例)
図1(a)は把手付きボトルを示す側面図であり、図1(b)は把手を示す側面図である。また、図2(a)は把手付きボトルの縦断面図であり、図2(b)は横断面図である。これらの図を参照して説明すると、本例の把手付きボトル1のボトル本体2は、小径の口部3と、その下側に連続している底付きの全体として円筒状の胴部4とを備えており、胴部外周面には面外剛性を高めるための凹凸状のリブが形成されている。胴部4における上側の外周面部分には、上下方向に所定幅の把手取付用凹部5が形成されている。この形状のボトル本体2は二軸延伸ブロー成形により成形されたものであり、成形後に、その把手取付用凹部5に、別個に成形しておいた合成樹脂製の把手10が固定されている。
【0017】
ボトル本体2に形成されている把手取付用凹部5は、凹部底面を規定しているほぼ平坦な胴部側面部分6と、この胴部側面部分6の上端縁と胴部外周面部分4aを結ぶ上側端面7と、胴部側面部分6の下端縁と胴部外周面部分4aを結ぶ下側端面8によって規定されている。胴部側面部分6の中央にはボトル上下方向に延びる一定幅の浅い凹溝6aが形成され、さらに、当該凹溝6aの中心にはボトル上下方向に延びるリブ溝6bが形成されている。
【0018】
上側端面7は、下側に凸の凸曲面形状をしており、そのボトル中心側の端は、上方に窪んでいる細幅の上側嵌め込み溝7aとなっている。当該上側端面7のボトル外周側の端(開口縁部分)を形成している円弧面部分には、ボトル中心側に窪んでいる差込溝7bが形成されている。下側端面8は、上側に凸の凸曲面形状をしており、そのボトル中心側の端は、下方に窪んでいる細幅の下側嵌め込み溝8aとなっている。
【0019】
この形状の把手取付用凹部5に固定されている合成樹脂製の把手10は、上側端面7の開口縁から下側端面8の開口縁まで延びている縦長の握り部11と、この握り部11の上下の端部からボトル中心側に突出している上側腕部12および下側腕部13と、下側腕部13の先端部からボトル上方に延びている撓み防止板14(支持板)とを備えている。上側腕部12は上下方向に撓み可能な可撓腕部であり、下側腕部13は上下方向には撓むことのない剛性腕部である。取付状態においては、撓み防止板14の先端14aは、上側腕部12の先端から外れないように、当該先端に形成した先端係合溝12bに係合しており、当該撓み防止板14によって上側腕部12の撓みが阻止されている。
【0020】
各部の形状を詳細に説明すると、握り部11は、一定幅および厚さの縦長の円弧状の外板部分11aと、これよりも幅の狭い一定厚さの直線状の内板部分11bとが、縦リブ11cによって連結された形状をしている。外板部分11aの上端は内側に鋭角に折れ曲がり、内板部分11bの上端は内側に円弧状に曲がり、これらが合流して、一定厚さの上側腕部12に連続している。
【0021】
外板部分11aの上端の内側表面部分には、ボトル側に形成されている差込溝7bに差し込まれている突起15が一体形成されている。また、上側腕部12の上側当接面12aは下側に僅かに湾曲した湾曲面であり、その先端側の部位には、上方に一定幅および一定厚さで突出した上側突起16が一体形成されている。この上側突起16がボトル側の上側端面7の上側嵌め込み溝7aに下側から嵌っている。
【0022】
上側腕部12の下側面は平坦な面であり、その先端側の部位には、先端側に向けて突出量の多くなるくさび状の爪部分17が形成されている。この爪部分17の端面17aと下側面の先端部分とによって、先端係合溝12bが形成されている。この先端係合溝12bに撓み防止板14の先端14aが嵌っている。
【0023】
次に、握り部11の外板部分11aの下端は90度よりも小さな角度で内側に折れ曲がって、下側腕部13の下板部分13aに連続している。内板部分11bの下端も内側に円弧状に曲がり、下側腕部13の上板部分13bに連続している。下側腕部13は、上板部分13bと下板部分13aがボトル中心側の先端において合流した山形形状をしており、これらの間が三角形の縦リブ13cによって連結されている。したがって、上下方向の剛性が高く、上下方向には撓まない剛性腕部となっている。
【0024】
下側腕部13の下側当接面13dは全体として上側に僅かに湾曲した湾曲面であり、その先端側の部位には下方に一定幅で突出した下側突起18が一体形成されており、これが、ボトル側の下側端面8の下側嵌め込み溝8aに上側から嵌っている。
【0025】
この構成の下側腕部13の先端は円弧状にほぼ直角に湾曲して、撓み防止板14に連続している。撓み防止板14は一定幅で一定厚さの縦長の矩形板であり、その内側の表面の中心には上下方向に延びる補強用リブ14bが形成されている。撓み防止板14は、ボトル側の凹溝に装着され、その補強用リブ14bも凹溝に形成したリブ溝6bに嵌った状態となっている。
【0026】
(把手の組付手順)
図3は把手10をボトル本体2に組み付ける手順を示してある。図3(a)に示すように、取付前の把手10は、撓み防止板14の先端14aが上側腕部12の爪部分17よりも握り部11の側に位置している。先端14aは内側が円弧面となっており、爪部分17に容易に乗り上げ可能となっている。
【0027】
まず、図3(a)に示すように、ボトル本体2に取り付けた状態に対して把手10を所定角度だけ前傾姿勢にして、その上側腕部12の上側当接面12aを、ボトル本体2の把手取付用凹部5の上側端面7に押し当て、突起15が差込溝7bに差し込まれ、上側突起16が上側嵌め込み溝7aに位置決めされた状態を形成する。
【0028】
この状態で、把手10の握り部11の下側部分を把手取付用凹部5に向けて強制的に押し込む。この結果、上側腕部12における撓み防止板14の先端14aが当っている部分の先端側が下方に撓み、また、ボトル本体側の下側端面8が撓むことにより、把手10の下側腕部13の下側突起18を下側嵌め込み溝8aに押し込むことができる。
【0029】
図3(b)の実線はこの状態を示してある。この後は、撓み防止板14をボトル中心側に強制的に押し込む。撓み防止板14の先端14aは、上側腕部12を強制的に上側に撓めながら、爪部分17を乗り越える。爪部分17を乗り越えると、先端14aは先端側の先端係合溝12bに嵌り、上側腕部12は再び下側に戻る。この結果、撓み防止板14は、図3(b)において想像線で示すように、上側腕部12に対して外れることのない状態で係合して、把手10の組付状態が形成される。
【0030】
下側腕部13は剛性腕部であり、可撓性の上側腕部12は撓み防止板14によって撓みが阻止される。よって、上側腕部12の上側突起16および下側腕部13の下側突起18がそれぞれ、上側嵌め込み溝7aおよび下側嵌め込み溝8aに嵌った状態に保持され、また、上側の突起15も差込溝7bに嵌った状態に保持されるので、把手10がボトル本体2に固定された状態になる。
【0031】
(ボトルの把手組付装置)
(全体構成)
図4は本例の把手組付装置の全体構成および概略動作を示す概念図である。この図を参照して、把手組付装置の概要を説明する。本例の把手組付装置100は、多数個の把手10を、その握り部11の背面を上に向けて横並び状態で収納するストッカ110を有し、収納されている把手10はその最も後端側から付勢板118によって常に前方に向けて付勢されている。
【0032】
ストッカ110における把手10の送り出し方向の前方には、把手送り出し方向に直交する水平方向の搬送経路121に沿ってボトル1を正立状態で搬送するボトル搬送機構120が配置されている。搬送経路121におけるストッカ110の前方側の位置が把手10をボトル1に組み込むための把手差込位置122とされており、これよりも搬送経路121の下流側の位置が、差し込まれた把手10の支持板14を押し込むための支持板押込位置123とされている。
【0033】
把手差込位置122には、当該位置にボトル1を保持するための第1ボトル保持機構130が配置されている。同様に、支持板押込位置123にも、当該位置にボトル1を保持するための第2ボトル保持機構140が配置されている。
【0034】
ストッカ110の前側には、当該ストッカ110から送り出された把手10を横置き状態から所定角度だけ傾斜した前傾姿勢となるまで持ち上げるリフト機構150が配置されている。リフト機構150の側方位置には、リフト機構150から把手10を受け取って、把手差込位置122に待機しているボトル1の把手取付用凹部5に把手10の上端側部分を差し込むための把手位置決め機構160が配置されている。把手位置決め機構160は、持ち上げられた前傾姿勢状態の把手10における握り部11の背面側部分を両側から挟持するグリッパ161を備えており、このグリッパ161が待機しているボトル1の側に旋回して、待機しているボトル1の把手取付用凹部6に向けて送り出され、グリッパ161に保持されている当該把手10の上端部分が把手取付用凹部6に位置決めされる。
【0035】
把手差込位置122におけるストッカ110側の近傍位置には、上端部分が把手取付用凹部6に差し込まれた状態の把手10の下端部分を当該把手取付用凹部6に押し込むための把手押込機構180が配置されている。把手10の全体がボトル1の把手取付用凹部6に差し込まれた後は、ボトル搬送機構120によって当該ボトル1は支持板押込位置123に向けて搬送され、当該位置123において第2ボトル保持機構140によって保持される。
【0036】
支持板押込位置123の近傍には支持板押込機構190が配置されている。当該支持板押込機構190によって、ボトル1の把手取付用凹部5に押し込まれている把手10の支持板14の先端14aがボトル中心側に押し込まれて、当該先端14aが上側腕部12の先端係合溝12bに係合し、これによって、把手10の組み付け作業が終了する。支持板押込機構190は、ボトル1の側方から把手10の握り部11と支持板14の間に差し込まれる押込部材194を備えており、この押込部材194を引き上げながら支持板14をボトル中心側に押し込むことにより、支持板14の先端14aを上側の腕部12の先端係合溝12bにはめ込むようになっている。
【0037】
以下に述べるように、本例の把手組付装置100は、ボトル搬送経路121に沿って4箇所に把手差込位置122および支持板押込位置123がそれぞれ配置されており、各把手押込位置121に対応して、ストッカ110、第1ボトル保持機構130、リフト機構150、位置決め機構160、および把手押込機構180が配置されている。同様に、各支持板押込位置123に対応して、第2ボトル保持機構140および支持板押込機構210が配置され、4個のボトルに対する把手の組付動作を同時に行うように構成されている。勿論、1個ずつ把手の組付動作を行うことも可能であり、2個、3個あるいは5個以上のボトルに対して同時に把手の組付動作を行うことも可能である。
【0038】
(各部の構成)
次に、図5〜図9を参照して、把手組込装置100の各部の構成を詳細に説明する。図5は把手組込装置100の概略平面図であり、図6はそのVI−VI線で切断した場合の概略断面図であり、図7は把手差込機構の部分を示す部分概略平面図であり、図8は把手差込機構の部分(図7のVIII−VIII線で切断した断面部分)を示す概略断面図であり、図9は支持板押込機構の部分(図5のIX−IX線で切断した断面部分)を示す概略断面図である。
【0039】
まず、ボトル搬送機構120は水平に配置したベルトコンベヤ125から構成されている。ベルトコンベヤ125は、無端ベルト126の両側が端板127、128によって封鎖されている。これらによって囲まれている内部空間には負圧が供給され、無端ベルト126にはその搬送方向に向けて一定間隔で吸引用スリット126aが形成されている。したがって、無端ベルト126の上流側の端に正立状態で供給されたボトル1は、吸引用スリット126aに吸引され、倒れることなく、また、位置ずれが生ずることなく、搬送可能である。本例では、ボトル1が間歇搬送され、4個のボトル1(1)〜1(4)が各把手差込位置122(1)〜122(4)および各支持板押込位置123(1)〜123(4)に搬送され、それぞれの位置において把手差込動作および支持板押込動作が行われる。
【0040】
次に、ボトル1を把手差込位置122(1)〜122(4)に保持するための第1ボトル保持機構130は、図6に示すように、装置架台101に取り付けた水平支持板131から垂下しているエアーシリンダ132と、その伸縮ロッド133の下端に取り付けた段付き差込コア134とを有している。各ボトル1が各把手差込位置122に到った後に、段付き差込コア134を降下させ、ボトル1の口部に差し込むと共に、その段面でボトル1を押し付けることにより、当該位置にボトル1が確実に保持された状態が形成される。ボトル1を支持板押込位置123(1)〜123(4)に保持するための第2ボトル保持機構140も同様な構成であり、図9に示すように、装置架台(図示せず)に取り付けた水平支持板141から垂下しているエアーシリンダ142と、その伸縮ロッド143の下端に取り付けた段付き差込コア144とを有している。
【0041】
なお、各位置122(1)〜122(4)および各位置123(1)〜123(4)においては各ボトル1を無端ベルト126に吸引する吸引動作が解除され、段付き差込コア134、144によるボトル1の位置決めが円滑に行われるようになっている。
【0042】
次に、各把手差込位置122(1)〜122(4)に対応して配置されている4組のストッカ110(110(1)〜110(4))は、装置テーブル102上において、ボトル搬送経路121に直交する方向に向けて水平に配置されている。各ストッカ110は同一構成であり、図8に示すように、平行に配置した左右一対の水平レール111、112により規定される底面と、垂直な側板113、114によって規定される両側面と、水平天板115によって部分的に覆われた天面からなる把手収納部116を備えている。左右の側板113、114の間隔は、把手10を、その握り部背面側を上に向けて横置き状態で挿入可能な寸法とされている。
【0043】
水平レール111、112の下方には、これらのレールと平行に延びるエアー駆動式のリニアアクチュエータ117が配置されており、このリニアアクチュエータ117に取り付けた付勢板118によって、収納部116に収納されている把手10の後端が前方(送り出し方向)に向けて常に一定の力で押されている。収納部116の前端は開口しており、この前端開口部116aから把手10が押し出されて、リフト機構150に引き渡される。
【0044】
リフト機構150は、ストッカ110の前端開口部116aから把手10を受け取る把手受入部151と、この把手受入部151を上下方向に旋回させる旋回部152とを備えている。図6、8を参照して説明すると、把手受入部151の後側の端面151aは、収納部116の前端開口部116aと同一形状の開口部となっており、また、当該把手受入部は1個の把手10のみを受入可能な幅とされ、その前側の端面が端板153によって封鎖されている。
【0045】
把手受入部151は旋回軸155を中心に上下に旋回可能である。旋回部152は、エアーシリンダ156を備え、その伸縮ロッド156aの先端が把手受入部151の底面に連結されている。伸縮ロッド156aを伸長すると、水平状態の把手受入部151が図8に示すように、旋回軸155を中心として持ち上がり、そこに保持されている把手10を所定角度の前傾姿勢にすることができる。
【0046】
ここで、把手受入部151のL形の端面151aは、旋回状態においては、常に、ストッカ110の収納部の前側開口部116aの一部を遮っている。したがって、旋回中に、収納部116の前側開口部116aから把手10が押し出されてしまうことがない。
【0047】
次に、把手位置決め機構160は、前傾姿勢で把手受入部151に保持されている把手10の握り部11の背面側の部分を両側からグリップするグリッパ161を備えている。グリッパ161は、グリッパ支持部162によって開閉可能な状態で支持されており、当該グリッパ支持部162に内蔵のエアーシリンダ(図示せず)によって開閉駆動される。グリッパ161は、開状態で、前傾姿勢となるように持ち上げられた把手10が位置する部位に待機しており、把手受入部151が持ち上げられ、そこに保持されている把手10がグリッパ161の間に位置すると、当該グリッパ161が閉じて、前傾姿勢の把手10をグリップした状態になる。
【0048】
グリッパ161の支持部162は垂直な旋回軸163の下端に取り付けられている。この旋回軸163の上端部は回転自在の状態でスライダ164によって支持されている。スライダ164は、スライドレール165に沿って、ボトル搬送経路120に直交する方向に直線往復移動可能である。スライダ164は、エアーシリンダ166からなる駆動機構によって駆動されるようになっている。
【0049】
ここで、旋回軸163の上端には旋回中心軸線から半径方向に延びる腕163aが形成されており、この腕163aの先端にはローラからなるカムフォロワ167が取り付けられている。カムフォロワ167は、スライダ164の移動方向に延びる直線状部分とその後端から円弧状に直角に折れ曲がっている湾曲部分とを備えたカム溝168にスライド可能な状態で嵌っている。図7から分かるように、スライダ164によってグリッパ161が前方に送り出されると、カムフォロワ167がカム溝168の後端の湾曲部分から直線状部分にスライドし、旋回軸163を90度回転させる。よって、旋回軸163の下端に取り付けられているグリッパ161は送り出しの初期の段階で90度旋回して、前向き状態になり、この状態のままで前方に送り出される。
【0050】
このように、本例では、前傾姿勢の把手10をグリップしたグリッパ161を、カム溝168およびカムフォロワ167からなるカム機構を利用して、前向き状態となるように90度旋回させ、その状態のままで前方に送り出すようにしている。したがって、簡単な構成により、ストッカ110から受け取って前傾姿勢にした把手10を前方に90度旋回させて、送り出して待機しているボトル1の把手取付用凹溝5に差し込む機構を構築できる。
【0051】
次に、把手押込機構180は、図6に示すように、ストッカ110とボトル搬送経路121の間の位置に配置されている。この把手押込機構180は、水平な押込みバー181を備え、この押込みバー181の両端には直交方向に延びる旋回腕182、183が取り付けられており、旋回腕182、183の下端の間には、旋回軸184が水平に架け渡されており、この旋回軸184の外周には同軸状態でピニオン185が形成されている。ピニオン185の側方には、当該ピニオン185に噛み合っているラック186が垂直方向に移動可能な状態で配置され、ラック186の昇降は、エアーシリンダからなる駆動機構187によって行われる。押込みバー181は、図6の実線で示す待機位置から、上方に旋回可能であり、その旋回軌跡上に、ボトル1に上端部分が位置決めされた把手10の握り部11の背面下端部分が位置するように設定されている。
【0052】
グリッパ161を前方に送り出して、前傾姿勢の把手10の上端部分をボトル1の把手取付用凹部5の上端面7に位置決めした後に、把手押込機構180を駆動して、押込みバー181を旋回させる。これと同期させて、グリッパ161による把手10のグリップを解除する。押込みバー181によって押されて、把手10の下端部分が押し込まれ、把手10が把手取付用凹部5に全体的に差し込まれた状態になる。
【0053】
次に、図9を参照して説明すると、支持板押込機構190は、装置架台103に支持されている支持台191によって、ボトル搬送経路121に直交する方向にスライド可能に支持されている前後スライダ192と、このスライダ192によってボトル搬送経路121に平行な方向にスライド可能に支持されている左右スライダ193と、このスライダ193によって昇降可能な状態で支持されている支持板押込部材194とを備えている。
【0054】
ボトル1が支持板押込位置123に到ると、前後スライダ192によって支持板押込部材194が前方に送り出され、支持板押込部材194は、ボトル1の下流側から、把手10の握り部11と支持板14の間に差込可能な位置に位置決めされる。次に、左右スライダ193によって搬送方向の上流側に送り出されて、支持板押込部材194は、握り部11と支持板14の間の下端部分に差し込まれた状態になる。次に、支持板押込部材194は、エアーシリンダからなる昇降機構195によって上方に引上げられ、支持板14をボトル中心側に押し込み、その先端14aを、上側腕部12の先端の先端係合溝12bに押し込む。
【0055】
ここで、支持板押込部材194は、旋回軸196の先端部に取り付けられており、旋回軸中心から一方の側に突出した外周面輪郭形状のものである。旋回軸196は垂直支持板197によって回転自在の状態で支持されている。また、旋回軸196の後端部には旋回軸中心から半径方向に延びる腕が取り付けられており、腕の先端にはローラからなるカムフォロワ198が取り付けられている。カムフォロワ198はカム溝199にスライド自在の状態で嵌っている。カム溝199は、垂直に延びる溝部分と、その上端から後方に円弧状に直角に折れ曲がった湾曲部分とを備えている。昇降機構195によって支持板押込部材194が下端から引上げられると、カムフォロワ198およびカム溝199からなるカム機構によって、旋回軸196が回転し、その先端に取り付けられている支持板押込部材194も回転して、その半径方向に突出している部分が支持板14の側に回転しながら、当該支持板14を押し込む。支持板押込部材194が上端に到ると、90度回転して、その突出部分がボトル中心側に90度回転した状態になる。
【0056】
このように、本例では、カム機構によって、支持板押込部材194の引き上げ動作を利用して、当該支持板押込部材194を90度回転させて、支持板14をボトル中心側に押し込むことができる。よって、簡単な構成により、確実に支持板14を押込み、その先端14aを上側腕部12の先端係合溝12bにはめ込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明を適用した把手付きボトルの側面図および把手の側面図である。
【図2】図1のボトルの縦断面図および横断面図である。
【図3】ボトルに把手を取り付ける手順を示す説明図である。
【図4】本発明を適用した把手組付装置の全体構成および概略動作を示す概念図である。
【図5】本発明を適用した把手組付装置の概略平面図である。
【図6】図5のVI−VI線で切断した場合の概略断面図である。
【図7】図5の装置の把手差込機構の部分を示す部分概略平面図である。
【図8】図5の装置の把手差込機構の部分(図7のVIII−VIII線で切断した断面部分)を示す概略断面図である。
【図9】図5の装置の支持板押込機構の部分(図5のIX−IX線で切断した断面部分)を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 把手付きボトル、2 ボトル本体、3 口部、4 胴部、5 把手取付用凹部、6 外周側面、7 上側端面、8 下側端面、7a 上側嵌め込み溝、8a 下側嵌め込み溝、7b 差込溝、11 握り部、12 上側腕部、12b 先端係合溝、13 下側腕部、14 支持板、14a 先端、15 突起、16上側突起、17 爪部分、18 下側突起 100 把手組付装置、110 ストッカ、120 ボトル搬送機構、121 ボトル搬送経路、130、140 ボトル保持機構、150 リフト機構、160 位置決め機構、180 把手押込機構、210 支持板押込機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形された合成樹脂製のボトルの把手取付用凹部に、合成樹脂製の把手を組付けるボトルの把手組付装置であって、
前記把手は、握り部の両端から同一方向に腕部が突出し、一方の腕部の先端からは支持板が他方の腕部まで延び、前記支持板の先端を前記握り部の側から前記腕部の先端側に押し込むと、当該先端を前記腕部先端に係合可能となっており、
把手差込位置を経由してボトルを搬送するボトル搬送機構と、
前記把手差込位置にボトルを保持する第1ボトル保持機構と、
前記把手差込位置よりも下流側に位置する支持板押込位置にボトルを保持する第2ボトル保持機構と、
前記把手を、その握り部背面を上に向けて横並び状態で収納するストッカと、
前記ストッカから供給される把手を所定角度の前傾姿勢となるまで持ち上げるリフト機構と、
持ち上げられた前傾姿勢状態の把手における握り部背面側部分を挟持し、前傾姿勢のまま、前記把手差込位置で待機しているボトルの把手取付用凹部に向けて送り出し、当該把手の上端部分が前記把手取付用凹部に差し込まれた状態となるように位置決めする位置決め機構と、
上端部分が前記把手取付用凹部に差し込まれた状態の前記把手の下端部分を当該把手取付用凹部に押し込む把手押込機構と、
前記支持板押込位置に待機しているボトルの前記把手取付用凹部に押し込まれている前記把手の前記支持板の先端をボトル中心側に押し込み、当該先端を腕部先端に係合させる支持板押込機構とを有していることを特徴とするボトルの把手組付装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ストッカは、前記把手が横並び状態で収納されている収納部と、当該収納部内の把手を前方に向けて付勢している付勢部材を備え、
前記リフト機構は、前記収納部の前端開口から押し出される把手の前側の側面が当る前側端面を備えた1個分の把手のみを受け入れ可能な幅の把手受入部と、当該把手受入部を水平姿勢から傾斜姿勢となるように旋回させる旋回部とを備えており、
当該把手受入部が旋回中の状態では、当該把手受入部の後側端面によって、前記収納部の前記前端開口から把手が押し出されることが阻止されることを特徴とするボトルの把手組付装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記位置決め機構は、前記把手受入部によって前傾姿勢に保持されている把手の握り部背面側部分を両側から挟持するグリッパと、当該グリッパを所定角度旋回させる旋回部と、旋回後のグリッパを待機中のボトルの把手取付用凹部に向けて送り出す送り出し部とを備えており、
前記旋回部は、前記グリッパの送り出し動作を利用して当該グリッパを旋回させるカム機構から構成されていることを特徴とするボトルの把手組付装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記支持板押込機構は、前記把手における前記握り部および前記支持板の間の下端位置に側方から差し込まれる押込部材と、この押込部材を前記支持板の背面に沿って引上げる引上げ部と、前記押込部材の引き上げ動作を利用して当該押込部材を回転させることにより前記支持板を前方に押し込むカム機構とを備えていることを特徴とするボトルの把手組付装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記ボトル搬送経路に沿って、N箇所(Nは2以上の整数)に前記把手差込位置および前記支持板押込位置を配置し、
各把手差込位置に対応して、前記のストッカ、第1ボトル保持機構、リフト機構、位置決め機構、および把手押込機構を配置し、
各支持板押込位置に対応して、前記第2ボトル保持機構および支持板押込機構を配置し、
N個の把手組付動作を同時に行うことを特徴とするボトルの把手組付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−131259(P2006−131259A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322076(P2004−322076)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(594082648)株式会社フロンティア (34)
【Fターム(参考)】