説明

ボルトひずみ測定装置

【課題】本発明は、ボルトの締緩によりボルトに生じるひずみを簡便かつリアルタイムに測定できるひずみ測定装置を提供する。
【解決手段】ボルトひずみ測定装置は、ボルト1の軸部12に取り付けられたひずみゲージ13と、ボルト1の頭部11上面に設けられた電極部14と、ボルト1内に形成された管路15を通ってひずみゲージ13と電極部14とを電気的に接続するリード線16と、レンチ2の嵌合部21に、電極部14と接触するように設けられた接触部22とを備え、ひずみゲージ13の電気信号を接触部22から取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルトの締緩に伴ってその軸部に生じるひずみを測定するひずみ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のひずみ測定装置としては、下記特許文献1の図3に示すように、ボルトの頭部から中心軸に沿って形成された穴の内部に取り付けられたひずみゲージと、ボルトの頭部に設けられたコネクタと、穴を通ってひずみゲージとコネクタを接続するリード線とを備えたものが知られている。
【0003】
かかるひずみ測定装置では、コネクタに外部機器を接続し、ひずみゲージに生じた電気的な変化をコネクタを介して外部機器で検出し、ボルトの軸方向に生じたひずみ量を測定する。
【特許文献1】特開平6−347349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のひずみ測定装置では、コネクタに外部機器を接続用のケーブルを取り付けた状態でボルトの締緩を行うと、ボルトの回転により繋がったケーブルが捩れ、コネクタが破損してしまう。
【0005】
かかる不都合を回避するために、従来は、ボルトの締緩の度にコネクタからケーブルを外し、締緩後に再度ケーブルをコネクタに取り付けてひずみの測定を行わなければならず、測定作業が煩雑であった。さらに、ボルトの締緩とひずみの測定を同時に行うことができず、ボルトの締緩に応じて生じるひずみ量の変化をリアルタイムに測定することができないという問題があった。
【0006】
また、保全管理上、ボルトの締緩状態と、これに応じてボルト軸部に発生するひずみ量とを定期的に検査することが必要であるが、かかる検査の度に、コネクタとケーブルとの脱着を行うことは煩雑であった。
【0007】
以上の事情に鑑みて、本発明は、ボルトの締緩によりボルトに生じるひずみを簡便かつリアルタイムに測定できるひずみ測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明は、ボルトの締緩に伴ってその軸部に生じるひずみを測定するひずみ測定装置であって、前記ボルトの軸部に取り付けられたひずみゲージと、前記ボルトの頭部上面に設けられた電極部と、前記ひずみゲージと前記電極部とを結ぶように前記ボルト内に形成された管路を通って、該ひずみゲージと該電極部とを電気的に接続するリード線と、前記ボルトの頭部に嵌合する締緩工具の嵌合部に、前記電極部と接触するように設けられた接触部とを備え、前記ひずみゲージの電気信号を前記接触部から取り出すことを特徴とする。
【0009】
第1発明のボルトひずみ測定装置によれば、ボルトのひずみゲージに生じた電気的な変化がリード線を介して頭部上面の電極部へ伝達され、該電極部と接触するように締緩工具に設けられた接触部へ伝達される。
【0010】
このとき、ボルト上の電極部と接触する接触部は、締緩工具と一体に設けられていることから、ボルトの締緩の際に、電極部と接触部との間に捩れが生じることがない。また、リード線は、ボルト内に設けられた管路を通っているため、リード線が締緩時に巻き込まれるようなこともない。そのため、ボルトの回転により電極部、接触部やリード線等が破損することを回避することができ、ボルトの締緩の度に、リード線やケーブルの取り外しや取り付けを行う必要がない。
【0011】
また、電極部と接触部を接触させた状態で、締緩工具によりボルトを締緩することが可能となり、ボルトの締緩に応じて生じるひずみ量の変化をリアルタイムに測定することができる。
【0012】
さらに、保全管理上、ボルトの締緩状態と、これに応じて軸部に発生するひずみ量とを定期的に検査する場合にも、締緩工具の嵌合部をボルトの頭部に嵌合させればよいため、検査の度にコネクタとケーブルとの脱着等を行う必要もない。
【0013】
このように、第1発明のボルトひずみ測定装置によれば、ボルトの締緩によりボルトに生じるひずみを簡便かつリアルタイムに測定できる。
【0014】
第2発明は、第1発明のボルトひずみ測定装置において、前記ひずみゲージは、前記ボルトの中心軸に沿って形成された前記管路内に設けられて成ることを特徴とする。
【0015】
第2発明のボルトひずみ測定装置によれば、ひずみゲージがボルトの中心軸上に形成された管路内に設けられており、該管路を通したリード線によりひずみゲージの電気信号がボルト頭部の電極部に伝達される。これにより、簡単な構成で、ボルトの締緩によりボルトに生じるひずみをリアルタイムに測定できる。
【0016】
第3発明のボルトひずみ測定装置は、第1または第2発明のボルトひずみ測定装置において、前記ボルトは、六角ボルトであり、前記電極部は、該ボルトの頭部上面をその中心点を原点として4つの象限に分割した形状の4つの電極面が互いに極性を異にして該頭部上面に隣接配置されて成り、前記接触部は、前記4つの電極面の各々に先端が接触するように設けられた4つの電極ピンが、前記締緩工具のソケット型嵌合部の底部に正方形の4つの頂点位置に配置されて成ることを特徴とする。
【0017】
第3発明のボルトひずみ測定装置によれば、4つの電極面が、六角ボルトの上面に、これを4つの象限(挟角90°)に分割するように配置されており、各電極面に1つの電極ピンの先端が接触するように、4つ電極ピンがソケット型の嵌合部の底部に正方配置される。これにより、ボルトと締緩工具の嵌合位置が60°または30°刻みでずれた場合にも、各電極ピンは、1つの電極面にのみ接触する位置関係が維持される。さらに、隣接する電極面は互いに極性が異なることから、電極ピンが接触する電極面の組み合わせは、+,−,+,−か、−,+,−,+のように極性がすべて反転し得るだけで、いずれの場合にもひずみゲージの抵抗値の変化からひずみ量を測定することができる。このように、ボルトと締緩工具との嵌合位置を問題とせず、ボルトの締緩によりボルトに生じるひずみを簡便に測定できる。
【0018】
第4発明は、第1〜第3発明のボルトひずみ測定装置において、前記接触部が、前記締緩工具として用いられる前記ボルトの締め付け力を測定可能なトルクレンチに設けられて成ることを特徴とする。
【0019】
第4発明のボルトひずみ測定装置によれば、嵌合した際に電極部に接触する接触部が、トルクレンチに設けられている。そのため、トルクレンチにより、ボルトの締め付けトルクをリアルタイムに測定しながら、同時にボルトに生じるひずみの電気信号を接触部を介して取り出し、ひずみ量もリアルタイムに測定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のボルトひずみ測定装置の一実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
【0021】
図1を参照して、本実施形態のボルトひずみ測定装置の全体的な構成について説明する。ボルトひずみ測定装置は、ボルト1の頭部11を締緩工具としてのレンチ2で締緩させる際に、頭部11の首下である軸部12に生じるひずみを測定するひずみ測定装置である。
【0022】
ボルト1は、頭部11が六角形状の六角ボルトであり、軸部12の先端側には雄ねじ溝が形成されている。軸部12内に形成された管路の中に抵抗式ひずみゲージ13(以下、ひずみゲージ13という)が取り付けられ、頭部11の上面には、電極部14が設けられている。尚、本実施形態では、軸部12の先端側にのみ雄ねじ溝が形成されているが、軸部12全体に亘って雄ねじ溝が形成されていてもよい。
【0023】
レンチ2は、両端が形状の異なる六角ボルトに嵌合するように構成されたメガネレンチである。レンチ2には、ボルト1の頭部11に嵌合するソケット型の嵌合部21に、電極部14と接触する接触部22が設けられている。
【0024】
次に、図2を参照して、本実施形態に用いられるボルト1の詳細について説明する。図2(a)は、ボルト1の平面図であり、図2(b)は、ボルト1の断面図である。
【0025】
ボルト1は、その中心軸に沿って頭部11の上面側から穿設された穴である管路15を有する。かかる管路15には、予めリード線が取り付けられると共に裏面に接着剤が塗布されたひずみゲージ13が挿入され、管路15の内壁に該接着剤で接着されている。
【0026】
ひずみゲージ13の接着位置は、例えば、ボルト1の軸部12の軸方向に生じるひずみ量を測定する場合には、ゲージ13の長手方向が該軸方向となるように管路15の内壁に接着される。また、軸部12に生じるねじれひずみ量を測定する場合には、ゲージの長手方向を前記軸方向から所定角度ずらして管路15の内壁に接着される。
【0027】
ひずみゲージ13に接続されたリード線は、4本あり、その内訳は、ひずみゲージ13の一端に接続された2本のリード線16a,16cと、他端に接続された2本のリード線16b,16dである。これらのリード線16a〜16dは、いずれも抵抗値rの内部抵抗を有する。そして、これら4本のリード線16a〜16dは、管路13を通って他端が電極部14に接続されている。
【0028】
電極部14は、ボルト1の頭部11上面の中心を原点として4つの象限に分割した形状の4つの電極面14a〜14dで構成され、各電極面14a〜14dの表面には、接触抵抗を低減するための金メッキが施されている。各電極面14a〜14dには、管路15を通って引き出されたリード線16a〜16dの他端がそれぞれ接続されている。
【0029】
このようにリード線16a〜16dに接続された各電極面14a〜14dは、それぞれ隣り合う電極面14aと14b、14bと14c、14dと14aとが、ひずみゲージ13の極性を異にして接続される。すなわち、電極面14aがひずみゲージ13の一端に接続される場合には、隣接する電極面14b,14dはひずみゲージ13の他端に接続され、電極面14cは一端に接続される。一方、電極面14aがひずみゲージ13の他端に接続される場合には、隣接する電極面14b,14dはひずみゲージ13の一端に接続され、電極面14cは他端に接続される。
【0030】
次に、図3を参照して、本実施形態に用いられるレンチ2の詳細について説明する。図3は、図1のIII−III線断面図である。
【0031】
レンチ2の接触部22は、ソケット型の嵌合部21の底部に立設された、4つの電極ピン23a〜23dと、電極ピン23a〜23dを支持する支持部24とを備える。
【0032】
電極ピン23a〜23dは、先端がやや膨らんだ棒状のピンであって表面には、接触抵抗を低減するための金メッキが施されている。また、電極ピン23a〜23dは、それぞれ1つの電極面14a〜14dに接触するように正方形の頂点位置に配置されている。(図1参照)。
【0033】
支持部24は、電極ピン23a〜23dをその軸方向に遊びを持たせて支持すると共に、ピンを軸方向外方に付勢する弾性体(コイルバネ、図示省略)を内部に備える。かかる弾性体により、電極ピン23a〜23dは支持部24から突出した状態に保持され、電極ピン23a〜23dが他の物体に接触した際には、その付勢力に逆らって電極ピン23a〜23dが支持部24内に落ち込むようになっている。
【0034】
電極ピン23a〜23dの他端側は、支持部24の端子部24a〜24dに接続されており、該端子部24a〜24dが中継用ケーブル25を介して、外部接続端子26に接続されている。
【0035】
外部接続端子26は、例えばJIS等規格によって定められたモジューラージャックであり、外部接続端子26を介してひずみ測定器の測定用ケーブルが接続可能となっている。
【0036】
次に、図4を参照して、本実施形態のボルトひずみ測定装置の使用方法について説明する。図4は、ひずみゲージ13と、リード線16a〜16dと、電極面14a〜14dと、電極ピン23a〜23dとの関係を模式的に示したものである。
【0037】
まず、ひずみゲージ13の一端は、リード線16a,16cを介して電極面14a,14cに接続されている。一方、ひずみゲージ13の他端は、リード線16b,16dを介して電極面14b,14dに接続されている。
【0038】
この状態において、ボルト1の頭部11にレンチ2の嵌合部21を嵌合させると、電極面14a,14cに、それぞれ電極ピン23a,23bが接触して接続され、電極面14b,14dに、それぞれ電極ピン23b,23dが接触して接続される。そして、外部接続端子26を介してひずみ測定器(図示省略)が接続されると、該ひずみ測定器とひずみゲージ13とが電気的に接続され、測定準備が完了する。
【0039】
次に、ひずみゲージ13に生じたひずみ量を測定する際には、ゲージ13の一端に接続されたリード線16a,16cのいずれか一方(例えばリード線16a)と、ゲージ13の他端に接続されたリード線16b,16dのいずれか一方(例えばリード線16d)との間に、ひずみ測定器から一定の電流を流し、その時にゲージ13の両端に発生する電位差を残りのリード線(16b,16c)を介して測定する。
【0040】
かかる測定方法は、1ゲージ4線法と言われるものであって、かかる測定値からゲージ13の抵抗値を求め、抵抗値の変化からひずみ量を求めることができる。1ゲージ4線法によれば、定電流を用いることにより、リード線16a〜16dの抵抗rの影響を全く受けないという長所を有する。
【0041】
次に、図5を参照して、ボルト1の頭部11とレンチ2の嵌合部21との嵌合位置が変更された場合について説明する。
【0042】
まず、図5(a)は、図4の状態を模式的に示したものであり、電極面14aに電極ピン23a、電極面14bに電極ピン23b、電極面14cに電極ピン23c、電極面14dに電極ピン23dがそれぞれ接触している。
【0043】
この状態から、図5(b)に示すように、レンチ2が30°時計回りに回転した位置でも、依然、電極面14aに電極ピン23a、電極面14bに電極ピン23b、電極面14cに電極ピン23c、電極面14dに電極ピン23dがそれぞれ接触しており、図4の場合と同様に、1ゲージ4線法によるひずみ量の測定が可能となっている。
【0044】
次に、図5(c)に示すように、レンチ2が30°(初期状態から60°)時計回りに回転した位置で、ボルト1の頭部11とレンチ2の嵌合部21との嵌合した場合、電極面14aに電極ピン23d、電極面14bに電極ピン23a、電極面14cに電極ピン23b、電極面14dに電極ピン23cがそれぞれ接触する。
【0045】
ここで、測定器から一定電流を電極ピン23aと23dとの間に流すと、該電流は、電極ピン23aおよび23dにそれぞれ接触した電極面14bおよび14aとリード線16bおよび16aを介して、ひずみゲージ13の両端に流れる。そして、このときゲージ13の両端に生じる電位差は、リード線16cおよび16dを介して電極面14cおよび14dに伝達され、さらにこれらに接触する電極ピン23bおよび23cにより測定器へ伝達される。
【0046】
このように、ボルト1とレンチ2の嵌合位置が時計回りに60°ずれて、電極面14a〜14dと電極ピン23a〜23dの組み合わせが変更された場合にも、ひずみ測定器から一定の電流を流し、その時にゲージ13の両端に発生する電位差を残りの電極ピン(23b,23c)を介して測定することができる。すなわち、前記1ゲージ4線法による測定が可能である。
【0047】
次に、図5(d)に示すように、レンチ2がさらに30°(初期状態から90°)時計回りに回転した位置でも、依然、電極面14aに電極ピン23d、電極面14bに電極ピン23a、電極面14cに電極ピン23b、電極面14dに電極ピン23cがそれぞれ接触しており、同様に、ひずみ量の測定が可能となっている。
【0048】
以下同様に、レンチ2が30°刻みで時計回りに回転した位置(初期状態から120°,150°,180°,210°,240°,270°,300°,330°)で、ボルト1の頭部11とレンチ2の嵌合部21との嵌合した場合でも、電極ピン23a〜23dが接触する電極面14a〜14dの組み合わせは、+,−,+,−か、−,+,−,+のように極性がすべて反転するだけで、いずれの場合にもひずみゲージ13の抵抗値の変化からひずみ量を測定することができる。
【0049】
以上、説明したように、本実施形態のボルトひずみ測定装置によれば、ボルト1のひずみゲージ13に生じた電気的な変化がリード線16a〜16dを介して電極面14a〜14dへ伝達され、電極面14a〜14dに接触する接触ピン23a〜23dへ伝達される。
【0050】
このとき、接触ピン23a〜23dは、レンチ2と一体に設けられていることから、ボルト1の締緩の際に、電極面14a〜14dと接触ピン23a〜23dとの間に捩れが生じることがない。また、リード線16a〜16dは、ボルト内に設けられた管路15を通っているため、リード線16a〜16dが締緩時に巻き込まれるようなこともない。そのため、ボルト1の回転により電極面14a〜14d、接触ピン23a〜23dやリード線リード線16a〜16d等が破損することを回避することができ、ボルト1の締緩の度に、リード線16a〜16dやケーブルの取り外しや取り付けを行う必要がない。
【0051】
さらに、電極面14a〜14dと接触ピン23a〜23dを接触させた状態で、レンチ2によりボルト1を締緩することが可能となり、ボルト1の締緩に応じて生じるひずみ量の変化をリアルタイムに測定することができる。
【0052】
このように、本実施形態のボルトひずみ測定装置によれば、ボルト1の締緩によりボルト1に生じるひずみを簡便かつリアルタイムに測定できる。
【0053】
次に、図6を参照して、前記実施形態におけるボルト1の変更例について説明する。図6(a)は、図2(a)に対応するボルト1の平面図であり、図6(b)は図2(b)に対応するボルト1の断面図である。
【0054】
まず、図6(a)に示すように、4つの電極面14a〜14dは、対面に位置する電極面同士14aおよび14c,14bおよび14dを接続して用いてもよい。この場合、電極面14とひずみゲージ13とは、2本のリード線で接続を行う。具体的には、電極面14aおよび14cと、ひずみゲージ13の一端とを1本のリード線16a´で接続すると共に、電極面14bおよび14dと、ひずみゲージ13の他端とを他の1本のリード線16b´で接続する。尚、この場合、ひずみ量の測定は、1ゲージ2線法により、ひずみゲージ13の抵抗値の変化に基づいて、ひずみ量が算出される。
【0055】
次に、図6(b)に示すように、ひずみゲージ13の接着位置は、ボルト1の軸部12の外側面であってもよい。この場合、ボルト1の頭部11から軸部12の外側面へ接するように形成された貫通孔からなる管路15´,15´に、リード線16a´,16b´が挿通している。これにより、ひずみゲージ13の電気信号がリード線16a´,16b´を介して電極面14a〜14dへ伝達され、かかる電極面14a〜14dに接触する電極ピン23a〜23dにより、ひずみ量を測定することができる。
【0056】
なお、この場合にも、前述のように、ゲージ13の接着方向により、軸部12の軸方向に生じるひずみ量のほか、軸部12に生じるねじれひずみ量を測定することができる。
【0057】
さらに、図7を参照して、前記実施形態におけるレンチ2の変更例について説明する。
【0058】
図7(a)に示すように、接触部22は、締め付け力を測定可能なトルクレンチ2´に設けられてもよい。この場合、トルクレンチ2´の嵌合部21をボルト1の頭部11に嵌合させてボルト1の締緩を行うと、その締め付けトルクがトルク表示部27に表示される。同時に、ボルト1の軸部12に生じるひずみ量は、接触部22を介して測定することができる。これにより、トルクレンチ2´によるボルト1の締緩に伴う締め付けトルクとその際に軸部12に生じるひずみとをリアルタイムに測定することができる。
【0059】
さらに、図7(b)に示すように、電動レンチ2´´のエクステンションバー28の先端部に接触ピン23a〜23dを設け、エクステンションバー28にソケット型の嵌合部21が取り付けられた際に、接触ピン23a〜23dが嵌合部21の底部から突出するようにしてもよい。
【0060】
さらに、エクステンションバー28内に外部機器との無線通信が可能な通信装置29を組み込んでもよい。これにより、ワイヤレスでひずみゲージ13の電気信号を外部に出力することでき、ケーブル等のよじれ等を完全に防止することができる。
【0061】
また、この場合、エクステンションバー28とその先端に取り付けられるソケット型の嵌合部21とが交換可能に構成することが望ましい。具体的には、エクステンションバー28の先端嵌合部30と、嵌合部21側の受け部(図示省略)とを同一の規格形状とすることで、寸法や形状の異なるソケット型の嵌合部21を電動レンチ2´´に組み合わせて使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施形態のボルトひずみ測定装置の全体構成図。
【図2】図1のボルトの詳細な説明図。
【図3】図1のレンチのIII−III線断面図。
【図4】本実施形態のボルトひずみ測定装置の測定方法を示す図。
【図5】本実施形態のボルトとレンチとの嵌合位置を示す図。
【図6】本実施形態のボルトの変更例を示す図。
【図7】本実施形態のレンチの変更例を示す図。
【符号の説明】
【0063】
1…ボルト、2…レンチ(締緩工具)、11…頭部、12…軸部(首下)、13…ひずみゲージ、14a〜14d…電極面、15,15´…管路、16a〜16d,16a´,16b´…リード線、21…嵌合部、22…接触部、23a〜23d…電極ピン、24…支持部、26…外部接続端子、27…トルク表示部、28…エクステンションバー、29…通信装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトの締緩に伴ってその軸部に生じるひずみを測定するひずみ測定装置であって、
前記ボルトの軸部に取り付けられたひずみゲージと、
前記ボルトの頭部上面に設けられた電極部と、
前記ひずみゲージと前記電極部とを結ぶように前記ボルト内に形成された管路を通って、該ひずみゲージと該電極部とを電気的に接続するリード線と、
前記ボルトの頭部に嵌合する締緩工具の嵌合部に、前記電極部と接触するように設けられた接触部とを備え、
前記ひずみゲージの電気信号を前記接触部から取り出すことを特徴とするボルトひずみ測定装置。
【請求項2】
請求項1記載のボルトひずみ測定装置において、
前記ひずみゲージは、前記ボルトの中心軸に沿って形成された前記管路内に設けられて成ることを特徴とするボルトひずみ測定装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のボルトひずみ測定装置において、
前記ボルトは、六角ボルトであり、
前記電極部は、該ボルトの頭部上面をその中心点を原点として4つの象限に分割した形状の4つの電極面が互いに極性を異にして該頭部上面に隣接配置されて成り、
前記接触部は、前記4つの電極面の各々に先端が接触するように設けられた4つの電極ピンが、前記締緩工具のソケット型嵌合部の底部に正方形の4つの頂点位置に配置されて成ることを特徴とするボルトひずみ測定装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項記載のボルトひずみ測定装置において、
前記接触部が、前記締緩工具として用いられる前記ボルトの締め付け力を測定可能なトルクレンチに設けられて成ることを特徴とするボルトひずみ測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−133877(P2010−133877A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311565(P2008−311565)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000151520)株式会社東京測器研究所 (29)
【Fターム(参考)】