説明

ボトル

【課題】底部における中央壁部の変形を抑制すること。
【解決手段】筒状の口部、肩部および胴部と、有底筒状の底部14と、が合成樹脂材料で一体に形成され、底部は、中央部に配置されるとともにボトル軸が直交する中央壁部15と、該中央壁部の外周縁と胴部とを連結する連結周壁部16と、を備え、連結周壁部には、ボトル軸O回りに沿うボトル周方向に間隔をあけて複数の縦凹条部17が形成されるとともに、該連結周壁部においてボトル周方向で隣り合う縦凹条部同士の間に位置する脚部18に、中央壁部よりもボトル軸方向の外側に向けて突出する接地突部19が備えられ、底部の内面に、中央壁部と連結周壁部とを連結する補強壁部21が突設されるボトル10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂材料で形成され、例えば炭酸飲料などの内容物が充填されるボトル(耐圧用ボトル、耐熱圧用ボトル)に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のボトルとして、例えば下記特許文献1に示されるように、筒状の口部、肩部および胴部と、有底筒状の底部と、が合成樹脂材料で一体に形成され、底部が、中央部に配置されるとともにボトル軸が直交する中央壁部と、該中央壁部の外周縁と胴部とを連結する連結周壁部と、を備える構成が知られている。この連結周壁部には、ボトル軸回りに沿うボトル周方向に間隔をあけて複数の縦凹条部が形成されるとともに、該連結周壁部においてボトル周方向で隣り合う縦凹条部同士の間に位置する脚部には、中央壁部よりもボトル軸方向の外側に向けて突出する接地突部が備えられている。また、このボトルは、脚部の接地突部を接地させることにより自立させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−267235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のボトルでは、その製造過程における前記中央壁部の延伸量が小さいこと等から、熱水シャワーによる殺菌工程などで生じるボトルの内圧の上昇に起因して底部のうち中央壁部が他の部分と比べて大きく変形し、接地突部よりもボトル軸方向の外側に膨出し、ボトルを自立させることができなくなるおそれがあった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、底部における中央壁部の変形を抑制することができるボトルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るボトルは、筒状の口部、肩部および胴部と、有底筒状の底部と、が合成樹脂材料で一体に形成され、前記底部は、中央部に配置されるとともにボトル軸が直交する中央壁部と、該中央壁部の外周縁と胴部とを連結する連結周壁部と、を備え、前記連結周壁部には、ボトル軸回りに沿うボトル周方向に間隔をあけて複数の縦凹条部が形成されるとともに、該連結周壁部においてボトル周方向で隣り合う縦凹条部同士の間に位置する脚部に、前記中央壁部よりもボトル軸方向の外側に向けて突出する接地突部が備えられたボトルであって、前記底部の内面に、前記中央壁部と前記連結周壁部とを連結する補強壁部が突設されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るボトルによれば、底部の内面に、中央壁部と連結周壁部とを連結する補強壁部が突設されているので、ボトルの内圧の上昇に伴い中央壁部に加えられる力を、補強壁部を介して連結周壁部に伝達させて受け止めさせることが可能となり、中央壁部がボトル軸方向の外側に向けて変形するのを抑制することができる。
【0008】
また、前記縦凹条部および前記脚部は、それぞれ偶数個ずつ形成され、前記補強壁部は、ボトル軸をボトル径方向で挟んで互いに反対に位置する一対の縦凹条部同士を連結していても良い。
【0009】
この場合、補強壁部が、一対の縦凹条部同士を連結するように設けられていることから、例えば補強壁部が1つの縦凹条部と中央壁部とを連結する場合に比べて、中央壁部に加えられる力を、補強壁部を介して連結周壁部のなかでより広い部分にわたって伝達させることが可能となり、補強壁部による中央壁部の補強をより一層強固にすることができる。
また、前記一対の縦凹条部が、ボトル軸をボトル径方向で挟んで互いに反対に位置しているので、補強壁部をボトル径方向に直線状に延在させることが可能となり、簡素な構成で中央壁部を全域にわたって偏り少なく補強することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るボトルによれば、底部における中央壁部の変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るボトルの側面図である。
【図2】図1に示すボトルの底面図である。
【図3】図2に示すA−A断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係るボトルを、図1〜図3を参照して説明する。
図1に示すように、ボトル10は、筒状の口部11、肩部12および胴部13と、有底筒状の底部14と、が合成樹脂材料で一体に形成されている。このボトル10は、例えば二軸延伸ブロー成形により形成されたものである。また、前記合成樹脂材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート等を採用することができる。
なお、図示の例では、これらの口部11、肩部12、胴部13および底部14は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。以下、この共通軸をボトル軸Oといい、ボトル軸O方向に沿った口部11側を上側、底部14側を下側いう。また、ボトル軸Oに直交する方向を単にボトル径方向といい、ボトル軸O回りに沿う方向をボトル周方向という。
【0013】
口部11の外周面には雄ネジが形成されており、この雄ネジに図示しないキャップが着脱可能に螺着されるようになっている。
また、図1〜図3に示すように、底部14は、中央部に配置されるとともにボトル軸Oが直交する中央壁部15と、該中央壁部15の外周縁と胴部13とを連結する連結周壁部16と、を備えている。図2に示すように、図示の例では、中央壁部15は、底部14の平面視において円形状に形成されるとともに、ボトル軸Oと同軸に配置されている。
【0014】
図2および図3に示すように、連結周壁部16には、ボトル周方向に間隔をあけて複数の縦凹条部17が形成されるとともに、該連結周壁部16においてボトル周方向で隣り合う縦凹条部17同士の間に位置する脚部18に、中央壁部15よりも下側(ボトル軸O方向の外側)に向けて突出する接地突部19が備えられており、このボトル10は、いわゆるペタロイド形状に形成されている。図2に示すように、本実施形態では、縦凹条部17および脚部18は、それぞれ偶数個ずつ形成されている。図示の例では、縦凹条部17および脚部18は、それぞれ4個ずつ形成されている。
【0015】
図3に示すように、縦凹条部17は、ボトル径方向の内側から外側に向かうに従って漸次上側に向かうとともに、このボトル10の縦断面視で下側に向けて突となる曲面状に形成されている。
また、図1〜図3に示すように、脚部18は、縦凹条部17よりも下側およびボトル径方向の外側の双方に膨出されており、その下端部が前記接地突部19となっている。また、図1および図2に示すように、脚部18において、接地突部19と胴部13とを連結するとともにボトル径方向の外側を向く壁部である脚側壁部20は、口部11、肩部12および胴部13において最も外径が大きい最外部分の外周面とボトル径方向の位置が一致もしくは前記最外部分の外周面よりもボトル径方向の内側に位置している。
【0016】
そして、本実施形態では、図2および図3に示すように、底部14の内面に、中央壁部15と連結周壁部16とを連結する補強壁部21が突設されている。この補強壁部21は、中央壁部15と縦凹条部17とを連結している。また、補強壁部21は、ボトル軸Oをボトル径方向で挟んで互いに反対に位置する一対の縦凹条部17同士を連結している。
図2に示すように、図示の例では、補強壁部21は、ボトル径方向に沿うように前記平面視直線状に延在している。また、補強壁部21は、前記一対の縦凹条部17それぞれにおけるボトル周方向の中央部分同士を互いに連結し、かつボトル径方向に沿って底部14の全域にわたって延在している。このように補強壁部21が形成されることで、底部14において、補強壁部21を挟んだ一方側部分14aの形状と他方側部分14bの形状とが同一形状になる。
【0017】
また、図3に示すように、補強壁部21においてボトル径方向の外側に位置する両側端部21aは、それぞれの上端が、ボトル径方向の内側から外側に向かうに従って漸次上側に向かうとともに、この補強壁部21の平面視で下側に向けて窪む凹曲線状に形成されている。また、補強壁部21の両側端部21aの上端は、連結周壁部16(縦凹条部17)の上端部に連結されている。また、補強壁部21において両側端部21a同士の間に位置する中間部分の上端は、ボトル径方向に沿う直線状に形成されている。このように形成された補強壁部21は、ボトル軸Oを基準に線対称に形成されるともに、その平面視形状が半月形状となっている。
【0018】
以上に示した本実施形態に係るボトル10によれば、底部14の内面に、中央壁部15と連結周壁部16とを連結する補強壁部21が突設されているので、ボトル10の内圧の上昇に伴い中央壁部15に加えられる力を、補強壁部21を介して連結周壁部16に伝達させて受け止めさせることが可能となり、中央壁部15が下側に向けて変形するのを抑制することができる。
【0019】
また、補強壁部21が中央壁部15と縦凹条部17とを連結していることから、例えば補強壁部21が中央壁部15と脚部18とを連結している場合に比べて、補強壁部21を所定の位置および形状に容易かつ高精度に形成することが可能となり、補強壁部21により中央壁部15を確実に補強することができる。
また、補強壁部21が、一対の縦凹条部17同士を連結するように設けられていることから、例えば補強壁部21が1つの縦凹条部17と中央壁部15とを連結する場合に比べて、中央壁部15に加えられる力を、補強壁部21を介して連結周壁部16のなかでより広い部分にわたって伝達させることが可能となり、補強壁部21による中央壁部15の補強をより一層強固にすることができる。
【0020】
また、前記一対の縦凹条部17が、ボトル軸Oをボトル径方向で挟んで互いに反対に位置しているので、補強壁部21をボトル径方向に直線状に延在させることが可能となり、簡素な構成で中央壁部15を全域にわたって偏り少なく補強することができる。
本実施形態では、底部14において、補強壁部21を挟んだ一方側部分14aの形状と他方側部分14bの形状とが同一形状になっているので、中央壁部15のうちの前記一方側に位置する部分および前記他方側に位置する部分、それぞれの部分における補強壁部21による補強を、各部分においてボトル周方向で対応する位置で同程度のものとすることができる。これにより、補強壁部21によって中央壁部15を全域にわたって偏り少なく補強することができる。
さらに、単に補強壁部21を底部14の平面視において直線状に延在させるだけで、補強壁部21によって前述のように効果的に中央壁部15を補強することができることから、補強壁部21の総量を抑えつつ中央壁部15の変形を抑制することが可能となる。
【0021】
また、前記一方側部分14aの形状と前記他方側部分14bの形状とが同一形状になっているので、補強壁部21を設けることに起因してボトル10の重心が前記一方側や前記他方側に移動してしまうことがなく、このボトル10を安定して自立させることができる。
【0022】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、補強壁部21は、中央壁部15と縦凹条部17とを連結しているものとしたが、これに限られるものではなく、中央壁部15と脚部18とを連結しても良い。なおこの場合、脚部18における接地突部19および脚側壁部20と中央壁部15とを連結することが好ましい。
【0023】
また、前記実施形態では、補強壁部21は、ボトル軸Oをボトル径方向で挟んで互いに反対に位置する一対の縦凹条部17同士を連結しているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、ボトル周方向で隣り合う一対の縦凹条部17同士を連結しても良い。また、ボトル軸Oをボトル径方向で挟んで互いに反対に位置する一対の縦凹条部17同士を連結する場合であっても、一対の縦凹条部17それぞれにおけるボトル周方向の中央部分同士を互いに連結しなくても良い。
【0024】
また、補強壁部21は、前記平面視直線状に延在しているものとしたが、これに限られるものではなく、例えば、前記平面視においてボトル軸Oを起点として3方向以上に延在する放射状を呈すように設けられていても良い。例えば、前記実施形態で示したボトル10では、補強壁部は、前記平面視において十字形状を呈すように設けられていても良い。またこの場合、補強壁部は、ボトル周方向で隣り合う縦凹条部同士を連結していても良い。
さらに、前記平面視直線状に延在している場合であっても、ボトル径方向に沿っていなくても良い。さらにまた、補強壁部21は、底部14の全域にわたって延在しているものしたが、これに限られるものでない。
【0025】
また、前記実施形態では、補強壁部21の側端部21aの上端は、連結周壁部16の上端部に連結されているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、ボトル10の胴部13に連結されていても良く、また、連結周壁部16において上端部よりも下側に位置する部分に連結されていても良い。
また、前記実施形態では、縦凹条部17および脚部18は、それぞれ偶数個ずつ形成されているものとしたが、これに限られるものではなく、例えばそれぞれ奇数個ずつ形成されていても良い。
【0026】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0027】
10 ボトル
11 口部
12 肩部
13 胴部
14 底部
15 中央壁部
16 連結周壁部
17 縦凹条部
18 脚部
19 接地突部
21 補強壁部
O ボトル軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の口部、肩部および胴部と、有底筒状の底部と、が合成樹脂材料で一体に形成され、
前記底部は、中央部に配置されるとともにボトル軸が直交する中央壁部と、該中央壁部の外周縁と胴部とを連結する連結周壁部と、を備え、
前記連結周壁部には、ボトル軸回りに沿うボトル周方向に間隔をあけて複数の縦凹条部が形成されるとともに、該連結周壁部においてボトル周方向で隣り合う縦凹条部同士の間に位置する脚部に、前記中央壁部よりもボトル軸方向の外側に向けて突出する接地突部が備えられたボトルであって、
前記底部の内面に、前記中央壁部と前記連結周壁部とを連結する補強壁部が突設されていることを特徴とするボトル。
【請求項2】
請求項1記載のボトルであって、
前記縦凹条部および前記脚部は、それぞれ偶数個ずつ形成され、
前記補強壁部は、ボトル軸をボトル径方向で挟んで互いに反対に位置する一対の縦凹条部同士を連結していることを特徴とするボトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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