説明

ボールの目視検査用治具及び該治具を用いた目視検査方法

【課題】複数のボールの全表面及び内部の目視検査を短時間で完了させて作業性の向上をはかると共に、目視検査中のボール表面に付着するコンタミの抑制,表面キズの発生を防止する。
【解決手段】上下に重ねられる2枚の板材1,4からなり、上側の板材1には被検査対象となるボールBの底面の一部が下側の板材に接する形状のボール穴3が一定ピッチで複数配設されていると共に、複数のボール穴3の両側に稲妻形のガイド穴2が穿設されており、一方、下側の板材4には上側の板材1に設けられたガイド穴2に差し込まれるピンが設けられ、ピンとガイド穴とのクリアランスを0.05〜0.1mmとしてピンを稲妻形ガイド穴の辺に沿って移動させることにより、上下板材1,4の相対位置を移動させ、上側の板材1のボール穴3に保持されるボールB全てを同時に一方向に一定距離回転させ順次、繰り返し全面の目視検査を可能ならしめる目視検査用治具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は軸受、ボールねじ、リニアガイド、等速ジョイント、ボール弁及び光学レンズ等に使用される鋼球ならびにセラミックス球やガラス球等の加工時に発生する球表面欠陥、ガラス球のように内部が見える材質の球に関しては球内部に発生する材料欠陥(内部クラックやポア等)などの欠陥の有無を目視にて外観検査する際に使用することにより、容易かつ確実に複数の球の全表面及び内部を検査できるようにした目視検査用治具ならびに該治具を用いて目視検査する目視検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡を用いたボールの目視検査においては、従来、図1のように1個のボールBを静止させることができる保持部11を台座12に乗せてボールを上方の顕微鏡13から目視検査し、その後、手あるいはピンセット14等を用いてボールを回転させて目視検査を繰り返し行う方法や、図2のように盆21等の容器に一定量のボールBを投入し、転がしながらボールの上方の顕微鏡22から目視検査を繰り返す方法が知られているが、このような方法では確実に全てのボールの全表面を検査できているという保証はなく、検査精度を上げるために何度もボールを回転させて目視検査を繰り返す必要があることから作業時間がかかるといった問題があった。
【0003】
しかも、ボール1個を静止させることができる台座に乗せてボールを上方から目視検査する場合には、手あるいはピンセット等でボールを直接触って転がすためコンタミが付着し易く、検査の繰り返し数を増やすほど表面に多くのコンタミが付着し、表面ならびに内部欠陥が見辛くなっていくというジレンマも抱えていた。また、盆等の容器に一定量のボールを投入し、転がしながらボールの上方から目視検査を繰り返す方法ではボールを転がすためにボール同士の衝突が頻繁に起こり、これによるボールの表面にキズを付ける危険があった。
【0004】
こういったコンタミの付着あるいはボール同士の衝突を原因として、特にセラミックスやガラスといった脆性材料で構成されるボールにおいては、目視検査工程そのものがボール表面にキズを発生させるといった問題があり、また、たとえ脆性材料ではない鋼球でも表面のごく僅かな線キズといった欠陥すらも問題となるような用途のボールにおいては同様の危険を内包していた。
【0005】
そこで本出願人においては、さきにこれらの問題を改善するべく、自動外観検査機を提案(例えば特許文献1,2参照)しているが、これら自動外観検査機は強制的にボールを回転する機構を有している都合上、特に脆いガラス材料ではその回転においてごく微小の線状キズが発生する上、大量生産の時には自動外観検査機も有効であるが、ごく少量の場合にはボールサイズによる外観検査機のセッティング及び調整に時間がかかることから、あまり効率的とは言えない課題が残されていた。さらにこれら自動外観検査機はあくまでも外観を検査する装置であり、ガラス球のような内部が容易に観察できるボールにおいて表面と内部の欠陥を同時に検査することは当外観検査機では不可能であった。
【特許文献1】特許第3438136号公報
【特許文献2】特開2008−51619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の如き実状に対処し、特に効果的な目視検査用治具と、これを用いた目視検査方法を見出すことにより複数のボールの全表面及び内部を確実に検査すると共に、複数の目視検査を短時間で完了させ作業性の向上をはかり、併せて目視検査中にボール表面に付着するコンタミの抑制ならびに目視検査中のボール表面へのキズの発生を防止せしめることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の特徴は、先ず、請求項1は基本となる目視検査用治具であり、上下に重ねて配設される2枚の板材からなり、上側の板材には検査対象となるボールの底面の一部が下側の板材に接するような形状の穴が一定ピッチで複数個配設されていると共に、上記複数のボール穴を挟んで両側に複数の山形の連続からなる稲妻形のガイド穴が穿設されており、一方、下側の板材には上記上側の板材に設けられたガイド穴に差し込まれるピンが設けられ、クリアランスを0.05〜0.1mmとしてピンをガイド穴に沿わせて上下板材の相対位置を移動させることにより、上側の板材のボール穴に保持される数個から数百個のボール全てを同時に一方向に一定距離回転させて目視検査を可能ならしめる構成を特徴とする。
【0008】
請求項2〜7は上記治具の具体的態様であり、請求項2は上側の板材の厚みを検査対象となるボールをピンセット等にて扱えるようボール直径の1/4〜1/2の厚みとし、かつ上側の板材には上部側の直径の方が大きいテーパー状の穴を等間隔のピッチで設け、かつ下部側の穴がボールの底面から垂直方向上面に向かって1/4〜1/3の範囲でボールと接触し、その接触部の隙間が0.1mmから0.2mmとした構成を特徴とする。
【0009】
請求項3は数個から数百個のボールの表面ならびに内部に存在する欠陥を目視し易くするために上下の板材を黒色または黒茶色または濃い灰色といった光を吸収する色の部材で構成することを特徴とする。
【0010】
また請求項4は上記治具を目視検査中において、静電気によって数個から数百個のボールの表面にコンタミが付着しボール回転時にキズが付かないように上下の板材を導電性の樹脂で作成することを特徴とする。
【0011】
請求項5は上記治具において下側の板材のボールと接触する面に摩擦抵抗が大きく、かつ検査対象のボールの表面にキズを付けないような柔らかい布材やゴム材を貼り付け、数個から数百個のボール全数を確実に滑りなく一方向に一定距離回転させることを可能としたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項6は上側の板材に構成する穴を包装用のトレーと同一ピッチとし、かつ上側の板材の上面を平面に仕上げることで、上側の板材の上面に包装用トレーのボール包装面を合わせてひっくり返せば、数個から数百個のボールを直接触れることなく効率的に包装用トレーから目視検査用治具へ、または目視検査用治具から包装用トレーへ移動させることができるようにしたことを特徴とする。請求項7は上記上下板材の大きさを目視検査用治具として実体顕微鏡のステージに十分据え付けることができ、かつ容易に上下の板材の相対位置を移動させることができる程度の大きさとしたことを特徴とする。
【0013】
請求項8は上記各記載の目視検査用治具を用いて目視検査する方法であり、検査対象となる数個から数百個のボールを上側の板材のボール穴に入れて静止させ、ボールの上方から顕微鏡を用いて目視検査した後、下側の板材のピンを上側の板材のガイド穴に沿って移動させ、上下板材の相対位置を移動させることにより数個から数百個のボールを同時に一方向に一定距離回転させて別の面を上方から再び顕微鏡を用いて目視検査し、これを複数回繰り返すことにより数個から数百個のボールの全表面ならびに内部を目視検査して加工時に表面に発生する微小なカケや線状キズの如き表面欠陥及び球内部に発生する内部クラックやポア等の材料欠陥といった内部欠陥を検出することを特徴とする。
【0014】
上記本発明によると、等間隔に規則正しく配置された数個から数百個のボールをガイド穴に沿うピンの移動に伴って順次、同時に一方向に一定距離だけ回転させていくことにより、ボールの表面の一部を順番に上方から目視検査して、最終的にボールの全表面及び内部を確実に目視検査できるため表面欠陥及び内部欠陥の見逃しをなくしている。目視検査用治具は上下に設置された2枚の板材から構成され、上板には目視検査する対象となるボールの底面の一部が下板に接触するような形状とした穴を一定ピッチで配置させ、数個から数百個のボールを等間隔にかつボールの上面が同じ高さになるように静止させることにより、目視検査開始時に顕微鏡の焦点伸度を調整すれば、検査中の微調整を不要とし作業性を向上させる。さらに一方の板材にピンを、他方の板材には稲妻形に配置したガイド穴を設け、ピンとガイド穴とのクリアランスを0.05〜0.1mmとすることにより上板と下板ががたつきなく、かつスムーズに動くよう設置した上で下板には研磨パッドのような摩擦抵抗が大きくかつ検査対象のボール表面にキズを付けないような柔らかい布材やゴム材を貼り付けることによりそのガイド穴に沿って上下板を移動させれば、がたつきなく、かつ引っ掛かりなく上下板の相対位置を移動させることができ、この移動により数個から数百個のボール全てを同時に一方向に一定距離回転させることができるため、ボールの回転を確実かつ短時間に済ませることができるようにして作業性を向上させている。稲妻形のガイド穴の角度を90°の交互とし、稲妻の一辺をボールの外周の1/4あるいは3/4とすると、移動を5回繰り返すことでボールの全表面及び内部を検査できるようになる。また、本発明の検査用治具はボールの表面ならびに内部に存在する欠陥を目視しやすくするために、黒色または黒茶色または濃い灰色といった光を吸収する色の部材で構成しており、表面及び内部欠陥の見逃しを防止するようにしている。
【0015】
以上の目視検査用治具は通常の実体顕微鏡を使用すれば全てのボールを目視検査できる大きさとし、ボールを静止させるための穴を包装用のトレーと同じピッチで配置することによりボールに直接触れることなく包装用トレーから目視検査用治具へ、あるいは目視検査用治具から包装用トレーに移し変えることを可能とし作業性の向上ならびにコンタミ付着の抑制を実現させており、更にコンタミ付着の抑制に関しては、導電性の樹脂で治具を製作することにより静電気の帯電を防止せしめている。
【発明の効果】
【0016】
上記の本発明によれば、直接手やピンセット等でボールに触れることなく包装用トレーから目視検査用治具に移し変えることにより、微小な埃といったコンタミが付いていないきれいなボールの全表面及び内部を目視検査することができ、埃といったコンタミなのか、表面欠陥なのか惑わされることなく効率的な検査を可能ならしめ、この結果、単位時間当たりの検査個数を数倍に増大させることが出来るようになり、検査工程の大幅な能力向上を達成する。また、確実にボール全数を一方向に一定距離回転させることにより、ボールの全数の全表面及び内部を確実に目視検査することができ、表面及び内部欠陥の見逃しもなくなる効果が期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、更に添付図面を参照して本発明の具体的実施態様を説明する。
【0018】
図3は本発明目視検査用治具の平面及び横断面を示し、図4は同目視検査用治具の上側の板材、図5はその要部をなすガイド穴形状を示すボール穴省略拡大図、図6は目視検査用治具の下側の部材を示す。
【0019】
本発明目視検査用治具は、図4に示す上側の板材1と、図6に示す下側の板材4の両板材によって構成され、これら両板材1,4を図3に示す如く上下に重ねることによって用いるようになっている。この上側,下側の両板材1,4は通常の顕微鏡にて全てのボールが検査できる大きさで形成され、上側板材1には図4に示すように検査対象とするボールBを静止して保持させるための複数の、図では5×5個の穴3と、該穴3を挟んで両側に下側部材4との相対位置を移動させるためのガイド穴2が複数の山形の連なる稲妻形に穿設されている。なお、ボール穴3は図では一応、5×5個となっているが、これに限定されるものではなく、ボールの大きさに合わせて数個から数百個の範囲で適宜、設けられ、最も一般的な2〜3mmのボールでは17×17個が一般的である。
【0020】
上記ボールBを保持するボール穴3はボールを静止させるだけでなく、ガイド穴2に沿って上下の板材1,4が相対的に移動するとき、移動に追従してボールが確実に一方向に一定距離回転するように、上方に向かって穴が大きくなるテーパー状に設けられでおり、図5に示すように、そのテーパー状ボール穴3の最上部3aがボールBの底面から垂直上方向にボールの直径の1/4〜1/3の位置でボールと接触し、かつ、該接触部でのボールBと穴3との隙間Sが好ましくは0.1〜0.2mmとなるように構成されている。
【0021】
一方、稲妻形のガイド穴は図4(ハ)に示すように連続した山形で、山形のなす角度は直角となっており、山形の数に合わせて直角に屈曲したガイド穴が適数、図では上部に頂部,底部に夫々四角、下部には頂部,底部に各2角作られた形状に作成されている。勿論、山形の数はこれに限らず、適宜、増減することも可能である。
【0022】
ここで、上記稲妻形ガイド穴において、その角度を90°の交互として稲妻の一辺をボールの外周の1/4あるいは3/4とすると、移動を複数回、例えば5回繰り返すことで数個から数百個のボールを 一度に1/4あるいは3/4、回転させて5回の繰り返しで総合的に該ボールの全表面及び内部の検査を可能とすることができる。
【0023】
図6は前記上側の板材1と重ねられる下側の板材4であり、該上側の板材1のガイド穴2に挿入されるピン5が対応位置に突設されており、更に下側の板材4にはピン5とボールBが滑りなく確実に回転するように摩擦抵抗が大きく、かつ検査対象のボールの表面にキズを付けないよう柔らかい布材、例えば研磨パッドの如き部材6が貼り付けられている。この部材6は摩擦抵抗の大きいゴム材も使用することができる。
【0024】
そして、下側の板材4のピン5は重ねられたとき上側の板材1のガイド穴2にはめ込まれ、ボールBを回転させるときは上側の板材1のガイド穴2を下側の板材4のピン5に沿って動かすことにより、ボールを稲妻形の一辺に沿い、その移動する一定方向に一定距離ずつ所定の回転を与えることによってこれを複数回繰り返して全面にわたり確実に回転させることができる。なお、ガイド穴2とピン5とのクリアランスは上側の板材1と下側の板材4ががたつきなく、かつ引っ掛かることなく、相対運動可能であるよう0.05〜0.1mmの程度になるように調整している。
【0025】
なお、上記上下の板材1,4、特に上側の板材1は数個から数百個のボールの表面ならびに内部に存在する欠陥を目視し易くするために黒色,黒茶色または濃い灰色の如き光を吸収する色の部材で構成することが好適である。また、ボール回転時にコンタミが付着しないように導電性の樹脂、例えば導電性ポリカーボネートの如き樹脂で形成することが好ましい。
【0026】
図7は包装用トレー7を示し、この包装用トレー7は目視検査用治具に検査対象ボールを移すとき、手やピンセット等により直接ボールに触れることなくボールを移し変え、また目視検査終了後、目視検査が完了したボールを目視検査用治具より逆の手順で移し戻すのに用いられるものであり、その穴8の配置ピッチa′,b′は上側の板材1に重ねられるように上側の板材のボール穴3のピッチa,bと同じピッチとなっている。これにより包装塗トレー7から目視検査用治具にボールを移すとき、直接ボールに触れることなしに移し変えることができ、ボールにコンタミが付着することが防止できると共に、トレー上のボール全ての移し変えを短時間で行なえる作業性の向上も実現している。以下、本発明目視検査用治具を用いて目視検査を行う際の検査対象となるボールの流れを図8に基づいて説明する。
【0027】
先ず、目視検査用治具へボールを投入することから始まるが、これには図8(イ)に示すように目視検査用治具の上側の板材1を検査対象ボールBの入った包装用トレー7に被せ、次いで(ロ)に示す如くひっくり返すことにより検査対象ボールBを本検査治具の上側の板材1に移し変える。そして、検査対象ボールBが入った上側の板材1を下側の板材4に設置し(図3参照)、顕微鏡による目視検査に備える。
【0028】
このとき上側の板材1に設置されたガイド穴2に下側の板材4に設置されたピン5が正しく収まるように設置する。また下側の板材4のピンは上側の板材1のガイド穴2の端になるように設置する。検査対象となるボールが配置されると、図9に示す如く検査対象ボールBが入っている目視検査用治具を台座12の上に載せて実体顕微鏡13に設置し、全てのボールを上方から目視し、表面及び内部欠陥の検査を行う。このとき検査は例えば上側の板材のボール穴の左上ボールから右下のボールに向かって順番に行うなどし、直線的かつ効率的に検査できるようにする。そして、この検査が終わると、下側の板材4のピン5を上側の板材1のガイド穴2に沿って、ガイド穴2の稲妻形の一辺だけ移動させ、検査対象ボール全てを稲妻形の一辺に対応する移動の方向に一定距離回転させる。
【0029】
そして上記の工程を稲妻形の辺に沿って各辺を順次、所定回数、図示の場合6回くらい繰り返すことにより全てのボールの全表面が順次、目視され、ボールの全表面及び内部を効率的に目視検査することができる。こうして全表面の目視検査が完了したボールは、図8(ハ)に示すように前記と全く逆の手順を行うことにより、包装用トレー7に移し戻して終了する。
【0030】
かくして本発明は上記の如く、直接手やピンセット等でボールに触れることなく包装用トレーから目視検査することができる。以下、上記本発明の目視検査について従前の目視検査と比較するため両者について単位時間当たりの検査個数を対比した。その結果を表1に示す。
【0031】
【表1】

上記表より本発明の目視検査用治具を用いるときは単位時間当たりの検査個数を従来方法に比し約4培まで増大させることができ、検査工程の大幅な能力向上につながることが判明した。これによって本発明目視検査用治具使用の検査方法は従来の方法を大きく改善できることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】従来における1個のボールの目視検査方法例である。
【図2】従来における多数のボールの目視検査方法例である。
【図3】ボールが搭載された本発明の目視検査用治具の1例を示す概略図で、(イ)は平面図、(ロ)は横断面図である。
【図4】本発明の目視検査用治具の上側の板材を示す概要図で、(イ)は平面図、(ロ)は(イ)のA−A断面図、(ハ)はボール穴を簡略化したガイド穴の拡大平面図である。
【図5】上記上側の板材のボール穴形状を示す説明図である。
【図6】本発明目視検査用治具の下側の板材を示す概要図で、(イ)は平面図、(ロ)は正面図である。
【図7】包装用トレーの概要図で、(イ)は平面図、(ロ)はA′−A′断面図である。
【図8】包装用トレーの目視検査用治具へのボールの移し変え態様を示し、(イ)は目視検査用治具へのボール投入時、(ロ)はトレーをひっくり返す時、(ハ)は検査が完了したボールを包装用トレーへ移し戻す時である。
【図9】本発明目視検査用治具を用いた目視検査態様を示す説明図である。
【図10】本発明目視検査用治具をを用い、上下の板材を相対移動させたときのボールの一方向一定距離回転の態様を示し、(イ)は移動前、(ロ)は移動後である。
【符号の説明】
【0033】
B:ボール
1:上側の板材
2:ガイド穴
3:ボール穴
4:下側の板材
5:ピン
6:研磨パッド
7:包装用トレー
8:包装用トレーの穴
12:台座
13:実体顕微鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に重ねて配設される2枚の板材からなり、上側の板材には検査対象となるボールの底面の一部が下側の板材に接するような形状の穴が一定ピッチで複数個配設されていると共に、上記複数のボール穴を挟んで両側に複数の山形の連続からなる稲妻形のガイド穴が穿設されており、一方、下側の板材には上記上側の板材に設けられたガイド穴に差し込まれるピンが設けられ、ピンとガイド穴とのクリアランスを0.05〜0.1mmとしてピンをガイド穴に沿わせて上下板材の相対位置を移動させることにより、上側の板材のボール穴に保持される数個から数百個のボール全てを同時に一方向に一定距離回転させ目視検査を可能ならしめることを特徴とするボールの目視検査用治具。
【請求項2】
上側の板材の厚みを検査対象となるボールをピンセット等にて扱えるようボール直径の1/4〜1/2の厚みとし、かつ上側の板材には上部側の直径の方が大きいテーパー状の穴を等間隔のピッチで設け、かつ下部側の穴がボールの底面から垂直方向上面に向かって1/4〜1/3の範囲でボールと接触し、その接触部の隙間を0.1mm〜0.2mmとした請求項1記載のボールの目視検査用治具。
【請求項3】
数個から数百個のボールの表面ならびに内部に存在する欠陥を目視し易くするために上下の板材を黒色または黒茶色または濃い灰色といった光を吸収する色の部材で構成する請求項1または2記載のボールの目視検査用治具。
【請求項4】
目視検査中において、静電気によって数個から数百個のボールの表面にコンタミが付着しボール回転時にキズが付かないように上下の板材を導電性の樹脂で作成した請求項1〜3の何れかの項に記載のボールの目視検査用治具。
【請求項5】
下側の板材のボールと接触する面に摩擦抵抗が大きく、かつ検査対象のボールの表面にキズを付けないような柔らかい布材やゴム材を貼り付け、数個から数百個のボール全数を確実に滑りなく一方向に一定距離回転させることを可能とした請求項1〜4の何れかの項に記載のボールの目視検査用治具。
【請求項6】
上側の板材に構成する穴を包装用のトレーと同一ピッチとし、かつ上側の板材の上面を平面に仕上げることで、上側の板材の上面に包装用トレーのボール包装面を合わせてひっくり返せば、数個から数百個のボールを直接触れることなく効率的に包装用トレーから目視検査用治具へ、または目視検査用治具から包装用トレーへ移動させることができる請求項1〜5の何れかの項に記載のボールの目視検査用治具。
【請求項7】
上下の板材の大きさを実体顕微鏡のステージに十分据え付けることができ、かつ容易に上下板材の相対位置を移動させることができる程度の大きさとした、請求項1〜6の何れかの項に記載のボールの目視検査用治具。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の目視検査用治具を用いて検査対象となる数個から数百個のボールを上側の板材の穴に入れて静止させ、ボールの上方から顕微鏡を用いて目視検査した後、下側の板材のピンを上側の板材のガイド穴に沿って移動させ、上下板材の相対位置を移動させることにより数個から数百個のボールを同時に一方向に一定距離回転させて別の面を上方から顕微鏡を用いて目視検査し、これを繰り返すことにより数個から数百個のボールの全表面ならびに内部を目視検査して加工時に表面に発生する微小なカケや線状キズの如き表面欠陥及び球内部に発生する内部クラックやポア等の材料欠陥といった内部欠陥を検出することを特徴とするボールの目視検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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