説明

ボールペン用インキ組成物

【目的】 本発明は、滑らかな書き味で、強い筆圧下でも書き味が損なわれることのないボールペン用インキ組成物を提供することを目的とする。
【構成】 着色剤と分子量5000〜10万のポリビニルピロリドン及び分子量100万〜300万のポリビニルピロリドンと、沸点が140℃以上195℃以下の有機溶剤とを少なくとも含有したボールペン用インキ組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボールペンに用いるインキ組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筆記部材としてのボールをボールホルダーの先端より一部突出して抱持した所謂ボールペンチップにおいては、インキの潤滑が不十分な場合、ボールとボール受け座の金属表面の摩擦が運筆時の負荷となり、書き味が損なわれることがあった。従来より滑らか書き味のボールペン用インキを得るために、インキの粘度を調整したり、潤滑性を付与する材料をインキに添加したりする試みがなされてきた。
増粘剤の添加量を調整してインキの粘度を低くすると、筆記時にボールの回転に対する抵抗力が小さくなるので、比較的滑らかな書き味が得られるという利点がある。しかし、インキが低粘度であるために、ボールとボール受座との間に形成されているインキ膜が筆圧によって容易に移動してしまい、結局はボールとボール受け座が接触して、書き味を損ねることがあり、十分な効果は得られていなかった。
そこで、ジポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸やトリポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸(特許文献1)のようにインキに潤滑性を付与する材料を添加することで、筆記時のボールとボール受座との間の摩擦抵抗を低減させて滑らかな書き味を得る試みがなされてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−279876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のリン酸エステル型活性剤は、リン酸基がボールやボール受座の金属表面に結合し、アルキル基をインキ中に向けた形で存在するが、高い潤滑性を付与する材料ほどアルキル基の疎水性が強いので、リン酸エステル型活性剤で覆われたボールやボール受座などの金属表面とインキ中の主成分である水や有機溶媒とが親和しにくくなる。これにより、ボールやボール受座の金属表面へのインキの付着力が低下し、インキが金属表面へ濡れにくくなるので、筆記時にボールの回転方向や筆記角度や筆記速度が変化して、インキの吐出の流れに何らかの変化を生じたり、強い力がかかったりしたときなど、ボールとボール受座との間にインキ膜が存在しない部分が生じ、瞬間的にボールとボール受座が接触し、書き味を損なう問題があった。
【0005】
本発明の目的は、滑らかな書き味が得られるボールペン用インキ組成物で、強い筆圧下でも書き味が損なわれることのないボールペン用インキ組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、着色剤と、分子量5000以上10万以下のポリビニルピロリドンと、分子量100万以上300万以下のポリビニルピロリドンと、沸点が140℃以上195℃以下である有機溶剤とを少なくとも含有するボールペン用インキ組成物を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0007】
分子量5000以上10万以下のポリビニルピロリドンと分子量100万以上300万以下のポリビニルピロリドンは、インキ中で絡まり合い、緻密で柔軟な網目構造を形成し、沸点が140℃以上195℃以下の範囲の有機溶剤を抱含した状態にある。筆記時にボールペンチップ内では、ボールがボールホルダー内で高速回転することで、摩擦熱を発している。この摩擦熱によって沸点が140℃以上195℃以下の範囲の有機溶剤が膨張するに伴い、分子量5000以上10万以下のポリビニルピロリドンと分子量100万以上300万以下のポリビニルピロリドンによる緻密で柔軟な網目構造も膨張し、筆記中のボールとボール受け座の接触を防止する膨潤体となるため、滑らかな書き味が得られるものと推察される。また強筆圧下ではボールペンチップ内の摩擦熱も大きいものとなり、膨潤体も大きくなるため、強筆圧下でもボールとボール受け座は接触することなく、滑らかな書き味が維持される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に発明を詳細に説明する。
分子量5000以上10万以下のポリビニルピロリドンは、インキ全量に対して、0.1重量%以上20重量%以下となるように配合するのが望ましい。0.1%未満では、ボールとボール受け座の接触による書き味の低下の抑制に十分な効果が得られないことがある。また20重量%以上添加しても、ボールとボール受け座の接触による書き味の低下を抑制する効果は変わらない。
分子量5000以上10万以下のポリビニルピロリドンとしては、PVP K−15、PVP K−30(以上、アイエスピージャパン(株)製)、ポリビニルピロリドン K−30(日本触媒(株)製)、ルビスコールK17、ルビスコールK30(以上、BASFジャパン(株)製)等がある。
【0009】
分子量100万以上300万以下のポリビニルピロリドンは、インキ全量に対して、0.1重量%以上10重量%以下となるように配合することが好ましい。0.1%未満では、ボール表面への膜の形成が不十分な場合があり、ボールとボール受け座の接触による筆記感の低下の抑制に十分な効果が得られないことがある。また10重量%以上添加しても、ボールとボール受け座の接触による書き味の低下を抑制する効果は変わらず、インキ粘度が上昇してボールの回転の抵抗となり、書き味が低下する場合がある。
分子量100万以上300万以下のポリビニルピロリドンとしては、PVP K−90、PVP K−120(以上、アイエスピージャパン(株)製)、ポリビニルピロリドン K−90(以上、日本触媒(株)製)、ルビスコールK90(BASFジャパン(株)製)等がある。
【0010】
沸点140℃以上195℃以下の範囲の有機溶剤は、筆記時のボールの回転による摩擦熱で膨張し、ポリビニルピロリドンとともに膨張体を形成してボールとボール受け座の接触を抑制することで、滑らかな書き味を得るものである。沸点が140℃未満の有機溶剤では、筆記時の摩擦熱によって有機溶剤が膨張しすぎて、ポリビニルピロリドンとの膨潤体が壊れ、ボールとボール受け座が接触するようになり、書き味の低下を引き起こす。また沸点が195℃以上の有機溶剤では、筆記時の摩擦熱による有機溶剤の膨張が小さく、滑らかな書き味は得られない。その使用量は、インキ全量に対して10重量%以上配合することが望ましい。10重量%未満では、滑らかな書き味を得るのに十分な効果が得られないことがある。
【0011】
沸点140℃以上195℃以下の範囲の有機溶剤の具体例を以下に挙げる。なお括弧内の数値は沸点を示す。
エチレングリコールモノイソプロピルグリコール(141.8℃)、エチレングリコールモノイソブチルグリコール(160.5℃)、エチレングリコールモノアリルグリコール(159℃)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(149.8℃)プロピレングリコールモノブチルエーテル(170.2℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(171℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(171.2℃)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(174℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(176℃)、プロピレングリコール(187℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(187.2℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(188.9℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(194℃)、1−ヘプタノール(176.3℃)、2−オクタノール(178℃)、ジエチルベンゼン(183.4℃)、2−エチル−1−ヘキサノール(184.7℃)、1,2−ブタンジオール(190.5℃)、1−オクタノール(195℃)、等を挙げることができる。これらの有機溶剤は単独あるいは組み合わせて使用できる。
【0012】
着色剤は一般的に使用されている染料、顔料が使用可能である。染料の一例としては、SPILON BLACK GMH SPECIAL、SPILON RED C−GH、SPILON RED C−BH、SPILON BLUE C−RH、SPILON BLUE BPNH、SPILON YELLOW C−GNH、SPILON YELLOW C−2GH、SPILON VIOLET C−RH、S.P.T. ORANGE6、S.P.T. BLUE111、SOT Yellow−1、SOT Yellow−2、SOT Yellow−3、SOT Yellow−4、SOT Yellow−6、SOT Orange−1、SOT Orange−2、SOT Scarlet−1、SOT Red−1、SOT Red−2、SOT Red−3、SOT Pink−1、SOT Brown−1、SOT Brown−2、SOT Blue−1、SOT Blue−2、SOT Blue−3、SOT Blue−4、SOT Violet−1、SOT Green−1、SOT Green−2、SOT Green−3、SOT Brack−1、SOT Brack−2、SOT Brack−4、SOT Brack−5、SOT Brack−6、SOT Brack−8、ORIENT SPRIT BLACK AB、VALIFAST BLACK 3804、VALIFAST RED 1320、VALIFAST RED 1360、VALIFAST ORANGE 2210、VALIFAST BLUE 1605、VALIFAST VIOLET 1701、VALIFAST VIOLET 1731、VALIFAST BLUE 1601、VALIFAST BLUE 1603、VALIFAST BLUE 1621、VALIFAST BLUE 1631、VALIFAST BLUE 2601、VALIFAST YELLOW 1110、VALIFAST YELLOW 1171、VALIFAST YELLOW 3104、VALIFAST YELLOW 3105、VALIFAST YELLOW 1109、Oil Colors Yellow #101、Oil Colors Yellow 3G、Oil Colors Yellow GGS、Oil Colors Yellow #105、Oil Colors Yellow #107、Oil Colors Yellow #136、Oil Colors Yellow #140、Oil Colors Orange PS、Oil Colors Orange PR、Oil Colors Orange #201、Oil Colors Pink OP、Oil Colors Pink #312、Oil Colors Scarlet #308、Oil Colors Red RR、Oil Colors Red 5B、Oil Colors Red #330、Oil Colors Brown GR、Oil Colors Brown #416、Oil Colors Brown BB、Oil Colors Green BG、Oil Colors Green #502、Oil Colors Green #533、Oil Colors Blue BOS、Oil Colors Blue IIN、Oil Colors Blue #603、Oil Colors Blue #613、Oil Colors Violet #730、Oil Colors Violet #732、Oil Colors Black BY、Oil Colors Black BS、Oil Colors Black HBB、Oil Colors Black #803、Oil Colors Black EB、Oil Colors Black EX、ネオスーパーブルーC−555、ローダミンBベース、ソルダンレッド3R、メチルバイオレット2Bベース、ビクトリアブルーF4R、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同41、同71、同86、同87、同106、同108、同199、C.I.ダイレクトイエロー4、同26、同44、同50、などの直接染料や、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同50、同51、同52、同57、同82、同83、同87、同91、同92、同93、同94、同95、同98、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドイエロー1、同7、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同127、同135、同141、同142、C.I.アシッドバイオレット15、同17、同49、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同100、同103、同104、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27、C.I.アシッドオレンジ56、C.I.アシッドブルー74、C.I.アシッドグリーン5などの酸性用染料、ソルベントイエロー2、同6、同14、同15、同16、同19、同21、同33、同56、同61、同62、同79、同80、同82、同83:1、同151、ソルベントオレンジ1、同2、同5、同6、同14、同37、同40、同41、同44、同45、同62、ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同81、同82、同83、同84、同89、同91、同100、同109、同121、同122、同127、同132、同218、ディスパースレッド9、ソルベントバイオレット8、同13、同14、同21、同21:1、同27、ディスパースバイオレット1、ソルベントブルー2、同4、同5、同11、同12、同25、同35、同36、同38、同44、同45、同55、同67、同70、同73、ソルベントグリーン3、ソルベントブラウン3、同5、同20、同28、同37、ソルベントブラック3、同5、同7、同22、同22:1、同23、同27、同29、同34、同43、同123が挙げられる。
【0013】
顔料の一例としては、カーボンブラックや不溶性アゾ顔料、アゾレーキ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、ペリノン、ペリレン系顔料等有機顔料などの従来公知の一般的な顔料が使用可能である。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組合せて調色して用いてもよい。
【0014】
カーボンブラックの一例としては、プリンテックス3、同25、同30、同35、同40、同45、同55、同60、同75、同80、同85、同90、同95、同300、スペシャルブラック4、同5、同100、同250、同550(以上、デグサヒュルスジャパン(株)製)、三菱カーボンブラック#2700、同#2650、同#2600、同#2400、同#2350、同#2300、同#2200、同#1000、同#990、同#980、同#970、同#960、同#950、同#900、同#850、同#750、同#650、同#52、同#50、同#47、同#45、同#45L、同#44、同#40、同#33、同#32、同#30、同#25、同#20、同#10、同#5、同#95、同#260、同CF9、同MCF88、同MA600、同MA77、同MA7、同MA11、同MA100、同MA100R、同MA100S、同MA220、同MA230(以上、三菱化学(株)製)、トーカブラック#8500/F、同#8300/F、同#7550SB/F、同#7400、同#7360SB/F、同#7350/F、同#7270SB、同#7100/F、同#7050(以上、東海カーボン(株)製)や、ダイヤモンドブラックN(玉億色材(株)製)などのアニリンブラックや、ボーンブラック(三重カラーテクノ(株)製)や、鉄化ブラックKN−320(日本鉄化(株)製)などの鉄黒が挙げられる。が挙げられる。青色顔料の一例としては、例えばC.I.Pigment Blue 2、同9、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同28、同29、同36、同60、同68、同76、同80が挙げられる。赤色の顔料の一例としてはC.I.Pigment Red 2、同3、同5、同8、同14、同17、同22、同23、同31、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同53:1、同53:2、同57:1、同112、同122、同144、同146、同149、同166、同170、同175、同176、同177、同179、同184、同185、同187、同188、同202、同207、同208、同209、同210、同211、同213、同214、同242、同253、同254、同255、同256、同257、同264、同266、同268、同270、同272が挙げられる。黄色の顔料の一例としてはC.I.Pigment Yellow 1、同3、同12、同13、同14、同16、同17、同55、同73、同74、同79、同81、同83、同93、同94、同95、同97、同109、同110、同111、同120、同128、同133、同136、同138、同139、同147、同151、同154、同155、同167、同173、同174、同175、同176、同180、同185、同191、同194、同213が挙げられる。橙色の顔料の一例としてはC.I.Pigment Orange5、同13、同16、同34、同36、同38、同43、同62、同68、同72、同74が挙げられる。緑色の顔料の一例としてはC.I.Pigment Green7、同36、同37が挙げられる。紫色の顔料の一例としてはC.I.Pigment Violet19、同23等が使用出来る。
【0015】
これらの染料および顔料の使用量はボールペン用インキ全量に対し1重量%以上40重量%以下が好適に使用でき、1重量%以上30重量%以下がより好ましい。使用量が1重量%より少ないと筆跡が薄すぎて判読がし難くなる。40重量%より多いと配合時の溶解不足や、経時的な沈降による目詰まりによる筆記不能やボールペン用インキ中の固形分の増加により書き味が重くなる不具合を生じやすくなる。
【0016】
以上の成分の他に更に必要に応じて、従来インキ組成物に使用されている溶剤、樹脂、界面活性剤などの各種添加剤を適宜使用できる。
【0017】
溶剤としては水、有機溶剤が使用できる。有機溶剤としては従来ボールペン用インキに使用されるものが、筆記時の書き味を低下させない範囲で使用できる。
有機溶剤の一例としては、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールターシャリブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテート等のグリコールエーテル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、3−メチル−1,3ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール等のグリコール類、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシペンタノール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、イソデシルアルコール、イソトリデシルアルコール等のアルコール類、メチルイソプロピルエーテル、エチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル等のエーテル類、酢酸−2−エチルヘキシル、イソ酪酸イソブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル類を挙げることができる。
これらの水、有機溶剤は単独あるいは組み合わせて使用できる。
【0018】
樹脂は、顔料などの固形物の分散、筆跡の紙面への定着性向上、糸曳き性付与、筆跡の裏写り防止の他、粘度調整、染料の溶解促進の為に添加するものであり、一例としては、エステルガム、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルピロリドン、アクリル酸エステル系樹脂、メラミン系樹脂、セルロース系樹脂、シクロヘキサノン、アセトフェノン、尿素などのケトンとホルムアルデヒドとの縮合樹脂、シクロヘキサノンの縮合樹脂及びそれらを水素添加した樹脂、マレイン酸樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレンとアクリル酸又はそのエステルとの共重合体、重合脂肪酸とポリアミン類との縮合体であるポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、クマロン−インデン樹脂、ポリテルペン、ロジン系樹脂やその水素添加物、ロジン変性されたマレイン酸樹脂、ロジン変性されたフェノール樹脂、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物、ポリメタクリル酸エステル、ポリオキシエチレン、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が挙げられる。
これらの樹脂は、単独あるいは複数混合して使用でき、筆記面への定着性を付与するために添加する場合、その使用量はインキ組成物全量に対し0.5〜20.0重量%以下が好ましい。0.5重量%未満では筆記面に対する筆跡の定着性が不十分となる場合があり、20.0重量%を超えるとインキの粘度が高くなりペン先からのインキ吐出が悪くなる不具合が発生する可能性がある。
【0019】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、リン酸エステルなどが挙げられ、特にリン酸エステルが好適に用いられる。
リン酸エステルの具体例としては、モノアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルリン酸、ジアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンジアルキルエーテルリン酸が挙げられる。また、これらの物質を中和したり、溶液にしたりして使用することは何ら差し支えない。市販のものとしては、フォスファノールBH−650、SM−172、ED−200、GF−339、RA−600、GF199、ML−200、ML−220、ML−240、RD−510Y、GF−185、RS−410、RS−610、RS−710、RL−210、RL−310、RB−410、RP−710、AK−25、GF702、RS−610NA、SC−6103、RD−720、LP−700、LS−500、LB400(以上、東邦化学工業(株)製)や、プライサーフA208B、A219B、A208S、A212S、A215C(以上、第一工業製薬(株)製)、NIKKOL DLP−10、DOP−8N、DDP−2、DDP−4、DDP−6、DDP−8、DDP−10(以上、日光ケミカルズ(株)製)などが挙げられる。
【0020】
更に、上記リン酸エステルが、インキ中の他成分と反応することでインキの状態が経時的に変化するようなことが起こらないようにするために、予め中和剤と混合して、リン酸基を中和してからインキに添加することもできる。中和剤としては、アミン化合物、アミド化合物、アミノ酸化合物やこれらの誘導体、両性界面活性剤などが用いられ、具体的には、アミート102、アミート105、アミート302、アミート308、アミート320などのポリオキシエチレンアルキルアミン類や、ファーミンCS、ファーミン08D、ファーミン20D、ファーミン80、ファーミン86T、ファーミンO、ファーミンT、ファーミンなどの脂肪アミン類(以上、花王(株)製)や、ナイミーンL−201、ナイミーンL−202、ナイミーンL207、ナイミーンF−215、ナイミーンS−202、ナイミーンS−204、ナイミーンS−210、ナイミーンS−215、ナイミーンS−220、ナイミーンT2−206、ナイミーンT2−210、ナイミーンT2−230、ナイミーンT2−260、ナイミーンDT−203、ナイミーンDT−208などのアルキルポリエーテルアミン類(以上、日本油脂(株)製)や、NIKKOL TAMNOS−5、TAMNOS−10,TAMNOS−15、TAMNO−5、TAMNO−15などのポリオキシエチレンアルキルアミン類や、TAMDS−4、TAMDS−15、TAMDO−5などのポリオキシエチレン脂肪酸アミド類や、NIKKOL AM−301、AM3130Nなどの両性界面活性剤(以上、日光ケミカルズ(株)製)や、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、ジエチルイソプロパノールアミン、ブチルイソプロピルアミン、ブチルベンジルアミン、ブトキシプロピルアミン(以上、関東化学(株)製)などが挙げられる。
【0021】
インキのpHを調整するために、水酸化ナトリウムや、水酸化リチウムや、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、アミドアミンなどといった有機アミン類などの塩基性物質や、硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸などの酸性物質を添加してもよい。
【0022】
本願発明のインキ組成物は、上記成分を従来知られている方法により得られる。なお、着色剤として顔料を使用した場合、濾過や遠心処理でインキ組成物中の粗大顔料を取り除いても良い。
【0023】
受け座磨耗防止剤の一例としては、アルミナ、炭化珪素、酸化クロム、炭化ホウ素、ジルコン、セン晶石、ヒスイ石、フッ化カルシウム、タングステンカーバイド、シリカ、ダイヤ、ザクロ石、窒化アルミニウム、窒化珪素が挙げられる。
【0024】
本発明のインキは筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止したりするために剪断減粘性を付与しても良い。剪断減粘性剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、アラビアガム、トラガカントガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン、キサンテンガム、デキストラン、ウェランガム、ラムザンガム、アルカガム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ヒドロキシプロピル化グァーガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、アクリル樹脂塩、アクリル酸とアルキルメタクリレートの共重合体又はそれらの塩、ヒアルロン酸等の多糖類、ベンジリデンソルビトール、シリカ、ベントナイト系無機化合物、有機ベントナイトが挙げられる。
【0025】
本発明において着色剤として顔料使用する場合、顔料を分散するには通常一般的な方法で可能である。例えば、顔料と、溶剤と、分散剤とを混合し、プロペラ撹拌機等で均一に撹拌した後、分散機で顔料を分散する。ロールミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー、ニーダー等の分散機はインキの溶剤量や、顔料濃度によって適宜選択する。
【0026】
インキを製造するには、上記で分散した顔料と染料から選ばれる1種もしくは2種以上の色材と、樹脂と、溶剤をホモミキサー等の撹拌機にて充分に混合攪拌した後、他の成分、例えば粘度調整剤や、色調調整のための染料、潤滑剤等を混合し、更に均一になるまで溶解・混合することで得られるが、場合によって混合したインキをさらに分散機にて分散したり、得られたインキを濾過や遠心分離機に掛けて粗大粒子や不溶解成分を除いたりすることは何ら差し支えない。
【実施例】
【0027】
以下、実施例及び比較例に基づき更に詳細に説明する。
(実施例1)
プリンテックス35(カーボンブラック、エボニックデグサ・ジャパン(株)製)
7.0重量部
スピロンイエローC−GNH(油溶性黄色染料、保土谷化学工業(株)製)
2.0重量部
バリファストレッド1308(油溶性赤色染料、オリエント化学工業(株)製)
3.0重量部
ネオスーパーブルーC−555(油溶性青色染料、中央合成化学(株)製)
8.0重量部
PVP K−30(分子量6万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 5.0重量部
PVP K−90(分子量130万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 0.5重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃) 40.0重量部
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点141.8℃)
19.49重量部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、分散剤、積水化学工業(株)製)
3.0重量部
ハイラック110H(ケトン樹脂、日立化成(株)製) 4.0重量部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、曳糸性付与剤、積水化学工業(株)製)
1.0重量部
フォスファノールLP710(リン酸エステル、東邦化学工業(株)製)
1.5重量部
NIKKOL BL−9EX(ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、日光ケミカルズ(株)製) 2.0重量部
NIKKOL HCO−10(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)
製) 1.5重量部
ナイミーンL201(ポリエチレングリコール−1ラウリルアミン、日油(株)製)
1.0重量部
ユニオールD2000(ポリオキシプロピレングリコール、日油(株)製)
1.0重量部
AKP−20(酸化アルミニウム、粒径0.5μm、住友化学工業(株)製)
0.01重量部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で攪拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからプリンテックス35の全量を加えダイノミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライズ製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い10回通しを行い黒色のペーストを得た。
次いで、このペーストに残りの材料を加え、70℃で3時間攪拌、混合した後放冷し黒色のボールペン用インキ組成物を得た。
【0028】
(実施例2)
バリファストブルー1605(油溶性青色染料、オリエント化学工業(株)製)
13.0重量部
スピロンイエローC−GNH(油溶性黄色染料、保土谷化学工業(株)製)
10.0重量部
PVP K−30(分子量6万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン(株)
製) 1.0重量部
PVP K−90(分子量130万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 5.5重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃) 67.19重量部
フォスファノールLB400(リン酸エステル、東邦化学工業(株)製)
1.5重量部
ナイミーンL201(ポリエチレングリコール−1ラウリルアミン、日油(株)製)
1.0重量部
NIKKOL HCO−30(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)
製) 0.5重量部
L7002(ポリエーテル変性シリコーンオイル、東レ・ダウコーニング(株)製)
0.3重量部
AKP−20(酸化アルミニウム、粒径0.5μm、住友化学工業(株)製)
0.01重量部
上記成分を70℃で攪拌し、均一に溶解した後室温まで放冷し、室温で30分間攪拌し緑色のボールペン用インキ組成物を得た。
【0029】
(実施例3)
バリファストブルー1605(油溶性青色染料、オリエント化学工業(株)製)
13.0重量部
スピロンイエローC−GNH(油溶性黄色染料、保土谷化学工業(株)製)
10.0重量部
PVP K−30(分子量6万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン(株)
製) 0.05重量部
PVP K−120(分子量300万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 3.0重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃) 50.64重量部
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点141.8℃)
10.0重量部
フェニルグリコール(沸点244.7℃) 10.0重量部
フォスファノールLB400(リン酸エステル、東邦化学工業(株)製)
1.5重量部
ナイミーンL201(ポリエチレングリコール−1ラウリルアミン、日油(株)製)
1.0重量部
NIKKOL HCO−50(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)
製) 0.5重量部
L7002(ポリエーテル変性シリコーンオイル、東レ・ダウコーニング(株)製)
0.3重量部
AKP−20(酸化アルミニウム、粒径0.5μm、住友化学工業(株)製)
0.01重量部
上記成分を70℃で攪拌し、均一に溶解した後室温まで放冷し、室温で30分間攪拌し緑色のボールペン用インキ組成物を得た。
【0030】
(実施例4)
バリファストブルー1605(油溶性青色染料、オリエント化学工業(株)製)
13.0重量部
スピロンイエローC−GNH(油溶性黄色染料、保土谷化学工業(株)製)
10.0重量部
PVP K−15(分子量8,000のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン(株
)製) 22.0重量部
PVP K−90(分子量130万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 5.5重量部
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点141.8℃)
46.19重量部
フォスファノールLB400(リン酸エステル、東邦化学工業(株)製)
1.5重量部
ナイミーンL201(ポリエチレングリコール−1ラウリルアミン、日油(株)製)
1.0重量部
NIKKOL HCO−100(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ
(株)製) 0.5重量部
L7002(ポリエーテル変性シリコーンオイル、東レ・ダウコーニング(株)製)
0.3重量部
AKP−20(酸化アルミニウム、粒径0.5μm、住友化学工業(株)製)
0.01重量部
上記成分を70℃で攪拌し、均一に溶解した後室温まで放冷し、室温で30分間攪拌し緑色のボールペン用インキ組成物を得た。
【0031】
(実施例5)
バリファストイエロー1171(油溶性黄色染料、オリヱント化学工業(株)製)
10.0重量部
スピロンレッドC−GH(油溶性赤色染料、保土谷化学工業(株)製)
3.0重量部
PVP K−30(分子量6万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 15.0重量部
PVP K−90(分子量130万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 0.05重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃) 40.4重量部
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点141.8℃)5.0重量部
ベンジルグリコール(沸点256℃) 10.0重量部
ハイラック901(ケトン樹脂、日立化成(株)製) 8.0重量部
ハリマックT−80(ロジン変性マレイン酸樹脂、ハリマ化成(株)製)
3.0重量部
サルコシネートOH 4.0重量部
水 1.5重量部
ニッコールアミドアミンMPS 0.05重量部
上記成分のうち水とニッコールアミドアミンMPSを除いた成分を70℃で溶解し、均一に溶解した後室温まで冷却し、水とニッコールアミドアミンMPSを加え、室温で30分間攪拌し橙色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
【0032】
(実施例6)
スピロンイエローC−GNH(油溶性黄色染料、保土谷化学工業(株)製)
10.0重量部
スピロンレッドC−GH(油溶性赤色染料、保土谷化学工業(株)製)
3.0重量部
PVP K−30(分子量6万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 1.0重量部
PVP K−90(分子量130万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 12.0重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃) 43.95重量部
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点141.8℃)5.0重量部
フェニルグリコール(沸点244.7℃) 10.0重量部
ハイラック901(ケトン樹脂、日立化成(株)製) 8.0重量部
ハリマックT−80(ロジン変性マレイン酸樹脂、ハリマ化成(株)製)
3.0重量部
サルコシネートOH 4.0重量部
ニッコールアミドアミンMPS 0.05重量部
上記成分のうち水とニッコールアミドアミンMPSを除いた成分を70℃で溶解し、均一に溶解した後室温まで冷却し、ニッコールアミドアミンMPSを加え、室温で30分間攪拌し橙色のボールペン用油性インキ組成物を得た。
【0033】
(実施例7)
Paliogen Blau L6385(C.I.Pigment Blue 60、BASFジャパン(株)製) 6.0重量部
VALIFAST BLUE 1631(油性染料、オリエント化学工業(株)製)
8.0重量部
PVP K−15(分子量8,000のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 5.0重量部
PVP K−90(分子量130万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 1.0重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃) 3.0重量部
フォスファノールLB400(リン酸エステル、東邦化学工業(株)製)
1.5重量部
ナイミーンL201(ポリエチレングリコール−1ラウリルアミン、日油(株)
製) 1.0重量部
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル 10.0重量部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 43.19重量部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製)
2.0重量部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製)
0.3重量部
ハイラック110H(ケトン樹脂、日立化成工業(株)製) 10.0重量部
NIKKOL BL−9EX(ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、日光ケミカルズ(株)製) 3.0重量部
NIKKOL HCO−10(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)製) 3.0重量部
ユニオールD2000(ポリオキシプロピレングリコール、日油(株)製)
3.0重量部
AKP−20(酸化アルミニウム、粒径0.5μm、住友化学工業(株)製)
0.01重量部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルとエチレングリコールモノイソプロピルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を室温で攪拌、混合溶解した後、Paliogen Blau L6385の全量を加えてさらに攪拌した後、ダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライズ製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い10回通しを行い青色のペーストを得た。
次いで、このペーストに残りの材料の全量を加え、70℃で4時間攪して青色のボールペン用インキを得た。
【0034】
(比較例1)
バリファストブルー1605(油溶性青色染料、オリエント化学工業(株)製)
13.0重量部
スピロンイエローC−GNH(油溶性黄色染料、保土谷化学工業(株)製)
10.0重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃) 70.19重量部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製)
3.5重量部
フォスファノールLB400(リン酸エステル、東邦化学工業(株)製)
1.5重量部
ナイミーンL201(ポリエチレングリコール−1ラウリルアミン、日油(株)製)
1.0重量部
NIKKOL HCO−30(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)
製) 0.5重量部
L7002(ポリエーテル変性シリコーンオイル、東レ・ダウコーニング(株)製)
0.3重量部
AKP−20(酸化アルミニウム、粒径0.5μm、住友化学工業(株)製)
0.01重量部
上記成分を70℃で攪拌し、均一に溶解した後室温まで放冷し、室温で30分間攪拌し緑色のボールペン用インキ組成物を得た。
【0035】
(比較例2)
バリファストブルー1605(油溶性青色染料、オリエント化学工業(株)製)
13.0重量部
スピロンイエローC−GNH(油溶性黄色染料、保土谷化学工業(株)製)
10.0重量部
PVP K−30(分子量6万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン(株)
製) 1.0重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃) 68.69重量部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製)
4.0重量部
フォスファノールLB400(リン酸エステル、東邦化学工業(株)製)
1.5重量部
ナイミーンL201(ポリエチレングリコール−1ラウリルアミン、日油(株)製)
1.0重量部
NIKKOL HCO−30(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)
製) 0.5重量部
L7002(ポリエーテル変性シリコーンオイル、東レ・ダウコーニング(株)製)
0.3重量部
AKP−20(酸化アルミニウム、粒径0.5μm、住友化学工業(株)製)
0.01重量部
上記成分を70℃で攪拌し、均一に溶解した後室温まで放冷し、室温で30分間攪拌し緑色のボールペン用インキ組成物を得た。
【0036】
(比較例3)
バリファストブルー1605(油溶性青色染料、オリエント化学工業(株)製)
13.0重量部
スピロンイエローC−GNH(油溶性黄色染料、保土谷化学工業(株)製)
10.0重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃) 78.5重量部
フォスファノールLB400(リン酸エステル、東邦化学工業(株)製)
1.5重量部
ナイミーンL201(ポリエチレングリコール−1ラウリルアミン、日油(株)
製) 1.0重量部
NIKKOL HCO−30(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)製) 0.5重量部
バリファストブルー1605(油溶性青色染料、オリエント化学工業(株)製)
13.0重量部
スピロンイエローC−GNH(油溶性黄色染料、保土谷化学工業(株)製)
10.0重量部
PVP K−90(分子量130万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 5.5重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 68.19重量部
フォスファノールLB400(リン酸エステル、東邦化学工業(株)製)
1.5重量部
ナイミーンL201(ポリエチレングリコール−1ラウリルアミン、日油(株)製)
1.0重量部
NIKKOL HCO−30(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)
製) 0.5重量部
L7002(ポリエーテル変性シリコーンオイル、東レ・ダウコーニング(株)製)
0.3重量部
AKP−20(酸化アルミニウム、粒径0.5μm、住友化学工業(株)製)
0.01重量部
上記成分を70℃で攪拌し、均一に溶解した後室温まで放冷し、室温で30分間攪拌し緑色のボールペン用インキ組成物を得た。
【0037】
(比較例4)
バリファストブルー1605(油溶性青色染料、オリエント化学工業(株)製)
13.0重量部
スピロンイエローC−GNH(油溶性黄色染料、保土谷化学工業(株)製)
10.0重量部
PVP K−15(分子量8,000のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 5.0重量部
PVP K−30(分子量6万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 1.0重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃) 63.69重量部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製)
4.0重量部
フォスファノールLB400(リン酸エステル、東邦化学工業(株)製)
1.5重量部
ナイミーンL201(ポリエチレングリコール−1ラウリルアミン、日油(株)製)
1.0重量部
NIKKOL HCO−30(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)
製) 0.5重量部
L7002(ポリエーテル変性シリコーンオイル、東レ・ダウコーニング(株)製)
0.3重量部
AKP−20(酸化アルミニウム、粒径0.5μm、住友化学工業(株)製)
0.01重量部
上記成分を70℃で攪拌し、均一に溶解した後室温まで放冷し、室温で30分間攪拌し緑色のボールペン用インキ組成物を得た。
【0038】
(比較例5)
バリファストブルー1605(油溶性青色染料、オリエント化学工業(株)製)
13.0重量部
スピロンイエローC−GNH(油溶性黄色染料、保土谷化学工業(株)製)
10.0重量部
PVP K−90(分子量130万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 3.0重量部
PVP K−120(分子量300万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 2.0重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃) 68.69重量部
フォスファノールLB400(リン酸エステル、東邦化学工業(株)製)
1.5重量部
ナイミーンL201(ポリエチレングリコール−1ラウリルアミン、日油(株)製)
1.0重量部
NIKKOL HCO−30(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)
製) 0.5重量部
L7002(ポリエーテル変性シリコーンオイル、東レ・ダウコーニング(株)製)
0.3重量部
AKP−20(酸化アルミニウム、粒径0.5μm、住友化学工業(株)製)
0.01重量部
上記成分を70℃で攪拌し、均一に溶解した後室温まで放冷し、室温で30分間攪拌し緑色のボールペン用インキ組成物を得た。
【0039】
(比較例6)
プリンテックス35(カーボンブラック、エボニックデグサ・ジャパン(株)製)
7.0重量部
スピロンイエローC−GNH(油溶性黄色染料、保土谷化学工業(株)製)
2.0重量部
バリファストレッド1308(油溶性赤色染料、オリエント化学工業(株)製)
3.0重量部
ネオスーパーブルーC−555(油溶性青色染料、中央合成化学(株)製)
8.0重量部
PVP K−30(分子量6万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 5.0重量部
PVP K−90(分子量130万のポリビニルピロリドン、アイエスピージャパン
(株)製) 0.5重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点121℃) 29.49重量部
エチレングリコールモノベンジルエーテル(沸点256℃) 30.0重量部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、分散剤、積水化学工業(株)製)
3.0重量部
ハイラック110H(ケトン樹脂、日立化成(株)製) 4.0重量部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、曳糸性付与剤、積水化学工業(株)製)
1.0重量部
フォスファノールLP710(リン酸エステル、東邦化学工業(株)製)
1.5重量部
NIKKOL BL−9EX(ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、日光ケミカルズ(株)製) 2.0重量部
NIKKOL HCO−10(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)
製) 1.5重量部
ナイミーンL201(ポリエチレングリコール−1ラウリルアミン、日油(株)製)
1.0重量部
ユニオールD2000(ポリオキシプロピレングリコール、日油(株)製)
1.0重量部
AKP−20(酸化アルミニウム、粒径0.5μm、住友化学工業(株)製)
0.01重量部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で攪拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからプリンテックス35の全量を加えダイノミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライズ製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い10回通しを行い黒色のペーストを得た。
次いで、このペーストに残りの材料を加え、70℃で3時間攪拌、混合した後放冷し黒色のボールペン用インキ組成物を得た。
【0040】
(比較例7)
実施例2において、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの代わりにエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点134.5℃)を添加した以外は同様になして、緑色のボールペン用インキ組成物を得た。
【0041】
(比較例8)
実施例2において、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの代わりにヘキシレングリコール(沸点198℃)を添加した以外は同様になして、緑色のボールペン用インキ組成物を得た。
【0042】
上記、実施例1〜6、比較例1〜8で得たボールペン用油性インキ組成物を、市販のボールペン(ビクーニャボールペンBX157、ぺんてる(株)製、ペン先はステンレス製ボールホルダーにて直径0.7mmの超硬合金の筆記ボールとスプリングを抱持したボールペンチップを備えるノック出没式ボールペン)と同様の筆記具に0.20g充填し、遠心機にて遠心力を加えてインキ中の気泡を脱気して、試験用ボールペンを作製した。
【0043】
書き味の評価:一定速度でペンを動かしたときのペンを持つ手にかかる抵抗値、即ち筆記抵抗値が、筆記の際のペンの書き味の良し悪しの重要な要素である。筆記抵抗値の測定は、静・動摩擦測定機(Tribo−master Type TL201Sa、(株)トリニティーラボ製)を用いて行った。静・動摩擦測定機は、ペン先を紙面に当てた状態で、筆記用紙をセットした台が設定速度で動くことにより、直線筆記させた時のペンにかかる抵抗値を測定することができる。
上記実施例1〜5および比較例1〜8のインキを充填したサンプル各3本ずつについて、筆記角度70°、筆記速度7cm/sec、荷重150gおよび300gで15cm直線筆記させて、1秒あたり200点の筆記抵抗値のデータを採取する。n=3本の筆記抵抗値の全データの平均値を筆記抵抗値とした。筆記抵抗値が小さいほど、即ち書き味が滑らかであると評価した。
各結果を表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
実施例1〜7のインキはすべて、分子量5000以上10万以下のポリビニルピロリドンと、分子量100万以上300万以下のポリビニルピロリドンと、沸点が140℃以上195℃以下の範囲の有機溶剤によって、滑らかな書き味が得られ、強い筆圧下でも書き味が損なわれることのないものであった。
実施例1、7では、沸点が140℃以上195℃以下の範囲の有機溶剤の量に依らず、滑らかな書き味が得られた。実施例2〜6では、分子量5000以上10万以下のポリビニルピロリドンや分子量100万以上300万以下のポリビニルピロリドンの添加量に依らず滑らかな書き味が得られた。
【0046】
以上、詳細に説明したように、本発明のボールペン用インキ組成物は、滑らかな書き味が得られ、強い筆圧下でも書き味が損なわれることのないボールペン用インキ組成物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤と、分子量5000以上10万以下のポリビニルピロリドンと、分子量100万以上300万以下のポリビニルピロリドンと、沸点が140℃以上195℃以下である有機溶剤とを少なくとも含有するボールペン用インキ組成物。